JP4080360B2 - ジブロック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物 - Google Patents

ジブロック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジブロック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物に関し、より具体的には、耐熱性および耐候性を損なわずに、凝集力、粘着力等の各種粘着性能に優れたアクリル系粘着剤、特にホットメルト塗工性に優れるアクリル系粘着剤を提供するために有用なアクリル系ジブロック共重合体、該ジブロック共重合体を含む粘着剤組成物、および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系粘着剤(なお、「粘着剤」とは「感圧接着剤(pressure−sensitive adhesive)」を意味する)は、ゴム系粘着剤に比べ、その構造に由来する優れた耐熱性および耐候性の特徴をいかして、粘着テープ、粘着シート等の粘着材に近年広く用いられている。一般にアクリル系粘着剤は、その形態に基づき、主として溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、および、ホットメルト型粘着剤に分類される。このうち、溶液型粘着剤は、有機溶剤に溶解してなる粘着剤であって、基材に塗布し有機溶剤を蒸発させることによって基材上に粘着剤層を設けるため、使用される有機溶剤の環境への影響が問題とされている。また、エマルジョン型粘着剤は、粘着剤をエマルジョン状態で基材に塗布し水を蒸発させることによって基材上に粘着剤層を設けるため、排水処理や乾燥エネルギーが大きいことが問題とされている。一方、ホットメルト型粘着剤は、粘着剤を熱溶融状態で基材に塗布し基材上に粘着剤層を設けるため、環境負荷が小さく、安全性に優れる特徴を有し、また、溶液型粘着剤やエマルジョン型粘着剤に比べ、有機溶剤や水の乾燥工程を必要としないため、粘着材の生産性が高いうえ、省エネルギー、省資源の観点からも多くの利点を有する。しかしながら、ホットメルト型粘着剤は、ホットメルトであるがゆえに高温条件下での凝集力が低いという欠点も有している。
このため、アクリル系のホットメルト型粘着剤の性能としては、耐熱性、耐候性に加え、凝集力、粘着力等の各種粘着性能とホットメルト塗工性の両方に優れることが好ましい。一般に、粘着剤をホットメルト塗工するためには、粘着剤の溶融粘度が低いこと、溶融時と常温下での体積変化が小さいこと、および、熱安定性に優れること等が必要となる。そのなかで、粘着剤の溶融粘度は、可塑剤、軟化温度の低い粘着付与樹脂等を配合することにより低くすることができるが、同時に、著しい凝集力の低下を招くことが問題となる。
【0003】
近年、粘着剤の性能に対する要求レベルがますます高度化するなか、凝集力、粘着力等の粘着性能とホットメルト塗工性の両方を兼ね備えたアクリル系のホットメルト型粘着剤の提供が強く望まれており、その達成は極めて意義が高い。上記特徴を具備したアクリル系のホットメルト型粘着剤を得るための過去の検討としては、例えば、以下のような報告がある。
(1)特許文献1では、キシリレン−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバメート)、キシリレン−ビス(N−カルバゾリルジチオカルバメート)等のイニファーターを使用するイニファーター重合法によりメタクリル酸エステルからなる重合体ブロックとアクリル酸アルキルエステルからなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体を得、該ブロック共重合体を粘着剤用ベースポリマーとして使用することを提案している。
(2)特許文献2、特許文献3および特許文献4では、耐候性に優れた粘着剤用ベースポリマーとして、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルからなる重合体ブロックとビニル系モノマーからなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体を提案している。
(3)特許文献5では、主としてメタクリル酸アルキルエステルからなり、ガラス転移温度が+110℃以上で、かつ、シンジオタクチシチーが70%以上である重合体ブロックと、主としてアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルからなり、ガラス転移温度が+30℃以下である重合体ブロックとを有するブロック共重合体を粘着剤用ベースポリマーとして提案している。さらに特許文献6では、これにアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルからなるジブロック共重合体の配合することで、粘着特性をバランスよく調節し粘着特性の総合性能を向上させることや、またホットメルト塗工性も向上することが開示されている。
(4)特許文献7および特許文献8では、多段階ラジカル重合によって得られるアクリル系星形ブロック重合体を粘着剤用ベースポリマーとして提案している。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1〜8で提案されているアクリル系粘着剤では、必ずしも凝集力、粘着力等の粘着特性、ホットメルト塗工性等において十分な性能を発現するに至っておらず、粘着剤の配合の自由度を高める点からも上記特徴を具備した粘着剤組成物を得るために有用なアクリル系重合体が市場で要求されているというのが実状であった。
また、特許文献4、特許文献6などで提案されているジブロック共重合体は、これ自体が粘着性を有するため、通常の合成樹脂の製品荷姿であるペレット、粉体、液体(水飴状を含む)の形態をとり難く、取扱性に劣るものであり、また、溶融粘度の改良も不十分であるなどという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−103277号公報
【特許文献2】
特公昭59−33148号公報
【特許文献3】
特開平9−125019号公報
【特許文献4】
特開平9−324165号公報
【特許文献5】
特開平11−302617号公報
【特許文献6】
特開平11−323072号公報
【特許文献7】
特開2001−139646号公報
【特許文献8】
特開2001−288439号公報
【特許文献9】
特公平7−25859号公報
【特許文献10】
特開平11−335432号公報
【特許文献11】
特開平6−93060号公報
【非特許文献1】
マクロモレクラ ケミカル フィジックス(Macromol. Chem. Phys.) 201巻, 1108〜1114頁(2000年)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、耐熱性、耐候性を損なうことなく、凝集力、粘着力等の各種粘着物性に優れ、また、ホットメルト塗工性に優れるアクリル系粘着剤を得るのに有用なアクリル系ジブロック共重合体、該ジブロック共重合体を含む粘着剤組成物、および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討を行った結果、特定の構造を有するアクリル系ブロック共重合体が、耐熱性、耐候性を損なうことなく、凝集力、粘着力等の各種粘着物性にも優れ、かつ、ホットメルト塗工性に優れるアクリル系粘着剤を得るのに有用であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 下記一般式(I)
【化2】
X−Y (I)
(式中、Xは、炭素数が1〜4のアルキル基、または環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表し;Yは、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表す)で示されるジブロック共重合体であって、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が1,000〜8,000であり、重合体ブロックXの質量と重合体ブロックYの質量との割合がX/Yの質量比において1/99〜10/90の範囲内であることを特徴とするジブロック共重合体である。
【0009】
また、本発明は、
(2) 重合体ブロックXが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなり、かつ、重合体ブロックYが炭素数1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる上記(1)記載のジブロック共重合体;
(3) 重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以下である上記(1)または(2)記載ジブロック共重合体
好ましい態様として包含する。
そして、本発明は、
) 上記(1)〜()のいずれかに記載のジブロック共重合体および式A−B−A(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックを表し、Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックを表す)で表されるトリブロック共重合体を含む粘着剤組成物である。
また、本発明は、
) さらに粘着付与樹脂を含む上記(4)のいずれかに記載の粘着剤組成物;および
) ホットメルト型粘着剤である上記(4)または(5)に記載の粘着剤組成物
を好ましい態様として含む。
そしてさらに、本発明は、
) 上記()〜()のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細を説明する。
【0011】
本発明のジブロック共重合体は上記一般式(I)で示されるX−Y型のジブロック共重合体であり、一般式(I)中、Xは、炭素数が1〜4のアルキル基、または環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表し、またYは、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表すが、粘着性能、ホットメルト塗装性などの観点から、重合体ブロックXが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなり、かつ、重合体ブロックYが炭素数1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる上記一般式(I)記載のジブロック共重合体であることが好ましい。
上記重合体ブロックXにおいて、炭素数が1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができ、また、環構造を有するアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、イソボルニル基等を挙げることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、かかる置換基の例としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等のアミノ基;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子等を挙げることができる。
【0012】
上記炭素数が1〜4のアルキル基、または環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位を構成する単量体としては、必ずしも限られるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸トリフルオロメチル等を挙げることができ、これらは1種または2種以上で使用することができる。
重合体ブロックXが、炭素数が5以上であり、環構造を有しないアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックである場合には、重合体ブロックXのガラス転移温度(Tg)が低くなるため、粘着剤配合成分として用いる場合、凝集力、耐熱性を損なうため好ましくない。このため、重合体ブロックXのガラス転移温度(Tg)としては、+50℃以上であることが好ましく、+70℃以上であることがより好ましい。
【0013】
上記一般式(I)中のXで示される重合体ブロックは、上記メタクリル酸アルキルエステル単位のみを含有することができるが、本発明の効果を損なわない範囲の少割合(重合体ブロックXの総量に対して通常20質量%以下)であれば、炭素数が1〜4のアルキル基または環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位以外の他の単量体単位を含有することがでる。かかる他の単量体単位としては、例えば、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル等の炭素数が5以上のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外のメタクリル酸エステル;アクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外のアクリル酸エステル;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトンなどのモノマーに由来する構成成分を含有していてもよい。
【0014】
また、重合体ブロックYにおいて、上記炭素数が1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、ドデシル基、トリデシル基、ステアリル基等を挙げることができる。また、炭素数が5〜20のアルキル基としては、例えば、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ステアリル基等を挙げることができる。これらの基は置換基を有していてもよく、かかる置換基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基;N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基等のアミノ基;塩素、臭素、フッ素等のハロゲン原子等を挙げることができる。
上記炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位を構成する単量体としては、必ずしも限られるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル等を挙げることができ、これらは1種または2種以上で使用することができる。また、上記炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位を構成する単量体としては、必ずしも限られるものではないが、例えば、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−メトキシペンチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル、メタクリル酸パ−フルオロペンチル、メタクリル酸2−トリメトキシシリルペンチル等を挙げることができ、これらは1種または2種以上で使用することができる。
重合体ブロックYが、炭素数が1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックである場合には、重合体ブロックYのガラス転移温度(Tg)が高くなるため、粘着剤配合成分として用いる場合、硬質化して粘着力が低下し、また、ホットメルト塗工性を損なうため好ましくない。このため、重合体ブロックYのガラス転移温度(Tg)としては、+50℃未満であることが好ましく、+10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがさらに好ましい。
【0015】
上記一般式(I)中のYで示される重合体ブロックは、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位のみを含有することができるが、本発明の効果を損なわない範囲の少割合(重合体ブロックYの総量に対して20質量%以下)であれば、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/または炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位以外の他の単量体単位を含有することができる。かかる単量体単位としては、例えば、炭素数が21以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数が1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル;炭素数が21以上のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外のメタクリル酸エステル;アクリル酸トリメチルシリルなどのアルキルエステル以外のアクリル酸エステル;メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のメタクリルアミド類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリルアミド類;メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマ−;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー;エチレン、プロピレン等のオレフィン;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトンなどのモノマーに由来する構成成分を含有していてもよい。
【0016】
上記一般式(I)で示されるジブロック共重合体は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、分子側鎖中または分子主鎖末端に水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基などの官能基を有していてもよい。
【0017】
上記のようなX−Yで示されるジブロック共重合体は、「硬質ブロック」と「軟質ブロック」とから構成されるジブロック共重合体であり、従来から餅状の形態を有するものが用いられてきたが、取扱性などの点で問題があった。本発明はこの点に着目して、ジブロック共重合体自体の製造性や他成分との配合工程における取扱性の観点から検討した結果、例えば100℃以上の温度域で流動性を有する液体状であるものが取扱性が非常に良好であることを見出し、しかも該ジブロック共重合体は粘着用途に有用であることも判明した。
このため、本発明において、上記一般式(I)を満足するジブロック共重合体中、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)は1,000〜8,000であることが必要であり、粘着物性とホットメルト塗工性の両方に優れた粘着剤組成物を得るという観点から、2,000〜6,000であることが好ましく、3,000〜5,000であることがより好ましい。重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が8,000より大きい場合には、得られるジブロック共重合体は、餅状の形態となるため製造上の取扱性が低下したり、トリブロック共重合体などの他成分との配合工程において取り扱い性が悪化するため好ましくない。またジブロック共重合体を含有する組成物の溶融時の粘度が高くなるため、粘着剤組成物、特にホットメルト型粘着剤の配合成分として用いる上でも好ましくない。一方、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が1,000より小さい場合には、凝集力が大きく低下するため、粘着剤の配合成分として用いるのに好ましくない。
【0018】
また、上記一般式(I)で示されるジブロック共重合体では、重合体ブロックの総質量を基準とした場合におけるXで示される重合体ブロックの総質量の割合が小さすぎると、得られるブロック共重合体の凝集力が小さくなり、粘着剤成分として用いる場合、得られる粘着剤組成物は保持力(せん断クリ−プ強度)等の粘着特性が低下する傾向がある。逆にXで示される重合体ブロックの総質量の割合が大きすぎると、粘着剤組成物として用いた場合、得られるブロック共重合体は粘着特性(特に粘着力)が不足気味となる傾向がある。これらの点から、本発明のジブロック共重合体中に含まれる重合体ブロックXの質量と重合体ブロックYの質量との割合は、X/Yの質量比において1/99〜10/90の範囲内であることが必要であり、好ましくは5/95〜10/90の範囲内である。
【0019】
本発明のジブロック共重合体において、粘着剤配合成分として用いた場合に凝集力に優れたものとする観点から、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5以下であることが好ましく、1.01〜1.3であることがより好ましい。
また、本発明のジブロック共重合体全体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、粘着剤配合成分として用いた場合に凝集力とホットメルト塗工性を両立し得る観点から、10,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。
本発明のジブロック共重合体の流動性は、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)とX/Yの質量比に影響をうけるため、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が大きくなるほど、またX/Yの質量比が大きくなるほど、流動性が低下する傾向がある。このため、本発明の前記要件を満足する、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が1,000〜8,000であり、X/Yの質量比が1/99〜10/90である場合には、製造時の取扱性や他の成分との配合工程における取扱性に優れる流動性を確保することができるが、製造時の取扱性や他の成分との配合工程における取扱性をより向上させる観点から、ジブロック共重合体の粘度は、80℃以上120℃以下の温度条件下において1〜1,000Pa・sの範囲であることが好ましく、1〜500Pa・sの範囲であることがより好ましい。
【0020】
上記本発明のジブロック共重合体を製造する方法は、上記条件を満足するブロック共重合体が得られる限りにおいて特に限定されることはなく、公知の手法に準じた方法を採用することができる。一般に、ブロック共重合体を得る方法としては、各ブロックを構成するモノマ−をリビング重合する方法が取られる。このようなリビング重合の手法としては、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特許文献9)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特許文献10)、有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法(特許文献11)、α−ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法(非特許文献1)などが挙げられる。また、多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各ブロックを構成するモノマ−を重合させ、本発明のジブロック共重合体を一部含有する混合物として製造する方法なども挙げられる。
重合工程以降のポリマー回収方法は特に限定されないが、本発明のジブロック共重合体が高められた温度で高い流動性を有する液状物質であることから、比較的、トルク容量の小さい装置でも取扱が可能であり、例えば、攪拌機付きの槽型反応機を加熱し、重合に使用した溶媒を除去し、低い位置にある弁からジブロック共重合体を回収する方法などを採用することができる。
本発明のジブロック共重合体の輸送の形態や手段についても特に限定されないが、本発明のジブロック共重合体が高められた温度で高い流動性を有する液状物質であることから、例えば、加熱された液状のジブロック共重合体をドラム缶などの小容量の容器に充填し、これを冷却して該容器を移送した後、容器を再加熱することにより、所望の装置にジブロック共重合体を操作性良く移送することができる。
【0021】
本発明のジブロック共重合体は、他の重合体など所望に応じて使用される他の配合成分と混合して得られる組成物が、高められた温度条件下での保持力を始めとする各種の優れた粘着特性を示すことから、粘着剤の配合成分として好適に使用される。さらに、本発明のジブロック共重合体が配合された粘着剤組成物は、加熱下に容易に溶融して高い流動性を有するようになるので、ホットメルト型粘着剤として特に好適に使用される。
本発明の粘着剤組成物は、上記本発明のジブロック共重合体のみからなっていてもよいが、所望に応じ適宜他の成分が配合されていてもよい。本発明の粘着剤組成物に任意に配合されていてもよい成分としては、特に制限されないが、例えば、他の重合体、粘着付与樹脂などが挙げられる。
【0022】
上記他の重合体としては、特に制限されず使用することができ、例えば、熱可塑性重合体であれば上記ジブロック共重合体以外の重合体が使用可能である。かかる重合体の具体例としては、上記ジブロック共重合体以外のブロック共重合体、ポリn−ブチルアクリレ−ト、EPR、EPDM、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどを挙げることができる。これらの重合体のうち、1種または2種以上を使用することができる。上記ジブロック共重合体以外のブロック共重合体としては、必ずしも限定されるものではないが、たとえば、上記一般式(I)で示されるジブロック共重合体とは異なり、かつ、式(A−B)、式(A−B−C)、式(A−B)−A、および、式(A−B)−Zなどで示されるブロック共重合体(式中、重合体ブロックA、BおよびCは、それぞれ異なる重合体ブロックを表し、それぞれのうち少なくとも1つはアクリル酸アルキルエステル単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなり、またa、b、cは同一あるいは異なっていてもよい1〜10の整数を表し、mは3〜30の整数を表し、Zは複数個の共重合体(A−B)を結合することのできる化合物残基を表す)を挙げることができ、アクリル系のブロック共重合体であることが好ましい。上記重合体ブロックA、BおよびCを構成する単量体としては、必ずしも限られるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系モノマー;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン系モノマー等を挙げることができる。また共役ジエン系モノマーによって構成される重合体ブロックの二重結合は水素添加されていてもよい。
【0023】
上記他の重合体は、凝集力に優れた粘着剤組成物を得るという観点から、アクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。さらに本発明のジブロック共重合体との相容性がよく、均一性を向上させ、耐熱性および耐候性に優れた粘着剤組成物を得るという観点から、上記アクリル系ブロック共重合体において重合体ブロックA、BおよびCのうち少なくとも1つは前記アクリル酸アルキルエステル単位および/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなることがより好ましく、重合体ブロックA、BおよびCの全てがアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステル単位からなることがさらに好ましく、特に重合体ブロックAがメタクリル酸アルキルエステルからなり、重合体ブロックBがアルキル酸アルキルエステルからなり、重合体ブロックCがメタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルからなることが好ましい。これらの特に好ましいアクリル系ブロック共重合体の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリアクリル酸エチルなどの式A−B−AまたはA−B−Cの構造で示されるトリブロック共重合体を挙げることができる。これらのうち、ポリメタクリル酸メチル−b−ポリアクリル酸n−ブチル−b−ポリメタクリル酸メチルの構造で示されるトリブロック共重合体であることがより望ましい。
上記ブロック共重合体中の重合体ブロックA、重合体ブロックBおよび重合体ブロックCの重量平均分子量は、必ずしも限定されないが、一般的にはそれぞれ3,000〜500,000の範囲であることが好ましく、3,000〜300,000の範囲であることが好ましい。またブロック共重合体全体の重量平均分子量は、必ずしも限定されないが、一般的には10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましく、30,000〜500,000の範囲であることがより好ましく、40,000〜200,000の範囲であることがさらに好ましい。
【0024】
本発明の粘着剤組成物は、粘着付与樹脂を配合させることにより、タック、粘着力、保持力などの向上・調節が容易となる場合がある。配合可能な粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステルなどのロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネンなどを主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂、クマロン−インデン系樹脂、水素化芳香族コポリマー、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等を挙げることができ、これらは1種または2種以上で使用することができる。
本発明の粘着剤組成物の主たる構成成分である本発明のジブロック共重合体、他の重合体および粘着付与樹脂の配合比は、粘着剤の用途、被着体の種類などに応じて適宜選択することができ特に制限されないが、凝集力、粘着力に優れ、また、塗工性が良好となる点から、本発明のジブロック共重合体100質量部に対し、他の重合体が10〜10,000質量部、粘着付与樹脂が0〜10,000質量部であることが好ましく、本発明のジブロック共重合体100質量部に対し、他の重合体が10〜5,000質量部、粘着付与樹脂は0〜5,000質量部であることがより好ましい。
【0025】
本発明の粘着剤組成物は、さらに必要に応じて各種の可塑剤を含有してもよい。かかる可塑剤の例としては、例えば、ジブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス(2−エチルヘキシル)フタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス(2−エチルヘキシル)アゼレート等のアゼライン酸エステル類;塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ変性植物油類;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;低分子量ポリブテン、低分子量ポリイソブチレン、低分子量ポリイソプレンなどの低分子量重合体;プロセスオイル、ナフテン系オイル等のオイル類などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。可塑剤の使用量は、可塑剤以外の粘着剤配合成分の合計100質量部に対して、0〜1,000質量部の範囲であるのが一般的である。
【0026】
また、本発明の粘着剤組成物は、必要に応じて各種の添加剤を含有していてもよい。かかる添加剤の具体例としては、耐候性、耐熱性、耐酸化性などをさらに向上させるための酸化防止剤や紫外線吸収剤;炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルクなどの無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維などの繊維状充填剤などを挙げることができる。
【0027】
本発明の粘着剤組成物を製造する方法としては、特に制限されず、例えば、粘着剤組成物を構成する成分を、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなど既知の混合・混練装置を使用して、通常100℃〜250℃の範囲内の温度で混合混練することにより得ることができる。また本発明の粘着剤組成物は、各成分を有機溶媒に溶解して混合した後、該有機溶媒を留去することによっても得ることもできる。
【0028】
本発明のジブロック共重合体を含む粘着剤組成物を溶融状態にして、フイルム状、シート状、テープ状またはその他の所望の形状を有する紙、紙ボード、セロハン、樹脂、布、木材、金属などの基材に塗工した後、冷却することにより、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材を製造することができる。また、本発明の粘着剤組成物は、トルエンなどの溶剤に溶かして溶液状にして溶剤型粘着剤として使用することも可能であり、かかる場合には、基材に該溶剤型粘着剤を塗布後、溶剤を蒸発させることによって上記のような粘着材を製造してもよい。
本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材上に形成させることによって得られる粘着材としては、粘着シート、粘着フイルム、粘着テープ、感圧性テープ、マスキングテープ、電気絶縁用テープ、ラミネート物などが挙げられる。
上記の粘着材の中でも、特に代表的なものとしては、例えば、基材フイルムの少なくとも一部の表面上に本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を形成させた粘着フイルム、粘着テープ等を挙げることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
なお、以下に示す合成例においては、化合物は常法により乾燥精製し、窒素にて脱気したものを使用した。また、化合物の移送および供給はアルゴン雰囲気下で行った。
【0030】
重合体およびブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)によりポリスチレン換算分子量で求めた。また、ブロック共重合体における各重合体ブロックの構成割合は1H−NMR(1H−核磁気共鳴)測定によって求めた。
上記で用いた測定装置および条件は、以下のとおりである。
(1)GPC:
・装置:東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」
・分離カラム:東ソー株式会社製の「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結
・溶離剤:テトラヒドロフラン
・溶離剤流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
(2) 1H−NMR:
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「JNM−LA400」
・重溶媒:重水素化クロロホルム
【0031】
ジブロック共重合体の取扱性の指標として、各温度(80℃、120℃)における溶融粘度を測定し評価した。測定装置は、ブルックフィールド型粘度計(BROOKFIELD ENGINEERING LABS. INC.製)またはフローテスタCFT−500形キャピラリー型粘度計(島津製作所製、条件:プランジャー断面積:1cm、ダイ(ノズル)寸法:直径1mm、長さ10mm、試験荷重10kg/cm)を用いた。
【0032】
また、表1記載の各種粘着物性等の評価のため、粘着剤組成物および粘着テープを以下に示す方法によって調製・作成した。
(a) 粘着剤組成物の調製方法および粘着テープ作製方法:
表1記載の配合質量比のジブロック共重合体、ブロック重合体、重合体及び粘着付与樹脂をトルエンに溶解して35質量%濃度の粘着剤トルエン溶液を作製し、これを減圧下溶媒留去して粘着剤組成物を得た。
また、上記粘着剤トルエン溶液をコーターによってポリエチレンテレフタレート製フィルム上に厚さ254μmでコーティングを行い、160℃、30分で乾燥・熱処理して粘着物性評価用のテープを得た。
【0033】
さらに上記で得られた粘着剤組成物の溶融粘度、ホットメルト塗工性、および各種粘着物性〔粘着性(ボールタック)、保持力および粘着力〕の測定・評価は以下のようにして実施した。
(b) 溶融粘度:
フローテスタCFT−500形(島津製作所製)キャピラリー型粘度計を用い、プランジャー断面積:1cm、ダイ(ノズル)寸法:直径1mm、長さ10mm、試験荷重10kg/cmの条件で、180℃で測定した。適度な溶融粘度を有することは、ホットメルト塗工性が良好であることの目安となる。
(c) ホットメルト塗工性:
粘着剤を180℃の温度でコーターを用いてポリエステルフィルム上に40μmの塗工厚みにコーティングする際における塗工性を、「極めて良好」(◎)、「良好」(〇)、「やや不良」(△)、「不良」(×)、「極めて不良」(××)の5ランクに分けて判定した。
【0034】
(d) 粘着性(ボールタック):
JIS Z 0237に準拠して25℃におけるボールタック値を調べた。ここで、ボールタック値は数字の大きいほど粘着性(タック性)が良好であることを示す。
【0035】
(e)保持力:
JIS Z 0237に準じて評価した。すなわち、作製した粘着テープ(幅25mm、長さ25mm)をステンレス(SUS304)板に接着し、環境温度40℃或いは80℃で荷重1kgを吊り下げ、落下時間を求めた。落下せずに保持している時間(保持時間)が長いほど保持力(クリープ性能)が良好であることを示す。
【0036】
(f)接着力:
JIS Z 0237に準じて180°剥離試験により評価した。すなわち、作製した粘着テープ(幅25mm、長さ100mm)をステンレス(SUS304)板およびポリエチレン製の厚さ約1mmのシートに貼り付け、25℃において30cm/分の速度で180°の方向に剥離して測定した。
【0037】
合成例1(ジブロック共重合体A1の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、アルゴンで置換した後、室温にてトルエン291g、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン2.02g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.18mmolを含有するトルエン溶液12.2gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム3.38mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.98gを加えた。これにメタクリル酸メチル11.0gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温(25℃)にて1時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料1とする。引き続き、重合液の内部温度を−2℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル143gを5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料2とする。続いて反応液にメタノールを1g添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノールの割合は70質量%)中に注ぎ、析出した油状の沈殿物を得た。これをサンプリング試料3とする。
サンプリング試料1〜3についてH−NMR測定、GPC測定を行い、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記油状沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロックのジブロック共重合体A1(PMMA−b−PnBA)であり、そのPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は4,700であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.12であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は92,400であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.25であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(7.1質量%)−PnBA(92.9質量%)であることが判明した。
得られたジブロック共重合体は室温(25℃)で液状(高粘度液体)であり、その溶融粘度は、ブルックフィールド型粘度計で測定した結果、80℃で126Pa・s(1,260ポイズ)、120℃で19Pa・s(190ポイズ)と流動性の高い液体状であり、材料移送などの取扱性に優れていることが判った。
【0038】
合成例2(ジブロック共重合体A2の合成)
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの使用量を変える以外は合成例1と同様にして、PMMAブロック−PnBAブロックのジブロック共重合体A2(PMMA−b−PnBA)を合成した。
得られたジブロック共重合体A2のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は3,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.15であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は43,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.02であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(7.0質量%)−PnBA(93.0質量%)であった。
また、得られたジブロック共重合体A2の溶融粘度をフローテスターキャピラリー型粘度計にて測定した結果、80℃で23Pa・s(230ポイズ)、120℃で2Pa・s(20ポイズ)であった。
【0039】
合成例3(ブロック共重合体B1の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、アルゴンで置換した後、室温にてトルエン278g、1,2−ジメトキシエタン13.9g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.05mmolを含有するトルエン溶液12.0gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム2.35mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.38gを加えた。これにメタクリル酸メチル15.0gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温(25℃)にて1時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料4とする。引き続き、重合液の温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル90.0gを5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料5とする。続いて、反応液にメタクリル酸メチル15.0gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて10時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料6とする。続いて、反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノールの割合は90質量%)中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。これをサンプリング試料7とする。
サンプリング試料4〜7についてH−NMR測定、GPC測定を行い、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記白色沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロック−PMMAブロックのトリブロック共重合体B1(PMMA−b−PnBA−b−PMMA)であり、片側のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は7,300であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.09であり、また、トリブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は68,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.05であった。また、各重合体ブロックの割合はPMMA(12.5質量%)−PnBA(75.3質量%)−PMMA(12.2質量%)であることが判明した。
【0040】
合成例4(ブロック共重合体B2の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、アルゴンで置換した後、室温にてトルエン278g、1,2−ジメトキシエタン13.9g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム8.18mmolを含有するトルエン溶液12.2gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム1.68mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液0.99gを加えた。これにメタクリル酸メチル17.0gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温(25℃)にて1時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料8とする。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル102.0gを5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料9とする。続いて、反応液にメタクリル酸メチル17.0gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温にて10時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料10とする。続いて、反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノールの割合は90質量%)中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。これをサンプリング試料11とする。
サンプリング試料8〜11についてH−NMR測定、GPC測定を行い、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記白色沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロック−PMMAブロックのトリブロック共重合体B2(PMMA−b−PnBA−b−PMMA)であり、片側のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は11,400であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.07であり、また、トリブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は107,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.04であった。また、各重合体ブロックの割合はPMMA(12.5質量%)−PnBA(75.2質量%)−PMMA(12.3質量%)であることが判明した。
【0041】
合成例5(ジブロック共重合体C1の合成)
1リットルの三口フラスコに三方コックを付け内部を脱気し、アルゴンで置換した後、室温にてトルエン278g、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン1.29g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム7.46mmolを含有するトルエン溶液11.1gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム2.49mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液1.46gを加えた。これにメタクリル酸メチル22.4gを加えた。反応液は当初、黄色に着色していたが、室温(25℃)にて1時間攪拌後、無色となった。この時点で、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料12とする。引き続き、重合液の内部温度を−5℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル133.1gを5時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液1gを採取した。これをサンプリング試料13とする。続いて、反応液にメタノール1gを添加して重合を停止した。この重合停止後の反応液を大量のメタノールと水の混合溶液(メタノールが80質量%)中に注ぎ、析出した白色沈殿物を得た。これをサンプリング試料14とする。 サンプリング試料12〜14についてH−NMR測定、GPC測定を行い、その結果に基づいて、Mw(重量平均分子量)、Mw/Mn(分子量分布)、メタクリル酸メチル重合体(PMMA)ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)ブロックの質量比等を求めたところ、最終的に得られた上記白色沈殿物は、PMMAブロック−PnBAブロックのジブロック共重合体C1(PMMA−b−PnBA)であり、サンプリング試料12のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は11,200であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.07であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は89,500であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.25であった。また、各重合体ブロックの割合はPMMA(14.1質量%)−PnBA(85.9質量%)であることが判明した。
得られたジブロック共重合体は、室温(25℃)で餅状であり、その溶融粘度はブルックフィールド型粘度計で測定した結果、120℃で1,000Pa・s以上(10,000ポイズ以上)であり、極めて流動性乏しいことが判った。
【0042】
合成例6〜8(ジブロック共重合体C2〜C4の合成)
メタクリル酸メチルおよびアクリル酸n−ブチルの使用量を変える以外は合成例5と同様にして、PMMAブロック−PnBAブロックのジブロック共重合体(PMMA−b−PnBA)C2〜C4を合成した。
(1)得られたジブロック共重合体C2のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は4,300であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.13であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は46,900であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.07であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(12.7質量%)−PnBA(87.3質量%)であった。
また、得られたジブロック共重合体C2は、室温(25℃)で液状と餅状の中間の状態(液状に近い状態)であった。
(2)得られたジブロック共重合体C3のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は4,300であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.13であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は26,700であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.07であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(19.5質量%)−PnBA(80.5質量%)であった。
また、得られたジブロック共重合体C3は、室温(25℃)で液状と餅状の中間の状態(餅状に近い状態)であった。
(3)得られたジブロック共重合体C4のPMMAブロック部のMw(重量平均分子量)は10,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.09であり、また、ジブロック共重合体全体のMw(重量平均分子量)は137,000であり、Mw/Mn(分子量分布)は1.07であり、各重合体ブロックの割合はPMMA(7.7質量%)−PnBA(92.3質量%)であった。
また、得られたジブロック共重合体C3は、室温(25℃)で液状であった。
【0043】
実施例1〜5
合成例1および2で得られたジブロック共重合体A1およびA2、合成例3および4で得られたブロック共重合体B1およびはB2、および粘着付与樹脂を用いて、表1で示す配合の粘着剤組成物を調整した。次いで、この粘着剤組成物をもちいて、上記試験方法に従って、溶融粘度、ホットメルト塗工性、および各種粘着物性〔粘着性(ボールタック)、保持力、および、粘着力〕の測定・評価を実施した。得られた結果を表2に示す。なお、実施例2の粘着付与樹脂としては、水添ロジングリセリンエステルである荒川化学社製の粘着付与樹脂KE−311を用いた。
【0044】
比較例1
合成例3で得られたブロック共重合体B1を用いて、実施例1と同様にして、各種測定・評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
【0045】
比較例2
合成例4で得られたブロック共重合体B2を用いて、実施例1と同様にして、各種測定・評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
【0046】
比較例3
通常のラジカル重合法によって得られた、Mw(重量平均分子量)が59,000であり、Mw/Mn(分子量分布)が2.91であるアクリル酸n−ブチル重合体(PnBA)と合成例3で得られたブロック共重合体B1を用いて、実施例1と同様にして、各種測定・評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
【0047】
比較例4〜7
ジブロック共重合体C1〜C4とブロック共重合体B2を用いて、実施例1と同様にして、各種測定・評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0004080360
【0049】
【表2】
Figure 0004080360
【0050】
上記の結果から、本発明のジブロック共重合体は、高められた温度で高い流動性を有する液状物質であり、製造時の取扱性・移送取扱性などの取扱性に優れることが分かる。さらにこれを含有する接着剤組成物は、ホットメルト塗工性、保持力等に優れ、また粘着付与樹脂を配合して使用する場合には、さらにボールタックおよび粘着力を向上させる効果があることが分かる。また、比較例3の結果から、上記一般式(I)中のXで示される重合体ブロックがないアクリル酸n−ブチル重合体単独の場合には、ホットメルト塗工性の改良に効果があるものの、保持力および粘着力が低く、また比較例4〜7の結果から、Xで示される重合体ブロックの重量平均分子量(Mw)および/またはX/Yの質量比が大きい場合には、保持力および粘着力は良好であるもホットメルト塗工性が悪いことが分かる。
以上から、本発明のジブロック共重合体は、粘着剤成分と配合して用いた場合に、ホットメルト塗工性と保持力、粘着力等の粘着物性との両方に優れた性能を発現することが分かる。
【0051】
【発明の効果】
本発明のジブロック共重合体は、粘着剤組成物、特にホットメルト型粘着剤の成分として用いた場合、粘着剤組成物の溶融粘度を低下させ、基材へのホットメルト塗工性を改良し、かつ、凝集力を保ちつつ、粘着性、粘着力を改良することができるので有用である。また、本発明のジブロック共重合体は、高温で高い流動性を有する液状物質であり、製造時の取扱性・移送時の取扱性などの取扱性に優れる。
また、本発明のジブロック共重合体を含有する粘着剤組成物は、粘着テープ、粘着シートなどの高品質の粘着材を円滑に製造することが可能となり、また、その製造工程における環境への負荷を低減することができる。さらに、本発明のジブロック共重合体は、その構造に由来して耐熱性、耐候性等にも優れるため、これを用いた粘着剤組成物及び粘着材は長期間、高温下や紫外線に晒される環境下での使用に好適である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0004080360
    (式中、Xは、炭素数が1〜4のアルキル基、または環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表し;Yは、炭素数が1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位および/または炭素数が5〜20のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなる重合体ブロックを表す)で示されるジブロック共重合体であって、重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)が1,000〜8,000であり、重合体ブロックXの質量と重合体ブロックYの質量との割合がX/Yの質量比において1/99〜10/90の範囲内であることを特徴とするジブロック共重合体。
  2. 重合体ブロックXが炭素数1〜4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル単位から主としてなり、かつ、重合体ブロックYが炭素数1〜20のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル単位から主としてなることを特徴とする請求項1記載のジブロック共重合体。
  3. 重合体ブロックXの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のジブロック共重合体。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のジブロック共重合体および式A−B−A(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックを表し、Bはアクリル酸アルキルエステル単位からなる重合体ブロックを表す)で表されるトリブロック共重合体を含有する粘着剤組成物。
  5. さらに粘着付与樹脂を含むことを特徴とする請求項に記載の粘着剤組成物。
  6. ホットメルト型粘着剤である請求項4または5に記載の粘着剤組成物。
  7. 請求項のいずれか1項に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着材。
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