JP5863425B2 - 粘着剤 - Google Patents
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Description
また、光学フィルムを貼着後、実際に使用する間、加熱、湿熱状態に曝されても発泡したり、被着体から剥離したりしない、高い耐久性が必要とされる。
さらに、光学フィルムを貼着する際に、皺、気泡、異物などの噛み込みや貼り付け位置のズレなどが生じた場合に、一旦貼着した光学フィルムや保護フィルムを剥がして再び貼着作業をやり直したり、光学フィルムを剥がした後に高価な液晶パネルを回収してリサイクルしたりすることがある。かかる点から、粘着剤に対し、糊残りがなく、適度な剥離強度で剥離でき、再度貼着が可能なリワーク性が必要とされている。
本発明の目的は、前記粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび光学フィルム用保護フィルム、並びに前記粘着型の光学フィルムおよび/または粘着剤の光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置を提供することにある。
[1](i)一般式(I)
A−B (I)
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系ジブロック共重合体、
(ii)一般式(II)
C1−D−C2 (II)
(式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系トリブロック共重合体(II)、および
(iii)メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有し、
アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との合計質量[(I)+(II)]100質量部に対するメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が5〜30質量部である粘着剤;
[2]メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5000〜130,000である[1]の粘着剤;
[3]アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]が70/30〜20/80の範囲である[1]の粘着剤;
[4]アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]が70/30〜41/59の範囲である[3]の粘着剤;
[5]アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックBの含有量が10〜49質量%である[1]の粘着剤;
[6]アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックA、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を主体として形成される硬質相と、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相からなるミクロ相分離構造を有し、硬質相が連続した構造を形成する[1]の粘着剤;
[7]メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を構成するメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルである[1]の粘着剤;
[8][1]〜[7]のいずれかの粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム;
[9][1]〜[7]のいずれかの粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム用保護フィルム;および、
[10][8]の粘着型の光学フィルムおよび/または[9]の粘着型光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置;
である。
本発明の粘着剤は、アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有する。
A−B (I)
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
系ジブロック共重合体(I)の質量に基づいて10〜55質量%であり、10〜49質
量%であることが好ましく、18〜35質量%であることがより好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)との相容性、粘着性能の観点からは、アクリル系ジブロック共重合体(I)のMwは、18,000〜200,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましい。
C1−D−C2 (II)
(式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
なお、これら重合体ブロックの物理的な擬似架橋に基づく本発明の粘着剤の性能をより純粋に発現させるという点からは、上記重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、イソシアネート反応性官能基などの化学架橋に寄与する基を有さないことが好ましい場合もある。
リブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]は70/30〜20/80の範囲であることが好ましく、70/30〜30/70の範囲であることがより好ましく、70/30〜41/59の範囲であることがさらに好ましく、60/40〜45/55であることが特に好ましい。(I)/(II)が前記範囲である場合、得られる粘着剤は初期はリワークできる適度な接着力を有する。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、その構成単位として、メタクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量は、粘着剤に含有されるアクリル系ジブロック共重合体(I)およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の合計質量[(I)+(II)]100質量部に対して5〜30質量部であり、5〜20質量部であることがより好ましい。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が前記範囲にあると、タックを大きく損なうことなく、初期接着力の低下によるリワーク性の向上効果が発現する。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の量が前記範囲未満であると、初期接着力の低下効果が不十分であり、前記範囲を超えるとアクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が悪くなり、透明性が損なわれる。
また、本発明の粘着剤は、柔軟性および濡れ性に優れ、この特性には、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相が寄与している。
なお、本発明では、共連続構造とは、マトリックス相中に球状の相が存在する球構造、マトリックス相中に棒状の相が存在するシリンダー構造、2以上の相が互いに重なりあったラメラ構造以外の構造を指し、典型的にはジャイロド構造、PL(多孔ラメラ)構造などが挙げられる。
また、上述の硬質相および軟質相の個々のドメインは、各重合体ブロックの質量比、体積比率、重合度などに応じて、1種類の重合体ブロックで形成されている場合もあるし、複数種の重合体ブロックで形成されている場合もある。
硬質相が連続していると耐久性が高くなるので好ましい。また、軟質相は、硬質相と共に連続した構造を形成しているミクロ相分離構造でもよいし、硬質相のマトリックス相中に分散していてもよい。
タックが良好であれば、本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムの、貼着時における当該フィルムからの粘着層の剥がれ、打ち抜き処理時のエッジ剥がれといった、加工時の不良発生を防止できる。
また、(4)多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各重合体ブロックを構成するモノマーを重合させて、本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体を含有する混合物を製造する方法を採用してもよい。(4)の方法による場合は、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物から、アクリル系ブロック共重合体を分離回収して本発明の粘着剤の調製に用いる。また、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物からアクリル系ブロック共重合体を分離回収せずに、該混合物をそのまま本発明の粘着剤の調製に用いてもよい。
上記した製法のうちでも、アクリル系ブロック共重合体が高純度で得られ、分子量や組成比の制御が容易であり且つ経済的であることから、上記(2)の方法、すなわち有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が好ましい。
また、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、アクリル系ジブロック共重合体(I)およびアクリル系トリブロック共重合体(II)と同様にして製造することもできる。
本発明では、光学フィルムとは、光学用途一般で用いられる各種フィルムを意味し、例えば、偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、位相差板、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、カラーフィルター、導光板、拡散フィルム、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、複数の光学機能を複合させた機能性複合光学フィルムなどが挙げられる。
また、光学フィルム用保護フィルムとは、前記した種々の光学フィルムの表面を保護するために、当該光学フィルムに貼着されるフィルムである。
これらプラスチック材料は、光学フィルムの機能に応じて使い分けされている。偏光板として用いる場合には、例えば、PVAに二色性色素(主にヨウ素)を吸着配向させたフィルムの両側に、フィルム強度を向上し、湿熱・熱環境下での伸縮を抑制することなどを目的に、保護フィルムの役割を有するTACフィルムを貼り合わせた複層フィルムが一般的に使用される。
位相差機能を付与した偏光板として用いる場合には、例えば、保護フィルムであるTAC上にディスコティック液晶をコーティングした複層フィルム、保護フィルムであるTACの代わりにポリカーボネートまたはシクロオレフィン系樹脂などを延伸して得られる位相差フィルムをPVAフィルムに張り合わせた積層フィルムなどが使用される。
プリズムシートとして用いる場合には、例えば、PETフィルム上に光硬化性アクリル樹脂などでプリズムが形成されたフィルムが使用される。
拡散板として用いる場合には、例えば、MS樹脂またはポリカーボネートなどから製造されたフィルムが使用される。拡散フィルムとして用いる場合には、例えば、PETフィルムまたはポリカーボネートフィルムの上にビーズ層をコーティングしたフィルム、PETフィルムもしくはポリカーボネートフィルムに表面加工を施したフィルム、またはフィルム中に内部拡散剤を含むフィルムなどが使用される。
導光板として用いる場合には、例えば、アクリル樹脂から製造された板(フィルム)の表面に特殊な加工を行い、さらに必要に応じてその板の下側にPETフィルムから作製された反射シートが積層されているフィルムが用いられる。
以下の合成例で合成した各重合体の分子量、分子量分布、組成、各重合体ブロックのガラス転移温度、重合転化率の測定は、以下の方法によって行った。
以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
・装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
・カラム:東ソー社製「TSKgel GMHXL、G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結
・溶離液:テトラヒドロフラン
・溶離流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
1H−NMR分光法により求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
・溶媒:重クロロホルム
・1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppmおよび4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−CH 3 )およびアクリル酸n−ブチル単位のエステル基−O−CH 2 −CH2−CH2−CH3)に帰属され、その積分値の比によって共重合成分の含有量を求めた。
DSC測定で得られた曲線において、外挿開始温度(Tgi)をガラス転移温度(Tg)とした。
・装置:メトラー社製「DSC−822」
・条件:昇温速度10℃/分
ガスクロマトグラフィー(GC)により求めた。
・機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
・カラム:GL Sciences Inc.製「INERT CAP 1」(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
・分析条件:injection300℃、detecter300℃、60℃(0分保持)→5℃/分で昇温→100℃(0分保持)→15℃/分で昇温→300℃(2分保持)
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1400g、1,2−ジメトキシエタン70.0gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム13.3mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム6.67mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液11.6gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル235.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル118.1gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール12.2gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸n−ブチル(PnBA)からなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−1)」と称する]350.0gを得た。
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1016g、1,2−ジメトキシエタン61.2gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム12.7mmolを含有するトルエン溶液19.0gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム5.10mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液6.48gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル201.0gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル163.1gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール7.0gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、PMMA−PnBAからなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−2)」と称する]353.0gを得た。
(2) 上記で得られたアクリル系ジブロック共重合体(I−2)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は67,100、数平均分子量(Mn)は60,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロックA)が54.4質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックB)が45.6質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、PMMAブロックの重量平均分子量(Mw)は32,400、数平均分子量(Mn)は30,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。アクリル系ジブロック共重合体(I−2)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
(1容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン870g、1,2−ジメトキシエタン44.0gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.7mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム5.17mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.99gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル21.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル288.4gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール3.5gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、PMMA−PnBAからなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−3)」と称する]310.0gを得た。
。
(2)アクリル系ジブロック共重合体(I−3)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は67,000、数平均分子量(Mn)は55,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロックA)が6.9質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックB)が93.1質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、PMMAブロックの重量平均分子量(Mw)は4,400、数平均分子量(Mn)は4,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。また、上記で得られたアクリル系ジブロック共重合体(I−3)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1048g、1,2−ジメトキシエタン52.4gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム10.9mmolを含有するトルエン溶液50.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム2.31mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液4.01gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル18.0gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル221.2gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらに、これにメタクリル酸メチル24.5gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.0gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBA−PMMAからなるブロック共重合体[以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(II−1)」と称する]262gを得た。
(2)アクリル系トリブロック共重合体(II−1)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、トリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は155,000、数平均分子量(Mn)は135,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。また、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックC1および重合体ブロックC2の合計)が16.1質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックD)が83.9質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1002g、1,2−ジメトキシエタン50.1gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.2mmolを含有するトルエン溶液40.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム4.05mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.37gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル72.8gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル96.0gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらに、これにメタクリル酸メチル92.7gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.0gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBA−PMMAからなるブロック共重合体[以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(II−2)」と称する]260gを得た。
(2)上記(1)で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−2)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は79,000、数平均分子量(Mn)は71,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。また、各重合体ブロックの含有量は、PMMAブロック(重合体ブロックC1および重合体ブロックC2の合計)が63.3質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックD)が36.7質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−2)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
水にメタクリル酸メチル92質量部、アクリル酸メチル8質量部を加えて攪拌した。この混合液に、AIBNを0.1質量部を加え、懸濁重合した。生成した重合体を精製して、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)を得た。重量平均分子量(Mw)は8,000であった。
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を得た。重量平均分子量(Mw)は35,800であった。
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−3)を得た。重量平均分子量(Mw)は80,900であった。
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を得た。重量平均分子量(Mw)は133,000であった。
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムより、幅25mm長さ200mmの試験片を得、荷重2kgのゴムローラーを用い2往復して市販のソーダ石灰ガラス板をアルカリ洗浄したガラス板のエアー面に貼り付けて、23℃、50%RHで24時間保管した後、JIS Z0237に準拠して300mm/分の剥離速度で180°剥離接着力を測定した。
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムを、25mm(横方向:荷重の向きに対して垂直方向)×10mm(縦方向:荷重の向きと同方向)の試験片を得、該試験片をガラス板に貼り付け、当該試験片に1kgの重りを取り付けて、温度90℃の条件下にて、JIS Z0237に準拠して行い、1000分後の試験片の位置ズレの有無を測定した。
試験片の位置ズレが短いほど、また、試験片が脱落するまでの時間が長いほど、粘着剤が耐久性に優れる。
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムより、200mm(横方向:荷重の向きに対して垂直方向)×250mm(縦方向:荷重の向きと同方向)の試験片を得、23℃で、JIS Z0237ボールタック法に準拠したボールNo.3を使用し、傾斜角5°の斜面を7.5cm通過させ、粘着面を通過する距離を測定した。通過距離が短いほど、タックが良好である。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の走査型プローブ顕微鏡(SPM)と環境制御ユニット(E−sweep)を使用した。
測定モード:DFMモード
使用カンチレバー:SI−DF20(背面Al)
測定エリア:1μm×1μm
走査周波数:1.0Hz
スキャン分割数:X=データ数=512,Y=データ数=256
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−1)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)を、表3に示す割合で混合して、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
(2)上記(1)で得られた粘着剤溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上にバーコーターを使用して塗工した後、60℃で30分間乾燥して、粘着剤層/ポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる粘着型光学フィルムを製造した。粘着型光学フィルムにおける粘着剤層の厚さは、以下の表3に示すとおりであった。また、得られた粘着型光学フィルムの粘着剤層は透明であった。
(3)上記(2)で得られた粘着型の光学フィルムについて、ガラス板への接着力、クリープ試験、タックの評価結果を、表3に示す。
アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)、およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)として、表3に示すものを表3の割合で用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤層/PETフィルムよりなる粘着型の光学フィルムを製造した。
得られたそれぞれの粘着型の光学フィルムについて、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を、表3に示す。
なお、実施例4および実施例5については、得られた粘着型光学フィルムの粘着剤層のミクロ相分離構造の観察を行った。実施例4、5ともに、図1および図2のように硬質相が連続した構造であった。白色部が軟質相、黒色部が硬質相である。
(1)上アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
得られた粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を、表3に示す。
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の配合比を変えたこと以外は比較例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の配合比を変えたこと以外は比較例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板へのの接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
なお、粘着型光学フィルムの粘着剤層のミクロ相分離構造の観察結果を、図3に示す。白色部が軟質相、黒色部が硬質相である。
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−2)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤組成物の溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
(2)上記(1)で得られた粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
アクリル系ジブロック共重合体(I−3)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−3)、アクリル系トリブロック共重合体(II−2)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
一方、比較例2に示すように、本願の重量平均分子量の要件を満たさないメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を使用した場合、相容性が低く、粘着剤溶液とした場合に外観が濁り、静置すると二層に分離する不具合が生じて、粘着剤の均一な塗工ができなかった。同様に、本発明で規定する範囲内の量で含有しないアクリル系ジブロック共重合体(I−3)を含有する比較例7および比較例8も、粘着剤溶液は濁り、二層に分離した。
Claims (10)
- (i)一般式(I)
A−B (I)
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系ジブロック共重合体(I)、
(ii)一般式(II)
C1−D−C2 (II)
(式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系トリブロック共重合体(II)、
(iii)メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有し、
アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との合計質量[(I)+(II)]100質量部に対するメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が5〜30質量部である粘着剤であって、
前記メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5,000〜130,000である粘着剤。 - メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5,000〜90,000である、請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)の質量比[(I)/(II)]が70/30〜20/80の範囲である請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)の質量比[(I)/(II)]が70/30〜41/59の範囲である請求項3に記載の粘着剤。
- アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックBの含有量が10〜49質量%である、請求項1に記載の粘着剤。
- アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックA、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を主体として形成される硬質相と、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相からなるミクロ相分離構造を有し、硬質相が連続した構造を形成することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
- メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を構成するメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルである請求項1に記載の粘着剤。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム用保護フィルム。
- 請求項8に記載の粘着型の光学フィルムおよび/または請求項9に記載の粘着型の光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置。
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