JP5863425B2 - 粘着剤 - Google Patents

粘着剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5863425B2
JP5863425B2 JP2011264195A JP2011264195A JP5863425B2 JP 5863425 B2 JP5863425 B2 JP 5863425B2 JP 2011264195 A JP2011264195 A JP 2011264195A JP 2011264195 A JP2011264195 A JP 2011264195A JP 5863425 B2 JP5863425 B2 JP 5863425B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acrylic
pressure
sensitive adhesive
polymer block
adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011264195A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013116953A (ja
Inventor
英明 金村
英明 金村
森下 義弘
義弘 森下
晋弥 大下
晋弥 大下
雅彦 川岬
雅彦 川岬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP2011264195A priority Critical patent/JP5863425B2/ja
Publication of JP2013116953A publication Critical patent/JP2013116953A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5863425B2 publication Critical patent/JP5863425B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、粘着剤に関する。詳細には、本発明は、特定のアクリル系ジブロック共重合体、特定のアクリル系トリブロック共重合体、およびメタクリル酸アルキルエステル重合体を含有し、特に光学フィルムを液晶パネルなどの被着体に貼着したり、光学フィルムに保護フィルムを貼着するのに好適に用いられる粘着剤に関する。
偏光板、位相差フィルムなどの光学フィルムを液晶パネルなどの被着体に貼着、また複数の光学フィルムを貼着して積層したり、保護フィルムを光学フィルムに貼着するための粘着剤は、光学フィルムの機能を損なわないために、高い透明性、光学的等方性(複屈折がないこと)が必要とされる。
また、光学フィルムを貼着後、実際に使用する間、加熱、湿熱状態に曝されても発泡したり、被着体から剥離したりしない、高い耐久性が必要とされる。
さらに、光学フィルムを貼着する際に、皺、気泡、異物などの噛み込みや貼り付け位置のズレなどが生じた場合に、一旦貼着した光学フィルムや保護フィルムを剥がして再び貼着作業をやり直したり、光学フィルムを剥がした後に高価な液晶パネルを回収してリサイクルしたりすることがある。かかる点から、粘着剤に対し、糊残りがなく、適度な剥離強度で剥離でき、再度貼着が可能なリワーク性が必要とされている。
アクリル系ブロック共重合体を含む粘着剤層、光学フィルム層、基材層からなる部材等が開示され(特許文献1を参照)、基材がポリカーボネートやポリメチルメタクリレートなどのガス放出基材である場合に、粘着剤層における層間剥離および泡立ちの抑制効果について検討されている。しかしながら、光学フィルム用粘着剤に必要なリワーク性についての具体的な記載はない。
本発明者の一部は、特定のアクリル系トリブロック共重合体を主成分とする光学フィルム用粘着剤を先に出願した(特許文献2参照)。本発明者らの開発したこの非化学架橋型の光学フィルム用粘着剤は、架橋ムラによる粘着性能のバラツキがなく良好な凝集力を示し、リワーク性、粘着特性、耐熱性、耐久性などに優れる。しかし、凝集力を維持しながら、リワーク性と粘着特性(タックなど)を両立する観点からは、なお改善の余地があった。
特表2008−508394号公報 国際公開2008/065982 特開平6−93060号公報 特公平7−25859号公報 特開平11−335432号公報
「Macromol. Chem. Phys.」,2000年,201巻,p.1108〜1114
しかして、本発明の目的は、透明性、耐熱性、耐候性、耐ブリード性などに優れ、優れた凝集力を維持しながら、リワーク性、タックなどの粘着特性に優れる粘着剤を提供することにある。
本発明の目的は、前記粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび光学フィルム用保護フィルム、並びに前記粘着型の光学フィルムおよび/または粘着剤の光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置を提供することにある。
本発明によれば、上記の目的は、
[1](i)一般式(I)
A−B (I)
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系ジブロック共重合体、
(ii)一般式(II)
C1−D−C2 (II)
(式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系トリブロック共重合体(II)、および
(iii)メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有し、
アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との合計質量[(I)+(II)]100質量部に対するメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が5〜30質量部である粘着剤;
[2]メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5000〜130,000である[1]の粘着剤;
[3]アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]が70/30〜20/80の範囲である[1]の粘着剤;
[4]アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]が70/30〜41/59の範囲である[3]の粘着剤;
[5]アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックBの含有量が10〜49質量%である[1]の粘着剤;
[6]アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックA、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を主体として形成される硬質相と、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相からなるミクロ相分離構造を有し、硬質相が連続した構造を形成する[1]の粘着剤;
[7]メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を構成するメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルである[1]の粘着剤;
[8][1]〜[7]のいずれかの粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム;
[9][1]〜[7]のいずれかの粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム用保護フィルム;および、
[10][8]の粘着型の光学フィルムおよび/または[9]の粘着型光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置;
である。
本発明により、透明性、耐熱性、耐候性および耐ブリード性などに優れ、優れた凝集力を維持しながら、リワーク性、タックなどの粘着特性に優れた粘着剤が得られる。
実施例4の粘着剤層を走査プローブ顕微鏡で観察して得られたミクロ相分離構造状態を示す図である。 実施例5の粘着剤層を走査プローブ顕微鏡で観察して得られたミクロ相分離構造状態を示す図である。 比較例4の粘着剤層を走査プローブ顕微鏡で観察して得られたミクロ相分離構造状態を示す図である。
以下本発明について詳細に説明する。
本発明の粘着剤は、アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有する。
本発明で使用するアクリル系ジブロック共重合体(I)は、一般式(I);
A−B (I)
(式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
重合体ブロックAのガラス転移温度は90℃以上が好ましく、100℃〜200℃であることがより好ましく、100℃〜150℃であることがさらに好ましい。なお、本明細書におけるガラス転移温度とは、後述する実施例の方法で測定して得られる値であり、以下の説明でも同様である。
重合体ブロックAは、メタクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。中でも、経済性、入手容易性、得られる重合体ブロックAが耐久性と耐候性に優れる点などから、メタクリル酸メチルが好ましい。重合体ブロックAは、これらメタクリル酸アルキルエステル1種類を重合したものでも、または2種類以上を重合したものでもよい。
重合体ブロックBのガラス転移温度は−20℃以下が好ましい。上記重合体ブロックBは、アクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、およびアクリル酸ステアリルなどが挙げられる。中でも、重合体ブロックBのガラス転移温度が−20℃以下となって、本発明の粘着剤の低温での接着力およびタックが良好となり、また高速剥離時の接着力上昇およびジッピング現象を抑制できる点などから、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチルが好ましく、経済性、容易入手性の観点から、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが特に好ましい。重合体ブロックBは、アクリル酸アルキルエステル1種類のみから重合されたものでも、2種類以上から重合したものでもよい。
アクリル系ジブロック共重合体(I)を構成する重合体ブロックAおよび重合体ブロックBには、本発明の効果を損なわない範囲の少ない割合(例えば、重合体ブロック中10質量%以下)であれば、他のモノマー単位が含まれてもよい。他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン化合物などが挙げられる。
アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックBの含有量は、アクリル
系ジブロック共重合体(I)の質量に基づいて10〜55質量%であり、10〜49質
量%であることが好ましく、18〜35質量%であることがより好ましい。
アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックBの含有量が前記範囲内であると、後述するアクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が高くなり、また、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)とも相容性が良好となり、特に光学フィルム用の粘着剤に必要な透明性が得られる。アクリル系ジブロック共重合体(I)における重合体ブロックBの含有量が前記範囲より少ないと、アクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が低くなり、透明性に劣る。一方前記範囲を超えると凝集力が小さくなって耐久性に劣り、また、アクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が低くなり、光学フィルム用粘着剤に必要な透明性に劣る。
アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックAの含有量は、アクリル系ジブロック共重合体(I)の質量に基づいて、90〜45質量%であり、90〜51質量%であることが好ましく、82〜65質量%であることがより好ましい。
アクリル系ジブロック共重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は9,000〜300,000であることが好ましい。アクリル系ジブロック共重合体(I)のMwが9,000未満であると得られる粘着剤組成物の凝集力が不十分となり、得られる粘着剤による光学フィルムと被着体との貼着の際に、剥がれ易くなり、耐久性に劣るようになる。一方、アクリル系ジブロック共重合体(I)のMwが300,000を超えると、アクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が低くなり、得られる粘着剤から溶液型粘着剤を作製した場合に二層に分離して均一に塗工できなかったり、均一に塗工できたとしても乾燥過程において分離して透明性が得られなかったりする。
アクリル系トリブロック共重合体(II)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)との相容性、粘着性能の観点からは、アクリル系ジブロック共重合体(I)のMwは、18,000〜200,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましい。
アクリル系ジブロック共重合体(I)の分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜1.5である。アクリル系ジブロック共重合体(I)のMw/Mnが1.5を超えると低分子量成分の影響が無視できなくなり、凝集力の低下やリワーク時の糊残りなどの不具合が生じる。得られる粘着剤の凝集力を向上し、糊残り、低分子量成分の付着などの被着体汚染性を低減する観点からは、アクリル系ジブロック共重合体(I)のMw/Mnは1.0〜1.4であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましく、1.0〜1.2であることがさらに好ましい。
本発明で使用するアクリル系トリブロック共重合体(II)は、一般式(II)
C1−D−C2 (II)
(式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜1.5である。
重合体ブロックC1および重合体ブロックC2のガラス転移温度が90℃以上であると、得られる粘着剤の通常の使用温度では、形成されるミクロ相分離構造において、拘束相(物理的な擬似架橋点)として作用し、本発明の粘着剤に凝集力が発現され、粘着特性および耐久性に優れる。耐久性、耐熱性、基材変形への追従性、および適度な応力緩和性などの観点などから、重合体ブロックC1および重合体ブロックC2のガラス転移温度は、それぞれ、90〜200℃が好ましく、100〜150℃がより好ましい。
重合体ブロックC1および重合体ブロックC2はメタクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、およびメタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。中でも、経済性、入手容易性、得られる重合体ブロックC1および重合体ブロックC2が耐久性と耐候性に優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、これらメタクリル酸アルキルエステル1種類のみから重合されたものでも、2種類以上を重合したものでもよい。
重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、重量平均分子量、各重合体ブロックを形成するメタクリル酸アルキルエステルの組成などが同一でも、異なっていてもよい。
なお、これら重合体ブロックの物理的な擬似架橋に基づく本発明の粘着剤の性能をより純粋に発現させるという点からは、上記重合体ブロックC1および重合体ブロックC2は、イソシアネート反応性官能基などの化学架橋に寄与する基を有さないことが好ましい場合もある。
アクリル系トリブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロックDは、ガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体よりなる。重合体ブロックのガラス転移温度が−20℃以下であると、得られる粘着剤の低温での接着力およびタックが良好となり、しかも高速剥離時の接着力上昇およびジッピング現象を抑制できる。
重合体ブロックDはアクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、およびアクリル酸ステアリルなどが挙げられる。中でも、得られる粘着剤の低温での接着力およびタックが良好となり、しかも高速剥離時の接着力上昇およびジッピング現象を抑制できる点から、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸n−オクチルが好ましく、経済性、入手容易性、凝集力が高く且つ耐久性に優れた粘着剤が得られる観点から、アクリル酸n−ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。重合体ブロックDは、アクリル酸アルキルエステル1種類を重合したものでも、または2種類以上を重合したものでもよい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)を構成する重合体ブロックC1、重合体ブロックC2および重合体ブロックDには、本発明の効果を損なわない範囲の少ない割合(例えば、重合体ブロック中10質量%以下)であれば、他のモノマー単位が含まれてもよい。他のモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン化合物などが挙げられる。
アクリル系トリブロック共重合体(II)中の重合体ブロックDの含有量は、アクリル系トリブロック共重合体(II)の質量に基づいて、82〜95質量%であり、82〜90質量%であることが好ましく、82〜87質量%であることがより好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDの含有量が前記範囲にあると、初期はリワークできる適度な接着力を有しつつ、長期には接着力の上昇に伴って耐久性が高まる特性を本発明の粘着剤に付与することができる。重合体ブロックDの含有量が前記範囲未満であると、得られる粘着剤の接着力やタックが低下し、一方、前記範囲を超えると耐久性が低下する。
アクリル系トリブロック共重合体(II)中の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2の合計含有量は、アクリル系トリブロック共重合体(II)の質量に基づいて、18〜5質量%であり、18〜10質量%であることが好ましく、18〜13質量%であることがより好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜300,000であることが好ましい。Mwが50,000よりも小さいと、粘着剤の凝集力が不十分となり、粘着剤による光学フィルムと被着体との貼着の際に剥がれ易くなり、耐久性に劣る傾向にある。一方、Mwが300,000よりも大きいと、得られる粘着剤を溶液型粘着剤としたときの溶液粘度が高くなって高濃度での塗工ができなくなり、溶剤使用量が多くなる傾向にある。
耐久性およびリワーク性を両立する観点からは、アクリル系トリブロック共重合体(II)のMwは、70,000〜250,000であることがより好ましく、90,000〜220,000であることがさらに好ましい。
アクリル系トリブロック共重合体(II)の分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜1.5である。Mw/Mnが1.5よりも大きいと低分子量成分の影響が無視できなくなり、凝集力の低下やリワーク時の糊残りなどの不具合が生じる。得られる粘着剤の高温での凝集力を向上し、耐久性により優れたものとする観点から、Mw/Mnは1.0〜1.4であることが好ましく、1.0〜1.3であることがより好ましく、1.0〜1.2であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、以下の実施例に記載した方法で求めた値である。
本発明の粘着剤に含まれるアクリル系トリブロック共重合体(II)は、1種単独でも、2種以上の混合物でもよい。
本発明の粘着剤において、アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系ト
リブロック共重合体(II)との質量比[(I)/(II)]は70/30〜20/80の範囲であることが好ましく、70/30〜30/70の範囲であることがより好ましく、70/30〜41/59の範囲であることがさらに好ましく、60/40〜45/55であることが特に好ましい。(I)/(II)が前記範囲である場合、得られる粘着剤は初期はリワークできる適度な接着力を有する。
アクリル系ジブロック共重合体(I)の含有量が上記質量比の範囲よりも多いと、粘着剤の凝集力が低下して、耐久性が低下する。一方、上記範囲よりもアクリル系ジブロック共重合体(I)の含有量が少ない場合には、初期接着力が高く、リワーク性に劣る。
本発明で使用するメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、メタクリル酸アルキルエステルを重合することにより得られる。メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。中でも、経済性、入手容易性、得られる粘着剤が耐久性および耐候性に優れる点から、メタクリル酸メチルが好ましい。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、これらメタクリル酸アルキルエステル1種類のみを重合しても、2種類以上を併用して重合してもよい。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、その構成単位として、メタクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがより好ましい。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を構成する単量体として、本発明の効果を損なわない範囲の少ない割合(例えば、重合体中好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下)であれば、メタクリル酸アルキルエステル以外の他のモノマー単位が含まれてもよい。上記他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、およびアクリル酸ステアリルなどのアクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン化合物;アクリル酸;メタクリル酸などが挙げられる。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の重量平均分子量(Mw)は、5,000〜130,000であることが好ましく、得られる粘着剤の耐久性、タック、相容性の観点から、5,000〜90,000であることがより好ましい。
本発明の粘着剤は、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有することによって、透明性、保持力、タックを損なうことなく、初期接着力を低減でき、リワーク性を向上できる。
メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量は、粘着剤に含有されるアクリル系ジブロック共重合体(I)およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の合計質量[(I)+(II)]100質量部に対して5〜30質量部であり、5〜20質量部であることがより好ましい。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が前記範囲にあると、タックを大きく損なうことなく、初期接着力の低下によるリワーク性の向上効果が発現する。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の量が前記範囲未満であると、初期接着力の低下効果が不十分であり、前記範囲を超えるとアクリル系トリブロック共重合体(II)との相容性が悪くなり、透明性が損なわれる。
アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックA、アクリル系トリブロック共重合体(II)中の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の合計質量(P)と、アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックBおよびアクリル系トリブロック共重合体(II)中の重合体ブロックDの合計質量(Q)の比(以下(P)/(Q))が、33/67〜48/52であることが好ましく、38/62〜43/57であることがより好ましい。(P)/(Q)が上記範囲内にあると、タックを大きく損なうことなく、初期接着力を低減できる。(P)の質量が上記範囲よりも少ない場合、初期接着力が高く、リワーク性が悪くなる傾向にある。一方、(P)の質量比が上記範囲よりも多い場合、タックが損なわれることがある。また、(P)/(Q)が一定の場合、メタクリル酸アルキルエステル重合体がの含有量が多いと、タックを維持したまま、初期接着力を低減でき、リワーク性を向上できる。
本発明の粘着剤は、物理的な擬似架橋が形成されるため凝集力が発現されて、粘着特性および耐久性に優れる。この物理的な擬似架橋は、アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)、およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)によって形成されるミクロ相分離構造に由来し、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックA、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を主体として形成される硬質相が物理的な擬似架橋を形成する。
また、本発明の粘着剤は、柔軟性および濡れ性に優れ、この特性には、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相が寄与している。
上述のミクロ相分離構造は、通常、各重合体ブロックの質量比、体積比率、重合度などに応じて、球構造、シリンダー構造、共連続構造、ラメラ構造を形成する。
なお、本発明では、共連続構造とは、マトリックス相中に球状の相が存在する球構造、マトリックス相中に棒状の相が存在するシリンダー構造、2以上の相が互いに重なりあったラメラ構造以外の構造を指し、典型的にはジャイロド構造、PL(多孔ラメラ)構造などが挙げられる。
また、上述の硬質相および軟質相の個々のドメインは、各重合体ブロックの質量比、体積比率、重合度などに応じて、1種類の重合体ブロックで形成されている場合もあるし、複数種の重合体ブロックで形成されている場合もある。
硬質相が連続していると耐久性が高くなるので好ましい。また、軟質相は、硬質相と共に連続した構造を形成しているミクロ相分離構造でもよいし、硬質相のマトリックス相中に分散していてもよい。
硬質相と軟質相とが、共に連続した構造を形成しているミクロ相分離構造とは、例えば、軟質相からなるマトリックス相中に長く連続した棒状の硬質相(例えば棒状の相の長さが500nm以上、より好ましくは1μm以上)が存在するシリンダー構造、軟質相の含量が多い共連続構造、ラメラ構造、硬質相の含量が多い共連続構造、硬質重合体からなるマトリックス相中に長く連続した棒状の軟質相(例えば棒状の相の長さが500nm以上、より好ましくは1μm以上)が存在するシリンダー構造が挙げられる。
本発明の粘着剤は、凝集力を維持しながら、リワーク性とタックを両立できることを特徴とする。タックとは、粘着剤の主要性質の一つで、軽い力で短時間に被着体に粘着する力であり、評価方法として、JIS Z0237 には、傾斜式ボールタックが採用されている。また、JIS Z0237の規定に関連する事項を補足するものとして、ローリングボールタック試験とプローブタック試験、が採用されている。
タックが良好であれば、本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムの、貼着時における当該フィルムからの粘着層の剥がれ、打ち抜き処理時のエッジ剥がれといった、加工時の不良発生を防止できる。
本発明で用いるアクリル系ジブロック共重合体(I)およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の製法は特に限定されず、既知の方法に準じた製法を採用して製造できる。例えば、各重合体ブロックを構成するモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。かかるリビング重合法としては、例えば、(1)有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩の存在下でアニオン重合する方法(特許文献4等を参照)、(2)有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特許文献5等を参照)、(3)有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法(特許文献3等を参照)、α−ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法(非特許文献1参照)などを挙げることができる。
また、(4)多価ラジカル重合開始剤や多価ラジカル連鎖移動剤を用いて、各重合体ブロックを構成するモノマーを重合させて、本発明で用いるアクリル系ブロック共重合体を含有する混合物を製造する方法を採用してもよい。(4)の方法による場合は、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物から、アクリル系ブロック共重合体を分離回収して本発明の粘着剤の調製に用いる。また、アクリル系ブロック共重合体を含有する前記混合物からアクリル系ブロック共重合体を分離回収せずに、該混合物をそのまま本発明の粘着剤の調製に用いてもよい。
上記した製法のうちでも、アクリル系ブロック共重合体が高純度で得られ、分子量や組成比の制御が容易であり且つ経済的であることから、上記(2)の方法、すなわち有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法が好ましい。
本発明で用いるメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の製法は、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、塊状重合等の公知の方法により得られ、2種以上の異なる組成のものや異なる製造方法で得られたものを混合して用いてもよい。重合時に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスγ−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド、パーオキシネオデカノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物が挙げられる。重合開始剤は、全単量体100質量部に対して、通常、0.05〜0.5質量部用いられる。重合は、通常50〜140℃の温度で、通常2〜20時間行う。メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用できる。連鎖移動剤としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコエート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノール等が挙げられる。連鎖移動剤は、全単量体に対し通常0.005〜0.5質量%の範囲で使用される。
また、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)は、アクリル系ジブロック共重合体(I)およびアクリル系トリブロック共重合体(II)と同様にして製造することもできる。
本発明の粘着剤は、必要に応じて、上記以外の成分、例えば、耐候性、耐熱性、耐酸化性をさらに向上させるための酸化防止剤や紫外線吸収剤;滑剤;染料、顔料などの着色剤;造核剤、結晶促進剤などの結晶化剤;加工助剤;可塑剤;ハロゲン系、リン系、金属酸化物、フッ化樹脂などの難燃剤などを含有してもよい。また、本発明の粘着剤は、該粘着剤からなる粘着剤層に所望の機能を付与するための配合剤として、光拡散剤;近赤外線吸収剤;着色剤;重金属不活性剤;帯電防止剤;光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムと粘着剤の界面接着力を高める効果がある、イソシアネート化合物(例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートL、コロネートHX、コロネート2030、コロネート2233、コロネート2700);粘着付与樹脂;シランカップリング剤などの添加剤の1種または2種以上を含有してもよい。
本発明の、粘着型光学フィルムまたは粘着型の光学フィルム保護用フィルムは、光学フィルムまたは保護フィルムの片面または両面の一部または全部に、本発明の粘着剤からなる少なくとも一層の粘着層を形成することによって製造できる。
本発明では、光学フィルムとは、光学用途一般で用いられる各種フィルムを意味し、例えば、偏光フィルム、偏光板、位相差フィルム、位相差板、視野角拡大フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、アンチグレアフィルム、カラーフィルター、導光板、拡散フィルム、プリズムシート、電磁波シールドフィルム、近赤外線吸収フィルム、複数の光学機能を複合させた機能性複合光学フィルムなどが挙げられる。
また、光学フィルム用保護フィルムとは、前記した種々の光学フィルムの表面を保護するために、当該光学フィルムに貼着されるフィルムである。
本発明の粘着型の光学フィルムまたは粘着型の光学フィルム用保護フィルムは、例えば、(i)上記した光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムに、本発明の粘着剤を溶液型粘着剤として塗工する方法、(ii)予め離型処理したポリエチレンテレフタレ−トフィルムなどの離型フィルムに、本発明の粘着剤を溶液型粘着剤として塗工して粘着剤層を形成し、次いで光学フィルムや光学フィルム用保護フィルムに重ね合わせて、該粘着剤層を光学フィルムまたは光学フィルム用保護フィルムに転写する方法などによって製造できる。
光学フィルムは一般にプラスチック材料から製造されており、このようなプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート、シクロオレフィン系樹脂、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂(MS樹脂)、アクリル樹脂、および紫外線硬化性アクリル樹脂などが挙げられる。
これらプラスチック材料は、光学フィルムの機能に応じて使い分けされている。偏光板として用いる場合には、例えば、PVAに二色性色素(主にヨウ素)を吸着配向させたフィルムの両側に、フィルム強度を向上し、湿熱・熱環境下での伸縮を抑制することなどを目的に、保護フィルムの役割を有するTACフィルムを貼り合わせた複層フィルムが一般的に使用される。
位相差機能を付与した偏光板として用いる場合には、例えば、保護フィルムであるTAC上にディスコティック液晶をコーティングした複層フィルム、保護フィルムであるTACの代わりにポリカーボネートまたはシクロオレフィン系樹脂などを延伸して得られる位相差フィルムをPVAフィルムに張り合わせた積層フィルムなどが使用される。
プリズムシートとして用いる場合には、例えば、PETフィルム上に光硬化性アクリル樹脂などでプリズムが形成されたフィルムが使用される。
拡散板として用いる場合には、例えば、MS樹脂またはポリカーボネートなどから製造されたフィルムが使用される。拡散フィルムとして用いる場合には、例えば、PETフィルムまたはポリカーボネートフィルムの上にビーズ層をコーティングしたフィルム、PETフィルムもしくはポリカーボネートフィルムに表面加工を施したフィルム、またはフィルム中に内部拡散剤を含むフィルムなどが使用される。
導光板として用いる場合には、例えば、アクリル樹脂から製造された板(フィルム)の表面に特殊な加工を行い、さらに必要に応じてその板の下側にPETフィルムから作製された反射シートが積層されているフィルムが用いられる。
また、光学フィルム用保護フィルムに用いられるプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)などのポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。これらプラスチック材料からなるフィルムは、単層でも、複層でもよい。
本発明の粘着剤からなる粘着剤層を有する、粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムは、液晶表示装置、PDP、有機EL表示装置、電子ペーパーなどの各種画像表示装置に好適に用いられる。
本発明の粘着剤を用いた、粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムは、架橋型アクリル粘着剤を使用する際に必要であったアニールや養生の処置を行うことなく、液晶パネルやその他の被着体に貼付け可能な製品としてそのまま出荷することができ、生産性に優れる。
以下、実施例などにより本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
以下の合成例においては、常法により乾燥精製した薬品を用いた。
以下の合成例で合成した各重合体の分子量、分子量分布、組成、各重合体ブロックのガラス転移温度、重合転化率の測定は、以下の方法によって行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
・装置:東ソー社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
・カラム:東ソー社製「TSKgel GMHXL、G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結
・溶離液:テトラヒドロフラン
・溶離流量:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・検出方法:示差屈折率(RI)
・検量線:標準ポリスチレンを用いて作成
(2)各共重合体における各共重合成分含有量
1H−NMR分光法により求めた。
・装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置(JNM−LA400)
・溶媒:重クロロホルム
1H−NMRスペクトルにおいて、3.6ppmおよび4.0ppm付近のシグナルは、それぞれ、メタクリル酸メチル単位のエステル基(−O−C 3 )およびアクリル酸n−ブチル単位のエステル基−O−C 2 −CH2−CH2−CH3)に帰属され、その積分値の比によって共重合成分の含有量を求めた。
(4)ガラス転移温度(Tg)
DSC測定で得られた曲線において、外挿開始温度(Tgi)をガラス転移温度(Tg)とした。
・装置:メトラー社製「DSC−822」
・条件:昇温速度10℃/分
(5)重合転化率
ガスクロマトグラフィー(GC)により求めた。
・機器:島津製作所製ガスクロマトグラフ GC−14A
・カラム:GL Sciences Inc.製「INERT CAP 1」(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m)
・分析条件:injection300℃、detecter300℃、60℃(0分保持)→5℃/分で昇温→100℃(0分保持)→15℃/分で昇温→300℃(2分保持)
《合成例1》[アクリル系ジブロック共重合体(I−1)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1400g、1,2−ジメトキシエタン70.0gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム13.3mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム6.67mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液11.6gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル235.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル118.1gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール12.2gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)−ポリアクリル酸n−ブチル(PnBA)からなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−1)」と称する]350.0gを得た。
(2)アクリル系ジブロック共重合体(I−1)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は64,200、数平均分子量(Mn)は59,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロックA)が67.7質量%、PnBAブロック(重合体ブロックB)が32.3質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、PMMAブロックの重量平均分子量(Mw)は40,000、数平均分子量(Mn)は37,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であった。アクリル系ジブロック共重合体(I−1)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例2》[アクリル系ジブロック共重合体(I−2)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1016g、1,2−ジメトキシエタン61.2gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム12.7mmolを含有するトルエン溶液19.0gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム5.10mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液6.48gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル201.0gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル163.1gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール7.0gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、PMMA−PnBAからなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−2)」と称する]353.0gを得た。
(2) 上記で得られたアクリル系ジブロック共重合体(I−2)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は67,100、数平均分子量(Mn)は60,300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロックA)が54.4質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックB)が45.6質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、PMMAブロックの重量平均分子量(Mw)は32,400、数平均分子量(Mn)は30,100であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。アクリル系ジブロック共重合体(I−2)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例3》[アクリル系ジブロック共重合体(I−3)の合成]
(1容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン870g、1,2−ジメトキシエタン44.0gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.7mmolを含有するトルエン溶液30.9gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム5.17mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.99gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル21.7gを加えた。反応混合液は当初、黄色に着色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このとき、メタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。引き続き、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル288.4gを2時間かけて滴下し、滴下終了後−30℃にて5分間攪拌した後、メタノール3.5gを添加して重合反応を停止した。このとき、アクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、油状沈澱物を析出させた。油状沈殿物を回収し、乾燥して、PMMA−PnBAからなるジブロック共重合体[以下、これを「アクリル系ジブロック共重合体(I−3)」と称する]310.0gを得た。

(2)アクリル系ジブロック共重合体(I−3)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は67,000、数平均分子量(Mn)は55,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.21であった。また、各重合体ブロックの含有割合は、PMMAブロック(重合体ブロックA)が6.9質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックB)が93.1質量%であった。また、メタクリル酸メチルの重合が完了した時点でサンプリングした反応混合液のGPC測定を行った結果、PMMAブロックの重量平均分子量(Mw)は4,400、数平均分子量(Mn)は4,200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であった。また、上記で得られたアクリル系ジブロック共重合体(I−3)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例4》[アクリル系トリブロック共重合体(II−1)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1048g、1,2−ジメトキシエタン52.4gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム10.9mmolを含有するトルエン溶液50.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム2.31mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液4.01gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル18.0gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル221.2gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらに、これにメタクリル酸メチル24.5gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.0gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBA−PMMAからなるブロック共重合体[以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(II−1)」と称する]262gを得た。
(2)アクリル系トリブロック共重合体(II−1)について1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、トリブロック共重合体であり、重量平均分子量(Mw)は155,000、数平均分子量(Mn)は135,600であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.14であった。また、各重合体ブロックの含有量は、メタクリル酸メチル重合体ブロック(重合体ブロックC1および重合体ブロックC2の合計)が16.1質量%で、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック(重合体ブロックD)が83.9質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例5》[アクリル系トリブロック共重合体(II−2)の合成]
(1)容量2Lの三口フラスコの内部を窒素置換後、室温にてトルエン1002g、1,2−ジメトキシエタン50.1gを加え、続いてイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム20.2mmolを含有するトルエン溶液40.0gを加え、さらにsec−ブチルリチウム4.05mmolを含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液2.37gを加えた。次に、これにメタクリル酸メチル72.8gを加えた。反応混合液は当初、黄色に呈色していたが、室温にて60分間攪拌後には無色となった。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。次いで、反応混合液を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル96.0gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、−30℃にて5分間攪拌した。このときのアクリル酸n−ブチルの重合転化率は99.9%以上であった。この反応混合液に、さらに、これにメタクリル酸メチル92.7gを加え、一晩室温にて攪拌後、メタノール13.0gを添加して重合反応を停止した。このときのメタクリル酸メチルの重合転化率は99.9%以上であった。得られた反応液を15kgのメタノール中に注ぎ、白色沈澱物を析出させた。濾過により白色沈殿物を回収し、乾燥することで、PMMA−PnBA−PMMAからなるブロック共重合体[以下、これを「アクリル系トリブロック共重合体(II−2)」と称する]260gを得た。
(2)上記(1)で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−2)について、1H−NMR測定とGPC測定を行った結果、重量平均分子量(Mw)は79,000、数平均分子量(Mn)は71,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であった。また、各重合体ブロックの含有量は、PMMAブロック(重合体ブロックC1および重合体ブロックC2の合計)が63.3質量%で、PnBAブロック(重合体ブロックD)が36.7質量%であった。また、上記で得られたアクリル系トリブロック共重合体(II−2)の各重合体ブロックのガラス転移温度を表1に示す。
《合成例6》メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)の合成
水にメタクリル酸メチル92質量部、アクリル酸メチル8質量部を加えて攪拌した。この混合液に、AIBNを0.1質量部を加え、懸濁重合した。生成した重合体を精製して、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)を得た。重量平均分子量(Mw)は8,000であった。
《合成例7》メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)の合成
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を得た。重量平均分子量(Mw)は35,800であった。
《合成例8》メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−3)の合成
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−3)を得た。重量平均分子量(Mw)は80,900であった。
《合成例9》メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)の合成
モノマーの量比と開始剤の量を変えた以外は合成例6と同様の方法で重合し、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を得た。重量平均分子量(Mw)は133,000であった。
上記の合成例1〜9で合成したアクリル系ジブロック共重合体(I−1)〜(I−3)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)〜(II−2)、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)〜(III−4)の内容を下記の表1、2にまとめて示す。
以下に実施例および比較例を記載する。
[接着力]
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムより、幅25mm長さ200mmの試験片を得、荷重2kgのゴムローラーを用い2往復して市販のソーダ石灰ガラス板をアルカリ洗浄したガラス板のエアー面に貼り付けて、23℃、50%RHで24時間保管した後、JIS Z0237に準拠して300mm/分の剥離速度で180°剥離接着力を測定した。
[クリープ試験(保持力試験)]
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムを、25mm(横方向:荷重の向きに対して垂直方向)×10mm(縦方向:荷重の向きと同方向)の試験片を得、該試験片をガラス板に貼り付け、当該試験片に1kgの重りを取り付けて、温度90℃の条件下にて、JIS Z0237に準拠して行い、1000分後の試験片の位置ズレの有無を測定した。
試験片の位置ズレが短いほど、また、試験片が脱落するまでの時間が長いほど、粘着剤が耐久性に優れる。
[タック試験]
以下の実施例または比較例で作製した粘着型の光学フィルムより、200mm(横方向:荷重の向きに対して垂直方向)×250mm(縦方向:荷重の向きと同方向)の試験片を得、23℃で、JIS Z0237ボールタック法に準拠したボールNo.3を使用し、傾斜角5°の斜面を7.5cm通過させ、粘着面を通過する距離を測定した。通過距離が短いほど、タックが良好である。
[粘着剤層のミクロ相分離構造の観察]
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製の走査型プローブ顕微鏡(SPM)と環境制御ユニット(E−sweep)を使用した。
測定モード:DFMモード
使用カンチレバー:SI−DF20(背面Al)
測定エリア:1μm×1μm
走査周波数:1.0Hz
スキャン分割数:X=データ数=512,Y=データ数=256
《実施例1》
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−1)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−1)を、表3に示す割合で混合して、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
(2)上記(1)で得られた粘着剤溶液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ50μm)上にバーコーターを使用して塗工した後、60℃で30分間乾燥して、粘着剤層/ポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる粘着型光学フィルムを製造した。粘着型光学フィルムにおける粘着剤層の厚さは、以下の表3に示すとおりであった。また、得られた粘着型光学フィルムの粘着剤層は透明であった。
(3)上記(2)で得られた粘着型の光学フィルムについて、ガラス板への接着力、クリープ試験、タックの評価結果を、表3に示す。
《実施例2〜7》
アクリル系ジブロック共重合体(I)、アクリル系トリブロック共重合体(II)、およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)として、表3に示すものを表3の割合で用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤層/PETフィルムよりなる粘着型の光学フィルムを製造した。
得られたそれぞれの粘着型の光学フィルムについて、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を、表3に示す。
なお、実施例4および実施例5については、得られた粘着型光学フィルムの粘着剤層のミクロ相分離構造の観察を行った。実施例4、5ともに、図1および図2のように硬質相が連続した構造であった。白色部が軟質相、黒色部が硬質相である。
《比較例1》
(1)上アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
得られた粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を、表3に示す。
《比較例2》
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
《比較例3》
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の配合比を変えたこと以外は比較例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
《比較例4》
アクリル系ジブロック共重合体(I−1)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)の配合比を変えたこと以外は比較例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板へのの接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
なお、粘着型光学フィルムの粘着剤層のミクロ相分離構造の観察結果を、図3に示す。白色部が軟質相、黒色部が硬質相である。
《比較例5〜6》
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−2)およびアクリル系トリブロック共重合体(II−1)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤組成物の溶液の外観は透明であり、濁ったり、二層に分離したりすることはなかった。
(2)上記(1)で得られた粘着剤溶液を用いて、実施例1と同様にして、粘着型の光学フィルムを作製し、ガラス板への接着力、クリープ試験およびタックの評価結果を表3に示す。
《比較例7》
アクリル系ジブロック共重合体(I−3)、アクリル系トリブロック共重合体(II−1)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全体の固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
《比較例8》
(1)アクリル系ジブロック共重合体(I−3)、アクリル系トリブロック共重合体(II−2)およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−2)を、表3に示す割合で混合し、トルエンで全固形分含量が30質量%になるように希釈して、粘着剤溶液を調製した。得られた粘着剤溶液の外観は不透明で濁っており、しばらくすると二層に分離した。
表3のとおり、アクリル系ジブロック共重合体(I)[(I−1)]、アクリル系トリブロック共重合体(II)[(II−1)]、およびメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)[(III−1)〜(III−3)]を本発明で規定する範囲内の量で含有する実施例1〜3の粘着剤を用いて製造した粘着型の光学フィルムは、アクリル系ジブロック共重合体(I)[(I−1)]およびアクリル系トリブロック共重合体(II)[(II−1)]のみからなる粘着剤を用いて製造した比較例1の粘着型の光学フィルムと比べて、優れた凝集力を維持しながら、タックを損なうことなく接着力を低減できた。すなわち、製造加工時の剥がれによる不良を防止でき、リワーク性を改善できた。また、アクリル系ジブロック共重合体(I)[(I−1)]をアクリル系ジブロック共重合体(I)[(I−2)]に置き換えた実施例7も同様に、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有しない比較例5,6と比べて、タックを損なうことなくリワーク性を向上できることが分かる。また、実施例1、実施例4〜6より、メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量を高めると、タックを維持しながら、リワーク性を向上できる。
一方、比較例2に示すように、本願の重量平均分子量の要件を満たさないメタクリル酸アルキルエステル重合体(III−4)を使用した場合、相容性が低く、粘着剤溶液とした場合に外観が濁り、静置すると二層に分離する不具合が生じて、粘着剤の均一な塗工ができなかった。同様に、本発明で規定する範囲内の量で含有しないアクリル系ジブロック共重合体(I−3)を含有する比較例7および比較例8も、粘着剤溶液は濁り、二層に分離した。
本発明の粘着剤は、優れた凝集力を維持しながら、リワーク性と粘着特性を両立することができ、加工時の剥がれ不良を防止できるため、粘着剤層を有する粘着型の光学フィルムおよび粘着型の光学フィルム用保護フィルムに有効に用いることができる。

Claims (10)

  1. (i)一般式(I)
    A−B (I)
    (式中、Aはメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Bはアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
    で表され、重合体ブロックBの含有量が10〜55質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系ジブロック共重合体(I)、
    (ii)一般式(II)
    C1−D−C2 (II)
    (式中、C1および重合体ブロックC2はそれぞれ独立してガラス転移温度が90℃以上のメタクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示し、Dはガラス転移温度が−20℃以下のアクリル酸アルキルエステル重合体ブロックを示す。)
    で表され、重合体ブロックDの含有量が82〜95質量%であり、分子量分布が1.0〜1.5であるアクリル系トリブロック共重合体(II)、
    (iii)メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を含有し、
    アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)との合計質量[(I)+(II)]100質量部に対するメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)の含有量が5〜30質量部である粘着剤であって、
    前記メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5,000〜130,000である粘着剤
  2. メタクリル酸アルキルエステル共重合体(III)の重量平均分子量が5,000〜90,000である、請求項1に記載の粘着剤。
  3. アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)の質量比[(I)/(II)]が70/30〜20/80の範囲である請求項1に記載の粘着剤。
  4. アクリル系ジブロック共重合体(I)とアクリル系トリブロック共重合体(II)の質量比[(I)/(II)]が70/30〜41/59の範囲である請求項3に記載の粘着剤。
  5. アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックBの含有量が10〜49質量%である、請求項1に記載の粘着剤。
  6. アクリル系ジブロック共重合体(I)中の重合体ブロックA、アクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックC1および重合体ブロックC2、並びにメタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を主体として形成される硬質相と、アクリル系ジブロック共重合体(I)の重合体ブロックB、およびアクリル系トリブロック共重合体(II)の重合体ブロックDを主体として形成される軟質相からなるミクロ相分離構造を有し、硬質相が連続した構造を形成することを特徴とする請求項1に記載の粘着剤。
  7. メタクリル酸アルキルエステル重合体(III)を構成するメタクリル酸アルキルエステルが、メタクリル酸メチルである請求項1に記載の粘着剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤からなる粘着剤層を有する粘着型の光学フィルム用保護フィルム。
  10. 請求項8に記載の粘着型の光学フィルムおよび/または請求項9に記載の粘着型の光学フィルム用保護フィルムを用いた画像表示装置。

JP2011264195A 2011-12-02 2011-12-02 粘着剤 Active JP5863425B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011264195A JP5863425B2 (ja) 2011-12-02 2011-12-02 粘着剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011264195A JP5863425B2 (ja) 2011-12-02 2011-12-02 粘着剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013116953A JP2013116953A (ja) 2013-06-13
JP5863425B2 true JP5863425B2 (ja) 2016-02-16

Family

ID=48711732

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011264195A Active JP5863425B2 (ja) 2011-12-02 2011-12-02 粘着剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5863425B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6430118B2 (ja) * 2013-12-12 2018-11-28 旭化成株式会社 ペリクル、ペリクル付フォトマスク及び半導体素子の製造方法
CN114622427A (zh) * 2022-03-28 2022-06-14 台州学院 一种牛仔浆用嵌段共聚物改性丙烯酸乳液的制备方法
CN115260921B (zh) * 2022-07-06 2023-06-09 浙江大学 一种oca光学压敏胶及其制备方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4080360B2 (ja) * 2002-03-26 2008-04-23 株式会社クラレ ジブロック共重合体およびそれを用いた粘着剤組成物
JP4477385B2 (ja) * 2004-03-18 2010-06-09 株式会社カネカ 熱可塑性エラストマー組成物
JP5051967B2 (ja) * 2004-04-23 2012-10-17 株式会社クラレ アクリル系ブロック共重合体組成物
JP4679165B2 (ja) * 2005-01-25 2011-04-27 コクヨS&T株式会社 粘着製品及び転写具
FR2924714A1 (fr) * 2007-12-07 2009-06-12 Arkema France Procede de preparation d'une dispersion aqueuse de particules de polymeres par un procede de polymerisation radicalaire en dispersion, dispersions obtenues et revetements prepares avec celles-ci.
WO2009111433A1 (en) * 2008-03-07 2009-09-11 3M Innovative Properties Company Antistatic block copolymer pressure sensitive adhesives and articles
JP2011028069A (ja) * 2009-07-28 2011-02-10 Kuraray Co Ltd 粘着型光学フィルムの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013116953A (ja) 2013-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5836944B2 (ja) 光学フィルム用粘着剤組成物および粘着型光学フィルム
JP5203964B2 (ja) 光学フィルム用粘着剤
US20130289210A1 (en) Pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet
WO2012132115A1 (ja) 透明両面粘着シートおよびタッチパネル付き画像表示装置
KR20120024928A (ko) 연신 분리가능한 감압성 접착제
JP5783768B2 (ja) アクリル系ジブロック共重合体ペレット及びそれを含有する粘着剤組成物
JP5836943B2 (ja) 光学フィルム用粘着剤組成物
JP2013006892A (ja) 光学用両面粘着シート
US20190062609A1 (en) Hot melt adhesive compositions
US20140256877A1 (en) Pressure-sensitive adhesive sheet
WO2015108765A2 (en) Self-wetting adhesive emulsion composition
AU2018220194B2 (en) Self-wetting adhesive composition
JP5863425B2 (ja) 粘着剤
JP2011028069A (ja) 粘着型光学フィルムの製造方法
JP6724946B2 (ja) 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、透明フィルム付き粘着シート、積層体および積層体の製造方法
TW201418399A (zh) 雙面黏著片材
JP6705543B1 (ja) 粘着剤組成物及び粘着シート
JP6705542B1 (ja) 粘着シート
JP6769461B2 (ja) 粘着シート、剥離シート付き粘着シート、透明フィルム付き粘着シート、積層体及び積層体の製造方法
JP6687152B1 (ja) 粘着シート及び粘着シートの製造方法
TW202126778A (zh) 光學用黏著劑組合物
WO2023282009A1 (ja) 両面粘着シート
WO2023282011A1 (ja) 両面粘着シート
JP2017206676A (ja) アクリル系ブロック共重合体の使用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140929

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150409

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150519

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5863425

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150