JP2009107048A - ワーク把持装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センタ軸の交換が容易に行えるワーク把持装置を提供することを課題とする。
【解決手段】主軸台の要部である回転体20に、筒体30を着脱自在に取付ける。筒体30に、コレット31、センタ軸34及び円筒スリーブ33を備える。円筒スリーブ33の先端には、凹状の係合部34が形成されている。この係合部34に棒状ワークから延びる位置決め部を嵌合させる。
【効果】筒体を替えるだけでセンタ軸を交換ことができる。この結果、段取り替え作業を迅速に行うことができ、作業能率の向上が図れる。
【選択図】図3

Description

本発明は、カムシャフトなどの棒状ワークの把持装置に関する。
カムシャフトは、複数のカムが所定の位相で配置されている棒状ワークの一種である。このような棒状ワークに切削加工を施すには、旋盤の主軸台に相当するワーク把持装置で把持する必要がある。このワーク把持装置は各種の構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−123005号公報(図1)
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図6は従来のワーク把持装置の断面図であり、ワーク保持装置としてのコレットチャック装置100は、センタ101と、主コレット102と、補助コレット103と、この補助コレット103に切り欠き形成されているスリット104とを主要素とする。また、工作物105は、一端にセンタ穴106及び位相基準ピン107を有している。
先ず、工作物105の位相基準ピン107をスリット104に挿入しながら、センタ101にセンタ穴106を嵌合する。次に、ピストン構造のコレットスリーブ108を後退(図左へ移動)させる。すると、テーパー作用により、主コレット102が縮径し、補助コレット103が縮径する。この結果、補助コレット103で工作物105の一端を把持することができる。
ところで、工作物105は多様であり、位相基準ピン107の形態や位置は様々である。位相基準ピン107の形態や位置が変わったときには、補助コレット103を交換する。主コレット102やセンタ101は、交換しないため段取り作業替えが容易に行える。
ところで、図右に示した別の工作物109では、センタ穴111の角度θ2が、センタ101の角度θ1と異なっている。すなわち、工作物109によっては、センタ穴111の角度θ2が変わることがある。
この場合に、従来の技術では、センタ101を交換する必要がある。しかし、センタ101の交換は容易ではない。
近年の工作物の多様化を考えた場合、センタの交換が容易に行えることが望まれる。なお、上述の「センタ」は工作機械用語であって、先の尖った中心回転軸を指し、単なる「中心」の意味ではない。そこで、本発明では「センタ軸」と呼称して軸部材であることを明確にする。
本発明は、センタ軸の交換が容易に行えるワーク把持装置を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、回転体にセンタ軸及びコレットを備え、一端に回転方向の位置決め部及びセンタ穴を有する軸状ワークを把持するワーク把持装置において、
前記回転体に、着脱自在に筒体を備え、
この筒体は、先端に前記コレットを備え、内部に前記センタ軸を備え、
このセンタ軸の外周面に支持され、自由回転は拘束されるが軸方向への移動は自在とされ、先端に前記位置決め部に係合する係合部を有する円筒スリーブを備え、
この円筒スリーブを先進側へ押圧する押圧手段を備えていることを特徴とする。
請求項2に係る発明では、押圧手段は、センタ軸の中心に軸方向移動自在に収納され一端が円筒スリーブに連結されているシャフトと、回転体に設けられシャフトの後端を押圧する弾性部材と、からなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、円筒スリーブの位置を監視するスリーブ位置監視手段が備えられていることを特徴とする。
請求項4に係る発明では、スリーブ位置監視手段は、弾性部材を収納する弾性部材収納室へ圧力流体を供給する流体供給路と、この流体供給路の圧力を測る圧力計と、弾性部材収納室から流体を排出する流体排出路と、弾性部材とシャフトとに挟まれて配置され円筒スリーブが後退位置にあるときには流体排出路の入口を開き、円筒スリーブが前進位置にあるときには流体排出路の入口を閉じる弁体とからなることを特徴とする。
請求項5に係る発明では、流体は空気であることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、回転体に、着脱自在に筒体を備え、この筒体に、コレットとセンタ軸とを設けるようにした。筒体を替えるだけでセンタ軸を交換ことができる。この結果、段取り替え作業を迅速に行うことができ、作業能率の向上が図れる。
また、円筒スリーブが軸方向へ移動自在であるから、棒状ワークをセンタ軸に嵌合する際に、円筒スリーブは後退する。すなわち、円筒スリーブが存在しても、ワークの軸方向の位置決めの妨げにはならず、ワークの位置決めの自動化を促すことができる。
請求項2に係る発明では、センタ軸の中心にシャフトを通し、このシャフトを弾性部材で押すことで、円筒スリーブを前進側へ付勢するようにした。
シャフトは1本で済み、弾性部材も1個で済ませることができる。結果として、押圧手段は部品点数の削減が図れ、低コスト化が図れる。
請求項3に係る発明では、円筒スリーブの位置をスリーブ位置監視手段で監視する。正常な作業においては、棒状ワークをセンタ軸にセットする際に、円筒スリーブは後退し、棒状ワークの位置決め部に円筒スリーブの係合部が合致したときに、円筒スリーブは前進する。
円筒スリーブを監視することで、棒状ワークの位置決め部に円筒スリーブの係合部が合致したか否かが判別で、異常状態を迅速に発見することができ、段取り替え作業の信頼性を高めることができる。
請求項4に係る発明では、円筒スリーブの位置を、流体の圧力で監視するようにした。仮に、回転体に電気的センサを設けると、ハーネスの引き回しが困難になると共に、回転体が磁化して、周囲の鉄粉を引き寄せる可能性がある。
この点、流体であれば、ハーネスは不要であり、磁化の心配もない。
請求項5に係る発明では、流体に空気を採用した。空気は無臭、無害であるため、使い勝手がよい。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るワーク把持装置の断面図であり、ワーク把持装置10は、前後(図右が前)に円柱部11、12を備えている円盤状のフランジ13と、円柱部11に前後に移動自在に嵌合している筒形ピストン14と、フランジ13を起点にしてこの筒形ピストン14を前へ押出す圧縮ばね15、15と、フランジ13の前面に連結され筒形ピストン14の外周面を支える筒状の後部ハウジング17と、この後部ハウジング17の前に連結されている筒状の前部ハウジング18と、筒形ピストン14及び前部ハウジング18に収納されている筒体30(この筒体30の詳細は図2で説明する。)と、前部ハウジング18の前面にビス21にて取付けたカバー22と、このカバー22にビス23にて取付けた仮受けブロック24と、からなる。カバー22と筒体30とは、軸方向へ延ばしたピン(図3符号 )で連結されているため、筒体30はカバー22により回り止めが図られる。
図2は図1の2−2線断面図(ただし、後部ハウジング17は除外した。)であり、筒形ピストン14の内部には、90°ピッチで中心へ突出する受け座25が4個の設けられており、隣り合う受け座25、25の間は切欠かれて窓26とされている。窓26の数も4個である。
一方、筒体30の外周面からは90°ピッチで外へ突出する突片27が4個設けられている。突片27は、窓26を通過し得る大きさに設定されている。
図の状態から、筒体30を左右の一方へ45°回すと、突片27は移動して窓26に臨む。そうすれば、筒体30を図面奥へ移動させることで、筒形ピストン14から外すことができる。
逆の手順で筒形ピストン14に筒体30を挿入し、45°回して、受け座25に突片27を臨ませと、筒形ピストン14に筒体30を装着することができる。
図3は本発明に係るワーク把持装置の分解図であり、フランジ13、筒形ピストン14と、後部ハウジング17と、前部ハウジング18とは、主軸台の回転部分の要部を構成するため、これらを一括して、回転体20と呼ぶ。
この回転体20から、筒体30を取り外すことができることを特徴とする。
筒体30は、先端(前端)にコレット31を備え、内部にセンタ軸32を備え、このセンタ軸32の外周面に支持され、自由回転は拘束されるが軸方向(図左右)への移動は自在とされた円筒スリーブ33を備える。
円筒スリーブ33の先端には、凹状の係合部34が形成されている。
そして、筒体30の先端には、軸方向に延びるピン穴28、28が設けられ、カバー22にピン29、29が設けられており、これらのピン29、29がピン穴28、28に挿入されることで、筒体30の回転止めが図られる。
また、センタ軸32の基部中心にシャフト35が挿入されており、このシャフト35の後端(図左端)はセンタ軸32から突出している。シャフト35の先端にはマグネット35aが埋め込まれている。そして、センタ軸32の前後方向中間に図面表裏方向にクロスピン36が挿入され、このクロスピン36の端部は円筒スリーブ33に掛かっている。そして、シャフト35はマグネット35aの吸着作用により、クロスピン36に密着している。
このクロスピン36の存在により、円筒スリーブ33は、回転不能にセンタ軸32に保持されていることとなる。ただし、長穴37の範囲だけ、クロスピン36が移動し得るため、円筒スリーブ33は、軸方向へ移動可能にセンタ軸32に支持されていることになる。
また、フランジ13から図右へ突出させた円柱部11には、圧縮コイルばねに代表される弾性部材38を収納する弾性部材収納室39が設けられ、この弾性部材収納室39に流体を供給する流体供給路41が設けられ、弾性部材収納室39から流体を排出する流体排出路42が設けられている。流体供給路41はエアコンプレッサやガスボンベなど高圧流体を発生する流体供給源43と、流体供給路41の途中に設けられ流体の圧力を測る圧力計44とを付属する。
さらには、弾性部材収納室39に、弾性部材38を収納し、図右から有底筒状の弁体45を挿入し、リングナット46で弁体45の抜け止めを図る。リングナット46は弁体45の前進限位置を確定する役割の果たす他に、シャフト35の貫通を許容し、シャフト35の後端が直接弁体45に当たるようにする役割を果たす。
なお、弁体45には小孔47、47が設けられている。この小孔47は流体排出路42の入口に臨んだときにだけ、流体通路の役割を果たす。
以上の構成からなるワーク把持装置の作用を次に説明する。
図4は位相合わせ開始時の説明図であり、図右からカムシャフトに代表される棒状ワーク50の一端をセンタ軸32に嵌合させる。棒状ワーク50はピン状の位置決め部51を有しているため、この位置決め部51が円筒スリーブ33の右端面を押す。この結果、円筒スリーブ33は図左へ移動し、連動して、クロスピン36が移動し、シャフト35が移動し、弁体45が図左へ移動する。弁体45が移動した結果、弁体45の小孔47が流体排出路42の入口に臨む。すると、弾性部材収納室39内の流体が流体排出路42を介して排出される。連動して、流体供給路41の内圧も低下し、圧力計44で圧力低下を検出させることができる。
圧力低下の情報を受けたら、棒状ワーク50は回らないように拘束して、回転体20(筒体30を含む。)を低速で回す。すると、円筒スリーブ33も回転し、結果として、係合部34が移動して位置決め部51に近づく。位置決め部51に係合部34が合致することを位相が合うという。
図5は位相合わせ完了時の説明図であり、位相が合うと、係合部34に位置決め部51が進入可能となる。そこで、弾性部材38の押出し作用で、弁体45、シャフト35、クロスピン36及び円筒スリーブ33が前進して図のようになる。
すなわち、センタ軸32の中心に軸方向移動自在に収納され一端がクロスピン36を介して円筒スリーブ33に連結されているシャフト35と、回転体(フランジ13の円柱部11)に設けられシャフト35の後端を押圧する弾性部材38とで、円筒スリーブ33を前進させる押圧手段49を構成した。
センタ軸32の中心にシャフト35を通し、このシャフト35を弾性部材38で押すことで、クロスピン36を介して円筒スリーブ33を前進側へ付勢するようにしたので、シャフト35は1本で済み、弾性部材38も1個で済ませることができる。結果として、押圧手段49は部品点数の削減が図れ、低コスト化が図れる。
図5において、弁体45が前進したことにより、弁体45は流体排出路42の入口を閉じる。すると、流体供給路41の内圧が上昇し、圧力計44で圧力上昇を検出させることができる。圧力値が一定以上になれば、位相合わせが確認できたことになる。
すなわち、円筒スリーブ33の位置を監視するスリーブ位置監視手段40は、弾性部材38を収納する弾性部材収納室39へ圧力流体を供給する流体供給路41と、この流体供給路41の圧力を測る圧力計44と、弾性部材収納室39から流体を排出する流体排出路42と、弾性部材38とシャフト35とに挟まれて配置され円筒スリーブ33が後退位置にあるときには流体排出路42の入口を開き、円筒スリーブ33が前進位置にあるときには流体排出路42の入口を閉じる弁体45とからなる。
次に、筒形ピストン14の前室52の内圧力を高め、筒形ピストン14を後退(図左へ移動)させる。すると、筒体30が図左へ移動し、コレット31が、前部ハウジング18に設けられているテーパー53で縮径され、棒状ワーク50の一端を把持する。
図3に戻って、本発明では、回転体20に筒体30を着脱自在に備えることを特徴とする。筒体30は、外形形状(輪郭)が同一であって、形状やサイズ違いのセンタ軸32、形状やサイズ違いの円筒スリーブ33を内蔵したものを多数個準備すれば、加工対象の棒状ワーク50の形状に応じた筒体30を選択し、選択した筒体30を回転体20に取付ければよく、段取り替え作業が極めて容易になる。
尚、実施例では、位置決め部51をピン、係合部34を凹状の窪みとした。しかし、位置決め部51を凹、係合部34を凸にすることもできるため、位置決め部51と係合部34との形状は、相対的に決定され、形状は任意である。
円筒スリーブを押出す押圧手段38は、圧縮コイルばねが好適であるが、ミニチュアシリンダでもよく、構造は自由に選択できる。
また、スリーブ位置監視手段40は、実施例では、流体圧力の変化を監視するものを採用した。流体であれば、仮に、回転体に電気的センサを設けると、ハーネスの引き回しが困難になると共に、回転体が磁化して、周囲の鉄粉を引き寄せる可能性がある。この点、流体であれば、ハーネスは不要であり、磁化の心配もない。ただし、エアマイクロスイッチで直接筒形スリーブの位置を監視することや、機械式リミットスイッチで直接筒形スリーブの位置を監視することは差し支えない。したがって、スリーブ位置監視手段40は、筒形スリーブの位置を監視することができるものであれば、種類、構造は問わない。
流体で監視する場合、流体は空気、窒素ガス、水、油などの気体や液体が採用できる。窒素ガスであれば、金属の発錆を抑制することができる。しかし、価格、取扱いの点で、空気が好適である。
また、棒状ワークは、カムシャフトの他、一端に回転方向の位置決め部及びセンタ穴を有する軸状部品であれば、種類は任意である。
本発明は、カムシャフトの把持装置に好適である。
本発明に係るワーク把持装置の断面図である。 図1の2−2線断面図である。 本発明に係るワーク把持装置の分解図である。 位相合わせ開始時の説明図である。 位相合わせ完了時の説明図である。 従来のワーク把持装置の断面図である。
符号の説明
10…ワーク把持装置、20…回転体、30…筒体、31…コレット、32…センタ軸、33…円筒スリーブ、34…係合部、35…シャフト、38…弾性部材、39…弾性部材収納室、40…スリーブ位置監視手段、41…流体供給路、42…流体排出路、44…圧力計、45…弁体、47…小孔、49…押圧手段、50…棒状ワーク、51…位置決め部。

Claims (5)

  1. 回転体にセンタ軸及びコレットを備え、一端に回転方向の位置決め部及びセンタ穴を有する軸状ワークを把持するワーク把持装置において、
    前記回転体に、着脱自在に筒体を備え、
    この筒体は、先端に前記コレットを備え、内部に前記センタ軸を備え、
    このセンタ軸の外周面に支持され、自由回転は拘束されるが軸方向への移動は自在とされ、先端に前記位置決め部に係合する係合部を有する円筒スリーブを備え、
    この円筒スリーブを先進側へ押圧する押圧手段を備えていることを特徴とするワーク把持装置。
  2. 前記押圧手段は、前記センタ軸の中心に軸方向移動自在に収納され一端が前記円筒スリーブに連結されているシャフトと、前記回転体に設けられ前記シャフトの後端を押圧する弾性部材と、からなることを特徴とする請求項1記載のワーク把持装置。
  3. 前記円筒スリーブの位置を監視するスリーブ位置監視手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のワーク把持装置。
  4. 前記スリーブ位置監視手段は、前記弾性部材を収納する弾性部材収納室へ圧力流体を供給する流体供給路と、この流体供給路の圧力を測る圧力計と、前記弾性部材収納室から流体を排出する流体排出路と、前記弾性部材と前記シャフトとに挟まれて配置され前記円筒スリーブが後退位置にあるときには前記流体排出路の入口を開き、前記円筒スリーブが前進位置にあるときには前記流体排出路の入口を閉じる弁体とからなることを特徴とする請求項3記載のワーク把持装置。
  5. 前記流体は空気であることを特徴とする請求項4記載のワーク把持装置。
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