JP2009018377A - 放電加工装置の電極ホルダ - Google Patents
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Abstract
【課題】外径の異なる電極を簡単に変更することができるばかりではなく、加工液が外部に漏出する危険性を抑制できる電極ホルダを提供する。
【解決手段】加工液が流通するヘッド側流路21bが形成された加工ヘッドに装着される電極ホルダ1であって、加工ヘッドに着脱自在に取り付けられる取付け部が上部に形成されてなるとともに、ヘッド側流路21bと連通するホルダ側流路2aが形成された取付け部材2と、このホルダ側流路2aの下端に形成され、パイプ状の電極Eの上端が当接するテーパ面2bと、電極Eの上端側中途部を把持する把持部6が形成された複数の電極把持部材3と、複数の電極把持部材3の各把持部6により把持される電極Eの中心から離間する放射方向に付勢する弾性部材4と、複数の電極把持部材3の把持部6を電極Eの外周面に圧接させる昇降操作部材5と、を備えてなることを特徴とするものである。
【選択図】図2
【解決手段】加工液が流通するヘッド側流路21bが形成された加工ヘッドに装着される電極ホルダ1であって、加工ヘッドに着脱自在に取り付けられる取付け部が上部に形成されてなるとともに、ヘッド側流路21bと連通するホルダ側流路2aが形成された取付け部材2と、このホルダ側流路2aの下端に形成され、パイプ状の電極Eの上端が当接するテーパ面2bと、電極Eの上端側中途部を把持する把持部6が形成された複数の電極把持部材3と、複数の電極把持部材3の各把持部6により把持される電極Eの中心から離間する放射方向に付勢する弾性部材4と、複数の電極把持部材3の把持部6を電極Eの外周面に圧接させる昇降操作部材5と、を備えてなることを特徴とするものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、放電加工装置の電極ホルダに関し、特に、中心穴を加工液が流通するパイプ状電極を保持する放電加工装置の電極ホルダに関するものである。
金属への穴加工、特に深穴、細径穴や硬い金属への穴加工には、これまで放電加工装置が使用されている。この穴あけ用の放電加工装置は、棒状の電極が構成要素とされ、この棒状の電極とワークとの間に短い周期でアーク放電を繰り返しながら、電極を前進(下降)させて穴加工をする。ところで、こうした電極は、加工する穴径に応じて異なる外径のものに適宜交換して使用されている。すなわち、こうした電極の支持構造は、放電加工装置の加工ヘッドに設けられたスピンドルに電極ホルダが配置され、この電極ホルダには、それぞれ中心に形成された内径の異なる交換用のコレットが装着できるようになされており、このコレットに対して特定の外径の電極を支持・固定できるようにされている。したがって、特定の外径の電極が固定されている状態から、外形の異なる電極に交換する場合には、作業者は先ず上記電極ホルダからコレットと電極を取り外し、新たに付け替える電極の外径に対応したコレットを電極ホルダに装着し、該コレットに新たな電極を固定させる。
しかし、このように外径の異なる電極を交換する際に、該電極の外径に対応したコレットを選択し、電極ホルダにコレットを介して電極を固定するという作業は極めて面倒である。そこで、上記コレットを介することなく単一のホルダにより外径の異なる電極を保持できるようにする構造として、ドリルなどの工具や切削機械に用いられている単一のチャックを利用した開閉機構(特許文献1参照)を、この放電加工機の電極の支持構造に採用することが考えられる。他方、放電加工装置の電極には、軸方向に加工液放出用の穴が形成されているパイプ状の電極を使用し、放電加工放置本体又は加工ヘッドから加工液を該電極内に流入させ、該電極の先端から放出させるものが提案されている(特許文献2参照)。こうした電極を使用した放電加工装置によれば、放電加工中に生じた切り屑を、ワークに形成された凹部から外部に排出することができ、高い加工精度を実現することができる。
そこで、上記特許文献2に開示されている電極保持具(チャック)を、中心に加工液が流通する穴が形成されてなるとともに、外径の異なる複数の電極が装着できる構造に設計変更する方法が考えられる。こうした電極ホルダによれば、放電加工中に生じた切り屑により悪影響を受けることなく、且つ、内径の異なる交換用の複数のコレットに変更することなく容易に電極を交換することが可能となる。
特開平9−225713号公報
特開平5−185326号公報
しかしながら、このような構造に係る電極ホルダでは、該電極ホルダ内に流入した加工液が、上記電極保持具に形成された複数の細長い開口(複数の把持部材の間の)から外部に漏出し、適正な量の加工液が電極の先端から放出されない。すなわち、電極の先端とワークとは、加工液の中に水没させた状態で放電加工がなされるところ、この電極の先端から或る程度の水流で加工液が放出されなければ、ワークに形成された凹部内の切り屑を取り除くことはできず、精度の高い放電加工を期待することはできない。
そこで、本発明は、上述した放電加工装置の電極ホルダが有する課題を解決するために提案されたものであって、外径の異なる電極を簡単に変更することができるばかりではなく、加工液が外部に漏出する危険性を抑制し、確実に加工液が電極の先端から或る程度の圧力で放出することができる新規な放電加工装置の電極ホルダを提供することを目的とするものである。
上述した目的を達成するため、第1の発明(請求項1記載の発明)は、放電加工装置に設けられ、加工液が流通するヘッド側流路が形成された加工ヘッドに装着される電極ホルダであって、上記加工ヘッドに着脱自在に取り付けられる取付け部が上部に形成されてなるとともに、上記ヘッド側流路と連通するホルダ側流路が形成された取付け部材と、このホルダ側流路の下端に形成され徐々に内径が拡径されてなるとともに、パイプ状の電極の上端が当接するテーパ面と、上記取付け部材の下方にそれぞれ配置され、上記電極の上端側中途部を把持する把持部が形成された複数の電極把持部材と、上記複数の電極把持部材を、該複数の電極把持部材の各把持部により把持される電極の中心から離間する放射方向に付勢する弾性部材と、上記取付け部材又は複数の電極把持部材の外側に上下動自在に配置され、該複数の電極把持部材の把持部を電極の外周面に圧接させる昇降操作部材と、を備えてなることを特徴とするものである。
この第1の発明に係る電極ホルダにより、電極を装着する場合には、先ず、上記昇降操作部材を上昇させる。すると、上記弾性部材の弾性力により、上記複数の電極把持部材の把持部は外側に移動する(放射方向に広がる)。そこで、電極の上端を、これら複数の電極把持部材により囲まれた部位の下側から上方に挿通し、該電極の上端を上記テーパ面に当接させ、次いで上記複数の弾性部材の弾性力に抗して上記昇降操作部材を下降させる。こうした操作により、電極の上端側中途部が上記複数の電極把持部材の把持部により、把持される。
したがって、この第1の発明に係る電極ホルダによれば、外径の異なる複数のコレットを装着し直す必要性はなく、簡単に外径の異なる電極を適宜交換することができるとともに、上記取付け部材に形成されたテーパ面に、一定の外径の異なる電極の全てが当接することから、該取付け部材に形成されたホルダ側流路から供給された加工液は、外部に漏出することなく、確実に電極内に流入し、所定の圧力で下端から放出され、ひいてはワークに形成された凹部内の切り屑を該凹部内から除去することが可能となる。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記取付け部材の上端側外周には、リング部材が装着されてなるとともに、このリング部材と前記昇降操作部材との間には、該昇降操作部材を下方に付勢する下降用弾性部材が配置されてなることを特徴とするものである。
この第2の発明に係る電極ホルダによれば、作業者が上記昇降操作部材を把持しながら、下降用弾性部材の弾性力に抗して上昇させ、前述した要領にて電極の上端を上記テーパ面に当接させた後に、この昇降操作部材を放すと、該昇降操作部材は上記下降用弾性部材の弾性力により自動的に下降し、上記複数の電極把持部材の把持部を電極の外周面に圧接させる。この結果、電極は、上記複数の電極把持部材の把持部により把持される。
したがって、この第2の発明に係る電極ホルダによれば、極めて簡単な電極の装着・固定作業を実現することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1の発明において、前記取付け部材の外周には、一方のネジが螺刻され、前記昇降操作部材は、前記取付け部材の中心を回動中心として回動操作可能に配置されてなるとともに、該昇降操作部材の内周には、上記一方のネジに螺着される他方のネジが螺刻されてなることを特徴とするものである。
この第3の発明に係る電極ホルダによれば、上記昇降操作部材を、例えば時計回り方向に回転操作すると、徐々に上昇し、これに伴って前記複数の電極把持部材の各把持部は、弾性部材の弾性力により電極の中心から離間する放射方向に移動する。一方、この昇降操作部材を反時計回り方向に回転操作すると、該昇降操作部材は、徐々に下降し、これに伴って、複数の電極把持部材の把持部は徐々に電極の中心方向に移動する。
したがって、この第3の発明に係る電極ホルダによれば、昇降操作部材の回動操作は伴うものの、昇降操作部材の締め付けの程度により、極めて安定した電極の把持状態を実現することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1の発明において、前記取付け部材の上端側外周には、外周に筒状部を備えたリング部が形成されてなるとともに、この筒状部の内周又は外周には、一方のネジが螺刻され、前記昇降操作部材は、前記取付け部材の中心を回動中心として回動操作可能に配置されてなるとともに、上記一方のネジに螺着される他方のネジが螺刻されてなることを特徴とするものである。
この第4の発明に係る電極ホルダによれば、上記昇降操作部材を、例えば時計回り方向に回転操作すると、徐々に上昇し、これに伴って前記複数の電極把持部材の各把持部は、弾性部材の弾性力により電極の中心から離間する放射方向に移動する。一方、この昇降操作部材を反時計回り方向に回転操作すると、該昇降操作部材は、徐々に下降し、これに伴って、複数の電極把持部材の把持部は徐々に電極の中心方向に移動する。
したがって、この第4の発明に係る電極ホルダによれば、昇降操作部材の回動操作は伴うものの、昇降操作部材の締め付けの程度により、極めて安定した電極の把持状態を実現することができる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、上記第1,第2,第3又は第4の発明の何れかにおいて、前記複数の電極把持部材のそれぞれには、前記昇降操作部材の昇降操作及び/又は前記弾性部材の弾性力により回動する回動中心部と、該昇降操作部材に接触する接触面と、該昇降操作部材の下降により電極の外周面を把持する前記把持部と、を有し、上記各回動中心部は、上記接触面と把持部よりも上方に形成されてなることを特徴とするものである。
この第5の発明に係る電極ホルダによれば、複数の電極把持部材のそれぞれに形成された回動中心部の位置が、昇降操作部材に接触する接触面と、該昇降操作部材の下降により電極の外周面を把持する前記把持部の位置よりも上方に形成されていることから、梃子作用の利用により接触面へは小さな力で確実に電極を把持することができる(接触面と把持部との距離に対して接触面と回動中心部との距離の比を大きくするほど把持部には大きな把持力が作用する)。例えば、請求項2記載の電極ホルダに適用した場合では、各電極把持部材を電極の中心から離間する放射方向に付勢する弾性部材の弾性力よりも、大きな力で下降用弾性部材の弾性力により昇降操作部材を下方に付勢する必要があるが、この第5の発明によれば、弾性部材の弾性力と同等の弾性力を持つ下降用弾性部材を用いても確実に電極を把持することができる。したがって、作業者が昇降操作部材を上昇操作する場合にあっては大きな力を加える必要性がなく、一層簡単に電極の取り換え作業をすることができる。また、請求項3又は4記載の発明に係る電極ホルダに適用した場合にあっては、弾性部材の弾性力に勝る大きな力で回転操作し、電極を締め付ける必要性はなく、やはり簡単に電極の取り換え作業をすることができる。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第1,第2,第3,第4又は第5の発明の何れかにおいて、前記複数の電極把持部材の把持部には、前記昇降操作部材の下降動作又は下降操作により、電極の外周面に当接するとともに、さらに該昇降操作部材の下降動作又は下降操作により、該電極を上方に押圧する押圧部材が配置されてなることを特徴とするものである。
この第6の発明に係る電極ホルダによれば、電極を装着する際に、作業者の操作による電極の上端が確実にテーパ面に当接していない場合や、やや電極が傾斜し上端の一部のみがテーパ面に当接している場合であっても、昇降操作部材の下降動作又は下降操作により、該電極は上方に押圧される。したがって、この第6の発明によれば、作業者の操作による電極の上端が確実にテーパ面に当接していない場合には、確実に電極の上端が当接し、また、やや電極が傾斜し上端の一部のみがテーパ面に当接している場合には、テーパ面に電極の上端の全部が当接するよう補正され、より一層加工液の漏出を防止することができる。
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係る放電加工装置の電極ホルダによれば、外径の異なる複数のコレットを装着し直す必要性はなく、簡単に外径の異なる電極を適宜交換することができるとともに、上記取付け部材に形成されたテーパ面に、一定の外径の異なる電極の全てが当接することから、該取付け部材に形成されたホルダ側流路から供給された加工液は、外部に漏出することなく、確実に電極内に流入し、所定の圧力で下端から放出され、ひいてはワークに形成された凹部内の切り屑を該凹部内から除去することが可能となる。
また、第2の発明(請求項2記載の発明)によれば、作業者が上記昇降操作部材を把持しながら、下降用弾性部材の弾性力に抗して上昇させ、前述した要領にて電極の上端を上記テーパ面に当接させた後に、この昇降操作部材を放すと、上記下降用弾性部材の弾性力により自動的に下降し、この結果、電極は、上記複数の電極把持部材の把持部により把持され、極めて簡単な電極の装着・固定作業を実現することができる。
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、上記昇降操作部材を、例えば時計回り方向に回転操作すると、徐々に上昇し、これに伴って前記複数の電極把持部材の各把持部は、弾性部材の弾性力により電極の中心から離間する放射方向に移動する。一方、この昇降操作部材を反時計回り方向に回転操作すると、該昇降操作部材は、徐々に下降し、これに伴って、複数の電極把持部材の把持部は徐々に電極の中心方向に移動する。したがって、この第3の発明に係る電極ホルダによれば、昇降操作部材の回動操作は伴うものの、昇降操作部材の締め付けの程度により、極めて安定した電極の把持状態を実現することができる。
また、第4の発明(請求項4記載の発明)では、上記昇降操作部材を、例えば時計回り方向に回転操作すると、徐々に上昇し、これに伴って前記複数の電極把持部材の各把持部は、弾性部材の弾性力により電極の中心から離間する放射方向に移動する。一方、この昇降操作部材を反時計回り方向に回転操作すると、該昇降操作部材は、徐々に下降し、これに伴って、複数の電極把持部材の把持部は徐々に電極の中心方向に移動する。したがって、この第3の発明に係る電極ホルダによれば、昇降操作部材の回動操作は伴うものの、昇降操作部材の締め付けの程度により、極めて安定した電極の把持状態を実現することができる。
また、第5の発明(請求項5記載の発明)によれば、複数の電極把持部材のそれぞれに形成された回動中心部の位置が、昇降操作部材に接触する接触面と、該昇降操作部材の下降により電極の外周面を把持する前記把持部の位置よりも上方に形成されていることから、小さな力で確実に電極を把持することができる。
また、第6の発明(請求項6記載の発明)によれば、作業者の操作による電極の上端が確実にテーパ面に当接していない場合には、確実に電極の上端が当接し、また、やや電極が傾斜し上端の一部のみがテーパ面に当接している場合には、テーパ面に電極の上端の全部が当接するよう補正され、より一層加工液の漏出を防止することができる。
以下、本発明を実施するための放電加工装置の電極ホルダに係る最良の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、図1ないし図6に示す第1の実施の形態に係る電極ホルダ1に付いて説明する。
この電極ホルダ1は、図2,図3に示すように、加工液を電極Eの電極流路Eaに流通させるホルダ側流路2a及びテーパ穴(本発明のテーパ面)2bが形成された取付け部材2と、この取付け部材2の下方に配置され電極Eを把持すべく回動する3個の電極把持部材3と、これらの電極把持部材3を電極Eの中心から離間する放射方向に付勢する3個の捩りコイルばね4(本発明の弾性部材)と、前記3個の電極把持部材3を電極Eの中心方向へ押圧する昇降操作部材5と、上記3個の電極把持部材3にそれぞれ配置され電極Eを把持する3個の把持爪6(本発明の把持部)と、圧縮コイルばね8の押圧力を調整するリング部材7と、前記昇降操作部材5を下方に付勢する圧縮コイルばね8(本発明の下降用弾性部材)と、を備えてなり、図示しない放電加工装置の加工ヘッドに取り付けられた図1に示す回転ユニット20のスピンドル21に取り付けられる。
この電極ホルダ1の取付け部材2は、図1又は図2に示す電極ホルダ1の中心上部に配置され、後述する昇降操作部材5を案内する外径を有した円筒状の本体胴部2dと、この本体胴部2dの上方に延設され該本体胴部2dよりも小径の円筒状でなる凸状胴部2hとを有して形成されている。上方側の凸状胴部2hの中心には、後述するスピンドル21の下端に延設されたテーパ軸部21aと密着状態で嵌合可能なテーパ穴2cが形成されている。
このテーパ穴2cと連通する下方の本体胴部2dの中心には、スピンドル21に形成されたヘッド側流路21bと連通するホルダ側流路2aが形成されている。また、このホルダ側流路2aと連通する下方には本発明のテーパ面を有するテーパ穴2bが形成され、このテーパ穴2bは、上端の前記ホルダ側流路2aとの交差部はホルダ側流路2aと同一の内径であって電極Eの外径よりも小内径に形成されているとともに、下端の内径は電極Eの外径よりも大内径に形成されている。
つまり、この取付け部材2のテーパ穴2bは、図2に示すように、パイプ状の電極Eの上端部を該テーパ穴2bのテーパ面に当接させて電極Eの軸方向と径方向との位置決めをするとともに、異なる外径でなる複数種の電極Eの上端部をそれぞれ位置決めするものであることから、対象となる複数種の外径の電極Eの最小外径ないし最大外径のいずれもが、該テーパ穴2bの小内径ないし大内径の間に当接できるように形成されている。
また、図2,図3又は図4に示すように、取付け部材2の本体胴部2dの下端部には、テーパ穴2bの外側の3箇所に、外周と下端が開口された切欠き凹所2eが放射状の3等分に形成され、これらの切欠き凹所2eの側壁には、円柱状に形成された3本の回動軸9をそれぞれ挿入する軸穴2fが貫通して形成されているとともに、切欠き凹所2eの天井奥部(図2参照)には、後述する3個の捩りコイルばね4の一方のばね脚4bの先端を掛止するばね掛け穴2iがそれぞれ形成されている。この取付け部材2の切欠き凹所2eのそれぞれの内幅は、後述する電極把持部材3のそれぞれの頭部3aの幅より広く、回動軸9を回動中心として電極把持部材3が回動自在であるようにそれぞれ形成されている。
また、取付け部材2の図2に示す凸状胴部2hの外周には、雄ねじ2gが螺刻され、この雄ねじ2gには、リング部材7が、その中心部に形成された雌ねじ(符号は省略する)により螺着されている。このリング部材7は、上記雌ねじが螺刻されたリング部7aの外周縁に下向きの筒状部7bが形成され、その下端面には、後述する昇降操作部材5の上昇端位置を規定する下端面7cが形成されている。また、このリング部材7は、リング部7aの下面(符号は省略する)により後述する昇降操作部材5のばね受け面5fと協同で、コイル状に巻回された圧縮コイルばね8を保持するとともに、取付け部材2の雄ねじ2gに螺合させて回動し上下移動させることにより、該圧縮コイルばね8の押圧力を調整することができる。
次に、上記取付け部材2に放射状に配置される3個の電極把持部材3は、図2に示すように、頂部断面が半円形状の頭部3aと中央部3bと下端部3cとを有してそれぞれ形成されている。それぞれの電極把持部材3の頭部3a背面から下端部3c背面の間の中央部3bの背面には、接触面3dがそれぞれ形成され、これらの接触面3dは、3個の電極把持部材3が円柱状の回動軸9により取付け部材2に支持された状態において、3個の電極把持部材3の全体により形成される接触面3dが、下方に向かって拡径するテーパ状に形成されている。
そして、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dはテーパ状に形成されていることから、後述する昇降操作部材5の内周の押圧面5cが下方に向かって当接し押圧することにより、その分力が電極Eの中心方向へ働き、3個の電極把持部材3は電極Eの中心側へそれぞれ押圧される。
また、それぞれの電極把持部材3の頭部3a近傍には、図3又は図4に示すように、回動軸9をそれぞれ挿入する軸穴3eが、これらの軸穴3eに挿入された回動軸9により電極把持部材3がそれぞれ回動自在に支持されるべくそれぞれ形成されている。これら軸穴3eの中心線方向の中央部には、図2又は図4に示す切欠き凹所3fが、図2に示す前面3g側が開口されるとともに、捩りコイルばね4が回動軸9に装着され、その一方のばね脚4bの先端部が取付け部材2のばね掛け穴2iに挿入された状態のコイル部4a、一方のばね脚4b及び他方のばね脚4cに干渉しない「く」字形状にそれぞれ形成されている。
なお、3個の捩りコイルばね4は、図2又は図4に示すように、弾性力を蓄えるコイル部4aと、このコイル部4aの一端側から延設された一方のばね脚4bと、このコイル部4aの他端側から延設された他方のばね脚4cとからそれぞれ形成されている。そして、これらの捩りコイルばね4により、図2に示すように、コイル部4aが回動軸9にそれぞれ装着され、一方のばね脚4bの先端部が取付け部材2のばね掛け穴2iにそれぞれ挿入され、他方のばね脚4cが電極把持部材3の先端部が切欠き凹所3fにそれぞれ当接した状態において、電極把持部材3の下端部3cが、回動軸9を中心にして電極Eからそれぞれ放射状に離隔する方向へ付勢される。なお、この捩りコイルばね4は、コイルばねに限定されるものではなく、例えば、板ばねにすることもできる。
また、図5(a)に示すそれぞれの電極把持部材3の前面3gの下端近傍には、略4/5円の略円柱状軸部3i(図4における略円柱状軸部3i,3i)が、図4に示す電極把持部材3の幅方向の全域に亘ってそれぞれ突設され、これらの略円柱状軸部3iには、後述する把持爪6の略円筒状穴部6aが回動自在にそれぞれ嵌合されている。また、それぞれの電極把持部材3の前面3gの下端近傍であって図4に示す略円柱状軸部3iの中央部には、図3,図4又は図5に示すように、下端が開口されたキー溝3hがそれぞれ形成され、これらのキー溝3hにはキー11がそれぞれ挿入されるとともに、該キー11は移動しないようにそれぞれ固定されている。
そして、上記の構成でなる3個の電極把持部材3は、図2又は図4に示すように、頭部3aが取付け部材2の切欠き凹所2eにそれぞれ挿入されるとともに、電極把持部材3の軸穴3eと取付け部材2の軸穴2fとに挿入された回動軸9によりそれぞれ回動自在に支持されている。それぞれの回動軸9には、捩りコイルばね4が係合され、各電極把持部材3は、電極Eの中心から離間する放射方向にそれぞれ付勢されている。
次に、上記3個の電極把持部材3にそれぞれ配置される3個の把持爪6は、図5(a)に示すように、断面形状が略四角形にそれぞれ形成され、その前面に把持面6cが、図3に示す放射状の3方向から電極Eを押圧可能に形成されている。この把持面6cの背面には、3個の電極把持部材3の略円柱状軸部3iに回動可能にそれぞれ嵌合される略4/5円の一部が開口した略円筒状穴部6aが形成され、それぞれの開口の上方には上側背面6dが形成されるとともに、それぞれの開口の下方には、前記上側背面6dよりも前面側に傾斜して下降する下側背面6eが形成されている。
また、上記3個の把持爪6のそれぞれの略円筒状穴部6aの中心位置は、図5(a)に示すように、把持面6cと上側背面6dとの間の中心位置よりも上側背面6d側寄りの位置にそれぞれ形成されている。したがって、各把持爪6の把持面6cが電極Eに当接しないそれぞれ自由な状態において、略円筒状穴部6aの中心位置よりも把持面6c側部分の重量が、上側背面6d側部分の重量よりも重いことから、把持面6c側部分が、略円筒状穴部6aを回動中心にして図5(b)に示す反時計方向へ自重によりそれぞれ回動するように構成されている。
そして、3個の把持爪6は、その略円筒状穴部6aを各電極把持部材3の略円柱状軸部3iにそれぞれ嵌合させた状態において、図5(a)に示すように、それぞれの電極把持部材3が最も電極Eの中心側へ押圧された場合には、各把持爪6は電極把持部材の略円筒状穴部6aを回動中心にそれぞれ自在に回動できることから、それぞれの把持爪6の把持面6cが電極Eに密着するとともに、それぞれの上側背面6dが各電極把持部材3の前面3gに当接して電極Eが把持される。
これとは逆に、それぞれの電極把持部材3が、図2に示す捩りコイルばね4の付勢により回動され、下端部3cが電極Eから離隔する方向へ移動される場合には、3個の把持爪6は、図5(b)に示すように、略円筒状穴部6aの中心位置よりも把持面6c側部分の重量が、上側背面6d側部分の重量よりも重いことから、把持爪6がその略円筒状穴部6aを回動中心にして反時計方向へそれぞれ回動され、上側背面6dが電極把持部材3の前面3gからそれぞれ離れるとともに、把持面6cが、電極Eとの密着状態からそれぞれ開放されて把持力が解除される。さらに、電極把持部材3の下端部3cが電極Eから離隔する方向へ移動されると、把持爪6は、把持面6cが電極Eから離れるとともに、やがて、下側背面6eが電極把持部材3の前面3gに当接して把持爪6の図示反時計方向への回動は阻止される。
また、3個の把持爪6の上側背面6d側及び下側背面6e側には、図3又は図5に示すように、下端が開口されたキー溝6bが、各電極把持部材3のキー溝3hとそれぞれ対向するように形成されている。これらのキー溝6bの開口幅は、各把持爪6が略円筒状穴部6aを回動中心に自在に回動すべくキー11よりもそれぞれ広幅であるとともに、図5に示すキー溝6bの高さと奥行きとは、各把持爪6が略円筒状穴部6aを回動中心に、上側背面6dが図5(a)に示す電極把持部材3の前面3gに密着した状態から、下側背面6eが電極把持部材3の前面3gに密着する状態に至るまでの間において、各把持爪6が自在に回動すべく、キー11の上面(符号は省略する)と先端面(符号は省略する)とが干渉しないようにそれぞれ形成されている。
そして、3個の把持爪6は、図5において、略円筒状穴部6aが各電極把持部材3の略円柱状軸部3iにそれぞれ嵌合され、各電極把持部材3のキー溝3hにそれぞれ固定されてなるキー11が、各把持爪6のキー溝6bにそれぞれ挿入されてなることから、各把持爪6は略円筒状穴部6aを回動中心にしてそれぞれ自在に回動できるが、略円筒状穴部6aの長手方向には、キー11によりそれぞれ阻止されて移動しないようになっている。
次に、上記3個の電極把持部材3を電極Eの中心方向へ押圧する昇降操作部材5は、図2に示すように、円筒状の中胴部5aと、この中胴部5aと連なる下方の押圧部5bと、中胴部5aの上端に延設された円筒部5eとを有して形成されている。この昇降操作部材5の中胴部5aの内径は、上記取付け部材2の本体胴部2dの外周に係合して上下動自在である内径に形成されている。また、この中胴部5aと連なる下方の押圧部5bの下端部内周には、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dを押圧可能な押圧面5cが形成されている。
この昇降操作部材5の押圧面5cの内径は、3個の把持爪6により最小径ないし最大径の何れかの電極Eを把持した場合において、図2に示す押圧面5cが、3個の電極把持部材3の接触面3dによりそれぞれ形成されるテーパ面のうち、軸穴3eの中心線と交差する接触面3dの位置より下方の接触面3d上と、下端部3cの背面(符号は省略する)と交差する接触面3dの位置より上方の接触面3上との間の何れかの位置に昇降操作部材5の押圧面5cが当接するように形成されている。
すなわち、上記押圧面5cの内径は、最小径ないし最大径の何れかの電極Eの把持に対応するために、それぞれの回動軸9を中心にして回動する3個の電極把持部材3を、最小径ないし最大径の何れの直径の電極Eの場合であっても、昇降操作部材5の押圧面5cにより電極Eの中心方向へそれぞれ押圧できるように形成されている。また、この押圧面5cを除く押圧部5bの内周面は、回動軸9に支持され放射方向に回動する3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに干渉しないように切欠きされている。
また、昇降操作部材5の中胴部5aの上方には、図2に示す円筒部5eが圧縮コイルばね8を挿入可能に延設され、この円筒部5eの内側段部は、圧縮コイルばね8の下端面を保持するばね受け面5fが形成されるとともに、円筒部5eの外周側には、リング部材7の下端面7cと当接して、該昇降操作部材5の上昇端位置を規定する当接面5gが形成されている。
そして、上記構成でなる昇降操作部材5は、図2に示すように、圧縮コイルばね8により下方へ付勢され、押圧面5cが、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに当接する。この押圧面5cが当接するそれぞれの接触面3dは、3個の電極把持部材3の全体により形成される接触面3dが、下方に向かって拡径するテーパ状に形成されていることから、3個の電極把持部材3は、それぞれの接触面3dが、昇降操作部材5の押圧面5cにより下方へ押圧されると、それぞれの接触面3dと直角に前面方向へ作用する分力により、3個の電極把持部材3は、それぞれの回動軸9を梃子作用の中心として電極Eの中心方向へ押圧され、電極Eは、その押圧力により3個の把持爪6を介して把持される。
ここで、上記昇降操作部材5の下方への押圧により作用する分力であって、それぞれの電極把持部材3を電極Eの中心方向へ押圧する押圧力は、図2に示す捩りコイルばね4により、それぞれの電極把持部材3が電極Eから離隔する方向へ付勢される付勢力よりも大きくなければならない。したがって、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dを下方へ押圧する押圧力(すなわち、圧縮コイルばね8の押圧力)は、前記それぞれの電極把持部材3を電極Eの中心方向へ押圧する押圧力(分力)よりも、接触面3dの傾斜角度に対応した分だけ大きくしなければならない。
しかしながら、上記構成において、3個の電極把持部材3による電極Eの中心方向への押圧は梃子作用を利用していることから、3個の電極把持部材3の電極Eの中心方向への押圧力を小さくすることができる。したがって、上記昇降操作部材5を下方へ押圧力するための圧縮コイルばね8の押圧力を小さくすることができる。
そして、図2に示す3個の把持爪6により把持された電極Eを交換する際には、昇降操作部材5の外周を把持するとともに、圧縮コイルばね8による下方への押圧力に抗して該昇降操作部材5を上方へ移動させると、押圧面5cが、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに沿って上方へ移動し、捩りコイルばね4により付勢されている3個の電極把持部材3が、それぞれの回動軸9を回動中心にして電極Eから離隔する方向へ放射状に回動されるので、それぞれの把持爪6は、図5(a)に示す把持状態から、図5(b)に示す開放状態又はそれぞれの把持爪6が電極Eから離隔された図示しない開放状態になり、電極Eは、図2に示す取付け部材2のテーパ穴2bから離脱することができる。
これとは逆に、新たな電極Eを装着する際には、上記図5(b)に示す開放状態又はそれぞれの把持爪6が電極Eから離隔された開放状態において、新たな電極Eを取付け部材2のテーパ穴2bに当接させながら、把持していた昇降操作部材5の把持力を開放することにより、圧縮コイルばね8の下方への押圧力により昇降操作部材5の押圧面5cが3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに当接されるとともに、電極Eの中心に向かって接近し、3個の電極把持部材3にそれぞれ配置された把持部材6により新たな電極Eを装着することができる。
次に、上記の構成でなる電極ホルダ1が取り付けられる回転ユニット20について、図1を参照して説明する。この回転ユニット20には、スピンドル21の軸本体部21cが、筐体31に嵌入された転がり軸受22,22により回転自在に保持され、その軸本体部21cの下端部に延設されたテーパ軸部21aの外周面は、上記取付け部材2のテーパ穴2cと密着して電極ホルダ1を保持可能に形成されている。このスピンドル21の下端側の中心部には、取付け部材2のホルダ側流路2aと加工液が流通するためのヘッド側流路21bが形成され、このヘッド側流路21bの上端側には、該ヘッド側流路21bと交差して連通する流路21dが形成されている。
また、筐体31の下方であってスピンドル21の流路21dと隣接する位置には、加工液が流通するための油穴31aが形成され、この油穴31aと連通する外側には流路31bが形成されている。この筐体31の流路31bには、パイプ28が挿入されるとともに、固定ナット29により液漏れが無いように固定され、そのパイプ28には、図示しない液体ポンプが連結されている。
また、上記スピンドル21の上端部にはウォームホイール23が、キー24により該スピンドル21と一体回転可能に固定され、このウォームホイール23の歯部には、直交する回転軸のウォーム26が歯合され、このウォーム26は、筐体31に取り付けられたパルスモータ27と図示しない継手により連結されている。そして、パルスモータ27の回転駆動により、ウォーム26及びウォームホイール23を介してスピンドル21が回転され、そのテーパ軸部21aにテーパ穴2cが嵌合された取付け部材2とともに、電極ホルダ1が回転される。なお、上記筐体31の上端には、蓋体32がボルト34により固定され、この蓋体32の上端には、図示しない加工ヘッドの主軸に連結されるプルスタッド32aが突設されている。
そして、上記液体ポンプにより図示しない加工液貯蔵容器から加工液を吸引することにより、吸引された加工液は、回転ユニット20のパイプ28、筐体31の流路31b、油穴31a、スピンドル21の流路21d、ヘッド側流路21bを経て、電極ホルダ1の取付け部材2のホルダ側流路2a、テーパ穴2bからパイプ状の電極Eの電極流路Eaに供給され、その加工液は、パルスモータ27の回転駆動により取付け部材2とともに回転する電極Eの電極流路Eaの下端開口から、放電加工されるワークWの加工凹部(符号は省略する)へ吐出される。なお、ワークWは、図示しないテーブル上に固定されるとともに、貯蔵槽H内に貯蔵された加工液F中に浸されている。
このようにして、電極EからワークWに形成された加工凹部へ加工液が吐出されることにより、放電加工中に生じた切り屑をワークWの加工凹部から外部へ排出することができるとともに、パルスモータ27の回転駆動により電極Eが回転していることから、加工凹部を高精度で加工することができる。また、上記液体ポンプを上記の例とは逆回転させることにより、パイプ28から電極Eの電極流路Eaまでの間には負圧が生じ、加工凹部内の切り屑を周囲の加工液とともに電極Eの電極流路Eaから吸引して、上記パイプ28から図示しない液体ポンプを経て、加工液貯蔵容器内へ送り込むこともできる。
次に、上記構成でなる電極ホルダ1の作用効果について、図1ないし図6を参照して説明する。上記実施の形態における3個の電極把持部材3は、それぞれの回動軸9を中心に電極Eからそれぞれ放射状に離隔又は接近する方向へ回動できることから、従来のように、異種の外径に対応したコレットを装着し直す必要がないとともに、異種の外径の電極Eを昇降操作部材5の上下操作のみにより短時間で容易に着脱することができる(図2参照)。
また、異種の外径の電極Eは、図1又は図2に示す取付け部材2に形成されたテーパ穴(テーパ面)2bに、最小径から最大径の全てが当接することから、取付け部材2のホルダ側流路2aから供給される加工液は、外部に漏出することなく、電極Eの電極流路Eaの下端開口から所定の圧力で確実に吐出され、ワークWの加工凹部内から切り屑を排除することができる。
また、3個の電極把持部材3のそれぞれの下端部3cには、図2,図4ないし図6に示す略円柱状軸部3iを回動中心にして、それぞれ回動自在な把持部材6を配置したので、電極Eを把持する際には、電極Eを上方へ押圧しながら把持することができる。すなわち、電極Eが取付け部材2のテーパ穴2bに当接した後、昇降操作部材5の上方への押上げ操作を開放すると、圧縮コイルばね8に付勢された昇降操作部材5の下方への押圧力により、3個の電極把持部材3にそれぞれ配置された把持部材6が電極Eの中心に向かって接近し、図5(b)に示すように、把持部材6のそれぞれの上端角6gが電極Eに当接し、さらに把持部材6が電極Eの中心にそれぞれ接近すると、それぞれの把持部材6は、各上端角6gにより電極Eを上方へそれぞれ押圧しながら図示の時計方向へ回動し、やがて、図5(a)に示すように、それぞれの把持部材6が、電極Eに最も接近した状態において、電極Eに各把持面6cが密着するとともに、電極Eの上端が取付け部材2のテーパ穴2bに当接して把持される。
また、電極ホルダ1は、その取付け部材2のテーパ穴2cを、回転ユニット20の回転可能なスピンドル21のテーパ軸部21aにテーパ嵌合させるようにしたので、回転ユニット20に短時間で容易に着脱することができる。
次に、第2の実施の形態に係る電極ホルダ31について、図7を参照して説明する。この電極ホルダ31は、上記第1の実施の形態の図2に示す電極ホルダ1に配置された昇降操作部材5,リング部材7及び圧縮コイルばね8の構成を、図7に示す取付け部材32の雄ねじ32k及び昇降操作部材35の雌ねじ35iにより構成するようにしたものであって、他の構成は同一であることから、同一の構成要素及びそれぞれの構成部分については図2と同一の符号を付して、原則として相違する事項についてのみ説明する。
先ず、昇降操作部材35の上下移動を案内する取付け部材32は、昇降操作部材35と螺合する雄ねじ32kが形成された円筒状の本体胴部32dと、この本体胴部32dの上方に延設され、図1に示すスピンドル21のテーパ軸部21aと密着状態で嵌合可能なテーパ穴2cが形成された凸状胴部32hとを有して形成されている。なお、この取付け部材32の他の部分は第1の実施の形態の取付け部材2と同一に形成されている。
また、昇降操作部材35は、胴部35aの内周に、前記取付け部材32の雄ねじ32kと螺合する雌ねじ35iが螺刻され、取付け部材32の雄ねじ32kと螺合した状態で胴部35aを回動することにより、ねじリードに従い昇降操作部材35を上昇又は下降させることができる。なお、この昇降操作部材35の他の部分は第1の実施の形態の昇降操作部材5と同一に形成されている。
そして、把持された電極Eを取り外す場合には、昇降操作部材35を回動させて上昇させることにより、その押圧面5cが、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに沿って上方へ移動し、捩りコイルばね4により付勢されている3個の電極把持部材3が、回動軸9を回動中心にして、電極Eから離隔する方向へ放射状に回動されるので、それぞれの把持爪6は、把持状態から開放状態になり、電極Eを取付け部材2のテーパ穴2bから離脱することができる。
他方、新たな電極Eを装着する際には、それぞれの把持爪6が開放状態において、新たな電極Eを取付け部材2のテーパ穴2bに当接させながら、昇降操作部材35を回動させて下降させることにより、昇降操作部材5の押圧面5cが3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに当接されるとともに、それぞれの接触面3dを電極Eの中心に向かって押圧し、3個の電極把持部材3にそれぞれ配置された把持部材6により新たな電極Eを装着することができる。
次に、第3の実施の形態に係る電極ホルダ41について、図8を参照して説明する。この電極ホルダ41は、上記第1の実施の形態の図2に示す電極ホルダ1に配置された昇降操作部材5,リング部材7及び圧縮コイルばね8の構成を、図8に示す取付け部材42のリング部42mないし雌ねじ42q及び昇降操作部材45の当接面45g,雄ねじ45jにより構成するようにしたものであって、他の構成は同一であることから、同一の構成要素及びそれぞれの構成部分については図2と同一の符号を付して、原則として相違する事項についてのみ説明する。
先ず、昇降操作部材45の上下移動を案内する取付け部材42は、昇降操作部材45を案内する外径を有した円筒状の本体胴部42dと、この本体胴部42dの上方に延設され、図1に示すスピンドル21のテーパ軸部21aと密着状態で嵌合可能なテーパ穴2cが形成された凸状胴部42hと、この凸状胴部42hから張り出されたリング部42mとを有して形成されている。これらのうち、リング部42mの該周縁には、下向きの筒状部42nが形成され、その下端面には、後述する昇降操作部材45の上昇端位置を規定する下面42pが形成され、筒状部42nの内周には雌ねじ42qが螺刻されている。なお、この取付け部材42の他の部分は第1の実施の形態の取付け部材2と同一に形成されている。
また、昇降操作部材45は、その胴部45aの内周が、取付け部材42の本体胴部42dの外周に係合して上下動自在である内径に形成され、胴部45aの上端部外周側には、前記取付け部材42の下面42pに当接して該昇降操作部材45の上昇端位置を規定する当接面45が形成され、その当接面45の上方の小径でなる外周には、昇降操作部材45の雌ねじ42qと螺合する雄ねじ45jが螺刻され、取付け部材42の雌ねじ42qと螺合した状態で胴部45aを回動することにより、ねじリードに従い昇降操作部材45を上昇又は下降させることができる。なお、この昇降操作部材45の他の部分は第1の実施の形態の昇降操作部材5と同一に形成されている。
そして、把持された電極Eを取り外す場合には、昇降操作部材45を回動させて上昇させることにより、その押圧面5cが、3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに沿って上方へ移動し、捩りコイルばね4により付勢されている3個の電極把持部材3が、回動軸9を回動中心にして、電極Eから離隔する方向へ放射状に回動されるので、それぞれの把持爪6は、把持状態から開放状態になり、電極Eを取付け部材2のテーパ穴2bから離脱することができる。
他方、新たな電極Eを装着する際には、それぞれの把持爪6が開放状態において、新たな電極Eを取付け部材2のテーパ穴2bに当接させながら、昇降操作部材45を回動させて下降させることにより、昇降操作部材45の押圧面5cが3個の電極把持部材3のそれぞれの接触面3dに当接されるとともに、それぞれの接触面3dを電極Eの中心に向かって押圧し、3個の電極把持部材3にそれぞれ配置された把持部材6により新たな電極Eを装着することができる。
なお、上記第1ないし第3の実施の形態において、電極把持部材3は、3個でなる放射状に配置したが、これに限定されるものではなく、例えば、4個であっても良い。
1 電極ホルダ
2 取付け部材
2a ホルダ側流路
2b テーパ穴(テーパ面)
2e 切欠き凹所
3 電極把持部材
3d 接触面
4 捩りコイルばね(弾性部材)
5 昇降操作部材
5c 押圧面
6 把持爪(把持部)
6c 把持面
7 リング部材
8 圧縮コイルばね(下降用弾性部材)
9 回動軸
20 回転ユニット
21 スピンドル
21b ヘッド側流路
E 電極
2 取付け部材
2a ホルダ側流路
2b テーパ穴(テーパ面)
2e 切欠き凹所
3 電極把持部材
3d 接触面
4 捩りコイルばね(弾性部材)
5 昇降操作部材
5c 押圧面
6 把持爪(把持部)
6c 把持面
7 リング部材
8 圧縮コイルばね(下降用弾性部材)
9 回動軸
20 回転ユニット
21 スピンドル
21b ヘッド側流路
E 電極
Claims (6)
- 放電加工装置に設けられ、加工液が流通するヘッド側流路が形成された加工ヘッドに装着される電極ホルダであって、
上記加工ヘッドに着脱自在に取り付けられる取付け部が上部に形成されてなるとともに、上記ヘッド側流路と連通するホルダ側流路が形成された取付け部材と、
このホルダ側流路の下端に形成され徐々に内径が拡径されてなるとともに、パイプ状の電極の上端が当接するテーパ面と、
上記取付け部材の下方にそれぞれ配置され、上記電極の上端側中途部を把持する把持部が形成された複数の電極把持部材と、
上記複数の電極把持部材を、該複数の電極把持部材の各把持部により把持される電極の中心から離間する放射方向に付勢する弾性部材と、
上記取付け部材又は複数の電極把持部材の外側に上下動自在に配置され、該複数の電極把持部材の把持部を電極の外周面に圧接させる昇降操作部材と、
を備えてなることを特徴とする放電加工装置の電極ホルダ。 - 前記取付け部材の上端側外周には、リング部材が装着されてなるとともに、このリング部材と前記昇降操作部材との間には、該昇降操作部材を下方に付勢する下降用弾性部材が配置されてなることを特徴とする請求項1記載の放電加工装置の電極ホルダ。
- 前記取付け部材の外周には、一方のネジが螺刻され、
前記昇降操作部材は、前記取付け部材の中心を回動中心として回動操作可能に配置されてなるとともに、該昇降操作部材の内周には、上記一方のネジに螺着される他方のネジが螺刻されてなることを特徴とする請求項1記載の放電加工装置の電極ホルダ。 - 前記取付け部材の上端側外周には、外周に筒状部を備えたリング部が形成されてなるとともに、この筒状部の内周又は外周には、一方のネジが螺刻され、
前記昇降操作部材は、前記取付け部材の中心を回動中心として回動操作可能に配置されてなるとともに、上記一方のネジに螺着される他方のネジが螺刻されてなることを特徴とする請求項1記載の放電加工装置の電極ホルダ。 - 前記複数の電極把持部材のそれぞれには、前記昇降操作部材の昇降操作及び/又は前記弾性部材の弾性力により回動する回動中心部と、該昇降操作部材に接触する接触面と、該昇降操作部材の下降により電極の外周面を把持する前記把持部と、を有し、
上記各回動中心部は、上記接触面と把持部よりも上方に形成されてなることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の何れかの放電加工装置の電極ホルダ。 - 前記複数の電極把持部材の把持部には、前記昇降操作部材の下降動作又は下降操作により、電極の外周面に当接するとともに、さらに該昇降操作部材の下降動作又は下降操作により、該電極を上方に押圧する押圧部材が配置されてなることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の何れかの放電加工装置の電極ホルダ。
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