JP2009102752A - 繊維製品の製造方法及び繊維製品 - Google Patents

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Hitomi Wasatani
仁美 和佐谷
Hiroe Nishimura
弘恵 西村
Yosuke Matsuoka
陽介 松岡
Noriyuki Yamamoto
宣之 山本
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Abstract

【課題】優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品の製造方法及び該繊維製品の製造方法によって得られる繊維製品を提供する。
【解決手段】2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントとステアリルメタクリレートに由来するセグメントとを有する共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、バインダー樹脂を含有する処理液に、生地を浸漬した後、生地を絞り、乾燥させる工程を有することを特徴とする繊維製品の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品の製造方法及び該繊維製品の製造方法によって得られる繊維製品に関する。
従来から各種繊維製品に対して、風合いの改善、吸湿性・強度・防しわ性の特性等を向上させることを目的として、所定の成分を含有する処理液で繊維を処理することが行われている。特に衣料用品は、身体の近くで使用されることから、特性改善の要求が高く、様々な処理技術が開発されている。例えば、特許文献1には、繊維をアルカリ化合物と第4級アンモニウム塩を含む処理剤で処理することにより、柔軟な風合いを付与する改質方法が開示されている。
衣料用品のなかでも、肌着等のように皮膚表面に直接接触させて使用されるものは、保湿性や柔軟性、風合いに優れるとともに、肌にやさしく、過敏肌や敏感肌等に対する刺激を極力抑えたものが求められている。これに対して、特許文献2には、保湿剤やマイクロカプセル化保湿剤をバインダーによって衣料に付着させることにより、保湿性を高め、肌の健康を保持する方法が開示されている。また、特許文献3には、ポリエステル繊維の表面にコラーゲン等を結合させることにより、保湿性を高めた改質ポリエステル繊維材料が開示されている。
しかしながら、特許文献2の方法では、得られる衣料の耐洗濯性が低く、柔軟性に劣るものとなっていた。また、特許文献3の衣料は、着用感や肌荒れ、痒み等を有する肌への負担の面で満足いくものではなかった。
これに対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する繊維処理剤を用いることで、柔軟性及び安全性を改善する試みが行われており、例えば、特許文献4には、所定のHLBを有するポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルとを含有する繊維柔軟剤が、特許文献5には、所定の構造を有し、HLBが6〜15であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する繊維処理剤が記載されている。
しかしながら、これらの繊維処理剤や繊維柔軟剤を用いた場合であっても、基材となる繊維との密着性については満足を得られるものではなかった。
また、特許文献6には、防汚性、耐洗濯性、吸湿性、帯電防止性に優れるホスホリルコリン類似基含有単量体とグリセロールモノ(メタ)アクリレートと疎水性単量体に基づく構成単位を有する共重合体からなる繊維処理剤が開示されており、特許文献7には、更に保湿性を改善する目的で、リン脂質類似構造物に吸湿剤を加えて付着させた機能性繊維が開示されている。
しかしながら、これらの繊維処理剤や機能性繊維を用いた場合は、繊維の柔軟性が不充分なものとなっていた。
更に、近年はアトピー性皮膚炎患者の増加が顕著であり社会現象となってきており、このようなアトピー性皮膚炎患者が着用する肌着は、より一層皮膚への負担の少ないものが要求される。しかしながら、アトピー性皮膚炎患者が、従来の綿製の肌着や加工済肌着を着用した場合、長時間の着用によって、痒みの増大や患部の拡大等の症状悪化を招くことがあった。特に、乳幼児は皮膚が敏感であることから、この傾向が顕著であった。
従って、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品が求められていた。
特開平7−82668号公報 特開平2−300301号公報 特開平7−300770号公報 特開2001−181966号公報 特開2004−183192号公報 特開2002−348778号公報 特開2004−285548号公報
本発明は、上記現状に鑑み、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品の製造方法及び該繊維製品の製造方法によって得られる繊維製品を提供することを目的とする。
本発明は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントとステアリルメタクリレートに由来するセグメントとを有する共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、バインダー樹脂を含有する処理液に、生地を浸漬した後、生地を絞り、乾燥させる工程を有する繊維製品の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、鋭意検討した結果、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントとステアリルメタクリレートに由来するセグメントとを有する共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、バインダー樹脂を含有する処理液を用いて加工を行うことにより、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有し、かつ、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合の安全性を兼ね備えた繊維製品を安価に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の繊維製品の製造方法では、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントとステアリルメタクリレートに由来するセグメントとを有する共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、バインダー樹脂を含有する処理液に、生地を浸漬した後、生地を絞り、乾燥させる工程を行う。
上記処理液は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)に由来するセグメントとステアリルメタクリレート(SMA)に由来するセグメントとを有する共重合体(以下、単にMPC−SMA共重合体ともいう)を含有する。
上記MPC−SMA共重合体は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントを有するため、生地に親水性を付与することができるとともに、皮膚接触時の感触を改善することができる。また、上記MPC−SMA共重合体は、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントを有することで高い吸湿性を発揮することができる。更に、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンは容易に入手が可能であるという利点を有する。
また、上記MPC−SMA共重合体は、ステアリルメタクリレートに由来するセグメントを有することで、疎水性表面の繊維に対する親和性に優れるものとなり、疎水性表面の繊維との密着性に優れる。
上記MPC−SMA共重合体における上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントと、ステアリルメタクリレートに由来するセグメントとの含有比率については特に限定されないが、上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント10〜80mol%に対して、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント20〜90mol%を含有することが好ましい。
上記ステアリルメタクリレートに由来するセグメントが20mol%未満であると、疎水性表面の繊維に対する親和性を充分に持たせることができないことがあり、90mol%を超えると、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンが有する感触の良さや吸湿性を発揮させるのが困難となることがある。
より好ましくは、上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント20〜60mol%に対して、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント40〜80mol%である。
上記MPC−SMA共重合体は、上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント、及び、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント以外に、疎水性単量体に由来するセグメントを含有していてもよい。
上記疎水性単量体としては、具体的には例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の直鎖または分岐アルキル(メタ)アクロレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクロレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の疎水性ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記MPC−SMA共重合体は、上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント、及び、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント以外に、親水性単量体に由来するセグメントを含有していてもよい。
上記親水性単量体としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ホスホン酸基、スルホン酸基、アミド基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ塩基、トリアルキルホスホニウム塩基およびポリオキシエチレン基からなる群より選ばれる親水性基を有する単量体である。さらに、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸(MAc)等のカルボン酸;スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等のイオン性基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記親水性単量体に由来するセグメントを有する場合、各セグメントの構成比は特に限定されないが、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント10〜70mol%と、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント20〜80mol%および親水性単量体に由来するセグメント10〜70mol%とすることが好ましい。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントが10mol%未満では感触の良さや吸湿性を発揮させるのが困難となることがあり、ステアリルメタクリレートに由来するセグメントが20mol%未満、親水性単量体に由来するセグメントが10mol%未満では種々の繊維に対する親和性を持たせることができず好ましくない。
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントが70mol%を超えると、洗浄等で落ちやすくなることがあり、ステアリルメタクリレートに由来するセグメントが80mol%を超えると、親水性の付与が少なくなり、親水性単量体に由来するセグメントが70mol%を超えると、種々の繊維に対する親和性を持たせることができず好ましくない。
より好ましくは、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメント20〜40mol%と、ステアリルメタクリレートに由来するセグメント40〜70mol%および親水性単量体に由来するセグメント20〜40mol%の単量体組成物である。
上記MPC−SMA共重合体の重量平均分子量の好ましい下限は5,000、好ましい上限は5,000,000である。5,000未満であると、上記2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントの有する感触の良さや柔軟性を充分に発揮させることが困難となることがあり、5,000,000を超えると、上記MPC−SMA共重合体を含有する処理液の粘性が高くなりすぎ繊維に均一に処理剤が浸透するのが困難となるため、得られる繊維の感触を損ねるおそれがある。より好ましい下限は100,000、より好ましい上限は2,000,000である。
なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定される数値のことである。
上記MPC−SMA共重合体を重合する方法としては特に限定されず、例えば、特開昭54−63025号公報等に示された公知の方法等で2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを合成した後、ステアリルメタクリレートと共重合反応させることにより製造することができる。
具体的には例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、ステアリルメタクリレートに、必要に応じて、疎水性単量体、親水性単量体を添加した単量体組成物を通常のラジカル共重合を用いて共重合させる方法等が挙げられる。
上記処理液中の上記MPC−SMA共重合体の含有量の好ましい下限は0.12%owf、好ましい上限は1.2%owfである。0.12%owf未満であると、上記MPC−SMA共重合体の有する感触の良さや柔軟性を充分に発揮させることが困難となることがあり、1.2%owfを超えると、加工後の繊維製品の柔軟性が損なわれることがある。
より好ましい下限は0.2%owf、より好ましい上限は0.48%owfである。なお、%ぱぱowfは繊維の重量に対する割合を示したものである。
上記処理液は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、下記式(1)によって表される構造を有する。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することで、加工後の繊維製品に柔軟性、弾力性等を付与することができる。また、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品分野でも従来より使用されており、安全性が非常に高い化合物であることから、人体に対して悪影響を及ぼすことがなく、加工後の繊維製品を安全に着用することができる。
Figure 2009102752
式(1)中、R〜Rは水素又は脂肪酸の残基を表し、qは整数を表す。
上記脂肪酸としては、特に限定されず、例えば、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノレイン酸等が挙げられる。なお,上記脂肪酸は、同種のものを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセリン部分の重合度(q)の好ましい下限が3である。重合度が3未満であると、主鎖の長さが足りず、繊維に付与した際に表面上で液晶構造を形成し難くなる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値の好ましい下限は10、好ましい上限は15である。10未満であると、疎水性が高くなりすぎ、繊維処理剤としては不適なものとなる。15を超えると、安定性が低下する。より好ましい下限は12、より好ましい上限は14である。
上記HLBはHydrophiie Lipophile Balanceの略で乳化剤の親水基と疎水基のバランスを表す指標のひとつであり、これはエチレンオキシド付加型非イオン系界面活性剤について、親油基に付加された親水基が無限に長く親水性が最も大きい仮想的な化合物を考えてこの化合物のHLB値を20と定め、また、親水基の全く無い親油性の化合物についてこのHLB値を0 として、それらとの相対値として表した数値である。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、モノステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、ジオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸テトラグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル、ペンタステアリン酸テトラグリセリル、ペンタオレイン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸ヘキサグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、トリステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ペンタステアリン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノール酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、ジステアリン酸デカグリセリル、ジオレイン酸デカグリセリル、ジイソステアリン酸デカグリセリル、トリステアリン酸デカグリセリル、トリオレイン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ヘプタステアリン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタイソステアリン酸デカグリセリル、デカステアリン酸デカグリセリル、デカオレイン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル等が挙げられる。
なかでも、モノステアリン酸デカグリセリルが好ましい。
上記処理液中のポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、好ましい下限は0.4%owf、好ましい上限は1.6%owfである。0.4%owf未満であると、加工後の繊維製品の形態安定性が不充分となり、1.6%owfを超えて含有しても、形態安定性の向上は見られない。より好ましい下限は0.64%owf、より好ましい上限は1.2%owfである。
また、上記MPC−SMA共重合体とポリグリセリン脂肪酸エステルとの比率は、共重合体:ポリグリセリン脂肪酸エステルが3:18〜3:4であることが好ましい。上記範囲内とすることで、柔軟性、保湿性、風合いのバランスに優れた繊維製品となる。
上記処理液は、バインダー樹脂を含有する。上記バインダー樹脂としては、一般に繊維加工に使用される樹脂であれば、どのような樹脂でも用いることができるが、吸水性及び耐久性の良好な樹脂が好ましい。例えば、シリコーン系樹脂、アミノシリコーン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂等が挙げられる。これらのなかでは、シリコーン系樹脂が好ましい。なお、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリコーン系バインダー樹脂は、硬化によりゴム状被膜を形成し、上述した成分を繊維製品に強固に固着することができることから、加工後の繊維製品は、洗濯耐久性が高く、形態安定性、消臭性及び抗菌性を長期間維持することができる。また、ホルマリン系樹脂と比較して、皮膚への刺激を大幅に低減することができ、シャツや肌着等の用途にも好適に使用することができる。なお、上記シリコーン系バインダー樹脂は、溶液タイプであってもよく、エマルジョンタイプであってもよい。
上記シリコーン系バインダー樹脂としては、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンを乳化させたもの等が挙げられる。
上記処理液中のバインダー樹脂の含有量の好ましい下限は0.21%owf、好ましい上限は1.26%owfである。0.21%owf未満であると、洗濯耐久性に劣ることがあり、1.26%owfを超えると、逆に加工後の繊維製品の柔軟な風合いが損なわれ好ましくない。より好ましい下限は0.33%owf、より好ましい上限は0.63%owfである。
上記処理液は、上記MPC−SMA共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル及びバインダー樹脂のほかに、必要に応じて、抗カビ剤、抗酸化剤、光安定剤、制電剤、導電剤、難燃剤、顔料等の添加剤を含有していてもよい。
本発明では、上記処理液に生地を浸漬する方法、上記生地を絞る方法、上記生地を乾燥させる方法については特に限定されない。
上記工程における浸漬時間の好ましい下限は0.5秒であり、好ましい上限は2.0秒である。浸漬時間を上記範囲とすることにより、加工後の繊維製品の柔軟性、保湿性、安全性が充分なものとなる。
上記工程において、浸漬後の生地を絞る際の絞り率の好ましい下限は80%、好ましい上限は120%である。80%未満であると、絞り工程を行う効果が充分に得られないことがあり、120%を超えると、加工性が低下することがある。
上記工程において、乾燥を行う際の温度の好ましい下限は90℃、好ましい上限は160℃である。90℃未満であると、上記バインダー樹脂が充分に硬化せず、洗濯耐久性が低下することがある。160℃を超えると、薬剤の劣化が起こることがある。
本発明において用いられる生地の素材としては、特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、天然繊維等からなるものを用いることができる。
上記合成繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコールが好ましい。
また、上記半合成繊維としては、例えば、アセテート、レーヨン等が好ましく、上記天然繊維としては、例えば、綿、羊毛、絹、麻等が好ましい。
本発明の繊維製品の製造方法を用いて、種々の繊維製品を製造することができる。このような繊維製品もまた本発明の1つである。
本発明において用いられる繊維製品としては、例えば、衣料用品、介護用品、雑貨用品、インテリア用品、寝具用品等が挙げられる。
上記衣料用品としては、外出着衣料、スポーツウェア、ホームウェア、リラックスウェア、パジャマ、寝間着、肌着のほか、オフィスウェア、作業服、食品白衣、看護白衣、患者衣、介護衣、学生服、厨房衣等が挙げられる。上記介護用品としては、サポーター、コルセット、リハビリ用靴や、肌着、おむつカバー、小物等が挙げられる。上記雑貨用品としては、エプロン、タオル、手袋、マフラー、靴下、帽子、靴、サンダル、かばん、傘等が挙げられる。上記インテリア用品としては、カーテン、じゅうたん、マット、こたつカバー、ソファーカバー、クッションカバー、ソファー用側地、便座カバー、便座マット、テーブルクロス等が挙げられる。上記寝具用品としては、布団用側地、布団用詰めわた、毛布、毛布用側地、枕の充填材、シーツ、防水シーツ、布団カバー、枕カバー等が挙げられる。
本発明によれば、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品の製造方法及び該繊維製品の製造方法によって得られる繊維製品を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(加工肌着の作製)
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン−ステアリルメタクリレート(MPC−SMA)共重合体(リピジュアNS、日油社製)6%owf、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてモノステアリン酸デカグリセリル(SYグリスター MSW−7S、阪本薬品工業社製)2%owf及びシリコーン系バインダー樹脂としてバインダーGK(北広ケミカル社製)1%owfを添加した処理液に、綿(60番手単糸)100%の肌着を0.5秒間接触させた直後に、パッダ−を用いて絞り率100%で絞った。その後、95℃で20分間乾燥することにより、加工肌着を得た。
(比較例1)
実施例1の「(2)加工肌着の作製」において、モノステアリン酸デカグリセリル及びバインダーGKを添加しない以外は実施例1と同様にして加工肌着を得た。
(比較例2)
実施例1の「(2)加工肌着の作製」において、MPC−SMA共重合体(リピジュアNS、日油社製)及びバインダーGKを添加しない以外は実施例1と同様にして加工肌着を得た。
(評価)
実施例1及び比較例1、2で製造した加工肌着について、以下の方法により評価を行った。
結果を表1に示した。
(剛軟度)
JIS L 1018の8.22.5 E法(ハンドルオメーター法)に従い、20cm×20cmの試験片のタテ方向を幅20mmのスリット上にスリットと直角になるようにセットし、試験片から6.7cm(試験幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードを8mm下降させ、この時の抵抗値を剛軟度としてn=3の平均値で評価した。
Figure 2009102752
表1に示すように、保湿性等に優れるMPC−SMA共重合体のみを付着させた比較例1の加工肌着は、剛軟度が高く柔軟性に劣るため、風合いを損なうものとなっている。
これに対して、実施例1の加工肌着は、MPC−SMA共重合体を付着させても、モノステアリン酸デカグリセリルを単独で付着させた比較例2の加工肌着と同等の柔軟性を得ることが可能となる。従って、実施例1の加工肌着は、保湿性等の特性を有しつつ、優れた柔軟性や風合いを有していることがわかる。
本発明によれば、優れた柔軟性、保湿性、風合いを有するとともに、乳幼児やアトピー性皮膚炎患者等が着用した場合であっても、安全に着用することが可能な繊維製品の製造方法及び該繊維製品の製造方法によって得られる繊維製品を提供することができる。

Claims (2)

  1. 2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンに由来するセグメントとステアリルメタクリレートに由来するセグメントとを有する共重合体、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び、バインダー樹脂を含有する処理液に、生地を浸漬した後、生地を絞り、乾燥させる工程を有することを特徴とする繊維製品の製造方法。
  2. 請求項1記載の繊維製品の製造方法により得られる繊維製品。
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