JP2005023465A - 繊維構造物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた防汚性(汚れ除去性)特に血液汚れに対する防汚性を有し、さらには肌にやさしいスキンケア性をも有する繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、防汚性を有する繊維構造物は数多く提案されている。一般には、例えばポリエチレングリコールなどの親水基を有する親水性樹脂が付与されたり、親水基を含有したフッ素系撥水剤が付与されたもの、またこれら樹脂の両方が付与されたものが知られている。しかし、こうれらはいずれも十分な防汚性を有するとは言い難いものであった。
【0003】
親水性樹脂が付与されたものは、洗濯中に他の汚れを吸着しにくいという再汚染防止効果はあるものの、皮脂汚れなどはいったん汚れが付着し、乾いてしまうと洗濯しても除去することが非常に困難になってくるものである。
【0004】
また、親水基を含有したフッ素系撥水剤が付与されたものは、水性でも油性でも液状の汚れは付きにくいが、粘度の高いものなどは、フッ素系撥水剤が付与されていないものと同様に付着し、また洗濯での汚れは、逆に落ちにくいのが現状である。
【0005】
また、これら樹脂の両方が付与されたものは、親水性、撥水・撥油性各々の効果が十分に発揮されず、十分な防汚性が得られないものである。
【0006】
一方、ホスホリルコリン基を含有した樹脂は、肌にやさしく、また、血液が凝固しない特徴を持つものであるが、これを用いた防汚性繊維構造物は実用化されていない。
【0007】
衣料素材、特に合成繊維衣料の改善策としてウォッシュアンドウェア性、防汚性をはじめとした各種機能性付与、さらにはそれの耐久性向上、物理特性の改良や風合い、触感、外観の改良などが主として行われていた。例えば、防汚性に加えて消臭性、抗菌性を兼ね備えることを目的として、光触媒半導体を用いた繊維構造物が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平12−119956号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、防汚性、特に血液汚れが落ちやすく、さらには、肌にやさしいスキンケア性をも有する繊維構造物を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維構造物は、繊維表面に、下記化学式1で表されるホスホリルコリン基を含有した樹脂と、親水性樹脂またはフッ素系樹脂のいずれかの樹脂とからなる樹脂組成物が付着されてなることを特徴とするものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維構造物は、その繊維表面に親水性樹脂またはフッ素系樹脂および下記化学式1で表されるホスホリルコリン基を含有した樹脂からなるところに特徴を有する。
【0013】
【化3】
【0014】
かかるホスホリルコリン基とは、生体膜の構成成分であるリン脂質分子が主として持つ基であり、一般に生体適合性の高い物質として知られている。すなわち、該繊維構造物を皮膚に触れる用途に用いた場合、皮膚が該繊維構造物を異物として認めることがなく、アレルギー反応などが起こらないため、該繊維構造物の皮膚表面への刺激をなくすることができ、より高いレベルでのスキンケア性を得ることができる。さらには、血液が凝固しない特徴も持っており、かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂を用いることにより、繊維構造物に付着した血液を洗濯によって洗い落とすことができるものである。
【0015】
かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂の具体例としては、特開平8−333421号公報や特開平13−200480号公報に記載されている樹脂を使用することができる。
【0016】
本発明の特徴である防汚性とスキンケア性を発揮させるために、かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂の繊維構造物に対する付着量は、該繊維構造物の全重量に対して、0.5重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から8重量%の範囲で付着させるのがよい。すなわち、かかる付着量が0.5重量%未満であると、防汚性およびスキンケア性が十分に得られず、また、10重量%を越えると、繊維構造物の風合いが硬化し、着用時に肌への刺激が強くなる傾向がある。
【0017】
ここで繊維表面とは、繊維構造物を構成する単繊維1本の表面、または糸の表面、または繊維構造物の一面の表面が含まれ、いずれかに限定されるものではない。
【0018】
本発明でいう繊維構造物は、織物、編物または不織布などの布帛はもちろん、帯状物、紐状物、糸状物などの繊維を含むものであれば、その構造、形状を問わない。また、合成繊維のほかに、木綿、羊毛、絹等の天然繊維またはレーヨン、テンセルなどの半合性繊維を組み合わせたものでも差し支えない。
【0019】
本発明の繊維構造物を構成する繊維は、合成繊維、天然繊維を使用することができるが、好ましくはポリエステル系繊維である。かかるポリエステル系繊維には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維が含まれ、ポリエステル系繊維以外の合成繊維、再生繊維あるいは天然繊維が混紡もしくは混繊されていてもよい。また、その表面は、前記ホスホリルコリン基を含有する樹脂と共に、親水性樹脂またはフッ素系樹脂のいずれかが同時に存在するものである。
【0020】
ここでいう親水性樹脂とは、親水性を有する樹脂であり、たとえばポリアルキレングリコール系または、アルキレンオキサイド付加物等の樹脂である。なかでもポリアルキレングリコール、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールの共重合体が好ましく用いられる。
【0021】
ここでポリアルキレングリコールは、分子中に−CnH2nO−(n=2〜4)なる主鎖を有するもので、その分子量(重量平均分子量)が好ましくは300〜40000、より好ましくは1000〜10000の範囲にあるものが、耐久性と分散性の上から使用される。具体的には、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらのブロック共重合体等を使用することができる。
【0022】
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸やイソフタル酸およびそれらの低級アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種を好ましく用いることができる。
【0023】
中でも、アルキレングリコール単量体、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールの共重合体からなるブロック共重合体が防汚性の観点から好ましい。ブロック共重合体は、ノニオン系またはアニオン系の界面活性剤を用いて水に分散させるとよい。
【0024】
本発明のフッ素系樹脂は、ポリフルオロアルキル基および親水性基を含有するもので、ポリフルオロアルキル基を有するモノマと親水性基を有するモノマからなる共重合体が好ましく用いられる。
【0025】
この時、該共重合体を製造する際のポリフルオロアルキル基を有するモノマとしては、炭素数3〜20個、好ましくは6〜14個の末端パーフルオロアルキル基を含有するアクリル酸エステルが好ましく用いられる。
【0026】
親水性基を有するモノマには、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシルアミド基、スルホンアミド基、ホスホン基のごとき非イオン系、またはアニオン系の親水性基を含有する側鎖を有するものがが好ましい。
【0027】
本発明で用いる親水性樹脂またはフッ素系樹脂の付着量は、繊維構造物に対して、0.1重量%以上、15重量%未満の割合で、繊維構造物上に固着することが好ましい。0.1重量%未満であると十分な防汚性が得ることができず、また、10重量%以上であると、繊維構造物の風合いが硬化して実用的なものでなくなる。より好ましくは0.5重量%以上10重量%未満である。
【0028】
次に本発明の繊維構造物を製造する方法を説明する。
【0029】
まず、親水性樹脂またはフッ素系樹脂性を必要に応じて界面活性剤を併用して分散水溶液とし、さらにホスホリルコリン基を含有した樹脂を混合した処理液を調整する。繊維構造物を該処理液中に浸漬し、余分な液をマングルまたは遠心脱水機などの手段で除去した後、摂氏150度以下で乾燥するのが好ましく、より好ましくは摂氏50度から摂氏120度で乾燥し、必要に応じて常法により乾熱または湿熱セットを行うのが好ましい。
【0030】
本発明の繊維構造物は、肌と接する面の滴下吸水時間が60秒以下の性能を有することが必要である。滴下吸水時間が60秒よりも長いと、発汗時の汗処理性が劣り、ベトツキ感を生じて着用快適性が劣るものとなる。滴下吸水時間は、好ましくは30秒以下、さらに好ましくは10秒以下である。
【0031】
吸水性を得る手段としては、水溶性ポリアルキレングリコール、テレフタル酸、エチレングリコールなどのブロック共重合体を主成分とする樹脂を、繊維表面上に吸着あるいは付与する方法がある。処理方法としては、これらのエマルジョンを浴中にて処理する浴中吸尽法や、通常の水溶性重合開始剤して過硫酸カリや過硫酸アンモニウムを併用し、湿熱、乾熱、パッドスチーム法などがある。
【0032】
これらの繊維構造物は、直接肌に触れる肌着、靴下、シャツ、ブラウスなどの衣料はもちろん、裏地、サポータ、タオル、ハンカチなどの衣料用副資材を始め、布団側地、シーツ類、毛布、布団用中綿などの建寝装用品に好ましく使用することができるが、中でも、血液汚れが付着しやすい、白衣や手術衣、ショーツ、オムツ、シーツに使用することが特に好ましい。
【0033】
さらに必要に応じて仕上げ加工剤、例えば、抗菌防臭加工剤などを添加してもよい。抗菌防臭加工剤としては、たとえば、ピリジン系抗菌剤、キチン・キトサン、光触媒、ナノメーター銀、グリチルリチン酸、ウンデシレン酸モノグリセリド、ヒノキチオール、カテキンなどが挙げられる。これらを処理液中に混合させ同時に処理をしたり、または上記処理後これら仕上加工剤だけの処理液を作成し、繊維に含浸させ、乾熱処理によって付与することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0035】
なお、実施例中に記載した各種性能は以下の方法により評価した。
【0036】
[防汚性評価/血液汚れ除去性評価]
10×10cmの試験片の表を上にしてガラス板上に置き、 を試験片の中央部分に0.1ml滴下し、その上に更にガラス板を置き、さらに200gの荷重を乗せて1分間放置する。
【0037】
荷重とガラス版を取り除いて、試験片をろ紙の上へ移しティッシュペーパーをかぶせ、その上から宛名印刷用ローラーで、ローラーがけをし、ろ紙やティッシュペーパーをいつも汚れていない部分に変えながら、ろ紙やティッシュペーパーに汚れが付かなくなるまで、繰り返す。
【0038】
この試験片を、室内に朝7時から夕方7時まで放置した。
【0039】
その後、自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝VH−1150形と同性能のもの)の洗濯槽に40±2℃の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K 3371弱アルカリ性・1種)液25リットルを入れ、汚染した試験片と追加布を合わせた重さ500gを入れ洗濯機の強条件で5分間洗濯する。
【0040】
試験片と追加布を洗濯機付属の遠心脱水機に移し、約30秒間脱水後、再び常温水を満たした洗濯槽に移し水をオーバーフローさせながら2分間水洗する。この操作を2回繰り返す。
【0041】
試験片を絞らずに取り出し、ろ紙で軽く押さえて水をきり水平状態で自然乾燥する。
【0042】
洗濯後の試験片について汚染剤付着部分の状態を5段階の目視評価にて判定した。5級が、最も洗浄性が高く、防汚性が良好であることを示す。
【0043】
[洗濯]
自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝(株)製;VH−1150と同性能のもの)に、45cm×45cmの試験布500gと、摂氏40±2度の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K−3371弱アルカリ性・第1種)液25リットルとを入れ、強条件で25分間洗濯した。ついで、遠心脱水機で約30秒間脱水後、常温水をオーバーフローさせながら10分間すすぎを行った。その後、再度30秒間脱水し、同条件で10分間すすいだ。この方法を簡便法として、該処理1回を洗濯5回分とした。
【0044】
各実施例においては、これを4回繰り返し洗濯20回(HL−20)の試料とした。なお、洗濯0回のものを(HL−0)として表した。
【0045】
[防汚性評価/実用評価]
実施例に記載した各用途に対して製品を作成し、実際に着用1週間後の状態を肉眼判定した。
【0046】
○:汚れがきれいに落ちている。
【0047】
△:汚れは少し落ちているが、まだ残っている。
【0048】
× 汚れは殆ど落ちていない。
【0049】
[着用感と着用時の肌の状態観察]
実施例に記載した各用途に対して製品を作成し、実際に着用1週間後の肌の状態および着用感を評価した。
【0050】
(実施例1)
タテ・ヨコ糸に150デニール48フィラメントの双糸を用いて生機を作成し、通常条件で精錬、染色を行った。
【0051】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0052】
かかる布帛を用いて病院用白衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0054】
(実施例2)
実施例1と同様の布帛について、親水性樹脂の代わりにアサヒガードAG−780(R)(フッ素系樹脂)5重量%、スミテックスレジンM−3(R)(架橋剤)0.3重量%、スミテックスアクセレレータACX(R)(触媒)0.2重量%の組成浴に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散させた以外は実施例1と同様の処理をし、手術衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0056】
(実施例3)
83デシテックス、36フィラメントのポリエステルウーリー加工糸からなる肌着用編地を編成し通常条件で精錬、染色を行った。
【0057】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0058】
かかる布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。さらには、着用時の肌の乾燥や痒みがなく快適であった。
【0060】
(実施例4)
単糸の平均繊度が3.3デシテックスであるポリエステル繊維からなる目付180g/m2 の不織布3枚を用いて積層物を構成した。
【0061】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に不織布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0062】
かかる不織布を用いてオムツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0063】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。さらには、着常時の痒みがなく快適であった。
【0064】
(実施例5)
タテ糸75デニール24フィラメントの双糸、ヨコ糸45番手のポリエステル65%綿35%の双糸を用い生機を作成し、通常条件で精錬、漂白、マーセライズ、蛍光染料により染色を行った。
【0065】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0066】
かかる布帛を用いてシーツを作成し、病院にて血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0067】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0068】
(比較例1)
実施例1において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いて病院用白衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
表1から明らかなように、1日着用後、すでに血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0070】
(比較例2)
実施例2において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いて手術衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
表1から明らかなように、1回の着用で、すでに血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0072】
(比較例3)
実施例3において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
表1から明らかなように、1日着用後、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。また、着用時に痒みが生じて不快であることも明らかになった。
【0074】
(比較例4)
実施例4において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてオムツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0075】
表1から明らかなように、1回の着用で、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。また、着用時に痒みが生じて不快であることが明らかになった。
【0076】
(比較例5)
実施例5において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
表1から明らかなように、1日着用後、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、親水性樹脂またはフッ素系樹脂およびホスホリルコリン基を含有した樹脂を用いることにより、優れた防汚性(汚れ除去性)特に血液汚れに対する防汚性を有し、さらには肌にやさしいスキンケア性をも有した繊維構造物が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた防汚性(汚れ除去性)特に血液汚れに対する防汚性を有し、さらには肌にやさしいスキンケア性をも有する繊維構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、防汚性を有する繊維構造物は数多く提案されている。一般には、例えばポリエチレングリコールなどの親水基を有する親水性樹脂が付与されたり、親水基を含有したフッ素系撥水剤が付与されたもの、またこれら樹脂の両方が付与されたものが知られている。しかし、こうれらはいずれも十分な防汚性を有するとは言い難いものであった。
【0003】
親水性樹脂が付与されたものは、洗濯中に他の汚れを吸着しにくいという再汚染防止効果はあるものの、皮脂汚れなどはいったん汚れが付着し、乾いてしまうと洗濯しても除去することが非常に困難になってくるものである。
【0004】
また、親水基を含有したフッ素系撥水剤が付与されたものは、水性でも油性でも液状の汚れは付きにくいが、粘度の高いものなどは、フッ素系撥水剤が付与されていないものと同様に付着し、また洗濯での汚れは、逆に落ちにくいのが現状である。
【0005】
また、これら樹脂の両方が付与されたものは、親水性、撥水・撥油性各々の効果が十分に発揮されず、十分な防汚性が得られないものである。
【0006】
一方、ホスホリルコリン基を含有した樹脂は、肌にやさしく、また、血液が凝固しない特徴を持つものであるが、これを用いた防汚性繊維構造物は実用化されていない。
【0007】
衣料素材、特に合成繊維衣料の改善策としてウォッシュアンドウェア性、防汚性をはじめとした各種機能性付与、さらにはそれの耐久性向上、物理特性の改良や風合い、触感、外観の改良などが主として行われていた。例えば、防汚性に加えて消臭性、抗菌性を兼ね備えることを目的として、光触媒半導体を用いた繊維構造物が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開平12−119956号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、防汚性、特に血液汚れが落ちやすく、さらには、肌にやさしいスキンケア性をも有する繊維構造物を提供せんとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の繊維構造物は、繊維表面に、下記化学式1で表されるホスホリルコリン基を含有した樹脂と、親水性樹脂またはフッ素系樹脂のいずれかの樹脂とからなる樹脂組成物が付着されてなることを特徴とするものである。
【0011】
【化2】
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維構造物は、その繊維表面に親水性樹脂またはフッ素系樹脂および下記化学式1で表されるホスホリルコリン基を含有した樹脂からなるところに特徴を有する。
【0013】
【化3】
【0014】
かかるホスホリルコリン基とは、生体膜の構成成分であるリン脂質分子が主として持つ基であり、一般に生体適合性の高い物質として知られている。すなわち、該繊維構造物を皮膚に触れる用途に用いた場合、皮膚が該繊維構造物を異物として認めることがなく、アレルギー反応などが起こらないため、該繊維構造物の皮膚表面への刺激をなくすることができ、より高いレベルでのスキンケア性を得ることができる。さらには、血液が凝固しない特徴も持っており、かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂を用いることにより、繊維構造物に付着した血液を洗濯によって洗い落とすことができるものである。
【0015】
かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂の具体例としては、特開平8−333421号公報や特開平13−200480号公報に記載されている樹脂を使用することができる。
【0016】
本発明の特徴である防汚性とスキンケア性を発揮させるために、かかるホスホリルコリン基を含有する樹脂の繊維構造物に対する付着量は、該繊維構造物の全重量に対して、0.5重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から8重量%の範囲で付着させるのがよい。すなわち、かかる付着量が0.5重量%未満であると、防汚性およびスキンケア性が十分に得られず、また、10重量%を越えると、繊維構造物の風合いが硬化し、着用時に肌への刺激が強くなる傾向がある。
【0017】
ここで繊維表面とは、繊維構造物を構成する単繊維1本の表面、または糸の表面、または繊維構造物の一面の表面が含まれ、いずれかに限定されるものではない。
【0018】
本発明でいう繊維構造物は、織物、編物または不織布などの布帛はもちろん、帯状物、紐状物、糸状物などの繊維を含むものであれば、その構造、形状を問わない。また、合成繊維のほかに、木綿、羊毛、絹等の天然繊維またはレーヨン、テンセルなどの半合性繊維を組み合わせたものでも差し支えない。
【0019】
本発明の繊維構造物を構成する繊維は、合成繊維、天然繊維を使用することができるが、好ましくはポリエステル系繊維である。かかるポリエステル系繊維には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維が含まれ、ポリエステル系繊維以外の合成繊維、再生繊維あるいは天然繊維が混紡もしくは混繊されていてもよい。また、その表面は、前記ホスホリルコリン基を含有する樹脂と共に、親水性樹脂またはフッ素系樹脂のいずれかが同時に存在するものである。
【0020】
ここでいう親水性樹脂とは、親水性を有する樹脂であり、たとえばポリアルキレングリコール系または、アルキレンオキサイド付加物等の樹脂である。なかでもポリアルキレングリコール、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールの共重合体が好ましく用いられる。
【0021】
ここでポリアルキレングリコールは、分子中に−CnH2nO−(n=2〜4)なる主鎖を有するもので、その分子量(重量平均分子量)が好ましくは300〜40000、より好ましくは1000〜10000の範囲にあるものが、耐久性と分散性の上から使用される。具体的には、たとえばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはこれらのブロック共重合体等を使用することができる。
【0022】
芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸やイソフタル酸およびそれらの低級アルキルエステルから選ばれた少なくとも1種を好ましく用いることができる。
【0023】
中でも、アルキレングリコール単量体、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールの共重合体からなるブロック共重合体が防汚性の観点から好ましい。ブロック共重合体は、ノニオン系またはアニオン系の界面活性剤を用いて水に分散させるとよい。
【0024】
本発明のフッ素系樹脂は、ポリフルオロアルキル基および親水性基を含有するもので、ポリフルオロアルキル基を有するモノマと親水性基を有するモノマからなる共重合体が好ましく用いられる。
【0025】
この時、該共重合体を製造する際のポリフルオロアルキル基を有するモノマとしては、炭素数3〜20個、好ましくは6〜14個の末端パーフルオロアルキル基を含有するアクリル酸エステルが好ましく用いられる。
【0026】
親水性基を有するモノマには、水酸基、カルボキシル基、スルホン基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシルアミド基、スルホンアミド基、ホスホン基のごとき非イオン系、またはアニオン系の親水性基を含有する側鎖を有するものがが好ましい。
【0027】
本発明で用いる親水性樹脂またはフッ素系樹脂の付着量は、繊維構造物に対して、0.1重量%以上、15重量%未満の割合で、繊維構造物上に固着することが好ましい。0.1重量%未満であると十分な防汚性が得ることができず、また、10重量%以上であると、繊維構造物の風合いが硬化して実用的なものでなくなる。より好ましくは0.5重量%以上10重量%未満である。
【0028】
次に本発明の繊維構造物を製造する方法を説明する。
【0029】
まず、親水性樹脂またはフッ素系樹脂性を必要に応じて界面活性剤を併用して分散水溶液とし、さらにホスホリルコリン基を含有した樹脂を混合した処理液を調整する。繊維構造物を該処理液中に浸漬し、余分な液をマングルまたは遠心脱水機などの手段で除去した後、摂氏150度以下で乾燥するのが好ましく、より好ましくは摂氏50度から摂氏120度で乾燥し、必要に応じて常法により乾熱または湿熱セットを行うのが好ましい。
【0030】
本発明の繊維構造物は、肌と接する面の滴下吸水時間が60秒以下の性能を有することが必要である。滴下吸水時間が60秒よりも長いと、発汗時の汗処理性が劣り、ベトツキ感を生じて着用快適性が劣るものとなる。滴下吸水時間は、好ましくは30秒以下、さらに好ましくは10秒以下である。
【0031】
吸水性を得る手段としては、水溶性ポリアルキレングリコール、テレフタル酸、エチレングリコールなどのブロック共重合体を主成分とする樹脂を、繊維表面上に吸着あるいは付与する方法がある。処理方法としては、これらのエマルジョンを浴中にて処理する浴中吸尽法や、通常の水溶性重合開始剤して過硫酸カリや過硫酸アンモニウムを併用し、湿熱、乾熱、パッドスチーム法などがある。
【0032】
これらの繊維構造物は、直接肌に触れる肌着、靴下、シャツ、ブラウスなどの衣料はもちろん、裏地、サポータ、タオル、ハンカチなどの衣料用副資材を始め、布団側地、シーツ類、毛布、布団用中綿などの建寝装用品に好ましく使用することができるが、中でも、血液汚れが付着しやすい、白衣や手術衣、ショーツ、オムツ、シーツに使用することが特に好ましい。
【0033】
さらに必要に応じて仕上げ加工剤、例えば、抗菌防臭加工剤などを添加してもよい。抗菌防臭加工剤としては、たとえば、ピリジン系抗菌剤、キチン・キトサン、光触媒、ナノメーター銀、グリチルリチン酸、ウンデシレン酸モノグリセリド、ヒノキチオール、カテキンなどが挙げられる。これらを処理液中に混合させ同時に処理をしたり、または上記処理後これら仕上加工剤だけの処理液を作成し、繊維に含浸させ、乾熱処理によって付与することができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0035】
なお、実施例中に記載した各種性能は以下の方法により評価した。
【0036】
[防汚性評価/血液汚れ除去性評価]
10×10cmの試験片の表を上にしてガラス板上に置き、 を試験片の中央部分に0.1ml滴下し、その上に更にガラス板を置き、さらに200gの荷重を乗せて1分間放置する。
【0037】
荷重とガラス版を取り除いて、試験片をろ紙の上へ移しティッシュペーパーをかぶせ、その上から宛名印刷用ローラーで、ローラーがけをし、ろ紙やティッシュペーパーをいつも汚れていない部分に変えながら、ろ紙やティッシュペーパーに汚れが付かなくなるまで、繰り返す。
【0038】
この試験片を、室内に朝7時から夕方7時まで放置した。
【0039】
その後、自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝VH−1150形と同性能のもの)の洗濯槽に40±2℃の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K 3371弱アルカリ性・1種)液25リットルを入れ、汚染した試験片と追加布を合わせた重さ500gを入れ洗濯機の強条件で5分間洗濯する。
【0040】
試験片と追加布を洗濯機付属の遠心脱水機に移し、約30秒間脱水後、再び常温水を満たした洗濯槽に移し水をオーバーフローさせながら2分間水洗する。この操作を2回繰り返す。
【0041】
試験片を絞らずに取り出し、ろ紙で軽く押さえて水をきり水平状態で自然乾燥する。
【0042】
洗濯後の試験片について汚染剤付着部分の状態を5段階の目視評価にて判定した。5級が、最も洗浄性が高く、防汚性が良好であることを示す。
【0043】
[洗濯]
自動反転渦巻き式電気洗濯機(東芝(株)製;VH−1150と同性能のもの)に、45cm×45cmの試験布500gと、摂氏40±2度の0.2%弱アルカリ性合成洗剤(JIS K−3371弱アルカリ性・第1種)液25リットルとを入れ、強条件で25分間洗濯した。ついで、遠心脱水機で約30秒間脱水後、常温水をオーバーフローさせながら10分間すすぎを行った。その後、再度30秒間脱水し、同条件で10分間すすいだ。この方法を簡便法として、該処理1回を洗濯5回分とした。
【0044】
各実施例においては、これを4回繰り返し洗濯20回(HL−20)の試料とした。なお、洗濯0回のものを(HL−0)として表した。
【0045】
[防汚性評価/実用評価]
実施例に記載した各用途に対して製品を作成し、実際に着用1週間後の状態を肉眼判定した。
【0046】
○:汚れがきれいに落ちている。
【0047】
△:汚れは少し落ちているが、まだ残っている。
【0048】
× 汚れは殆ど落ちていない。
【0049】
[着用感と着用時の肌の状態観察]
実施例に記載した各用途に対して製品を作成し、実際に着用1週間後の肌の状態および着用感を評価した。
【0050】
(実施例1)
タテ・ヨコ糸に150デニール48フィラメントの双糸を用いて生機を作成し、通常条件で精錬、染色を行った。
【0051】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0052】
かかる布帛を用いて病院用白衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0053】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0054】
(実施例2)
実施例1と同様の布帛について、親水性樹脂の代わりにアサヒガードAG−780(R)(フッ素系樹脂)5重量%、スミテックスレジンM−3(R)(架橋剤)0.3重量%、スミテックスアクセレレータACX(R)(触媒)0.2重量%の組成浴に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散させた以外は実施例1と同様の処理をし、手術衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0056】
(実施例3)
83デシテックス、36フィラメントのポリエステルウーリー加工糸からなる肌着用編地を編成し通常条件で精錬、染色を行った。
【0057】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0058】
かかる布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0059】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。さらには、着用時の肌の乾燥や痒みがなく快適であった。
【0060】
(実施例4)
単糸の平均繊度が3.3デシテックスであるポリエステル繊維からなる目付180g/m2 の不織布3枚を用いて積層物を構成した。
【0061】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に不織布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0062】
かかる不織布を用いてオムツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0063】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。さらには、着常時の痒みがなく快適であった。
【0064】
(実施例5)
タテ糸75デニール24フィラメントの双糸、ヨコ糸45番手のポリエステル65%綿35%の双糸を用い生機を作成し、通常条件で精錬、漂白、マーセライズ、蛍光染料により染色を行った。
【0065】
次いで、親水性樹脂であるジメチルテレフタレート500部、エチレングリコール400部、分子量3000のポリエチレングリコール700部より得られた共重合体分散液(固形分20%)10重量%に、ホスホリルコリン基含有樹脂(MF−3:日本油脂社製)5重量%を分散し加工用液を作成した。この液に布帛を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥を行い、次いで150℃熱処理を行った。
【0066】
かかる布帛を用いてシーツを作成し、病院にて血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0067】
表1から明らかなように、1週間着用後も、血液汚れがきれいに落ちているものであった。
【0068】
(比較例1)
実施例1において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いて病院用白衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
表1から明らかなように、1日着用後、すでに血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0070】
(比較例2)
実施例2において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いて手術衣を作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0071】
表1から明らかなように、1回の着用で、すでに血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0072】
(比較例3)
実施例3において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0073】
表1から明らかなように、1日着用後、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。また、着用時に痒みが生じて不快であることも明らかになった。
【0074】
(比較例4)
実施例4において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてオムツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0075】
表1から明らかなように、1回の着用で、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。また、着用時に痒みが生じて不快であることが明らかになった。
【0076】
(比較例5)
実施例5において、ホスホリルコリン含有樹脂を除く以外は全て同様の処理を施して得られた布帛を用いてショーツを作成し、血液汚れに対する防汚性を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
表1から明らかなように、1日着用後、血液汚れが残っていることが明かになり着用試験を中断した。
【0078】
【表1】
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、親水性樹脂またはフッ素系樹脂およびホスホリルコリン基を含有した樹脂を用いることにより、優れた防汚性(汚れ除去性)特に血液汚れに対する防汚性を有し、さらには肌にやさしいスキンケア性をも有した繊維構造物が得られる。
Claims (6)
- 該親水性樹脂が、ポリアルキレングリコール、芳香族ジカルボン酸およびアルキレングリコールからなる共重合体である請求項1に記載の繊維構造物。
- 該フッ素系樹脂が、ポリフルオロアルキル基および親水性基を含有するものである請求項1または2に記載の繊維構造物。
- 該樹脂組成物が、該ホスホリルコリン基を含有する樹脂を、該繊維構造物の全重量に対して、0.5重量%以上10重量%未満の割合で、また、親水性樹脂またはフッ素系樹脂を、該繊維構造物の全重量に対して、0.1重量%以上15重量%未満の割合で、繊維表面に付着するものである請求項1〜3のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該繊維が、ポリエステル系繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維構造物。
- 該繊維構造物が、白衣、手術衣、ショーツ、オムツおよびシーツから選ばれた少なくとも1種に使用されるものである請求項1〜5のいずれかに記載の繊維構造物。
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JP2007270378A (ja) * | 2006-03-31 | 2007-10-18 | Daikin Ind Ltd | 撥水,撥油,汚れ脱離加工された繊維製品とその加工方法 |
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