JP2009102581A - 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および光反射体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および光反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制した成形品を成形できる熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および当該光反射体用部品に光反射金属層が直接形成された光反射体を提供する
【解決手段】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸エステルを0.05〜3質量部含有する熱可塑性樹脂組成物であって、当該熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量が50ppm以下である熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば自動車用ランプの光反射体(例えばハウジング、リフレクタ、エクステンション等)や、照明器具等の光反射体(例えばランプケース等)を構成する部品(光反射体用部品)に好適に使用される熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および当該光反射体用部品に光反射金属層が直接形成された光反射体に関する。
自動車用ランプ等に使用されるリフレクタやエクステンション等の光反射体は、該光反射体を構成する部品(以下、「光反射体用部品」という。)の表面に、光反射金属層が設けられて形成されるものである。このような光反射体用部品の材料として、従来、熱硬化性樹脂であるバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと略す)が使用されている。BMCは、耐熱性、寸法安定性に優れるものの、成形サイクルが長く、成形時のバリ等の処理に手間がかかり、生産性が低いという問題があった。こうした問題点を解決する手段として、熱可塑性樹脂を用いる検討が行われている。
熱可塑性樹脂を使った例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂に代表される結晶性樹脂や、ポリカーボネート樹脂に代表される非晶性樹脂等に、種々の強化材や充填材を配合した材料が使用されている。中でも、熱可塑性樹脂としてポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、これにガラス繊維及びタルクなどのフィラーを強化材として配合した組成物を用いる方法が広く採用されている。
しかしながら、上述した方法ではフィラーの浮き出しや離型不良により、組成物を成形してなる成形品(例えば、光反射体用部品など)の表面の平滑性が不十分であるため、成形品に光反射金属層を形成するに先立ってアンダーコート処理を施し、成形品表面を平滑にすることが必要であった。アンダーコート処理なしでは光反射金属層を形成させても鏡面が得られず、満足できる光反射体となりにくい。この様なアンダーコート処理は、塗料の乾燥工程が必要なだけでなく、アンダーコート材料に使用される溶剤の処理問題もあるため、環境負荷やコストの点で問題があった。
そこで、アンダーコート処理を必要としない方法として、近年、ダイレクト蒸着(直接蒸着)法が提案されている。ダイレクト蒸着法は、成形品の表面に直接金属を蒸着するか、またはプラズマ活性化処理を施した後に金属膜を蒸着させることにより、アンダーコート処理を施すことなく成形品表面に直接光反射金属層を形成させる方法である。この際、前記アンダーコート処理の場合と同様に、光反射金属層上に透明保護層を付与することが一般的である。
一方、近年では、輝度を高めるために高出力のランプを使用する傾向にあったり、意匠面からハウジング内の容積を小さく設計したりする場合がある。そのため、ヘッドランプ内の温度が上昇しやすくなり、光反射体の基材(すなわち、光反射体用部品)としても160〜180℃程度の高温下でも変形しない耐熱性が要求されるようになってきている。
しかし、ダイレクト蒸着法により製造された光反射体は、アンダーコート処理した光反射体と比較して、高温雰囲気で長時間保持されると光反射層が曇るといった、いわゆる加熱曇りが特に問題とされ、解決が望まれていた。
この加熱曇りの現象にはいくつかのタイプがある。例えば、(1)光反射体用部品の材料となる樹脂(基材樹脂)の熱変形(表面平滑性の低下)と、この熱変形による光反射体用部品と光反射金属層とが剥離する現象(ユズ肌状欠陥)、(2)基材樹脂の加熱分解ガスや、基材樹脂中の低分子量物および添加剤成分の滲み出しによって光反射金属層が剥離または変形する現象(白化)等である。
中でも上述した(1)の基材樹脂の熱変形(表面平滑性の低下)は光反射体用部品などの成形品の一次、二次収縮が主要な原因と考えられており、特に結晶性樹脂(熱可塑性ポリエステル樹脂等)を用いた場合に影響が大きい。具体的には、微細な金型傷を成形品が転写した場合、熱による二次収縮でその傷が顕著になったり、フィラーを配合した材料において、樹脂が二次収縮すると相対的に成形品表層部のフィラーが浮き出したように見えたりする現象である。
なお、エクステンション等の光反射体は大型化、形状が複雑化する傾向にあり、金型離型性、寸法安定性等の面から成形収縮率を低く抑えるフィラーを配合することが望ましいとされている。
これら加熱曇り(特に熱変形)の現象を解決するために種々の試みがなされており、例えば、ポリアルキレンテレフタレート系樹脂とポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂100質量部に、無機充填材として平均粒子径が0.3μmのタルクを3質量部配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照。)。該樹脂組成物によれば、微細なフィラーを用いることで二次収縮による外観の変化を抑制することができる。
また、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂に、無機充填材として屈折率αが1.61≦α≦2.5であり、平均粒子径が3μm以下である沈降性硫酸バリウムを2〜45質量部配合した樹脂組成物が提案されている(特許文献2参照。)。
しかし、特許文献1に記載されている樹脂組成物は、表面処理をしていない無機充填材を使用しているため樹脂とのなじみが悪く、また平均粒子径が0.3μmという非常に細かい粒子を使用しているため無機充填材同士が凝集しやすく、成形品表面の平滑性が十分に得られない場合があった。
また、特許文献2に記載されている樹脂組成物は、表面処理剤を付与した微細フィラーを配合しており、平滑性向上の点は改善されている。
ところで、成形品や光反射体には、外観に優れることも求められており、具体的には外観に深みのある光沢を付与することが要求されている。
特許文献2に記載の樹脂組成物のように、配合される微細な無機充填材が特定の屈折率を有する場合、鏡面金型(金型表面を♯14000で磨き上げたもの)を用いて成形した成形品は、金属蒸着した後に表面が深みのある高い光沢性を有する。従って、特許文献2に記載の樹脂組成物を用いて成形された成形品に光反射金属層を蒸着させた光反射体は、アンダーコート処理後に蒸着した光反射体に極めて近い外観を得られ、深みのある高い光沢性を有する。
しかし、特許文献2に記載の樹脂組成物より成形される成形品や光反射体には、アンダーコート処理後に蒸着した光反射体をさらに凌駕する平滑性と光沢性が求められるようになった。
この背景には、一つに、ヘッドランプ等の意匠性が高度化し、加熱曇りのさらなる低減化が求められていることが挙げられる。また、エクステンション等の光反射体を構成する光反射体用部品などの成形品が金属膜を蒸着して使用される以外に、従来は塗装により黒色や灰色の外観を成形品に付与していたが、最近では成形品生地のまま無塗装で使用される場合もあり、金属膜を蒸着しない成形品生地状態でも高い光沢性が必要とされることも、要因の一つである。そのため、特に成形品にはより高い平滑性と光沢性の両立が求められるようになっている。
このような成形品を得るためには金型の鏡面に高度な平滑性を与えればよく、♯14000レベルで金型を磨くことが必要と考えられているが、金型磨きの精度にも限界があり、基材樹脂のさらなる高性能化が求められている。
ところで、成形品はデザイン側の要求から大型化・複雑化される傾向にあり、成形時の離型不良(とられ、割れ等)が大きな問題となっている。生産性を考慮した場合、十分な金型離型性を有することが必要とされており、種々の離型剤を添加する試みがなされている。
例えば、結晶性ポリエステル樹脂に、ポリエチレン、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリエチレン−エチルアクリレート等のオレフィン系の離型剤/滑剤を添加する方法が提案されている(特許文献3参照。)。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンテレフタレート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物に、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ポリエーテル系化合物、脂肪酸金属塩類、トリメリット酸エステル類及びピロメリット酸エステル類から選ばれる1種又は2種以上の化合物を添加する方法が提案されている(特許文献4参照。)。
さらに、熱可塑性ポリエステル樹脂およびペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステルの多量体を含有するポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献5参照。)。
特開平11−241006号公報 特開2005−194300号公報 特開2003−183431号公報 特開2000−35509号公報 特開2006−117736号公報
しかしながら、特許文献3で用いられるポリオレフィン系の離型剤のうち、ポリエチレンは、加熱曇りの抑制が不十分となる傾向にあり、ポリエチレン−酢酸ビニル、ポリエチレン−エチルアクリレート等の共重合タイプは金型離型性が不十分となる傾向があった。また、離型剤の分子量が高くなるに連れて加熱曇りが改善される傾向にあるものの、金型離型性の改善は不十分であった。
一方、高級脂肪酸や高級脂肪酸エステルは離型剤として認知されており、高級脂肪酸エステルは加熱曇りも比較的良好な傾向にある。
しかしながら、特許文献4および5に記載された方法では、必ずしも加熱曇りを抑制することは十分ではなかった。
このように、離型剤を配合した樹脂組成物は、金型離型性には優れるものの、加熱曇りの抑制が不十分であった。
本発明の目的は、平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制した成形品を成形できる熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および当該光反射体用部品に光反射金属層が直接形成された光反射体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、加熱曇りの現象は、樹脂組成物中の低分子量成分が、光反射体用部品などの成形品の表面に滲み出ることが原因であることを見出した。例えば自動車用ランプの光反射体を構成する光反射体用部品の場合、ランプからの発熱により光反射体用部品中の樹脂オリゴマー、安定剤、離型剤等の各種添加剤、またはそれらの分解物が、光反射体用部品表面に移行することで、加熱曇りが発生する。
さらに本発明者らは鋭意検討した結果、加熱曇りの主要因となるものが、離型剤そのものまたはその原料、あるいは離型剤の分解物であることを突き止めた。そして、良好な金型離型性を発現する脂肪酸エステルにおいて、その原料の未反応物あるいは脂肪酸エステルの分解物である脂肪酸の含有量を低減することで、金型離型性を保持しつつ、加熱曇りを抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸エステルを0.05〜3質量部含有する熱可塑性樹脂組成物であって、当該熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量が50ppm以下である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、酸価が10mg/eq以下の(B)脂肪酸エステル0.05〜3質量部を溶融混練させる。
ここで、前記(B)脂肪酸エステルの水分率が0.1質量%以下であることが好ましい。
さらに、押出機を用いて−40kPa以下の減圧下で溶融混練を行うことが好ましい。
また、本発明の光反射体用部品は、前記熱可塑性樹脂組成物を用いて成形されたものである。
また、本発明の光反射体は、前記光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、光反射金属層が直接形成されたものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制した成形品を成形できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法によれば、安定して、簡便に本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、光反射体用部品を成形するのに特に好適である。
本発明の光反射体用部品は、上記熱可塑性樹脂組成物より成形されるので、平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制できる。
また、本発明の光反射体用部品によれば、加熱曇りを抑制できるので、光反射体用部品と、該光反射体用部品の表面に形成された光反射金属層との密着性に優れた光反射体が得られる。また、該光反射体は、平滑性と光沢性を両立すると共に、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂と(B)脂肪酸エステルを含有する。また、当該熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量が50ppm以下である。
本発明者らは、熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸の存在が、加熱曇り性の抑制(以下、「耐加熱曇り性」という場合がある。)を低下させる原因であることを突き止めた。そして、熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量を規定することで、該熱可塑性樹脂組成物を用いて成形される成形品が優れた耐加熱曇り性を有することを見出した。
すなわち、熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量が50ppm以下であれば、成形品の耐加熱曇り性が良好となり、該成形品はもちろんのこと、例えばこれを用いた光反射体の商品性が向上できる。
脂肪酸含有量は、30ppm以下が好ましく、20ppm以下がより好ましい。脂肪酸含有量が低くなる程、耐加熱曇り性が向上する。
このような熱可塑性樹脂組成物を得るためには、後述する(B)脂肪酸エステルの種類や配合量を調整したり、特定の物性を有する(B)脂肪酸エステルを用いたりすればよい。
ここで、熱可塑性樹脂組成物中の各成分について、説明する。
<(A)熱可塑性ポリエステル樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂を主成分とするものであり、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂組成物100質量%中、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の含有量の上限値については、特に制限はない。
本発明に用いられる(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としては、芳香族もしくは脂環式のジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体と、ジオールとを重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。ジオールとしては、メチレン鎖が2〜6であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレンジオールや、ビスフェノールAのエチレンオキサイド二付加物等が挙げられる。
このような熱可塑性ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、単独で用いてもよく、組成および/または分子量の異なるポリエステル系樹脂を併用した混合物を用いてもよい。
これらの中でも特に、成形性、外観、コストの観点から、(A−1)ポリブチレンテレフタレートと(A−2)ポリエチレンテレフタレートとを併用することが好ましい。これらを併用する場合の混合比率は、特に制限されないが、ポリエステル系樹脂100質量%中、(A−1)ポリブチレンテレフタレートが55〜95質量%、(A−2)ポリエチレンテレフタレートが5〜45質量%であることが好ましい。(A−1)ポリブチレンテレフタレートの含有量が55質量%以上であれば、成形サイクル時間を短縮でき生産性が良好となる傾向にある。また、含有量が95質量%以下であれば、得られる成形品の表面の平滑性が良好となる傾向にある。一方、(A−2)ポリエチレンテレフタレートの含有量が、5質量%以上であれば、成形品の表面の平滑性が良好となる傾向にある。また、含有量が45質量%以下であれば、成形サイクル時間を短縮でき生産性が良好となる傾向にある。
両成分の混合比率は、(A−1)ポリブチレンテレフタレートが60〜90質量%、(A−2)ポリエチレンテレフタレートが10〜40質量%であることがより好ましく、(A−1)ポリブチレンテレフタレートが70〜85質量%、(A−2)ポリエチレンテレフタレートが15〜30質量%であることが特に好ましい。
(A−1)ポリブチレンテレフタレートとしては、特に制限されず、ブチレンテレフタレート単位の単独重合体であってもよく、ブチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体であってもよい。
(A−1)ポリブチレンテレフタレートが共重合体の場合、共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分、および1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分が挙げられる。このような二塩基酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の芳香族もしくは脂肪族多塩基酸、またはそれらのエステル等が挙げられる。一方、グリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオベンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等のアルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド二付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド二付加物等のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
(A−1)ポリブチレンテレフタレートの分子量としては、特に制限されないが、分子量の指標としての25℃における還元粘度(ηsp/C)が0.70〜2.00であることが好ましく、より好ましくは0.80〜1.70であり、特に好ましくは0.90〜1.50である。還元粘度が0.70以上であれば、成形品の強度が良好となる傾向にある。一方、還元粘度が2.00以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性や、成形品の外観が良好となる傾向にある。
なお、還元粘度は、例えばウベローデ型粘度計を用いて測定される。
(A−2)ポリエチレンテレフタレートとしては、特に制限されず、エチレンテレフタレート単位の単独重合体であってもよく、エチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体であってもよい。
(A−2)ポリエチレンテレフタレートが共重合体の場合、共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分、およびエチレングリコール以外のグリコール成分が挙げられる。このような二塩基酸成分としては、先に例示した二塩基酸成分の中から1種以上を選択して用いることができる。一方、グリコール成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等のアルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド二付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド二付加物等のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
(A−2)ポリエチレンテレフタレートの分子量としては、特に制限されないが、分子量の指標としての固有粘度[η]が0.40〜1.00であることが好ましく、より好ましくは0.45〜0.90であり、特に好ましくは0.50〜0.80である。固有粘度が0.4以上であれば、成形品の強度が良好となる傾向にある。一方固有粘度が1.0以下であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性や、成形品の外観が良好となる傾向にある。
なお、固有粘度は、例えばウベローデ型粘度計を用いて測定される。
<(B)脂肪酸エステル>
本発明に用いられる(B)脂肪酸エステルは、離型剤の役割を果たす。
(B)脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜30の脂肪族炭化水素の酸成分と、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールおよびソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも一種の多価アルコール化合物とが反応したエステルが好ましく、酸成分が全部エステル化したものであってもよく、部分的にエステルしたものであってもよい。
前記酸成分としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モンタン酸等の高級脂肪族カルボン酸が挙げられ、これらの中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびモンタン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪族炭化水素が好ましい。
多価アルコール化合物としては、ジペンタエリスリトールが特に好ましい。
(B)脂肪酸エステルの含有量は、熱可塑性樹脂組成物より成形される成形品の金型離型性や耐加熱曇り性を考慮すると、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.05〜3質量部であり、0.08〜1.50質量部が好ましく、0.10〜0.80質量部がより好ましく、0.15〜0.50質量部が特に好ましい。(B)脂肪酸エステルの含有量が0.05質量部以上であれば、金型離型性が良好となる。一方、含有量が3質量部以下であれば、耐加熱曇り性が良好となる。
(B)脂肪酸エステルは、公知の方法により製造することができる。
ところで、脂肪酸エステル中には、通常、原料である脂肪酸が製造時の未反応物として微量ではあるが残留している。このような脂肪酸が微量に含まれる脂肪酸エステルを用いて熱可塑性樹脂組成物を製造すると、得られる熱可塑性樹脂組成物中にも、脂肪酸が含まれることとなる。上述したように、熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸の存在が、耐加熱曇り性を低下させる原因であるため、本発明においては、熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量を50ppm以下にすることが、耐加熱曇り性を向上させる点で重要である。
脂肪酸含有量が50ppm以下の熱可塑性樹脂組成物を得るには、上述した(A)熱可塑性ポリエステル樹脂に加えて、(B)脂肪酸エステルとして、特に酸価が10mg/eq以下の(B)脂肪酸エステルを用いればよい。(B)脂肪酸エステルの酸価は、6mg/eq以下が好ましく、4mg/eq以下がより好ましい。なお、酸価の下限については特に制限されない。
(B)脂肪酸エステルの酸価を10mg/eq以下に調整する方法としては、公知の方法を用いることができるが、例えば、分子蒸留法であれば、260℃以下で−99kPa以下の高真空下、好ましくは−99.9kPa以下の超高真空下にて、適宜時間を変更して蒸留を行えばよい。
(B)脂肪酸エステルは、その水分率を0.1質量%以下とすることで自身の加水分解が低減されるので、熱可塑性樹脂組成物の製造の際に脂肪酸が発生しにくくなる。(B)脂肪酸エステルの水分率は0.05質量%以下であることがより好ましく、特に好ましくは0.03質量%以下である。
また、(B)脂肪酸エステルは、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に、自身に含まれる水分により加水分解を起こして、脂肪酸を発生させる場合がある。そのため、多価アルコール化合物として、加水分解を起こし難く、嵩高い構造であるジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールおよびソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。中でも、高級脂肪酸からなるフルエステルが好ましく、特に熱可塑性樹脂組成物中の分散性とのバランスからジペンタエリスリトールが好ましい。
<他の樹脂>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて他の樹脂を含有させてもよい。他の樹脂としては、例えば(C)ビニル系の熱可塑性樹脂、(D)(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、(E)エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、本発明において(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
さらに、上述した(A)熱可塑性ポリエステル樹脂以外の非ビニル系の熱可塑性樹脂を含有させてもよく、このような熱可塑性樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく、種類の異なる熱可塑性樹脂を2種以上併用してもよい。
<(F)無機充填剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、成形品の大型化、形状複雑化に対して金型離型性、寸法安定性等が要求される点から、成形収縮率を低減し、耐熱性を向上させる(F)無機充填剤を含有させてもよい。
(F)無機充填剤の含有量は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、0.1〜40質量部が好ましく、0.2〜30質量部がより好ましく、0.4〜20質量部が特に好ましい。(F)無機充填剤の含有量が0.1質量部以上であれば、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂の結晶性を向上させるので、成形品の耐熱性がより良好となる傾向にある。一方、含有量が40質量部以下であれば、(F)無機充填剤の分散性が良好なものとなり、成形品の表面の平滑性がより良好となる傾向にある。
(F)無機充填剤としては、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、石英、タルク、マイカ、クレー、ハイドロタルサイト、黒鉛、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼライト、ドロマイト、セリサイト等が挙げられる。中でもタルク、硫酸バリウムが好ましい。これらの他の無機充填剤は、単独で用いてもよく、種類の異なる他の無機充填剤を2種以上併用してもよい。
(F)無機充填剤の屈折率としては特に制限されないが、1.61〜2.50が好ましく、1.62〜2.45がより好ましく、1.64〜2.43が特に好ましい。
屈折率が該範囲内であれば、成形品に光反射金属層をダイレクト蒸着法にて形成した場合に、得られる光反射体の光沢、外観が良好となる。
屈折率が該範囲内である(F)無機充填剤としては、硫化亜鉛(屈折率=2.37〜2.43)、酸化アンチモン(屈折率=2.09〜2.29)、酸化亜鉛(屈折率=2.01〜2.03)、鉛白(屈折率=1.94〜2.09)、リトポン(屈折率=1.84)、塩基性炭酸亜鉛(屈折率=1.70)、酸化マグネシウム(屈折率=1.64〜1.74)、硫酸バリウム(屈折率=1.64〜1.65)、バライト粉(屈折率=1.64〜1.65)等が挙げられる。耐加熱曇り性を向上させる点から、硫酸バリウムが好ましい。
硫酸バリウムとしては、沈降性硫酸バリウム、簸性硫酸バリウム等が挙げられ、成形品や光反射体の外観が良好となる点から、沈降性硫酸バリウムが好ましい。
なお、(F)無機充填剤の屈折率は、分光法等で測定される。
(F)無機充填剤の平均粒子径は、0.01〜3.0μmが好ましく、0.03〜1.5μmがより好ましく、0.05〜1.0μmが特に好ましい。
(F)無機充填剤の平均粒子径が0.01μm以上であれば、(F)無機充填剤の分散性がより良好となる傾向にある。平均粒子径が3.0μm以下であれば、成形品に光反射金属層をダイレクト蒸着法にて形成した場合に、光反射体の光沢、外観が良好となる。
(F)無機充填剤の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡法等で測定される。
(F)無機充填剤は、相溶性、分散性を高めるために表面処理されていてもよく、表面処理されていなくてもよい。(F)無機充填剤が表面処理されていなくても、良好な耐加熱曇り性を発現できる。なお、表面処理する場合は、ガス発生(フォギング)等の他の特性への影響を与えない程度に表面処理するのが好ましい。
表面処理としては、表面処理剤による処理、脂肪酸処理、SiO−Al処理等が挙げられる。表面処理剤としては、アミノシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤等が挙げられる。
<(G)その他>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、目的に応じて所望の特性を付与するために、本発明の効果を損なわない範囲で、熱可塑性樹脂に一般的に配合される公知の添加剤を含有させてもよい。
公知の添加剤としては、例えば、染料や顔料等の着色剤;熱安定性を改良するためのヒンダードフェノール系、フォスファイト系等の酸化防止剤;紫外線吸収剤;光安定剤;流動性を改質するためのピロメリット酸アルキルエステルやエポキシ化ダイズ油等の可塑剤;難燃剤;帯電防止剤等が挙げられる。中でもフォスファイト系の酸化防止剤は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂としてポリエステル樹脂を複数組み合わせたアロイ樹脂用いたり、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂を組み合わせたアロイ樹脂を用いたりする場合において、エステル交換反応を抑制する効果があり、加熱時の成形品からのガス発生(フォギング)、発生したガスに起因する白化などの外観不良、成形品の加熱着色や帯色等を抑制する。これらは特に無塗装で使用する用途において有用である。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、酸価が10mg/eq以下の(B)脂肪酸エステル0.05〜3質量部を溶融混練させることで製造できる。また、上述したように、水分率が0.1質量%以下の(B)脂肪酸エステルを用いるのが好ましい。
溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、公知の装置を使用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダ一等を使用することができる。この中でも、生産性、コストの観点から押出機を使用することが好ましい。
押出機は短軸、多軸、あるいはスクリュ形状に特に制限はないが、好ましくは二軸押出機が混練や真空ベントの効率の点から好ましい。真空ベント時は、−40kPa以下の減圧下で溶融混練することが好ましく、より好ましくは−60kPa以下であり、さらに好ましくは−80kPa以下であり、特に好ましくは−90kPa以下である。−40kPa以下の減圧下で溶融混練することで、主に(B)脂肪酸エステルから揮発した水分を速やかに除去できるので、(B)脂肪酸エステルの加水分解による脂肪酸の発生を抑制できる。従って、脂肪酸含有量が50ppm以下の熱可塑性樹脂組成物を、容易に製造することができる。
ただし、酸価が10mg/eqを超える(B)脂肪酸エステルを用いると、−40kPa以下の減圧下で溶融混練したとしても、熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸の除去が不十分となる場合があり、脂肪酸含有量が50ppm以下の熱可塑性樹脂組成物が得られにくくなる。
以上説明した本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、特定の(B)脂肪酸エステルを0.05〜3質量部配合して得られるので、脂肪酸含有量が50ppm以下である。このように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は脂肪酸含有量が軽減されているので、平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制した成形品を成形できる。
成形品としては特に制限されないが、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形品として光反射体用部品を成形する際に特に好適である。
以下、成形品の一例である光反射体用部品について説明する。
[光反射体用部品]
本発明の光反射体用部品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形したものである。
成形方法としては、特に制限されず、射出成形法、ガスアシスト成形法、冷熱サイクル成形法、ブロー成形法、押出成形法等の公知の方法を用いることができる。中でも、汎用性の観点から、射出成形法が好ましい。
光反射体用部品には、用途や目的に応じて着色(無塗装仕様)や塗装を施してもよい。
なお、金型の磨きを、磨き番手5000番(♯5000)以上、好ましくは♯10000以上としたり、クロムメッキ等の表面処理を行ったりすることで、光反射体用部品表面の平滑性や光沢性が増し、着色や塗装後に良好な外観を得ることが容易になる。また、後述する光反射体を製造するに際して、光反射体用部品を蒸着処理する場合においても、良好な外観の光反射体が得られやすくなる。
このようにして得られる光反射体用部品としては、例えば、自動車用ランプ(自動車のヘッドランプ、ターンシグナルランプ等)の光反射体を構成するランプ部品や、家電用ランプ(照明ランプ等)の光反射体を構成するランプ部品などが挙げられる。
以上説明した本発明の光反射体用部品は、脂肪酸含有量を軽減した本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形したものであるため、平滑性と光沢性を両立すると共に、金型離型性に優れ、耐熱性が良好で、高温環境下における加熱曇りを抑制できる。
なお、金型離型性は、例えば金型から光反射体用部品を離型する際の突出力(離型力)を測定することで評価できる。離型力が小さくなる程、金型離型性が良好であることを意味する。離型力としては、特に制限されないが、例えば500N以下であると、光反射体用部品を成形する際に良好な金型離型性を示し、離型時の割れや擦れをより低減できる傾向にあり、大型であったり複雑な形状であったりする光反射体用部品の生産性を向上できる。
[光反射体]
本発明の光反射体は、本発明の光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、光反射金属層が直接形成されたものである。
光反射体用部品に光反射金属層を直接形成させる方法としては、特に制限されず、蒸着等の公知の方法を用いることができる。以下、光反射体の製造方法の一例について説明する。
(1)まず、本発明の光反射体用部品を真空状態下の蒸着装置内に配し、アルゴン等の不活性ガスと酸素を導入して、光反射体用部品表面にプラズマ活性化処理を施す。(2)次に、蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電することで、装置のチャンバー内に誘導放電したプラズマによりスパッタした、光反射金属層を形成するスパッタ粒子(アルミニウム粒子等)を光反射体用部品に付着させる。(3)さらに、必要に応じて、蒸着したアルミニウム等の光反射金属層の保護膜として、珪素を含むガスをプラズマ重合処理法により、あるいは酸化珪素をイオンプレーティング法により、光反射金属層の表面に付着させる。
光反射金属層を形成する金属としては、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタンなどが挙げられ、これらの中でも特に環境に対する影響および経済性からアルミニウムが好ましい。また、光反射金属層の厚さは50〜100nm程度が好ましい。
このようにして得られる光反射体としては、例えば、自動車用ランプ(自動車のヘッドランプ、ターンシグナルランプ等)の光反射体(ハウジング、リフレクタ、エクステンション等)や、家電用ランプ(照明ランプ等)の光反射体(ランプケース等)などが挙げられる。
以上説明した本発明の光反射体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物より成形した光反射体用部品を用いて作製したものであるため、平滑性と光沢性を両立すると共に、耐熱性が良好であり、耐加熱曇り性に優れる。
また、本発明の光反射体は、加熱曇りを抑制した光反射体用部品を用いているので、光反射体用部品と、該光反射体用部品の表面に形成させた光反射金属層との密着性が良好である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は本実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、各種測定ならびに評価方法、および各実施例、比較例で用いた熱可塑性樹脂組成物を構成する材料について説明する。
[各種測定方法]
<還元粘度の測定>
(A−1)ポリブチレンテレフタレート0.25gに対し、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの1:1(質量比)混合溶媒(関東化学(株)製、「PTM−11」)50mLを添加し、190℃で10〜30分溶解して溶液を得た。得られた溶液(サンプル溶液)を25℃の恒温水槽中で3分間調温した後、ウベローデ型粘度計を用いて、25℃での標線間を通過する時間を測定し、下記式から還元粘度(ηsp/C)を求めた。
ηsp/C=(ηrel−1)/C =(T/T−1)/C
ただし、Tはサンプル溶液の毛細管標線通過時間(秒)であり、Tは混合溶媒の標線間通過時間(秒)であり、Cはサンプル溶液の濃度(g/dL)である。
<固有粘度の測定>
フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの1:1(質量比)混合溶剤を用い、濃度0.2g/dL、0.3g/dL、0.4g/dLの(A−2)ポリエチレンテレフタレートの溶液を調製した。各濃度の溶液の粘度を、ウベローデ型粘度計を用いて、温度25℃で測定し、得られた値をHugginsプロットにて濃度0g/dLに外挿して、固有粘度[η]を求めた。
<酸価の測定>
各(B)脂肪酸エステル2〜10gを精評して、エチルエーテル−エタノールの1:1(質量比)溶液に溶解させ、1/10Nの水酸化カリウム溶液にて滴定し、(B)脂肪酸エステルの酸価を求めた。
<水分率の測定>
JIS K 0068「カールフィッシャー滴定法」4.5項の水分気化法に準拠する方法で、(B)脂肪酸エステルの水分率を測定した。なお、水分率は乾燥後の質量に対する比率で表した。
<脂肪酸含有量の測定>
凍結粉砕した熱可塑性樹脂組成物2gを5mLのジエチルエーテルにて抽出し、抽出液を2μL採取し、ガスクロマトグラフィー(AGILENT社製、「6890」)と検出器「5975B−MSD」を用い、昇温速度20℃/minで40℃から300℃まで昇温し、その後10分間保持して得られたチャートのピーク面積により、熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量を算出した。なお、内部標準物質には安息香酸メチルを用い、ガスクロマトグラフィーにはフロンティアラボ社製のカラム(「UA−5」、長さ30m、内径0.25mm、液層膜厚0.25μm)を取り付けた。
[各種評価方法]
<耐加熱曇り性の評価>
光反射体用部品および光反射体を、熱処理器(タバイエスベック(株)製、「ギヤオーブンGPH(H)−100」)内にて160℃の熱風中に24時間放置し、熱処理を施した。熱処理前後の光反射体用部品および光反射体の外観を目視により観察し、下記評価基準で判定した。
◎:高光沢であり、かつ、曇りが観察されない。
○:光沢があり、かつ、曇りが観察されない。
△:曇りが部分的に確認でき、光反射体用部品または光反射体として使用困難。
×:曇りが全体に顕著に確認でき、光反射体用部品または光反射体として使用困難。
<金型離型性の評価>
各熱可塑性樹脂組成物のペレットを140℃で4時間乾燥した後、射出成形機((株)山城精密製、「SANJECT3601 60T」)と金型を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、射出時間10秒、冷却時間20秒、サイクル38秒の条件で、長さ50mm、内径45mm、肉厚3mm〜4mmの円筒(光反射体用部品)を射出成形した。
光反射体用部品を金型から離型する際の突出力(離型力)を圧力センサーにより測定した。なお、離型力が小さい程、金型離型性が良好であることを意味する。
[材料]
<(A)熱可塑性ポリエステル樹脂>
(A−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、「ノバデュラン5008」、還元粘度(ηsp/C)=1.01、酸価=42meq/kg。
(A−2)ポリエチレンテレフタレート樹脂:三菱レイヨン(株)製、「ダイヤナイトMA−521H」、固有粘度[η]=0.780。
<(B)脂肪酸エステル>
(B−1)ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:
理研ビタミン(株)製の脂肪酸エステル(「リケスターSL−02」、酸価30mg/eq)を超高真空下で分子蒸留を行い、(B−1)を得た。得られた(B−1)の酸価と水分率を測定したところ、酸価は1.4mg/eq、水分率は0.12質量%であった。
(B−2)ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:
理研ビタミン(株)製の脂肪酸エステル(「リケスターSL−02」、酸価30mg/eq)を高真空下で分子蒸留を行い、(B−2)を得た。得られた(B−2)の酸価と水分率を測定したところ、酸価は2.8mg/eq、水分率は0.18質量%であった。
(B−2)’ ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:
(B−2)を60℃、6時間で真空乾燥を行って(B−2)’を得た。得られた(B−2)’の酸価と水分率を測定したところ、酸価は2.8mg/eq、水分率は0.01質量%であった。
(B−3)ペンタエリスリトールテトラステアレート:理研ビタミン(株)製、「リケスターEW−440A」、酸価=2.4mg/eq、水分率=0.21質量%。
(B−4)ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:理研ビタミン(株)製、「リケスターSL−02」、酸価=30mg/eq、水分率=0.18質量%。
(B−5)ペンタエリスリトールテトラステアレート:理研ビタミン(株)製、「リケスターEW−400」、酸価=32mg/eq、水分率=0.21質量%。
(B−6)グリセリントリモンタネート:クラリアントジャパン(株)製、「Licomont WE4」、酸価=20mg/eq、水分率=0.19質量%。
<(B)脂肪酸エステル以外の離型剤>
(B−7)高分子量酸変性ポリエチレンワックス:クラリアントジャパン(株)製、「Licowax PE191」、酸価=10mg/eq。
(B−8)エチレンビスステアリルアミド:花王(株)製、「カオーワックス EB−P」、酸価=4mg/eq。
<(C)ビニル系の熱可塑性樹脂>
(C−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂:
蒸留水115質量部に、第三燐酸カルシウム1質量部と、デモールP(花王(株)製)0.001質量部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリロニトリル25質量部、スチレン75質量部、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.17質量部、ガファックGB−520(東邦化学工業(株)製)0.003質量部の混合物を加え、懸濁液状にした後、75℃に昇温し、240分間保持して重合を完結し、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(C−1)を得た。得られた(C−1)の単量体単位の比率は、アクリロニトリル/スチレン=34/66(質量比)であった。
(C−2)エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂:
蒸留水115質量部に、第三燐酸カルシウム1質量部と、デモールP(花王(株)製)0.001質量部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリロニトリル23質量部、スチレン76.7質量部、グリシジルメタクリレート0.3質量部、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.17質量部、ガファックGB−520(東邦化学工業(株)製)0.003質量部の混合物を加え、懸濁液状にした後、75℃に昇温し、240分間保持して重合を完結し、エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(C−2)を得た。得られた(C−2)の単量体単位の比率は、アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート=24.9/74.7/0.4(質量比)であった。
(C−3)マレイミド系共重合樹脂:
攪拌装置を備えた20Lの重合反応器に、窒素置換操作を施した後、N−フェニルマレイミド20質量部、スチレン40質量部、アクリロニトリル20質量部、メチルエチルケトン20質量部、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.05質量部を連続的に供給した。重合反応器内の温度を110℃に一定に保持しながら、平均滞在時間が2時間になるように重合反応器の底部に備えたギヤポンプにより重合反応液を連続的に抜き取り、引き続き該重合反応液を150℃に保持した熱交換器にて約20分滞在させた後、バレル温度を230℃に制御した2ベントタイプの30mmφの二軸押出機に導入した。第一ベント部を大気圧、第二ベント部を2.7kPaの減圧下にして揮発成分を除去し、ペレタイザーにてペレット化してマレイミド系共重合樹脂(C−3)を得た。得られた(C−3)の単量体単位の比率は、N−フェニルマレイミド/スチレン/アクリロニトリル=27/56/17(質量比)であった。
<(D)(メタ)アクリル酸エステル系樹脂>
攪拌機および還流冷却器を備えた反応容器内を窒素で置換した後、イオン交換水250質量部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム1.5質量部、過硫酸カリウム0.2質量部、メタクリル酸メチル80質量部、アクリル酸n−ブチルエステル20質量部の混合物を仕込み、再度、反応容器内を窒素で置換した後、攪拌下に反応容器を65℃に昇温して4時間加熱攪拌して、(D)(メタ)アクリル酸エステル系樹脂のラテックスを得た。得られたラテックスを冷却した後、塩化アルミニウム水溶液に加えて塩析凝固した後、洗浄、乾燥して(D)(メタ)アクリル酸エステル系樹脂を得た。
得られた(D)(メタ)アクリル酸エステル系樹脂0.05gを10mLのクロロホルムに溶解させ、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(島津製作所(株)製、「LC−10Aシステム」)において、カラム(昭和電工(株)製、「K−806L」)を用いて測定した重量平均分子量(Mw)は4500000であった。
<(E)エポキシ樹脂>
(E−1)フェノールノボラック型エポキシ樹脂:長春ジャパン(株)製、「スミーエポキシ ESCN−220HH」。
<(F)無機充填剤>
(F−1)沈降性硫酸バリウム:堺化学工業(株)製、「B−30」、平均粒子径=0.3μm(透過型電子顕微鏡法)、屈折率=1.64、PH=8.0。
(F−2)タルク:林化成(株)製、「SG2000」、平均粒子径(メジアン径)=1.1μm(レーザー回折法)、屈折率=1.60。
<(G)その他>
(G−1)フォスファイト系酸化防止剤:アデカ(株)製、「アデカスタブ PEP−36」。
(G−2)カーボンブラック:住化カラー(株)製、「ブラックEXC−8A1772」。
[実施例1]
<熱可塑性樹脂組成物の作製>
各材料を表1に示す配合量で配合し、V型ブレンダーで5分間混合均一化させて、熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物を、二軸押出機((株)池貝製、「PCM30」)に投入し、シリンダー温度を260℃、押出時のベント圧を−95kPaに設定し、吐出口より吐出させたストランドを冷却水槽で冷却し、ストランドカッターにてカットしてペレットを得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量を測定した。結果を表1に示す。
<光反射体用部品の製造>
得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを140℃で4時間乾燥した後、射出成形機((株)東芝製、「IS80FPB」)と金型(♯14000で磨き上げたもの)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度60℃、射出時間15秒、冷却時間15秒、サイクル35秒の条件で、厚み3mm、100mm角の平板(光反射体用部品)を射出成形した。
得られた光反射体用部品について耐加熱曇り性の評価を行った。また、先に例示した「金型離型性の評価」方法に基き、金型離型性の評価を行った。結果を表1に示す。
<光反射体の製造>
光反射体用部品に、下記方法によりアルミニウムを蒸着させ、光反射体を製造した。
まず、光反射体用部品を真空状態下の蒸着装置に配し、不活性ガス(アルゴン)と酸素を導入し、チャンバー内をプラズマ状態にして、光反射体用部品の表面を活性化させるプラズマ活性化処理を行った。次に、真空状態下の蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電して、チャンバー内に誘導放電によりプラズマを生成させた。生成したプラズマ中のイオンによりターゲットをスパッタし、ターゲットから飛び出したスパッタ粒子(すなわちアルミニウム粒子)を光反射体用部品の表面に付着させ、全面にアルミニウム蒸着膜(光反射金属層)を形成させた。アルミニウム蒸着膜の膜厚は80nmであった。
さらに、蒸着装置内を真空プラズマ状態にし、そこヘキサメチレンジシロキサンを導入し、プラズマ重合処理を行い、アルミニウム蒸着膜の保護膜として、二酸化珪素重合膜を形成させ、光反射体を作製した。二酸化珪素重合膜の膜厚は50nmであった。
得られた光反射体について、耐加熱曇り性の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2〜7]
各材料の種類とその配合量を表1に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を作製し、光反射体用部品および光反射体を製造し、各評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1〜7]
各材料の種類とその配合量を表2に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を作製し、光反射体用部品および光反射体を製造し、各評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009102581
Figure 2009102581
表1、2から明らかなように、本実施例の熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用部品は、高光沢であり、高温環境下においても耐加熱曇り性に優れていた。また、金型離型性も良好であった。
また、本実施例の光反射体用部品を用いて製造された光反射体は、高光沢であり、高温環境下においても耐加熱曇り性に優れていた。
一方、比較例1、2、および5は、酸価が20mg/eq以上と大きい(B)脂肪酸エステル(B−4およびB−5)を使用したため、得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量が実施例に比べて多かった。このような熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用部品は、高温環境下における耐加熱曇り性が実施例に比べて劣っていた。また、該光反射体用部品を用いて製造された光反射体も、高温環境下における耐加熱曇り性が劣っていた。
比較例3は、(B)脂肪酸エステルの配合量が比較例1に比べて少なかったため、得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量が低減され、高温環境下における耐加熱曇り性が実施例と同程度の光反射体用部品が得られたが、(B)脂肪酸エステルの配合量が少なすぎたため、金型離型性が実施例に比べて劣っていた。
比較例4は、実施例1に比べて(B)脂肪酸エステルの配合量が多かったため、得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量が著しく増加した。そのため、得られた光反射体用部品は、金型離型性は良好であったものの、耐加熱曇り性が実施例に比べて顕著に劣っていた。また、該光反射体用部品を用いて製造された光反射体も、耐加熱曇り性が顕著に劣っていた。
比較例6は、(B)脂肪酸エステルの代わりに、(B−7)高分子量酸変性ポリエチレンワックスを使用したため、得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量は0ppmであったが、該熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用部品は、高温環境下における耐加熱曇り性、および金型離型性が実施例に比べて劣っていた。また、該光反射体用部品を用いて製造された光反射体も、耐加熱曇り性が劣っていた。
比較例7は、(B)脂肪酸エステルの代わりに、(B−8)エチレンビスステアリルアミドを使用したため、得られた熱可塑性樹脂組成物中の脂肪酸含有量は39ppmと低減されていたが、該熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用部品は、高温環境下における耐加熱曇り性、および金型離型性が実施例に比べて劣っていた。また、該光反射体用部品を用いて製造された光反射体も、耐加熱曇り性が劣っていた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、脂肪酸含有量が低減されているため、加熱曇り性が著しく改善され、金型離型性が良好な成形品を成形できる。特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、自動車用ランプの光反射体、例えばハウジング、リフレクタ、エクステンションや、照明器具の光反射体を構成する光反射体用部品の材料として好適である。

Claims (6)

  1. (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸エステルを0.05〜3質量部含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    当該熱可塑性樹脂組成物の脂肪酸含有量が50ppm以下である熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法であって、
    (A)熱可塑性ポリエステル樹脂100質量部に対して、酸価が10mg/eq以下の(B)脂肪酸エステル0.05〜3質量部を溶融混練させる熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  3. 前記(B)脂肪酸エステルの水分率が0.1質量%以下である請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  4. 押出機を用いて−40kPa以下の減圧下で溶融混練を行う請求項2または3に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  5. 請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて成形された光反射体用部品。
  6. 請求項5に記載の光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、光反射金属層が直接形成された光反射体。
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