JP2003012903A - 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体 - Google Patents

熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体

Info

Publication number
JP2003012903A
JP2003012903A JP2002125703A JP2002125703A JP2003012903A JP 2003012903 A JP2003012903 A JP 2003012903A JP 2002125703 A JP2002125703 A JP 2002125703A JP 2002125703 A JP2002125703 A JP 2002125703A JP 2003012903 A JP2003012903 A JP 2003012903A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
thermoplastic polyester
resin composition
parts
polyester resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002125703A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinobu Fujie
忍 藤江
Yoshihiko Azuma
良彦 東
Haruo Ueda
治夫 植田
Tamae Takagi
珠衣 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2002125703A priority Critical patent/JP2003012903A/ja
Publication of JP2003012903A publication Critical patent/JP2003012903A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Non-Portable Lighting Devices Or Systems Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物から形成
される成形品に金属蒸着して、成形性、表面平滑性、耐
熱性、金属との密着性が良好で高温環境下でも蒸着膜に
曇りを生じにくい光反射体を開発する。 【解決手段】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100
質量部に対し、ポリオルガノシロキサン成分とポリアル
キル(メタ)アクリレートゴム成分を含有する複合ゴム
に、1種以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複
合ゴム系グラフト重合体(B−1)又はオルガノシロキ
サン構造をもった化合物(B−2)の少なくとも一方
(B)1〜10質量部、並びにエポキシシラン処理した
平均粒子径0.5〜4μmの無機強化材(C)5〜45
質量部を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及
び当該樹脂組成物からなる成形品に直接光反射金属層を
形成した熱可塑性ポリエステル樹脂製反射体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用ランプの
ハウジング、リフレクター、エクステンション、照明器
具のハウジング等光反射体用熱可塑性ポリエステル系樹
脂組成物及び当該可塑性ポリエステル系樹脂組成物の成
形品に直接光反射金属層が形成された熱可塑性ポリエス
テル系樹脂製反射体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から自動車用ランプ等に使用される
リフレクターやエクステンションの材料としては、鋼材
に変わって熱硬化性樹脂であるBMC(バルクモールデ
ィングコンパウンド)が使用されている。BMCは耐熱
性、寸法安定性等に優れるものの、成形サイクルがなが
く、成形時のバリ等の処理に手間がかかり、生産性が低
いという問題点がある。こうした問題点を解決する手段
として、熱可塑性樹脂を用いる検討が行われてきてい
る。熱可塑性樹脂を使った例としては、ポリブチレンテ
レフタレート樹脂単独又はこれとポリエチレンテレフタ
レート樹脂との混合物に種々の強化材を配合した材料が
使用されている。例えば、特開昭61−133234号
公報においては、ポリアルキレンテレフタレートに微粉
末フィラーを強化材として用いる方法が提案されている
が、フィラーの浮だしや離型不良により表面平滑性が不
充分であり、成形品表面にプライマーを用いない場合は
表面平滑性が必ずしも満足できるものではない。この様
なプライマー処理は工程が余分にかかることと、プライ
マーに使用される溶剤の処理の問題、更に塗料の乾燥が
必要であるので、余分なエネルギーが必要になり、ま
た、環境に与える負荷が大きいという問題がある。この
様なプライマー処理を必要としない方法として、近年、
ダイレクト蒸着(直接蒸着)法が提案されている。この
ダイレクト蒸着法は、基材に直接金属を蒸着するか、基
材にプラズマ活性化処理を施した後に金属膜を形成させ
るため、これまで以上に基材の表面平滑性が求められる
ようになった。
【0003】更に、最近では、輝度を高めるために高出
力のランプを使用する傾向にあり、ヘッドランプ内の温
度が上昇し、反射板の基材として160〜180℃の耐
熱温度を要求されるようになってきた。この様な高温の
環境下で長時間使用された場合、蒸着膜が曇る問題があ
った。この様な光反射体における表面平滑性、耐熱性、
長時間の使用でもダイレクト蒸着面の白濁が少ないとい
う要求に応じるために、種々の試みがなされており、特
開平12−35509号公報にみられる様に末端カルボ
キシル基量を規定したPBTを使用することにより発生
ガスを抑えることにより蒸着膜の曇りを低減化したり、
特開平11−242006号公報のごとくポリアルキレ
ンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂、シリコ
ンオイル、粉末状フィラーからなる光反射体が提案され
ているが、末端のカルボキシル基量を減らしても、成形
時に受ける熱履歴によりカルボキシル基が生成してしま
うために、根本的な解決にならず、蒸着膜の安定性に欠
ける。また、ポリカーボネート樹脂との混合物では、成
形流動性が悪いために成形品の肉厚を厚くしたりゲート
点数が増えたり、十分な平滑性が得られないという問題
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性ポリエステル系樹脂組成物から形成される成形品に
金属蒸着して、成形性、表面平滑性、耐熱性、金属との
密着性が良好で高温環境下でも蒸着膜に曇りを生じにく
い光反射体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の要旨は、
熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し
て、ポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分を含む複合ゴムに1種又はそ
れ以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複合ゴム
系グラフト重合体(B−1)及びオルガノシロキサン構
造をもった化合物(B−2)の内の少なくとも一方
(B)1〜10質量部並びにエポキシシラン処理した平
均粒子径0.5〜4μmの無機強化材(C)5〜45質
量部を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物
(1)にある。上記組成物(1)は、更にアクリロニト
リルスチレン樹脂(D)を熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)100質量部に対して5〜10質量部含有する樹
脂組成物(2)が好ましい態様である。
【0006】また、熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物
(1)又は(2)は、それぞれ離型剤(E)を熱可塑性
ポリエステル樹脂(A)100質量部に対して0.05
〜2質量部含む樹脂組成物(3)又は(4)であること
が好ましい態様である。また、上記熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂組成物(1)〜(4)は、熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)がポリブチレンテレフタレート樹脂(A−
1)とポリエチレンテレフタレート樹脂(A−2)を含
む混合物であり、ポリエステル樹脂(A)の中のこれら
樹脂(A−1)と(A−2)の比率はポリブチレンテレ
フタレート樹脂(A−1)が55〜95質量%、ポリエ
チレンテレフタレート樹脂(A−2)が45〜5質量%
であることが好ましい態様である。
【0007】さらに、本発明の第2の要旨は、前記熱可
塑性ポリエステル系樹脂組成物(1)〜(4)のいずれ
かを成形して成形品とし、当該成形品の少なくとも一部
に直接光反射金属層を形成して得られた熱可塑性ポリエ
ステル系樹脂製光反射体にある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の樹脂組成物の構成
成分について順次詳しく説明する。まず、上記熱可塑性
ポリエステル樹脂(A)の例としては芳香族、あるいは
脂環式のジカルボン酸又はその誘導体とポリオールを重
縮合して得られるポリエステルが挙げられる。ジカルボ
ン酸の例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等があ
げられる。ポリオールの例としてはメチレン鎖が2〜6
であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、プ
ロパンジオール、ブタンジオール、のごときポリアルキ
レンジオール、ビスフェノールAのポリエチレングリコ
ール及び/又はポリプロピレングリコールの付加体等が
挙げられる。
【0009】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナ
フタレート等を、単体でも、その混合物としても用いる
ことができる。特に、成形性、外観、経済性の観点から
ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレ
ートの混合物が好適である。その比率は、熱可塑性ポリ
エステル樹脂(A)中の質量%で、ポリブチレンテレフ
タレート(A−1)95〜5質量%、ポリエチレンテレ
フタレート(A−2)5〜45質量%が特に好ましい。
ポリエチレンテレフタレートの比率が50質量%を超え
るとサイクル時間が延びる等の成形性が悪化し、5質量
%未満では、成形品の表面平滑性が悪化する。
【0010】ポリブチレンテレフタレート(A−1)
は、繰り返し単位中ブチレンテレフタレート単位を70
質量%以上含有する共重合体であってもよい。共重合さ
れるモノマーとしては、テレフタル酸及びその低級アル
コールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族、若しくは芳
香族多塩基酸又はそれらのエステル等が挙げられる。ま
た、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分とし
ては、通常のアルキレングリコール、例えばエチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−オクタンジーオール等の低級アルキレン
グリコール、ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールA
のエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールA
のプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオ
キサイド付加体アルコール、グリセリン、ペンタエリス
リトール等のポリヒドロキシ化合物又はそれらのエステ
ル形成性誘導体が挙げられる。本発明では、上記のごと
き化合物をモノマー成分として重縮合により生成するポ
リブチレンテレフタレートはいずれも本発明の(A−
1)成分として使用することができる。また、このポリ
ブチレンテレフタレートの20℃で測定した極限粘度
[η]は0.5〜1.0が好ましい。極限粘度が0.5
未満の場合には、得られた成形品の強度が低下する傾向
があり、1.0を超えると流動性低下による成形品の表
面平滑性が問題になる場合がある。
【0011】次に、ポリエチレンテレフタレート樹脂
(A−2)とはテレフタル酸又はそのエステル誘導体と
炭素数2のアルキレングリコール(エチレングリコー
ル)又はその誘導体を重縮合させて得られるポリマーで
あり、繰り返し単位中エチレンテレフタレート単位を7
0質量%以上含有する共重合体であってもよい。共重合
されるモノマーとしては、テレフタル酸及びその低級ア
ルコールエステル以外のニ塩基酸成分として、イソフタ
ル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、トリメリット酸、コハク酸等の脂肪族、若しくは芳
香族多塩基酸又はそれらのエステル誘導体等が挙げられ
る。エチレングリコール以外のグリコール成分として
は、通常のアルキレングリコール、例えばジエチレング
リコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール、1,3−オクタンジーオール等の低級アルキレン
グリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキ
シビフェニル等の芳香族アルコール;ビスフェノールA
のエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールA
のプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオ
キサイド付加体アルコール;及びグリセリン、ペンタエ
リスリトール等のポリヒドロキシ化合物又はそのエステ
ル形成性誘導体が挙げられる。本発明では、上記のごと
き化合物をモノマー成分として重縮合により生成するポ
リエチレンテレフタレートはいずれも(A−2)成分と
して使用することができる。これらポリエチレンテレフ
タレート(A−2)成分は、流動性や外観に与える影響
から20℃で測定した極限粘度数[η]が0.5〜1.
0の範囲のものが好ましい。
【0012】(B)成分の一方である複合ゴム系グラフ
ト共重合体(B−1)は、ポリオルガノシロキサンゴム
成分とポリアルキル(メタ)アクリレート成分を含む複
合ゴムに、1種以上のビニル系単量体がグラフト重合さ
れた共重合体を主成分とする。複合ゴムに含まれる2種
類の成分は、複合ゴム中ポリオルガノシロキサンゴム成
分が1〜99質量%、ポリアルキル(メタ)アクリレー
ト成分が99〜1質量%の範囲で含まれることが好まし
く、成形品の外観性の点からポリオルガノシロキサンゴ
ム成分が30〜95質量%の範囲がより好ましく、更に
は50〜90質量%がより好ましい。複合ゴムはどのよ
うな方法で製造されてもよいが、乳化重合法が最適であ
り、まず、ポリオルガノシロキサンのラテックスを調製
し、次にアルキル(メタ)アクリレートの合成用単量体
をポリオルガノシロキサンラテックスの粒子に含浸させ
てから前記合成用単量体を重合するのが好ましい。
【0013】複合ゴムを構成するポリオルガノシロキサ
ンゴム成分は、以下に示すオルガノシロキサン及び架橋
剤(CI)を用いて乳化重合により調製することがで
き、その際、更にグラフト交叉剤(GI)を併用するこ
ともできる。オルガノシロキサンとしては、3員環以上
の各種の環状体が挙げられ、好ましく用いられるのは3
〜6員環である。例えば、ヘキサメチルシクロトリシロ
キサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメ
チルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキ
サシロキサン、トリメチルトリフェニルシクロトリシロ
キサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロ
キサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン等が挙
げられ、これらは単独で又は2種以上混合して用いられ
る。これらの使用量はポリオルガノシロキサン成分中5
0質量%以上が好ましく、更には70質量%以上が好ま
しい。
【0014】架橋剤(CI)としては、3官能性又は4
官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチル
シラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキ
シシラン、テトラブトキシシラン等が用いられる。特に
4官能性の架橋剤が好ましく、この中でもテトラエトキ
シシランが特に好ましい。架橋剤の使用量はポリオルガ
ノシロキサン成分中0.1〜30質量%の範囲が好まし
い。
【0015】グラフト交叉剤(GI)としては、次式で
表される単位を形成し得る化合物等が用いられる。 CH2=C(R2)−COO−(CH2)p−SiR1 n(3-n)/2・・・(GI−1) CH2=CH−SiR1 n(3-n)/2・・・(GI−2) CH2=C(R2)−C64−SiR1 n(3-n)/2 ・・・(GI−3) HS−(CH2)p−SiR1 n(3-n)/2・・・(GI−4) (各式中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基又は
フェニル基、R2は水素原子又はメチル基、nは0、1
又は2、pは1〜6を表す。)
【0016】上記式(GI−1)の単位を形成し得る
(メタ)アクリロイルオキシシロキサンは、グラフト効
率が高いので有効なグラフト鎖を形成することが可能で
あり、柔軟性発現の点で有利であり、メタクリロイルオ
キシシロキサンが特に好ましい。メタクリロイルオキシ
シロキサンの具体例としては、β−メタクリロイルオキ
シエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−
メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラ
ン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチ
ルシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシ
メチルシラン等が挙げられる。
【0017】上記式(GI−2)の単位を形成し得るも
のとしてビニルシロキサンが挙げられ、具体例として
は、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン
が挙げられる。上記式(GI−3)の単位を形成し得る
ものとしてp−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン
が挙げられる。又、式(GI−4)の単位を形成し得る
ものとして、γ−メルカプトプロピルジメトキシメチル
シラン、γ−メルカプトプロピルメトキシジメチルシラ
ン、γ−メルカプトプロピルジエトキシメチルシラン等
が挙げられる。グラフト交叉剤の使用量はポリオルガノ
シロキサン成分中、0〜10質量%が好ましく、更には
0.5〜5質量%が好ましい。
【0018】このポリオルガノシロキサンゴム成分のラ
テックスの製造は、例えば、米国特許第2,891,92
0号明細書、同第3,294,725号明細書等に記載さ
れた方法を用いることができる。本発明の実施では、例
えば、オルガノシロキサンと架橋剤(CI)及び所望に
よりグラフト交叉剤(GI)の混合溶液とを、アルキル
ベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸等のスルホン
酸系乳化剤の存在下で、例えば、ホモジナイザー等を用
いて水と剪断混合する方法により製造することが好まし
い。アルキルベンゼンスルホン酸はオルガノシロキサン
の乳化剤として作用すると同時に重合開始剤ともなるの
で好適である。この際、アルキルベンゼンスルホン酸金
属塩、アルキルスルホン酸金属塩等を併用するとグラフ
ト重合を行う際にポリマーを安定に維持するのに効果が
あるので好ましい。
【0019】複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)
アクリレート成分は、以下に示すアルキル(メタ)アク
リレート、架橋剤(CII)及びグラフト交叉剤(GII)
を用いて合成することができる。アルキル(メタ)アク
リレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の
アルキルアクリレート及びヘキシルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタク
リレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、特
に、n−ブチルアクリレートの使用が好ましい。
【0020】架橋剤(CII)としては、例えば、エチレ
ングリコールジメタクリレート、プロピレングリコール
ジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタ
クリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレ
ート等が挙げられる。グラフト交叉剤(GII)として
は、例えば、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌ
レート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
なお、アリルメタクリレートは架橋剤として用いること
もできる。
【0021】これら架橋剤及びグラフト交叉剤は単独で
あるいは2種以上併用して用いられる。これら架橋剤及
びグラフト交叉剤の合計の使用量はポリアルキル(メ
タ)アクリレート成分中0.1〜20質量%が好まし
い。ポリアルキル(メタ)アクリレート成分の合成のた
めの重合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム等のアルカリの水溶液の添加により中和され
たポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に、上記
アルキル(メタ)アクリレート、架橋剤及びグラフト交
叉剤を添加し、ポリオルガノシロキサン粒子へ含浸させ
た後、通常のラジカル重合開始剤を作用させて行う。重
合の進行と共にポリオルガノシロキサン成分とポリアル
キル(メタ)アクリレート成分との複合ゴムのラテック
スが得られる。なお、本発明の実施に際しては、この複
合ゴムとしてポリオルガノシロキサンゴム成分の主骨格
がジメチルシロキサンの繰り返し単位を有し、ポリアル
キル(メタ)アクリレート成分の主骨格がn−ブチルア
クリレートの繰り返し単位を有する複合ゴムが好ましく
用いられる。
【0022】この複合ゴムにグラフト重合させるビニル
系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物;メチルメタ
クリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメ
タクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアク
リレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エス
テル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシア
ン化ビニル化合物等の各種のビニル系単量体が挙げら
れ、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いら
れる。これらビニル系単量体のうちメタクリル酸エステ
ルが好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
【0023】複合ゴム系グラフト共重合体(B−1)に
おける複合ゴムとビニル系単量体の割合は、このグラフ
ト共重合体の質量を基準にして複合ゴム5〜95質量
%、ビニル系単量体5〜95質量%が好ましく、更には
複合ゴム25〜90質量%、ビニル系単量体10〜75
質量%が好ましい。ビニル系単量体が5質量%未満では
樹脂組成物中でのグラフト共重合体の分散性が悪くな
り、又、95質量%を超えると柔軟性が著しく低下す
る。複合ゴム系グラフト重合体(B−1)は、ビニル系
単量体を複合ゴムのラテックスに加えラジカル重合技術
によって一段であるいは多段で重合させて得られる。グ
ラフト共重合体ラテックスは、好ましくは塩化カルシウ
ム、酢酸カルシウム、又は硫酸マグネシウム等の金属塩
を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固することにより
分離、回収することができる。このポリオルガノシロキ
サン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
とからなる複合ゴムに1種又は2種以上のビニル系単量
体がグラフトされてなる複合ゴム系グラフト共重合体が
配合されていることにより、成形品の外観を損なうこと
なく、蒸着膜の加熱後の曇りを抑制することができる。
【0024】上記のようにして得られた複合ゴム系グラ
フト共重合体に代えて、又はこれと混和してオルガノシ
ロキサン構造を持った化合物(B−2)を用いることも
できる。このオルガノシロキサン構造を持った化合物の
例としては、下記式(I)で示されるものが挙げられ
る。式(I)中、Rはそれぞれ独立に水素原子、フェニ
ル基又はアルキル基を表し、pは1以上の整数である。
該式(I)中のアルキル基としては、炭素原子数1〜5
のものが好ましく、メチル基、エチル基等が挙げられ
る。
【0025】
【化1】
【0026】複合ゴム系グラフト共重合体及び/又はオ
ルガノシロキサン化合物(B)の配合量は、熱可塑性ポ
リエステル樹脂(A)100質量部に対して0.1〜1
0質量部が好ましい。0.1質量部未満の場合は加熱後
の曇りが発生し、10質量部を超えると良好な外観が得
られないおそれがある。より好ましくは0.1〜6質量
部である。本発明に用いられる無機強化材(C)の無機
フィラーとしては、例えば、石英、タルク、カオリン、
マイカ、クレー、ハイドロタルサイト、雲母、黒鉛、ガ
ラスビーズ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バ
リウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネ
シウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、酸化珪素、チタン酸カルシウム、チタン
酸マグネシウム、チタン酸バリウム等が挙げられる。中
でも、タルク、カオリン、マイカが耐熱性、剛性向上に
効果が高く好ましい。
【0027】前記無機フィラーの処理に用いるエポキシ
シラン処理剤としては、γ−グリキドキシプロピル−ト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロへキ
シル−トリエトキシシラン等が良い。処理量としては、
無機フィラー100質量部に対して0.1〜2質量部の
範囲で付着させたものが良い。0.1質量部未満の場合
には、成形品の表面外観が悪化しフィラーの分散不良に
よるフィラーの浮き出しや成型品表面に蒸着して金属皮
膜が加熱後に曇る恐れがあり、2質量部を超える場合に
は、コンパウンド物の流動性が悪化する恐れがある。安
定した外観と成形性を得るためには、処理量は0.5〜
1.5質量部がより好ましい。
【0028】エポキシシラン処理剤の無機フィラーに対
する処理方法は特に限定されない。この方法の例とし
て、処理剤をメタノール等の有機溶媒に溶解後、無機フ
ィラーに均一に噴霧後、加熱乾燥させてつくるか、ヘン
シェルミキサー等に目的とする量の処理剤と無機フィラ
ーを入れて混合する方法が挙げられる。この場合、無機
フィラー表面に処理剤を均一に付着させることが重要で
ある。より好ましくは、80%エタノールで20%程度
に希釈したエポキシシラン処理剤を無機フィラーに噴霧
後、50〜70℃で乾燥させて無機強化材(C)を作る
ことが望ましい。更に、無機フィラーの押出し機への供
給安定性を確保するために、この、無機フィラーを嵩密
度 0.3〜0.5g/mlに圧縮して使うこともでき
る。無機強化材(C)の粒子径としてはレーザー回折法
によって測定した平均粒子径として0.5〜4μmの粒
子径が好ましい。0.5μm未満であると紛体としての
取り扱い性及び樹脂の耐熱性向上効果が低くなる恐れが
あり、4μmを超える粒子径であると成形品の表面平滑
性が悪化する恐れがある。無機強化材(C)の配合量
は、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対
して5〜45質量部が好ましい。5質量部未満であると
十分な耐熱性が得られない恐れがあり、45質量部を超
えると分散状態が悪化し良好な表面外観が得られない恐
れがある。
【0029】本発明に用いるアクリロニトリルスチレン
共重合体(D)は、成形品を軽量化する非晶性の成分と
して配合することができる。アクリロニトリルとスチレ
ンの比率は質量比でアクリロニトリル/スチレン=20
/80〜45/55が好ましいが、25/75〜35/
65がより好ましい。アクリロニトリルスチレン共重合
体(D)の製造方法は特に限定されないが、懸濁重合、
乳化重合、溶液重合、バルク重合、等が挙げられる。ア
クリロニトリルスチレン共重合体(D)の分子量は、テ
トラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションク
ロマトグラフィーでポリスチレン換算の質量平均分子量
で50000〜200000が好ましい。アクリロニト
リルスチレン共重合体(D)の配合量は、熱可塑性ポリ
エステル樹脂(A)100質量部に対して5〜10質量
部が好ましい。5質量部未満では成形品を軽量化する効
果が少ない。10質量部を超えると樹脂組成物の耐熱性
が低下するおそれがある。
【0030】本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成
物を成形して、例えば光反射体に使用する場合、この熱
可塑性ポリエステル系樹脂組成物は離型剤(E)を含有
することが好ましい。この離型剤(E)としては、脂肪
酸エステル、その部分ケン化物、脂肪族炭化水素系ワッ
クス、又はこれらのいずれかの2つ以上の混合物が好ま
しい。具体的には、グリセリン脂肪酸エステル類、ソル
ビタン脂肪酸エステル類、若しくはそれらの部分ケン化
物、若しくはヘキストワックスPE520、PE13
0、PE190等のポリエチレン系ワックス、又はそれ
らの混合物が好ましい。これら離型剤は、成形時におけ
る成形物の離型性をたかめ、良い外観の成形品を得る上
で重要である。
【0031】前記部分ケン化のためにアルカリ水酸化物
が使用される。その例としては、水酸化ナトリウム、水
酸化カルシウム等の周期律表におけるIa族あるいはII
a族の水酸化物が好ましい。上記離型剤の配合量は熱可
塑性ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し0.0
5〜2質量部であることが好ましい。配合量が0.05
質量部未満の場合には良好な外観をもつ成形品が得られ
ない恐れがあり、配合量が2質量部を超える場合には、
樹脂の分解を引き起こす恐れがある。更に本発明の熱可
塑性ポリエステル系樹脂組成物には、その目的に応じて
所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂に配
合される公知の物質を配合併用することができる。すな
わち、染料や顔料等の着色剤、熱安定性を改良するため
の酸化防止剤、流動性を改質するためのピロメリット酸
アルキルエステルやエポキシ化ダイズ油等の可塑剤等を
配合することができる。
【0032】本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成
物の調製は、従来の樹脂組成物の調製法として一般に用
いられる設備と方法により容易に調製される。その内で
も樹脂組成物を製造するための方法は溶融混練法が好ま
しい。用いうる調製装置としては、押出し機、バンバリ
ーミキサー、ローラー、ニーダー等を挙げることができ
る。
【0033】本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成
物の成形の方法にも特に制限はなく、通常の方法が使用
できる。具体的な例としては、射出成形、ガスアシスト
成形、冷熱サイクル成形、ブロー成形、押出成形、等が
挙げられる。なかでも射出成形が好ましい。本発明にお
いて、光反射体を製造する方法としては、まず成形品
を真空状態下の蒸着装置に置きアルゴン等の不活性ガス
と酸素を導入することにより、成形品表面にプラズマ活
性化処理をほどこす。次に蒸着装置内においてターゲ
ットを担持した電極に通電することでチャンバ内に誘導
放電したプラズマによりスパッタしたスパッタ粒子(ア
ルミ粒子)を成形体に付着させる。更に、アルミニウ
ム蒸着膜の保護膜として珪素を含むガスをプラズマ重合
処理する方法、あるいは、酸化珪素をイオンプレーティ
ング法によりアルミニウム蒸着膜の表面に付着させるこ
とが好ましい。
【0034】
【実施例】次に、実施例により、本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (1)試料の調製方法 以下に示す成分を、表1〜表4に示す割合で配合し、V
型ブレンダーで5分間混合均一化させてシリンダー温度
260℃で直径30mmのベント付き2軸押出機に投入
しペレットを得た。 1)PBT(A−1):極限粘度 0.7 カルボン酸
量 30meq/kgのポリブチレンテレフタレート 2)PBT(A−2):極限粘度 0.9 カルボン酸
量 60meq/kgのポリブチレンテレフタレート 3)PET(A−3):極限粘度 0.6のポリエチレ
ンテレフタレート
【0035】4)ポリオルガノシロキサン/アクリル複
合ゴム系グラフト共重合体(B−1) イ)複合ゴム系グラフト共重合体(B−1)の製造 テトラエトキシシラン2質量部、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルジメトキシメチルシラン0.5質量部及び
オクタメチルシクロテトラシロキサン97.5質量部を
混合し、シロキサン混合物100質量部を得た。ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼン
スルホン酸をそれぞれ1質量部溶解した蒸留水200質
量部に上記混合シロキサン100質量部を加え、ホモミ
キサーにて10,000rpmで予備撹拌した後、ホモ
ジナイザーにより300kg/cm2 の圧力で乳化、分
散させ、オルガノシロキサンラテックスを得た。この混
合液をコンデンサー及び撹拌翼を備えたセパラブルフラ
スコに移し、混合撹拌しながら80℃で5時間加熱した
後20℃で放置し、48時間後に水酸化ナトリウム水溶
液でこのラテックスのpHを7.4に中和し、重合を完
結しポリオルガノシロキサンラテックスを得た。得られ
たポリオルガノシロキサンの重合率は89.5%であ
り、ポリオルガノシロキサンの平均粒子径は0.16μ
mであった。又、このラテックスをイソプロパノールで
凝固乾燥し固形物を得、トルエンで90℃、12時間抽
出し、ゲル含量を測定したところ91.4%であった。
【0036】上記ポリオルガノシロキサンラテックスを
250質量部採取し撹拌機を備えたセパラブルフラスコ
にいれ、蒸留水120質量部を加え、窒素置換をしてか
ら50℃に昇温し、n−ブチルアクリレート9.7質量
部、アリルメタクリレート0.3質量部及びtert−
ブチルヒドロペルオキシド0.56質量部の混合液を仕
込み30分間撹拌し、この混合液をポリオルガノシロキ
サン粒子に浸透させた。次いで、硫酸第1鉄0.002
質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0
06質量部、ロンガリット0.26質量部及び蒸留水5
質量部の混合液を仕込みラジカル重合を開始させ、その
後内温70℃で2時間保持し重合を完了して複合ゴムラ
テックスを得た。このラテックスを一質量部採取し、複
合ゴムの平均粒子径を測定したところ0.22μmであ
った。又、このラテックスを乾燥し固形物を得、トルエ
ンで90℃、12時間抽出し、ゲル含量を測定したとこ
ろ97.3%であった。この複合ゴムラテックスに、t
ert−ブチルヒドロペルオキシド0.06質量部とメ
チルメタクリレート15質量部との混合液を70℃にて
15分間にわたり滴下し、その後70℃で4時間保持
し、複合ゴムへのグラフト重合を完了した。メチルメタ
クリレートの重合率は、96.4%であった。得られた
グラフト共重合体ラテックスを塩化カルシウム1.5質
量%の熱水200質量部中に滴下し、凝固、分離し洗浄
した後75℃で16時間乾燥し、粉末状の複合ゴム系グ
ラフト共重合体B−1を96.9質量部を得た。
【0037】5)ポリシロキサン化合物(日本ユニカー
製 L−45(100))(B−2) 6)エポキシシラン処理タルク(C−1):タルク10
0質量部に対して1質量部のγ−グリキドキシプロピル
−トリメトキシシランで処理した平均粒子径2.6μm
のエポキシシラン処理タルク 7)エポキシシラン処理タルク(C−2):タルク10
0質量部に対して0.5質量部のγ−グリキドキシプロ
ピル−トリメトキシシランで処理した平均粒子径2.6
μmのエポキシシラン処理タルク 8)エポキシシラン処理タルク(C−3):タルク10
0質量部に対して0.5質量部のγ−グリキドキシプロ
ピル−トリメトキシシランで処理した平均粒子径3.8
μmのエポキシシラン処理タルク 9)未処理タルク(C−4):平均粒子径4.6μmの
タルク 10)未処理タルク(C−5):平均粒子径2.6μm
のタルク
【0038】11)アクリルニトリルスチレン共重合樹
脂(D):蒸留水115質量部に第三燐酸カルシウム1
質量部、デモールP(花王(株)製)0.001質量部
を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリロニトリル2
5質量部とスチレン75質量部、t−ドデシルメルカプ
タン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.1
7質量部、ガファックGB−520(東邦化学工業
(株)製)0.003質量部の混合物を加え懸濁液状に
した後75℃に上昇し、240分間保持して重合を完結
した後に得た重合体。 12)ワックス(E−1):ヘキストワックスE 13)ワックス(E−2):ヘキストワックスOP
【0039】(2)5°正反射率、蒸着面外観の評価 表面平滑性について比較評価するために、下記のように
して100mm角板(100mm×100mm)に直接
蒸着したプレートを準備し、このプレートについて5°
正反射率の測定及び目視による観察を行った。また、耐
熱性、アルミニウム蒸着面の加熱後白化の有無を比較評
価するために、アルミニウムを直接蒸着した100mm
角板を180℃×60Hr熱処理した後、5°反射率の
測定及び目視による観察を行った。
【0040】実施例、比較例に用いた100mm角板
は、(1)で得たペレットを射出成形機(東芝製IS8
0FPB)を用いてシリンダー温度270℃、金型温度
80℃の条件で射出成形することにより調製した。つい
で、得られたそれぞれの板に下記方法によりアルミニウ
ムの直接蒸着を実施した。直接蒸着の方法は特別限定さ
れるものではなく、一般的に行われる方法、装置を用い
て実施した。まず、真空状態下の蒸着装置に不活性ガス
と酸素を導入し、チャンバ内をプラズマ状態にして、1
00mm角板表面を活性化させるプラズマ活性化処理を
実施した。次に、真空状態下の蒸着装置でアルミニウム
蒸着を実施した。蒸着装置内においてターゲットを担持
した電極に通電することで、チャンバ内には誘導放電に
よりプラズマが生成され、プラズマ中のイオンはターゲ
ットをスパッタし、ターゲットから飛び出したスパッタ
粒子すなわちアルミニウム粒子が100mm角板表面に
付着し、全面にアルミニウム蒸着膜が形成された。アル
ミニウム蒸着膜の膜厚は80nmであった。
【0041】更にアルミニウム蒸着面の保護膜としてプ
ラズマ重合処理を実施した。プラズマ重合膜は、真空プ
ラズマ状態下にヘキサメチレンジシロキサンを導入し、
二酸化ケイ素重合膜を形成させた。二酸化ケイ素重合膜
の膜厚は50nmであった。このようにして直接蒸着を
施した100mm角板について、日立製分光光度計U−
1600を用いて、波長550nmにおける5°正反射
率を測定した。この5°正反射率は、100mm角板の
表面平滑性、蒸着面の白化、熱処理後の変形等に大きく
依存し、強化材の種類や配合量によって表面平滑性が劣
ったり、熱処理後にユズ肌状の外観不良や蒸着面の白
化、変形等が発生した場合には低下する傾向にある。な
お、初期あるいは180℃×60℃Hr加熱後の5°正
反射率が80%以上のものを、光反射体としての機能を
果たす目安とした。更に、上記100mm角板について
表面平滑性、蒸着面の曇りの状態を目視により判定し
た、表面平滑性については、蛍光灯を映したときの像の
ボケ具合に応じて、ほとんどボケないもの〇、ボケるも
のを×とした。又、蒸着面の曇りの状態については、ほ
とんど曇らないものを〇、曇りがはっきりとわかるもの
を×とした。
【0042】(3)耐熱性の評価 耐熱性の評価は、ASTM D648に準じ測定した荷
重0.46MPaにおける荷重たわみ温度の測定により
行った。上記測定及び観察の結果を表1〜表4に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】 表1から、本発明の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物
は、加熱前後の5°正反射、加熱前後の蒸着面の白化、
及び耐熱性について優れた性質を示すことが明らかであ
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリエス
テル系樹脂組成物は、表面平滑性に優れ、180℃無荷
重時の条件下で加熱しても変形がなく、180℃の条件
で加熱しても直接蒸着法による蒸着面の白化が少ない特
徴を示す。従って、この樹脂組成物は自動車ランプのハ
ウジング、リフレクター、エクステンションや家電照明
用ランプケース等の光反射体として、好適に用いること
ができる。更に、この熱可塑性ポリエステル系樹脂組成
物は、成形加工時、流動性が良好なものであるので、ゲ
ートの設定が少なくてすみ、デザインの自由度や金型作
製の際の自由度が増す利点がある。従って、本発明の熱
可塑性ポリエステル系樹脂組成物及びこれから作られた
光反射体は、工業上有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F21V 7/00 C08L 83:04 17/00 25:12 //(C08L 67/00 F21M 3/02 E 51:04) (C08L 67/00 83:04) (C08L 67/00 25:12) (72)発明者 植田 治夫 神奈川県川崎市多摩区登戸3816番地 三菱 レイヨン株式会社東京技術・情報センター 内 (72)発明者 高木 珠衣 神奈川県川崎市多摩区登戸3816番地 三菱 レイヨン株式会社東京技術・情報センター 内 Fターム(参考) 3K042 AA08 AA12 AB01 AB04 BA01 BB00 4F006 AA22 AA35 AA42 AA58 AB39 AB73 BA15 CA04 CA05 DA01 EA03 4J002 BB034 BC063 BN212 CF051 CF071 CF081 CP022 DA026 DE076 DE106 DE136 DE186 DE236 DE286 DG046 DJ006 DJ016 DJ036 DJ046 DJ056 EH047 EH057 FA086 FB136 FD016 FD164 FD167 GN00 GP00 GQ00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)100
    質量部に対し、ポリオルガノシロキサン成分とポリアル
    キル(メタ)アクリレートゴム成分を含有する複合ゴム
    に、1種以上のビニル系単量体がグラフトされてなる複
    合ゴム系グラフト重合体(B−1)又はオルガノシロキ
    サン構造をもった化合物(B−2)の少なくとも一方
    (B)1〜10質量部、並びにエポキシシラン処理した
    平均粒子径0.5〜4μmの無機強化材(C)5〜45
    質量部を含有する熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 アクリロニトリルスチレン樹脂(D)を
    5〜10質量部含有する請求項1に記載の熱可塑性ポリ
    エステル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 離型剤(E)を含む請求項1又は請求項
    2に記載の熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3に記載のいずれかの
    熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物からなる成形品の少
    なくとも一部に直接光反射金属層を形成した熱可塑性ポ
    リエステル系樹脂製光反射体。
JP2002125703A 2001-04-26 2002-04-26 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体 Pending JP2003012903A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002125703A JP2003012903A (ja) 2001-04-26 2002-04-26 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001130253 2001-04-26
JP2001-130253 2001-04-26
JP2002125703A JP2003012903A (ja) 2001-04-26 2002-04-26 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003012903A true JP2003012903A (ja) 2003-01-15

Family

ID=26614322

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002125703A Pending JP2003012903A (ja) 2001-04-26 2002-04-26 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003012903A (ja)

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005194300A (ja) * 2003-12-26 2005-07-21 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光反射体用熱可塑性樹脂組成物、光反射体用成形品および光反射体
EP1614715A4 (en) * 2003-04-14 2006-05-03 Kaneka Corp POLYESTER RESIN COMPOSITION
WO2006062977A1 (en) * 2004-12-07 2006-06-15 E.I. Dupont De Nemours And Company Hydrolysis resistant polyester compositions and articles made therefrom
JP2006225439A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Toyobo Co Ltd 光反射成形品用ポリエステル樹脂組成物
JP2006225440A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Toyobo Co Ltd 光反射成形品用ポリエステル樹脂組成物
JP2006249196A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Kaneka Corp ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体
JP2007161978A (ja) * 2005-03-23 2007-06-28 Toray Ind Inc 光反射体用ポリエステル樹脂組成物
JP2011235562A (ja) * 2010-05-12 2011-11-24 Sakae Riken Kogyo Co Ltd 車両用ドアハンドルにおける樹脂製ドアハンドル外観部品の製造方法、及び樹脂製ドアハンドル外観部品
US8569403B2 (en) 2003-08-26 2013-10-29 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin composition for light reflector, formed article for light reflector, light reflector, and method for producing formed article for light reflector
US9365716B2 (en) 2007-07-02 2016-06-14 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin composition and shaped article therefrom
KR20180027512A (ko) 2015-07-16 2018-03-14 스미토모덴키고교가부시키가이샤 연료 전지
KR20180030031A (ko) 2015-07-16 2018-03-21 스미토모덴키고교가부시키가이샤 연료 전지
WO2019172304A1 (ja) * 2018-03-08 2019-09-12 日東電工株式会社 電気剥離型粘着シート、接合体、並びに被着体の接合及び分離方法
US11905408B2 (en) 2017-11-30 2024-02-20 Lotte Chemical Corporation Resin composition and molded product manufactured therefrom

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1614715A4 (en) * 2003-04-14 2006-05-03 Kaneka Corp POLYESTER RESIN COMPOSITION
US8569403B2 (en) 2003-08-26 2013-10-29 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin composition for light reflector, formed article for light reflector, light reflector, and method for producing formed article for light reflector
US9671531B2 (en) 2003-08-26 2017-06-06 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin composition for light reflector, formed article for light reflector, light reflector, and method for producing formed article for light reflector
JP2005194300A (ja) * 2003-12-26 2005-07-21 Mitsubishi Rayon Co Ltd 光反射体用熱可塑性樹脂組成物、光反射体用成形品および光反射体
WO2006062977A1 (en) * 2004-12-07 2006-06-15 E.I. Dupont De Nemours And Company Hydrolysis resistant polyester compositions and articles made therefrom
JP2006225440A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Toyobo Co Ltd 光反射成形品用ポリエステル樹脂組成物
JP2006225439A (ja) * 2005-02-15 2006-08-31 Toyobo Co Ltd 光反射成形品用ポリエステル樹脂組成物
JP2006249196A (ja) * 2005-03-09 2006-09-21 Kaneka Corp ポリエステル樹脂組成物およびそれから得られる成形体
JP2007161978A (ja) * 2005-03-23 2007-06-28 Toray Ind Inc 光反射体用ポリエステル樹脂組成物
US9365716B2 (en) 2007-07-02 2016-06-14 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Thermoplastic resin composition and shaped article therefrom
JP2011235562A (ja) * 2010-05-12 2011-11-24 Sakae Riken Kogyo Co Ltd 車両用ドアハンドルにおける樹脂製ドアハンドル外観部品の製造方法、及び樹脂製ドアハンドル外観部品
KR20180027512A (ko) 2015-07-16 2018-03-14 스미토모덴키고교가부시키가이샤 연료 전지
KR20180030031A (ko) 2015-07-16 2018-03-21 스미토모덴키고교가부시키가이샤 연료 전지
US11905408B2 (en) 2017-11-30 2024-02-20 Lotte Chemical Corporation Resin composition and molded product manufactured therefrom
WO2019172304A1 (ja) * 2018-03-08 2019-09-12 日東電工株式会社 電気剥離型粘着シート、接合体、並びに被着体の接合及び分離方法
US11623429B2 (en) 2018-03-08 2023-04-11 Nitto Denko Corporation Electrical debonding adhesive sheet, joined body, and joining and separation method for adherend
US11964462B2 (en) 2018-03-08 2024-04-23 Nitto Denko Corporation Electrical debonding adhesive sheet, joined body, and joining and separation method for adherend

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5319098B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにこれを用いて成形された光反射体用部品、および光反射体
JP2003012903A (ja) 熱可塑性ポリエステル系樹脂組成物及び該組成物製光反射体
JP6404933B2 (ja) 耐衝撃性及び耐光性に優れた熱可塑性樹脂組成物
JP5385612B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物および成形品
JP2002519444A (ja) 防炎性の熱可塑性成形組成物
JP2641113B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
JP2003313392A (ja) ランプハウジング用樹脂組成物、および、それを用いた成型品
JP2002212400A (ja) 熱可塑性樹脂組成物およびこれを用いた自動車用成形品
JP2000226420A (ja) 難燃剤、その製法およびこれを含む難燃性樹脂組成物
JP2002275366A (ja) 高反射性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品
JP2005314461A (ja) ダイレクト蒸着用樹脂組成物およびそれを用いた成形品
JP2977605B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物
WO2002092688A1 (fr) Composition de resine de polyester thermoplastique et reflecteurs de lumiere fabriques a partir de cette composition
EP0476293B1 (en) Polyester resin compositions
JP2006225440A (ja) 光反射成形品用ポリエステル樹脂組成物
JPH06166803A (ja) ポリエステル系樹脂組成物
JP2962611B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2005263996A (ja) 非晶質ポリエステル系樹脂組成物及びその成形品
JP2003105177A (ja) 耐トラッキング性が良好な熱可塑性樹脂組成物
JP2003128868A (ja) ダイレクト蒸着用樹脂組成物、および、それを用いた成型品
JP2002284978A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP5162076B2 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物
JPH0525377A (ja) ポリエステル樹脂組成物
WO2022085801A1 (ja) 樹脂組成物及びその成形品
JPH0912859A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物