JP2005097578A - 熱可塑性樹脂組成物及び光反射体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び光反射体 Download PDF

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品に光反射金属層を直接形成させて、成形性(表面平滑性、離型性、成形収縮率)に優れ、耐熱性が良好で高温環境下でも光反射金属層に不具合(ユズ肌状欠陥、白化)を生じにくい光反射体を提供する。
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸系表面処理剤で処理された平均粒子径3μm以下の無機充填材を2〜45質量部含有する熱可塑性樹脂組成物を用い、この脂組成物からなる成形品に光反射金属層を直接形成して光反射体を得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車用ランプのハウジング、リフレクター、エクステンション、照明器具等の光反射体に使用される熱可塑性樹脂組成物、および当該熱可塑性樹脂組成物の成形品に光反射金属層が直接形成された光反射体に関する。
従来、自動車用ランプ等に使用されるリフレクターやエクステンション等の光反射体用材料として、熱硬化性樹脂であるバルクモールディングコンパウンド(以下、BMCと略す)が使用されている。BMCは、耐熱性、寸法安定性に優れるものの、成形サイクルが長く、成形時のバリ等の処理に手間がかかり、生産性が低いという問題があった。こうした問題点を解決する手段として、熱可塑性樹脂を用いる検討が行われてきている。
熱可塑性樹脂を使った例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂に代表される結晶性樹脂や、ポリカーボネート樹脂に代表される非晶性樹脂等に、種々の強化材を配合した熱可塑性樹脂組成物が使用されている。
例えば、熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、これにガラス繊維及びタルクを強化材として配合した組成物を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、フィラーの浮き出しや離型不良により成形品表面の平滑性が不充分であるため、成形品に光反射金属層を形成するに先立って、アンダーコート処理を施し、成形品表面を平滑にすることが必要である。このアンダーコート処理を行わないと、光反射金属層を形成させても鏡面がでず、満足できる光反射体が得られなかった。この様なアンダーコート処理は、工程が余分にかかることと、アンダーコート材に使用される溶剤の処理問題、更に塗料の乾燥が必要であるので、余分なエネルギーが必要になり、また、環境に与える負荷が大きいという問題があった。
この様なアンダーコート処理を必要としない方法として、近年、ダイレクト蒸着(直接蒸着)法が提案されている。このダイレクト蒸着法は、成形品に直接金属を蒸着するか、または成形品にプラズマ活性化処理を施した後に金属膜を蒸着させることにより、成形品表面にアンダーコート処理を施すことなく、光反射金属層を直接形成させる方法である。このダイレクト蒸着法では、成形品表面に金属層を直接形成させるため、これまで以上に成形品表面の平滑性が求められるようになってきている。
また、最近では、輝度を高めるために高出力のランプを使用する傾向にあり、ヘッドランプ内の温度が上昇し、反射体の基材として160〜180℃の耐熱温度を要求されるようになってきている。この様な高温の環境下で長時間使用された場合、光反射金属層が曇るという問題があった。
この問題を解決するために、種々の試みがなされており、例えば、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂100質量部に、無機充填材として平均粒子径が0.3μmの表面未処理タルクを3質量部配合した樹脂組成物(特許文献2参照)や、ポリエステル樹脂100質量部に対して、エポキシシラン処理した平均粒子径2.6〜3.8μmのタルクを12〜25質量部配合した樹脂組成物(特許文献3参照)が提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載されている樹脂組成物は、表面処理をしていない無機充填材を使用しているため樹脂とのなじみが悪く、しかも0.3μmという非常に細かい粒子を使用しているため無機充填材同士が凝集しやすく、成形品の表面平滑性が十分でないという問題があった。
また、特許文献3に記載されている樹脂組成物は、平均粒子径が2.6〜3.8μmの範囲の比較的大きな無機充填材を使用しているため、成形品の表面平滑性が十分でないという問題があった。また、無機充填材の表面処理剤としてエポキシシラン処理剤を使用しているため、未反応のエポキシシラン処理剤が成形時に成形品表面に滲み出してきて、金型表面と反応し、離型性が悪くなるという問題点があった。その結果、成形品表面に離型不良による欠陥(離型マーク)が生じ、この成形品に光反射金属層を直接形成した場合、光反射層に離型マークがそのまま転写され、欠陥が生じるという問題があった。
特開平6−203613号公報 特開平11−241006号公報 特開2003−12903号公報
本発明の目的は、熱可塑性樹脂組成物から形成される成形品に光反射金属層を直接形成させて、成形性(表面平滑性、離型性、成形収縮率)に優れ、耐熱牲が良好で高温環境下でも光反射金属層に不具合(ユズ肌状欠陥、白化)を生じにくい光反射体を提供すること、並びにこれに適した熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸系表面処理剤で処理された平均粒子径3μm以下の無機充填材を2〜45質量部含有する熱可塑性樹脂組成物、および該組成物からなる成形品の少なくとも一部の表面に光反射金属層が直接形成された光反射体に関するものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、表面平滑性および離型性に優れ、成形収縮率も小さく、160℃の条件で加熱しても、直接蒸着法により形成された光反射金属層に曇り等の不具合が生じない特徴を示す。従って、この熱可塑性樹脂組成物は、自動車ランプのハウジング、リフレクター、エクステンションや家電照明用ランプケース等の光反射体用基材として、好適に用いることができる。さらに、この熱可塑性樹脂組成物は、成形加工時の流動性が良好なものであるので、ゲートの設定が少なくてすみ、デザインの自由度や金型作製の際の自由度が増す利点がある。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明において用いられる(A)熱可塑性樹脂は、特に制限はなく、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、種類の異なる熱可塑性樹脂を2種以上併用してもよい。
これらの熱可塑性樹脂の中でも、流動性、耐熱性の面から、特に(a)ポリエステル樹脂を主成分とすること、すなわち(a)ポリエステル樹脂の含有量が(A)熱可塑性樹脂全量中50質量%以上であることが好ましい。(a)ポリエステル樹脂の含有量の下限値は、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。(a)ポリエステル樹脂の含有量の上限値については、特に制限はない。
(a)ポリエステル樹脂としては、芳香族もしくは脂環式のジカルボン酸又はそれらの誘導体と、ポリオールとを重縮合して得られるポリエステルが挙げられる。ジカルボン酸の例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等があげられる。ポリオールの例としては、メチレン鎖が2〜6であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等のアルキレンジオールや、ビスフェノールAのポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの付加体等が挙げられる。
(a)ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられ、それら単体を使用してもよいし、組成および/または分子量の異なるポリエステル樹脂を併用した混合物を使用してもよい。
特に、成形性、外観、経済性の観点から、(a−1)ポリブチレンテレフタレートと(a−2)ポリエチレンテレフタレートとを併用することが好ましい。これらを併用する場合の混合比率は、特に制限されないが、(a)ポリエステル樹脂全量中、(a−1)ポリブチレンテレフタレート55〜95質量%、(a−2)ポリエチレンテレフタレート5〜45質量%であることが好ましい。(a−1)ポリブチレンテレフタレートの混合比率が55質量%以上の場合に、成形サイクル時間が短くなり生産性が良好となる傾向にあり、95質量%以下の場合に成形品の表面平滑性が良好となる傾向にある。また、(a−2)ポリエチレンテレフタレートの混合比率が、5質量%以上の場合に、成形品の表面平滑性が良好となる傾向にあり、45質量%以下の場合に、成形サイクル時間が短くなり生産性が良好となる傾向にある。(a−1)成分の混合比率の下限値は、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。(a−1)成分の混合比率の上限値は、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が特に好ましい。また、(a−2)成分の混合比率の下限値は、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。(a−2)成分の混合比率の上限値は、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。
(a−1)ポリブチレンテレフタレートは、特に制限されず、ブチレンテレフタレート単位の単独重合体であってもよいし、ブチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体であってもよい。共重合されるモノマーとしては、テレフクル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の芳香族もしくは脂肪族多塩基酸またはそれらのエステル等が挙げられる。また、1,4−ブタンジオール以外のグリコール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオベンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等のアルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
(a−1)ポリブチレンテレフタレートの分子量は、特に制限されないが、分子量の指標としての25℃における還元粘度(ηsp/C)が0.7〜2.0であることが好ましい。還元粘度が0.7以上の場合に強度が良好となる傾向にあり、2.0以下の場合に流動性および外観が良好となる傾向にある。この還元粘度の下限値は、0.8以上がより好ましく、0.9以上が特に好ましい。また、この還元粘度の上限値は、1.7以下がより好ましく、1.5以下が特に好ましい。
(a−2)ポリエチレンテレフタレートは、特に制限されず、エチレンテレフタレート単位の単独重合体であってもよいし、エチレンテレフタレート単位を繰り返し単位中70質量%以上含有する共重合体であってもよい。共重合されるモノマーとしては、テレフタル酸およびその低級アルコールエステル以外の二塩基酸成分として、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、コハク酸等の芳香族もしくは脂肪族多塩基酸またはそれらのエステル等が挙げられる。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−オクタンジオール等のアルキレングリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族アルコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加体等のアルキレンオキサイド付加体アルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリヒドロキシ化合物またはそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
(a−2)ポリエチレンテレフタレートの分子量は、特に制限されないが、分子量の指標としての固有粘度([η])が0.4〜1.0であることが好ましい。固有粘度が0.4以上の場合に強度が良好となる傾向にあり、1.0以下の場合に流動性および外観が良好となる傾向にある。この固有粘度の下限値は、0.45以上がより好ましく、0.5以上が特に好ましい。また、この固有粘度の上限値は、0.9以下がより好ましく、0.8以下が特に好ましい。
また、本発明においては、成形品の収縮率および表面平滑性の面から、(c)ビニル系熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。(c)ビニル系熱可塑性樹脂の含有量は、特に制限されないが、(A)熱可塑性樹脂全量中、2〜20質量%であることが好ましい。この含有量が2質量%以上の場合に成形品の収縮率が小さくなり表面平滑性が良好となる傾向にあり、20質量%以下の場合に成形品の機械的強度および耐熱性が良好となる傾向にある。
本発明においては、(A)成分としてポリエステル系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂を用い、(B)成分として表面処理された平均粒子径が3μm以下の無機充填材を用いた場合において、さらに(A)成分中に(c)ビニル系熱可塑性樹脂を含有させると、成形品の収縮率が小さくなると同時に、特に表面平滑性が良好となる傾向が顕著となる。
(c)ビニル系熱可塑性樹脂の含有量の下限値は、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上が特に好ましい。また、この含有量の上限値は15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
(c)ビニル系熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、公知のビニル系熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、(c−2)エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、(c−3)マレイミド系共重合樹脂等の非晶性樹脂が挙げられ、これに限定されるものではないが、(c−1)〜(c−3)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂としては、特に制限されないが、アクリロニトリルとスチレンの比率は質量比でアクリロニトリル/スチレン=20/80〜45/55の範囲が好ましく、25/75〜35/65の範囲がより好ましい。(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、バルク重合等が挙げられる。(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の分子量は、特に制限されないが、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量で50000〜200000(ポリスチレン換算)の範囲が好ましい。
また、(c−2)エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂としては、特に制限されないが、例えば、シアン化ビニル単量体単位15〜40質量%、芳香族ビニル単量体単位60〜84.9質量%、およびエポキシ基含有ビニル単量体単位0.1〜0.4質量%からなる共重合樹脂が好ましい。(c−2)エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、バルク重合等が挙げられる。
(c−3)マレイミド系共重合樹脂としては、特に制限されないが、マレイミド系単量体単位、並びに、芳香族ビニル系単量体単位および/または他のビニル系単量体単位からなる共重合樹脂が挙げられ、マレイミド系単量体単位の含有量が15〜65質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲のものが挙げられる。マレイミド系単量体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトブロモマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく、特にN−フェニルマレイミドが好ましい。これらマレイミド系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて使用する事が出来る。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いる事が出来る。芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、35〜85質量%、好ましくは40〜70質量%の範囲が好ましい。他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体などが挙げられ、特にシアン化ビニル系単量体が好ましい。
次に、本発明に用いられる(B)脂肪酸系表面処理剤で処理された平均粒子径が3μm以下の無機充填材について説明する。
本発明において、無機充填材は、機械的強度、耐熱性、低成形収縮率の作用を奏するものである。
本発明に用いられる無機充填材の含有量は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して2〜45質量部の範囲である。この含有量が2質量部以上の場合に、成形収縮率が小さくなる傾向にあり、また、45質量部以下の場合に、無機充填材の分散状態が良好となって成形品の表面平滑性が良好となる傾向にある。無機充填材の含有量の下限値は、成形品の成形収縮率の面から、3質量部以上が好ましく、4質量部以上が特に好ましい。また、無機充填材の含有量の上限値は、表面平滑性の面から、30質量部以下が好ましく、15質量部以下が特に好ましい。
この成形品の成形収縮率が、1.20〜1.60%の範囲である場合に、離型性、低そり性が良好となり、好ましい。成形収縮率の下限値は、1.25%以上がより好ましい。また、成形収縮率の上限値は、1.55%以下がより好ましく、1.50%以下がさらに好ましく、1.45%以下が特に好ましい。
無機充填材としては、特に制限はなく、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、石英、タルク、マイカ、クレー、ハイドロタルサイト、黒鉛、ガラスビーズ、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、ホワイトカーボン、ベントナイト、ゼオライト、ドロマイト、セリサイト等が使用できる。
中でも、表面平滑性、機械的強度の面から、炭酸カルシウムまたはケイ酸アルミニウムが好ましい。炭酸カルシウムとしては、特に制限はなく、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、スルホアルミン酸カルシウム、有機ベントナイト等が挙げられる。中でも、沈降炭酸カルシウムを用いると成形品の表面外観が良好となるため、特に好ましい。沈降炭酸カルシウムの具体的としては、例えば、白石工業(株)製のVigot−10、Vigot−10S、Vigot−15、神島化学工業(株)製のカルシーズP等が挙げられる。また、ケイ酸アルミニウムとしては、特に制限はなく、例えば、含水カオリン、焼成カオリン、クレー等が挙げられ、含水カオリンの具体的としては、例えば、ENGELHARD製のASP101、ASP102、ASP170等が、また、焼成カオリンの具体例としては、ENGELHARD製のサチントン5、ウルトレックス98等が挙げられる。中でも、含水カオリンを用いると成形品の表面外観が良好となるため、特に好ましい。
本発明に用いられる無機充填材は、脂肪酸系表面処理剤で処理された無機充填材である。脂肪酸系表面処理剤とは、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸塩から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
脂肪酸としては、特に制限されないが、例えば、炭素数が12〜22の脂肪酸が挙げられる。具体的には、ロジン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。中でも、ステアリン酸、ベヘニン酸が特に好ましい。
脂肪酸エステルとしては、特に制限されないが、例えば、上記の炭素数が12〜22の脂肪酸とグリセリンとのエステルが挙げられる。具体的には、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸トリグリセライド等が挙げられる。中でも脂肪酸ジグリセライドが特に好ましい。
脂肪酸塩としては、特に制限されないが、例えば、上記の炭素数が12〜22の脂肪酸とカルシウムまたは亜鉛の塩が挙げられる。具体的には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。中でもステアリン酸カルシウムが特に好ましい。
これらの脂肪酸系表面処理剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の特徴は、無機充填材が脂肪酸系表面処理剤で処理されていることにある。上述の脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸塩等の脂肪酸系化合物は、表面処理剤として作用する以外に、離型剤としての作用も奏する。従って、脂肪酸系表面処理剤で処理された無機充填材を使用することによって、無機充填材の分散性が向上し成形品の表面平滑性が良好となるばかりでなく、成形品の離型性も良好となって成形品に離型マークが発生せず、成形品に光反射金属層を直接成形した場合において、良好な光反射金属層が得られるものである。
脂肪酸系表面処理剤の付着量は、特に制限されないが、無機充填材量と脂肪酸系表面処理剤量の合計量に対して、0.1〜3質量%の範囲が好ましい。この付着量が0.1質量%以上の場合に、表面処理効果が十分発現し、無機充填材の樹脂中での分散性が良好となる傾向にあり、成形品の表面平滑性が良好となる傾向にある。また、この付着量が3質量%以下の場合に、光反射金属層を直接形成させた成形品の加熱後の曇りが発生しにくくなる傾向にある。この付着量の下限値は、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が特に好ましい。また、この上限値は、2.7質量%以下がより好ましく、2.5質量%以下が特に好ましい。
無機充填材を表面処理剤で処理する方法については、特に制限されず、公知の方法で処理することができる。例えば、無機充填材と表面処理剤とをヘンシェルミキサー等に入れて混合する方法により、表面処理をすることができる。また、炭酸カルシウムにおいては、炭酸ガス気流中に反応乳濁液を噴霧して連続的に炭酸化させる反応により沈降炭酸カルシウムを得る工程中で、この反応乳濁液に処理剤を添加して、表面処理する方法も用いることができる。
本発明に用いられる無機充填材の平均粒子径は、3μm以下である。平均粒子径が3μm以下の場合に、特に成形品に光反射金属層を直接形成する方法において、光反射金属層の表面外観が良好となり、平均粒子径が3μmを超える場合には、成形品の表面平滑性が劣り、満足する表面外観が得られない。この平均粒子径の上限値は、1μm以下が好ましく、0.7μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましく、0.4μm以下が特に好ましい。
また、本発明に用いられる無機充填材の平均粒子径の下限値については、特に制限されないが、0.05μm以上であることが好ましい。平均粒子径が0.05μm以上の場合に、無機充填材の分散性が良好となる傾向にある。この平均粒子径の下限値は、0.07μm以上がより好ましく、0.1μm以上が特に好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述の(A)成分、(B)成分以外にも、所望により、(D)離型剤、その他の添加剤が含有されていてもよい。
(D)離型剤としては、特に制限はなく、公知の離型剤が使用できる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル類、モンタン酸エステル類、モンタン酸金属塩類等が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステル類としては、例えば、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸トリグリセライドが挙げられ、モンタン酸エステル類としては、例えば、モンタン酸とエチレングリコールもしくはグリセリンとのエステルまたはモンタン酸の複合エステルまたはモンタン酸と脂肪族ポリオールとのエステル等が挙げられ、モンタン酸金属塩類としては、例えば、モンタン酸のカルシウム塩またはモンタン酸のナトリウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、クラリアントジャパン(株)製のリコルブWE4やリコモントNaV101等が挙げられる。これらの離型剤は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
(D)離型剤の含有量は、特に制限されないが、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.05〜2.0質量部の範囲であることが好ましい。この離型剤の含有量が、0.05質量部以上の場合に成形時における成形物の離型性が良好となる傾向にあり、2.0質量部以下の場合に、光反射金属層を直接形成させた成形品の加熱後の曇りが発生しにくくなる傾向にある。離型剤の含有量の下限値は、0.07質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上が特に好ましい。また。この含有量の上限値は、1.5質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下が特に好ましい。
その他の添加剤としては、染料や顔料等の着色剤、熱安定性を改良するための酸化防止剤、流動性を改質するためのピロメリット酸アルキルエステルやエポキシ化ダイズ油等の可塑剤、脂肪酸モノグリセライド等の内部滑剤、等を配合することができる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、特に制限されず、例えば、溶融混練法により製造することができる。溶融混練に用いる装置としては、特に制限されず、公知の装置を使用することができ、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダ一等を使用することができる。
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形方法は、特に制限されず、射出成形法、ガスアシスト成形法、冷熱サイクル成形法、ブロー成形法、押出成形法等の公知の方法が使用でき、これらの方法により、成形品を得ることができる。中でも、汎用性の面から、射出成形法が好ましい。
次に、本発明の光反射体について説明する。
本発明の光反射体は、前記の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の少なくとも一部の表面に光反射金属層が直接形成されたものである。初期あるいは耐熱試験後の拡散反射率が3%以下の場合に、光反射体としての良好な機能を果たすため、好ましい。
成形品に光反射金属層を直接形成する方法としては、特に制限されず、蒸着等の公知の方法で形成できる。例えば、次に示す方法が挙げられる。
(1)まず、成形品を真空状態下の蒸着装置に置き、アルゴン等の不活性ガスと酸素を導入することにより、成形品表面にプラズマ活性化処理をほどこす。(2)次に、蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電することで、チャンバー内に誘導放電したプラズマによりスパッタしたスパッタ粒子(アルミ粒子)を成形体に付着させる。(3)さらに、アルミニウム蒸着膜の保護膜として珪素を含むガスをプラズマ重合処理するか、あるいは、酸化珪素をイオンプレーティング法によりアルミニウム蒸着膜の表面に付着させる。
次に、実施例、比較例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[金型の表面粗さの評価方法]
金型の表面を三鷹光器製非接触三次元測定装置NH−3を用いて、評価長さ2mm、カットオフ値0.8mm、評価速度0.3mm/secで測定し、JIS B0601に準拠して、算術平均表面粗さRaを求めた。
[樹脂の評価方法]
(1)還元粘度(ηsp/C)
ポリブチレンテレフタレート樹脂0.25gに対し、フェノールとテトラクロロエタンの1:1(質量比)混合溶媒(関東化学(株)製、商品名「PTM11」)50mlを添加し、140℃で10〜30分溶解して溶液を得た。これを25℃の恒温水槽中で3分間調温したのち、ウベローデ型粘度計により標線間を通過する時間を測定し、還元粘度ηsp/Cを求めた。
ηsp/C=(ηrel−1)/C =(T/T−1)/C
T:サンプル溶液の毛細管標線通過時間(秒)
:混合溶媒のみの毛細管標線間通過時間(秒)
C:サンプル濃度(g/dl)
(2)固有粘度([η])
フェノールとテトラクロロエタンの1:1(質量比)混合溶剤を用い、濃度0.2、0.3、0.4g/dlのポリエチレンテレフタレート樹脂溶液を調整した。各濃度の溶液の粘度を、ウベローデ型自動粘度計(SAN DENSHI(株)製、AVL−2C)を用いて、温度25℃で測定し、得られた値をHugginsプロットにて、濃度0g/dlに外挿して、固有粘度[η]を求めた。
(3)酸価
ベンジルアルコールに、ポリブチレンテレフタレートを溶解させ、1/50N NaOHベンジルアルコール溶液にて滴定して測定した。
[成形品の評価方法]
(1)離型性
成形品の外観を目視により評価し、離型マークが発生していないか評価した。
○:離型性が良好であり、成形品には欠陥は認められなかった。
×:離型不良により、成形品に離型マークが発生していた。
(2)成形収縮率
射出成形機((株)東芝製IS80FPB)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で。厚み3mm、100mm角の平板をフィルムゲートで射出成形した。
得られた成形品を室温まで冷却した後に、成形品の寸法Lを測定し、金型の室温での寸法Lより、以下の式から成形収縮率(線収縮率)を求めた。
成形収縮率(%)={(L−L)/L}×100(%)
[光反射体の評価方法]
(1)目視による外観評価
光反射体の光反射金属層の外観について、耐熱試験の前後で、欠陥(離型マークによる欠陥、ユズ肌状の欠陥、白化、変形等)がないか、目視により評価した。
○:光反射金属層には、全く欠陥が認められなかった。
×:光反射金属層に上記欠陥のいずれかが認められた。
(2)拡散反射率
耐熱試験の前後での光反射体の拡散反射率を、(株)村上色彩技術研究所 反射・透過率計 HR−100を用いて測定した。
なお、初期あるいは耐熱試験後の拡散反射率が3%以下の場合に、光反射体としての機能を果たし、良好である。拡散反射率が3%を超える場合は、光反射体として実用上問題がある。
(3)耐熱試験
タバイエスベック(株)製ギヤオーブンGPH(H)−100を用いて、光反射体を160℃の熱風中に24時間放置し、熱処理をした。
[ビニル系熱可塑性樹脂の製造例]
製造例1(アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(c−1))
蒸留水115質量部に第三燐酸カルシウム1質量部、デモールP(花王(株)製)0.001質量部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリロニトリル25質量部とスチレン75質量部、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.17質量部、ガファックGB−520(東邦化学工業(株)製)0.003質量部の混合物を加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持して重合を完結し、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(c−1)を得た。得られた(c−1)の樹脂組成は、アクリロニトリル/スチレン=34/66(質量比)であった。
製造例2(エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(c−2))
蒸留水115質量部に第三燐酸カルシウム1質量部、デモールP(花王(株)製)0.001質量部を反応釜に仕込み攪拌した。これにアクリロニトリル23質量部とスチレン76.7質量部、グリシジルメタクリレート0.3質量部、t−ドデシルメルカプタン0.5質量部、アゾビスイソブチロニトリル0.17質量部、ガファックGB−520(東邦化学工業(株)製)0.003質量部の混合物を加え懸濁液状にした後75℃に昇温し、240分間保持して重合を完結し、エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(c−2)を得た。得られた(c−2)の樹脂組成は、アクリロニトリル/スチレン/グリシジルメタクリレート=24.9/74.7/0.4(質量比)であった。
製造例3(マレイミド系共重合樹脂(c−3))
窒素置換操作を施した20リットルの攪拌装置を備えた重合反応器にN−フェニルマレイミド20質量部、スチレン40質量部、アクリロニトリル20質量部、メチルエチルケトン20質量部、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.01質量部、t−ドデシルメルカプタン0.05質量部の組成の原料を連続的に供給した。重合反応器内の温度を110℃に一定に保持しながら、平均滞在時間が2時間になるように重合反応器の底部に備えたギヤポンプにより重合反応液を連続的に抜き取り、引き続いてこの重合反応液を150℃に保持した熱交換器にて約20分滞在させた後、バレル温度を230℃に制御した2ベントタイプの30mmφの二軸押出機に導入した。第一ベント部を大気圧、第二ベント部を2.7kPaの減圧下にして揮発成分を除去し、ペレタイザーにてペレット化してマレイミド系共重合樹脂(c−3)を得た。得られた(c−3)の樹脂組成は、N−フェニルマレイミド/スチレン/アクリロニトリル=27/56/17(質量比)であった。
実施例1
(A)熱可塑性樹脂として、(a−1)ポリブチレンテレフタレート樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名「タフペットN1100」、還元粘度ηsp/C=1.14、酸価=62meq/kg)76.2質量部、(a−2)ポリエチレンテレフタレート樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナイトMA580D」、固有粘度[η]=0.570)19質量部、および上記製造例で得た(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂4.8質量部、(B)無機充填剤として、(B−1)ステアリン酸で表面処理(付着量2.2質量%)した沈降炭酸カルシウム(神島化学工業(株)製、商品名「カルシーズP」、平均粒子径0.15μm)4.8質量部、(D)離型剤として、(D−1)炭素数24〜34のモンタン酸エステルワックス(クラリアントジャパン(株)製、商品名「Licolub WE4」)0.19質量部、並びに顔料としてカーボンブラック(住化カラー(株)製、商品名「ブラックBPM−8E756」)0.25質量部を配合し、V型ブレンダーで5分間混合均一化させて、シリンダー温度260℃で直径30mmのベント付き二軸押出機に投入し、ペレットを得た。
得られたペレットを射出成形機((株)東芝製IS80FPB)を用いて、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件で、100mm角の平板用金型(金型表面を#14000で磨き上げたもの、金型表面粗さが算出平均粗さRaで0.02μm)に射出成形して、成形品(100mm×100mm、厚み3mm)を得た。成形品の線収縮率は1.40%であった。
次に、得られた成形品に、下記方法によりアルミニウムを直接蒸着した。
まず、真空状態下の蒸着装置に不活性ガスと酸素を導入し、チャンバー内をプラズマ状態にして、成形品の表面を活性化させるプラズマ活性化処理を行った。次に、真空状態下の蒸着装置でアルミニウムを蒸着した。蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電することで、チャンバー内には誘導放電によりプラズマが生成され、プラズマ中のイオンはターゲットをスパッタし、ターゲットから飛び出したスパッタ粒子すなわちアルミニウム粒子が成形品表面に付着し、全面にアルミニウム蒸着膜が形成された。アルミニウム蒸着膜の膜厚は80nmであった。さらに、アルミニウム蒸着面の保護膜として、プラズマ重合処理を行った。プラズマ重合膜は、真空プラズマ状態下にヘキサメチレンジシロキサンを導入し、二酸化珪素重合膜を形成させた。二酸化珪素重合膜の膜厚は50nmであった。
このようにして、熱可塑性ポリエステル系樹脂成形品に直接光反射金属層が形成された光反射体を得た。得られた光反射体の拡散反射率を測定したところ、1.2%であり、良好であった。
次に、得られた光反射体の耐熱試験を行い、試験後の拡散反射率を測定したところ、1.9%であり、良好であった。
実施例2〜13
(A)〜(D)成分を表1の組成とする以外は、実施例1と同様の方法で、ペレット、成形品、光反射体を得た。評価結果を表1に示す。
Figure 2005097578
比較例1〜6
熱可塑性樹脂組成物の組成を表2の組成とする以外は、実施例1と同様の方法で、ペレット、成形品、光反射体を得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2005097578
なお、表1および表2に記載した実施例および比較例においては、以下に記載した材料を用いた。
(B−1)沈降炭酸カルシウム:ステアリン酸で表面処理(表面処理材量2.2質量%)した沈降炭酸カルシウム(神島化学工業(株)製、商品名「カルシーズP」)、平均粒子径=0.15μm(透過型電子顕微鏡法)
(B−2)カオリン:ステアリン酸で表面処理(表面処理材量0.5質量%)した含水カオリン(ENGELHARD社製、商品名「ASP−101」)、平均粒子径(メジアン径)=0.4μm(レーザー回折法による測定値)
(b−3)タルク:表面未処理のタルク(林化成(株)製。商品名「#5000S」)、平均粒子径(メジアン径)=5.3μm(レーザー回折法による測定値)
(b−4)重質炭酸カルシウム:表面未処理の重質炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル(株)製、商品名「ホワイトンP−70」)、平均粒子径=2.31μm(BET比表面積換算値)
(b−5)沈降炭酸カルシウム:表面未処理の沈降炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名「Brilliant−1500)、平均粒子径=0.2μm(BET比表面積換算値による測定値)
(b−6)タルク:γ−グリキドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシシラン)で表面処理(表面処理材量0.5質量%)したタルク(林化成(株)製、商品名「CHC−13S−05E」)、平均粒子径(メジアン径)=5.3μm(レーザー回折法による測定値)
(D−1)炭素数24〜34のモンタン酸エステルワックス:クラリアントジャパン(株)製、商品名「Licolub WE4」
(D−2)炭素数24〜34のモンタン酸ナトリウム塩:クラリアントジャパン(株)製、商品名「Licomont NaV101」
(その他)脂肪酸モノグリセライド:理研ビタミン(株)製、商品名「リケマールS100A」


Claims (5)

  1. (A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、(B)脂肪酸系表面処理剤で処理された平均粒子径3μm以下の無機充填材を2〜45質量部含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)熱可塑性樹脂が、(a)ポリエステル樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (A)熱可塑性樹脂が、(c)ビニル系熱可塑性樹脂2〜20質量%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (c)ビニル系熱可塑性樹脂が、(c−1)アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、(c−2)エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、(c−3)マレイミド系共重合樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4に記載のいずれかの熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の少なくとも一部の表面に光反射金属層が直接形成された光反射体。
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