JP2008303292A - 塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 易成形性と成形品の高光沢性とを両立するのみならず、塗装膜や金属蒸着膜との密着性に優れ、しかも塗装膜や蒸着膜の光沢の経時変化が少ない成形品を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】 アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、無機充填材(B)5〜80質量部及び脂肪酸エステル系化合物(C)とエチレン−アクリル酸系共重合物(D)との合計量0.1〜5質量部を含む樹脂組成物であり、該樹脂組成物の成形品のDSC測定より得られる降温結晶化ピーク温度Tc2が180〜200℃であることを特徴とする塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明はポリエステル樹脂組成物に関するものであり、電気部品、家電製品、自動車内装部品や外装部品、住宅設備用等の分野で塗装や金属蒸着が施される成形品に好適に使用されるものである。
従来、高光沢を必要とする塗装用又は金属蒸着用のポリエステル系樹脂成形品は、ポリブチレンテレフタレート樹脂にポリエチレンテレフタレート樹脂や共重合ポリエステル樹脂を溶融混合(配合)した成形材料を、射出成形や押出し成形することで製造されてきたが、成形品の機械的強度や寸法安定性を高めるために無機充填材を配合すると光沢度が大幅に低下し、また、ポリエチレンテレフタレート樹脂や共重合ポリエステル樹脂を配合すると、成形品の光沢度は増加するが、成形時の離型抵抗が増加し成形性が悪化するため、使用範囲が限られていた。そこで、成形時の離型抵抗を減少させるために離型剤を配合すると、成形時や成形品の使用中に離型剤の滲出等によって成形品の光沢度が低下したり、塗装膜や蒸着膜と樹脂成形品との密着性が低下してしまうことが問題であった。
例えば、モンタン酸塩やモンタン酸エステル化合物を配合した場合(特許文献1)、良好な離型性や光沢が得られるものの、より高度な光沢が求められたり、経時的に光沢が低下する問題が発生することがあった。また、特に高光沢が要求される蒸着成形品においては、成形品を塗装してから蒸着することも行われてきた。
特許第3669480号
本発明は、易成形性と成形品の高光沢性とを両立するのみならず、塗装膜や金属蒸着膜との密着性に優れ、しかも塗装膜や蒸着膜の光沢の経時変化や高温環境下での外観悪化が少ない成形品を得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
本発明者等は上述の問題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
即ち本発明は、
(1)アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、無機充填材(B)5〜80質量部及び脂肪酸エステル系化合物(C)とエチレン−アクリル酸系共重合物(D)との合計量0.1〜5質量部を含む樹脂組成物であり、該樹脂組成物の成形品のDSC測定より得られる降温結晶化ピーク温度Tc2が180〜200℃であることを特徴とする塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
(2)成形品の表面光沢度が90〜150であることを特徴とする、前記(1)に記載の塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
(3)成形品中に存在する無機充填材(B)の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
(4)前記(1)〜(3)のポリエステル樹脂組成物を成形して得られる塗装・蒸着成形品。
本発明の樹脂組成物は、昜成形性と高光沢成形品の成形との両立が可能で、得られた成形品は、塗装膜や蒸着膜との密着性に優れ、しかも塗装膜や蒸着膜の光沢の経時変化が少ないという特徴を有する。また、高度に光沢に優れるため、特に高光沢性が要求される蒸着成形品においても、塗装することなく、直接蒸着することが可能となった。
以下、本発明に用いられる樹脂組成物の構成成分について詳しく説明する。
本発明におけるアルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂(A)とは、70モル%以上がアルキレンテレフタレートを繰り返し単位からなるポリエステル樹脂であり、テレフタル酸および/又はそのエステル誘導体等のジカルボン酸成分と、例えば、2〜12個の炭素原子を有する線状又は分岐状のアルキレンジオール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール又は1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,12−ドデカンジオール等のジオール成分を重合することによって得られる。ジオール成分としては、2〜6個の炭素原子を有する線状又は分岐状のアルキレンジオールが好ましい。特に線状の2〜4個の炭素原子を含有するジオールが好ましい。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレート(PET)の混合物、アルキレンテレフタレート単位を主成分とする共重合ポリエステル、ポリブチレンテレフタレートとアルキレンテレフタレート単位を主成分とする共重合ポリエステルとの混合物、ポリブチレンテレフタレートとポリトリメチレンテレフタレート(PTT)との混合物が好ましい。特に本発明のポリエステル樹脂組成物から得られた光反射成形品の表面の輝度と耐熱性を満足するためにポリエステル樹脂成分の65〜100モル%がブチレンテレフタレート単位であることが好ましい。
上記共重合ポリエステルの共重合成分としてのジカルボン酸としては、例えば線状又は分岐状脂肪族ジカルボン酸、特に2〜40個、好ましくは4〜10個の炭素原子を有するもの、例えば蓚酸、マロン酸、コハク酸、ドデシルコハク酸、オクタデシルコハク酸、ピメリン酸、アジピン酸、トリメチルアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびダイマー酸(炭素原子数10〜20の不飽和脂肪酸例えばオレイン酸の二量化生成物);6〜10個の炭素原子を有する環状脂肪族ジカルボン酸、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−メチルシクロヘキサンジカルボン酸および4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸;又は例えば8〜14個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、例えばイソフタル酸、フタル酸、1,3−、1,4−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,1,3−トリメチル−5−カルボキシル−3−(p−カルボキシフェニル)インダン、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸および4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸等が挙げられる。
上記共重合ポリエステルの共重合成分としてのジオールとしては、例えば線状又は分岐状の脂肪族ジオール(1,4−ブタンジオールを除く)、脂環族ジオール、例えば1,3−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサンおよび芳香族ジオール例えばハイドロキノンおよびレゾルシノールおよび特に次式I:
Figure 2008303292
(式中、OH基はm−位および特にp−位にあり、そしてR’およびR’’は炭素原子数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子例えば塩素原子又は臭素原子、そして特に水素原子を表わす。)で表わされるビスフェノールである。Aは直接結合でもO、S、SO、―C2p−でもよく、式中、は1〜4を表わし、そして特に−CH−又は−C(CH−を表わす。このようなビスフェノールの例は:ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル又は−チオエーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−又は2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔テレブロモビスフェノールAともいう〕および特に2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールAともいう〕である。
さらに適当なジオールは、例えば、1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン〔ビスフェノールCともいう〕;β−ヒドロキシアルキル化、特にβ−ヒドロキシエチル化ビスフェノール、例えば2,2−ビス〔4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン;芳香族ジオール、脂肪族ジオール、例えばp−ジヒドロキシメチルベンゼン、2,5−ジクロロ−p−ジヒドロキシ−メチルベンゼン;ポリアルキレングリコール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、またN,N’−複素環状含有ジオール例えばN,N’−(2−ヒドロキシエチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、N−N’−(2−ヒドロキシエチル)ベンズイミダゾロンおよびN,N’−(2−ヒドロキシエチル)−4,5,6,7−テトラグロモベンズイミダゾロンである。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)には、アルキレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステル以外のポリエステルやアルキレンテレフタレート単位を主成分とする共重合ポリエステル以外の共重合ポリエステルを混合しても構わないが、(A)の中に含まれるアルキレンテレフタレートの繰り返し単位はポリエステル樹脂成分の70モル%以上である。特に好ましくは、(A)の中に含まれるブチレンテレフタレートの繰り返し単位はポリエステル樹脂成分の70モル%以上である。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、3価〜4価アルコール、又は3〜4塩基酸により分岐化してもよい。適当な分岐化剤は、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、1,1,1−トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールである。
共重合ポリエステルは共重合成分として、特に、ジオール成分に対して0.5〜10モル%、特に2〜10モル%の量の2,2−ビス〔4−(β−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンの基を含有するものが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、本発明における樹脂組成物から成形された成形品から測定される降温結晶化ピーク温度Tc2が、180〜200℃である必要がある。より望ましくは、185〜195℃である。Tc2が200℃を超えると、十分な表面外観が得られず、Tc2が180℃未満であると冷却時間が長くなり成形性に問題が発生する。
本発明で使用される無機充填材(B)としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム等の繊維状強化材や、石英、カオリン、タルク、雲母、黒鉛、珪灰石、ガラスビーズ、リトボン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、ベーマイト(アルミナ水和物)、硫化亜鉛、酸化亜鉛、チタン酸マグネシウム等の無機充填材が使用でき、これらは2種類以上配合しても良い。
なお、無機充填材(B)が結晶核剤としてTc2を高める物質である場合には、Tc2が200℃を超えないように配合組成を考慮することが必要である。本発明においては、樹脂組成物の結晶性があまり高くなりすぎないように結晶化を制御することが重要である。
成形品中に存在する粒子状の無機充填材(B)の平均粒径は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm未満0.2μm以上である。平均粒径が10μmより大きい場合や10μmより大きく凝集した無機充填材が多数存在する場合は、成形品の表面に無機充填材の浮き上がりが発生してしまい、良好な表面光沢が得られにくくなる。
本発明における無機充填材(B)の配合量は、アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、5〜80質量部、好ましくは5〜50質量部配合される。80質量部を超えると成形品が脆くなるため好ましくない。また、成形品の耐熱性を向上させるために5質量部以上配合することが必要である。
本発明では、添加剤として、脂肪酸エステル系化合物(C)とエチレン−アクリル酸系共重合物(D)とを併用することが重要である。脂肪酸エステル系化合物(C)とエチレン−アクリル酸系共重合物(D)との併用効果が発現する理由は明確ではないが、両者が共存すると、脂肪酸エステル系化合物(C)が主として離型剤的に作用し、エチレン−アクリル酸共重合物又は/及びエチレン−アクリル酸エステル共重合物(D)が主として塗膜や蒸着膜との接着性や光沢の向上に作用するため、金型からの離型性に優れながら、光反射金属層(蒸着層)との接着性に優れるという、相反する特性の両立が達成できるものと考えられる。
本発明における脂肪酸エステル系化合物(C)とは、脂肪酸とアルコールのエステル化合物であり、炭素数16以上の飽和脂肪酸からなる脂肪酸エステルが特に好ましい。炭素数16以上の飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸などが挙げられる。またアルコール成分としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビタン、モノグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリンなどが好適に使用される。
本発明におけるエチレン−アクリル酸系共重合物(D)とは、エチレン−アクリル酸共重合物又は/及びエチレン−アクリル酸エステル共重合物のことであり、エチレン−アクリル酸共重合物、エチレン−メタクリル酸共重合物、エチレン−アクリル酸エステル共重合物、エチレン−メタクリル酸エステル共重合物の中から適宜選択することができる。
これらの共重合物を構成するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとしてメチルアクリレート,エチルアクリレート,プロピルアクリレート,ブチルアクリレート,アミノアクリレート,ヘキシルアクリレート,オクチルアクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート,シクロヘキシルアクリレート,ドデシルアクリレート,オクタデシルアクリレート,フェニルアクリレート,ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル、メチルメタクリレート,エチルメタクリレート,プロピルメタクリレート,ブチルメタクリレート,アミノメタクリレート,ヘキシルメタクリレート,オクチルメタクリレート,2−エチルヘキシルメタクリレート,シクロヘキシルメタクリレート,ドデシルメタクリレート,オクタデシルメタクリレート,フェニルメタクリレート,ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルを挙げることができる。
上記(C)及び(D)の2種類に、さらに異なる種類の離型剤などを併用することも可能である。
本発明における(C)と(D)の合計の配合量は、本発明におけるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜5.0質量部である。配合量がこれを越えると、使用温度によっては曇り状の外観不良や染み出しが顕在化する場合があり好ましくない。逆に配合量が少ないと効果的な離型が得られない。
特に好ましい配合量は、ポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、脂肪酸エステル系化合物(C)0.1〜1質量%、エチレン・(メタ)アクリル酸(エステル)共重合物(D)0.1〜1質量%である。(C)と(D)の配合比率は、(C)/(D)=1/10〜10/1が好ましく、より好ましくは、1/5〜5/1である。(C)と(D)は併用することによって、塗装膜または蒸着膜との密着性に優れ、かつ表面外観に優れた成形品を得ることができる。
また、本発明における成形品がアルミニウム蒸着を施される光反射体であるような場合、成形時の熱安定性を高め、特に連続的に成形された場合でも、成形時に発生しやすいガス、低分子成分、染み出し物等の影響による成形品の外観・輝度感の低下を抑制するために、樹脂組成物に更に酸化防止剤を添加しておくことは好ましい態様である。
本発明に使用することができる酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール類、チオエーテル類、および有機ホスファイト類から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせからなることが好ましく、これらの添加は、押出し時や成形機内での溶融熱安定性向上に効果があり、揮発の付着による表面曇りの発生が少なく良好な外観・表面平滑性を有する成形品を連続的に長時間生産する上で有用であるとともに、光反射体が高温条件下におかれた際に、良好な外観・表面平滑性を維持する上でも特に有用である。
ここで使用する酸化防止剤の具体例を示すと、ヒンダードフェノール類としてはテトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン、トリエチレングリコール−ビス{3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,6−ヘキサンジオール−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}などがあり、チオエーテル類としてはテトラキス{メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート}メタン、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジドデシルチオジプロピオネートなどがあり、有機ホスファイト類としてはビス(2,6−ジ−t−4メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどがある。特にヒンダードフェノール類とチオエーテル類、ヒンダードフェノール類と有機ホスファイト類、ならびにこれら3種の酸化防止剤の併用は効果的である。
また有機ホスファイト類酸化防止剤の代わりとして、リン酸金属塩も好適であり、具体例を示すと、第一リン酸カルシウム、第一リン酸ナトリウムの1水和物が挙げられる。
酸化防止剤の配合量は、本発明におけるポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、0〜3.0質量部である。配合量がこれを越えると、曇り状の外観不良や染み出しが顕在化する場合があり好ましくない。
さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物には、その目的に応じ所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂等に添加される公知の物質を配合することができる。例えば帯電防止剤、染料や顔料等の着色剤等いずれも配合することが可能である。
本発明のポリエステル樹脂組成物の調製は、従来の樹脂組成物調製法として一般に用いられる設備と方法により容易に調製される。例えば、(1)本発明の組成物を構成する成分を所定量一括混合して、一軸又は二軸の押出し機で溶融混練し、目的組成のペレットを得る。(2)原材料投入口を2個以上有する一軸又は二軸の押出し機で、第一番目の投入口から樹脂、安定剤、顔料成分などを投入し溶融混練した後、第二番目の原料投入口より無機充填材を投入し、溶融混練して目的組成のペレットを得る、などである。
樹脂を金型に充填するための成形法としては、射出成形法、射出圧縮成形法などがあるが、射出成形法が一般的である。金型はクロムメッキ処理などによって鏡面加工することが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例で使用した材料および評価項目の測定方法は以下の通りである。
なお実施例中の部、および%は特に記載がない場合は質量基準である。
<使用した材料>
(A1)PBT:ηsp/C(還元粘度)1.23dl/g、末端カルボキシル基量30eq/kgのポリブチレンテレフタレート樹脂。
(A2)PET:ηsp/C(還元粘度)0.62dl/g、末端カルボキシル基量30eq/kgのポリエチレンテレフタレート樹脂
(A3)PTT:ηsp/C(還元粘度)0.92dl/g、末端カルボキシル基量17eq/kgのポリトリメチレンテレフタレート樹脂
(A4)ポリエステル共重合体:ηsp/C(還元粘度)0.84dl/g、共重合組成がテレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール=90/10//100モル比のポリエステル共重合体
(B1)硫酸バリウム:B−55(堺化学工業(株)製)
(B2)ベーマイト:セラシュールBMM(河合石灰工業(株)製)
(B3)カオリン:ASP200(林化成(株)製)
(B4)タルク1:SG−95(日本タルク(株)製)
(B5)タルク2:ミクロンホワイト5000A(林化成(株)製)
(C1)脂肪酸エステル系化合物:モンタン酸エステル、Licolub WE−40、(クラリアントジャパン(株)製)
(C2)脂肪酸エステル系化合物:ペンタエリスリトール脂肪酸エステル H−476(日本油脂(株)製)
(D)エチレン・アクリル酸系共重合物:A−C540A(Honeywel製)
以下、測定評価方法について説明する。
(1)評価用平板(テストプレート)成形法及び成形性の評価
100mm×100mm×2mm(たて×よこ×厚さ)の平板(テストプレート)を下記の成形条件にて射出成形した。
射出成形機:東芝機械(株)製IS−80
シリンダー1〜4ゾーン温度:240−250−250−250℃
充填時間:1秒 冷却時間: 20秒
保圧力:400kgf/cm
金型温度:70℃
上記成形での成形性を評価した。
○:成形可能 、×:テストプレートが金型に張り付く、××:成形不可能
(2)表面光沢の測定
平板(テストプレート)の表面光沢を、東京電色社製光沢測定器グロスメーターModel TC08Dにて入射角および反射角60度で測定した。
(3)蒸着法及び蒸着表面の光反射の目視による外観評価
平板テストピースを蒸着装置を使用して、蒸着装置内を1.0×10−2Paまで減圧し、1.0nm/secの蒸着速度でアルミニウムを100nmの膜厚まで蒸着した。
蒸着した平板(テストプレート)の光反射による表面外観を目視にて観察し、下記の5段階にランク付けした。
◎:高い輝度感を有し、蛍光灯が歪みなく明瞭に映る。
○:高い輝度感を有し、蛍光灯は歪みなく映るが、若干の曇りがある。
△:蛍光灯は歪みなく映るものの多少ぼやけており、曇りが多少見られる。
×:表面が均一ではなく、蛍光灯が多少歪んで映り、曇りが見られる。
××:表面が荒れており、蛍光灯が波打って映り、白く見える。
なお、外観評価は、蒸着直後の表面及び160℃で24時間加熱オーブン内に放置した後の表面について実施した。
(4)蒸着密着性の測定:碁盤目剥離試験
得られた蒸着平板(100mm×100mm×2mm)を23℃、相対湿度40%の恒温恒湿室中に24時間放置した後、ニチバン(株)製粘着セロハンテープ:セロテープ(登録商標)を用いて、1mm間隔の碁盤目数100の碁盤目剥離試験を行った。
なお、各実施例および比較例についてそれぞれ5回の碁盤目剥離試験を行い、テストプレート表面に残存する碁盤目数の残存数を百分率にて表した。
(5)塗装密着性の測定
上記で得られた平板(テストプレート)(100mm×100mm×2mm)に、密着性評価用塗料(大日本塗料社製、プラニット#3000)を塗膜の平均厚さが10〜30μmとなるように均一に塗布し、常温で24時間以上十分乾燥させた後、ニチバン(株)製粘着セロハンテープ:セロテープ(登録商標)を用いて、1mm間隔の碁盤目数100の碁盤目剥離試験を行った。
なお、各実施例および比較例についてそれぞれ5回の碁盤目剥離試験を行い、テストプレート表面に残存する碁盤目数の残存数を百分率にて表した。
(6)降温結晶化温度の測定
上記で得られた平板(テストプレート)のTc2をISO11357に準じて測定を行った。
セイコーインスツル社製示差走査熱量計EXSTAR6000により、昇温速度20℃/minで280℃まで昇温し、5分間保持後、10℃/minで0℃まで降温し、降温結晶化ピーク温度(Tc2)を測定した。
(5)無機充填材の粒子径の測定
得られた平板(テストプレート)の中央部をミクロトームにて面出し後、カーボン蒸着を行い、電界放射走査電子顕微鏡(日立製作所社製、S4500)で加速電圧20KV、倍率500〜5000倍で観察して、写真撮影をする。次いで、得られた写真画像において100個の粒子について円相当径(粒子の写真における面積と等しい面積の円の直径)を画像解析により測定した。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
表1に示す配合量になるように材料を配合して、シリンダーからノズルの各部分の温度が順に240−250−250−250℃に設定された2軸押出機(池貝鉄工(株)製、PCM30)で溶融混練してポリエステル樹脂組成物のペレットを得た。次に得られたペレットを、140℃で4時間乾燥した後、前記成形条件で射出成形機を用いて、金型表面温度が70℃であるクロムメッキされた鏡面金型を用いて射出成形し、評価用平板(テストプレート)を得た。評価結果を表1及び表2に示した。
Figure 2008303292
Figure 2008303292
実施例から明らかなように、本発明のポリエステル樹脂組成物から得られた成形体は表面外観に優れ、蒸着膜や塗装膜との密着性が良好であり、しかも、成形品の優れた外観が高温の環境下においても維持できる。
本発明のポリエステル樹脂組成物から得られる成形品は、耐熱性および寸法安定性に優れると共に、表面光沢が極めて高く、アルミニウムなどの金属蒸着や塗装を施す製品に好適に使用される。
したがって、電気部品、家電製品、自動車内装部品や外装部品、住宅設備用等のさまざまな分野に使用可能であり、産業界に寄与すること大である。

Claims (4)

  1. アルキレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル樹脂(A)100質量部に対し、無機充填材(B)5〜80質量部及び脂肪酸エステル系化合物(C)とエチレン−アクリル酸系共重合物(D)との合計量0.1〜5質量部を含む樹脂組成物であり、該樹脂組成物の成形品のDSC測定より得られる降温結晶化ピーク温度Tc2が180〜200℃であることを特徴とする塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
  2. 成形品の表面光沢度が90〜150であることを特徴とする、請求項1に記載の塗装・蒸着成形品用ポリエステル樹脂組成物。
  3. 成形品中に存在する無機充填材(B)の平均粒径が10μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の塗装・蒸着用ポリエステル樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を成形して得られる塗装・蒸着用成形体品。
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