JP3827400B2 - 耐衝撃性改良熱可塑性樹脂成形用組成物およびそれから成形された物品 - Google Patents
耐衝撃性改良熱可塑性樹脂成形用組成物およびそれから成形された物品 Download PDFInfo
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Description
発明の分野
本発明は耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物に係わり、特にポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂とのブレンドを含む耐衝撃性改良組成物に係わる。
発明の背景
例えば、米国特許第5,112,913号明細書および米国特許第5,369,154号明細書を参照できるように、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂およびグリシジルエステル耐衝撃性改良剤を含んだ耐衝撃性改良熱可塑性樹脂ブレンドは知られており、物品例えば、光沢のある欠陥のない表面外観が極めて重要とされるミラーハウジングおよびカウルベントグリルのような自動車部品を成形するのに使用されている。
【0002】
このような既知の耐衝撃性改良ポリエステル樹脂/ポリカーボネート樹脂ブレンドから成形された物品は例えば良好な衝撃性能を与えるが、このような物品の表面の審美的外観はある種の用途においては欠乏されていることが判明し、即ちこのような物品の表面は、他の点では光沢があるものの表面上の縞およびピットによって受け入れがたい損傷を受けていることが判明した。
【0003】
発明の要約
従って、本発明は第一の観点においては、
グリシジルエステル耐衝撃性改良剤をポリカーボネート樹脂と組み合わせてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成し、このグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドをポリエステル樹脂と組み合わせて耐衝撃性を改良された熱可塑性樹脂組成物を生成することからなる、
耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物を製造する方法を提供する。
【0004】
本発明は第二の観点においては、
グリシジルエステル耐衝撃性改良剤をポリカーボネート樹脂と組み合わせてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成し、このグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドをポリエステル樹脂と組み合わせて耐衝撃性を改良された熱可塑性樹脂組成物を生成し、
この耐衝撃性を改良された熱可塑性樹脂組成物を成形して衝撃抵抗性の物品を形成することからなる、
衝撃抵抗性の物品の製造方法を提供する。
【0005】
本発明の方法によって製造される耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物から成形された物品は高い衝撃抵抗および改善された表面外観を示す。
発明の詳細な記述
ポリカーボネート樹脂
本発明に使用するのに適した芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法および熱可塑性成形コンパウンドへのポリカーボネート樹脂の使用は、当業界で周知であり、一般的には米国特許第3,169,121号明細書、米国特許第4,487,896号明細書および米国特許第5,411,999号明細書に教示されているところを参照されたい。
【0006】
芳香族ポリカーボネート樹脂は一般的には、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」)、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、2,4′−ジヒドロキシフェニルスルホンおよび4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジクロロフェニルエーテルの如き二価フェノールを、例えば臭化カルボニルや塩化カルボニル、ハロゲンホーメート、二価フェノールのビスハロホーメートあるいは炭酸ジフェニル、炭酸ジクロロフェニル、炭酸ジナフチル、炭酸フェニルトリルおよび炭酸ジトリルのような炭酸エステルの如きカーボネート前駆体と反応させることにより調製されている。
【0007】
好ましい実施態様では、芳香族ポリカーボネート樹脂は、線状芳香族ポリカーボネート樹脂、分枝芳香族ポリカーボネート樹脂およびポリ(エステル−カーボネート)樹脂から選ばれた1種又はそれ以上の樹脂を含む。適当な線状芳香族ポリカーボネート樹脂は例えばビスフェノールAポリカーボネート樹脂を包含する。
【0008】
適当な分枝芳香族ポリカーボネートは例えばトリメリト酸無水物、トリメリト酸、トリメシン酸、トリヒドロキシフェニルエタンあるいはトリメリチルトリクロリドのような多官能性芳香族化合物を二価フェノールおよびカーボネート前駆体と反応させて分枝ポリマーを形成することにより製造される。
適当なポリ(エステル−カーボネート)共重合体は例えばテレフタル酸、2,6−ナフタル酸のような二官能性カルボン酸あるいは酸クロリドのような二官能性カルボン酸の誘導体を二価フェノールおよびカーボネート前駆体と反応させることにより製造される。
【0009】
好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂はメチレンクロライド中25℃で約0.3−約1.5デシリットル/グラムの固有粘度を有する。
好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂はビスフェノールAおよびホスゲンから誘導された線状ポリカーボネート樹脂である。別の好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂は2種以上のポリカーボネート樹脂のブレンドである。
【0010】
適当な芳香族ポリカーボネート樹脂は市販されており、例えばGeneral Electric CompanyからLEXAN(登録商標)という名称で市販されているビスフェノールAタイプのポリカーボネート樹脂である。
グリシジルエステル耐衝撃性改良剤
適当なグリシジルエステル耐衝撃性改良剤は1種またはそれ以上のグリシジルエステル単量体から誘導された反復単位を含んだ重合体である。ここに使用される用語「グリシジルエステル単量体」とは例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸のようなエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステルを意味し、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルイタコネートなどを包含する。好ましい実施態様では、グリシジルエステル単量体はグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートである。
【0011】
好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤は1種またはそれ以上のグリシジルエステル単量体から誘導された第一の反復単位およびエチレン、プロピレン、1−ブテンおよび1−ペンテンのような1種またはそれ以上のα−オレフィン単量体から誘導された第二の反復単位を含んでいる。
適当なグリシジルエステル共重合体は随意には、グリシジルエステル単量体と共重合しうる1種またはそれ以上の他のモノエチレン性不飽和単量体から誘導された反復単位を少量即ち約50wt%まで含むことができる。ここに使用される用語「モノエチレン性不飽和」とは分子あたりエチレン性不飽和部位を一つ有することを意味する。適当な共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体には例えば、スチレンやビニルトルエンのようなビニル芳香族単量体、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルのようなビニルエステルおよびブチルアクリレート、メチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートのような(C1 −C20)アルキル(メタ)アクリレートが包含される。ここに使用される用語「(C1 −C20)アルキル」とは例えばメチル、エチル、デシル、エイコシル、シクロヘキシルのような、基あたり1−20個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル基を意味し、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート化合物およびメタクリレート化合物を集約して指すものとする。
【0012】
好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤は、グリシジルエステル単量体から誘導された単位を0.5−40wt%、好ましくは1−30wt%、そしてより好ましくは2−20wt%含む。
適当なグリシジルエステル共重合体は例えば慣用の遊離基開始共重合法あるいはグラフト重合法により製造できる。
【0013】
大いに好ましい実施態様においては、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤は次なる構造式(1)
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、R1 はH、アルキルまたはアリールであり、R2 、R3 およびR5 はそれぞれ独自にHまたは(C1−C6)アルキルであり、R4 およびR6 はそれぞれ独自にアルキルまたはアリールであり、a+b+c+d=100であり、aは50−99.5であり、bは0.5−25であり、cは0−50であり、そしてdは0−50である)に従った相対的組成を有するランダム共重合体である。
【0016】
更に大いに好ましい実施態様においては、R1 はH、(C1 −C20)アルキル、(C5 −C20)シクロアルキルまたは(C6 −C20)アリールである。ここに使用される用語「(C5 −C20)シクロアルキル」は例えばシクロヘキシルやシクロオクチルのような、基あたり5−20個の炭素原子を有する環式アルキル基を意味し、用語「(C6 −C20)アリール」は例えばフェニル、ナフチル、トリル、キシリル、メシチル、イソプロピルフェニルなどのような、不飽和六員環の炭素環を1個以上含み、そして随意には芳香族環の一つの上に1個以上のアルキル基で置換されていてもよい、基あたり全部で6−20個の炭素原子を有する置換基を形成する、炭化水素基を意味する。
【0017】
更に大いに好ましい実施態様においては、R2 、R3 およびR5 はそれぞれ独自にHまたはメチルである。
更に大いに好ましい実施態様においては、R4 およびR6 はそれぞれ独自に(C1 −C20)アルキルである。
更に大いに好ましい実施態様においては、R1 はHであり、R2 およびR3 はそれぞれ独自にHまたはメチルであり、R4 はそれぞれ独自に(C1−C4)アルキルであり、aは45−75であり、bは5−15であり、cは20−40であり、そしてdは0である。
【0018】
好ましい実施態様では、ASTM D−1238により190℃で測定したグリシジルエステル耐衝撃性改良剤のメルトインデックスは0.1−100グラム/10分好ましくは0.5−30グラム/10分である。
好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤はオレフィン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、オレフィン−酢酸ビニル−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体およびオレフィン−グリシジル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれた共重合体の1種以上を含む。
【0019】
グリシジルエステル耐衝撃性改良剤およびポリカーボネート樹脂は好ましくは溶融配合によって組み合わされてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成する。
大いに好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤およびポリカーボネート樹脂は組み合わされそして例えば押出機あるいは連続式ミキサ内で溶融状態で混合に付され、次いで例えば押出により形状を付与され、それから冷却されそしてそれからペレット化によるなどして粒状形態に大きさを減少されて本発明のグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドが生成される。
【0020】
第一の大いに好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤およびポリカーボネート樹脂の固体粒子が粒子を組合せそして組み合わせた粒子を例えばドラムミキサ内で機械的に混合することにより予め混合しそして得られた粒状の予備混合物を次いで溶融配合する。
別の大いに好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤およびポリカーボネート樹脂の固体粒子を計った量にて予備混合工程に付することなく溶融配合装置に同時に供給する。
【0021】
好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂を二つの部分に分け、ポリカーボネート樹脂の第一の部分をグリシジルエステル耐衝撃性改良剤と組み合わせてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成し、そしてポリカーボネート樹脂の第二の部分を次いで例えばこのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドをポリエステル樹脂と組み合わせるのと同時に添加して後に述べるような本発明の耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物を形成する。好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂の第一および第二の部分はそれぞれ独自に上記に開示したポリカーボネート樹脂から選ばれた1種以上の樹脂を含んでいる。更に大いに好ましい実施態様では、ポリカーボネート樹脂の第一および第二の部分はそれぞれ独自に2種以上のポリカーボネート樹脂のブレンドを含んでいる。
【0022】
好ましい実施態様では、本発明のグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドはこのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドの100重量部(「pbw」)に基づいてそれぞれ50−95pbwより好ましくは75−90pbwのポリカーボネート樹脂および5−50pbwより好ましくは10−25pbwのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤を含む。
【0023】
ポリエステル樹脂
本発明に使用するのに適したポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂の製造方法および熱可塑性成形用組成物へのポリエステル樹脂の使用は、当業界で周知であり、一般的には米国特許第2,465,319号明細書、米国特許第5,367,011号明細書および米国特許第5,411,999号明細書に教示されているところを参照されたい。
【0024】
適当なポリエステル樹脂は2−約10個の炭素原子を含有する脂肪族または環式脂肪族ジオールまたはこれらの混合物と少なくとも一種の芳香族ジカルボン酸とから誘導されたポリエステルのような結晶性のポリエステルを包含する。好ましいポリエステルは脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸とから誘導され、次の構造式(2)に従った反復単位を有する。
【0025】
上記式中、nは2−6の整数であり、Rは芳香族ジカルボン酸から誘導された脱カルボキシル化残基を含むアリール基である。
【0026】
脱カルボキシル化残基Rを誘導しうる芳香族ジカルボン酸の例には、例えばイソフタル酸やテレフタル酸のような分子に単一の芳香環を含む酸、1,2−ジ(p−カルボキシフェニル)エタン、4,4′−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4′−ビス安息香酸およびこれらの混合物、並びに例えば1,4−または1,5−ナフタレンジカルボン酸のような縮合環を含む酸である。好ましい実施態様では、残基Rのジカルボン酸前駆物質はテレフタル酸あるいはテレフタル酸とイソフタル酸との混合物である。
【0027】
好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂は、線状ポリエステル樹脂、分枝ポリエステル樹脂および共重合ポリエステル樹脂から選ばれた1種またはそれ以上の樹脂を含む。
適当な線状ポリエステル樹脂には、例えばポリ(エチレンテレフタレート)(「PET」)、ポリ(ブチレンテレフタレート)(「PBT」)、ポリ(プロピレンテレフタレート)(「PPT」)のようなポリ(アルキレンフタレート)、例えばポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)(「PCT」)のようなポリ(シクロアルキレンフタレート)、例えばポリ(ブチレン−2,6−ナフタレート)(「PBN」)およびポリ(エチレン−2,6−ナフタレート)(「PEN」)のようなポリ(アルキレンナフタレート)、例えばポリ(ブチレンジカルボキシレート)のようなポリ(アルキレンジカルボキシレート)等が包含される。適当な共重合ポリエステル樹脂には例えばポリエステルアミド共重合体、シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸−イソフタル酸共重合体およびシクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸−エチレングリコール(「PETG」)共重合体が含まれる。
【0028】
好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂はPBT樹脂およびPET樹脂から選ばれる1種またはそれ以上の樹脂を含む。第一の大いに好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂はPBT樹脂を含む。第二の大いに好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂はPETを含む。第三の大いに好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂は2種またはそれ以上のポリエステル樹脂のブレンドを含み、より好ましくはブレンド100pbwに基づき1−99pbwのポリ(エチレンテレフタレート)および1−99pbwのポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)のブレンドを含む。
【0029】
好ましい実施態様では、ポリエステル樹脂は60:40のフェノール/テトラクロロエタン混合物中で23−30℃で測定して約0.4−約2.0dl/gの固有粘度を有する。
適当なポリエステル樹脂は市販されており、例えばGeneral Electric CompanyからVALOX(登録商標)という名称で市販されているポリエステル樹脂である。
【0030】
好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドとポリエステル樹脂を例えば押出機または連続式ミキサ内で溶融状態で配合し、次いで例えば押し出しにより形状付けし、それから冷却し、それから好ましくは例えば押出物をペレットに切断することにより粒状形態にして大きさを減少して本発明の耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物を生成する。
【0031】
第一の大いに好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドおよびポリエステル樹脂の固体粒子をこれら粒子を組合せそして組み合わせた粒子を例えばドラムミキサ内で機械的に混合することにより予め混合しそして得られた粒状の予備混合物を次いで溶融配合する。
別の大いに好ましい実施態様では、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドおよびポリエステル樹脂の固体粒子を計った量にて予備混合工程に付することなく溶融配合用の混合装置に同時に供給する。
【0032】
好ましい実施態様では、上記に論じたとおり、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤をポリカーボネート樹脂の第一の部分と組み合わせてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成し、そしてこのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを次いでポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂の第二の部分と組み合わせて本発明の耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物を形成する。
【0033】
好ましい実施態様では、本発明の熱可塑性樹脂組成物はこの熱可塑性樹脂組成物の100pbwに基づいてそれぞれ10−90pbw好ましくは20−50pbwの熱可塑性ポリエステル樹脂、10−90pbw好ましくは50−80pbwのポリカーボネート樹脂および0.5−20pbw好ましくは0.5−5pbwのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤を含んでいる。
【0034】
本発明の組成物はグリシジルエステル耐衝撃性改良剤に加えて、他の耐衝撃性改良剤例えば「コア−シェル」共重合体、ポリオレフィンゴム共重合体およびスチレン系耐衝撃性改良剤を随意に含むことができる。
コア−シェル共重合体、コア−シェル共重合体の製造法およびポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂と組み合わせた耐衝撃性改良剤としてのコア−シェル共重合体の使用は当業界で知られており、例えば米国特許第3,864,428号明細書および米国特許第4,264,487号明細書を参照されたい。
【0035】
適当なコア−シェル共重合体は約10℃より低いガラス転位温度(「Tg」)を有しそして例えばブチルアクリレートのようなアクリレート単量体および例えばブタジエンのような共役ジエン単量体のようなモノエチレン性不飽和単量体の一種以上から誘導された反復単位を含むゴム質「コア」と、約10℃以上のTgを有しそして例えばメチルメタクリレートのようなモノエチレン性不飽和単量体から誘導された反復単位を含む硬質「シェル」とを含んだものである。
【0036】
適当なポリオレフィンゴム共重合体には例えばエチレン−エチルアクリレート共重合体のようなエチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−アルキルビニルエステル共重合体、エチレン−プロピレンゴム(EPR)共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン単量体タイプ(EPDM)ターポリマーおよびスチレン−アクリロニトリル/エチレン−プロピレン−非共役ジエン単量体グラフト共重合体が包含される。このようなポリオレフィンゴム共重合体の製造法およびポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂と組み合わせたこのようなポリオレフィンゴム共重合体の使用は当業界で知られており、例えば米国特許第4,550,138号明細書、米国特許第4,485,212号明細書および米国特許第4,493,921号明細書を参照されたい。
【0037】
耐衝撃性改良剤として有用な適当なスチレン系共重合体には、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(「ABS」)共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン(「SBS」)ブロック共重合体、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン(「SEBS」)共重合体、メタクリレート−ブタジエン−スチレン(「MBS」)共重合体およびその他の耐衝撃性スチレン含有共重合体が含まれる。
【0038】
好ましい実施態様では、本発明の組成物は本発明の組成物の溶融粘度の安定性を改善するために安定剤化合物を含む。適当な安定剤およびそのポリエステル樹脂−ポリカーボネート樹脂ブレンドへの使用については知られており、例えば米国特許第5,441,997号明細書を参照されたい。適当な安定剤には例えばジフェニルドデシルホスファイトのようなアルカリールホスファイト、モノ亜鉛燐酸塩のような酸性燐酸塩、Na2H2P2O7のような多酸ピロ燐酸塩またはその塩、燐酸亜鉛のような第IBまたはIIB族金属の燐酸塩および燐酸のようなリンオキソ酸が含まれる。
【0039】
本発明の組成物は更に、例えばマイカ、ガラス繊維、ミル処理したガラス、フレーク状のガラス、ウォラストナイト、粘土、タルク、炭素繊維、セラミック繊維、チタン酸塩繊維、核形成剤、着色剤、難燃剤、静電防止剤、酸化防止剤、紫外線安定剤および熱安定剤のような当業界に知られているその他の添加剤を一種以上随意に含むことができる。
【0040】
本発明の熱可塑性樹脂成形コンパウンドは例えば、射出成形によって、そして好ましくは成形時に一つ以上の高光沢の表面を持った部品を生産するために一つ以上の研磨した金型表面を有する金型を使用した射出成形によって、有用な物品に成形することができる。
本発明の組成物は、例えばミラーハウジング、ドアハンドル、グリルのような自動車物品並びに芝および庭園器具、スポーツ用品、電子機器、事務機器、家庭用品およびパッケージ材料のような高光沢の表面を持った部品への用途に特に良く適している。
【0041】
実施例1および比較例C1およびC2
実施例1の組成物を以下に開示したようにした製造した。
グリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを、エチレン67wt%、メチルメタクリレート25wt%およびグリシジルメタクリレート8wt%の公称組成を有するグリシジルアクリレート耐衝撃性改良剤(Elf Atochem のLOTADER(登録商標)AX8900耐衝撃性改良剤)20pbwを、ポリカーボネート樹脂ブレンド(それぞれGeneral Electric Companyから市販されたLEXAN(登録商標)120樹脂22pbwおよびLEXAN(登録商標)105樹脂58pbw)80pbwと、単軸スクリュー押出機内で250−300℃で溶融配合して製造した。
【0042】
耐衝撃性改良熱可塑性樹脂ブレンドは次いで、上記のグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂ブレンドの粒子10pbwを、ポリブチレンテレフタレート樹脂(General Electric Companyから市販されたVALOX(登録商標)315ポリブチレンテレフタレート樹脂)の粒子30pbw、LEXAN(登録商標)120ポリカーボネート樹脂30pbwおよびLEXAN(登録商標)125ポリカーボネート樹脂30pbwと、250−300℃で作動する二軸スクリュー同方向回転押出機内で溶融配合しそして混合物を押し出すことにより製造した。
【0043】
上記に掲示した成分に加えて、上述した溶融配合工程の第二の工程の間に実施例1の耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物に以下の添加剤を加えた。LEXAN(登録商標)120およびLEXAN(登録商標)105ポリカーボネート樹脂の50/50ブレンド80wt%とカーボンブラック20wt%とから成るカーボンブラックブレンド2pbw、立体障害フェノール抗酸化剤(Ciba-GeigyのIRGANOX(登録商標)1076)0.2pbw、アリールホスファイト(Ciba-GeigyのIRGAFOS(登録商標)168)0.2pbw、UV安定剤(ベンゾトリアゾール)0.54pbwおよびモノ亜鉛燐酸塩二水和物酸性塩0.1pbw。
【0044】
比較例C1の組成物は上記の実施例1に示した材料を実施例1に示したと同じ相対量にて組み合わせて製造したが、但しグリシジルエステル耐衝撃性改良剤をポリカーボネート樹脂と予め配合する代わりに、グリシジルエステル耐衝撃性改良剤、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂を押出機の供給スロートに同時に供給した。
【0045】
比較例C2の組成物は実施例1の組成物に対して開示したと同じ材料を同じ相対量で含むが、しかし比較例C2ではグリシジルエステル耐衝撃性改良剤をPBT樹脂と予め配合してグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/PBT樹脂のブレンドを形成し、このブレンドを次いで押出機中でポリカーボネート樹脂と溶融配合して耐衝撃性改良熱可塑性樹脂ブレンドを形成した。
【0046】
実施例1および比較例C1およびC2の組成物の各々に対して溶融粘度、室温ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(ASTM D256)および破断時引張伸び(ASTM D638)を測定した。溶融粘度を測定するための試料を150℃で1時間乾燥し次いで試料(試料サイズ略10g)の各々を266℃で4900グラムの荷重下にて0.0825インチ直径のオリフィスを通して5分の滞留時間にわたり押し出すことにより溶融粘度を測定した。
【0047】
実施例1および比較例C1およびC2の組成物を以下に開示した条件下で射出成形して試料の小板を形成した。
成形に先立ち、全ての成形用材料を強制空気対流オーブン内で125℃で3−4時間乾燥した。
小板の成形工具は5インチ×6インチ×0.125インチの大きさでダブル−ゲートにされており、タブゲートは金型の長い側面の一つの上にそれぞれ金型の各コーナーの一つから略1インチ離して位置づけられている。「B」金型半部上に高度に磨いたクロム処理した平坦なプレートを使用した。
【0048】
この成形工具を80トンのVan Dorn射出成形機内に取り付けそして次いで成形機を以下の条件で作動させた。
即ち、バレル上では500°F(後部/中央/前部/ノズル)のフラットなプロフィールおよび金型半部上では150°Fを使用した。第一段では1500ポンド/平方インチゲージ(psig)の射出圧力を使用し、第二段では500psigを使用し、そして50−75psigの背圧を使用した。押出速度は100−125回転/分(rpm)であり、ショットサイズは略4.625インチ、クッションは0.125−0.250インチ、10秒の射出時間にわたり遅い射出速度とし、第一段から第二段への移行部を略0.5インチとし、閉金型時間を17秒とし、全サイクル時間を29秒とした。
【0049】
金型の高度に磨かれた「B」面に接触して成形された試料小板の表面の表面外観を目視的に検査(拡大することなく、目で検査)してピットおよび縞の発生を検出した。
試験結果、即ち、ポイズで表した溶融粘度(MV266℃:ポイズ)、フート−ポンドで表した室温ノッチ付きアイゾット衝撃強さ(NII:ft-lb/in)、%で表した破断時引張伸び(TE:%)および目視検査による成形小板の表面外観を実施例1および比較例C1およびC2の組成物の各々に対して以下の表1に示した。
【0050】
実施例2および比較例C3
実施例2および比較例C3の組成物を実施例1および比較例C2に対して上記に開示したのと同様な方法で製造したが、但し実施例2のポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート樹脂(E.I. DuPont de NemoursからのCRYSTAR(登録商標)3948)を使用しそして比較例C3ではグリシジルエステル耐衝撃性改良剤20pbwおよびポリエチレンテレフタレート樹脂80pbwのブレンドを使用した。
【0051】
以下の表2に組成物のそれぞれに使用したポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂/グリシジルエステル耐衝撃性改良剤ブレンドおよびポリエステル樹脂/グリシジルエステル耐衝撃性改良剤ブレンドの相対量を示した。更に、組成物のそれぞれにはカーボンブラック25wt%およびポリカーボネート樹脂75wt%からなるカーボンブラック/樹脂ブレンド2.4pbwおよびモノ亜鉛燐酸塩安定剤0.1pbwが含まれている。
【0052】
組成物の各々の小板を上記実施例1に開示したと同様の方法で成形したが、但し(i)射出工程の間に金型バレルにわたり530°Fのフラットな温度プロフィールを使用しそして(ii)成形部品中に存在する表面欠陥の外観を誇大にして示すため金型キャビティを不完全に、即ち完全充填のほぼ75%まで充填させた。実施例1の方法により、即ち金型を完全に充填した方法により成形した部品における表面の欠陥のあるものは表面が「プレスアウト」されてしまうために検出することが難しいことがある。この金型キャビティを不完全に充填する技術を使用すると部品の表面にある縞、ピットおよびその他の表面欠陥を見つけることがより容易となった。試料小板の表面を目視検査(拡大せずに、目で検査)しそして表面のそれぞれの外観を以下の表2に示した。
【0053】
【0054】
PCはGeneral Electric CompanyからのLEXAN(登録商標)145ポリカーボネート樹脂。
GMAはElf Atochem からのLOTADER(登録商標)AX8900耐衝撃性改良剤。
本発明の方法により製造された耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物から成形された物品は高い衝撃抵抗および改善された表面外観を示す。
Claims (8)
- グリシジルエステル耐衝撃性改良剤をポリカーボネート樹脂の第一の部分と組み合わせてグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドを形成し、このグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドをポリエステル樹脂およびポリカーボネート樹脂の第二の部分と組み合わせて耐衝撃性の改良された熱可塑性樹脂組成物を生成することからなる、耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物を製造する方法。
- ポリカーボネート樹脂がビスフェノールAポリカーボネート樹脂を含む請求項1記載の方法。
- ポリカーボネート樹脂が2種以上のポリカーボネート樹脂のブレンドである請求項1記載の方法。
- グリシジルエステル耐衝撃性改良剤が構造式
- R1 はHであり、R2 およびR3 はそれぞれ独自にHまたはメチルであり、R4 はそれぞれ独自に(C1−C4)アルキルであり、aは45−75であり、bは5−15であり、cは20−40であり、そしてdは0である請求項4記載の方法。
- ポリエステル樹脂がポリ(エチレンテレフタレート)樹脂およびポリ(ブチレンテレフタレート)樹脂から選ばれた1種またはそれ以上の樹脂を含む請求項1記載の方法。
- グリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドがこのグリシジルエステル耐衝撃性改良剤/ポリカーボネート樹脂のブレンドの100重量部に基づいてそれぞれ50−95重量部のポリカーボネート樹脂および5−50重量部のグリシジルエステル耐衝撃性改良剤を含んでいる請求項1記載の方法。
- 耐衝撃性改良熱可塑性樹脂組成物がこの樹脂組成物の100重量部に基づいてそれぞれ10−90重量部の熱可塑性ポリエステル樹脂、10−90重量部のポリカーボネート樹脂および0.5−20重量部のグリシジルエステル耐衝撃性改良剤を含んでいる請求項1記載の方法。
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