JP2009091437A - アクリルゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
加硫物とした際に、常態物性を損なわず、耐熱性、特に熱老化後の引張強さの残留率と伸びの残留率のバランスに優れるアクリルゴム組成物とその加硫物、およびこれを用いたホース部品、シール部品、防振ゴム部品を提供する。
【解決手段】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部と、酢酸ビニル1〜10質量部と、架橋席モノマー1〜3質量部を共重合させて得られるアクリルゴム組成物。(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、エチルアクリレート100質量部に対して、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種の化合物50〜200質量部を配合させたものであることが好ましく、さらに、エチレンを15質量部以下の割合で共重合させたものが好ましい。
【選択図】 なし
Description
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの不飽和モノマーとしては、特に限定するものではないが、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、があり、これら単体だけでなく2種類以上のものを併用してもよい。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−デシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレートから、選ばれる少なくとも一種を用いることで、熱老化後の引張強さの残留率と伸びの残留率を少なくできるため好ましい。
これらの不飽和モノマーの配合量を調整することで、得られるアクリルゴム組成物やその加硫物の、耐寒性や耐油性を調整することができる。例えば、n−ブチルアクリレートの配合量を多くすることで耐寒性を向上させることができ、エチルアクリレートの配合量を多くすることで耐油性を向上させることができる。
アクリルゴム組成物は、熱や紫外線などの影響により、その主鎖が切断して引張強さや破断伸びといった機械的特性が急激に低下してしまうものである。
アクリルゴム組成物中に共重合させた酢酸ビニル単位は、その末端水素が引き抜かれて架橋点が生成されるという特殊な効果を有する。
そこで、酢酸ビニルをアクリルゴム組成物の主鎖に共重合させておくことで、アクリルゴムの主鎖が切断しても、酢酸ビニル単位が架橋点となってアクリルゴム組成物の分子間を再度架橋させ、機械的強度の低下を抑えることができる。
内容積40リットルの反応容器に、エチルアクリレート5.5kg、n−ブチルアクリレート5.8kg、酢酸ビニル340g、モノ−n−ブチルマレート170g、部分ケン化ポリビニルアルコール4質量部の水溶液17kg、酢酸ナトリウム22gを投入し、攪拌機であらかじめよく混合し、均一懸濁液を作製した。槽内上部の空気を窒素で置換した後、槽内を55℃に保持した後、別途注入口よりt−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を投入して重合を開始させた。反応中槽内温度は55℃に保ち、6時間で反応が終了した。生成した重合液に硼酸ナトリウム水溶液を添加して重合体を固化し、脱水及び乾燥を行ってアクリルゴムを得た。このアクリルゴムはモノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。モノ−n−ブチルマレート単量体単位の定量は、共重合体の生ゴムをトルエンに溶解し、水酸化カリウムを用いた中和滴定により測定した。その他の単量体単位成分は核磁気共鳴スペクトルを採取し、各成分を定量した。
酢酸ビニルの投入量を560gにした以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムはモノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル5質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。
酢酸ビニルの投入量を900g、エチルアクリレート5.4kg、n−ブチルアクリレート5.9kgにした以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムはモノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル8質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。
酢酸ビニルの投入量を340g、モノ−n−ブチルマレートの代わりにグリシジルメタクリレート170gを投入した以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムはグリシジルメタクリレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。グリシジルメタクリレート単量体単位の定量は、共重合体の生ゴムをクロロホルムに溶解し、過塩素酸酢酸溶液を用いた滴定により測定した。その他の単量体単位成分は核磁気共鳴スペクトルを採取し、各成分を定量した。
モノ−n−ブチルマレートの投入量を280gにした以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムはモノ−n−ブチルマレート単量体単位2.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。
内容積40リットルの耐圧反応容器に、エチルアクリレート5.5kg、n−ブチルアクリレート5.8kg、酢酸ビニル340g、モノ−n−ブチルマレート170g、部分ケン化ポリビニルアルコール4質量部の水溶液17kg、酢酸ナトリウム22gを投入し、攪拌機であらかじめよく混合し、均一懸濁液を作製した。槽内上部の空気を窒素で置換した後、エチレンを槽内上部に圧入し、圧力を35kg/cm2に調整した。攪拌を続行し、槽内を55℃に保持した後、別途注入口よりt−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を圧入して重合を開始させた。反応中槽内温度は55℃に保ち、6時間で反応が終了した。生成した重合液に硼酸ナトリウム水溶液を添加して重合体を固化し、脱水及び乾燥を行ってアクリルゴムを得た。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。
酢酸ビニルの投入量を900gにした以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル単量体単位8質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。
エチルアクリレートの投入量を4.4kg、n−ブチルアクリレートの投入量を4.5kg、メチルアクリレートの投入量を2.4kgにした以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位39質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位40質量部と、メチルアクリレート21質量部の共重合体組成であった。
エチルアクリレートの投入量を5.3kg、n−ブチルアクリレートの投入量を5.4kg、メチルアクリレートの投入量を0.6kgにした以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位47質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位48質量部と、メチルアクリレート5質量部の共重合体組成であった。
エチルアクリレートの投入量を6.5kg、n−ブチルアクリレートの投入量を4.2kg、n−デシルメタクリレートの投入量を0.6kgにした以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位58質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位37質量部と、n−デシルメタクリレート5質量部の共重合体組成であった。
エチルアクリレートの投入量を6.5kg、n−ブチルアクリレートの投入量を4.2kg、n−デシルメタクリレートの投入量を0.6kg、モノ−n−ブチルマレートの代わりにグリシジルメタクリレート170gを投入した以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、グリシジルメタクリレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位58質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位37質量部と、n−デシルメタクリレート5質量部の共重合体組成であった。
内容積40リットルの耐圧反応容器に、エチルアクリレート5.5kg、n−ブチルアクリレート5.8kg、酢酸ビニル340g、モノ−n−ブチルマレート170g、部分ケン化ポリビニルアルコール4質量部の水溶液17kg、酢酸ナトリウム22gを投入し、攪拌機であらかじめよく混合し、均一懸濁液を作製した。槽内上部の空気を窒素で置換した後、エチレンを槽内上部に圧入し、圧力を55kg/cm2に調整した。攪拌を続行し、槽内を55℃に保持した後、別途注入口よりt−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を圧入して重合を開始させた。反応中槽内温度は55℃に保ち、6時間で反応が終了した。生成した重合液に硼酸ナトリウム水溶液を添加して重合体を固化し、脱水及び乾燥を行ってアクリルゴムを得た。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位4質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル単量体単位3質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部の共重合体組成であった。モノ−n−ブチルマレート単量体単位の定量は、共重合体の生ゴムをトルエンに溶解し、水酸化カリウムを用いた中和滴定により測定した。その他の単量体単位成分は核磁気共鳴スペクトルを採取し、各成分を定量した。
モノ−n−ブチルマレートの投入量を560gにした以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位5質量部と、エチルアクリレート単量体単位70質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位30質量部の共重合体組成であった。
酢酸ビニル、モノ−n−ブチルマレートを投入しないこと以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチルアクリレート単量体単位50質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位50質量部との共重合体組成であった。
酢酸ビニルを投入しないこと以外は、実施例1と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチレン単量体単位2質量部と、モノ−n−ブチルマレート単量体単位1.5質量部と、エチルアクリレート単量体単位48質量部と、酢酸ビニル単量体単位13質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位52質量部との共重合体組成であった。
酢酸ビニルの投入量を1.5kgにした以外は、実施例6と同様の方法でアクリルゴムを製造した。このアクリルゴムは、エチルアクリレート単量体単位50質量部と、n−ブチルアクリレート単量体単位50質量部との共重合体組成であった。
(1)引張強さ・破断時伸び
JIS K6251に準拠して測定した。
(2)硬さ
JIS K6253に準拠してデュロメータ硬さ計を用いて測定した。
(3)耐寒性試験
JIS K6261に準拠してT100の温度を測定した。
(4)耐熱性試験
JIS K6257に準拠し、190℃×288時間の熱処理を行った後の試験片の引張強さと切断時伸びを測定した。この過酷な評価条件下での切断時伸びの絶対値が大きいと耐熱性が優れているといえる。また、一般式(数1)を用いてそれぞれの残留率を求めた。残留率は、その値が100に近いほど耐熱性が良いことを示す。
Claims (9)
- (メタ)アクリル酸アルキルエステル100質量部と、酢酸ビニル1〜10質量部と、架橋席モノマー1〜3質量部を共重合させて得られるアクリルゴム組成物。
- (メタ)アクリル酸アルキルエステルが、エチルアクリレート100質量部に対して、メチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種の化合物50〜200質量部の割合で共重合させたものであることを特徴とする請求項1記載のアクリルゴム組成物。
- 架橋席モノマーが、カルボキシル基を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載したアクリルゴム組成物。
- 架橋席モノマーが、エポキシ基を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載したアクリルゴム組成物。
- さらに、エチレンを15質量部以下の割合で共重合させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載したアクリルゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載したアクリルゴム組成物を加硫して得られる加硫物。
- 請求項6記載の加硫物からなるホース部品。
- 請求項6記載の加硫物からなるシール部品。
- 請求項6記載の加硫物からなる防振ゴム部品。
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