JP2010174217A - アクリルゴム組成物及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アクリルゴム100質量部と、特定のマレイミド化合物1〜10質量部と、特定のフェノチアジン化合物0.1〜2質量部と、過酸化物5〜10質量部とからなるアクリルゴム組成物。アクリルゴムに、エチレンや酢酸ビニルを含有させることで、得られる加硫物の耐寒性や、これが熱老化した後の機械的物性の低下を防止することができる。
【選択図】なし
Description
アクリルゴム組成物は、熱や紫外線などの影響により、その主鎖が切断して引張強さや破断時伸びといった機械的特性が急激に低下してしまうことがある。酢酸ビニルをアクリルゴム組成物の主鎖に共重合させておくことで、アクリルゴムの主鎖が切断した際に酢酸ビニル単位中の末端水素が引き抜かれて架橋サイトが生成される。このため、主鎖が切断したアクリルゴム組成物の分子間を再度架橋させて、機械的強度の低下を抑制することができる。
酢酸ビニルは、共重合量を調整することにより、得られるアクリルゴムの主鎖が切断した際に発生する架橋サイトの数を調整することができる。
N,N’−1,3−フェニレンジマレイミドは、フェノチアジン化合物との相乗効果により、得られる加硫物の物性をより向上できるものと推測できる。
マレイミド化合物の配合量が1質量部未満では、加硫物の引張強度が不足してしまい、10質量部を超えて配合すると加硫物の破断時伸びが低下してしまう。
フェノチアジンは、マレイミド化合物との相乗効果により、得られる加硫物の引張強度や耐熱性をより向上できるものと推測できる。
フェノチアジン化合物の配合量が0.1質量部未満では、加硫物の常態の引張強度が不足してしまい、2量部を超えて配合するとアクリルゴム組成物が加硫しなくなってしまう。
過酸化物の配合量が少ないと、アクリルゴム組成物が加硫不足となり、加硫物の引張強度や破断時伸びなどの機械的特性が低下することがある。多いと熱老化後の加硫物の伸びの変化率が上昇することがある。
アクリルゴム組成物を混練、成型、加硫する装置、及びアクリルゴム組成物の加硫物を混練、成型する装置は通常ゴム工業で用いているものを使用することができる。
これらの化合物の配合量は、合計で、アクリルゴム組成物100質量部に対して40〜70質量部の範囲が好ましい。
可塑剤の配合量は、アクリルゴム組成物100質量部に対して、50質量部程度までの範囲が好ましい。
シールとしては、例えば、エンジンヘッドカバーガスケット、オイルパンガスケット、オイルシール、リップシールパッキン、O−リング、トランスミッションシールガスケット、クランクシャフト、カムシャフトシールガスケット、バルブステム、パワーステアリングシールベルトカバーシール、ジョイント用ブーツ材及びラックアンドピニオンブーツ材などがある。
防振ゴムとしては、例えば、ダンパーフーリー、センターサポートクッション、サスペンションブッシュなどがある。
また、一般的に行われているように補強糸あるいはワイヤーをホースの中間あるいはゴムホースの最外層に設けたものでもよい。
耐圧反応容器にアクリル酸ブチル8.8kg、酢酸ビニル3.0kg、部分ケン化ビニルアルコール4質量%の水溶液16kg、酢酸ナトリウム23gを投入し、攪拌機であらかじめよく混合し、均一懸濁液を作製した。槽内上部の空気を窒素で置換した後、エチレンを槽内上部に圧入し、圧力を4.3MPaに調整した。攪拌を続行し、槽内を55℃に保持した後、別途注入口より過硫酸アンモニウム水溶液を圧入して重合を開始させた。反応中槽内温度は55℃に保ち、9時間で反応が終了した。生成した重合液にホウ酸ナトリウム水溶液を配合して重合体を固化し、脱水及び乾燥を行って、アクリルゴムを得た。
得られたアクリルゴムは、n−ブチルアクリレート80質量部と、酢酸ビニル16質量部と、エチレン4質量部の割合の共重合体組成物であった。各成分は核磁気共鳴スペクトルを採取し、各成分を定量した。
このようにして得られたアクリルゴム270gに、ステアリン酸2.7g、老化防止剤A2.7g、老化防止剤B2.7g、カーボンブラック175.5g、ステアリルアミン1.4g、流動パラフィン5.4gを加圧式型ニーダー試験機で混練した。得られた組成物に、N,N’−1,3フェニレンジマレイミド5.4g、フェノチアジン1.4g、過酸化物18.9gを、8インチオープンロールを用いて混練し、アクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を、電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
得られたアクリルゴム組成物の加硫物について、引張強度、破断時伸び、硬度及び耐熱性を評価した。
引張強度、破断時伸びは、JIS K6251に準拠して測定したものである。また、硬度は、JIS K6253に準拠してデュロメータ硬度計を用いて測定したものであり、耐熱性は、JIS K6257に準拠し、175℃×144時間の熱処理を行った後の試験片の引張強度と伸びを測定し、一般式(数1)を用いてそれぞれの変化率を求めた。変化率はその絶対値が小さいほど耐熱性がよい事を示す。
(数1)
変化率=(熱処理後の測定値−熱処理前の測定値)÷熱処理後の測定値×100
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドを2.7g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドを16.2g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドを27.0g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
フェノチアジンを0.28g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
フェノチアジンを5.4g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
過酸化物を16.2g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
過酸化物を27.0g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
トリメチルチオ尿素を1.4g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドの代わりにトリメチルチオ尿素を1.4g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドを配合しないこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
N,N’−1,3フェニレンジマレイミドを54g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
フェノチアジンを配合しないこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
フェノチアジンを10.8g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
過酸化物を5.4g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
過酸化物を10.8g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
過酸化物を40.5g投入したこと以外は実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理してアクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように配合処方を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
実施例1と同様の方法でアクリルゴム組成物を得た。得られたアクリルゴム組成物を電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理した後、ギヤーオーブンにて170℃×4時間加熱処理を行い、アクリルゴム組成物の加硫物を得た。
上記のように加硫方法を変更した以外は実施例1と同様の方法で、アクリルゴム組成物の加硫物について評価を行った。
比較例10は、従来のカルボキシル基含有アクリルゴムに表2に示した加硫剤を配合したアクリルゴム組成物及びこれを電熱加熱式の熱プレスにて160℃×50分間加熱処理した後、ギヤーオーブンにて170℃×4時間加熱処理して得られた加硫物の例である。
なお、表1及び表2には示さなかったが、アクリルゴムにエチレンを共重合させなかったサンプルや、酢酸ビニルを共重合させなかったサンプルについても同様に評価をしたところ、実施例1と同様の効果を発現した。
また、マレイミド化合物を、配合量は変えずに、N,N‘−1,2−フェニレンジマレイミドや、N,N‘−1,4−フェニレンジマレイミド、N−N’−1,3−ナフテンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミドに変更したサンプルについても同様に評価をしたところ、実施例1と同様の効果を発現した。
また、フェノチアジン化合物を、配合量は変えずに、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、N−n−ブチルフェノチアジン、N−フェニルフェノチアジンに変更したサンプルについても同様に評価をしたところ、実施例1と同様の効果を発現した。
さらに、過酸化物を、配合量は変えずに、t−ブチルクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)−4−ジイソプロピルベンゼンに変更したサンプルについても同様に評価をしたところ、実施例1と同様の効果を発現した。
Claims (9)
- アクリルゴム100質量部と、一般式(化1)で示されるマレイミド化合物1〜10質量部と、一般式(化2)で示されるフェノチアジン化合物0.1〜2質量部と、過酸化物5〜10質量部とからなるアクリルゴム組成物。
- アクリルゴムが、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単位100質量部と、エチレン単位0〜15質量部と、酢酸ビニル単位0〜60質量部とを含有することを特徴とする請求項1に記載したアクリルゴム組成物。
- マレイミド化合物が、N,N’−1、3−フェニレンジマレイミドであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載したアクリルゴム組成物。
- フェノチアジン化合物が、フェノチアジンである事を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載したアクリルゴム組成物。
- 請求項1〜4いずれか一項に記載したアクリルゴム組成物を、130〜200℃の一次加硫のみで加硫して得られる加硫物。
- 請求項1〜4いずれか一項に記載したアクリルゴム組成物を、130〜200℃の温度で30〜240分熱処理することを特徴とするアクリルゴム組成物の加硫方法。
- 請求項5に記載した加硫物を用いたホース。
- 請求項5に記載した加硫物を用いたシール。
- 請求項5に記載した加硫物を用いた防振ゴム。
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