JP2015227402A - ゴム組成物及び防振ゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】加硫特性、機械的特性及び熱老化特性に優れ、防振ゴム用途に特に好適なゴム材料を提供する。
【解決手段】(A)ジエン系ゴムと、(B)ビスマレイミド化合物と、(C)下記式(1)で表されるフェノチアジン化合物とを含有する、ゴム組成物。
Figure 2015227402

(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族環で置換されてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルキル基、ビニル基又は炭素数6〜9の芳香族基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及び防振ゴムに関する。詳しくは、加硫特性、機械的特性及び熱老化特性に優れる防振ゴムを与える組成物、及び該組成物を用いて製造される防振ゴムに関する。
自動車には、エンジンの稼働、路面状態等に起因する振動を抑制して乗り心地を高め、あるいは騒音を防止するために、随所に防振ゴムが使用されている。例えばエンジンルーム、排気系等に使用されている防振ゴムは、自動車が稼働すると高温の環境となるため、熱老化特性が要求される。特に近年のエンジンの高性能化、高出力化に伴って、高温環境の過酷度は増大している。そのため、防振ゴムに対する熱老化特性の要求も、ますます高度化している。
防振ゴムの熱老化特性を向上するために、ゴム成分の添加剤を調整し、あるいは防振ゴム用組成物にビスマレイミド化合物を配合する技術が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。しかし、これらの技術によると、所望の性能を発揮するために必要な加硫時間が長くなる傾向にあることが知られており、改善が求められている。そのうえ近年は、防振ゴムの製造時のプロセスタイム削減の観点から、加硫時間をさらに短くすることが要求されている。
また、防振ゴムの分野における近年の使用環境の過酷化に対して、十分に満足し得る熱老化特性を示すゴム材料の開発が要望されている。
特開2009−242582号公報 特開2010−106202号公報 特開2010−111742号公報 特開2006−273941号公報
本発明は、上記の事情を改善するものである。すなわち本発明は、加硫特性、機械的特性及び熱老化特性に優れ、防振ゴム用途に特に好適なゴム材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、ゴム成分としてジエン系ゴムを用いるゴム組成物において、特定のフェノチアジン化合物を配合することにより、加硫時間を短縮した場合であっても、優れた機械的特性と極めて高度な熱老化特性を示す防振ゴムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
1.(A)ジエン系ゴムと、(B)ビスマレイミド化合物と、(C)下記式(1)で表されるフェノチアジン化合物とを含有するゴム組成物、
Figure 2015227402
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族環で置換されてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルキル基、ビニル基又は炭素数6〜9の芳香族基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
2.前記式(1)において、R1及びR3が水素原子であり、R2が炭素数1又は2のアルコキシ基である上記1に記載のゴム組成物、
3.前記式(1)で表されるフェノチアジン化合物の配合割合が、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下である上記1又は2に記載のゴム組成物、
4.前記(B)ビスマレイミド化合物の配合割合が、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下である上記1〜3のいずれかに記載のゴム組成物、
5.上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を5〜120分間加硫する工程を含む防振ゴムの製造方法、
6.上記1〜4のいずれかに記載のゴム組成物の加硫物からなる防振ゴム、
を提供する。
本発明によれば、加硫時間を短縮した場合であっても、加硫特性、機械的特性及び熱老化特性に優れる加硫物を提供することができる。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、(A)ジエン系ゴム、(B)ビスマレイミド化合物、及び(C)上記式(1)で表されるフェノチアジン化合物を必須の成分として含有する。本発明のゴム組成物は、さらに(D)加硫剤、(E)充填材、(F)軟化剤等のその他の成分を含有することもできる。
以下に、本発明のゴム組成物に含有される各成分について説明する。
[(A)ジエン系ゴム]
本発明のゴム組成物は、防振ゴムに優れた機械的特性を付与するという観点から、ジエン系ゴムが使用される。
本発明のゴム組成物に含有される(A)ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)やジエン系合成ゴムが挙げられる。ジエン系合成ゴムとしては、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレンプロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)が挙げられる。これらゴム成分は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、破壊特性、低動倍率等の観点から、天然ゴムが特に好適である。
[(B)ビスマレイミド化合物]
本発明のゴム組成物は、得られる防振ゴムの熱老化特性を向上するために、(B)ビスマレイミド化合物を含有する。この(B)ビスマレイミド化合物は、本発明のゴム組成物に好ましく含有される後述の(D)加硫剤とともに、加硫系の一部として機能する成分である。
本発明のゴム組成物における(B)ビスマレイミド化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物を例示することができ、該式で表される化合物から選択される1種以上を用いることが好ましい。
Figure 2015227402
(式中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基、フェニレン基又は芳香族環を1〜4有する炭素数6〜29の2価の炭化水素基を示し、R4〜R7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、−NH2基又は−NO2基を示す。)
式(2)において、Xである炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、プロパン−2,2−ジイル基等が挙げられる。
芳香族環を1〜4有する炭素数6〜29の2価の炭化水素基としては、メチレンビス(フェニレン)基、フェニレンビス(メチレン)基、フェノキシフェニル基等が挙げられる。また、この芳香族環は−O−、−S−、−SS−、−SO2−等により結合されていてもよい。上記Xの中では、フェニレン基又は芳香族環を1又は2有する炭素数8〜17の炭化水素基が好適であり、フェニレン基又は芳香族環を1又は2有する炭素数8〜13の炭化水素基がより好ましい。
式(2)において、Xは置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜3のアルキル基、−NH2、−NO2、−F、−Cl、−Br等が挙げられる。
式(2)において、R4〜R7で示される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
(B)ビスマレイミド化合物の好適例としては、例えば、N,N’−1,2−エチレンビスマレイミド、N,N’−1,2−プロピレンビスマレイミド、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、N,N′−(4,4−ジフェニル−メタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2′−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、m−フェニレンビス(メチレン)ビスマレイミド、m−フェニレンビス(メチレン)ビスシトラコンイミド、1,1’−(メチレンジ−4,1−フェニレン)ビスマレイミド等が挙げられる。これらビスマレイミド化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、N,N′−m−フェニレンビスマレイミド、N,N′−(4,4−ジフェニル−メタン)ビスマレイミド、がより好ましい。
本発明のゴム組成物における(B)ビスマレイミド化合物の使用割合は、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下とすることが好ましい。ビスマレイミド化合物の配合量が0.2質量部未満であると耐熱老化特性、圧縮永久歪み特性等が悪化するおそれがあり、5質量部を超えると引張り物性(伸び,強度)、耐久性等の機械的特性が悪化するおそれがある。
[(C)フェノチアジン化合物]
本発明のゴム組成物は、(B)ビスマレイミド化合物と、下記式(1)で表される化合物である(C)フェノチアジン化合物を配合することにより、配合物の機械的特性及び熱老化特性を損なうことなく、加硫時間を短縮することができる。
Figure 2015227402
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族環で置換されてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルキル基、ビニル基又は炭素数6〜9の芳香族基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
式(1)において、R1及びR2であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、炭素数1〜3であることが好ましく、例えば、メトキシ基及びエトキシ基を挙げることができる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができ、塩素原子又は臭素原子が好ましい。
式(1)において、R3であるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。炭素数6〜9の芳香族基としては、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。
式(1)において、m及びnは、好ましくは0又は1であり、より好ましくはm又はnの一方が1である。
(C)フェノチアジン化合物の好適例としては、フェノチアジン;2−エチルフェノチアジン、3,7−ジブチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、2,8−ジエチルフェノチアジン、2,8−ジオクチルフェノチアジン;2−メトキシフェノチアジン、3−メトキシフェノチアジン、2,8−ジメトキシフェノチアジン;2−クロロフェノチアジン、2−ブロモフェノチアジン;2−シアノフェノチアジン、2−シアノ−8−メトキシフェノチアジン;N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニル−2−フェニルフェノチアジン;N−フェニルフェノチアジン、N−ベンジルフェノチアジン等が挙げられる。これらフェノチアジン化合物は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、加硫物の加硫特性、機械的特性及び熱老化特性をより向上させるという観点から、下記式(3)で表される2−メトキシフェノチアジン又は3−メトキシフェノチアジンが特に好適である。
Figure 2015227402
本発明のゴム組成物における(C)フェノチアジン化合物の使用割合は、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。この範囲の使用割合とすることにより、得られる防振ゴムの熱老化特性を損なうことなく、加硫時間の短縮が可能となる。
本発明のゴム組成物における老化防止剤として、(C)フェノチアジン化合物とともにその他の老化防止剤を併用してもよい。
使用可能なその他の老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン型老化防止剤(ただし、フェノチアジン化合物を除く。)、フェニレンジアミン型老化防止剤、ジヒドロキノリン型老化防止剤、tert−ブチルフェノール型老化防止剤、スチレン化フェノール型老化防止剤等を挙げられる。これら老化防止剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物における老化防止剤の使用割合は、(C)フェノチアジン化合物とその他の老化防止剤の合計量として、(A)ジエン系ゴム100質量部に対し、1質量部以上7質量部以下とすることが好ましく、2質量部以上5質量部以下とすることがより好ましい。
[(D)加硫剤]
本発明のゴム組成物は、(D)加硫剤を含有することが好ましく、特に硫黄が好ましい。
本発明のゴム組成物における(D)加硫剤の含有割合は、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、0.4質量部以上1.0質量部以下とすることが好ましく、0.6質量部以上1.0質量部以下とすることがより好ましい。この範囲の割合で(D)加硫剤を用いることにより、機械的特性と熱老化特性が良好に両立された防振ゴムを得ることができる。
本発明においては、(D)加硫剤とともに、(D−1)加硫促進剤、(D−2)加硫助剤等を適宜選択して使用することができる。
使用可能な(D−1)加硫促進剤としては、例えば、アルデヒド−アミン系加硫促進剤、アルデヒド−アンモニア系加硫促進剤、キサントゲン系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤等を挙げられる。これら加硫促進剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明のゴム組成物における(D−1)加硫促進剤の使用割合は、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、0.3質量部以上7質量部以下とすることが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下とすることがより好ましい。
使用可能な(D−2)加硫助剤としては、例えば、脂肪酸、金属酸化物等を挙げることができる。
脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、オレイン酸等が挙げられる。これら脂肪酸は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属酸化物としては、例えば、亜鉛華、酸化マグネシウム等が挙げられる。本発明のゴム組成物において、上記の加硫促進助剤の配合量は(A)ジエン系ゴム成分100質量部に対し、好ましくは1質量部以上10質量部以下、より好ましくは2質量部以上7質量部以下である。配合量が10質量部を超えると、作業性の悪化及び動倍率の悪化等を招くおそれがあり、1質量部未満になると、加硫遅延等が生じるおそれがある。
[(E)充填材]
本発明のゴム組成物は、良好な機械的特性の発現を担保する観点から、さらに(E)充填材を含有することが好ましい。
本発明における(E)充填材としては、例えば、カーボンブラック、シリカ等が挙げられる。充填剤は単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラックが挙げられる。ファーネスブラックとしては、FEF、GPF、SRF、HAF、N339、IISAF、ISAF、SAF等が挙げられる。これらカーボンブラックは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
カーボンブラックの選択は、得られる防振ゴムの使用目的に応じて適宜になされるべきである。しかしながら、ゴム組成物の加工性と得られる防振ゴムの機械的特性とを両立させる観点から、JIS K6217−2:2001に準拠して測定した窒素吸着比表面積(N2SA)が20〜100m2/gであるカーボンブラックを使用することが好ましく、この値が35〜80m2/gであるものがより好ましい。
シリカとしては、例えば、シリカゲル、疎水化処理シリカ等が挙げられる。シリカについてBET法によって測定した窒素吸着法比表面積は、80〜250m2/gであることが好ましい。この範囲の比表面積を有するシリカを用いることにより、本発明のゴム組成物調製する際に、ゴム組成物へのシリカの分散性が改善されるとともに、得られる防振ゴムの耐久性が向上するため好ましい。
本発明のゴム組成物における(E)充填材の使用割合としては、ゴム組成物の加工性と、得られる防振ゴムの機械的特性とのバランスから、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、15質量部以上100質量部以下とすることが好ましく、20質量部以上80質量部以下とすることがより好ましい。
[(F)軟化剤]
本発明のゴム組成物は、さらに、(F)軟化剤を含有することが好ましい。
(F)軟化剤としては、例えば、鉱物油、植物油、合成油、滑材等が挙げられる。鉱物油としては、例えば、鉱物油系アロマオイル、ナフテンオイル、パラフィンオイル等のプロセスオイル等が挙げられる。植物油としては、例えば、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油等が挙げられる。合成油としては、例えば、合成アロマオイル等が挙げられる。滑材としては、例えば、炭化水素系滑材(パラフィン、ワックス等)、脂肪酸系滑材(高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等)、脂肪酸アミド系滑剤(脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド等)、エステル系滑剤(脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等)、アルコール系滑剤(脂肪族アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール等)、金属石ケン等が挙げられる。これら軟化剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物における(F)軟化剤の使用割合としては、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して、ゴム組成物の加工性と得られる防振ゴムの機械的特性とのバランスを考慮して、1質量部以上5質量部以下とすることが好ましく、1質量部以上3質量部以下とすることがより好ましい。
[その他の成分]
本発明のゴム組成物は、(A)ジエン系ゴム、(B)ビスマレイミド化合物及び(C)フェノチアジン化合物を必須の成分として含有し、好ましくは(D)加硫剤、(E)充填材及び(F)軟化剤をさらに含有するが、必要に応じてこれら以外のその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混練することにより、製造することができる。
混練にあたっては、すべての成分を1度に配合して混練してもよいし、各成分を多段階に分割して配合して混練してもよい。混練には、例えば、ロール、インターナルミキサー、バンバリーローター等の適宜の混練機を使用することができる。組成物をベール状、シート状等に成形する場合には、例えば、押出成形機、プレス機等の適宜の成形機を使用することができる。
<防振ゴムの製造方法>
上記の製造方法により得られた本発明のゴム組成物を、加硫して硬化することにより、防振ゴムを得ることができる。加硫の条件は任意であるが、例えば、140〜180℃の温度において、5〜120分間加硫させることが好ましく、2〜60分間加硫させることがより好ましく、2〜30分間加硫させることがさらに好ましい。
従来技術において防振ゴムを製造するためのものとして知られているゴム組成物は、例えば、加硫時間を5分以上としないと、所望の特性(特に常態物性)が発現しない。特に、ビスマレイミド化合物を使用して熱老化特性が向上された防振ゴムにおいては、この時間はさらに長くなる傾向にあり、例えば10分以上の加硫時間を要する。
これに対して本発明のゴム組成物は、ビスマレイミド化合物を含有して向上された熱老化特性を示す防振ゴムを与えるものでありながら、機械的特性及び熱老化特性が良好な状態で、加硫時間を短くした防振ゴムを与えることができる。
以下に、本発明を実施例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例における評価は、下記の方法によって行った。
<加硫特性>
(1)T90(min)
T90とは、加硫時間を横軸とし、トルクを縦軸とする加硫曲線を求め、応力が最大値をとる点を加硫100%、最小値の点を加硫0%としたとき、90%加硫に対応する加硫時間をT90(min)としたものであり、加硫成形時の流動性の指標である。
(2)実施例1を基準として指数表示で評価した。
<機械的特性>
(1)ゴム硬度Hs:JIS K6253(タイプA)に準拠して測定した。
(2)破断伸びEb:JIS K6251に準拠して測定した。
(3)破断強度Tb:JIS K6251に準拠して測定した。
<熱老化特性>
試験片に下記の2種類の熱老化条件を印加し、下記数式(1)、(2)、(3)によって算出した破断強度Tb、Eb、Hdの熱老化前後の変化率(破断強度変化率)△Tb(%)、ΔEb(%)、ΔHd(度)を熱老化特性の指標として用いた。
破断強度変化率△Tb(%)={[Tb(耐熱老化後)−Tb(耐熱老化前)]/Tb(耐熱老化前)}×100 (1)
破断強度変化率△Eb(%)={[Eb(耐熱老化後)−Eb(耐熱老化前)]/Eb(耐熱老化前)}×100 (2)
硬度変化率ΔHd(度)=Hd(耐熱老化後)−Hd(耐熱老化前) (3)
[実施例1−3及び比較例1]
下記の表1に示した種類及び量の各成分を、バンバリーミキサー中で混練することにより、4種類の防振ゴム用組成物をそれぞれ調製した。
上記で調製した各防振ゴム用組成物を155℃においてT90×2分間加硫処理したのち、上記した方法に従って各種の評価を行った。
評価結果を表2に示す。
Figure 2015227402
表1において略称した各成分名の詳細は、以下のとおりである。
<ジエン系ゴム>
天然ゴム:RSS#1
<ビスマレイミド化合物>
ビスマレイミド化合物:N,N−m−フェニレンジマレイミド、「バルノックPM」、大内新興化学工業株式会社製
<フェノチアジン化合物>
2−メトキシフェノチアジン:精工化学株式会社製、商品名「MP−H」
<加硫系>
硫黄:鶴見化学工業株式会社製、「粉末硫黄」
促進剤CZ:ノクセラーCZ−G(CZ)(商品名、大内新興化学工業株式会社製、スルフェンアミド系加硫促進剤)
ステアリン酸:新日本理化株式会社製、「ステアリン酸50S」
亜鉛華:ハクスイテック株式会社製、「3号亜鉛華」
<充填材>
FEF:カーボンブラック、旭カーボン株式会社製、品番「旭♯65」
<軟化剤>
ワックス:精工化学株式会社製、「サンタイトS」
アロマオイル:サン・リファイニング・アンド・マーケッティング(Sun Refining and Marketing、ペンシルベニア州)社製、「Sunthene4240」
表1中、空欄は当該欄に該当する成分を配合しなかったことを示し、「←」は配合量が左の欄と同じであることを示す。
Figure 2015227402
実施例1−3は比較例1と比較して、加硫時間T90が短くなっている。一方で、機械的特性や熱老化特性は実施例1−3と比較例1で差はなく、実施例1−3はゴムの性能を維持したまま加硫時間だけを短くすることができる点で、比較例より好ましい。
実施例1−3によると、2−メトキシフェノチアジンの配合部数が多くなるにつれ、加硫時間が短くなっており、配合部数が多い方が、効果が大きいことがわかる。
本発明のゴム組成物の加硫物は、特に高温環境下で使用される防振ゴムとして好適であり、例えば自動車のエンジンマウント、スタビライザブッシュ、サスペンションブッシュ、排気系等のほか、コンピューターのハードディスクの制振ダンパー、一般家電製品の制振ダンパー等の用途に好ましく使用することができる。

Claims (6)

  1. (A)ジエン系ゴムと、
    (B)ビスマレイミド化合物と、
    (C)下記式(1)で表されるフェノチアジン化合物とを含有するゴム組成物。
    Figure 2015227402
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、芳香族環で置換されてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子又はシアノ基であり、R3は、水素原子、炭素数1〜6の鎖状又は環状のアルキル基、ビニル基又は炭素数6〜9の芳香族基であり、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。)
  2. 前記式(1)において、R1及びR3が水素原子であり、R2が炭素数1又は2のアルコキシ基である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記式(1)で表されるフェノチアジン化合物の配合割合が、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下である請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記(B)ビスマレイミド化合物の配合割合が、(A)ジエン系ゴム100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下である請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物を5〜120分間加硫する工程を含む防振ゴムの製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物の加硫物からなる防振ゴム。
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