JP2009088410A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents

積層セラミックコンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電ペースト等を塗工する際のシートアタック、加熱圧着工程におけるデラミネーション、及び、脱バインダー工程におけるクラックの問題を同時に解決することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックグリーンシートと導電ペースト及び/又はセラミックペーストとを交互に積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミック粉末、少なくとも特定の構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程、及び、前記セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電ペースト等を塗工する際のシートアタック、加熱圧着工程におけるデラミネーション、及び、脱バインダー工程におけるクラックの問題を同時に解決することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法に関する。
積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て製造される。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に塗工する。これを加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次いで、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製し、この積層体中に含まれるバインダー成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行った後、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
このとき用いられる導電ペーストとしては、通常、電極を構成するパラジウムやニッケル等の導電性金属材料、バインダー樹脂、及び、ターピネオール等の有機溶剤からなるものが使用されており、例えば、特許文献1及び特許文献2には、バインダー樹脂としてエチルセルロースを用いたものが開示されている。
一方、近年では、積層セラミックコンデンサに更なる高容量化が求められており、より一層の多層化、薄膜化が検討されているが、このような積層セラミックコンデンサにおいては、セラミックグリーンシートの表面に所定のパターンで導電層が形成された領域と、導電層が形成されていない領域との間に生じた段差が累積することによって、積層体を圧着する工程で、均一に圧力を加えることができず、デラミネーションと呼ばれる層間剥離が発生したり、積層セラミックコンデンサの端部で誘電層及び/又は導電層の変形が生じて平面とならず、信頼性や性能が低下したりするという問題があった。
特に、バインダー樹脂としてエチルセルロースを用いた場合、ポリビニルアセタール樹脂等を原料とするセラミックグリーンシートとの接着性に劣ることから、デラミネーションの問題を改善できなかった。また、エチルセルロースは熱分解性が低いことから、脱脂処理をしても焼成後にカーボン成分が残留し、電気特性を損なうという問題もあった。
また、バインダー樹脂としてポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂を用いることが検討されている。しかしながら、スクリーン印刷等によりペーストを印刷する際に、糸引きや目詰まりといった問題を生じ、結果的に版離れが悪くなったり、厚み精度が落ちたりして、パターンを鮮明に描画できず、結果的に生産歩留まりを低下させるという欠点があった。
これに対して、発明者らは、特許文献3において、スクリーン印刷性に優れるポリビニルアセタール樹脂を開示している。特許文献3に記載のポリビニルアセタール樹脂を用いることで、デラミネーションの問題は改善されるが、近年の積層セラミックコンデンサの薄層化に伴い、導電ペーストの有機溶剤がセラミックグリーンシートを溶解する、いわゆるシートアタック現象が新たに大きな課題となっていた。
このようなシートアタック現象の発生を抑制するため、例えば、特許文献4のように、導電ペーストの有機溶剤を特定のものに限定する方法が行われているが、使用できる導電ペーストのバインダーが制約されるという問題があった。
一方、特許文献5には、シートアタック現象を抑制するために、架橋性のバインダー樹脂を用いる方法が開示されている。しかしながら、特許文献5に記載のバインダー樹脂を用いた場合、脱バインダー工程において、セラミックグリーンシートと導電層の樹脂分解時の収縮挙動が異なることに起因して、クラックが発生するという問題があった。加えて、もう1つの課題であるデラミネーションの問題についても充分に解決されていなかった。
従って、近年の積層セラミックコンデンサの小型化、高容量化に対応して、シートアッタックやデラミネーションの問題を解決しつつ、クラックが生じにくい積層セラミックコンデンサを得ることが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法が求められていた。
特公平3−35762号公報 特公平4−49766号公報 特開2005−298792号公報 特開2006−202502号公報 特開2006−66852号公報
本発明は、上記現状に鑑み、導電ペースト等を塗工する際のシートアタック、加熱圧着工程におけるデラミネーション、及び、脱バインダー工程におけるクラックの問題を同時に解決することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法を提供する。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミックグリーンシートと導電ペースト及び/又はセラミックペーストとを交互に積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミック粉末、少なくとも下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程1、及び、前記セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程2を有する積層セラミックコンデンサの製造方法である。
Figure 2009088410
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基を合計2個以上有する基を表す。
Figure 2009088410
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、積層セラミックコンデンサを製造する際に、所定の構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)を含有するセラミックスラリー組成物を用いてセラミックグリーンシートを作製した後、更に、ポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工することで、導電ペースト及び/又はセラミックペーストの塗工時におけるシートアタックの発生、加熱圧着工程におけるデラミネーションの発生、及び、脱バインダー工程における収縮差に起因するクラックの発生といった従来の課題を同時に解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法は、セラミック粉末、少なくとも下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程1を有する。
Figure 2009088410
式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基を合計2個以上有する基を表す。
Figure 2009088410
上記工程1の方法を用いることで、耐溶剤性に優れる架橋ポリビニルアセタール樹脂を得られることから、セラミックグリーンシートの耐シートアタック性を効果的に向上させることができる。また、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を架橋して得られる架橋ポリビニルアセタール樹脂は、充分な機械的強度を有し、セラミックグリーンシートを薄膜化した場合であっても、クラック等の問題が発生しにくくなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)において、上記一般式(1)で表されるビニルアルコール単位の含有量の好ましい下限は17モル%、好ましい上限は40モル%である。17モル%未満であると、溶解時に使用する有機溶剤に対する溶解性が低下することがある。35モル%を超えると、吸湿しやすくなるため、バインダー樹脂として用いた場合に保存安定性が悪くなることがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)において、上記一般式(2)で表されるアセタール単位の含有量の好ましい下限は35モル%、好ましい上限は80モル%である。35モル%未満であると、溶解時に使用する有機溶剤に不溶となることがある。80モル%を超えると、残存水酸基量が少なくなって得られる架橋ポリビニルアセタール樹脂の強度が低下することがある。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
上記一般式(2)で表されるアセタール単位において、Rは、水素原子、メチル基及び/又はブチル基からなることが好ましい。なかでも、Rは、メチル基及びブチル基からなることが好ましい。このようなポリビニルアセタール樹脂(A)を用いることによって、ビニルアルコール単位の分子内水素結合力と、アセタール単位の立体障害とのバランスに優れるものとなるため、少ないエネルギーでの架橋反応が可能となり、機械的強度、耐溶剤性、柔軟性、接着性等の諸特性に優れた架橋ポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)において、上記一般式(3)で表されるアセチル単位の含有量の下限は0.1モル%、上限は25モル%である。上記範囲を超えると、原料のポリビニルアルコールの溶解性が低下し、アセタール化反応が困難となる。好ましい上限は15モル%である。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)において、上記一般式(4)で表される構造単位は、架橋性を有しており、波長が200〜365nmの光を照射することによって、他の分子中の官能基と架橋構造を形成する。このため、硬化後の架橋ポリビニルアセタール樹脂は、高い機械的強度を有しつつ、適度な弾性を有するものとなる。
上記一般式(4)で表される構造単位において、Rは、下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基同士が直接結合する部分、又は、下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基が下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基とは異なる1個の官能基を介して結合する部分を有することが好ましい。
Figure 2009088410
上記一般式(4)で表される構造単位において、上記Rとしては、例えば、下記一般式(8)で表される基、下記一般式(9)で表される基等が挙げられる。
Figure 2009088410
Figure 2009088410
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)において、上記一般式(4)で表される構造単位の含有量の好ましい下限は0.01モル%、好ましい上限は50モル%である。0.01モル%未満であると、架橋構造が形成されることによる効果が充分に得られず、機械的強度の低下を招くことがある。50モル%を越えると、得られる架橋体の架橋度が高くなりすぎ、可とう性が低下することがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)の重合度の好ましい下限は200、好ましい上限は4000である。重合度を上記範囲内とすることにより、得られる架橋体が機械的強度等に優れるものとなる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を製造する方法としては、例えば、上記Rが一般式(8)で表される基であるポリビニルアセタール樹脂(A)を製造する場合、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコールをアセタール化する方法、未変性のポリビニルアルコールをアセタール化した後、アセトアセタール化する方法等が挙げられる。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、酸触媒の存在下で変性ポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとをそれぞれ単独で用いるか、又は、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することが好ましい。
上記アセトアセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中にジケテン等を添加する方法等が挙げられる。
上記酸触媒としては特に限定されず、有機酸、無機酸のどちらでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。なかでも、非ハロゲン性の酸触媒が好適である。
上記アセタール化の反応を停止するために、アルカリによる中和を行うことが好ましい。上記アルカリとしては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られたポリビニルアセタール樹脂(A)を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法において用いられるセラミック粉末としては特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法において用いられる有機溶剤としては特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。特に、アルコール類、ケトン類、芳香族炭化水素類及びこれらの混合溶剤が塗工性、乾燥性の面から見て好ましい。
上記工程1では、上記セラミックスラリー組成物を塗工した後、上記セラミックスラリー組成物に硬化処理を行うことにより、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を架橋させる。
本発明では、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を架橋させることによって、充分な機械的強度を有し、かつ、耐溶剤性にも優れる架橋ポリビニルアセタール樹脂が得られる。
上記硬化処理としては、100℃以上での加熱工程及び/又は200〜365nmの紫外線照射工程を行うことが好ましい。
本発明では、このように簡易かつ簡便な方法で優れた特性を有する架橋ポリビニルアセタール樹脂が得られる。また、上記の方法で硬化処理を行うことで、電子線やX線を用いることなく、架橋度の高い架橋ポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。これにより、電子線やX線を照射した場合に起こるポリビニルアセタール樹脂(A)の分解を防止できるとともに、簡易な装置でポリビニルアセタール樹脂(A)の架橋・硬化を行うことができる。
上記加熱工程では、100℃以上で加熱を行う。100℃未満であると、架橋反応が充分に進行せず、本発明の効果が充分に発揮されない。
上記紫外線照射工程において、波長が200nm未満の光を照射した場合は、樹脂の分解が起こり、365nmを超える光を照射した場合は、架橋が不充分となる。また、上記波長が200〜365nmの光は、連続スペクトル光であってもよく、線スペクトル光であってもよい。
上記波長が200〜365nmの光を照射する場合の光源としては、上記波長の光を発光であれば特に限定されず、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、冷陰極管、UV−LEDランプ、ハロゲンランプ、高周波誘導型UVランプ等を用いることができる。
本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法では、次いで、セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程2を行う。
工程2では、特殊な有機溶剤を使用する必要がなく、従来より使用している有機溶剤を好適に使用することができる。
上記工程2において用いられる導電ペースト及び/又はセラミックペーストは、ポリビニルアセタール樹脂(B)をバインダー樹脂として有機溶剤に溶解し、導電粉末及び/又はセラミック粉末等の無機粉末を分散させることで得ることができる。このようにして得られたペーストは、加熱圧着工程において、セラミックグリーンシートに優れた接着性を示すので、積層セラミックコンデンサの製造に好適に用いられる。
上記導電ペースト及び/又はセラミックペーストは、ポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する。このようなポリビニルアセタール樹脂(B)は、セラミックグリーンシートに用いられるポリビニルアセタール樹脂(A)と良好な接着性を示すため、積層時のデラミネーションを効果的に抑制することができる。また、両者は熱分解温度がほとんど同じであるため、脱バインダー工程でのセラミックグリーンシートと、セラミック層及び/又は導電層の樹脂分解による収縮がほぼ均一となるため、脱バインダー工程でのクラックの発生を抑制することができる。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)としては、未変性のポリビニルアセタール樹脂、変性ポリビニルアセタール樹脂を使用することができる。
なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)は、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなるものであることが好ましい。
上記変性ポリビニルアルコールのエチレン単位含有量の好ましい下限は1モル%、好ましい上限は20モル%である。上記変性ポリビニルアルコールは、上記範囲のエチレン単位を含有することによって、アセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂(B)の溶液粘度が増大するため、セラミック粉末及び/又は導電粉末の分散性や、塗工用のペーストとして用いた場合に塗膜の強度が向上する。
上記エチレン単位含有量が1モル%未満であると、導電粉末、セラミック粉末等の無機粉末の分散性、塗工ペーストの印刷性や塗膜の強度が低下することがある。20モル%を超えると、上記変性ポリビニルアルコールの水溶性が低下するため、アセタール化が困難になったり、得られるポリビニルアセタール樹脂(B)の有機溶剤への溶解性が低下するため、塗工ペースト作製に支障が出たり、経時粘度安定性が低下する。より好ましい下限は2モル%、より好ましい上限は10モル%である。
上記変性ポリビニルアルコールのケン化度の好ましい下限は80モル%である。80モル%未満であると、変性ポリビニルアルコールの水溶性が悪化するためアセタール化が困難になり、また、水酸基量が少なくなるためアセタール化自体が困難になることがある。より好ましい下限は85モル%である。
上記変性ポリビニルアルコールは、エチレン単位含有量が上記範囲内で、かつ、ケン化度が80モル%以上であれば、上記変性ポリビニルアルコールを単独で用いてもよく、又は、2種以上の変性ポリビニルアルコールを混合して、全体としてエチレン単位含有量が上記範囲内で、かつ、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールに調整してから用いてもよい。
上記変性ポリビニルアルコールは、ビニルエステルとエチレンの共重合体をケン化することにより得ることができる。上記ビニルエステルとしては特に限定されず、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げられる。なかでも、経済的観点から酢酸ビニルが好ましい。
上記変性ポリビニルアルコールは、エチレンのみによって変性されたものが好ましい。エチレンのみによって変性された変性ポリビニルアルコールは、水溶性に優れ、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂を有機溶剤に溶解した溶液は、経時粘度安定性に優れる。エチレン以外の共単量体により上記変性ポリビニルアルコールを更に変性する場合には、上記共単量体の含有量の好ましい上限は2.0モル%である。2.0モル%を超えると、水溶性が悪化し、得られるポリビニルアセタール樹脂(B)を有機溶剤に溶解した溶液の経時粘度安定性に劣ることがある。
上記変性ポリビニルアルコールは、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン性不飽和単量体を共重合したものでもよい。上記エチレン性不飽和単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリルメタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とエチレンを共重合し、それをケン化することによって得られる末端変性ポリビニルアルコールも用いることができる。
上記変性ポリビニルアルコールの重合度の好ましい下限は300、好ましい上限は2400である。300未満であると、充分な強度を有する塗膜が得られず、クラック等が入り易く。2400を超えると、水溶性が低下したり、水溶液の粘度が高くなり過ぎたりするためアセタール化が困難となることがある。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)は、例えば、上記変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなるものである。上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。例えば、酸触媒の存在下でポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加してアセタール化した後、水酸化ナトリウム等のアルカリで中和し、水洗、乾燥を行う方法が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとをそれぞれ単独で用いるか、又は、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することが好ましい。
上記ポリビニルアセタール樹脂(B)の全アセタール化度の好ましい下限は65モル%、好ましい上限は80モル%である。65モル%未満であると、得られる変性ポリビニルアセタール樹脂が水溶性となり、有機溶剤に不溶となるため、ペースト作製の支障となることがある。80モル%を超えると、残存水酸基が少なくなり、変性ポリビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ、ペースト印刷時の塗膜強度が低下することがある。より好ましい下限は70モル%、より好ましい上限は79モル%である。
なお、本明細書において、全アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、全アルデヒドでアセタール化された水酸基数の割合のことであり、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用して全アセタール化度のモル%を算出する。
本発明の効果を損なわない範囲で、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)と、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂等との混合樹脂をバインダー樹脂として用いてもよい。上記混合樹脂とする場合、例えば、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(B)との混合樹脂では、バインダー樹脂全体に占める上記ポリビニルアセタール樹脂(B)の含有量の好ましい下限は10重量%である。10重量%未満であると、充分な接着性が得られないことがある。より好ましい下限は、30重量%である。
上記導電粉末単独又は導電粉末とセラミック粉末を混合して使用した場合は、積層セラミックコンデンサの導電層を形成するための導電ペーストとして使用することができる。また、セラミック粉末を使用した場合には、積層セラミックコンデンサ等を製造する際に、導電ペーストをスクリーン印刷した後に生じる段差を埋める目的で、導電層が形成されていない部分に塗工するセラミックペーストとして使用することができる。
上記導電粉末としては充分な導電性を示すものであれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅、これらの合金等からなる粉末が挙げられる。
上記セラミック粉末としては特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
上記導電粉末及びセラミック粉末はそれぞれ単独で使用しても良く、2種以上混合して使用しても良い。
上記有機溶剤としては、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)を溶解できるものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等が挙げられる。特に、工程2において、スクリーン印刷等により塗工する場合には、揮発性が高すぎるとメッシュの目詰まりが起きやすくなるため、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、テルピネオールアセテート、ジヒドロテルピネオールアセテート等の高沸点溶剤が好ましい。
上記導電ペースト及び/又はセラミックペーストを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)、有機溶剤、導電粉末及び/又はセラミック粉末をブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
本発明では、例えば、工程1及び工程2を行い、導電層又は導電層とセラミック層が形成されたセラミックグリーンシートを作製した後、同様にして作製した導電層又は導電層とセラミック層が形成されたセラミックグリーンシートを積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成することで、シートアタックやデラミネーション、クラック等の問題が解決された積層セラミックコンデンサが得られる。
なお、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法における加熱圧着工程、積層体を脱脂・焼成する工程についても特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
本発明によれば、積層セラミックコンデンサを製造する際に、所定の構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)を含有するセラミックスラリー組成物を用いてセラミックグリーンシートを作製した後、更に、ポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工することで、導電ペースト及び/又はセラミックペーストの塗工時におけるシートアタックの発生、加熱圧着工程におけるデラミネーションの発生、及び、脱バインダー工程における収縮差に起因するクラックの発生といった従来の薄層、多層の積層セラミックコンデンサを製造する際の問題を同時に解決することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法が提供できる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(ポリビニルアセタール樹脂(A)の作製)
重合度1700、ケン化度98.8%、上記一般式(8)で表されるRを有するアセトアセチル単位含有量が2モル%の変性ポリビニルアルコール100gを700gの蒸留水に加温溶解した後、20℃に保ち、これに70%硝酸26gを加え、更にブチルアルデヒド16gを添加した。次に、10℃まで冷却し、ブチルアルデヒド65gを加えた。樹脂が析出した後、30分間保持し、その後、硝酸93gを加え35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。溶液を50℃で6時間保持した後、冷却した。
次に、蒸留水により溶液を2時間流水洗浄した後、脱水、乾燥してポリビニルアセタール樹脂(A)を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂(A)[アセトアセチル化変性ポリビニルアセタール樹脂]のアセチル単位含有量は1モル%、残存水酸基量は30モル%、ブチラール単位含有量は67モル%、アセトアセチル単位含有量は2モル%であった。
(セラミックスラリー組成物の作製)
得られたポリビニルアセタール樹脂(A)8重量部を、トルエン15重量部とエタノール15重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解し、更に、可塑剤としてジブチルフタレート10重量部を加え、攪拌溶解した。得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−03、平均粒径0.3μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
(セラミックグリーンシートの作製)
得られたセラミックスラリー組成物を、コーターを用いて乾燥後の厚みが2μmとなるように離形処理したポリエステル(PET)フィルム上に塗工し、常温で1時間風乾した後、メタルハライドランプ(セン特殊光源株式会社製)を用いて波長200〜365nmの紫外線を3000mJ/cm(照射時間30秒)照射することで、セラミックグリーンシートを得た。
(ポリビニルアセタール樹脂(B)の作製)
重合度1700、エチレン含有量10モル%、ケン化度97モル%の変性ポリビニルアルコール293gを純水3000gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を28℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸220gとブチルアルデヒド68g、アセトアルデヒド90gを添加し、液温を8℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を30℃、5時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂(B)[変性ポリビニルアセタール樹脂]の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂(B)をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度を測定したところ、全アセタール化度は72モル%であった。また、全アセタール化部分に占めるアセトアルデヒドでアセタール化された部分は58モル%であった。
(導電ペーストの作製)
導電粉末としてのニッケル粉末(2020SS、三井金属社製)100重量部、得られたポリビニルアセタール樹脂(B)5重量部、溶剤としてテルピネオール−C(日本テルペン社製)60重量部を混合した後、3本ロールで混練して導電ペーストを得た。
(セラミックペーストの作製)
セラミック粉末として平均粒子径0.3μmのチタン酸バリウム(堺化学工業社製、「BT−03」)100重量部に対して、得られたポリビニルアセタール樹脂(B)4重量部とテルピネオール−C(日本テルペン社製)60重量部とを加え、ボールミルを用いて48時間混練してセラミックペーストを得た。
(実施例2)
(ポリビニルアセタール樹脂(A)の作製)
重合度1700、ケン化度98.8%、上記一般式(8)で表されるRを有するアセトアセチル単位含有量が2モル%の変性ポリビニルアルコール100g、ブチルアルデヒド105g、アセトアルデヒド35gを用いた以外は実施例1と同様にして、アセチル単位含有量は1モル%、残存水酸基量は28モル%、ブチラール単位含有量は38モル%、アセタール単位含有量は31モル%、アセトアセチル単位含有量は2モル%のポリビニルアセタール樹脂(A)を得た。
(ポリビニルアセタール樹脂(B)の作製)
実施例1の(ポリビニルアセタール樹脂(B)の合成)において、ブチルアルデヒド170g、アセトアルデヒド32gを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂(B)を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度を測定したところ、全アセタール化度は76モル%であり、全アセタール化部分に占めるアセトアルデヒドでアセタール化された部分は20モル%、ブチルアルデヒドによりアセタール化された部分は56モル%であった。
得られたポリビニルアセタール樹脂(A)及びポリビニルアセタール樹脂(B)を用いた以外は実施例1と同様にして、セラミックグリーンシート及び導電ペースト、セラミックペーストを作製した。
(比較例1)
実施例1の(セラミックスラリー組成物の作製)において、ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えて、アセチル単位含有量が1モル%、残存水酸基量が31モル%、ブチラール単位含有量が68モル%のポリビニルアセタール樹脂(エスレックBM−2(積水化学工業社製)、重合度800)を用いた以外は実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを作製した。
また、(導電ペーストの作製)及び(セラミックペーストの作製)において、ポリビニルアセタール樹脂(B)に代えて、エチルセルロース(Daw Chemical Company製 STD−100)を用いた以外は実施例1の場合と同様にして導電ペースト及びセラミックペーストを得た。
(比較例2)
実施例1の(セラミックスラリー組成物の作製)において、ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えて、アセチル単位含有量が1モル%、残存水酸基量が31モル%、ブチラール単位含有量が68モル%のポリビニルアセタール樹脂(エスレックBM−2(積水化学工業社製)、重合度800)を用いた以外は実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート及び導電ペースト、セラミックペーストを作製した。
(比較例3)
実施例1の(導電ペーストの作製)及び(セラミックペーストの作製)において、変性ポリビニルアセタール樹脂に代えて、エチルセルロース(Daw Chemical Company製 STD−100)を用いた以外は実施例1の場合と同様にしてセラミックグリーンシート、導電ペースト及びセラミックペーストを得た。
(評価)
(耐シートアタック性の評価)
実施例及び比較例で得られたセラミックグリーンシート上に、同様に得られた導電ペーストを400メッシュのスクリーン版を用いて、2mm×1mmのサイズにスクリーン印刷にて塗工した。80℃で1時間乾燥し、セラミック成形体を得た。
得られたセラミック成形体を光学顕微鏡にて観察し、セラミックグリーンシートに皺や破れの有無を確認した。
○:皺や破れなし
×:皺又は破れあり
(接着性の評価)
実施例及び比較例で得られたセラミックグリーンシート上に、同様に得られた導電ペーストを400メッシュのスクリーン版を用いて、2mm×1mmのサイズにスクリーン印刷にて塗工した。80℃で1時間乾燥後、得られたセラミックペーストを導電層が形成されていない部分を埋めるように作製したスクリーン版を用いてスクリーン印刷により塗工し、80℃で1時間乾燥し、セラミック成形体を得た。上記成形体をPETフィルムから剥離し、30層積層、圧着を行い、積層体を得た。
得られた積層体の断面を光学顕微鏡にて観察し、デラミネーションの有無を確認した。
○:剥離なし
×:剥離あり
(脱バインダー工程での収縮(クラック)評価)
上記(接着性の評価)にて得られた積層体を2mm×1mmのサイズに切断し、空気気流下で室温から300℃まで60℃/時間の速度で昇温し、8時間保持した後、徐冷した。その後、断面を光学顕微鏡にて観察し、クラックの有無を確認した。
○:クラックなし
×:クラックあり
Figure 2009088410
本発明によれば、導電ペースト等を塗工する際のシートアタック、加熱圧着工程におけるデラミネーション、及び、脱バインダー工程におけるクラックの問題を同時に解決することが可能な積層セラミックコンデンサの製造方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. セラミックグリーンシートと導電ペースト及び/又はセラミックペーストとを交互に積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
    セラミック粉末、少なくとも下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程1、及び、
    前記セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程2を有する
    ことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
    Figure 2009088410
    式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Rは下記一般式(5)、(6)及び/又は(7)で表される官能基を合計2個以上有する基を表す。
    Figure 2009088410
  2. 工程1において、100℃以上での加熱工程及び/又は200〜365nmの紫外線照射工程を行うことにより硬化処理することを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
  3. ポリビニルアセタール樹脂(B)は、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなる変性ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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