JP2009088410A - 積層セラミックコンデンサの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セラミックグリーンシートと導電ペースト及び/又はセラミックペーストとを交互に積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、セラミック粉末、少なくとも特定の構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程、及び、前記セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程を有する積層セラミックコンデンサの製造方法。
【選択図】なし
Description
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に塗工する。これを加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
このようなシートアタック現象の発生を抑制するため、例えば、特許文献4のように、導電ペーストの有機溶剤を特定のものに限定する方法が行われているが、使用できる導電ペーストのバインダーが制約されるという問題があった。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基をアセタール化して得られたものであることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られたポリビニルアセタール樹脂(A)を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
本発明では、上記ポリビニルアセタール樹脂(A)を架橋させることによって、充分な機械的強度を有し、かつ、耐溶剤性にも優れる架橋ポリビニルアセタール樹脂が得られる。
本発明では、このように簡易かつ簡便な方法で優れた特性を有する架橋ポリビニルアセタール樹脂が得られる。また、上記の方法で硬化処理を行うことで、電子線やX線を用いることなく、架橋度の高い架橋ポリビニルアセタール樹脂を得ることができる。これにより、電子線やX線を照射した場合に起こるポリビニルアセタール樹脂(A)の分解を防止できるとともに、簡易な装置でポリビニルアセタール樹脂(A)の架橋・硬化を行うことができる。
工程2では、特殊な有機溶剤を使用する必要がなく、従来より使用している有機溶剤を好適に使用することができる。
なかでも、上記ポリビニルアセタール樹脂(B)は、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなるものであることが好ましい。
なお、本明細書において、全アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、全アルデヒドでアセタール化された水酸基数の割合のことであり、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用して全アセタール化度のモル%を算出する。
上記導電粉末及びセラミック粉末はそれぞれ単独で使用しても良く、2種以上混合して使用しても良い。
なお、本発明の積層セラミックコンデンサの製造方法における加熱圧着工程、積層体を脱脂・焼成する工程についても特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
(ポリビニルアセタール樹脂(A)の作製)
重合度1700、ケン化度98.8%、上記一般式(8)で表されるR2を有するアセトアセチル単位含有量が2モル%の変性ポリビニルアルコール100gを700gの蒸留水に加温溶解した後、20℃に保ち、これに70%硝酸26gを加え、更にブチルアルデヒド16gを添加した。次に、10℃まで冷却し、ブチルアルデヒド65gを加えた。樹脂が析出した後、30分間保持し、その後、硝酸93gを加え35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。溶液を50℃で6時間保持した後、冷却した。
得られたポリビニルアセタール樹脂(A)8重量部を、トルエン15重量部とエタノール15重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解し、更に、可塑剤としてジブチルフタレート10重量部を加え、攪拌溶解した。得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(BT−03、平均粒径0.3μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。
得られたセラミックスラリー組成物を、コーターを用いて乾燥後の厚みが2μmとなるように離形処理したポリエステル(PET)フィルム上に塗工し、常温で1時間風乾した後、メタルハライドランプ(セン特殊光源株式会社製)を用いて波長200〜365nmの紫外線を3000mJ/cm2(照射時間30秒)照射することで、セラミックグリーンシートを得た。
重合度1700、エチレン含有量10モル%、ケン化度97モル%の変性ポリビニルアルコール293gを純水3000gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を28℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸220gとブチルアルデヒド68g、アセトアルデヒド90gを添加し、液温を8℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。
その後、液温を30℃、5時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂(B)[変性ポリビニルアセタール樹脂]の白色粉末を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂(B)をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度を測定したところ、全アセタール化度は72モル%であった。また、全アセタール化部分に占めるアセトアルデヒドでアセタール化された部分は58モル%であった。
導電粉末としてのニッケル粉末(2020SS、三井金属社製)100重量部、得られたポリビニルアセタール樹脂(B)5重量部、溶剤としてテルピネオール−C(日本テルペン社製)60重量部を混合した後、3本ロールで混練して導電ペーストを得た。
セラミック粉末として平均粒子径0.3μmのチタン酸バリウム(堺化学工業社製、「BT−03」)100重量部に対して、得られたポリビニルアセタール樹脂(B)4重量部とテルピネオール−C(日本テルペン社製)60重量部とを加え、ボールミルを用いて48時間混練してセラミックペーストを得た。
(ポリビニルアセタール樹脂(A)の作製)
重合度1700、ケン化度98.8%、上記一般式(8)で表されるR2を有するアセトアセチル単位含有量が2モル%の変性ポリビニルアルコール100g、ブチルアルデヒド105g、アセトアルデヒド35gを用いた以外は実施例1と同様にして、アセチル単位含有量は1モル%、残存水酸基量は28モル%、ブチラール単位含有量は38モル%、アセタール単位含有量は31モル%、アセトアセチル単位含有量は2モル%のポリビニルアセタール樹脂(A)を得た。
実施例1の(ポリビニルアセタール樹脂(B)の合成)において、ブチルアルデヒド170g、アセトアルデヒド32gを添加した以外は実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂(B)を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂(B)のアセタール化度を測定したところ、全アセタール化度は76モル%であり、全アセタール化部分に占めるアセトアルデヒドでアセタール化された部分は20モル%、ブチルアルデヒドによりアセタール化された部分は56モル%であった。
実施例1の(セラミックスラリー組成物の作製)において、ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えて、アセチル単位含有量が1モル%、残存水酸基量が31モル%、ブチラール単位含有量が68モル%のポリビニルアセタール樹脂(エスレックBM−2(積水化学工業社製)、重合度800)を用いた以外は実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを作製した。
実施例1の(セラミックスラリー組成物の作製)において、ポリビニルアセタール樹脂(A)に代えて、アセチル単位含有量が1モル%、残存水酸基量が31モル%、ブチラール単位含有量が68モル%のポリビニルアセタール樹脂(エスレックBM−2(積水化学工業社製)、重合度800)を用いた以外は実施例1と同様にしてセラミックグリーンシート及び導電ペースト、セラミックペーストを作製した。
実施例1の(導電ペーストの作製)及び(セラミックペーストの作製)において、変性ポリビニルアセタール樹脂に代えて、エチルセルロース(Daw Chemical Company製 STD−100)を用いた以外は実施例1の場合と同様にしてセラミックグリーンシート、導電ペースト及びセラミックペーストを得た。
(耐シートアタック性の評価)
実施例及び比較例で得られたセラミックグリーンシート上に、同様に得られた導電ペーストを400メッシュのスクリーン版を用いて、2mm×1mmのサイズにスクリーン印刷にて塗工した。80℃で1時間乾燥し、セラミック成形体を得た。
得られたセラミック成形体を光学顕微鏡にて観察し、セラミックグリーンシートに皺や破れの有無を確認した。
○:皺や破れなし
×:皺又は破れあり
実施例及び比較例で得られたセラミックグリーンシート上に、同様に得られた導電ペーストを400メッシュのスクリーン版を用いて、2mm×1mmのサイズにスクリーン印刷にて塗工した。80℃で1時間乾燥後、得られたセラミックペーストを導電層が形成されていない部分を埋めるように作製したスクリーン版を用いてスクリーン印刷により塗工し、80℃で1時間乾燥し、セラミック成形体を得た。上記成形体をPETフィルムから剥離し、30層積層、圧着を行い、積層体を得た。
得られた積層体の断面を光学顕微鏡にて観察し、デラミネーションの有無を確認した。
○:剥離なし
×:剥離あり
上記(接着性の評価)にて得られた積層体を2mm×1mmのサイズに切断し、空気気流下で室温から300℃まで60℃/時間の速度で昇温し、8時間保持した後、徐冷した。その後、断面を光学顕微鏡にて観察し、クラックの有無を確認した。
○:クラックなし
×:クラックあり
Claims (3)
- セラミックグリーンシートと導電ペースト及び/又はセラミックペーストとを交互に積層し加熱圧着して得られた積層体を脱脂・焼成する積層セラミックコンデンサの製造方法であって、
セラミック粉末、少なくとも下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される構造単位を有するポリビニルアセタール樹脂(A)、及び、有機溶剤を含有するセラミックスラリー組成物を塗工した後、硬化処理を行うことにより、セラミックグリーンシートを作製する工程1、及び、
前記セラミックグリーンシートにポリビニルアセタール樹脂(B)を含有する導電ペースト及び/又はセラミックペーストを塗工する工程2を有する
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサの製造方法。
- 工程1において、100℃以上での加熱工程及び/又は200〜365nmの紫外線照射工程を行うことにより硬化処理することを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
- ポリビニルアセタール樹脂(B)は、エチレン含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールをアセタール化してなる変性ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載の積層セラミックコンデンサの製造方法。
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