JP2010118470A - 積層セラミックコンデンサー用導電ペースト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤及び導電粉末を含有する積層セラミックコンデンサー用導電ペーストであって、前記有機溶剤は、芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有し、かつ、沸点が140℃以上、290℃未満である化合物を含有する積層セラミックコンデンサー用導電ペースト。
【選択図】なし
Description
以下、本発明を詳述する。
また、上記ポリビニルアルコールとして、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチオール化合物の存在下で、上記ビニルエステルとエチレンとを共重合し、その後、ケン化することで得られる末端変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
上記その他のエチレン性不飽和単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
なお、本明細書中、合成前の原料であるポリビニルアルコールの重合度をポリビニルアセタール樹脂の重合度とし、合成前の原料として2種以上のポリビニルアルコールを混合して用いる場合には、用いるポリビニルアルコールの重合度の平均をポリビニルアセタール樹脂の重合度とする。
上記酸触媒は特に限定されず、有機酸であってもよく、無機酸であってもよい。上記酸触媒として、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸が挙げられる。また、中和に用いるアルカリは特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられる。
上記有機溶剤は、芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有し、かつ、沸点が140℃以上、290℃未満である化合物を含有する。
元来、ポリビニルアセタール樹脂は、エタノールとトルエンとの混合溶剤に対する溶解性が比較的高いことが知られている。しかし、このような揮発性の高い溶剤を含有する導電ペーストは、作製時又は塗工時に乾燥しやすく、特にスクリーン印刷のように一つのスクリーン製版を介して多数の基板に連続して塗工するような場合には、スクリーン製版のメッシュに目詰まりが生じやすくなるという問題がある。本発明の積層セラミックコンデンサー用導電ペーストでは、芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有する化合物を含有することにより、高重合度を有するポリビニルアセタール樹脂の溶解性を向上させることができ、更に、上記芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有する化合物の沸点が140℃以上、290℃未満であることにより、導電ペーストが乾燥しやすいという問題を解決することができる。
上記芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有する化合物の沸点が140℃未満であると、3本ロールミルを用いた作製時又はスクリーン印刷時に、有機溶剤の揮発によって積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの粘度が変化し、安定したペースト又は印刷像が得られない。上記芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有する化合物の沸点が290℃以上であると、得られる積層セラミックコンデンサー用導電ペーストを塗工する場合、乾燥に時間がかかり、生産効率上好ましくない。上記芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有する化合物の沸点は、180℃以上、260℃未満であることが好ましく、190℃以上、250℃未満であることがより好ましい。
上記導電粉末の材質は、導電性を有する材質であれば特に限定されず、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、金、銀、銅及びこれらの合金が挙げられる。これらの導電粉末は、単独で用いてもよく、2種以上の金属粉末を併用してもよい。
本発明の積層セラミックコンデンサー用導電ペーストを用いた積層セラミックコンデンサーの製造方法もまた、本発明の一つである。
ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98モル%)193gを純水2900gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌して溶解させた。この溶液を40℃に冷却し、濃度35重量%の塩酸20gとn−ブチルアルデヒド145gとを添加した後、液温を15℃まで下げ、液温を保持しながらアセタール化反応を行って反応生成物を析出させた。その後、液温を40℃で3時間保持して反応を完了させ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
なお、得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度を測定したところ、アセタール化度は78モル%であった。
ポリビニルアルコール(重合度3300、ケン化度99モル%)193g、及び、n−ブチルアルデヒド115gを用いた以外は合成例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は65モル%であった。
ポリビニルアルコール(重合度1200、ケン化度88モル%)185g、n−ブチルアルデヒド63g、及び、アセトアルデヒド45gを用いた以外は合成例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は62モル%であった。
ポリビニルアルコール(重合度1000、ケン化度98モル%、エチレン含有量6モル%)230g、及び、n−ブチルアルデヒド165gを用いた以外は合成例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は77モル%であった。
ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98モル%、エチレン含有量4モル%)200g、n−ブチルアルデヒド115g、及び、アセトアルデヒド23gを用いた以外は合成例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は77モル%であった。
ポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度88モル%、エチレン含有量2モル%)185g、及び、n−ブチルアルデヒド98gを用いた以外は合成例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は64モル%であった。
(1)積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造
攪拌機、冷却器、温度計、湯浴及び窒素ガス導入口を備えた2Lセパラプルフラスコに、合成例1で得られたポリビニルアセタール樹脂と、有機溶剤としてエチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点244℃)とを加え、80℃の温度で4時間攪拌してポリビニルアセタール樹脂溶液を得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂溶液とニッケル粉(「NFP201」、JFEミネラル社製)とを混合し、三本ロールに数回通して積層セラミックコンデンサー用導電ペーストを得た。なお、積層セラミックコンデンサー用導電ペースト中の組成比率は、ポリビニルアセタール樹脂3重量%、エチレングリコールモノフェニルエーテル42重量%、ニッケル粉55重量%となるように調整した。
ポリビニルブチラール樹脂(「エスレックB BM−2」、積水化学工業社製、重合度850)10重量部を、トルエン30重量部とエタノール15重量部との混合溶剤に加え、攪拌溶解した後、更に、可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。得られた樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(「BT−02」、堺化学工業社製、平均粒子径0.2μm)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミックスラリー組成物を得た。得られたセラミックスラリー組成物を、離型処理したポリエステルフィルム上に、乾燥後の厚みが約1μmとなるように塗工し、常温で1時間風乾後、熱風乾燥機を用いて80℃の温度で3時間、続いて120℃の温度で2時間乾燥させて、セラミックグリーンシートを得た。
上記(2)の工程で得られたセラミックグリーンシートの片面に、上記(1)の工程で得られた積層セラミックコンデンサー用導電ペーストを、乾燥後の厚みが約1.5μmとなるようにスクリーン印刷法により塗工し、乾燥させて導電層を形成した。この導電層を有するセラミックグリーンシートを5cm角に切断し、100枚積重ねて、温度70℃、圧力150kg/cm2で10分間加熱及び圧着して、積層体を得た。得られた積層体を、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分で400℃まで昇温し、5時間保持した後、昇温速度5℃/分で1350℃まで昇温し、10時間保持することにより、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例2で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてジエチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点283℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例3で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてエチレングリコールモノベンジルエーテル(沸点256℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例4で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてプロピレングリコールモノフェニルエーテル(沸点242℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例5で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてベンジルアルコール(沸点205℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例6で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてエチレングリコールモノフェニルエーテル(沸点244℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例4で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてブチルカルビトールアセテート(沸点247℃、ダイセル社製、以下、BCAともいう)とフェニル酢酸メチル(沸点213℃)との1対1の混合溶剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例5で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてブチルカルビトールアセテート(沸点247℃、ダイセル社製、以下、BCAともいう)と安息香酸エチル(沸点213℃)との1対1の混合溶剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例6で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてターピネオール(沸点219℃)とプロピレングリコールモノフェニルエーテル(沸点242℃)との1対1の混合溶剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、有機溶剤としてブチルカルビトールアセテート(沸点247℃、ダイセル社製、以下、BCAともいう)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例2で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤としてターピネオール(沸点219℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
積層セラミックコンデンサー用導電ペーストの製造において、合成例3で得られたポリビニルアセタール樹脂を用い、かつ、有機溶剤として1,3,5−トリメチルベンゼン(沸点168℃)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、セラミック焼成体を得た。
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂溶液、導電層及びセラミック焼成体について、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
(1)未溶解樹脂分の測定
実施例及び比較例で得られたポリビニルアセタール樹脂溶液を、樹脂量が2重量%になるように同じ有機溶剤にて希釈し、この溶液10mL中のポリビニルアセタール樹脂の粒子径分布を、パーティクルカウンター(「KL−11A」、リオン社製)を用いて測定した。溶液1mL当たりの直径2μm以上の粒子の個数を表2に示す。溶液1mL当たりの直径2μm以上の粒子が1000個未満である場合を○、1000個以上である場合を×として評価した。
実施例及び比較例で得られた導電層について、触針式粗さ計(「サーフコム1400D」、東京精密社製)を用い、JIS B 0601に準拠した方法で表面の中心線平均粗さ(Ra)を測定した。Raが0.07μm以下である場合を○、0.07μmより大きく、0.1μm以下である場合を△、0.1μmを超える場合を×として評価した。
なお、Raが0.1μmを超えると、積層時に導電層がセラミック層を突き破り、得られる積層セラミックコンデンサーの歩留まりが低下したり、導電層の突起部により圧迫されたセラミック層が、使用中に圧電破壊され、品質不良を起こしたりすることがある。
実施例及び比較例で得られたセラミック焼成体を、常温まで冷却し、中央部を積層面に対し垂直方向に切断して、50層目付近のシート状態を電子顕微鏡で観察することにより、セラミック層と導電層とのデラミネーションの有無を観察した。デラミネーションが確認できない場合を○、デラミネーションが確認できた場合を×として評価した。
Claims (3)
- ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤及び導電粉末を含有する積層セラミックコンデンサー用導電ペーストであって、
前記有機溶剤は、芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有し、かつ、沸点が140℃以上、290℃未満である化合物を含有する
ことを特徴とする積層セラミックコンデンサー用導電ペースト。 - 芳香環、及び、水酸基又はカルボニル基を有し、かつ、沸点が140℃以上、290℃未満である化合物は、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル及びベンジルグリコールから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の積層セラミックコンデンサー用導電ペースト。
- 請求項1又は2記載の積層セラミックコンデンサー用導電ペーストを用いることを特徴とする積層セラミックコンデンサーの製造方法。
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WO2019107501A1 (ja) * | 2017-11-30 | 2019-06-06 | 住友金属鉱山株式会社 | 導電性ペースト、電子部品、及び積層セラミックコンデンサ |
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JP2000100648A (ja) * | 1998-09-22 | 2000-04-07 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 積層セラミックコンデンサの製造方法 |
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- 2008-11-12 JP JP2008290210A patent/JP2010118470A/ja active Pending
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