JP4145263B2 - 導電ペースト - Google Patents

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本発明は、セラミックグリーンシート上に積層したときに、シートアタック現象が発生せ
ず、しかも、デラミネーションの起こりにくい導電ペーストに関する。
積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは、一般に次のような工程を経て
製造される。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダ
ー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末
を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリ
ー組成物を得る。このスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を
用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持
体面に流延成形する。これを加熱等により、溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から
剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次に、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン
印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を得、この積層
体中に含まれるバインダー成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行った
後、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラ
ミックコンデンサが得られる。
このとき用いられる導電ペーストとしては、通常、電極を構成する銅、銀、パラジウムや
ニッケル等の導電性金属材料と、エチルセルロース等の有機バインダー、及び、テルピネ
オール等の有機溶剤からなる。しかし、このような導電ペーストをセラミックグリーンシ
ート上に塗工すると、導電ペースト中の有機溶剤がセラミックグリーンシートに含まれる
バインダー樹脂を溶解することがあった。この現象は、シートアタック現象と呼ばれてい
る。近年、積層セラミックコンデンサには更なる高容量化が求められており、より一層の
多層化、薄膜化が検討されている。このように極めて薄膜化が進んだ積層セラミックコン
デンサにおいては、シートアタック現象によりセラミック層に穴や皺が発生し、目的とす
る電気特性が得られないことがあるという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献1には、脂肪族炭化水素、脂肪族高級アルコール、芳香
族炭化水素からなる混合溶剤を用いることが記載されている。しかしながら、この混合溶
剤においては、シートアタック現象を防止するために脂肪族炭化水素の含有量を75〜9
5重量%にすることが必須とされていることから、エチルセルロース以外の例えばポリビ
ニルアセタール樹脂や、ポリビニルアセタール樹脂とエチルセルロースの混合樹脂等を溶
解する能力が低く、これらの樹脂をバインダーとして使用できないという問題があった。
特にポリビニルアセタール樹脂はセラミックグリーンシートとの接着性に優れた導電ペー
ストのバインダー樹脂として注目されている。近年の多層化、薄膜化された積層セラミッ
クコンデンサを、エチルセルロースをバインダー樹脂とした従来の導電ペーストを用いて
製造した場合、ポリビニルアセタール樹脂をバインダー樹脂として用いたセラミックグリ
ーンシートとの接着性が劣るため、いわゆるデラミネーションと呼ばれる層間剥離が発生
しやすく、また、エチルセルロース自体の熱分解性が劣るため、上記積層体を脱脂処理し
た場合、焼成後にカーボン成分が残留し、電気特性を損なうといった問題点があった。導
電ペーストのバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いた場合には、このよ
うなデラミネーションの発生を抑制できると期待されている。
特開平11−273987号公報
本発明は、上記現状に鑑み、セラミックグリーンシート上に積層したときに、シートアタ
ック現象が発生せず、しかも、デラミネーションの起こりにくい導電ペーストを提供する
ことを目的とする。
本発明は、バインダー樹脂、有機溶剤及び金属粉末を含有する積層セラミックコンデンサ
内部電極用の導電ペーストであって、前記バインダー樹脂は、少なくとも変性ポリビニル
アセタール樹脂を含有するものであり、前記有機溶剤は、L−カルビルアセテート、ジヒ
ドロカルビルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、D
−リモネン−10−イルアセテート、メンチルアセテート、ミルテニルアセテート、2−
オクチルアセテート、3−オクチルアセテート、ペリリルアセテート、ターピニルアセテ
ート及び4−(1’−アセトキシ−1’−メチルエチル)シクロヘキサノールアセテート
からなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである導電ペーストである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の導電ペーストは、少なくとも変性ポリビニルアセタール樹脂を含有するバインダ
ー樹脂と特定の有機溶剤とを含有する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、バインダー樹脂として変性ポリビニルアセタール樹脂を
用い、かつ、特定の有機溶剤を用いることによりシートアタック現象が発生せず、しかも
、デラミネーションの起こりにくい導電ペーストが得られることを見出した。
一般に、セラミックグリーンシートのバインダー樹脂として用いられるポリビニルアセタ
ール樹脂は、得られるセラミックグリーンシートを高強度とする目的から、高い水素結合
性が得られるように水酸基量が30%以上のものが用いられる。導電ペーストのバインダ
ー樹脂として変性ポリビニルアセタール樹脂を用いれば、セラミックグリーンシートに対
する優れた親和性を維持したまま、セラミックグリーンシートのバインダー樹脂として用
いられるポリビニルアセタール樹脂と有機溶剤に対する溶解性に差異を付けることができ
る。そこで、導電ペーストのバインダー樹脂である変性ポリビニルアセタール樹脂は溶解
するが、セラミックグリーンシートのバインダー樹脂であるポリビニルアセタールは溶解
しない特定の有機溶剤を導電ペーストに用いれば、シートアタック現象の発生を抑制でき
るものと考えられる。
上記変性ポリビニルアセタールとしては特に限定されないが、例えば、下記一般式(1)
で表されるビニルエステル単位、下記一般式(2)で表されるビニルアルコール単位、下
記一般式(3)で表されるα−オレフィン単位及び下記一般式(4)で表されるアセター
ル単位からなる変性ポリビニルアセタール樹脂が好適である。このような変性ポリビニル
アセタール樹脂は、ポリビニルアセタールに類似の構成を有することにより、ポリビニル
アセタール樹脂をバインダー樹脂とするセラミックグリーンシートとの接着性に極めて優
れる。また、各構成単位の比率やR、Rの選択、又は、nの選択により、粘度、チキ
ソトロピー性等の諸性質を調整することができ、スクリーン印刷性に優れた導電ペースト
を得ることができる。
Figure 0004145263
上記変性ポリビニルアセタール樹脂において、α−オレフィン単位の含有量の好ましい下
限は1モル%、好ましい上限は20モル%である。1モル%未満であると、得られる導電
ペーストの熱分解性が劣ることがあり、20モル%を超えると、変性ポリビニルアセター
ル樹脂の溶剤溶解性が劣りバインダー樹脂として用いることができなかったり、得られた
導電ペーストの経時粘度安定性が悪化したりすることがある。より好ましい下限は2モル
%、より好ましい上限は15モル%である。
上記α−オレフィン単位としては特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−
ペンテン等に由来する単位が挙げられる。なかでも、エチレンに由来するエチレン単位で
あることが好適である。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、更に、アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フタ
ル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリルメタクリロニトリル
、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチ
ルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
、及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピ
ロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン
、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム
等のエチレン性不飽和単量体に由来する成分を含有してもよい。これらのエチレン性不飽
和単量体に由来する成分を含有することにより、上記変性ポリビニルアセタール樹脂に経
時粘度安定性等を付与することができる。ただし、これらのエチレン性不飽和単量体に由
来する成分を含有する場合であっても、その含有量は2.0モル%未満であることが好ま
しい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂の重合度としては特に限定はされないが、好ましい下
限は300、好ましい上限は2400である。300未満であると、スクリーン印刷して
得られた塗膜の強度が劣り、クラック等が入りやすくなることがあり、2400を超える
と、導電ペーストの粘度が高くなりすぎて、ハンドリング性が低下することがある。
このような変性ポリビニルアセタール樹脂は、α−オレフィン単位の含有量が1〜20モ
ル%、ケン化度が80モル%以上である変性ポリビニルアルコールをアセタール化するこ
とにより製造することができる。
上記変性ポリビニルアルコールは、ビニルエステルとα−オレフィンとを共重合した共重
合体をケン化することにより得ることができる。この場合に用いるビニルエステルとして
は、例えば、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等が挙げ
られ、なかでも経済的な観点から酢酸ビニルが好適である。また、上記エチレン性不飽和
単量体に由来する成分を含有する変性ポリビニルアセタールを得る場合には、更にエチレ
ン性不飽和単量体を共重合させる。また、チオール酢酸、メルカプトプロピオン酸等のチ
オール化合物の存在下で、酢酸ビニル等のビニルエステル系単量体とα−オレフィンを共
重合し、それをケン化することによって得られる末端変性ポリビニルアルコールも用いる
ことができる。
上記変性ポリビニルアルコールのケン化度の下限は80モル%である。80モル%未満で
あると、変性ポリビニルアルコールの水への溶解性が悪くなるためアセタール化反応が困
難になり、また、水酸基量が少ないとアセタール化反応自体が困難となる。
上記変性ポリビニルアルコールを用いる場合、α−オレフィン含有量が1〜20モル%の
範囲の変性ポリビニルアルコールを使用することが必要であるが、α−オレフィン含有量
が1〜20モル%の範囲であれば、上記変性ポリビニルアルコールを単独で使用してもよ
く、最終的に得られた変性ポリビニルアセタール樹脂のα−オレフィン含有量が1〜20
モル%となるならば、変性ポリビニルアルコールと未変性ポリビニルアルコールを混合し
て用いてもよい。また、ケン化度においては、アセタール化する際の変性ポリビニルアル
コールのケン化度が80モル%以上であれば、それを該変性ポリビニルアルコール単独、
又は、ケン化度80モル%以上の変性ポリビニルアルコールとケン化度80モル%未満の
変性ポリビニルアルコールを混合して、全体としてケン化度を80モル%以上に調整して
から用いてもよい。
上記変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記変性ポリビニルアルコールをアセタール化す
ることにより製造することができる。アセタール化の方法としては特に限定されず、従来
公知の方法を用いることができ、例えば、塩酸等の酸触媒の存在下で上記変性ポリビニル
アルコールの水溶液に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えばホルムアルデヒド
(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、
プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘ
プチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフ
ラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズア
ルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシ
ベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−
フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒド又はブチル
アルデヒドが、生産性と特性バランス等の点で好適である。これらのアルデヒドは単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記アセタール化のアセタール化度は、単独アルデヒド、混合アルデヒドのいずれを用い
る場合でも、全アセタール化度で40〜78モル%の範囲が好ましい。全アセタール化度
が40モル%未満では樹脂が水溶性となり、有機溶剤に不溶となり、ペースト作製に支障
となる。全アセタール化度が78モル%を超えると、残存水酸基が少なくなって変性ポリ
ビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ、ペースト印刷時の塗膜強度が低下することが
ある。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、変性ポリビニルアセター
ル樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、
アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算
する。
上記バインダー樹脂は、上記変性ポリビニルアセタール樹脂単独からなるものであっても
よく、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等の通常バインダ
ー樹脂として用いられる樹脂との混合樹脂であってもよい。この場合、上記変性ポリビニ
ルアセタール樹脂の含有量の好ましい下限は30重量%である。
上記有機溶剤は、L−カルビルアセテート、ジヒドロカルビルアセテート、ジヒドロター
ピニルアセテート、イソボルニルアセテート、D−リモネン−10−イルアセテート、メ
ンチルアセテート、ミルテニルアセテート、2−オクチルアセテート、3−オクチルアセ
テート、ペリリルアセテート、ターピニルアセテート及び4−(1’−アセトキシ−1’
−メチルエチル)シクロヘキサノールアセテートからなる群より選択される少なくとも1
種を含有する。これらの有機溶剤は、導電ペーストのバインダー樹脂として用いられる上
記変性ポリビニルアセタールは溶解する一方で、セラミックグリーンシートのバインダー
樹脂は溶解しない。従って、これらの有機溶剤を用いた本発明の導電ペーストを用いたと
きにシートアタック現象が発生するのを防止することができる。
上記金属粉末としては充分な導電性を示すものであれば特に限定されず、例えば、ニッケ
ル、パラジウム、白金、金、銀、銅やこれらの合金等からなる粉末等が挙げられる。これ
らの金属粉末は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の導電ペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、潤滑剤、分散剤、
帯電防止剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明の導電ペーストにおける各成分の配合量としては特に限定されないが、バインダー
樹脂1〜10重量%、金属粉末30〜70重量%を含有し、他の全量が溶剤成分であるこ
とが好ましい。上記バインダー樹脂の含有量が1重量%未満であると、得られる導電ペー
ストの成膜性能が劣ることがあり、10重量%を超えると、脱脂・焼成後にカーボン成分
が残留しやすくなる。また、上記金属粉末の含有量が30重量%未満であると、導電成分
が少なく有機成分が多いことから、焼成後の収縮率変化が大きく、またカーボン成分が残
留しやすくなる。70重量%を超えると、導電ペーストの粘度が高くなりすぎて、塗工、
印刷ができないことがある。
本発明の導電ペーストを製造する方法としては特に限定されず、例えば、上記有機バイン
ダー、有機溶剤、金属粉末及び必要に応じて添加する各種添加剤をブレンダーミル、3本
ロール等の各種混合機を用いて混合する方法が挙げられる。
本発明によれば、セラミックグリーンシート上に積層したときに、シートアタック現象が
発生せず、しかも、デラミネーションの起こりにくい導電ペーストを提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
(実施例1)
重合度1700、エチレン単位含有量10mol%、ケン化度88mol%の変性ポリビ
ニルアルコール193gを純水2900gに加え、90℃の温度で約2時間攪拌し溶解さ
せた。この溶液を28℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸20gとn−ブチルアル
デヒド115gとを添加し、液温を20℃に下げてこの温度を保持してアセタール化反応
を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を30℃、5時間保持して反応を完了さ
せ、常法により中和、水洗及び乾燥を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を
得た。得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d(ジメチルスルホキサイド)
に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてアセタール化度を測定した
ところ、ブチラール化度は65モル%であった。
金属粉末としてとしてニッケル粉(三井金属社製、「2020SS」)100重量部に対
して、バインダー樹脂として得られた変性ポリビニルアセタール樹脂7重量部、及び、有
機溶剤としてL−カルビルアセテート60重量部を混合した後、三本ロールで混練して導
電ペーストを得た。
(実施例2〜12)
有機溶剤としてL−カルビルアセテートの代わりに表1に示したものを用いた以外は実施
例1と同様の方法により導電ペーストを得た。
(比較例1)
バインダー樹脂としてエチルセルロース(ハークルス社製、エトキシ基含有量48〜49
.5%)を用い、有機溶剤としてα−テルピネオールを用いた以外は実施例1と同様の方
法により導電ペーストを得た。
(比較例2)
バインダー樹脂としてポリビニルアセタール(積水化学工業社製、エスレックB「BM−
S」)を用い、有機溶剤としてα−テルピネオールを用いた以外は実施例1と同様の方法
により導電ペーストを得た。
(比較例3)
有機溶剤としてL−カルビルアセテートの代わりにα−テルピネオールを用いた以外は実
施例1と同様の方法により導電ペーストを得た。
(評価)
実施例1〜12及び比較例1〜3で作製した導電ペーストについて以下の方法により評価
を行った。
結果を表1に示した。
(1)シートアタック性の評価
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業製、エスレックB「MB−2」、重合度850
)10重量部を、トルエン30重量部とエタノール15重量部との混合溶剤に加え、攪拌
溶解し、更に、可塑剤としてジブチルフタレート3重量部を加え、攪拌溶解した。得られ
た樹脂溶液に、セラミック粉末としてチタン酸バリウム(堺化学工業製「BT−01(平
均粒径0.3μm)」)100重量部を加え、ボールミルで48時間混合してセラミック
スラリー組成物を得た。得られたスラリー組成物を、離型処理したポリエステルフィルム
上に、乾燥後の厚みが約5μmになるように塗布し、常温で1時間風乾し、熱風乾燥機、
80℃で3時間、続いて120℃で2時間乾燥させてセラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートの片面に導電ペーストを乾燥後の厚みが約2μmにな
るようにスクリーン印刷法により印刷し、乾燥させて導電ペースト層を形成した。グリー
ンシートの表面(印刷面)及び裏面(ポリエステルフィルム面)を目視及び拡大顕微鏡で
観察し、以下の基準により評価した。
〇:皺やクラックは認められなかった
×:皺やクラックが認められた
(2)デラミネーション性の評価
(1)と同様の方法により作製したセラミックグリーンシートを5cm角の大きさに切断
し、この片面に導電ペーストを乾燥後の厚みが約2μmになるようにスクリーン印刷法に
より印刷し、乾燥させて導電ペースト層を形成した。
得られた導電ペースト層が形成されたセラミックグリーンシートを100枚積重ね、温度
70℃、圧力150kg/cm、10分間の熱圧着条件で圧着して、セラミックグリー
ンシート積層体を得た。
得られたセラミックグリーンシート積層体を窒素雰囲気で、昇温速度3℃/分で450℃
まで昇温し、5時間保持後、更に昇温速度5℃/分で1350℃まで昇温し、10時間保
持してセラミック焼結体を得た。この焼結体を常温まで冷却した後、半分に割り、ちょう
ど50層付近のシートの状態を電子顕微鏡で観察し、セラミック層と導電層とのデラミネ
ーションの有無を観察し、以下の基準により評価した。
○:デラミネーションなし
×:デラミネーションあり
Figure 0004145263
本発明によれば、セラミックグリーンシート上に積層したときに、シートアタック現象が
発生せず、しかも、デラミネーションの起こりにくい導電ペーストを提供できる。

Claims (1)

  1. バインダー樹脂、有機溶剤及び金属粉末を含有する積層セラミックコンデンサ内部電極用の導電ペーストであって、
    前記バインダー樹脂は、少なくとも変性ポリビニルアセタール樹脂を含有するものであり、
    前記有機溶剤は、L−カルビルアセテート、ジヒドロカルビルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、イソボルニルアセテート、D−リモネン−10−イルアセテート、メンチルアセテート、ミルテニルアセテート、2−オクチルアセテート、3−オクチルアセテート、ペリリルアセテート、ターピニルアセテート及び4−(1’−アセトキシ−1’−メチルエチル)シクロヘキサノールアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を含有するものであり、
    前記変性ポリビニルアセタールは、下記一般式(1)、(2)、(3)及び(4)で表される
    構造単位からなる変性ポリビニルアセタール樹脂であることを特徴とする導電ペースト。
    Figure 0004145263
    式中、R は、炭素数1〜20の直鎖又は枝分かれ状のアルキル基を表し、R は、水素
    、炭素数1〜20の直鎖、枝分かれ状若しくは環状のアルキル基又はアリール基を表す。
    また、nは1〜8の整数を表す。更に、変性ポリビニルアセタール樹脂中、一般式(1)
    で表される構造単位の含有量は0.001〜20モル%、一般式(2)で表される構造単
    位の含有量は20〜58モル%、一般式(3)で表される構造単位の含有量は1〜20モ
    ル%、一般式(4)で表される構造単位の含有量は32〜78モル%である。
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