JP4829519B2 - 変性ポリビニルアセタール樹脂 - Google Patents
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Description
しかしながら、薄膜化が進むにつれて、セラミックグリーンシート上で内部電極の厚みによる段差の影響が大きくなり、この段差が累積することによって、積層体を圧着する工程で、均一に圧力を加えることができず、デラミネーションが発生する原因となっていた。また、積層セラミックコンデンサの端部で誘電層や導電層に変形が生じて平面とならず、性能が低下するという問題があった。
以下、本発明につき、詳細に説明する。
上記変性ポリビニルアルコールは、エチレン単位を含有することによって、アセタール化して得られる変性ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が増大するため、無機粉末の分散性や、塗工用のペーストとして用いた場合に塗膜の強度が向上する。
なお、本明細書においてエチレン単位は、下記一般式(1)で表される単位を意味する。
上記ジアルデヒド以外のアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでもアセトアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましい。
これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、アセタール化された水酸基数の割合のことであり、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を算出する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、上記エチレン単位を一定量含有する変性ポリビニルアルコールに、上記ジアルデヒドを所定の割合で添加することにより、有機溶剤に溶解した際に粘度が増大するため、小粒径の導電粉末、セラミック粉末に効率よく剪断力を与えることができ、分散性に優れる塗工ペーストが得られ、かつ、塗工後に充分な強度を有する薄膜が得られる。
なお、本明細書においてビニルアルコール単位は、下記一般式(2)で表される単位を意味する。
このような導電ペーストもまた、本発明の一つである。
このようなセラミックペーストもまた、本発明の一つである。
重合度1700、エチレン単位含有量10モル%、ケン化度88モル%の変性ポリビニルアルコール193gを純水2900gに加え、90℃で約2時間攪拌し溶解させた。この溶液を28℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸20g、n−ブチルアルデヒド115g及びグルタルアルデヒド0.2gを添加し、更に10℃に冷却、保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、溶液を30℃で5時間保持して反応を完了させ、中和、水洗及び乾燥工程を経て、変性ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂7重量部とα−テルピネオール60重量部とを混合し、導電粉末としてニッケル粉末(2020SS、三井金属社製)100重量部を加え、三本ロールで混練して導電ペーストを得た。
得られた変性ポリビニルアセタール樹脂7重量とα−テルピネオール60重量部とを混合し、セラミック粉末としてのチタン酸バリウム(BT−03、平均粒子径0.3μm、堺化学工業社製)100重量部を加え、ボールミルで48時間混練してセラミックペーストを得た。
重合度1500、エチレン単位含有量4モル%、ケン化度96モル%の変性ポリビニルアルコール193g、ブチルアルデヒド160g、グルタルアルデヒド0.3gを用いた以外は実施例1と同様の方法により、変性ポリビニルアセタール樹脂、導電ペースト及びセラミックペースト得た。
得られた変性ポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は76モル%であった。
また、測定された粘度は20.3Pa・sであった。
重合度1700、エチレン単位含有量10モル%、ケン化度88モル%の変性ポリビニルアルコール185g、ブチルアルデヒド65g、アセトアルデヒド46g、グルタルアルデヒド0.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法により、変性ポリビニルアセタール樹脂、導電ペースト及びセラミックペースト得た。
得られた変性ポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は71モル%であった。
また、測定された粘度は21.5Pa・sであった。
重合度1700、エチレン単位含有量10モル%、ケン化度88モル%の変性ポリビニルアルコール193g、n−ブチルアルデヒド115gを用い、ジアルデヒドを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法により、変性ポリビニルアセタール樹脂、導電ペースト及びセラミックペースト得た。
得られた変性ポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は65モル%であった。
また、測定された粘度は10.3Pa・sであった。
重合度1500、エチレン単位含有量4モル%、ケン化度96モル%の変性ポリビニルアルコール193g、ブチルアルデヒド160gを用い、ジアルデヒドを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法により、変性ポリビニルアセタール樹脂、導電ペースト及びセラミックペースト得た。
得られた変性ポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は76モル%であった。
また、測定された粘度は6.5Pa・sであった。
重合度1700、エチレン単位含有量10モル%、ケン化度88モル%の変性ポリビニルアルコール185g、ブチルアルデヒド65g、アセトアルデヒド46gを用い、ジアルデヒドを添加しなかった以外は実施例1と同様の方法により、変性ポリビニルアセタール樹脂、導電ペースト及びセラミックペースト得た。
得られた変性ポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は71モル%であった。
また、測定された粘度は8.2Pa・sであった。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた導電ペースト及びセラミックペーストを、乾燥後の膜厚が10μmとなるようにポリエチレンテレフタレート上に塗工した。乾燥後の塗膜の表面及び断面を電子顕微鏡で観察し、以下の基準で分散性の評価を行った。
結果は、表1に示した。
○:ニッケル粉及びセラミック粉の凝集物がほとんど観察されなかった。
×:ニッケル粉及びセラミック粉の凝集物が観察された。
Claims (6)
- エチレン単位含有量が1〜20モル%、ケン化度が80モル%以上の変性ポリビニルアルコールのビニルアルコール単位に対して、少なくともジアルデヒドを0.005〜1モル%の割合で添加してアセタール化してなることを特徴とする変性ポリビニルアセタール樹脂。
- ジアルデヒドは、グリオキザール及び/又はグルタルアルデヒドであることを特徴とする請求項1記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 更にブチルアルデヒド及び/又はアセトアルデヒドを添加してアセタール化してなることを特徴とする請求項1又は2記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- アセタール化度が40〜80モル%であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の変性ポリビニルアセタール樹脂。
- 請求項1、2、3又は4記載の変性ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤及び導電粉末を含有することを特徴とする導電ペースト。
- 請求項1、2、3又は4記載の変性ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤及びセラミック粉末を含有することを特徴とするセラミックペースト。
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