JP4829518B2 - セラミックグリーンシート用セラミックペースト - Google Patents
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Description
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に、可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物をドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に流延成形し、加熱等により有機溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
以下、本発明を詳細に説明する。
また、ポリビニルアルコールのビニルアルコール単位に対して、ジアルデヒドを0.005〜2モル%の割合で添加してアセタール化することにより、セラミックグリーンシート用セラミックペーストとした場合に、塗工性の悪化や溶媒に対する溶解性の低下等の問題が発生することを防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、上記ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、原料であるポリビニルアルコールの重合度を用いる。2種以上のポリビニルアルコールを混合してポリビニルアセタール樹脂を得る場合には、これらの重合度の平均を用いる。
上記ジアルデヒド以外のアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、生産性と特性バランス等の観点から、アセトアルデヒド又はブチルアルデヒドが好適である。これらのアルデヒドは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、本明細書において、アセタール化度とは、ポリビニルアルコールの水酸基数のうち、アセタール化された水酸基数の割合のことであり、アセタール化度の計算方法としては、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を算出する。
上記ポリビニルアセタール樹脂は、ジアルデヒドを添加することにより、分子間架橋が生じ、セラミックペーストとした場合に粘度が増大するため、得られるセラミックグリーンシートが充分な強度を有するものとなり、薄膜化が可能となる。また、上記範囲の割合でジアルデヒドを添加することによって、塗工性等に優れるセラミックグリーンシート用セラミックペーストを得ることができる。
なお、本明細書においてビニルアルコール単位とは、下記一般式(1)で表される単位を意味する。
0.005モル%未満であると、粘度を増加させる効果が充分に現れず、充分な強度を有するセラミックグリーンシートが得られない。2モル%を超えると、分子間架橋が過密になり、得られるポリビニルアセタール樹脂が有機溶剤に不溶となる。好ましい下限は0.01モル%、好ましい上限は1モル%である。
上記有機溶剤としては特に限定されず、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、α−テルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記セラミック粉末としては特に限定されず、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等からなる粉末が挙げられる。これらのセラミック粉末は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のセラミックグリーンシート用セラミックペーストの製造方法としては特に限定されず、ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤、セラミック粉末及び必要に応じて添加する各種添加剤をボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いて混合することにより、セラミックグリーンシート用セラミックペーストを得ることができる。
このようなセラミックグリーンシートもまた、本発明の一つである。
このような積層セラミックコンデンサもまた、本発明の一つである。
重合度1500、ケン化度98モル%のポリビニルアルコール193gを純水2900gに加え、90℃で約2時間攪拌し溶解した。この溶液を40℃に冷却し、これに濃度35重量%の塩酸20g、n−ブチルアルデヒド115g、グルタルアルデヒド0.2gを添加し、液温を15℃に冷却、保持してアセタール化反応を行い、反応生成物を析出させた。その後、液温を40℃で3時間保持して反応を完了させ、中和、水洗及び乾燥を行い、ポリビニルアセタール樹脂の白色粉末を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂をDMSO−d6(ジメチルスルホキサイド)に溶解し、13C−NMR(核磁気共鳴スペクトル)を用いてブチラール化度を測定したところ、65モル%であった。
重合度2400、ケン化度99モル%のポリビニルアルコール193g、n−ブチルアルデヒド130g、グルタルアルデヒド0.15gを用いた以外は実施例1と同様の方法により、ポリビニルブチラール樹脂を得た。得られたポリビニルブチラール樹脂のブチラール化度は70モル%であった。
得られたポリビニルブチラール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを得た。
重合度1700、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール185g、ブチルアルデヒド63g、アセトアルデヒド45g、グルタルアルデヒド0.2gを用いた以外は実施例1と同様の方法により、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は68モル%であった。
得られたポリビニルアセタール樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを得た。
バインダー樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BH−S」、重合度1700、積水化学工業社製)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを得た。
なお、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BH−S」、重合度1700、積水化学工業社製)の原料として使用したポリビニルアルコールのケン化度は95モル%であった。
また、ブチラール化度は75モル%であった。
バインダー樹脂として、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BX−3」、重合度2000、積水化学工業社製)10重量部を用いた以外は、実施例1と同様にしてセラミックグリーンシートを得た。
なお、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックB「BX−3」、重合度2000、積水化学工業社製)の原料として使用したポリビニルアルコールのケン化度は98モル%であった。
また、ブチラール化度は66モル%であった。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたセラミックグリーンシートをポリエステルフィルムから剥離し、セラミックグリーンシートの状態を目視にて観察し、以下の基準で強度を評価した。
結果は、表1に示した。
○:セラミックグリーンシートに、切れや破れは観察されなかった。
×:セラミックグリーンシートの一部に、破れが観察された。
Claims (4)
- ポリビニルアセタール樹脂、有機溶剤及びセラミック粉末を含有するセラミックグリーンシート用セラミックペーストであって、
前記ポリビニルアセタール樹脂は、ケン化度が80モル%以上であり、かつ、重合度が500〜2400のポリビニルアルコールのビニルアルコール単位に対して、少なくともジアルデヒドを0.005〜2モル%の割合で添加してアセタール化してなる
ことを特徴とするセラミックグリーンシート用セラミックペースト。 - ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度が40〜80モル%であることを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート用セラミックペースト。
- 請求項1又は2記載のセラミックグリーンシート用セラミックペーストを用いてなることを特徴とするセラミックグリーンシート。
- 請求項3記載のセラミックグリーンシートを用いてなることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。
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