JP2007138115A - セラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック成形に用いるバインダー樹脂として使用した場合に、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上させることができるセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペーストを提供する。
【解決手段】セラミック成形に用いる変性ポリビニルアセタール樹脂であって、少なくともビニルアルコール単位(1)及びアセタール単位(2)及びアセトアセチル含有単位(3)を有するセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】なし
【解決手段】セラミック成形に用いる変性ポリビニルアセタール樹脂であって、少なくともビニルアルコール単位(1)及びアセタール単位(2)及びアセトアセチル含有単位(3)を有するセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂。
【選択図】なし
Description
本発明は、セラミック成形に用いるバインダー樹脂として使用した場合に、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上させることができるセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペーストに関するものである。
積層型の電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサは、特許文献1又は特許文献2に開示されているように、一般に次のような工程を経て製造される。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に塗工する。これを加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
まず、ポリビニルブチラール樹脂やポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等のバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液に可塑剤、分散剤等を添加した後、セラミック原料粉末を加え、ボールミル等により均一に混合し、脱泡後に一定粘度を有するセラミックスラリー組成物を得る。得られたセラミックスラリー組成物を、ドクターブレード、リバースロールコーター等を用いて、離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム又はSUSプレート等の支持体面に塗工する。これを加熱等により溶剤等の揮発分を溜去させた後、支持体から剥離してセラミックグリーンシートを得る。
次いで、得られたセラミックグリーンシート上に内部電極となる導電ペーストをスクリーン印刷等により塗布したものを交互に複数枚積み重ね、加熱圧着して積層体を作製し、この積層体中に含まれるバインダー成分等を熱分解して除去する処理、いわゆる脱脂処理を行った後、焼成して得られるセラミック焼成物の端面に外部電極を焼結する工程を経て積層セラミックコンデンサが得られる。
しかしながら、このようなセラミックスラリー組成物を塗工する際に、生産性向上のために塗工速度を上げると、液だれ、ムラ等の不具合が発生するという問題があった。
これに対して、単純にバインダー樹脂の濃度を高くしたり、バインダー樹脂の重合度を高くしたりする方法が検討されている。しかしながら、この方法では、液だれを低減することはできるが、塗工時の粘度が高くなりすぎるため、ムラが生じやすくなるという問題があった。
また、逆に、バインダー樹脂の濃度を低くしたり、バインダー樹脂の重合度を低くしたりすると、塗工時の粘度が低くなりすぎるため、乾燥時にムラが生じたり、液だれを起こしたりして、均一なセラミックグリーンシートが得られないという問題があった。
特公平3−35762号公報
特公平4−49766号公報
本発明は、上記現状に鑑み、セラミック成形に用いるバインダー樹脂として使用した場合に、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上させることができるセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペーストを提供することを目的とする。
本発明は、セラミック成形に用いる変性ポリビニルアセタール樹脂であって、少なくとも下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される構造単位を有するセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂である。
本発明者らは、鋭意検討の結果、セラミック成形に使用するセラミックペーストのバインダー樹脂としてポリビニルアセタール樹脂を用いる場合に、塗工速度を上げると液だれ、ムラ等の不具合が発生する原因は、高い剪断速度の下で塗工溶液の弾性が低下するため、形成される塗膜の形状が維持されなくなることであることを見出した。
本発明者らは、更に鋭意検討の結果、セラミック成形に使用するセラミックペーストのバインダー樹脂として特定の構造単位からなるポリビニルアセタール樹脂を用いることによって、塗工時の高い剪断速度の下でも塗工溶液の弾性が低下することなく、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂(以下、単に変性ポリビニルアセタール樹脂ともいう)は、少なくとも下記一般式(1)、(2)及び(3)で表される構造単位を有する。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミック粉末を適当な溶媒に溶解してセラミックペーストとした場合、塗工速度を上げた際の高剪断時においても溶液の弾性が低下することなく、塗工時の液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止することができる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(1)で表されるビニルアルコール単位の含有量の好ましい下限は17モル%、好ましい上限は35モル%である。17モル%未満であると、有機溶剤に対する溶解性が低下することがある。35モル%を超えると、吸湿しやすくなるため、得られるセラミックペーストの保存安定性が悪くなることがある。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(2)で表されるアセタール単位の含有量の好ましい下限は30モル%、好ましい上限は78モル%である。30モル%未満であると、セラミックペーストの製造に用いられる有機溶剤に不溶となることがある。78モル%を超えると、残存水酸基量が少なくなって得られるセラミックペーストの強度が低下することがある。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
上記一般式(3)で表されるアセトアセチル単位におけるアセトアセチル基は、自己架橋性を有しており、加熱又は酸触媒下での加熱によって、他の分子中のアセトアセチル基や水酸基と架橋構造を形成し、部分的に高分子量成分をつくる。このため、塗工速度を上げた際の高剪断時においても、セラミックペーストの弾性が低下することを防ぐことができる。
上記一般式(3)で表されるアセトアセチル単位におけるアセトアセチル基は、2分子間で金属と錯体を形成するため、チタン酸バリウム、アルミナ等のセラミック粉末との吸着性に優れ、セラミック粉末の分散性を向上させることができる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(3)で表されるアセトアセチル単位の含有量の好ましい下限は0.5モル%、好ましい上限は15モル%である。0.5モル%未満であると、架橋構造が形成されることによる効果が充分に得られず、高剪断時に弾性が低下してしまうため、塗工時に液だれ、ムラ等が発生することがある。15モル%を越えると、架橋度が高くなりすぎて有機溶媒に不溶となるため、塗膜性が低下することがある。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、重合度の好ましい下限が200、好ましい上限が3000である。重合度を上記範囲内とすることにより、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とともに用いられるセラミック粉末の分散性、塗工性、塗膜強度等に優れるものとすることができる。更に、上記セラミック粉末の分散性、塗工性、塗膜強度等のバランスを考えると、より好ましい下限は300であり、より好ましい上限は2000である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂を製造する方法としては、例えば、アセトアセチル基を側鎖に有する変性ポリビニルアルコールをアセタール化する方法、未変性のポリビニルアルコールをアセタール化した後、アセトアセタール化する方法等が挙げられる。
上記アセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、酸触媒の存在下で変性ポリビニルアルコールの水溶液、アルコール溶液、水/アルコール混合溶液、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中に各種アルデヒドを添加する方法等が挙げられる。
上記アセタール化に用いるアルデヒドとしては特に限定されず、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド、フルフラール、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、β−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。なかでも、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとをそれぞれ単独で用いるか、又は、アセトアルデヒドとブチルアルデヒドとを併用することが好ましい。
上記アセトアセタール化の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液中にジケテン等を添加する方法等が挙げられる。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、アセタール化度の好ましい下限が30モル%、好ましい上限が78モル%である。30モル%未満であると、有機溶剤に不溶となりセラミックペーストのバインダー樹脂として用いることができないことがある。78モル%を超えると、残存水酸基量が少なくなって得られる変性ポリビニルアセタール樹脂の強靱性が損なわれ塗膜の強度が低下することがある。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
なお、本明細書において、アセタール化度の計算方法としては、変性ポリビニルアセタール樹脂のアセタール基が2個の水酸基からアセタール化されて形成されていることから、アセタール化された2個の水酸基を数える方法を採用してアセタール化度のモル%を計算する。
上記酸触媒としては特に限定されず、有機酸、無機酸のどちらでも使用可能であり、例えば、酢酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、硫酸、塩酸等が挙げられる。なかでも、非ハロゲン性の酸触媒が好適である。
上記アセタール化の反応を停止するために、アルカリによる中和を行うことが好ましい。上記アルカリとしては特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
また、上記中和工程の前後に、水等を用いて得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を洗浄することが好ましい。なお、洗浄水中に含まれる不純物の混入を防ぐため、洗浄は純水で行うことがより好ましい。
上記変性ポリビニルアルコールのケン化度の好ましい下限は75モル%である。75モル%未満であると、変性ポリビニルアルコールの水溶性が低下するため、アセタール化反応が困難になることがある。また、水酸基量が少ないとアセタール化反応自体が困難になることがある。
上記変性ポリビニルアルコールを製造する方法としては特に限定されないが、例えば、アセトアセチル基を側鎖に有する変性ポリ酢酸ビニルを従来公知の方法によりケン化することによって製造することができる。
このような製造方法によって上記変性ポリビニルアルコールを製造した場合、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、下記一般式(4)で表される構造単位を有していてもよい。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂において、上記一般式(4)で表されるアセチル単位の含有量の好ましい上限が25モル%である。25モル%を超えると、変性ポリビニルアルコールの溶解性が低下してアセタール化が困難になったり、得られた変性ポリビニルアセタールの有機溶剤に対する溶解性が低下したりする。好ましい上限は、15モル%である。
本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂、セラミック粉末及び有機溶剤を混合することによって、セラミックペーストを製造することができる。
このようにして得られるセラミックペーストもまた、本発明の一つである。
本発明のセラミックペーストは、セラミック粉末の分散性に優れ、塗工時の液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上することができる。また、このようなセラミックペーストを用いることによって、熱処理後に優れた強度を有するセラミック成形体を得ることができる。
このようにして得られるセラミックペーストもまた、本発明の一つである。
本発明のセラミックペーストは、セラミック粉末の分散性に優れ、塗工時の液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上することができる。また、このようなセラミックペーストを用いることによって、熱処理後に優れた強度を有するセラミック成形体を得ることができる。
本発明のセラミックペーストは、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂、セラミック粉末及び有機溶剤を含有する。
本発明のセラミックペーストにおいて、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、単独でバインダー樹脂として用いられてもよく、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とアクリル系樹脂、セルロース系樹脂等との混合樹脂がバインダー樹脂として用いられてもよい。
本発明のセラミックペーストにおいて、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂は、単独でバインダー樹脂として用いられてもよく、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂とアクリル系樹脂、セルロース系樹脂等との混合樹脂がバインダー樹脂として用いられてもよい。
上記混合樹脂がバインダー樹脂として用いられる場合、バインダー樹脂において、変性ポリビニルアセタール樹脂の含有量の好ましい下限は20重量%である。20重量%未満であると、セラミック粉末の充分な分散性、塗工性等が得られないことがある。
本発明のセラミックペーストにおいて、上記バインダー樹脂の配合量は、上記セラミック粉末100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。1重量部未満であると、本発明のセラミックペーストの成膜性能が劣ることがあり、50重量部を超えると、脱脂・焼成後にカーボン成分が残留しやすくなることがある。より好ましい下限は3重量部、より好ましい上限は30重量部である。
上記セラミック粉末としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、マグネシア、サイアロン、スピネムルライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の粉末が挙げられる。これらのセラミック粉末は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記有機溶剤としては特に限定されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸ブチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸ブチル、ヘキサン酸メチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸ブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酪酸2−エチルヘキシル等のエステル類;メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、α−テルピネオール、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明のセラミックペーストは、架橋助剤として、アセトアセチル基と反応性を有するジアミン、ジアルデヒド、ジオール等を含有してもよい。
また、本発明のセラミックペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
また、本発明のセラミックペーストは、本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、潤滑剤、分散剤、帯電防止剤等の従来公知の添加剤を含有してもよい。
本発明のセラミックペーストを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、本発明の変性ポリビニルアセタール樹脂、セラミック粉末及び有機溶剤を混合する方法が挙げられる。
本発明のセラミックペーストを製造する際に原材料を混合する方法としては特に限定されず、例えば、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いる方法が挙げられる。
本発明のセラミックペーストを製造する際に原材料を混合する方法としては特に限定されず、例えば、ボールミル、ブレンダーミル、3本ロール等の各種混合機を用いる方法が挙げられる。
本発明のセラミックペーストを、例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる基材シート上に塗工、乾燥することによって、セラミック成形体を製造することができる。このようにして得られたセラミック成形体は、熱処理後に優れた強度を有する。
上記セラミック成形体の用途としては特に限定されず、例えば、セラミックグリーンシート、積層セラミックコンデンサの製造に用いられる誘電層等に使用することができる。
上記セラミック成形体の用途としては特に限定されず、例えば、セラミックグリーンシート、積層セラミックコンデンサの製造に用いられる誘電層等に使用することができる。
上記セラミック成形体を製造する際にセラミックペーストを塗工する方法としては特に限定されず、一般的な方法を用いることができ、例えば、バーコーター、グラビア印刷、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
本発明によれば、セラミック成形に用いるバインダー樹脂として使用した場合に、塗工速度を上げた場合であっても、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上させることができ、セラミック粉末の分散性に優れ、かつ、熱処理後に優れた強度を有するセラミック成形体を得ることができるセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペーストを提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
重合度1100、ケン化度99%、アセトアセチル単位含有量が4モル%の変性ポリビニルアルコール100gを700gの蒸留水に加温溶解した後、20℃に保ち、これに70%硝酸26gを加え、更にブチルアルデヒド16gを添加した。次に、10℃まで冷却し、ブチルアルデヒド65gを加えた。樹脂が析出した後、30分間保持し、その後、硝酸93gを加え35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。溶液を50℃で6時間保持した後、冷却した。
次に、蒸留水により溶液を2時間流水洗浄した後、脱水、乾燥して変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られた変性ポリビニルアセタール樹脂のアセチル単位含有量は1.0モル%、残存水酸基量は31モル%、アセトアセチル単位含有量は4モル%であった。
重合度1100、ケン化度99%、アセトアセチル単位含有量が4モル%の変性ポリビニルアルコール100gを700gの蒸留水に加温溶解した後、20℃に保ち、これに70%硝酸26gを加え、更にブチルアルデヒド16gを添加した。次に、10℃まで冷却し、ブチルアルデヒド65gを加えた。樹脂が析出した後、30分間保持し、その後、硝酸93gを加え35℃に昇温して3時間保った。反応終了後、蒸留水にて10時間流水洗浄し、水酸化ナトリウムを添加して溶液のpHを8に調整した。溶液を50℃で6時間保持した後、冷却した。
次に、蒸留水により溶液を2時間流水洗浄した後、脱水、乾燥して変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られた変性ポリビニルアセタール樹脂のアセチル単位含有量は1.0モル%、残存水酸基量は31モル%、アセトアセチル単位含有量は4モル%であった。
(比較例1)
重合度1000,ケン化度98%であってアセトアセチル単位を含有しないポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセチル単位含有量は1.7モル%、残存水酸基量は32モル%であった。
重合度1000,ケン化度98%であってアセトアセチル単位を含有しないポリビニルアルコールを用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリビニルアセタール樹脂を得た。得られたポリビニルアセタール樹脂のアセチル単位含有量は1.7モル%、残存水酸基量は32モル%であった。
(評価)
実施例1及び比較例1で得られたポリビニルアセタール樹脂について、以下の方法により評価を行った。
実施例1及び比較例1で得られたポリビニルアセタール樹脂について、以下の方法により評価を行った。
(塗工性評価)
得られたポリビニルアセタール樹脂20gをエタノール/トルエン混合溶剤(混合比:1/1)80gに溶解し、ミックスローターで48時間撹拌し、溶解させた。溶解後、30分、20℃で静置した。
その後、回転式レオメーター(Gemini、Bohlin社製)を用いて、20℃において、剪断速度を0.1(1/s)から20000(1/s)まで対数的に剪断速度を上げ、溶液の粘度の変化を測定した。結果を図1に示した。
得られたポリビニルアセタール樹脂20gをエタノール/トルエン混合溶剤(混合比:1/1)80gに溶解し、ミックスローターで48時間撹拌し、溶解させた。溶解後、30分、20℃で静置した。
その後、回転式レオメーター(Gemini、Bohlin社製)を用いて、20℃において、剪断速度を0.1(1/s)から20000(1/s)まで対数的に剪断速度を上げ、溶液の粘度の変化を測定した。結果を図1に示した。
実施例で得られた変性ポリビニルアセタール樹脂を溶解した溶液は、低剪断速度領域で粘度が高いため、塗工後に静置して乾燥させる際に液だれを生じることがない。また、高剪断速度領域では粘度が低いため、高速で均一に塗工することが可能で、ムラを生じることなく、生産性を著しく向上させることができる。
本発明によれば、セラミック成形に用いるバインダー樹脂として使用した場合に、液だれ、ムラ等の不具合の発生を防止し、塗工時の生産性を向上させることができるセラミック成形用変性ポリビニルアセタール樹脂及びセラミックペーストを提供できる。
Claims (2)
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