JP2009074020A - 異方性導電膜 - Google Patents

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明生 佐藤
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恭弘 林
Akimasa Katayama
晶雅 片山
Hiroki Inagaki
宏樹 稲垣
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Abstract

【課題】導通信頼性を向上させやすい2層構造の異方性導電膜を提供すること。
【解決手段】互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子を保持し、かつ、接着性を有する高分子膜と、上記高分子膜の片面に積層された接着層とを備え、上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度を、2×10〜5×10Pa・sの範囲内とする。好ましくは、上記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、5×10〜1×10Pa・sの範囲内にあると良い。
【選択図】図1

Description

本発明は、異方性導電膜に関するものである。
近年、電子機器の高機能化、小型化などに伴い、狭ピッチに配列された導体を有する部材間を電気的および機械的に接続する必要性が増大している。このような必要性が生ずる場合としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)の分野において、駆動ICチップを搭載したTAB(Tape Automated Bonding)の電極と液晶パネルの電極とを接続する場合や、液晶パネルの電極上に裸の駆動ICチップ(ベアーチップ)を直接接続する(Chip On Glass:COG)場合などが挙げられる。
上記接続においては、一般に、膜厚方向に導電性を示し、かつ、膜面方向に絶縁性を示す異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:ACF)が使用されることが多い。
上記異方性導電膜としては、例えば、本件出願人による特許文献1には、孔部内に導電性粒子を充填した多孔質膜の両面に接着層を被覆した3層構造の異方性導電膜が提案されている。
国際公開第WO2005/096442号パンフレット
ここで、本件出願人は、上記3層構造の異方性導電膜以外にも、多数の導電性粒子を有する接着性の高分子膜の片面に、導電性粒子を有していない接着層を積層した2層構造の異方性導電膜の開発も行っている。
しかしながら、上記2層構造の異方性導電膜は、以下の点で改良の余地があることが判明した。
すなわち、例えば、回路パターンが形成された配線基板上に、上記異方性導電膜を介して、ICチップなどの電子部品を圧着する場合、通常、次のようにして行うことになる。
先ず、圧着装置の基台上に載置した配線基板上に、熱圧着ヘッドで異方性導電膜を仮圧着(高分子膜側を配線基板側に配置)する。その後、仮圧着された異方性導電膜上に、ICチップなどの電子部品を配置する。その後、熱圧着ヘッドで電子部品を本圧着する。
しかしながら、接着層材料の設計によっては、上記仮圧着時の熱・圧着力により、接着層が大きく流れてしまうことがあった。
このような現象が生じると、本圧着時に接着層が不足し、ICチップのバンプ間などに充填される接着層材料が不十分となって隙間が生じるなどし、電子部品の密着性が低下してしまう。
さらに、接着層の流動による剪断力が過度に大きいと、接着層の流動に引きずられて導電性粒子が流れたり、高分子膜が崩れたりするおそれがある。その結果、本圧着後に導電性粒子の規則的な配列が乱れやすくなる。
そのため、これらが原因で、本圧着後の導通信頼性が低くなってしまうといった問題があった。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、導通信頼性を向上させやすい2層構造の異方性導電膜を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子を保持し、かつ、接着性を有する高分子膜と、上記高分子膜の片面に積層された接着層とを備え、上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、2×10〜5×10Pa・sの範囲内にあることを要旨とする。
ここで、上記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度以上であることが好ましい。
より好ましくは、上記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度が、5×10〜1×10Pa・sの範囲内にあると良い。
また、上記接着層は、エポキシ系樹脂を含んでいると良い。
また、上記接着層は、軟化点が80℃以上、かつ、一分子当たり官能基を3個以上有する多官能エポキシ系樹脂を含んでいると良い。
また、上記高分子膜は、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂を含んでいると良い。
また、上記接着層は、フェノキシ系樹脂を含んでいると良い。
また、上記高分子膜および上記接着層は、同種の樹脂および/またはゴムを含んでいると良い。
また、上記導電性粒子は、ほぼ同一平面内に存在すると良い。
また、上記高分子膜の膜厚は、上記導電性粒子の粒径の1/10〜3/2倍の範囲内にあると良い。
また、上記導電性粒子間の間隔は、1〜30μmの範囲内にあると良い。
本発明に係る異方性導電膜によれば、接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、2×10Pa・s以上であるので、仮圧着時における接着層の流れを抑制できる。そのため、本圧着時に、接着層不足による被接続物との密着力低下を抑制できる。また、接着層の流れを抑制するために、実装設備の圧着力を過度に低く制御する必要がなく、実装性を向上させることもできる。
また、接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、5×10Pa・s以下であるので、本圧着後に導電性粒子の規則的な配列を維持しやすい。これは、粘度が高すぎないので、本圧着時等に、接着層の流動に引きずられて導電性粒子が流れたり、高分子膜が崩れたりし難くなるためであると考えられる。
したがって、上記異方性導電膜によれば、導通信頼性を向上させやすい。
ここで、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度が、接着層を構成する材料の最低溶融粘度以上である場合には、高分子膜による導電性粒子の保持力が高まり、圧着によって導電性粒子が流れ難くなる。そのため、本圧着後に導電性粒子の規則的な配列をより維持しやすくなる。
また、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度が、5×10〜1×10Pa・sの範囲内にある場合には、上記効果を得やすくなる。
また、接着層が、エポキシ系樹脂を含んでいる場合には、ICチップ等の電子部品と高分子膜との密着性が向上し、ICチップ等の電子部品と接着層との剥離、接着層と高分子膜との剥離が発生し難くなる。
また、接着層が、特定の多官能エポキシ系樹脂を含んでいる場合には、例えば、液状エポキシ樹脂が多く配合されている潜在性硬化剤を減量するなどして最低溶融粘度を調節するなどしても、接着層を高速硬化させやすい。
また、高分子膜が、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂を含んでいる場合には、ITOガラス等の配線基板との密着性が向上し、ITO等の電極と高分子膜との間に剥離が発生し難くなる。
また、接着層が、フェノキシ系樹脂を含んでいる場合には、最低溶融粘度を調整しやすくなる。
また、上記高分子膜および上記接着層が、同種の樹脂および/またはゴムを含んでいる場合には、高分子膜と接着層との密着性を向上させやすく、高分子膜と接着層との間に剥離が発生し難くなる。
また、導電性粒子が、ほぼ同一平面内に存在している場合には、積み重なった導電性粒子同士の接触によらずに、膜厚方向の導通を確保することができる。そのため、導電性粒子同士の接触抵抗がなくなり、その分、導通性能の向上に寄与しやすくなる。また、圧着時に積み重なった導電性粒子が導体間から弾き出され、絶縁性能を悪化させる心配も少なくなる。
また、高分子膜の膜厚が、導電性粒子の粒径の1/10〜3/2倍の範囲内にある場合には、被接続物が有する導体が導電性粒子を押し潰す際に、高分子膜がそれを阻害し難い。そのため、導体間に導電性粒子が捕捉されやすくなり、膜厚方向の導通性能向上に寄与することができる。
また、導電性粒子間の間隔が1〜30μmの範囲内にある場合には、膜面方向の絶縁性を確保しやすい。
以下、本実施形態に係る異方性導電膜(以下、「本ACF」ということがある。)、その製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本ACF
図1に、本ACFの模式的な断面図の一例を示す。本ACF10は、多数の導電性粒子12を保持する高分子膜14と、接着層16とを有している。
本ACF10は、高分子膜14と接着層16との2層構造であり、高分子膜14自体が有する接着性と接着層16とにより、電子部品と配線基板との間など、被接続物間を接着することができる。
(高分子膜)
本ACFにおいて、高分子膜は、多数の導電性粒子を保持している。導電性粒子の形態としては、具体的には、例えば、略球状(断面が略楕円形状のものも含む)、略柱状、紡錘状、針状などを例示することができる。好ましくは、規則的に配列させやすい、膜面方向の絶縁信頼性に優れる、均等に圧縮されやすいなどの観点から、導電性粒子の形態は、略球状であると良い。
上記導電性粒子は、本ACFの使用時に、膜厚方向を電気的に接続可能な導電性を備えておれば良い。
上記導電性粒子としては、具体的には、例えば、その表面から中心部まで導電性物質で満たされている粒子、高分子粒子の表面に1層または2層以上の導電性層が被覆されている粒子などを例示することができる。
好ましくは、後者の粒子を用いると良い。加圧により粒子が弾性変形しやすいため、本ACFの使用時に、被接続物が有する導体との接触面積が大きくなり、膜厚方向の導通性を確保しやすくなるからである。
より具体的には、例えば、前者の粒子の例として、金属粒子、カーボン粒子などを、後者の粒子の例として、樹脂粒子の表面に1層または2層以上の金属めっき層(電解めっき、無電解めっきなど)やスパッタ層などを有する粒子などを例示することができる。
上記導電性物質、導電性層に適用可能な金属としては、具体的には、例えば、金、銀、白金属(白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミニウム、イリジウム)、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウムなどの金属、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金などの2種以上の金属で構成される合金などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記高分子粒子に適用可能な高分子としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリル酸エステル重合体、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体やジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン系重合体などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。なお、上記(メタ)アクリル酸エステルは、必要に応じて架橋されていても良い。
好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル重合体、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体やジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン系重合体などである。
さらに、本ACFでは、上記導電性粒子の表面に、TiOなどの絶縁性の酸化物や上記高分子などによる絶縁層が1層または2層以上被覆された粒子を用いても良い。もっとも、上記絶縁層は、本ACFの圧着時に、少なくとも電極などの導体に接した部分が破壊されて導通可能になる厚さとされている必要がある。このような粒子を用いた場合には、電極などの導体に接しない部分は絶縁層が破壊し難いため、膜面方向の絶縁性を向上させやすくなる。
なお、本ACFは、上述した導電性粒子を1種または2種以上含んでいても良い。
上記導電性粒子の粒径の上限は、膜面方向の絶縁信頼性を向上させるなどの観点から、被接続物が有する複数の導体(例えば、ICチップのバンプ、プリント配線板の回路パターンなど)の間隔のうち、最も狭いものよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、最も狭いものの1/2以下であると良い。
上記導電性粒子の粒径の上限は、具体的には、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、7μm以下、さらにより好ましくは、5μm以下などであると良い。
一方、上記導電性粒子の粒径の下限は、本ACFの製造時に導電性粒子が凝集し難く、取扱い性が良好であるなどの観点から、具体的には、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらにより好ましくは、3μm以上などであると良い。
なお、上記導電性粒子の粒径は、粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業製、「PITA−1」など)にて測定した平均粒径である。
本ACFにおいて、多数の導電性粒子は、互いに離間されて配列されている。つまり、各導電性粒子は、ほぼ1つ1つ別れて存在しているのが好ましい。
導電性粒子同士の間隔の上限は、膜厚方向の導通信頼性を向上させるなどの観点から、被接続物が有する複数の導体の幅のうち、最も狭いものよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、最も狭いものの1/2以下であると良い。
導電性粒子同士の間隔の上限は、具体的には、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、20μm以下、さらにより好ましくは、10μm以下などであると良い。
一方、導電性粒子同士の間隔の下限は、膜面方向の絶縁信頼性を向上させるなどの観点から、具体的には、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらにより好ましくは、3μm以上などであると良い。
本ACFにおいて、多数の導電性粒子は、規則的に配列されている。もっとも、この規則的な配列は、多数の導電性粒子を膜面方向から見たときに全体として認められれば良い。したがって、本発明の効果を奏する範囲内であれば、局所的に不規則に配列している導電性粒子が部分的に存在していても構わない。
上記規則的な配列としては、具体的には、例えば、格子状、千鳥状、ハニカム状などの配列、これら配列を傾斜させたものなどを例示することができる。規則的な配列を傾斜させる、例えば、実装されるICチップのバンプの配列に対して、導電性粒子の規則的な配列が角度を持って圧着されるように、導電性粒子の規則的な配列を予め傾けるなどした場合には、導電性粒子の捕捉性などを向上させやすくなるなどの利点がある。
本ACFでは、多数の導電性粒子は、ほぼ同一平面(高分子膜の膜面とほぼ平行な面)内に存在すると良い。この場合には、膜厚方向に複数の導電性粒子が積み重ならない。そのため、膜厚方向の導通に、導電性粒子同士の接触抵抗が関与せず、導通性能を向上させやすくなるからである。また、圧着時に積み重なった導電性粒子が導体間から弾き出され、絶縁性を悪化させる心配も少なくなるからである。
本ACFにおいて、高分子膜は、上記多数の導電性粒子を保持している。高分子膜は、当該膜と導電性粒子との間に隙間を有した状態で、導電性粒子を保持していても良いし、当該膜と導電性粒子とが密着した状態で、導電性粒子を保持していても良い。
本ACFの製造時などに、導電性粒子が脱落し難く、ハンドリング性に優れるなどの観点から、当該膜と導電性粒子とは密着していると良い。より好ましくは、上記効果に優れるなどの観点から、当該膜と導電性粒子とは融着していると良い。
上記高分子膜は、当該膜の両面に導電性粒子の一部を露出させた状態で、導電性粒子を保持していても良いし、当該膜の何れか一方面に導電性粒子の一部を露出させた状態で、導電性粒子を保持していても良い。
導電性粒子が露出されている場合には、露出面側に配置される被接続物の導体と接触しやすくなる。そのため、導通性を確保しやすくなる。
好ましくは、上記効果に優れるなどの観点から、上記高分子膜は、当該膜の少なくとも一方面から、導電性粒子の一部を突出させた状態で導電性粒子を保持していると良い。
また、上記高分子膜が、接着層形成面と反対側の膜面に、導電性粒子の一部を露出させずに、導電性粒子を保持している場合には、本ACFの製造時に、導電性粒子が脱落し難くなるため、ハンドリング性に優れる。
なお、上記高分子膜は、当該膜の両面に導電性粒子を露出させない状態で、導電性粒子を保持していても構わない。
ここで、上記高分子膜は、接着性を有している。上記高分子膜を構成する材料としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。
より具体的には、例えば、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
なお、これら材料中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
上記高分子膜を構成する材料としては、好ましくは、圧着時の加熱により硬化し、強固な機械的接続が得られる、圧着後、導電性粒子の圧縮状態を保持しやすい(導電性粒子の反発力による影響を受け難い)などの観点から、熱硬化性樹脂を主に含んでいると良い。熱硬化性樹脂のうち、好ましくは、ITO等の電極と高分子膜との密着性が良好であるなどの観点から、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂などである。
上記高分子膜の膜厚は、導電性粒子の粒径、膜強度、製造性などを考慮して決定することができる。
具体的には、例えば、上記高分子膜の膜厚の上限は、好ましくは、上記導電性粒子の粒径の3/2倍以下、より好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1倍以下、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の2/3倍以下、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下、最も好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/2倍未満であると良い。
一方、上記高分子膜の膜厚の下限は、高分子膜の膜強度、ハンドリング性などの観点から、好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/10倍以上、より好ましくは、上記導電性粒子の粒径の3/20倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/5倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/4倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/3倍以上であると良い。
高分子膜の膜厚が上記範囲内にある場合には、被接続物が有する導体(ICチップのバンプなど)が導電性粒子を押し潰す際に、高分子膜がそれを阻害し難い。そのため、導体間に導電性粒子が捕捉されやすくなり、膜厚方向の導通性能を向上させやすくなるからである。
とりわけ、上記高分子膜の膜厚の上限が、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下である場合には、次の利点がある。すなわち、例えば、基板表面の回路パターン上に本ACFを介してICチップを実装する場合、通常、加熱・加圧ヘッドが用いられる。
上記加熱・加圧ヘッドによる実装時に、ICチップは、熱膨張したままの状態で、本ACFを介して基板に接着される。そして、上記実装後に、加熱・加圧ヘッドが開放されると、放冷によりICチップ、異方性導電膜が熱収縮する。そのため、加熱温度が比較的高く、熱収縮量が大きくなると、上記実装後に基板に反り(ICチップ側が凹の反り)が発生することがある。基板に反りが生じると、例えば、液晶表示装置に画像ムラが発生するなどの不具合に繋がる。
上記反りを抑制するため、実装時の加熱温度を低くすることが有効であるが、実装時の加熱温度を比較的低くすると、本ACFの接着性が低下する。さらに、導電性粒子を保持する高分子膜が軟化し難くなるので、導電性粒子が十分に圧縮変形し難くなる(潰れ難くなる)。その結果、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキが大きくなり、その値も大きくなってしまう。
ところが、上記高分子膜の膜厚が、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下である場合には、高分子膜による導電性粒子の拘束が少ないため、180℃程度の比較的低温で実装しても、導電性粒子が十分に押し潰される。そのため、この場合には、上記反りの発生を抑制しつつ、さらに、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキを小さくすることができ、また、その値も小さくすることができる。
(接着層)
本ACFは、上記高分子膜の片面に接着層が積層されている。強固な機械的接続を得るなどの観点から、接着層は1層あった方が良いからである。
上記接着層を構成する材料としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。より具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
なお、これら材料中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
上記接着層を構成する材料としては、好ましくは、被接続物との密着性に優れるなどの観点から、熱硬化性樹脂を主に含んでいると良い。熱硬化性樹脂のうち、好ましくは、ICチップ等との密着性などの観点から、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂などである。
なお、高分子膜と接着層とは、同種の樹脂および/またはゴムを含んでいると良い。高分子膜と接着層との密着性が向上し、高分子膜と接着層との間に剥離が発生し難くなるからである。具体的には、例えば、高分子膜がポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂などを含んでいる場合には、接着層は、例えば、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂などを含んでいると良いということになる。
また、熱硬化性樹脂を用いる場合、当該熱硬化性樹脂は、半硬化されてプリプレグとされていても良い。この場合には、例えば、被接続物が有する複数の導体間の隙間に接着層が流動排除されやすくなる。また、被接続物との密着性も高まる。
上記接着層の厚みは、接着層と接着する被接続物が有する導体(ICチップのバンプなど)の高さ、被接続物同士(ICチップと配線基板など)の間に生じる隙間量などを考慮して決定することができる。
上記接着層の厚みの上限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの3倍以下、より好ましくは、2倍以下、さらにより好ましくは、1.75倍以下であると良い。
上記接着層の厚みの下限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの1倍以上、より好ましくは、1.2倍以上、さらにより好ましくは、1.3倍以上であると良い。
(最低溶融粘度)
ここで、本ACFにおいて、接着層を構成する材料の最低溶融粘度は、2×10〜5×10Pa・sの範囲内にある。
接着層を構成する材料として、例えば、熱硬化性樹脂を含んでいる場合(熱硬化性樹脂だけでなく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混合されている場合も含まれる。)、上記最低溶融粘度は、未硬化状態における最低溶融粘度の値のことである。なお、この場合、最低溶融粘度は、完全に熱硬化する前の温度範囲内に存在する。
上記最低溶融粘度は、次のようにして求めることができる。すなわち、先ず、接着層を構成する材料より試料(直径20mm、厚み400μm、未硬化物)を作製する。
次いで、応力制御型レオメータ(例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR500」などが上市されている。ペルチェ素子により温度制御可能。)に、上記試料をセットし、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、歪み0.05%の条件にて、20℃から180℃までにおける温度と溶融粘度との関係(硬化挙動)を測定する。
次いで、得られた温度と溶融粘度との関係から、溶融粘度の最低値を求めることができる。
上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、2×10Pa・s未満になると、仮圧着時における接着層の流れが大きくなり、本圧着時に接着層の量が不足して被接続物との密着性が低下し、導通信頼性が低下しやすくなる傾向が見られる。
上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度は、仮圧着時に、その熱(例えば、80〜120℃程度)や圧着力による接着層の流れを抑制しやすくなるなどの観点から、好ましくは、2.5×10Pa・s以上、より好ましくは、3×10Pa・s以上の範囲内にあると良い。
一方、上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、5×10Pa・sを越えると、かえって粘度が高くなり過ぎ、接着層が流動排除される際にその流動に引きずられて導電性粒子が流れたり、高分子膜が崩れたりしやすくなる傾向が見られる。
上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度は、本圧着(例えば、160〜210℃程度)後に導電性粒子の規則的な配列を維持しやすいなどの観点から、好ましくは、4×10Pa・s以下、より好ましくは、3×10Pa・s以下の範囲内にあると良い。
この際、接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、上記範囲になるように調整する方法は、特に限定されるものではない。例えば、樹脂成分、充填剤、硬化剤・硬化促進剤(熱硬化を要する場合)、改質剤などの種類や量などを可変させるなどすれば良い。
より具体的には、例えば、接着層を構成する材料として、エポキシ系樹脂を用いる場合、硬化剤として、低分子量の液状エポキシ樹脂に分散された潜在性硬化剤(マイクロカプセル化イミダゾール誘導体エポキシ化合物など)を使用することが多い。そのため、最低溶融粘度が低くなりがちである。
それ故、この潜在性硬化剤を減量する、さらに、上記潜在性硬化剤を減量し、例えば、シリカ、タルクなどの充填剤を1種または2種以上添加するなどすれば、最低溶融粘度を高めることが可能である。
上記潜在性硬化剤の割合は、樹脂成分100重量部に対し、好ましくは、5〜100重量部の範囲内、より好ましくは、10〜80重量部の範囲内であると良い。
上記充填剤の割合は、樹脂成分100重量部に対し、好ましくは、100重量部以下、より好ましくは、80重量部以下であると良い。
また、上記調整を行うと、硬化剤量の減量により、硬化速度が低下する。そのため、本圧着時の実装性などを考慮し、高速(例えば、160〜210℃の温度で10秒間程度)で硬化させるなどの観点から、多官能エポキシ系樹脂を1種または2種以上配合すると良い。
上記多官能エポキシ系樹脂としては、反応性に優れ、高速硬化に寄与しやすいなどの観点から、軟化点が80℃以上、かつ、一分子当たり官能基を好ましくは、3個以上、より好ましくは3.3個以上、さらに好ましくは4個以上有する多官能エポキシ系樹脂(以下、「特定の多官能エポキシ系樹脂」ということがある。)などを好適なものとして例示することができる。
樹脂成分中に占める特定の多官能エポキシ系樹脂の含有量は、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは、20重量%以上であると良い。なお、残りの成分は、特定の多官能エポキシ系樹脂以外のエポキシ系樹脂や他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などである。
上記多官能エポキシ系樹脂以外のエポキシ系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂、フェノールノボラック型エポキシ系樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ系樹脂、臭素化エポキシ系樹脂、グリシジルアミン型エポキシ系樹脂、ビスフェノールスルホン骨格エポキシ系樹脂、ビフェニル骨格エポキシ系樹脂、三官能エポキシ系樹脂、ナフタレン骨格エポキシ系樹脂などを例示することができる。好ましくは、仮圧着時の流れ抑制などの観点から、軟化点が80℃以上のものを選択すると良い。
本ACFにおいて、上述した高分子膜を構成する材料(導電性粒子は除く)の最低溶融粘度は、特に限定されるものではない。好ましくは、上記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、上記接着層を構成する材料の最低溶融粘度以上であると良い。なお、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度の求め方は、ほぼ上記と同様である。
上記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、高分子膜による保持力が高まり、本圧着時に導電性粒子が流れ難くなって、本圧着後に導電性粒子の規則的な配列をより維持しやすくなるなどの観点から、好ましくは、5×10Pa・s以上、より好ましくは、7×10Pa・s以上の範囲内にあると良い。
一方、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、仮圧着時における密着性を確保するなどの観点から、好ましくは、1×10Pa・s以下、より好ましくは、8×10Pa・s以下の範囲内にあると良い。
この際、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度が、上記範囲になるように調整する方法は、特に限定されるものではない。例えば、樹脂成分、充填剤、硬化剤・硬化促進剤(熱硬化を要する場合)、改質剤などの種類や量などを可変させるなどすれば良い。
2.本製造方法
以下、本ACFを製造するのに好適な製造方法として、第1の製造方法、第2の製造方法について例示する。もっとも、本ACFの製造方法は、これらに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は、粒子転写工程と、粒子保持工程と、接着層形成工程とを有している。
<粒子転写工程>
第1の製造方法において、粒子転写工程は、型の凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程である。
上記型は、製造する本ACFの導電性粒子の規則的な配列に対応した多数の凹部を有している。凹部は、導電性粒子を保持させることができれば、その形状、開口径などは特に限定されるものではない。また、凹部の深さは、良好な転写性を確保するなどの観点から、上記導電性粒子の平均粒径に対して95%以下であると良い。
上記型としては、具体的には、例えば、金型、樹脂型などを用いることができる。より具体的には、例えば、微細な凹部を形成する自由度が高いなどの観点から、電鋳型、光造形型などを好適に用いることができる。
とりわけ、上記型が光造形型である場合、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。
また、上記型が電鋳型である場合、例えば、光造形で元型を作製したときには、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、上記と同様に、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。また、例えば、エッチングにより作製したSi型などを元型に用いたときには、高精細な型を得やすくなる。さらに、電鋳型は耐熱性に優れている。そのため、転写時に加熱を伴う場合、型材が樹脂などである場合に比較して、型の耐熱温度をそれほど気にする必要がない。したがって、膜を形成する高分子の選択幅が広がるなどの利点もある。
上記電鋳型の材質は、特に限定されるものではない。通常、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、錫、金、銀、白金やパラジウム等の白金属、これらを1種以上含有する合金などを用いることができる。また、上記光造形型の材質は、特に限定されるものではない。通常、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹脂、オキセタン系樹脂などを用いることができる。
なお、電鋳型の元型は、例えば、フォトリソグラフィ法、光造形法、インクジェット法、レーザー加工などを利用して準備すれば良い。
また、上記型としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの各種樹脂やゴムなどの高分子よりなる長尺な高分子基材の表面に、製造する本ACFが有する導電性粒子の規則的な配列に対応させて多数の凹部が配列形成された連続型なども好適に使用しうる。
このような連続型を用いた場合には、高分子製の平坦な膜表面に導電性粒子を連続的に転写することができ、長尺な異方性導電膜の生産性に優れる。他にも、細かな転写位置の位置合わせが不要になるため、これによっても、生産性を向上させることができる。
上記導電性粒子は、上記型の凹部の深さ方向に積み重ならずに凹部に保持されているのが好ましい。換言すれば、ほぼ同一平面内に存在するように、導電性粒子が凹部内に保持されているのが好ましい。転写時に、積み重なった導電性粒子が崩れ落ちることがないからである。より好ましくは、導電性粒子を一つ一つ互いに離間させた状態で転写することができるなどの観点から、実質的に、凹部一つにつき、導電性粒子が一つずつ保持されていると良い。
上記型の凹部に導電性粒子を保持させる方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子自体またはその分散液を上記型の凹面上に散布した後、刷毛、ブラシ、ブレードなどの擦り切り手段により擦り切り、凹部内に導電性粒子を入れる方法、(2)導電性粒子自体またはその分散液を上記型の凹面上に散布した後、外部から磁力や振動を加え、凹部内に導電性粒子を入れる方法、(3)上記分散液中に上記型を浸漬する方法、(4)上記型の凹面と一定距離離間させて板状部材を配置し、形成された隙間に、上記分散液を導入し、型および/または板状部材をスライド移動させる方法、これらの組み合わせなどを例示することができる。
導電性粒子を凹部内に物理的に押し込むので、導電性粒子をより確実に保持させやすい、保持させるのに要する時間が比較的短いなどの観点から、好ましくは、(1)の方法を用いるのが良い。より好ましくは、乾式で行うことができるなどの観点から、(1)の方法において粉末状の導電性粒子自体を用いるのが良い。さらに好ましくは、導電性粒子が凹部内に導入されやすくなるなどの観点から、(1)の方法において、凹面と反対側から磁力により導電性粒子を型に引きつけつつ、擦り切り手段により擦り切ると良い。
上記のようにして、型の凹部に導電性粒子を保持させた後、この導電性粒子の保持面と高分子製の平坦な膜の表面とを接触させ、型から膜表面に導電性粒子を転写すれば良い。また、使用した型は分離することになる。
上記高分子製の平坦な膜は、上述した本ACFの高分子膜を構成する高分子材料を用いてほぼ平らに形成された膜である(以下、「平膜」ということがある。)。そのため、この第1の製造方法によれば、高分子製の多孔質膜をわざわざ用意する必要がなく、製造の簡単な平膜を用意すれば良い。そのため、本ACFの製造性に優れる。また、膜を形成する高分子の選択幅も広がる。
なお、上記平膜は、上記平膜を形成する高分子材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて基材上に塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記平膜を形成する高分子材料を平坦な膜状にプレス成形する方法などにより準備することができ、特に限定されるものではない。
上記転写時には、加熱および/または加圧を伴っていても良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。
上記転写時に加熱を行う場合、その加熱温度としては、平膜に使用する高分子の粘度(硬化するものは硬化前の状態)が、好ましくは、2×10Pa・s以下、より好ましくは、1.5×10Pa・s以下、さらにより好ましくは、1×10Pa・s以下となる温度を選択すると良い。平膜表面に導電性粒子が食い込みやすく、転写率が良くなるからである。
なお、上記粘度は、上記最低溶融粘度の測定と同様にして測定することができる。
また、上記転写時に加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。転写率、平膜の膜強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
なお、平膜が粘着性を有する材料よりなる場合には、特に加熱、加圧などを行わなくても転写可能である。
<粒子保持工程>
第1の製造方法において、粒子保持工程は、転写した導電性粒子を平膜内に埋め込んで保持させる工程である。この工程を経ることにより、高分子膜が得られる。
ここで、上記埋め込み方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子を加圧する方法、(2)平膜を加熱して軟化させ、導電性粒子の自重により導電性粒子を膜内に埋没させる方法、(3)転写面に高分子材料を被覆する方法などを例示することができる。これら方法は、互いに組み合わせて行っても良い。
導電性粒子を確実に膜に保持させやすいなどの観点から、(1)の方法が良い。より好ましくは、(1)の方法において、平膜を加熱しながら導電性粒子を加圧すると良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。なお、上記加圧は、導電性粒子の上に、離型性を有する基材などの介在物を任意に介して行うことができる。
上記加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。膜強度、型強度、膜厚、導電性粒子の強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
上記加熱を行う場合、その加熱温度は特に限定されることはない。加熱温度は、使用する高分子の種類、型の耐熱性などによっても異なるが、好ましくは、高分子のガラス転移温度+20℃〜+40℃程度の温度を選択すると良い。膜内に導電性粒子を埋め込みやすくなるからである。
導電性粒子は、膜内にその全てが埋め込まれていても良いし、膜表面のうち、少なくとも一方面にその一部が露出していても良い。
なお、上記導電性粒子の埋め込み程度は、加圧力、加圧時間、加熱温度、加熱時間などを適宜調節することで可変させることができる。
<接着層形成工程>
第1の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を保持した高分子膜の片面に接着層を形成する工程である。
この工程では、導電性粒子を保持した高分子膜の何れの面に接着層を積層しても良い。
上記接着層の形成方法としては、具体的には、例えば、上記接着層を構成する材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて、導電性粒子を保持する高分子膜の片面に塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記方法などにより予め作製しておいた膜状の接着層を、導電性粒子を保持する高分子膜の片面に貼り合わせる方法などを例示することができる。
以上の工程を経ることにより、本ACFを製造することができる。
(第2の製造方法)
第2の製造方法は、多孔質膜形成工程と、粒子充填工程と、接着層形成工程とを有している。
<多孔質膜形成工程>
第2の製造方法において、多孔質膜形成工程は、規則的に配列された多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程である。
ここで、上記多孔質膜の形成方法としては、多数の凸部を有する型を、高分子製の平坦な膜(平膜)表面に押しつける方法などを好適に用いることができる。
これにより、平膜表面に、上記型が有する凸部に対応した孔部を多数形成することができる。なお、上記押しつけにより形成する孔部は、平膜を貫通する貫通孔であっても良いし、平膜を貫通しない非貫通孔であっても良い。
上記型は、製造する本ACFの導電性粒子の規則的な配列に対応して規則的に配列された多数の凸部を有している。凸部は、導電性粒子を充填するための孔を形成することができれば、その形状、凸部高さなどは特に限定されるものではない。
上記型としては、具体的には、例えば、金型、樹脂型などを用いることができる。より具体的には、例えば、微細な凸部を形成する自由度が高いなどの観点から、電鋳型、光造形型などを好適に用いることができる。
なお、これらの型が好適な理由、電鋳型の材質、光造形型の材質、電鋳型の元型の準備、平膜の準備などは、上述した第1の製造方法における説明に準じる。
上記押しつけ時における加圧力は特に限定されることはない。高分子の種類、孔部の形成性、平膜強度、平膜の膜厚などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
また、上記押しつけ時に加熱を行う場合、その加熱温度は特に限定されることはない。加熱温度は、使用する高分子の種類、型の耐熱性などによっても異なるが、好ましくは、高分子のガラス転移温度+20℃〜+40℃程度の温度を選択すると良い。平膜に孔部を形成しやすくなるからである。
<粒子充填工程>
粒子充填工程は、上記多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程である。
この工程では、孔部深さ方向に導電性粒子が積み重ならないように、導電性粒子を充填するのが好ましい。換言すれば、ほぼ同一平面内に存在するように、導電性粒子を孔部内に充填するのが好ましい。より好ましくは、導電性粒子を一つ一つ互いに離間させた状態にするなどの観点から、実質的に、孔部一つにつき、導電性粒子が一つずつ充填されていると良い。
上記導電性粒子の充填方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子自体またはその分散液を上記多孔質膜の表面上に散布した後、刷毛、ブラシ、ブレードなどで擦り切り、孔部内に導電性粒子を入れる方法、(2)導電性粒子自体またはその分散液を上記多孔質膜の表面上に散布した後、外部から磁力や振動を加え、孔部内に導電性粒子を入れる方法、(3)上記分散液中に上記多孔質膜を浸漬する方法、(4)上記多孔質膜の表面と一定距離離間させて板状部材を配置し、形成された隙間に、上記分散液を導入し、多孔質膜および/または板状部材をスライド移動させる方法、これらの組み合わせなどを例示することができる。
導電性粒子を孔部内に物理的に押し込むので、導電性粒子をより確実に充填しやすい、充填させるのに要する時間が比較的短いなどの観点から、好ましくは、(1)の方法を用いるのが良い。より好ましくは、乾式で行うことができるなどの観点から、(1)の方法において粉末状の導電性粒子自体を用いるのが良い。さらに好ましくは、導電性粒子が孔部内に導入されやすくなるなどの観点から、(1)の方法において、導電性粒子を広げた面側と反対側から磁力により導電性粒子を多孔質膜に引きつけつつ、擦り切り手段により擦り切ると良い。なお、この場合には、導電性粒子としては、導電性とともに磁性を有しているものを用いれば良い。
<接着層形成工程>
第2の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程である。
この工程は、基本的に、上記第1の製造方法におけるそれに準ずるため、説明は省略する。以上の工程を経ることにより、本ACFを製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
1.実施例および参考例に係る異方性導電膜の作製
(実施例1)
多数の樹脂めっき粒子を保持する高分子膜を、以下の手順により準備した。
すなわち、アルコール可溶ポリアミド系樹脂23.39重量部と、フェノキシ系樹脂(東都化成(株)製、「EFR−0010M30」)25.16重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX289EK75」)4.9重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX305EK70」)2.67重量部と、メラミン系樹脂(三和ケミカル(株)製、「ニカラックMX−750」)1.37重量部と、硬化剤(四国化成(株)製、「C11Z」)0.38重量部と、硬化剤(三菱ガス化学(株)製、「F−TMA」)0.57重量部と、メタノール24.26重量部と、トルエン48.05重量部と、メチルセロソルブ69.2重量部とを混合し、高分子膜形成用溶液を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、上記高分子膜形成用溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を160℃で90秒間乾燥させ、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂よりなる平膜(厚み2μm)を形成した。その後、この平膜の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、リンテック(株)製、「PET5011」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持された、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
次いで、千鳥状に配列された多数の凹部(開口径5μm、凹深さ3.5μmの略円柱状、ピッチ=隣接する開口部の中心間の距離10μm)を有するNi電鋳型を準備した。
次いで、ジビニルベンゼン系架橋樹脂よりなる粒子の表面に、Niめっき層、Auめっき層が順に被覆された、平均粒径4μmの樹脂めっき粒子(積水化学工業(株)、「ミクロパールAU−204」)を、上記Ni電鋳型の凹面上に広げた。
次いで、凹面と反対側に設置した永久磁石((株)西興産業製、フェライト磁石、1000ガウス)にて、樹脂めっき粒子を型に引きつけつつ、刷毛にて表面を擦り切り、凹部内に樹脂めっき粒子を導入した。
なお、凹部が形成されていない型表面に付着していた樹脂めっき粒子や、凹部に導入された樹脂めっき粒子に静電気力などで付着していた樹脂めっき粒子は、表面の擦り切りや、微粘着テープ((株)きもと製、「ビューフルEP50」)を用いることで除去した。
これにより、凹部一つにつき一つずつ樹脂めっき粒子を保持させたNi電鋳型を準備した。
そして、一方の基材を剥離して露出させた平膜の表面と、Ni電鋳型の樹脂めっき粒子の保持面とを重ね合わせ、これを、温度120℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートし、室温まで冷却した後、当該型を取り除いた。
これにより、Ni電鋳型の凹部に保持させた多数の樹脂めっき粒子を、上記平膜表面に転写した。なお、転写後の平膜表面上には、多数の樹脂めっき粒子が、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
次いで、上記転写後の平膜表面に基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面を重ね、これを、温度140℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートした。
これにより、転写された樹脂めっき粒子を、その規則的な配列を維持したまま平膜内に埋め込んで当該膜に保持させた。なお、樹脂めっき粒子は、転写面から約2μm程度突出しており、かつ、転写面と反対側の面にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
以上により、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子を保持し、かつ、接着性を有する高分子膜を形成した。なお、この高分子膜は、離型性を有する基材間に挟持されている。
次に、得られた高分子膜の片面に、接着層を、以下の手順により積層した。
すなわち、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「JER1031S」、エポキシ基数4、軟化点92℃)90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム(日本ゼオン(株)製、「ニポール1072J」)10重量部と、潜在性硬化剤(旭化成ケミカルズ(株)製、「ノバキュアHXA3932HP」)76.6重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈し、接着層形成用溶液を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面に、上記接着層形成用溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を110℃で90秒間乾燥させ、接着層(厚み25μm)を形成した。その後、この接着層の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、リンテック(株)製、「PET5011」)の離型面を合わせて巻き取った。
以上により、離型性を有する基材間に挟持された接着層を準備した。
次に、片側の基材を剥離して露出させた接着層表面と、同じく片側の基材を剥離して露出させた高分子膜表面(転写面側)とを重ね合わせ、これを貼り合わせた。
上記の通りにして、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)を保持し、かつ、接着性を有する高分子膜(厚み2μm)と、この高分子膜の片面に積層された接着層(厚み25μm)とを有する、実施例1に異方性導電膜(厚み27μm)を作製した。
(実施例2)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤76.6重量部と、真球シリカ((株)龍森、シリカフィラーAC−5V)17.7重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例2に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例3)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤76.6重量部と、真球シリカ((株)龍森、シリカフィラーAC−5V)35.4重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例3に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例4)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール(四国化成工業(株)、「キュアゾール2E4MZ−CN」)4.5重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例4に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例5)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ15.5重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例5に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例6)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ31.1重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例6に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例7)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂(大日本インキ工業(株)、「エピクロンHP7200HH」、エポキシ基数3.3、軟化点85℃)90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ31.1重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例7に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例8)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂22.5重量部と、シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂67.5重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ31.1重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例8に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例9)
1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂45重量部と、シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂45重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ31.1重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例9に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例10)
マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1μmの平膜を形成した点、実施例8にて調製した接着層形成用溶液を用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例10に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約3μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
(実施例11)
マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1.5μmの平膜を形成した点、実施例8にて調製した接着層形成用溶液を用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例11に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
(実施例12)
マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み2μmの平膜を形成した点、実施例8にて調製した接着層形成用溶液を用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例12に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
(実施例13)
マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み3.5μmの平膜を形成した点、実施例8にて調製した接着層形成用溶液を用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例11に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約0.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
(実施例14)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、「JER806」)24重量部と、フェノキシ系樹脂<1>(Inchem社製、「PKHC」)30重量部と、潜在性硬化剤38重量部とを、固形分量が51.5%となるようにトルエン/酢酸エチル(=50/50重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点、マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1.5μmの平膜を形成した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例14に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例15)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂24重量部と、フェノキシ系樹脂<1>30重量部と、潜在性硬化剤38重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール2.5重量部とを、固形分量が51.5%となるようにトルエン/酢酸エチル(=50/50重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点、マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1.5μmの平膜を形成した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例15に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例16)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂24重量部と、フェノキシ系樹脂<2>(東都化成(株)製、「YP−50SC」)30重量部と、潜在性硬化剤38重量部とを、固形分量が51.5%となるようにトルエン/酢酸エチル(=50/50重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点、マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1.5μmの平膜を形成した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例16に係る異方性導電膜を作製した。
(実施例17)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂26重量部と、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂24重量部と、フェノキシ系樹脂<2>30重量部と、潜在性硬化剤38重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール2.5重量部とを、固形分量が51.5%となるようにトルエン/酢酸エチル(=50/50重量比)にて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点、塗工層を100℃で乾燥した点、マイクログラビアコーターを用い、基材の離型面に、高分子膜形成用溶液を塗工し、厚み1.5μmの平膜を形成した点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、実施例17に係る異方性導電膜を作製した。
(参考例1)
シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂90重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤183.89重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈して接着層形成用溶液を調製し、これを代わりに用いた点以外は、実施例1に係る異方性導電膜と同様にして、参考例1に係る異方性導電膜を作製した。
2.評価
2.1 最低溶融粘度
各異方性導電膜の接着層を構成する材料、および、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度を、以下の手順により求めた。
すなわち、先ず、各異方性導電膜の接着層を構成する材料より各試料(直径20mm、厚み400μm、未硬化物)を作製した。なお、上記各試料は、厚み25μmの各接着層を16回貼り合わせることにより厚み400μmとした。
次いで、応力制御型レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR500」、ペルチェ素子により温度制御)に、上記各試料をセットし、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、歪み0.05%の条件にて、20℃から160℃までにおける温度と溶融粘度との関係を測定した。
そして、得られた温度と溶融粘度との関係から、最低溶融粘度とそのときの温度を求めた。
次に、各異方性導電膜の高分子膜を構成する材料(樹脂めっき粒子を含まない高分子材料、ここでは何れも同一)より試料(直径25mm、厚み400μm、未硬化物)を作製した。なお、上記試料は、上記材料より形成した厚み2μmの層を200回貼り合わせることにより厚み400μmとした。
次いで、応力制御型レオメータ(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR1000」、熱風雰囲気による温度制御)に、上記試料をセットし、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、歪み0.05%の条件にて、50℃から180℃までにおける温度と溶融粘度との関係を測定した。
そして、得られた温度と溶融粘度との関係から、最低溶融粘度とそのときの温度を求めた。その結果、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、9.98×10(Pa・s)、最低溶融粘度を示すときの温度は、143.9℃であった。
2.2 接着層の流れ量
厚み0.7mmのガラス基板表面に回路パターン(材質ITO、パターンピッチ30μm、パターン幅20μm)が形成された配線基板を準備した。
次いで、圧着装置の基台(温度30℃)上に上記配線基板を載置した。次いで、接着層側の基材を剥離した各異方性導電膜(3mm×17mmの大きさ)を、上記各配線基板の回路パターン上に、接着層側を配線基板側にして配置した。
次いで、熱圧着ヘッド(温度90℃)を用い、接着層上の基材を介して、異方性導電膜を加圧(加圧力1MPa、加圧時間5秒)し、配線基板上に異方性導電膜を仮圧着した。
その後、上記仮圧着時に、接着層上にある基材の端部から流れ出た接着層材料の縁部までの距離をマイクロスコープにて測定し、これを接着層の流れ量(μm)とした。
2.3 膜厚方向の初期電気抵抗
Auバンプを有するICチップ(バンプ面積20μm×100μm、バンプピッチ30μm、バンプ高さ15μm)を準備した。
次いで、上記仮圧着後、各接着層上の基材を剥離するとともに、基台温度を80℃とし、各異方性導電膜上に、各配線基板の回路パターンとICチップのAuバンプとが相対峙するように載置した。
次いで、熱圧着ヘッド(実施例1〜9、参考例は、温度210℃、実施例10〜17は、温度180℃)を用いて、上記ICチップの上部を加圧(加圧力80MPa、加圧時間10秒)して本圧着した。
次いで、得られた本圧着後の各圧着体を用いて、膜厚方向の初期電気抵抗を測定した。
すなわち、得られた各圧着体につき、相対峙する回路パターン−Auバンプ間の初期電気抵抗を、抵抗率計(ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタGP」)を用い、4端子4探針法により測定した。なお、各圧着体のサンプル数は、それぞれN=10[個]であり、算術平均による平均値を算出し、これを膜厚方向の初期電気抵抗とした。なお、実施例10〜13については、膜厚方向の初期電気抵抗バラツキも併せて求めた。
3.結果
表1および表2に、実施例および参考例に係る異方性導電膜の接着層配合と評価結果をまとめて示す。また、図2および図3に、各接着層構成材料、高分子膜構成材料について測定した温度と溶融粘度との関係を示す。
表1および表2、図2および図3から次のことが分かる。すなわち、参考例に係る異方性導電膜は、接着層を構成する材料の最低溶融粘度が2×10Pa・s未満であり、本発明で規定される最低溶融粘度の下限値を下回っている。
そのため、仮圧着時の熱により、接着層が大きく流れてしまった。その結果、ICチップのバンプ間における接着層材料の充填が不十分となってICチップの密着性が低下し、膜厚方向の電気抵抗が高くなった。
これに対し、実施例に係る異方性導電膜は、何れも、接着層を構成する材料の最低溶融粘度が、本発明で規定される範囲内にある。
そのため、参考例に係る異方性導電膜に比較して、仮圧着時における接着層の流れを抑制できており、導通信頼性を向上させることができた。
これは、本圧着時に、接着層不足によるICチップとの密着力低下を抑制できたこと、本圧着時に、接着層の流動に引きずられて導電性粒子が流れたり、高分子膜が崩れたりし難く、本圧着後に導電性粒子の規則的な配列を維持しやすかったためであると推察される。また、高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度が、接着層を構成する材料の最低溶融粘度以上であったことも、上記導通信頼性の向上に寄与したものと推察される。
また、実施例に係る異方性導電膜同士を比較すると、接着層について次のことが分かる。
すなわち、実施例1〜3を比較した場合、充填剤を配合することにより、仮圧着時の接着層の流れ量を抑制することができることが分かる。また、その配合量を調節することによっても、接着層の流れ量を調節することができることが分かる。
次に、実施例5と実施例6に示されるように、充填剤を配合することで、接着層の流れ量を抑制することができることが分かる。
次に、実施例6と実施例7とを比較した場合、特定の多官能エポキシ系樹脂を用いた実施例6は、特定の多官能エポキシ系樹脂を用いていない実施例7に比較して、接着層の流れを抑制しやすい傾向があることが分かる。また、実施例7〜実施例8を比較した場合、特定の多官能エポキシ系樹脂を増量することで、接着性の流れを抑制しやすくなることが分かる。
次に、実施例10〜実施例13を比較した場合、高分子膜の膜厚が、樹脂めっき粒子の粒径の1/2倍以下であるとき(実施例10〜12)、とりわけ、高分子膜の膜厚が、樹脂めっき粒子の粒径の1/2倍未満であるとき(実施例10〜11)には、180℃程度の比較的低温でICチップを実装しても、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキを小さくすることができ、また、その値も小さくすることができることが分かる。
次に、図4、図5は、ガラス基板上に実施例8、16に係る各異方性導電膜を介してICチップを実装(本圧着)した後、ガラス基板側から観察した外観の一部を示した光学顕微鏡写真である。
実施例16に係る異方性導電膜は、実施例8に係る異方性導電膜に比較して、高分子膜および接着層中により多くの同種の樹脂(フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂)を含んでいる。そのため、高分子膜と接着層との相溶性が一層高くなって密着性が向上し(写真中、主に明度の高い部分が良好に密着している部分)、両者の間に剥離が発生し難いことが分かる。
以上、本発明の一実施形態、一実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本実施形態に係る異方性導電膜の模式的な断面図の一例である。 実施例において実測した、各接着層構成材料、高分子膜構成材料(樹脂めっき粒子除く)の温度と溶融粘度との関係を示した図である。 実施例において実測した、各接着層構成材料、高分子膜構成材料(樹脂めっき粒子除く)の温度と溶融粘度との関係を示した図である。 ガラス基板上に実施例8に係る異方性導電膜を介してICチップを実装(本圧着)した後、ガラス基板側から観察した外観の一部を示した光学顕微鏡写真である。 ガラス基板上に実施例16に係る異方性導電膜を介してICチップを実装(本圧着)した後、ガラス基板側から観察した外観の一部を示した光学顕微鏡写真である。
符号の説明
10 ACF
12 導電性粒子
14 高分子膜
16 接着層

Claims (11)

  1. 互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子を保持し、かつ、接着性を有する高分子膜と、
    前記高分子膜の片面に積層された接着層とを備え、
    前記接着層を構成する材料の最低溶融粘度は、2×10〜5×10Pa・sの範囲内にあることを特徴とする異方性導電膜。
  2. 前記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、前記接着層を構成する材料の最低溶融粘度以上であることを特徴とする請求項1に記載の異方性導電膜。
  3. 前記高分子膜を構成する材料の最低溶融粘度は、5×10〜1×10Pa・sの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性導電膜。
  4. 前記接着層は、エポキシ系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の異方性導電膜。
  5. 前記接着層は、軟化点が80℃以上、かつ、一分子当たり官能基を3個以上有する多官能エポキシ系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の異方性導電膜。
  6. 前記高分子膜は、ポリアミド系樹脂、フェノキシ系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の異方性導電膜。
  7. 前記接着層は、フェノキシ系樹脂を含むことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の異方性導電膜。
  8. 前記高分子膜および前記接着層は、同種の樹脂および/またはゴムを含むことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の異方性導電膜。
  9. 前記導電性粒子は、ほぼ同一平面内に存在することを特徴とする請求項1から8の何れかに記載の異方性導電膜。
  10. 前記高分子膜の膜厚は、前記導電性粒子の粒径の1/10〜3/2倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の異方性導電膜。
  11. 前記導電性粒子間の間隔は、1〜30μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の異方性導電膜。
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