JP2009076431A - 異方性導電膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導通性能を向上させることが可能な異方性導電膜、また、その製造方法を提供すること。
【解決手段】互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子と、多数の導電性粒子を保持する高分子膜と、高分子膜の片面に形成された接着層とを有し、接着層形成面と反対側の高分子膜表面は、接着性を有している異方性導電膜とする。高分子膜は、接着性高分子より形成されていると良い。
【選択図】図1
【解決手段】互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子と、多数の導電性粒子を保持する高分子膜と、高分子膜の片面に形成された接着層とを有し、接着層形成面と反対側の高分子膜表面は、接着性を有している異方性導電膜とする。高分子膜は、接着性高分子より形成されていると良い。
【選択図】図1
Description
本発明は、異方性導電膜およびその製造方法に関するものである。
近年、電子機器の高機能化、小型化などに伴い、狭ピッチに配列された導体を有する部材間を電気的および機械的に接続する必要性が増大している。このような必要性が生ずる場合としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display:LCD)の分野において、駆動ICチップを搭載したTAB(Tape Automated Bonding)の電極と液晶パネルの電極とを接続する場合や、液晶パネルの電極上に裸の駆動ICチップ(ベアーチップ)を直接接続する(Chip On Glass:COG)場合などが挙げられる。
上記接続においては、一般に、膜厚方向に導電性を示し、かつ、膜面方向に絶縁性を示す異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film:ACF)が使用されることが多い。
上記異方性導電膜としては、例えば、本件出願人による特許文献1には、高湿度雰囲気下で高分子溶液表面に水滴を結露させ、これを鋳型として、多孔質膜を形成した後、孔部内に導電性粒子を充填し、この膜の両面を接着層で被覆した3層構造の異方性導電膜が開示されている。
また、特許文献2には、磁性媒体に、帯状の磁気記録領域を形成した後、この磁気記録領域に導電性粒子を捕捉し、絶縁性接着剤を塗布して導電性粒子を固定した後、さらに絶縁性接着剤を塗布することにより、異方性導電膜を製造する方法が開示されている。
そしてこの製法を用いて、実際に、導電性粒子で構成された帯(帯長さ方向に導電性粒子が連続しており、帯幅は3〜4個分の導電性粒子で構成されている)を有する異方性導電膜を作製した点が記載されている。
しかしながら、従来の3層構造の異方性導電膜は、以下の点で改良すべき点があることが判明した。
すなわち、例えば、ICチップと回路パターンとの間に、3層構造の異方性導電膜を介在させ、これらを熱圧着すると、ICチップの電極であるバンプと回路パターンとの間にある接着層が流動排除される。また、両者の間に導電性粒子が挟持される。そしてこの状態を保ったまま、ICチップと回路パターンとが接着されることにより、ICチップと回路パターンとが、電気的および機械的に接続される。
ところが、本発明者らのこれまでの研究成果によれば、圧着条件などにもよるが、圧着後、接続すべき導体間に捕捉される導電性粒子数が少なくなる場合があることが判明した。
これは、接着層の流動に伴い、多孔質膜が崩れ、当該膜から導電性粒子が流出してしまうためであると考えられる。この種の現象は、回路パターン側など、接着層が流動排除されるスペースが少ない側で生じやすい。
そのため、せっかく導電性粒子を規則的に配列した異方性導電膜を作製しても、圧着時に導電性粒子の規則性が乱れてしまい、これ以上、導通性能を向上させることが困難であった。
なお、上記特許文献2の製法では、そもそも個々の導電性粒子を互いに離間させて規則的に配列すること自体が極めて難しく、後述する本発明の異方性導電膜を得るのは困難である。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、導通性能を向上させることが可能な異方性導電膜、また、その製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子と、上記多数の導電性粒子を保持する高分子膜と、上記高分子膜の片面に形成された接着層とを有し、上記接着層形成面と反対側の上記高分子膜表面は、接着性を有していることを要旨とする。
ここで、上記導電性粒子は、ほぼ同一平面内に存在すると良い。
また、上記高分子膜の膜厚は、上記導電性粒子の粒径の1/10倍〜3/2倍の範囲内にあると良い。
また、上記高分子膜は、接着性高分子より形成されていると良い。
また、上記導電性粒子は、高分子膜に融着されていると良い。
また、上記導電性粒子間の間隔は、1〜30μmの範囲内にあると良い。
一方、本発明に係る異方性導電膜の製造方法は、上記異方性導電膜を製造するのに好適な方法である。
すなわち、本発明に係る異方性導電膜の製造方法は、規則的に配列された多数の凹部を有する型の上記凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程と、上記転写した導電性粒子を、上記膜内に埋め込んで保持させる工程と、上記導電性粒子を保持した膜の片面に接着層を形成する工程とを有することを要旨とする。
この際、上記型は、電鋳型または光造形型であると良い。
本発明に係る他の異方性導電膜の製造方法も、上記異方性導電膜を製造するのに好適な方法である。
すなわち、本発明に係る他の異方性導電膜の製造方法は、規則的に配列された多数の凸部を有する型を、高分子製の平坦な膜表面に押しつけることにより、多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程と、上記多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程と、上記導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程とを有することを要旨とする。
この際、上記型は、電鋳型または光造形型であると良い。
本発明に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子と、これを保持する高分子膜と、高分子膜の片面に形成された接着層とを有し、接着層形成面と反対側の高分子膜表面は、接着性を有している。
そのため、導電性粒子の当初の規則的な配列をほぼ維持したまま圧着することが可能となり、従来よりも導通性能を向上させることができる。
この理由としては、上記2層構造を採用したことで、圧着時に、接着層の流動に伴う高分子膜の崩れ、これに起因する導電性粒子の流出を抑制することができ、より多くの導電性粒子を、当初の規則的な配列をほぼ維持したまま被接続物の導体間に捕捉することが可能なこと、高分子膜が有する接着性と接着層とにより、多くの導電性粒子を挟持した状態のまま、被接続物間を機械的に接続することが可能なことなどが考えられる。
また、上記異方性導電膜は、片面に接着層を有しているので、例えば、ICチップのバンプなど、比較的高い突起状導体を有する被接続物との間でも、良好な電気的および機械的接続を図ることができる。
ここで、高分子膜に保持されている多数の導電性粒子が、ほぼ同一平面内に存在している場合には、積み重なった導電性粒子同士の接触によらずに、膜厚方向の導通を確保することができる。そのため、導電性粒子同士の接触抵抗がなくなり、その分、導通性能の向上に寄与する。また、圧着時に積み重なった導電性粒子が導体間から弾き出され、絶縁性を悪化させる心配も無くなる。
また、高分子膜の膜厚が、導電性粒子の粒径の1/10倍〜3/2倍の範囲内にある場合には、被接続物が有する導体が導電性粒子を押し潰す際に、高分子膜がそれを阻害し難い。そのため、導体間に導電性粒子が捕捉されやすくなり、膜厚方向の導通性能も向上させやすくなる。
また、上記高分子膜が接着性高分子より形成されている場合には、高分子膜自体が接着性を有するので、高分子膜の表面に別途接着性を付与する必要もない。そのため、その分製造工程が簡易になるなど、異方性導電膜の製造性を向上させやすい。
また、上記導電性粒子が高分子膜に融着されている場合には、導電性粒子と高分子膜との密着性が高まる。そのため、異方性導電膜の製造時に、導電性粒子が脱落し難くなり、ハンドリング性に優れる。
また、導電性粒子間の間隔が1〜30μmの範囲内にある場合には、膜面方向の絶縁性を確保しやすい。
一方、本発明に係る異方性導電膜の製造方法は、規則的に配列された多数の凹部を有する型の凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程と、転写した導電性粒子を膜内に埋め込んで保持させる工程と、導電性粒子を保持した膜の片面に接着層を形成する工程とを有する。そのため、上記作用効果を奏する異方性導電膜を得やすい。
また、従来のように、水滴を利用して多孔質膜の孔部を形成した場合、その原理上、孔部間隔の調節が難しく、孔部間隔が狭くなる傾向があった。そのため、場合によっては、圧着時に、各孔部内に充填した導電性粒子同士が接触し、膜面方向の絶縁性が低下することがあった。
これに対し、上記製造方法では、凹部の規則的な配列を任意に設定することにより、導電性粒子の規則性や導電性粒子間の距離などを任意に設定することができる。そのため、膜面方向の絶縁信頼性に優れた異方性導電膜を得やすくなる。
この際、上記型が、電鋳型または光造形型である場合には、微細な凹部を形成する自由度が高くなる。そのため、上記効果を得やすくなる。
とりわけ、上記型が光造形型である場合、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。
また、上記型が電鋳型である場合、例えば、光造形で元型を作製したときには、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、上記と同様に、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。また、例えば、エッチングにより作製したSi型などを元型に用いたときには、高精細な型を得やすくなる。さらに、電鋳型は耐熱性に優れている。そのため、転写時に加熱を伴う場合、型材が樹脂などである場合に比較して、型の耐熱温度をそれほど気にする必要がない。したがって、膜を形成する高分子の選択幅が広がるなどの利点がある。
また、本発明に係る他の異方性導電膜の製造方法は、規則的に配列された多数の凸部を有する型を、高分子製の平坦な膜表面に押しつけることにより、多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程と、多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程と、導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程とを有する。そのため、上記作用効果を奏する異方性導電膜を得やすい。
また、従来のように、水滴を利用して多孔質膜を形成した場合、精度の高い湿度制御が必要となるし、安定した多孔質膜の形成も比較的難しかった。
これに対し、上記製造方法では、高分子製の平坦な膜と凸部を有する型とを利用し、多孔質膜を形成する。つまり、この製造方法では、孔部形成に湿度が直接関与しない。そのため、水滴を利用して多孔質膜を形成する場合に比較して、湿度の影響を受け難く、安定して多孔質膜を形成することができる。これにより、異方性導電膜の生産性を向上させやすい。
また、水滴を利用して多孔質膜を形成する方法では作製の難しい、熱硬化性樹脂製の多孔質膜を形成できるなど、膜を形成する高分子の選択幅が広がるなどの利点がある。
さらに、上述したもう一つの製造方法と同様に、凸部の規則的な配列を任意に設定することにより、導電性粒子の規則性や導電性粒子間の距離などを任意に設定することができる。そのため、膜面方向の絶縁信頼性に優れた異方性導電膜を得やすくなる。
この際、上記型が、電鋳型または光造形型である場合には、微細な凸部を形成する自由度が高くなる。そのため、上記効果を得やすくなる。
以下、本実施形態に係る異方性導電膜(以下、「本ACF」ということがある。)本実施形態に係る異方性導電膜の製造方法(以下、「本製造方法」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本ACF
図1に、本ACFの模式的な断面図の一例を示す。本ACF10は、導電性粒子12と、高分子膜14と、接着層16とを有している。
図1に、本ACFの模式的な断面図の一例を示す。本ACF10は、導電性粒子12と、高分子膜14と、接着層16とを有している。
本ACF10は、高分子膜14と接着層16との2層構造であり、高分子膜14自体が有する接着性と接着層16とにより、被接続物間を接着することができる。
(導電性粒子)
本ACFは、導電性粒子を多数有している。導電性粒子の形態としては、具体的には、例えば、略球状(断面が略楕円形状のものも含む)、略柱状、紡錘状、針状などを例示することができる。好ましくは、規則的に配列させやすい、膜面方向の絶縁信頼性に優れる、均等に圧縮されやすいなどの観点から、導電性粒子の形態は、略球状であると良い。
本ACFは、導電性粒子を多数有している。導電性粒子の形態としては、具体的には、例えば、略球状(断面が略楕円形状のものも含む)、略柱状、紡錘状、針状などを例示することができる。好ましくは、規則的に配列させやすい、膜面方向の絶縁信頼性に優れる、均等に圧縮されやすいなどの観点から、導電性粒子の形態は、略球状であると良い。
上記導電性粒子は、本ACFの使用時に、膜厚方向を電気的に接続可能な導電性を備えておれば良い。
上記導電性粒子としては、具体的には、例えば、その表面から中心部まで導電性物質で満たされている粒子、高分子粒子の表面に1層または2層以上の導電性層が被覆されている粒子などを例示することができる。
好ましくは、後者の粒子を用いると良い。加圧により粒子が弾性変形しやすいため、本ACFの使用時に、被接続物が有する導体との接触面積が大きくなり、膜厚方向の導通性を確保しやすくなるからである。
より具体的には、例えば、前者の粒子の例として、金属粒子、カーボン粒子などを、後者の粒子の例として、樹脂粒子の表面に1層または2層以上の金属めっき層(電解めっき、無電解めっきなど)やスパッタ層などを有する粒子などを例示することができる。
上記導電性物質、導電性層に適用可能な金属としては、具体的には、例えば、金、銀、白金属(白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミニウム、イリジウム)、ニッケル、銅、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウムなどの金属、錫−鉛合金、錫−銅合金、錫−銀合金、錫−鉛−銀合金などの2種以上の金属で構成される合金などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
上記高分子粒子に適用可能な高分子としては、具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリアルキレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、(メタ)アクリル酸エステル重合体、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体やジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン系重合体などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。なお、上記(メタ)アクリル酸エステルは、必要に応じて架橋されていても良い。
好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル重合体、ジビニルベンゼン重合体、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体やジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のジビニルベンゼン系重合体などである。
さらに、本ACFでは、上記導電性粒子の表面に、TiO2などの絶縁性の酸化物や上記高分子などによる絶縁層が1層または2層以上被覆された粒子を用いても良い。もっとも、上記絶縁層は、本ACFの圧着時に、少なくとも電極などの導体に接した部分が破壊されて導通可能になる厚さとされている必要がある。このような粒子を用いた場合には、電極などの導体に接しない部分は絶縁層が破壊し難いため、膜面方向の絶縁性を向上させやすい。
なお、本ACFは、上記した導電性粒子を1種または2種以上含んでいても良い。
上記導電性粒子の粒径の上限は、膜面方向の絶縁信頼性を向上させるなどの観点から、被接続物が有する複数の導体(例えば、ICチップのバンプ、プリント配線板の回路パターンなど)の間隔のうち、最も狭いものよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、最も狭いものの1/2以下であると良い。
上記導電性粒子の粒径の上限は、具体的には、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、7μm以下、さらにより好ましくは、5μm以下などである。
一方、上記導電性粒子の粒径の下限は、本ACFの製造時に導電性粒子が凝集し難く、取扱い性が良好であるなどの観点から、具体的には、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらにより好ましくは、3μm以上などである。
なお、上記導電性粒子の粒径は、粒度分布測定装置(例えば、セイシン企業製、「PITA−1」など)にて測定した平均粒径である。
本ACFにおいて、多数の導電性粒子は、互いに離間されて配列されている。つまり、各導電性粒子は、ほぼ1つ1つ別れて存在しているのが好ましい。
導電性粒子同士の間隔の上限は、膜厚方向の導通信頼性を向上させるなどの観点から、被接続物が有する複数の導体の幅のうち、最も狭いものよりも小さいことが好ましい。より好ましくは、最も狭いものの1/2以下であると良い。
導電性粒子同士の間隔の上限は、具体的には、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、20μm以下、さらにより好ましくは、10μm以下などである。
一方、導電性粒子同士の間隔の下限は、膜面方向の絶縁信頼性を向上させるなどの観点から、具体的には、好ましくは、1μm以上、より好ましくは、2μm以上、さらにより好ましくは、3μm以上などである。
本ACFにおいて、多数の導電性粒子は、規則的に配列されている。もっとも、この規則的な配列は、多数の導電性粒子を膜面方向から見たときに全体として認められれば良い。したがって、本発明の効果を奏する範囲内であれば、局所的に不規則に配列している導電性粒子が部分的に存在していても構わない。
上記規則的な配列としては、具体的には、例えば、格子状、千鳥状、ハニカム状などの配列、これら配列を傾斜させたものなどを例示することができる。規規則的な配列を傾斜させる、例えば、実装するICチップのバンプの配列に対して、導電性粒子の規則的な配列が角度を持って圧着されるように、導電性粒子の規則的な配列を予め傾けるなどした場合には、導電性粒子の捕捉性などを向上させやすくなるなどの利点がある。
本ACFでは、多数の導電性粒子は、ほぼ同一平面(高分子膜の膜面とほぼ平行な面)内に存在すると良い。この場合には、膜厚方向に複数の導電性粒子が積み重ならない。そのため、膜厚方向の導通に、導電性粒子同士の接触抵抗が関与せず、導通性能を向上させやすくなるからである。また、圧着時に積み重なった導電性粒子が導体間から弾き出され、絶縁性を悪化させる心配も無くなるからである。
(高分子膜)
本ACFにおいて、高分子膜は、上記多数の導電性粒子を保持している。高分子膜は、当該膜と導電性粒子との間に隙間を有した状態で、導電性粒子を保持していても良いし、当該膜と導電性粒子とが密着した状態で、導電性粒子を保持していても良い。
本ACFにおいて、高分子膜は、上記多数の導電性粒子を保持している。高分子膜は、当該膜と導電性粒子との間に隙間を有した状態で、導電性粒子を保持していても良いし、当該膜と導電性粒子とが密着した状態で、導電性粒子を保持していても良い。
本ACFの製造時などに、導電性粒子が脱落し難く、ハンドリング性に優れるなどの観点から、当該膜と導電性粒子とは密着していると良い。より好ましくは、上記効果に優れるなどの観点から、当該膜と導電性粒子とは融着していると良い。
上記高分子膜は、当該膜の両面に導電性粒子の一部を露出させた状態で、導電性粒子を保持していても良いし、当該膜の何れか一方面に導電性粒子の一部を露出させた状態で、導電性粒子を保持していても良い。
導電性粒子が露出されている場合には、露出面側に配置される被接続物の導体と接触しやすくなる。そのため、導通性を確保しやすくなる。
好ましくは、上記効果に優れるなどの観点から、上記高分子膜は、当該膜の少なくとも一方面から、導電性粒子の一部を突出させた状態で導電性粒子を保持していると良い。
また、上記高分子膜が、接着層形成面と反対側の膜面に、導電性粒子の一部を露出させずに、導電性粒子を保持している場合には、本ACFの製造時に、導電性粒子が脱落し難くなるため、ハンドリング性に優れる。
なお、上記高分子膜は、当該膜の両面に導電性粒子を露出させない状態で、導電性粒子を保持していても構わない。
ここで、上記高分子膜は、接着層形成面と反対側の膜表面が接着性を有している。導電性粒子を保持する膜自体に接着性を付与することで、従来よりも接着層を少なくし、高分子膜の崩れやこれに起因する導電性粒子の流出などを抑制して導通性能を向上させるためである。
上記接着性は、少なくとも本ACFの使用時にあれば良い。また、上記接着性は、上記高分子膜における、接着層形成面と反対側の最表面や表層だけにあっても良いし、表面から内部にわたってあっても良い。
上記高分子膜を形成する高分子としては、各種の接着性高分子を適用することができる。なお、上記高分子膜は、紫外線照射、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理などの表面改質処理によって接着性が付与されていても良い。
上記高分子膜を形成する高分子としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。
より具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
なお、これら高分子中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
上記高分子膜を形成する高分子は、好ましくは、圧着時の加熱により硬化し、強固な機械的接続が得られる、圧着後、導電性粒子の圧縮状態を保持しやすい(導電性粒子の反発力による影響を受け難い)などの観点から、熱硬化性樹脂を主に含んでいると良い。熱硬化性樹脂のうち、好ましくは、エポキシ系樹脂などである。
また、上記高分子膜を形成する高分子は、85℃における弾性率(熱硬化するものは熱硬化前)が、好ましくは、1MPa以上、より好ましくは、7MPa以上であると良い。また、210℃における弾性率(熱硬化するものは熱硬化後)が、好ましくは、1.5MPa以上、より好ましくは、2.5MPa以上であると良い。
弾性率が上記範囲内であれば、導電性粒子の保持力が良好であり、高分子膜の動きも少なく、導電性粒子が一層流出し難いからである。
なお、上記85℃の弾性率は、その高分子よる試料(直径20mm、厚み400μm)を作製し、応力制御型レオメータ(例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR500」などが上市されている。)を使用して、昇温速度5℃/分、周波数1Hz、圧縮歪み0.1%の測定条件にて、20℃から180℃までの弾性率を測定して求まる値である。
一方、上記210℃の弾性率は、その高分子による試料(幅5mm、長さ30mm、厚み200μm)を210℃、5MPaで6分間熱圧着したサンプルを作製し、動的粘弾性測定装置(例えば、株式会社ユービーエム製、「Rheogel−E4000F」などが上市されている。)を使用して、昇温速度3℃/分、周波数15Hz、歪み0.05%(自動調整)、自動静荷重、チャック間隔20mmの測定条件にて、30℃〜230℃までの弾性率を測定して求まる値である。
上記高分子膜の膜厚は、導電性粒子の粒径、膜強度、製造性などを考慮して決定することができる。
具体的には、例えば、上記高分子膜の膜厚の上限は、好ましくは、上記導電性粒子の粒径の3/2倍以下、より好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1倍以下、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の2/3倍以下、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下、最も好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/2倍未満であると良い。
一方、上記高分子膜の膜厚の下限は、高分子膜の膜強度、ハンドリング性などの観点から、好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/10倍以上、より好ましくは、上記導電性粒子の粒径の3/20倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/5倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/4倍以上、さらにより好ましくは、上記導電性粒子の粒径の1/3倍以上であると良い。
高分子膜の膜厚が上記範囲内にある場合には、被接続物が有する導体(ICチップのバンプなど)が導電性粒子を押し潰す際に、高分子膜がそれを阻害し難い。そのため、導体間に導電性粒子が捕捉されやすくなり、膜厚方向の導通性能を向上させやすくなるからである。
とりわけ、上記高分子膜の膜厚の上限が、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下である場合には、次の利点がある。すなわち、例えば、基板表面の回路パターン上に本ACFを介してICチップを実装する場合、通常、加熱・加圧ヘッドが用いられる。
上記加熱・加圧ヘッドによる実装時に、ICチップは、熱膨張したままの状態で、本ACFを介して基板に接着される。そして、上記実装後に、加熱・加圧ヘッドが開放されると、放冷によりICチップ、異方性導電膜が熱収縮する。そのため、加熱温度が比較的高く、熱収縮量が大きくなると、上記実装後に基板に反り(ICチップ側が凹の反り)が発生することがある。基板に反りが生じると、例えば、液晶表示装置に画像ムラが発生するなどの不具合に繋がる。
上記反りを抑制するため、実装時の加熱温度を低くすることが有効であるが、実装時の加熱温度を比較的低くすると、本ACFの接着性が低下する。さらに、導電性粒子を保持する高分子膜が軟化し難くなるので、導電性粒子が十分に圧縮変形し難くなる(潰れ難くなる)。その結果、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキが大きくなり、その値も大きくなってしまう。
ところが、上記高分子膜の膜厚が、上記導電性粒子の粒径の1/2倍以下である場合には、高分子膜による導電性粒子の拘束が少ないため、180℃程度の比較的低温で実装しても、導電性粒子が十分に押し潰される。そのため、この場合には、上記反りの発生を抑制しつつ、さらに、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキを小さくすることができ、また、その値も小さくすることができる。
なお、上記高分子膜に導電性粒子を保持させる方法については、「2.本ACFの製造方法」の項にて説明する。
(接着層)
本ACFは、上記高分子膜の片面に接着層を有している。強固な機械的接続を得るなどの観点から、接着層は1層あった方が良いからである。
本ACFは、上記高分子膜の片面に接着層を有している。強固な機械的接続を得るなどの観点から、接着層は1層あった方が良いからである。
上記接着層材料は、被接続物との接着性、絶縁性を有するものであれば、何れのものでも使用することができる。
上記接着層材料としては、具体的には、各種の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂やゴムなどを用いることができる。より具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、ジアリルフタレート系樹脂、ビスマレイミドトリアジン系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ビニル基、アミノ基、エポキシ基などの官能基を1種または2種以上含むゴムやエラストマーなどを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
なお、これら高分子中には、硬化剤、硬化促進剤、改質剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が、必要に応じて、1種または2種以上添加されていても良い。
好ましくは、被接続物との密着性に優れるなどの観点から、熱硬化性樹脂を主に含んでいると良い。熱硬化性樹脂のうち、好ましくは、エポキシ系樹脂などである。
また、上記接着層材料として熱硬化性樹脂を用いる場合、当該熱硬化性樹脂は、半硬化されてプリプレグとされていても良い。この場合には、例えば、被接続物が有する複数の導体間の隙間に接着層が流動排除されやすくなる。また、被接続物との密着性も高まる。
上記接着層材料は、85℃における弾性率(熱硬化するものは熱硬化前)が、好ましくは、1MPa以上、より好ましくは、7MPa以上であると良い。また、210℃における弾性率(熱硬化するものは熱硬化後)が、好ましくは、1.5MPa以上、より好ましくは、2.5MPa以上であると良い。なお、弾性率の測定方法は、上記と同様である。
弾性率が上記範囲内であれば、圧着時に、接着層材料を流動排除しやすく、また、圧着後の機械的な接続性にも優れるからである。
上記接着層の厚みは、接着層と接着する被接続物が有する導体(ICチップのバンプなど)の高さ、被接続物同士(ICチップと回路パターンなど)の間に生じる隙間量などを考慮して決定することができる。
上記接着層の厚みの上限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの3倍以下、より好ましくは、2倍以下、さらにより好ましくは、1.75倍以下であると良い。
上記接着層の厚みの下限は、好ましくは、接着層と接着する被接続物が有する導体の高さの1倍以上、より好ましくは、1.2倍以上、さらにより好ましくは、1.3倍以上であると良い。
2.本製造方法
本製造方法は、本ACFを製造するのに好適な製造方法である。ここでは、凹型を利用する方法、凸型を利用する方法の2つの製造方法について詳細に説明する。
本製造方法は、本ACFを製造するのに好適な製造方法である。ここでは、凹型を利用する方法、凸型を利用する方法の2つの製造方法について詳細に説明する。
(第1の製造方法)
第1の製造方法は、粒子転写工程と、粒子保持工程と、接着層形成工程とを有している。
第1の製造方法は、粒子転写工程と、粒子保持工程と、接着層形成工程とを有している。
<粒子転写工程>
第1の製造方法において、粒子転写工程は、型の凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程である。
第1の製造方法において、粒子転写工程は、型の凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程である。
上記型は、製造する本ACFの導電性粒子の規則的な配列に対応した多数の凹部を有している。凹部は、導電性粒子を保持させることができれば、その形状、開口径などは特に限定されるものではない。また、凹部の深さは、良好な転写性を確保するなどの観点から、上記導電性粒子の平均粒径に対して95%以下であると良い。
上記型としては、具体的には、例えば、金型、樹脂型などを用いることができる。より具体的には、例えば、微細な凹部を形成する自由度が高いなどの観点から、電鋳型、光造形型などを好適に用いることができる。
とりわけ、上記型が光造形型である場合、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。
また、上記型が電鋳型である場合、例えば、光造形で元型を作製したときには、比較的容易に大面積を有する型が得られる。そのため、上記と同様に、比較的容易に大面積を有する異方性導電膜を得やすくなるなどの利点がある。また、例えば、エッチングにより作製したSi型などを元型に用いたときには、高精細な型を得やすくなる。さらに、電鋳型は耐熱性に優れている。そのため、転写時に加熱を伴う場合、型材が樹脂などである場合に比較して、型の耐熱温度をそれほど気にする必要がない。したがって、膜を形成する高分子の選択幅が広がるなどの利点もある。
上記電鋳型の材質は、特に限定されるものではない。通常、ニッケル、銅、アルミニウム、クロム、錫、金、銀、白金やパラジウム等の白金属、これらを1種以上含有する合金などを用いることができる。また、上記光造形型の材質は、特に限定されるものではない。通常、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹脂、オキセタン系樹脂などを用いることができる。
なお、電鋳型の元型は、例えば、フォトリソグラフィ法、光造形法、インクジェット法、レーザー加工などを利用して準備すれば良い。
また、上記型としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの各種樹脂やゴムなどの高分子よりなる長尺な高分子基材の表面に、製造する本ACFが有する導電性粒子の規則的な配列に対応させて多数の凹部が配列形成された連続型なども好適に使用しうる。
このような連続型を用いた場合には、高分子製の平坦な膜表面に導電性粒子を連続的に転写することができ、長尺な異方性導電膜の生産性に優れる。他にも、細かな転写位置の位置合わせが不要になるため、これによっても、生産性を向上させることができる。
上記導電性粒子は、上記型の凹部の深さ方向に積み重ならずに凹部に保持されているのが好ましい。換言すれば、ほぼ同一平面内に存在するように、導電性粒子が凹部内に保持されているのが好ましい。転写時に、積み重なった導電性粒子が崩れ落ちることがないからである。より好ましくは、導電性粒子を一つ一つ互いに離間させた状態で転写することができるなどの観点から、実質的に、凹部一つにつき、導電性粒子が一つずつ保持されていると良い。
上記型の凹部に導電性粒子を保持させる方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子自体またはその分散液を上記型の凹面上に散布した後、刷毛、ブラシ、ブレードなどの擦り切り手段により擦り切り、凹部内に導電性粒子を入れる方法、(2)導電性粒子自体またはその分散液を上記型の凹面上に散布した後、外部から磁力や振動を加え、凹部内に導電性粒子を入れる方法、(3)上記分散液中に上記型を浸漬する方法、(4)上記型の凹面と一定距離離間させて板状部材を配置し、形成された隙間に、上記分散液を導入し、型および/または板状部材をスライド移動させる方法、これらの組み合わせなどを例示することができる。
導電性粒子を凹部内に物理的に押し込むので、導電性粒子をより確実に保持させやすい、保持させるのに要する時間が比較的短いなどの観点から、好ましくは、(1)の方法を用いるのが良い。より好ましくは、乾式で行うことができるなどの観点から、(1)の方法において粉末状の導電性粒子自体を用いるのが良い。さらに好ましくは、導電性粒子が凹部内に導入されやすくなるなどの観点から、(1)の方法において、凹面と反対側から磁力により導電性粒子を型に引きつけつつ、擦り切り手段により擦り切ると良い。
上記のようにして、型の凹部に導電性粒子を保持させた後、この導電性粒子の保持面と高分子製の平坦な膜の表面とを接触させ、型から膜表面に導電性粒子を転写すれば良い。また、使用した型は分離することになる。
上記高分子製の平坦な膜は、上述した本ACFの高分子膜を形成する高分子材料を用いてほぼ平らに形成された膜である(以下、「平膜」ということがある。)。そのため、この第1の製造方法によれば、高分子製の多孔質膜をわざわざ用意する必要がなく、製造の簡単な平膜を用意すれば良い。そのため、水滴を利用して多孔質膜を用意する場合に比較して、本ACFの製造性に優れる。また、膜を形成する高分子の選択幅も広がる。
なお、上記平膜は、上記平膜を形成する高分子材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて基材上に塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記平膜を形成する高分子材料を平坦な膜状にプレス成形する方法などにより準備することができ、特に限定されるものではない。
上記転写時には、加熱および/または加圧を伴っていても良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。
上記転写時に加熱を行う場合、その加熱温度としては、平膜に使用する高分子の粘度(硬化するものは硬化前の状態)が、好ましくは、2×104Pa・s以下、より好ましくは、1.5×104Pa・s以下、さらにより好ましくは、1×104Pa・s以下となる温度を選択すると良い。平膜表面に導電性粒子が食い込みやすく、転写率が良くなるからである。
なお、上記粘度は、上記弾性率を測定するものと同じ応力制御型レオメータ(例えば、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製、「AR500」などが上市されている。)により測定した値である。
また、上記転写時に加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。転写率、平膜の膜強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
なお、平膜が粘着性を有する材料よりなる場合には、特に加熱、加圧などを行わなくても転写可能である。
<粒子保持工程>
第1の製造方法において、粒子保持工程は、転写した導電性粒子を平膜内に埋め込んで保持させる工程である。
第1の製造方法において、粒子保持工程は、転写した導電性粒子を平膜内に埋め込んで保持させる工程である。
ここで、上記埋め込み方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子を加圧する方法、(2)平膜を加熱して軟化させ、導電性粒子の自重により導電性粒子を膜内に埋没させる方法、(3)転写面に高分子材料を被覆する方法などを例示することができる。これら方法は、互いに組み合わせて行っても良い。
導電性粒子を確実に膜に保持させやすいなどの観点から、(1)の方法が良い。より好ましくは、(1)の方法において、平膜を加熱しながら導電性粒子を加圧すると良い。具体的には、ラミネート手法などを適用することができる。なお、上記加圧は、導電性粒子の上にセパレータなどの介在物を任意に介して行うことができる。
上記加圧を行う場合、その加圧力は特に限定されることはない。膜強度、型強度、膜厚、導電性粒子の強度などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
上記加熱を行う場合、その加熱温度は特に限定されることはない。加熱温度は、使用する高分子の種類、型の耐熱性などによっても異なるが、好ましくは、高分子のガラス転移温度+20℃〜+40℃程度の温度を選択すると良い。膜内に導電性粒子を埋め込みやすくなるからである。
導電性粒子は、膜内にその全てが埋め込まれていても良いし、膜表面のうち、少なくとも一方面にその一部が露出していても良い。
なお、上記導電性粒子の埋め込み程度は、加圧力、加圧時間、加熱温度、加熱時間などを適宜調節することで可変させることができる。
<接着層形成工程>
第1の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を保持した膜の片面に接着層を形成する工程である。
第1の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を保持した膜の片面に接着層を形成する工程である。
この際、導電性粒子を保持した膜の両面が接着性を有する場合には、何れの面に接着層を形成しても良い。また、導電性粒子を保持した膜の片面が接着性を有する場合、その面とは反対側の面に接着層を形成することになる。
上記接着層の形成方法としては、具体的には、例えば、上記接着層材料を適当な固形分量、粘度となるように調製した塗液を、コーターなどの公知の塗工手段を用いて塗工し、必要に応じて乾燥させる方法、上記方法などにより予め作製しておいた膜状の接着層を貼り合わせる方法などを例示することができる。
(第2の製造方法)
第2の製造方法は、多孔質膜形成工程と、粒子充填工程と、接着層形成工程とを有している。
第2の製造方法は、多孔質膜形成工程と、粒子充填工程と、接着層形成工程とを有している。
<多孔質膜形成工程>
第2の製造方法において、多孔質膜形成工程は、規則的に配列された多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程である。
第2の製造方法において、多孔質膜形成工程は、規則的に配列された多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程である。
ここで、上記多孔質膜の形成方法としては、多数の凸部を有する型を、高分子製の平坦な膜(平膜)表面に押しつける方法を好適に用いる。
これにより、平膜表面に、上記型が有する凸部に対応した孔部を多数形成することができる。なお、上記押しつけにより形成する孔部は、平膜を貫通する貫通孔であっても良いし、平膜を貫通しない非貫通孔であっても良い。
上記型は、製造する本ACFの導電性粒子の規則的な配列に対応して規則的に配列された多数の凸部を有している。凸部は、導電性粒子を充填するための孔を形成することができれば、その形状、凸部高さなどは特に限定されるものではない。
上記型としては、具体的には、例えば、金型、樹脂型などを用いることができる。より具体的には、例えば、微細な凸部を形成する自由度が高いなどの観点から、電鋳型、光造形型などを好適に用いることができる。
なお、これらの型が好適な理由、電鋳型の材質、光造形型の材質、電鋳型の元型の準備、平膜の準備などは、上述した第1の製造方法における説明に準じる。
上記押しつけ時における加圧力は特に限定されることはない。高分子の種類、孔部の形成性、平膜強度、平膜の膜厚などを考慮して選択すれば良い。通常、0.01〜1MPa程度である。
また、上記押しつけ時に加熱を行う場合、その加熱温度は特に限定されることはない。加熱温度は、使用する高分子の種類、型の耐熱性などによっても異なるが、好ましくは、高分子のガラス転移温度+20℃〜+40℃程度の温度を選択すると良い。平膜に孔部を形成しやすくなるからである。
<粒子充填工程>
粒子充填工程は、上記多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程である。
粒子充填工程は、上記多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程である。
この工程では、孔部深さ方向に導電性粒子が積み重ならないように、導電性粒子を充填するのが好ましい。換言すれば、ほぼ同一平面内に存在するように、導電性粒子を孔部内に充填するのが好ましい。より好ましくは、導電性粒子を一つ一つ互いに離間させた状態にするなどの観点から、実質的に、孔部一つにつき、導電性粒子が一つずつ充填されていると良い。
上記導電性粒子の充填方法としては、具体的には、例えば、(1)導電性粒子自体またはその分散液を上記多孔質膜の表面上に散布した後、刷毛、ブラシ、ブレードなどで擦り切り、孔部内に導電性粒子を入れる方法、(2)導電性粒子自体またはその分散液を上記多孔質膜の表面上に散布した後、外部から磁力や振動を加え、孔部内に導電性粒子を入れる方法、(3)上記分散液中に上記多孔質膜を浸漬する方法、(4)上記多孔質膜の表面と一定距離離間させて板状部材を配置し、形成された隙間に、上記分散液を導入し、多孔質膜および/または板状部材をスライド移動させる方法、これらの組み合わせなどを例示することができる。
導電性粒子を孔部内に物理的に押し込むので、導電性粒子をより確実に充填しやすい、充填させるのに要する時間が比較的短いなどの観点から、好ましくは、(1)の方法を用いるのが良い。より好ましくは、乾式で行うことができるなどの観点から、(1)の方法において粉末状の導電性粒子自体を用いるのが良い。さらに好ましくは、導電性粒子が孔部内に導入されやすくなるなどの観点から、(1)の方法において、導電性粒子を広げた面側と反対側から磁力により導電性粒子を多孔質膜に引きつけつつ、擦り切り手段により擦り切ると良い。なお、この場合には、導電性粒子としては、導電性とともに磁性を有しているものを用いれば良い。
<接着層形成工程>
第2の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程である。
第2の製造方法において、接着層形成工程は、導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程である。
この工程は、基本的に、上記第1の製造方法におけるそれに準ずるため、説明は省略する。
なお、以上説明した第1および第2の製造方法において、平膜の接着性を向上させるなどの観点から、平膜に対して、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ処理などの表面改質処理を行っても良い。この処理は、上記何れかの工程の後に追加することができる。
3.本ACFの使用方法
本ACFは、例えば、次のようにして使用することができる。
本ACFは、例えば、次のようにして使用することができる。
図2に示すように、例えば、ICチップ18と基板20上に形成された回路パターン22との間に本ACF10を置き、図3に示すように、接着層16が流動する温度で熱圧着する。そうすると、ICチップ18のバンプ24と回路パターン22との間にある接着層16が流動排除される。また、バンプ24と回路パターン22との間に導電性粒子12が挟持される。そして、高分子膜14が有する接着性と接着層16とにより、導電性粒子12を挟持した状態のまま、ICチップ18と回路パターン22とが接着される。これにより、ICチップ18と回路パターン22とは、電気的および機械的に接続される。
ここで、本ACFは、接着層形成面側を加圧側とし、接着層形成面と反対側の膜表面を非加圧側として使用すると良い。
例えば、ICチップと回路パターンとを接続する場合、上記のとおり、通常、ICチップ側が加圧側となり、回路パターン側が非加圧側となることが多い。
回路パターン側は、バンプを有するICチップ側と比較して、接着層が流れるスペースが少ない。そのため、こちら側に接着層がないことで、高分子膜の崩れ、導電性粒子の流出をより抑制しやすくなり、当初の導電性粒子の配列を維持したまま接続しやすくなるからである。
また、接着層側に、バンプを有するICチップなど、比較的高さの高い導体を有する被接続物を接触させれば、導体間の隙間を接着層により満たしやすくなる。そのため、機械的な接続性も向上させやすくなるからである。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
1.実施例および比較例に係る異方性導電膜の作製
(実施例1)
初めに、ポリビニルブチラール系樹脂(積水化学工業(株)製、「エスレックKS−3Z」)27重量部と、メチルエチルケトン(MEK)73重量部とを混合し、高分子溶液(固形分量27重量%)を調製した。
(実施例1)
初めに、ポリビニルブチラール系樹脂(積水化学工業(株)製、「エスレックKS−3Z」)27重量部と、メチルエチルケトン(MEK)73重量部とを混合し、高分子溶液(固形分量27重量%)を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、上記高分子溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を100℃で90秒間乾燥させ、ポリビニルブチラール系樹脂よりなる平膜(厚み4μm)を形成した。その後、この平膜の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み75μm、リンテック(株)製、「PET75C」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持されたポリビニルブチラール系樹脂製の平膜を用意した。
次に、千鳥状に配列された多数の凹部(開口径5μm、凹深さ3.5μmの略円柱状、ピッチ=隣接する開口部の中心間の距離10μm)を有するNi電鋳型を準備した。
次いで、ジビニルベンゼン系架橋樹脂よりなる粒子の表面に、Niめっき層、Auめっき層が順に被覆された、平均粒径4μmの樹脂めっき粒子(積水化学工業(株)、「ミクロパールAU−204」)を、上記Ni電鋳型の凹面上に広げた。
次いで、凹面と反対側に設置した永久磁石((株)西興産業製、フェライト磁石、1000ガウス)にて、樹脂めっき粒子を型に引きつけつつ、刷毛にて表面を擦り切り、凹部内に樹脂めっき粒子を導入した。
なお、凹部が形成されていない型表面に付着していた樹脂めっき粒子や、凹部に導入された樹脂めっき粒子に静電気力などで付着していた樹脂めっき粒子は、表面の擦り切りや、微粘着テープ((株)きもと製、「ビューフルEP50」)を用いることで除去した。
これにより、凹部一つにつき一つずつ樹脂めっき粒子を保持させたNi電鋳型を用意した。
そして、一方の基材を剥離して露出させた平膜の表面と、Ni電鋳型の樹脂めっき粒子の保持面とを重ね合わせ、これを、温度120℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートし、室温まで冷却した後、当該型を取り除いた。
以上により、規則的に配列された多数の凹部を有するNi電鋳型の凹部に保持させた多数の樹脂めっき粒子を、ポリビニルブチラール系樹脂製の平膜表面に転写した。なお、この平膜表面上には、多数の樹脂めっき粒子が、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
次に、多数の樹脂めっき粒子を表面に有する平膜の表面に基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)を重ね、これを、温度140℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートした。
以上により、転写された樹脂めっき粒子を配列を維持したまま平膜内に埋め込んで当該膜に保持させた。なお、樹脂めっき粒子は、膜の転写面からその一部が僅かに突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
次に、ジシクロペンタジエン型エポキシ系樹脂(大日本インキ(株)製、「エピクロンHP7200HH」)90重量部と、ニトリルゴム(NBR)(日本ゼオン(株)製、「ニポール1072J」)10重量部と、硬化剤(旭化成ケミカルズ(株)製、「ノバキュアHXA3932HP」)187重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエンにて希釈し、接着剤溶液を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面に、上記接着剤溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を110℃で90秒間乾燥させ、接着層(厚み20μm)を形成した。その後、この接着層の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製、「PET38B」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持された接着層を用意した。
次いで、片側の基材を剥離して露出させた接着層の表面と、同じく片側の基材を剥離して露出させた高分子膜表面(転写面側)とを重ね合わせ、これを貼り合わせた。
以上により、樹脂めっき粒子を保持した高分子膜の片面に接着層を形成した。
上記の通りにして、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持するポリビニルブチラール系樹脂製の高分子膜(厚み4μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み20μm)とを有する、実施例1に係る異方性導電膜を作製した。なお、上記高分子膜は、膜自体が接着性を有している。また、実施例1に係る異方性導電膜は、離型性を有する基材間に挟持されている。
(実施例2)
アルコール可溶ポリアミド系樹脂23.39重量部と、フェノキシ系樹脂(東都化成(株)製、「EFR−0010M30」)25.16重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX289EK75」)4.9重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX305EK70」)2.67重量部と、メラミン系樹脂(三和ケミカル(株)製、「ニカラックMX−750」)1.37重量部と、硬化剤(四国化成(株)製、「C11Z」)0.38重量部と、硬化剤(三菱ガス化学(株)製、「F−TMA」)0.57重量部と、メタノール24.26重量部と、トルエン48.05重量部と、メチルセロソルブ69.2重量部とを混合し、高分子溶液を調製した。
アルコール可溶ポリアミド系樹脂23.39重量部と、フェノキシ系樹脂(東都化成(株)製、「EFR−0010M30」)25.16重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX289EK75」)4.9重量部と、エポキシ系樹脂(東都化成(株)製、「FX305EK70」)2.67重量部と、メラミン系樹脂(三和ケミカル(株)製、「ニカラックMX−750」)1.37重量部と、硬化剤(四国化成(株)製、「C11Z」)0.38重量部と、硬化剤(三菱ガス化学(株)製、「F−TMA」)0.57重量部と、メタノール24.26重量部と、トルエン48.05重量部と、メチルセロソルブ69.2重量部とを混合し、高分子溶液を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、上記高分子溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を160℃で90秒間乾燥させ、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂よりなる平膜(厚み4μm)を形成した。その後、この平膜の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、リンテック(株)製、「PET5011」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持された、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
以降は、実施例1に係る異方性導電膜の作製において、ポリビニルブチラール系樹脂製の平膜に代えて、上記ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用いた以外は同様にして、実施例2に係る異方性導電膜を作製した。
上記実施例2に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み4μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み20μm)とを有している。なお、上記高分子膜は、膜自体が接着性を有している。また、多数の樹脂めっき粒子は、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
(実施例3)
実施例2に係る異方性導電膜の作製時と同様にして、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
実施例2に係る異方性導電膜の作製時と同様にして、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
以降は、実施例1に係る異方性導電膜の作製において、Ni電鋳型に代えて、千鳥状に配列された多数の凹部(開口部5μm角、凹深さ3.5μmの略角柱状、ピッチ=隣接する開口部の中心間の距離10μm)を有する光造形型を転写型として用いた点以外は同様にして、実施例3に係る異方性導電膜を作製した。
上記実施例3に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み4μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み20μm)とを有している。なお、上記高分子膜は、膜自体が接着性を有している。また、多数の樹脂めっき粒子は、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
(実施例4)
実施例2に係る異方性導電膜の作製時と同様にして、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
実施例2に係る異方性導電膜の作製時と同様にして、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
また、千鳥状に配列された多数の凸部(凸部径5μm角、凸高さ3.5μmの略角柱状、ピッチ=隣接する凸部中心間の距離10μm)を有する光造形型を準備した。
そして、一方の基材を剥離して露出させた上記平膜の表面に、上記光造形型の凸面をプレス(加圧力0.1MPa、温度130℃)により押しつけた。
これにより、互いに離間されて規則的に配列された多数の孔部を有する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の多孔質膜を形成した。なお、各孔部は、非貫通孔であった。また、多数の孔部は、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
次に、平均粒径4μmの樹脂めっき粒子(実施例1と同じ)を、上記多孔質膜の孔部形成面上に広げた。
次いで、孔部形成面と反対側に設置した永久磁石(実施例1と同じ)にて、樹脂めっき粒子を多孔質膜に引きつけつつ、刷毛にて表面を擦り切り、孔部内に樹脂めっき粒子を導入した。
なお、孔部が形成されていない多孔質膜表面に付着していた樹脂めっき粒子や、孔部に導入された樹脂めっき粒子に静電気力などで付着していた樹脂めっき粒子は、表面の擦り切りや、微粘着テープを用いることで除去した。
これにより、互いに離間されて規則的に配列された多数の孔部内に樹脂めっき粒子が充填された多孔質膜を用意した。なお、樹脂めっき粒子は、実質的に、孔部一つにつき一つずつ充填されていた。また、樹脂めっき粒子は、多孔質膜の粒子導入面からその一部が僅かに突出している状態で膜に充填されていた。
次に、実施例1と同様にして、離型性を有する基材間に挟持された接着層を用意した。
次いで、片側の基材を剥離して露出させた接着層の表面と、樹脂めっき粒子を充填した多孔質膜の表面(導入面側)とを重ね合わせ、これを貼り合わせたた。
以上により、樹脂めっき粒子を充填した多孔質膜の片面に接着層を形成した。
上記の通りにして、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み4μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み20μm)とを有している、実施例4に係る異方性導電膜を作製した。なお、上記高分子膜は、膜自体が接着性を有している。また、実施例4に係る異方性導電膜は、離型性を有する基材間に挟持されている。
(実施例5)
マイクログラビアコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、実施例2にて調製した高分子溶液を塗工した。
マイクログラビアコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38X」)の離型面に、実施例2にて調製した高分子溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を160℃で90秒間乾燥させ、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂よりなる平膜(厚み1μm)を形成した。その後、この平膜の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、リンテック(株)製、「PET5011」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持された、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜を用意した。
次に、千鳥状に配列された多数の凹部(開口径5μm、凹深さ3.5μmの略角柱状、ピッチ=隣接する開口部の中心間の距離10μm)を有する光造形樹脂型を準備した。
次いで、平均粒径4μmの樹脂めっき粒子(実施例1と同じ)を、上記樹脂型の凹面上に広げた。
次いで、凹面と反対側に設置した永久磁石(実施例1と同じ)にて、樹脂めっき粒子を型に引きつけつつ、刷毛にて表面を擦り切り、凹部内に樹脂めっき粒子を導入した。
なお、凹部が形成されていない型表面に付着していた樹脂めっき粒子や、凹部に導入された樹脂めっき粒子に静電気力などで付着していた樹脂めっき粒子は、表面の擦り切りや、上記微粘着テープを用いることで除去した。
これにより、凹部一つにつき一つずつ樹脂めっき粒子を保持させた樹脂型を用意した。
そして、一方の基材を剥離して露出させた平膜の表面と、樹脂型の樹脂めっき粒子の保持面とを重ね合わせ、これを、温度120℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートし、室温まで冷却した後、当該型を取り除いた。
以上により、規則的に配列された多数の凹部を有する樹脂型の凹部に保持させた多数の樹脂めっき粒子を、上記ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の平膜表面に転写した。なお、この平膜表面上には、多数の樹脂めっき粒子が、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
次に、多数の樹脂めっき粒子を表面に有する平膜の表面に基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面を重ね、これを、温度140℃、加圧力0.1MPa、加熱加圧時間60秒の条件で、熱ラミネートした。
以上により、転写された樹脂めっき粒子を配列を維持したまま平膜内に埋め込んで当該膜に保持させた。なお、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約3μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
次に、1,1,2,2−テトラキス(ヒドロキシフェニルエタン)型エポキシ系樹脂22.5重量部と、シクロペンタジエン型エポキシ系樹脂67.5重量部と、カルボキシル基含有ニトリルゴム10重量部と、潜在性硬化剤55.2重量部と、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール4.5重量部と、真球シリカ31.1重量部とを、固形分量が42%となるようにトルエン/酢酸エチル(=75/25重量比)にて希釈し、接着剤溶液を調製した。
次いで、コンマコーターを用い、連続的に供給される基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み38μm、リンテック(株)製「PET38C」)の離型面に、上記接着剤溶液を塗工した。
次いで、この塗工層を110℃で90秒間乾燥させ、接着層(厚み25μm)を形成した。その後、この接着層の表面に、基材(ポリエチレンテレフタレート、厚み50μm、リンテック(株)製、「PET5011」)の離型面を合わせて巻き取った。
これにより、離型性を有する基材間に挟持された接着層を用意した。
次いで、片側の基材を剥離して露出させた接着層の表面と、同じく片側の基材を剥離して露出させた高分子膜表面(転写面側)とを重ね合わせ、これを貼り合わせた。
以上により、樹脂めっき粒子を保持した高分子膜の片面に接着層を形成した。
上記の通りにして、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み1μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み25μm)とを有する、実施例5に係る異方性導電膜を作製した。なお、上記高分子膜は、膜自体が接着性を有している。また、多数の樹脂めっき粒子は、互いに離間された状態で、約8°傾けられた千鳥状に規則的に配列されていた。
(実施例6)
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み1.5μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例6に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み1.5μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例6に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例6に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み1.5μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み25μm)とを有している。
(実施例7)
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み2μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例7に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み2μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例7に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約2μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例7に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み2μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み25μm)とを有している。
(実施例8)
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み3.5μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例8に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約0.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例5に係る異方性導電膜の作製において、厚み3.5μmの平膜を形成した以外は同様にして、実施例8に係る異方性導電膜を作製した。なお、転写後の熱ラミネート工程を経た後には、樹脂めっき粒子は、膜の転写面から約0.5μm程度突出しており、かつ、膜の裏面(転写面と反対側の面)にはその一部が露出されていない状態で膜に保持されていた。
上記実施例7に係る異方性導電膜は、互いに離間されて規則的に配列された多数の樹脂めっき粒子(平均粒径4μm)と、これを保持する、ポリアミド系樹脂とフェノキシ系樹脂とを主成分とする樹脂製の高分子膜(厚み3.5μm)と、この高分子膜の片面に形成された熱硬化性の接着層(厚み25μm)とを有している。
(比較例1)
クロロホルムにポリブタジエンゴム(JSR製、「RB820」)を0.26wt%の濃度で溶解した液に、界面活性剤として、ドデシルアクリルアミドとカプロン酸との共重合体をポリブタジエンゴムに対して0.026wt%添加し、高分子溶液を調製した。
クロロホルムにポリブタジエンゴム(JSR製、「RB820」)を0.26wt%の濃度で溶解した液に、界面活性剤として、ドデシルアクリルアミドとカプロン酸との共重合体をポリブタジエンゴムに対して0.026wt%添加し、高分子溶液を調製した。
次いで、この高分子溶液を、相対湿度50%の空気を連続的に吹き付けているガラス基板上に塗布膜厚1100μmでキャストし、クロロホルムを揮発させた。
その結果、高分子溶液表面に結露による水滴群が付着するとともに、これが最密充填した後、水滴群が蒸発することにより、ハニカム状に配列された多数の孔部(非貫通孔)を有するポリブタジエンゴム製の多孔質膜が得られた。
なお、得られた多孔質膜につき、孔部の開口径、孔深さ、隣接する孔部の開口縁部間の距離を、レーザー顕微鏡(超深度カラー3D形状測定顕微鏡、キーエンス社製「VK−9500」)により測定した結果、それぞれ5μm、4μm、1μmであった。
次に、実施例4と同様にして、この多孔質膜の孔部内に樹脂めっき粒子を導入した。
次に、この樹脂めっき粒子が充填された多孔質膜の両面に、それぞれ接着層(実施例1と同じ材料、但し、樹脂めっき粒子の導入面側の厚みが20μm、その反対面側の厚みが2μm)を重ね合わせ、貼り合わせた。
以上により、3層構造の比較例1に係る異方性導電膜を作製した。
なお、比較例1に係る異方性導電膜は、疎水性高分子であるポリブタジエンゴムより多孔質膜が形成されており、かつ、樹脂めっき粒子が充填された多孔質膜の両面に接着層が被覆されている。
(比較例2)
比較例1に係る異方性導電膜の作製において、樹脂めっき粒子の導入面と反対側を接着層で被覆しなかった点以外は同様にして、2層構造の比較例2に係る異方性導電膜を作製した。
比較例1に係る異方性導電膜の作製において、樹脂めっき粒子の導入面と反対側を接着層で被覆しなかった点以外は同様にして、2層構造の比較例2に係る異方性導電膜を作製した。
なお、比較例2に係る異方性導電膜は、疎水性高分子であるポリブタジエンゴムより多孔質膜が形成されているので、多孔質膜自体は接着性を備えていない。また、多孔質膜の片面にのみ接着層が被覆されている。
(参考例)
市販品の異方性導電膜を、参考例に係る異方性導電膜とした。なお、この異方性導電膜は、1層の接着剤膜中に、実施例に係る異方性導電膜で使用する樹脂めっき粒子の3〜5倍量程度の導電性粒子が分散されたものである。
市販品の異方性導電膜を、参考例に係る異方性導電膜とした。なお、この異方性導電膜は、1層の接着剤膜中に、実施例に係る異方性導電膜で使用する樹脂めっき粒子の3〜5倍量程度の導電性粒子が分散されたものである。
2.各異方性導電膜の評価
上記各異方性導電膜を用いて評価試料を作製し、膜厚方向の導通性能および膜面方向の絶縁性能を評価した。
上記各異方性導電膜を用いて評価試料を作製し、膜厚方向の導通性能および膜面方向の絶縁性能を評価した。
(評価試料の作製<1>)
先ず、厚み0.7mmのガラス基板表面に回路パターン(材質ITO、パターンピッチ30μm、パターン幅20μm)が形成された各配線基板を準備した。
先ず、厚み0.7mmのガラス基板表面に回路パターン(材質ITO、パターンピッチ30μm、パターン幅20μm)が形成された各配線基板を準備した。
次いで、圧着装置の基台(温度30℃)上に各配線基板を載置した。次いで、接着層側の基材を剥離した各異方性導電膜(実施例1〜4、比較例1、2、参考例)を、上記各配線基板の回路パターン上に、接着層側を配線基板側にして配置した。
次いで、熱圧着ヘッド(温度110℃)を用い、接着層上の基材を介して、各異方導電性膜を、当該異方導電性膜の面積に対して加圧力0.25MPa、圧着時間5秒の条件で、仮圧着した。
次いで、仮圧着された各異方性導電膜の基材を剥離した後、その上に、Auバンプを有するICチップ(バンプピッチ30μm、バンプ幅20μm)を、回路パターンとAuバンプとが相対峙するように載置した。
次いで、この状態のまま、熱圧着ヘッド(温度210℃)を用いて、加圧力80MPa、圧着時間60秒の条件で、本圧着した。
これにより、各異方性導電膜(実施例1〜4、比較例1、2、参考例)の何れかを使用した評価試料1〜8を作製した。但し、評価試料1、6、7、8については、上記本圧着後、引き続き、温度50℃、加圧力80MPa、時間30秒の条件で冷却を行っている。
(評価試料の作製<2>)
上記評価試料の作製<1>において準備した各配線基板を、圧着装置の基台(温度30℃)上に載置した。次いで、接着層側の基材を剥離した各異方性導電膜(実施例5〜8)を、上記各配線基板の回路パターン上に、接着層側を配線基板側にして配置した。
上記評価試料の作製<1>において準備した各配線基板を、圧着装置の基台(温度30℃)上に載置した。次いで、接着層側の基材を剥離した各異方性導電膜(実施例5〜8)を、上記各配線基板の回路パターン上に、接着層側を配線基板側にして配置した。
次いで、熱圧着ヘッド(温度90℃)を用い、接着層上の基材を介して、各異方導電性膜を、当該異方導電性膜の面積に対して加圧力1MPa、圧着時間5秒の条件で、仮圧着した。
次いで、仮圧着された各異方性導電膜の基材を剥離した後、その上に、上記ICチップを、回路パターンとAuバンプとが相対峙するように載置した。
次いで、この状態のまま、熱圧着ヘッド(温度180℃)を用いて、加圧力80MPa、圧着時間10秒の条件で、本圧着した。なお、本圧着時の基台温度は80℃である。
これにより、各異方性導電膜(実施例5〜8)の何れかを使用した評価試料9〜12を作製した。
(膜厚方向の導通性能の評価)
得られた各評価試料につき、相対峙する回路パターン−Auバンプ間の電気抵抗を、抵抗率計(ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタGP」)を用い、4端子4探針法により測定した。なお、各評価試料の数は、それぞれN=10[個]であり、算術平均による平均値を算出し、これを膜厚方向の電気抵抗とした。
得られた各評価試料につき、相対峙する回路パターン−Auバンプ間の電気抵抗を、抵抗率計(ダイアインスツルメンツ製、「ロレスタGP」)を用い、4端子4探針法により測定した。なお、各評価試料の数は、それぞれN=10[個]であり、算術平均による平均値を算出し、これを膜厚方向の電気抵抗とした。
(膜面方向の絶縁性能の評価)
得られた評価試料につき、隣接する回路パターン間の電気抵抗を、テスターT2(AND社製、「AD5522」)を用いて測定した。なお、各評価試料の数は、それぞれN=10[個]であり、評価試料1〜8については、電気抵抗が108Ω以上となる割合=絶縁性確保率(%)を求めた。また、評価試料9〜12については、電気抵抗値を求めた。
得られた評価試料につき、隣接する回路パターン間の電気抵抗を、テスターT2(AND社製、「AD5522」)を用いて測定した。なお、各評価試料の数は、それぞれN=10[個]であり、評価試料1〜8については、電気抵抗が108Ω以上となる割合=絶縁性確保率(%)を求めた。また、評価試料9〜12については、電気抵抗値を求めた。
(評価結果)
表1および表2に、評価試料に用いた異方性導電膜の種類とその評価結果をまとめて示す。
表1および表2に、評価試料に用いた異方性導電膜の種類とその評価結果をまとめて示す。
(考察)
上記結果を相対比較すると次のことが分かる。すなわち、比較例1に係る異方性導電膜は、従来の3層構造である。そのため、他に比較して、膜厚方向の電気抵抗が大きかった。
上記結果を相対比較すると次のことが分かる。すなわち、比較例1に係る異方性導電膜は、従来の3層構造である。そのため、他に比較して、膜厚方向の電気抵抗が大きかった。
これは、回路パターン側の接着層の流動に伴い、多孔質膜が崩れ、孔部から樹脂めっき粒子が流出してしまったため、当初の規則的な配列が乱れ、回路パターンとバンプとの間に捕捉されるはずの樹脂めっき粒子が少なくなってしまったことが原因であると推察される。
また、圧着工程に冷却工程を追加しているにもかかわらず、上記結果であった。したがって、冷却工程をなくして接着層の流動性が高くなると、上記現象が発生しやすくなり、膜厚方向の電気抵抗がより大きくなると推察される。
比較例2に係る異方性導電膜は、接着層が1層であり、かつ、接着層形成面と反対側の多孔質膜の表面が、接着性を有していない。そのため、回路パターンとバンプとの間に樹脂めっき粒子を圧縮挟持した状態で、両者を機械的に接続することができず、膜厚方向の電気抵抗が極めて大きく、絶縁性を示した。
参考例に係る異方性導電膜は、多量の導電性粒子を含むため、圧着後における膜厚方向の導電性には優れている。しかしながら、他に比較して、膜面方向の絶縁性確保率に劣っていた。
これらに対し、実施例に係る異方性導電膜は、従来の異方性導電膜に比較して、導通性能を向上させることができた。
この理由としては、2層構造を採用したことで、接着層の流動に伴う高分子膜の崩れ、樹脂めっき粒子の流出を抑制することができ、より多くの樹脂めっき粒子を、回路パターンとバンプとの間に捕捉することができたこと、高分子膜が有する接着性と接着層とにより、多くの樹脂めっき粒子を挟持した状態のまま、回路パターンとICチップとの間を機械的に接続することができたことなどが挙げられる。
また、実施例に係る異方性導電膜は、圧着時に冷却工程をなくした場合でも、良好な導通性能が得られている。
このことから、本発明に係る異方性導電膜を用いれば、圧着時に冷却工程をなくすことができる。そのため、液晶表示装置など、異方性導電膜を使用する物の生産性を向上させることができるなどの利点がある。
また、高分子膜の膜厚が、樹脂めっき粒子の粒径の1/2倍以下(評価試料9〜11)、とりわけ、高分子膜の膜厚が、樹脂めっき粒子の粒径の1/2倍未満(評価試料9〜10)である場合には、180℃程度の比較的低温でICチップを実装しても、膜厚方向の電気抵抗値のバラツキを小さくすることができ、また、その値も小さくすることができることが確認できた。
以上、本発明の一実施形態、一実施例について説明したが、本発明は上記実施形態、実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 ACF
12 導電性粒子
14 高分子膜
16 接着層
18 ICチップ
20 基板
22 回路パターン
24 バンプ
12 導電性粒子
14 高分子膜
16 接着層
18 ICチップ
20 基板
22 回路パターン
24 バンプ
Claims (10)
- 互いに離間されて規則的に配列された多数の導電性粒子と、
前記多数の導電性粒子を保持する高分子膜と、
前記高分子膜の片面に形成された接着層とを有し、
前記接着層形成面と反対側の前記高分子膜表面は、接着性を有していることを特徴とする異方性導電膜。 - 前記導電性粒子は、ほぼ同一平面内に存在することを特徴とする請求項1に記載の異方性導電膜。
- 前記高分子膜の膜厚は、前記導電性粒子の粒径の1/10倍〜3/2倍の範囲内にあることを特徴とする請求項1または2に記載の異方性導電膜。
- 前記高分子膜は、接着性高分子より形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の異方性導電膜。
- 前記導電性粒子は、前記高分子膜に融着されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の異方性導電膜。
- 前記導電性粒子間の間隔は、1〜30μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の異方性導電膜。
- 規則的に配列された多数の凹部を有する型の前記凹部に保持させた多数の導電性粒子を、高分子製の平坦な膜表面に転写する工程と、
前記転写した導電性粒子を、前記膜内に埋め込んで保持させる工程と、
前記導電性粒子を保持した膜の片面に接着層を形成する工程と、
を有することを特徴とする異方性導電膜の製造方法。 - 前記型は、電鋳型または光造形型であることを特徴とする請求項7に記載の異方性導電膜の製造方法。
- 規則的に配列された多数の凸部を有する型を、高分子製の平坦な膜表面に押しつけることにより、多数の孔部を有する多孔質膜を形成する工程と、
前記多孔質膜の孔部内に導電性粒子を充填する工程と、
前記導電性粒子を充填した膜の片面に接着層を形成する工程と、
を有することを特徴とする異方性導電膜の製造方法。 - 前記型は、電鋳型または光造形型であることを特徴とする請求項9に記載の異方性導電膜の製造方法。
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