JP2009064756A - アルカリ乾電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルカリ乾電池において、電池のショート時の急激な温度上昇、及び漏液の発生等の弊害を招くことなく、高出力パルス放電性能を十分に高める。
【解決手段】正極活物質を含む正極3と、負極活物質を含む負極6と、セパレータ4と、アルカリ電解液とを備え、負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、且つ粒径75μm以下の粒子を11重量%以上含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、アルカリ乾電池に関するものである。
正極に二酸化マンガン、負極に亜鉛、電解液にアルカリ水溶液を用いたアルカリマンガン乾電池は、汎用性が高く安価であるため、各種機器の電源として広く普及している。さらに近年は、機器のデジタル化に対応して、正極にオキシ水酸化ニッケルを添加して出力特性を高めたニッケル含有アルカリ乾電池も急速に普及してきている。
アルカリ乾電池において、負極活物質には、ガスアトマイズ法等により得られる不定形の亜鉛粉を使用する。亜鉛粉はアルカリ電解液中で容易に腐食して水素ガスを発生し、電池内圧の上昇及び漏液の発生を引き起こす原因となる。従って、アルカリ乾電池の耐漏液に関する信頼性は、アルカリ電解液中での亜鉛粉の腐食を抑制することによって大きく向上する。
古くは、負極中に水銀を添加して亜鉛粉表面をアマルガム化することによって、水素発生過電圧を高めるという防食法が行われていた。しかしながら、環境への配慮から、1980〜1990年頃にかけて、アルカリ乾電池の無水銀化が進んだ。無水銀化を可能とした中枢技術は、インジウム、アルミニウム、並びにビスマス及びカルシウム等の少なくとも1種のそれぞれを少量含有する耐食性の高い亜鉛合金粉を用いる技術である(例えば特許文献1参照)。このような高耐食性の亜鉛合金粉の組成は、その後、亜鉛合金粉に含有されるビスマス、インジウム、及びカルシウムの各組成と随伴不純物の鉄量とを最適化する、又は亜鉛合金粉に含有されるカルシウム、ビスマス、及びアルミニウムの各組成と随伴不純物の鉄量とを最適化することで、水素ガスの発生を低減する技術(例えば特許文献2参照)、亜鉛合金粉に含有されるアルミニウム及びカルシウムの量を規制することで、電池放電中の短絡を抑止する技術(例えば特許文献3及び特許文献4参照)等により、技術的に進展してきた。
特公平3−71737号公報 特開平5−86430号公報 特表平8−510010号公報 特表平10−504679号公報 特表2001−512284号公報 特開2002−270164号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示された亜鉛合金粉は何れも、比較的多くのビスマス及び/又はアルミニウムを含有しており、これらの防食元素は放電時の負極の分極を増大させる。このため、負極活物質として特許文献1〜4に開示された亜鉛合金粉を含むアルカリ乾電池は、例えば近年においてニーズの高い、デジタルスチルカメラ用途の高出力パルス放電において満足な性能を得ることが困難である。
ここで、高出力パルス放電性能を高める対策として、ビスマス−インジウム系の亜鉛合金粉において、粒径が75μm以下の粒子(すなわち、−200メッシュの粒子)が占める微粉比率を高め、亜鉛の反応面積を増大させる技術が提案されている(例えば特許文献5参照)。また、アルミニウム−ビスマス−インジウム系の亜鉛合金粉において、粒径75μm以下の粒子が占める微粉比率を20〜30重量%に高める技術が開示されている(例えば特許文献6参照)。しかしながら、このような微粉比率を高める技術は、高出力パルス放電性能を向上させることは可能なものの、その向上度合いは十分とは言い難く、改善の余地が残されていた。
加えて、亜鉛合金粉中の微粉の微粉比率を高めて亜鉛の反応面積を増大させると、電池のショート(外部短絡)時に急激な温度上昇を招いたり、腐食ガスの発生量が増えて漏液が発生するといった、弊害が発生するおそれがある。このような弊害は、特にニッケル含有アルカリ乾電池の場合に顕著である。
さらに、特許文献1〜6に開示された亜鉛合金粉の大半は、防食元素としてのインジウムを0.02〜0.1重量%含む。ここで、近年、インジウムは、液晶ディスプレイの透明導電膜の用途としての需要が増加しており、そのため、インジウムの価格は高騰している。このため、諸特性を確保した上で、インジウム量が低減された亜鉛合金粉を確立することが、低コスト化の観点からは重要である。
前記に鑑み、本発明の目的は、アルカリ乾電池において、電池のショート時の急激な温度上昇、及び漏液の発生等の弊害を招くことなく、高出力パルス放電性能を十分に高めることである。
ここで、亜鉛合金粉中のビスマスは、粒子の粒界部を中心に金属の状態で存在しており、粒子の粒界部での腐食の進行を防止する役割を果たす。そのため、漏液の発生を防止するに当たって、ビスマスは非常に重要な元素である。しかしながら、ビスマスは、電池の内部抵抗を増大させて、高出力パルス放電性能の低下、及びショート時の急激な温度上昇を招くおそれがある。これは、ビスマスが電子伝導性に乏しい「半金属」であることによるものと考えられる。そのため、ビスマスを含有する亜鉛合金粉の場合、何らかの手段を講じて、電池の内部抵抗を低減させる必要がある。
本件発明者らは、「半金属」であるビスマスの電子伝導性を高める為に、ビスマスにドープすることが可能なカルシウムに着目し、さらに鋭意検討を重ねた結果、ビスマスに加えてカルシウムを含有する亜鉛合金粉において、ビスマス重量に対するカルシウム重量の比率Ca/Biを所定の範囲(具体的には、0.1以上0.6以下の範囲)内に設定することが、電池の内部抵抗低減に効果的である点を見出した。この効果は、亜鉛合金中のビスマスに対して適正量のカルシウムがドープされることにより、ビスマスの電子伝導性が高められるためと推察される。
具体的には、前記の目的を達成するために、本発明に係るアルカリ乾電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備え、負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、且つ粒径75μm以下の粒子を11重量%以上含むことを特徴とする。
本発明に係るアルカリ乾電池によると、亜鉛合金粉がビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含む、すなわち、亜鉛合金粉中のビスマス重量に対するカルシウム重量の比率Ca/Biが0.1以上0.6以下であることにより、カルシウムをビスマスにドープさせて、ビスマスの電子伝導性を高めて、電池の内部抵抗を低減させることができる。これにより、高出力パルス放電性能を高めると共に、ショート時の急激な温度上昇を抑制することができる。
加えて、亜鉛合金粉が0.004重量%以上0.02重量%以下のビスマスを含むことにより、亜鉛合金粉の耐食性を高めて、亜鉛合金粉の腐食を防止することができる。これにより、腐食ガスの発生により、漏液が発生することを防止することができる。さらに、亜鉛合金粉が75μm以下の粒子を11重量%以上含むことにより、高出力パルス放電性能をさらに高めることができる。
従って、アルカリ乾電池において、高出力パルス放電性能を十分に高めると共に、ショート時の急激な温度上昇、及び漏液の発生を防止する、すなわち、高性能と高信頼性とを兼ね備えたアルカリ乾電池を提供することができる。
また、亜鉛合金粉はインジウムを含有せずとも高い耐食性を有するため、インジウムの含有によるコストの増大を防止できるので、低コスト化の点においても有利である。
本発明に係るアルカリ乾電池において、亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを20重量%以上40重量%以下含むことが好ましい。
このようにすると、カルシウムをビスマスの存在しない部位に析出させることなく、ビスマスにカルシウムを効果的にドープさせることができる。
本発明に係るアルカリ乾電池において、亜鉛合金粉は、ビスマスを0.005重量%以上0.012重量%以下含むことが好ましい。
このようにすると、亜鉛合金粉の耐食性を効果的に高めることができる。
本発明に係るアルカリ乾電池において、亜鉛合金粉は、粒径75μm以下の粒子を30重量%以上45重量%以下含むことが好ましい。
このようにすると、高出力パルス放電性能を効果的に高めることができる。
本発明に係るアルカリ乾電池において、亜鉛合金粉は、アルミニウムを0.0001重量%以上0.01重量%以下、及び/又はインジウムを0.0001重量%以上0.02重量%以下含むことが好ましい。
このようにすると、亜鉛合金粉の耐食性をさらに高めて、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。
本発明に係るアルカリ乾電池において、負極又はアルカリ電解液は、一般式がR−O−PO32,R−O−SO3X,R−SO3X(但し、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表されるアルキル基、XはH,Na,又はK)で表されるアニオン界面活性剤、及び一般式がR−O−(CH2CH2O)n−PO32,R−O−(CH2CH2O)n−SO3X(但し、1≦n≦3、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表されるアルキル基、XはH,Na,又はK)で表されるアニオン界面活性剤のうち少なくとも1種を、亜鉛合金粉に対し0.003重量%以上0.3重量%以下含むことが好ましい。
このようにすると、アニオン界面活性剤による防食効果を得ることができるので、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。
本発明に係る単3型のアルカリマンガン乾電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えた単3型のアルカリマンガン乾電池であって、正極活物質は、電解二酸化マンガンを含み、負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、放電雰囲気温度が21℃の下、1500mWパルス放電を2秒、続けて、650mW放電を28秒行い、これらの放電を連続して10回繰り返した後、55分間の休止を行い、10回繰り返す放電と55分間の休止とを交互に行い、放電開始から、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに達するまでの合計パルス数を測定すると、110よりも多いことを特徴とする。
本発明に係る単3型のニッケル含有アルカリ乾電池は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えた単3型のニッケル含有アルカリ乾電池であって、正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルを含み、負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、放電雰囲気温度が21℃の下、1500mWパルス放電を2秒、続けて、650mW放電を28秒行い、これらの放電を連続して10回繰り返した後、55分間の休止を行い、10回繰り返す放電と55分間の休止とを交互に行い、放電開始から、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに達するまでの合計パルス数を測定すると、220よりも多いことを特徴とする。
本発明によれば、高出力パルス放電特性に優れると共に、高い信頼性を有するアルカリ乾電池を、安価に提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池は、主要な構成要素として、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えている。正極活物質は、電解二酸化マンガン、電解二酸化マンガン及びオキシ水酸化ニッケル、又はオキシ水酸化ニッケルからなる。負極活物質は、少なくともカルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉からなる。
ここで、本実施形態の最大の特徴点は、亜鉛合金粉にあり、具体的には下記に示す点である。
1)亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含む。すなわち、亜鉛合金粉中のビスマス重量に対するカルシウム重量の比率Ca/Biが0.1以上0.6以下である。
2)亜鉛合金粉は、ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含む。
3)亜鉛合金粉は、粒径75μm以下の粒子を11重量%以上含む。
上記1)〜3)の特徴点について、以下に詳細に説明する。
亜鉛合金粉中のビスマス重量に対するカルシウム重量の比率Ca/Biについて、0.1未満であれば、電池の内部抵抗を十分に低減させることができず、高出力パルス放電性能の向上、ショート時の急激な温度上昇の抑制という効果を十分に発現させることができない。一方、Ca/Biが0.6を超えれば、ビスマスにドープされたカルシウム量が飽和量に達するため、カルシウムがビスマスの存在しない部位にも析出し、高出力パルス放電性能が低下する。この観点から、カルシウムをビスマスにドープさせて、電池の内部抵抗を低減させるには、Ca/Biを0.1以上0.6以下とすることが好ましい。さらに、カルシウムをビスマスに効果的にドープさせるには、Ca/Biを0.2以上0.4以下とする、すなわち、亜鉛合金粉がビスマスに対しカルシウムを20重量%以上40重量%以下含むことが好ましい。
亜鉛合金粉に含有されるビスマス量について、0.004重量%未満であれば、腐食ガスの発生を十分に防止することができず、0.02重量%を超えれば、腐食ガスの発生を防止することは可能なものの、電池の内部抵抗が増大し、高出力パルス放電時の負極の分極を増大させると共に、ショート時に急激な温度上昇を招くおそれがある。この観点から、電池の内部抵抗を増大させることなく、腐食ガスの発生を十分に防止するには、亜鉛合金粉に含まれるビスマス量を0.004重量%以上0.02重量%以下とすることが好ましい。さらに、腐食ガスの発生を効果的に防止するには、ビスマス量を0.005重量%以上0.012重量%以下とすることが好ましい。
ここで、デジタルスチルカメラ用途の高出力パルス放電において満足な性能を得るには、上記に示す1)のように、Ca/Biが0.1以上0.6以下であるだけでなく、さらに、上記に示す3)のように、亜鉛合金粉が粒径75μm以下の粒子を11重量%以上含むことが好ましい。
これにより、亜鉛の反応面積を増大させて、高出力パルス放電性能をさらに高めることができる。このように、Ca/Bi値が0.1以上0.6以下の範囲内を満たすのに加えて、亜鉛合金粉において、粒径75μm以下の微粉(粒子)が占める微粉比率が11重量%以上を満たすことにより、デジタルスチルカメラ用途の高出力パルス放電においても満足な性能を得ることができる。
なお、粒径75μm以下の粒子の微粉比率が45重量%を超えれば、腐食ガスの発生量が増えて漏液が発生するおそれがある。この観点から、高出力パルス放電性能をさらに効果的に高めるには、亜鉛合金粉は粒径75μm以下の粒子を45重量%以下含むことが好ましい。さらに、最も諸特性を引き出し易い微粉比率は、30重量%以上45重量%以下の範囲内である。
また、本実施形態は、上記1)〜3)の特徴点以外にさらに特徴点があり、具体的には以下に示す点である。
4)亜鉛合金粉は、カルシウムとビスマスとに加えて、アルミニウムを0.0001重量%以上0.01重量%以下、及び/又はインジウムを0.0001重量%以上0.02重量%以下含む。
5)負極又はアルカリ電解液は、一般式がR−O−PO32、R−O−SO3X、R−SO3X(但し、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表わされるアルキル基、XはH、Na、又はK)で表わされるアニオン界面活性剤、及び一般式がR−O−(CH2CH2O)n−PO32、R−O−(CH2CH2O)n−SO3X(但し、1≦n≦3、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表わされるアルキル基、XはH、Na、又はK)で表されるアニオン界面活性剤のうち少なくとも1種を、亜鉛合金粉に対し0.003重量%以上0.3重量%以下含む。
上記4),5)の特徴点について、以下に詳細に説明する。
亜鉛合金粉に含有されるアルミニウム量について、0.01重量%を超えれば、高出力パルス放電時に発生する負極の分極増大が顕著となるが、0.01重量%以下であれば、その増大を比較的小さく抑えて、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。そのため、電池設計上、腐食ガスの発生を十分に低減させたい場合には有効である。
亜鉛合金粉に含有されるインジウムは、高出力放電性能の低下、及びショート時の急激な温度上昇を招くことなく、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。従って、性能上の制約は少ないが、コストの観点から、インジウム量については、0.02重量%を上限とし、可能な限り低減化することが好ましい。
なお、亜鉛地金の電解精錬プロセスでは、電極(陰極)としてアルミニウムを用い、亜鉛地金中にはインジウムが含有されている場合が多いため、これら二つの金属元素は、亜鉛合金粉の作製時に意図的に添加しなくても、亜鉛合金粉に0.0001重量%程度含まれてしまうのが通例である。
このように、腐食ガスの発生をさらに防止するには、亜鉛合金粉が、上記2)に示すように、その含有量が適正範囲内に設定されたビスマスを含むのに加えて、さらに、上記4)に示すように、その含有量が適正範囲内に設定されたアルミニウムを含む、及び/又はその含有量が適正範囲内に設定されたインジウムを含むことが好ましい。
また、上記2)に示す構成に加えて、さらに、上記5)に示す構成を採用した場合においても、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。具体的には、上記5)に列挙するアニオン界面活性剤のうち少なくとも1種を、亜鉛合金粉に対し0.003重量%以上0.3重量%以下、負極又はアルカリ電解液に添加させることが好ましい。これらのアニオン界面活性剤は、亜鉛粒子表面に吸着してその表面に吸着層を形成することによって、防食剤として機能する。
負極又はアルカリ電解液に添加されるアニオン界面活性剤の添加量について、亜鉛合金粉に対しアニオン界面活性剤を0.003重量%以上含むことで、アニオン界面活性剤による防食効果を十分に得ることができるので、腐食ガスの発生をさらに防止することができる。また、0.3重量%以下含むことで、高出力放電性能の低下を招くことなく、アニオン界面活性剤による防食効果を得ることができる。
さらに、アニオン界面活性剤の一般式を構成するRについて、疎水基Rの炭素数mの増加に伴い、亜鉛粒子表面に形成されるアニオン界面活性剤からなる吸着層の撥水性が向上する。そのため、Rの炭素数mが4以上であることで、吸着層の撥水性を十分に向上させることができる。一方、Rの炭素数mが18以下であることで、アルカリ電解液中においてアニオン界面活性剤が移動し難くなることを防止し、アニオン界面活性剤分子が放電時に亜鉛粒子表面から離散し易く、放電反応を阻害することがない。
アニオン性親水基としては、アルキルホスフェート(R−O−PO3 2-)、アルキルサルフェート(R−O−SO3 -)、又はアルキルスルホネート(R−SO3 -)が、アルカリ電解液中で安定で且つアルカリ電解液中の不純物イオンと不溶性塩等を形成し難いため好ましい。対イオンXとしては、H、Na、及びKが汎用的に工業生産されており、入手が容易で活用し易い。
また、アニオン界面活性剤が、エチレンオキサイド鎖O−(CH2CH2O)n、すなわち、非イオン性親水基を含み、その末端にリン酸塩(−PO32)を含む、又は硫酸塩(−SO3X)を含む場合、nの増加に伴い、亜鉛粒子表面に吸着されるアニオン界面活性剤の吸着度合いが増加する。そのため、nを1以上3以下の範囲内とすれば、その吸着度合いが適正で、アニオン界面活性剤分子が放電時に亜鉛粒子表面から離散し易く、放電反応を阻害することがない。
次に、本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池の構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池の構造について示す断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池は、主要な構成要素として、正極活物質を含む正極合剤ペレット3と、負極活物質を含むゲル状負極6と、正極合剤ペレット3とゲル状負極6との間に介在するセパレータ4とを備えている。
図1に示すアルカリ乾電池は以下のようにして作製することができる。
まず、内面に黒鉛塗装膜2が形成され、ニッケルメッキされた鋼板からなる正極ケース1内に、正極活物質を含む中空円筒型の正極合剤ペレット3を複数個挿入し、加圧することによって正極ケース1の内面に密着させる。そして、この正極合剤ペレット3内に、円柱状に巻かれたセパレータ4、及び絶縁キャップ5を挿入した後、セパレータ4の内側に、アルカリ電解液を注液し、アルカリ電解液にセパレータ4及び正極合剤ペレット3を湿潤させる。注液後、セパレータ4の内側にゲル状負極6を充填する。ここで、ゲル状負極6は、上記1)〜3)の特徴点を有し、さらに好ましくは上記4)の特徴点を有する亜鉛合金粉を含む負極活物質を、ゲル状のアルカリ電解液(分散媒)に予め混合分散させることにより作製する。次に、樹脂製封口板7、負極端子を兼ねる底板8、及び絶縁ワッシャ9と一体化された負極集電体10を、ゲル状負極6に差し込む。そして、正極ケース1の開口端部を封口板7の端部を介して底板8の周縁部にかしめつけて正極ケース1の開口端部を密着させる。最後に、正極ケース1の外表面に外装ラベル11を被覆する。
以上のようにして、本実施形態に係るアルカリ乾電池を作製することができる。
なお、本実施形態に係るアルカリ乾電池の作製において、ゲル状負極6又はアルカリ電解液に、上記5)に列挙するアニオン界面活性剤を含有させることが好ましい。
ここで、本実施形態に係るアルカリ乾電池について、ANSI規格において定められている単3型アルカリ乾電池のデジタルスチルカメラ用途の放電試験を行うと、以下に示す特性を示す。
なお、ANSIとはAmerican National Standards Institute(米国規格協会)の略称で、同規格において、単3型アルカリ乾電池のデジタルスチルカメラ用途の放電試験として定められている条件の概要は下記の通りである。
−試験条件−
・放電雰囲気温度:21℃
・放電:電池1セルに対して、1500mWパルス放電を2秒、続けて、650mW放電を28秒。これらの放電を連続して10回繰り返し。
・上記の放電(合計5分間)と55分間の休止とを交互に行い、初回の放電開始から、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに達するまでの合計パルス数を測定する。
本実施形態に係るアルカリ乾電池が、単3型で、正極活物質に電解二酸化マンガンのみを用いたアルカリマンガン乾電池である場合、ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験での放電パルス数は、110よりも多く、高出力パルス放電特性を示す(例えば後述の表1〜表4参照)。
また、本実施形態に係るアルカリ乾電池が、単3型で、正極活物質にオキシ水酸化ニッケルのみ、又はオキシ水酸化ニッケル及び電解二酸化マンガンを用いたニッケル含有アルカリ乾電池である場合、ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験での放電パルス数は、220よりも多く、高出力パルス放電特性を示す(例えば後述の表5参照)。
このように、本実施形態に係るアルカリ乾電池が、上記1),2),3)の特徴点を有し、さらに好ましくは、上記4),5)の特徴点を有することにより、ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験において、単3型アルカリマンガン乾電池の場合は、放電パルス数が110よりも多く、また、単3型ニッケル含有アルカリ乾電池の場合は、放電パルス数が220よりも多く、何れの場合も、高出力パルス放電特性を示す。
ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験での放電曲線について、単3型アルカリマンガン乾電池の場合を図2に示し、単3型ニッケル含有アルカリ乾電池の場合を図3に示す。なお、図2に示す放電試験に用いた単3型アルカリマンガン乾電池は、1)亜鉛合金粉中のビスマス重量に対するカルシウム重量の比率Ca/Biが0.3に設定され、2)亜鉛合金粉がビスマスを0.01重量%含み、3)亜鉛合金粉が粒径75μm以下の粒子を35重量%含み、4)亜鉛合金粉がアルミニウムを0.001重量%含み、インジウムを0.01重量%含み、5)負極がアニオン界面活性剤を亜鉛合金粉に対し0.1重量%含む乾電池である。また、図3に示す放電試験に用いた単3型ニッケル含有アルカリ乾電池は、1)Ca/Biが0.3に設定され、2)亜鉛合金粉がビスマスを0.01重量%含み、3)亜鉛合金粉が粒径75μm以下の粒子を35重量%含み、4)亜鉛合金粉がアルミニウムを0.001重量%含み、インジウムを0.01重量%含み、5)負極がアニオン界面活性剤を亜鉛合金粉に対し0.1重量%含む乾電池である。
以下に、本発明の実施例について詳細に説明する。なお、本発明の内容は、これらの実施例に限定されるものではない。
<検討1>
亜鉛合金粉は次のように作製した。純度99.99%以上の亜鉛地金を500℃超の温度で溶解し、これに添加元素を添加し、均一に溶解させて亜鉛合金溶湯を調製した。亜鉛合金溶湯については、亜鉛合金全体に占めるCa,Bi,In,Alの添加元素の含有量が表1中に示した通りとなるように調製した。その後、高圧ガスでこの亜鉛合金溶湯を噴霧(アトマイズ)して粉末化し、篩による分級を行って、亜鉛合金粉を得た。分級については、粒径75μm以下の粒子(−200メッシュの粒子)の微粉比率が表1中に示した通りとなるように調整した。このようにして、表1中に示した亜鉛合金粉(1)〜(26)のそれぞれを作製した。なお、表1中に示す「亜鉛合金粉中の含有量」とは、(添加元素重量/亜鉛合金粉重量)×100[重量%]を意味する。また、「微粉比率」とは、(粒径75μm以下の粒子重量/亜鉛合金粉重量)×100[重量%]を意味する。
ここで、表1中の亜鉛合金粉(1)〜(13)は亜鉛合金粉の最適な組成の把握、亜鉛合金粉(14)〜(20)は粒径75μm以下の粒子の最適な微粉比率の把握を主目的に作製したものである。亜鉛合金粉(21)〜(26)は比較用であり、(21)は特許文献1、(22)は特許文献2、(23)は特許文献3、(24)は特許文献4、(25)は特許文献5、(26)は特許文献6に開示された亜鉛合金粉に該当する。
Figure 2009064756
負極は次のように作製した。ZnOを2重量%含む36重量%の水酸化カリウム水溶液の100重量部に対して、2重量部のポリアクリル酸、及びポリアクリル酸ナトリウムを加えて混合し、ゲル化させて、ゲル状電解液を得た。得られたゲル状電解液は、その後、24時間静置して十分に熟成させた。このゲル状電解液の所定量に対して、重量比で1.8倍の亜鉛合金粉と、防食剤としてのアニオン界面活性剤(C817−O−PO32)とを加えて十分に混合し、ゲル状負極を作製した。ここで、アニオン界面活性剤が亜鉛合金粉に対し0.05重量%含まれるように、アニオン界面活性剤をゲル状電解液に加えた。このようにして、表1中に示した亜鉛合金粉(1)〜(26)のそれぞれに対応するゲル状負極を作製した。
正極は次のように作製した。電解二酸化マンガン及び黒鉛を重量比94:6の割合で配合し、混合粉100重量部に対して電解液(ZnOを2重量%含む36重量%の水酸化カリウム水溶液)1重量部を混合した後、ミキサーで均一に撹拌・混合して一定粒度に整粒した。そして、得られた粒状物を中空円筒型に加圧成型して正極合剤ペレットを作製した。ここで、電解二酸化マンガンは東ソー(株)製のHH−TF、黒鉛は日本黒鉛工業(株)製のSP−20を用いた。
検討1では、単3型の図1に示す構造を有するアルカリマンガン乾電池を作製した。具体的には、正極ケース1内に、各々が中空円筒型で合計重量が10.3gの正極合剤ペレット3を複数個挿入し、再加圧することによって正極ケース1の内面に密着させた。そして、この正極合剤ペレット3内に、(株)クラレ製のビニロン・リヨセル複合不織布からなるセパレータ4、及び絶縁キャップ(底紙)5を挿入した後、セパレータ4の内側に、1.5gの電解液(ZnOを2重量%含む36重量%の水酸化カリウム水溶液)を注液した。注液後、セパレータ4の内側に、6.0gのゲル状負極6を充填した。次に、樹脂製封口板7、負極端子を兼ねる底板8、及び絶縁ワッシャ9と一体化された負極集電体10を、ゲル状負極6に差し込んだ。そして、正極ケース1の開口端部を封口板7の端部を介して底板8の周縁部にかしめつけて正極ケース1の開口端部を密着させた。最後に、正極ケース1の外表面に外装ラベル11を被覆し、アルカリマンガン乾電池を作製した。
以上のようにして、表1中に示した亜鉛合金粉(1)〜(26)のそれぞれに対応する単3型のアルカリマンガン乾電池(1)〜(26)を作製した。
[評価試験]
上記で作製したアルカリマンガン乾電池(1)〜(26)に対して、以下に示す(I)〜(III)の評価試験を行った。
(I)デジタルスチルカメラ用途のパルス放電試験(DSCパルス放電試験)
電池(1)〜(26)のそれぞれを5セル用意し、5セルの電池のそれぞれについて、上述条件のANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験を行い、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに到達するまでの放電パルス数を測定した。5セルの電池のそれぞれに関して測定した放電パルス数を平均して、放電パルス数を求めた。
(II)ショート温度の測定
電池(1)〜(26)のそれぞれを5セル用意し、5セルの電池のそれぞれについて、20℃の恒温室内で、外装ラベルの所定位置(詳細には、正極端子側から約1cmの位置)に熱電対を取り付け、正・負極端子の各々に取り付けたニッケルリードを接触・外部短絡させた際の、電池の最大到達温度を測定した。5セルの電池のそれぞれに関して測定した最大到達温度を平均して、ショート温度を求めた。
(III)耐漏液試験
未放電品の電池(1)〜(26)のそれぞれを20セル用意し、この20セルの電池を60℃で相対湿度90%の環境下に1ヶ月間保存した後、20セルのうち漏液した電池数をカウントして、漏液発生指数[%]を求めた。
(I)〜(III)の評価試験の結果を表2に示す。ここで、ショート温度については、電池(21)の最大到達温度[℃]を100として規格化した数値を示している。
Figure 2009064756
電池(1)〜(13)を見ると、亜鉛合金粉中のビスマス重量に対するカルシウム重量の比率、すなわちCa/Biが0.1以上0.6以下の範囲内にあって、亜鉛合金粉中のビスマス含有量が0.004重量%以上0.02重量%以下の範囲内にある電池(3)〜(11)は、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)及び(III)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。そして、中でも取分け、電池(5)〜(8)は、DSCパルス放電性能とショート温度とが高位にある。
亜鉛合金粉がカルシウムを含有しない電池(1)は、漏液発生指数は0%を示すものの、DSCパルス放電性能が低く、ショート温度も高い。
亜鉛合金粉中のビスマスの含有量が0.002重量%(0.004重量%未満)と少ない電池(2)は、漏液が発生し、逆に、ビスマスの含有量が0.025重量%(0.02重量%超)と多い電池(13)は、DSCパルス放電性能が低く、ショート温度も高い。
Ca/Biが0.1〜0.6の範囲を超えて0.7となる電池(12)は、ショート温度は低いものの、DSCパルス放電性能が低い。これは、Ca/Biが0.6を超えると、ビスマスにドープされたカルシウム量が飽和量に達してカルシウムがビスマスの存在しない部位にも析出し、析出したカルシウムがDSCパルス放電性能を害することによるものと考えられる。
ここで、電池(3)〜(11)のうち電池(5)〜(8)において、DSCパルス放電性能とショート温度とが高位にあるのは、亜鉛合金粉が、ビスマスに対しカルシウムを20重量%以上40重量%以下含む(すなわち、Ca/Biが0.2以上0.4以下の範囲内にある)点と、亜鉛合金粉がビスマスを0.005重量%以上0.012重量%以下含む点との相乗効果によるものと考えられる。
すなわち、Ca/Biを0.2〜0.4の範囲内に設定することにより、カルシウムをビスマスの存在しない部位に析出させることなく、カルシウムをビスマスに効果的にドープさせて、電池の内部抵抗を効果的に低減させることができると考えられる。また、亜鉛合金粉中のビスマスの含有量を0.005〜0.012重量%の範囲内に設定することにより、高出力パルス放電性能の低下、及びショート温度の上昇を招くことなく、腐食ガスの発生を効果的に抑制することができると考えられる。
次に、電池(14)〜(20)を見ると、亜鉛合金粉のうち粒径75μm以下の微粉(粒子)が占める微粉比率を11重量%以上とした電池(16)〜(20)が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)及び(III)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。そして、中でも取分け、粒径75μm以下の粒子の微粉比率を30重量%以上45重量%以下とした電池(17)〜(19)は、DSCパルス放電性能とショート温度とが高位にある。なお、粒径75μm以下の粒子の微粉比率が50重量%の電池(20)は、僅かに漏液が発生するが、DSCパルス放電性能とショート温度とは高位にある。
粒径75μm以下の粒子の微粉比率が11重量%未満の電池(14),(15)は、十分なDSCパルス放電性能を得る(パルス数<110)ことができず、粒径75μm以下の粒子の微粉比率が50重量%の電池(20)は、僅かに漏液が発生する。このようなDSCパルス放電性能において見られる傾向、及び漏液発生指数において見られる傾向は、基本的には微粉比率が異なることにより、亜鉛粉が電解液に接触する表面積(反応面積)が変化する点を反映していると考えられる。なお、特筆すべき内容として、ショート温度は微粉比率を上げるのに比例して高くなるのが通例だが、電池(14)〜(20)の間では電池(17)〜(18)の付近で極小となっている。この原因は不明だが、亜鉛合金粉の組成の適正化(最適量のカルシウム及びビスマスの添加)と、微粉比率の適正化とを同時に行った場合に、何らかの相互作用的な効果が発現している可能性が考えられる。
比較用の電池(21)〜(26)について、粒径75μm以下の粒子の微粉比率が1重量%と、殆ど微粉のない亜鉛合金粉を用いた電池(21)〜(24)は、DSCパルス放電試験での放電パルス数が70〜80程度と極めて少ない。一方、電池(25)〜(26)は、粒径75μm以下の粒子の微粉比率が高いにも拘わらず、DSCパルス放電試験での放電パルス数が110未満に留まっている。加えて、電池(25)〜(26)は、何れもショート温度が高く、漏液も発生する弊害が現れている。これらの結果からも、本発明の実施例に係る電池(3)〜(11)、及び電池(16)〜(20)は、従来の電池に比べて高出力パルス放電特性に非常に優れていると共に、ショート時の急激な温度上昇、及び漏液の発生が抑制されていることが確認される。
<検討2>
検討2では、亜鉛合金粉が含有するアルミニウム及びインジウム(防食元素)について、亜鉛合金粉中のアルミニウム及びインジウムそれぞれの最適な含有量に関する検討を行った。
亜鉛合金粉中にアルミニウム及び/又はインジウムを含有させる点以外は、検討1と同様にして、単3型のアルカリマンガン乾電池(27)〜(35)を作製した。なお、表3左に、亜鉛合金粉(27)〜(35)のそれぞれの、亜鉛合金粉中のCa,Bi,In,Alの含有量、及び粒径75μm以下の粒子の微粉比率を示す。作製した電池(27)〜(35)に対して、検討1の場合と同様に(I)〜(III)の評価試験を行った。得られた評価結果を表3右に示す。ここで、(II)のショート温度の結果は、検討1における電池(21)の最大到達温度[℃]を100として規格化した数値を示している。
Figure 2009064756
電池(27)〜(29)は、亜鉛合金粉がアルミニウムをさらに含有する点以外は、検討1における電池(7)と全て同じであり、電池(27)〜(29)はそれぞれ、亜鉛合金粉中のアルミニウムの含有量が異なる。電池(27)〜(29)のうち、アルミニウムの含有量が0.01重量%以下の範囲内にある電池(27)、(28)は、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)及び(III)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。これに対し、アルミニウムの含有量が0.015重量%(0.01重量%超)の電池(29)は、DSCパルス放電時に発生する負極の分極増大が顕著となり、DSCパルス放電性能が低下する。このことから、アルミニウムの含有量が0.01重量%以下であれば、DSCパルス放電時に発生する負極の分極増大を比較的小さく抑えて、漏液が発生することをさらに防止すると推察される。
電池(30)〜(32)は、亜鉛合金粉がインジウムをさらに含有する点以外は、検討1における電池(7)と全て同じであり、電池(30)〜(32)はそれぞれ、亜鉛合金粉中のインジウムの含有量が異なる。電池(30)〜(32)のうち、全ての電池が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)及び(III)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。このことから、亜鉛合金粉中のインジウムは、DSCパルス放電性能の低下、及びショート時の急激な温度上昇を招くことなく、漏液の発生をさらに防止すると推察される。但し、コストの観点から、亜鉛合金粉中のインジウムの含有量は0.02重量%(電池(32))程度を上限とし、可能な限り低減化することが望ましい。
電池(33)は、亜鉛合金粉がアルミニウム及びインジウムをさらに含有する点以外は、検討1における電池(7)と同じである。電池(33)は、DSCパルス放電性能、ショート温度、及び漏液発生指数の全てが高位にある。従って、亜鉛合金粉がAlのみをさらに含有する電池(27)〜(29)、及びInのみをさらに含有する電池(30)〜(32)の結果とも合わせると、亜鉛合金粉中のアルミニウムの含有量が0.01重量%以下、インジウムの含有量が0.02重量%以下であれば、これらを任意の組み合わせで亜鉛合金粉中に含有させても、ほぼ同様の評価結果を与えると予想される。
亜鉛合金粉にアルミニウム及び/又はインジウムを含有させる効果は、検討1における電池(20)において僅かに漏液が発生する(漏液発生指数:5%)のに対し、電池(34)及び(35)において漏液の発生を防止できる点に見られるように、亜鉛合金粉の耐食性を補完する点にある。電池(20)と電池(34)との比較で判るように、補完元素としてアルミニウムを亜鉛合金粉中に含有させるとDSCパルス放電性能が若干犠牲となり、また、電池(35)の亜鉛合金粉を作製するには若干のコストアップとなる。しかしながら、製品スペック等の関係で、大幅に腐食ガスを低減させる電池設計が必要とされる場合には、カルシウム及びビスマスに加えて、アルミニウム及び/又はインジウムを併用した亜鉛合金粉を用いることが有効と考えられる。
<検討3>
検討3では、負極に添加されるアニオン界面活性剤(防食剤)の種類、及び添加量に関する検討を行った。
負極中のアニオン界面活性剤の種類、及び添加量を、表4左に示すようにした以外は、検討1の電池(7)における亜鉛合金粉中のカルシウム及びビスマスの含有量、並びに粒径が75μm以下の粒子の微粉比率と同様にして、単3型のアルカリマンガン乾電池(36)〜(61)を作製した。なお、表4左中に示す「添加量」とは、(アニオン界面活性剤重量/亜鉛合金粉重量)×100[重量%]を意味する。
電池(36)〜(61)に対する評価として、評価1の場合と同様に、(I)のDSCパルス放電試験、(II)のショート温度の測定を行った。耐漏液性については、アニオン界面活性剤の種類又は添加量の差異による効果上の差異を明確にするために、評価1における(III)の耐漏液試験に加えて、(III)の耐漏液試験の条件よりも非常に厳しい条件下での耐漏液試験(下記の(IV)耐漏液試験参照)を行った。
(IV)耐漏液試験
未放電品の電池(36)〜(61)のそれぞれを20セル用意し、この20セルの電池を80℃で相対湿度90%の環境下に2ヶ月間保存した後、20セルのうち漏液した電池数をカウントして、漏液発生指数[%]を求めた。
(I)〜(IV)の評価試験の結果を表4右に示す。ここで、(II)のショート温度の結果は、検討1における電池(21)の最大到達温度[℃]を100として規格化した数値を示している。
Figure 2009064756
電池(36)〜(61)のうち電池(36)〜(51)のそれぞれは、負極に添加されるアニオン界面活性剤の種類が異なる点以外については同じである。
まず、一般式がR−O−PO32、R−O−SO3X、R−SO3Xで表されるアニオン界面活性剤の種類について、以下に詳細に検討する。
第1に、一般式を構成するRの炭素数について検討する。電池(36)〜(40)は、何れも一般式がR−O−PO32で表されるアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれRの炭素数のみが異なる。電池(36)〜(40)中でも取分け、Rの炭素数が4〜18の範囲内にある電池(37),(38),(39)が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(IV)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。これは、アニオン界面活性剤のRの炭素数が4以上であることで、亜鉛粒子表面に形成される吸着層の撥水性を十分に向上させることができ、一方、Rの炭素数が18以下であることで、アルカリ電解液中においてアニオン界面活性剤が移動し難くなることを防止し、アニオン界面活性剤分子が放電時に亜鉛粒子表面から離散し易く、放電反応を阻害することがないためと考えられる。実仕様においては殆ど支障をきたさないレベルではあるが、Rの炭素数が3の電池(36)は、非常に厳しい条件下での耐漏液性が若干低下し、Rの炭素数が20の電池(40)は、DSCパルス放電性能が若干低下する。
第2に、アニオン性親水基の種類と対イオンの種類とについて検討する。電池(38),(41)〜(44)は、何れも炭素数が8のRを含むアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれアニオン性親水基と対イオンとの組合せが異なる。電池(38),(41)〜(44)の全てが、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(IV)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。何れも対イオンXがNaの電池(41),(43),(44)を見ると、アルキルホスフェート(R−O−PO3 2-)、アルキルサルフェート(R−O−SO3 -)、アルキルスルホネート(R−SO3 -)の間に大差はなく、R−O−PO3 2-、R−O−SO3 -、及びR−SO3 -の何れを採用しても問題ないと考えられる。また、何れもがR−O−PO32の電池(38),(41),(42)を見ると、K、Na、Hの間に大差はなく、対イオンXとしてH、Na、及びKの何れを採用しても問題ないと考えられる。
次に、一般式がR−O−(CH2CH2O)n−PO32、R−O−(CH2CH2O)n−SO3Xで表されるアニオン界面活性剤の種類について、以下に詳細に検討する。
第1に、n値について検討する。電池(45)〜(48)は、何れも一般式がR−O−(CH2CH2O)n−PO32(但し、R=C817)で表されるアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれn値のみが異なる。電池(45)〜(48)の中でも取分け、nが1〜3の範囲内にある電池(45)、(46)、(47)が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(IV)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。アニオン界面活性剤がエチレンオキサイド鎖O−(CH2CH2O)n−、すなわち、非イオン性親水基を含むと、nの増加に伴い亜鉛粒子表面へのアニオン界面活性剤の吸着度合いが増加するが、nを1以上3以下の範囲内とすれば、吸着度合いが適正で、アニオン界面活性剤分子が放電時に亜鉛粒子表面から離散し易く、放電反応を阻害することがないためと考えられる。nが4の電池(48)は、実仕様においては殆ど支障をきたさないレベルではあるが、DSCパルス放電性能が若干低下する。
第2に、エチレンオキサイド鎖の末端に結合する塩の種類について検討する。電池(46),(49)〜(51)は、何れもnが2のエチレンオキサイド鎖を含み、且つ炭素数が8のアルキル鎖Rを含むアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれエチレンオキサイド鎖の末端に結合する塩の種類が異なる。電池(46),(49)〜(51)の全てが、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(IV)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。何れも対イオンXがNaの電池(49),(51)を見ると、(−PO3 2-)、(−SO3 -)の間に大差はなく、(−PO3 2-)、及び(−SO3 -)の何れを採用しても問題ないと考えられる。また、何れもがR−O−(CH2CH2O)2−PO32の電池(46),(49),(50)を見ると、K、Na、Hの間に大差はなく、対イオンXとしてH、Na、及びKの何れを採用しても問題ないと考えられる。
最後に、アニオン界面活性剤の添加量について、以下に詳細に検討する。
電池(52)〜(56)は、何れも一般式がC817−O−PO32で表されるアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれ負極中のアニオン界面活性剤の添加量が異なる。電池(57)〜(61)は、何れも一般式がC817−O−(CH2CH2O)2−PO3Na2で表されるアニオン界面活性剤が負極に添加された電池であり、それぞれ負極中のアニオン界面活性剤の添加量が異なる。電池(52)〜(56)及び電池(57)〜(61)の中でも取分け、亜鉛合金粉に対しアニオン界面活性剤を0.003重量%以上0.3重量%以下含む電池(53)〜(55)、及び電池(58)〜(60)が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(IV)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示している。アニオン界面活性剤は、亜鉛粒子表面に吸着してその表面に吸着層を形成し、防食剤として機能するが、亜鉛合金粉に対しアニオン界面活性剤を0.003重量%以上含むことで、アニオン界面活性剤による防食効果を十分に得ることができるので、腐食ガスの発生をさらに防止することができ、0.3重量%以下含むことで、DSCパルス放電性能の低下を招くことなく、アニオン界面活性剤による防食効果を得ることができる。実仕様においては殆ど支障をきたさないレベルではあるが、添加量が0.002重量%(0.003重量%未満)と少ない電池(52)及び(57)は、非常に厳しい条件下での耐漏液性が若干低下し、添加量が0.35重量%(0.3重量%超)と多い電池(56)及び(61)は、DSCパルス放電性能が若干低下する。
<検討4>
検討4では、正極活物質として電解二酸化マンガン及びオキシ水酸化ニッケルを含むニッケル含有アルカリ乾電池に関する検討を行った。
負極は次のように作製した。検討1における亜鉛合金粉(3)、(6)、(8)、(11)、(16)、(19)、(21)、(25)、及び(26)、並びに検討2における亜鉛合金粉(33)のそれぞれと全く同一の亜鉛合金粉(N3)、(N6)、(N8)、(N11)、(N16)、(N19)、(N21)、(N25)、(N26)、(N33)を作製し、これらの亜鉛合金粉のそれぞれに対応するゲル状負極を作製した。
正極は次のように作製した。オキシ水酸化ニッケルと電解二酸化マンガンと黒鉛とを重量比47:47:6の割合で配合し、混合粉100重量部に対して電解液(ZnOを2重量%含む36重量%の水酸化カリウム水溶液)1重量部を混合した後、ミキサーで均一に撹拌・混合して一定粒度に整粒した。得られた粒状物を中空円筒型に加圧成型して正極合剤ペレットを作製した。なお、用いたオキシ水酸化ニッケルは、硫酸ニッケル水溶液をアルカリで中和して水酸化ニッケルとし、これを次亜塩素酸ナトリウム水溶液で化学酸化することによって得た。
これらを用いて、単3型の図1に示す構造を有するニッケル含有アルカリ乾電池を作製した。正極ケース1内に、各々が中空円筒型で合計重量が10.4gの正極合剤ペレット3を複数個挿入し、再加圧することによって正極ケース1の内面に密着させた。そして、この正極合剤ペレット3内に、(株)クラレ製のビニロン・リヨセル複合不織布からなるセパレータ4、及び絶縁キャップ(底紙)5を挿入した後、セパレータ4の内側に、1.5gの電解液(ZnOを2重量%含む36重量%の水酸化カリウム水溶液)を注液した。注液後、セパレータ4の内側に、5.7gのゲル状負極6を充填した。次に、樹脂製封口板7、負極端子を兼ねる底板8、及び絶縁ワッシャ9と一体化された負極集電体10を、ゲル状負極6に差し込んだ。そして、正極ケース1の開口端部を封口板7の端部を介して底板8の周縁部にかしめつけて正極ケース1の開口端部を密着させた。最後に、正極ケース1の外表面に外装ラベル11を被覆し、ニッケル含有アルカリ乾電池を作製した。
以上のようにして、表5中に示した亜鉛合金粉のそれぞれに対応する単3型のニッケル含有アルカリ乾電池(N3)、(N6)、(N8)、(N11)、(N16)、(N19)、(N21)、(N25)、(N26)、(N33)を作製した。
作製した電池に対して、検討1の場合と同様に(I)〜(III)の評価試験を行った。得られた評価結果を表5に示す。ここで、(II)のショート温度の結果は、比較用の電池(N21)の最大到達温度[℃]を100として規格化した数値を示している。
Figure 2009064756
表5から、ニッケル含有アルカリ乾電池においても、亜鉛合金粉中のCa/Biを0.1以上0.6以下、Biの含有量を0.004重量%以上0.02重量%以下、粒径75μm以下の粒子の微粉比率を11重量%以上した電池(N3)、(N6)、(N8)、(N11)、(N16)、(N19)、(N33)が、(I)の評価試験において優れた性能を示すと共に、(II)〜(III)の何れの評価試験においても優れた信頼性を示すことが確認できる。
なお、ニッケル含有アルカリ乾電池に関する検討4では、検討1のように亜鉛合金粉の組成、及び粒径75μm以下の粒子の微粉比率について、系統立てた検討を行う、検討2のように亜鉛合金粉中のアルミニウム含有量、及びインジウム含有量について、系統立てた検討を行う、並びに検討3のように負極に添加される界面活性剤の種類、及び添加量について、系統立てた検討を行っているわけではないが、検討1〜3のアルカリマンガン乾電池に関する結果を踏まえると、ニッケル含有アルカリ乾電池の場合における最適な亜鉛合金粉の組成、及び粒径75μm以下の粒子の微粉比率、亜鉛合金粉中のアルミニウム含有量、及びインジウム含有量、並びに界面活性剤の種類、及び添加量のそれぞれは全て、アルカリマンガン乾電池の場合と同様であると推察される。
なお、検討3では、アニオン界面活性剤が負極に添加された場合の、亜鉛合金粉に対するアニオン界面活性剤の添加量について検討し、その添加量の最適な範囲を検出したが、この最適な範囲については、当然ながら、アニオン界面活性剤がアルカリ電解液に添加された場合においても、適用されることは言うまでもない。
また、正極合剤の作製に際し、検討1〜3では電解二酸化マンガンと黒鉛とを重量比94:6の割合で配合し、検討4では、オキシ水酸化ニッケルと電解二酸化マンガンと黒鉛とを重量比47:47:6の割合で配合したが、本発明はこれらの配合比率に限定されるものではない。
以上説明したように、本発明に係るアルカリ乾電池は、高出力パルス放電特性に非常に優れていると同時に、ショート時の急激な温度上昇が抑制され、漏液の発生が防止されている、すなわち、高性能と高信頼性とを両立させたアルカリ乾電池であり、デジタルスチルカメラ用途等として有用である。
本発明の一実施形態に係るアルカリ乾電池の構造について示す断面図である。 単3型アルカリマンガン乾電池における、ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験での放電曲線を示す図である。 単3型ニッケル含有アルカリ乾電池における、ANSI規格のデジタルスチルカメラ放電試験での放電曲線を示す図である。
符号の説明
1 正極ケース
2 黒鉛塗装膜
3 正極合剤ペレット
4 セパレータ
5 絶縁キャップ(底紙)
6 ゲル状負極
7 樹脂製封口板
8 底板
9 絶縁ワッシャ
10 負極集電体
11 外装ラベル

Claims (8)

  1. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備え、
    前記負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、
    前記亜鉛合金粉は、
    ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、
    ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、且つ
    粒径75μm以下の粒子を11重量%以上含む
    ことを特徴とするアルカリ乾電池。
  2. 前記亜鉛合金粉は、ビスマスに対しカルシウムを20重量%以上40重量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  3. 前記亜鉛合金粉は、ビスマスを0.005重量%以上0.012重量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載のアルカリ乾電池。
  4. 前記亜鉛合金粉は、粒径75μm以下の粒子を30重量%以上45重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のアルカリ乾電池。
  5. 前記亜鉛合金粉は、アルミニウムを0.0001重量%以上0.01重量%以下、及び/又はインジウムを0.0001重量%以上0.02重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のアルカリ乾電池。
  6. 前記負極又は前記アルカリ電解液は、
    一般式がR−O−PO32,R−O−SO3X,R−SO3X(但し、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表されるアルキル基、XはH,Na,又はK)で表されるアニオン界面活性剤、及び
    一般式がR−O−(CH2CH2O)n−PO32,R−O−(CH2CH2O)n−SO3X(但し、1≦n≦3、Rは一般式がCm2m+1(4≦m≦18)で表されるアルキル基、XはH,Na,又はK)で表されるアニオン界面活性剤のうち少なくとも1種を、前記亜鉛合金粉に対し0.003重量%以上0.3重量%以下含むことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のアルカリ乾電池。
  7. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えた単3型のアルカリマンガン乾電池であって、
    前記正極活物質は、電解二酸化マンガンを含み、
    前記負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、
    前記亜鉛合金粉は、
    ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、
    ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、
    放電雰囲気温度が21℃の下、1500mWパルス放電を2秒、続けて、650mW放電を28秒行い、これらの放電を連続して10回繰り返した後、55分間の休止を行い、10回繰り返す放電と55分間の休止とを交互に行い、放電開始から、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに達するまでの合計パルス数を測定すると、110よりも多いことを特徴とするアルカリマンガン乾電池。
  8. 正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、セパレータと、アルカリ電解液とを備えた単3型のニッケル含有アルカリ乾電池であって、
    前記正極活物質は、オキシ水酸化ニッケルを含み、
    前記負極活物質は、カルシウム及びビスマスを含有する亜鉛合金粉を含み、
    前記亜鉛合金粉は、
    ビスマスに対しカルシウムを10重量%以上60重量%以下含み、
    ビスマスを0.004重量%以上0.02重量%以下含み、
    放電雰囲気温度が21℃の下、1500mWパルス放電を2秒、続けて、650mW放電を28秒行い、これらの放電を連続して10回繰り返した後、55分間の休止を行い、10回繰り返す放電と55分間の休止とを交互に行い、放電開始から、1500mWパルス放電時の下限電圧が1.05Vに達するまでの合計パルス数を測定すると、220よりも多いことを特徴とするニッケル含有アルカリ乾電池。
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