JP2009061731A - インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高速記録に適しており、高速搬送時の搬送精度に優れ、バンディング等の欠陥の発生を抑えた高画質画像の記録が可能なインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体の一方の側にインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、インク受容層を有する側の最表面とバックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数を0.46〜0.77とし、B>−30A+4C+37を満足し、バックコート層中の樹脂のJIS K 7161で測定した破断点応力を30〜100MPa、破断点伸度を2〜40%GLとする。但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2(A:バックコート層側の最表面と耐摩耗性粒子が表面に固着された高剛性ローラとの静摩擦係数、B:バックコート層側の変形量[μm]、C:JIS P 8125で測定した媒体の剛度[CmN・m])
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット法によりインクを付与して記録するのに好適なインクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、記録ヘッドの吐出口からインクの液滴を吐出させ、紙等の記録材料にインクを付着させて画像を記録する記録方式である。
インクジェット記録、特にカラーインクジェット記録においては、多量の水系インクを使用するため、記録材料に高度なインク吸収性が要求される。そこで、インク吸収性に優れ、インクジェット記録に好適な記録材料として、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性樹脂バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
近年、顔料として極微細な無機粒子を使用し、フォトライクな光沢を有する記録材料が知られている。例えば、500nm以下まで粉砕・分散した気相法シリカや湿式法シリカ等の無機超微粒子をインク受容層の顔料成分として用いることが提案されている。例えば、気相法シリカの使用例(例えば、特許文献1〜4参照)、粉砕沈降法シリカの使用例(例えば、特許文献5〜6参照)、粉砕ゲル法シリカの使用例(例えば、特許文献7参照)が開示されている。また、アルミナやアルミナ水和物を用いた記録材料が開示されている(例えば、特許文献8〜11参照)。
しかし、このような無機超微粒子を使用すると、高い光沢とインク吸収性が得られる反面、塗工液の粘度が高くなりやすく、低い固形分濃度で塗布・乾燥する必要がある。特に近年は、高い光沢や写真印画紙ライクな良好な質感を表現したり、吐出された多量のインクによる記録材料の皺(コックリング)をなくすために、ポリオレフィン樹脂被覆紙(基紙の両面にポリエチレン等のポリオレフィン樹脂をラミネートしたもの)が好適に使用されている。ところが、このような樹脂被覆紙は、支持体がインクを吸収できないため、低い固形分濃度の塗液をさらに多量に塗布、乾燥する必要があるため、生産性を高くできないという問題点があった。
また、前記ポリオレフィン樹脂被覆紙を使用したインクジェット記録材料は、紙を支持体に使用したインクジェット記録材料と比較して、プリンターでの搬送性、搬送精度の劣ることが知られている。
搬送性における問題の1つは、プリンター内部の所定の印画位置に高精度に搬送することができず、ノンフィード(給紙不良)を起こしやすく、連続印画が困難となることである。通常、インクジェット記録材料は、インクジェットプリンターの給紙トレイにセットされて使用されるものであり、給紙性が良好なこと、すなわち給紙トレイからプリンター本体への記録材料の給紙がスムーズに行なわれることが重要特性の1つである。
また、上記のような無機超微粒子を用いたインクジェット記録材料は、そのインク吸収性を高めた塗層構造より、外部応力に対して非常に傷つきやすく、数十枚重ねて連続印画を行なった場合、ウラ面によってオモテ面であるインク受容層が傷つくことが搬送性に関するもう1つの問題である。前記ポリオレフィン樹脂被覆紙は、銀塩写真印画紙と同様な質感を得るために剛直度を高く設計することが多く、そのため、ポリオレフィン樹脂被覆紙を使用したインクジェット記録材料は給紙不良を起こしてしまったり、更にはポリオレフィン樹脂被覆紙は写真印画紙用を流用することが多く、この場合の多くはウラ面用の裏塗り層に顔料粒子が含有されており、連続印画時に傷がつく問題があった。
搬送精度の問題について、搬送精度が低い場合、所定の印画位置からズレたところに記録材料の印画領域が送り込まれることになるため、背景のベタ印画部などにバンディングと呼ばれる記録ヘッドの主走査方向に沿った筋状の印画ムラが発生したり、更には白抜けと呼ばれる記録ヘッドの主走査方向に沿った筋状の非印画部が発生し、良好な印画品質が得られない。
ここで、図1を参照して、一般的なインクジェットプリンターにおける紙送り機構を模式的に説明する。図1に示すように、インクジェットプリンターは、紙送りローラー1を備えている。この紙送りローラー1は、記録材料Mのウラ面側と接触する駆動ローラー2と、記録材料Mのオモテ面(被記録面)側に接触する従動ローラー3とからなるローラ対で構成されており、更にプラテン4及び記録ヘッド5を備えている。駆動ローラー2は、駆動モータを動力源として回転量を制御されつつ回転駆動され、従動ローラー3は駆動ローラー2の回転に追従して回転し、これら両ローラーのニップ部で記録材料Mを表裏から挟んで挟圧しつつ、該記録材料Mはホストコンピュータ等から送信される印画データにしたがって送り量をコントロールしながらプラテン4の位置に送られるようになっている。プラテン4位置では、この送り量のコントロールに合わせて、記録ヘッド5によるインク吐出動作が行なわれ、これにより単位領域毎に所定のパターンで記録材料Mにインクが付着し、最終的に画像が形成される。
このような紙送り機構では、紙送りローラー1による記録材料の送り量コントロールが高精度に行なわれることが重要である。この送り量コントロールの精度が低いと、インク滴の着弾位置にズレが生じ、バンディングや白抜けが発生する一因となる。そのため、紙送りを高精度に実現するために、紙送りローラー1を構成する駆動ローラー2として、高剛性ローラーの表面に凹凸が形成されたローラー(表面凹凸ローラー)が採用されるようになってきている。この表面凹凸ローラーは、記録材料と接触する表面が高静摩擦係数化されているため、フィルムのような滑りやすいものに対しても、充分な静摩擦係数を確保でき、記録材料を高精度に搬送できるようになっている。
ところが、上記のポリオレフィン樹脂被覆紙を使用したインクジェット記録材料は、紙送りローラー(駆動ローラー)として上記の表面凹凸ローラーを備え、高精度の搬送が期待できるはずのプリンターにおいて、該駆動ローラーとウラ面側の裏塗り層との間で滑りが発生しやすい傾向がある。そのため、搬送精度が低下し、バンディングや白抜けが発生し易いという問題がある。
上記に関連して、プリンターの搬送精度の向上については種々検討がなされており、例えば、ウラ面に平板状デラミネーテッドカオリンクレー及び加水アロイサイトに変性PVAとSBR(Tg=29.5℃)とを混合した溶液を塗布する技術が提案されている(例えば、特許文献12参照)。
また、金属ローラーを用いた搬送系における搬送量を制御するために、記録面の裏面側にバックコート層を積層する提案がなされている(例えば、特許文献13参照)。平均粒径が0.5μm以下のコロイダルシリカと接着用の樹脂とを40:100の割合で混合し、5g/mの塗布量でウラ面に塗布する技術が提案されている(例えば、特許文献14参照)。さらに、全裏塗り層の固形分に対して70質量%以上のポリウレタン樹脂(Tg=−10〜120℃)を含有し、該樹脂を0.6〜1.5μmの膜厚で塗布する提案がなされている(例えば、特許文献15参照)。
特公平3−56552号公報 特開平10−119423号公報 特開2000−211235号公報 特開2000−309157号公報 特開平9−286165号公報 特開平10−181190号公報 特開2001−277712号公報 特開昭62−174183号公報 特開平2−276670号公報 特開平5−32037号公報 特開平6−199034号公報 特開平6−278357号公報 特開平7−276781号公報 特開2000−6513号公報 特開2005−205765号公報
しかしながら、特許文献12に記載の技術では、PVA、SBRに対する無機微粒子の割合が多く、塗布量も多いことから、ピックアップロールに対する給紙には優れるものの、金属ローラーとの静摩擦係数は低いため、高速印画時における搬送精度は悪くなってしまう。また、上記のように、単に記録面のウラ面側にバックコート層を積層したものでは、オモテ面とウラ面との間の静摩擦係数を考慮しておらず、2枚同時に給紙されるといった、いわゆる重送の可能性がある。また、バックコート層に用いる高分子素材については明確な記載がなく、バックコート層を付与することでかえって搬送性を悪化させる可能性もある。
さらに、上記のコロイダルシリカと接着用の樹脂と所定割合で混合して所定塗布量をウラ面に塗布する技術では、ウラ面への塗布量が多いため、継続的な使用により金属ローラーの凹凸部にコロイダルシリカの微粉が堆積し、金属ローラーと記録媒体ウラ面との静摩擦係数が低下し、搬送精度は低下してしまう。
また、上記のように、所定量以上のポリウレタン樹脂を用いて所定の膜厚で塗布を行なうものでは、支持体として使用可能な剛度の範囲は規定されているものの、支持体の剛度とそれに対して必要な静摩擦係数や、支持体ウラ面に金属ローラーが食い込んだときの押し込み変形量が考慮されていないため、バンディングまでは解消できず、ウラ面の樹脂塗布量が少ないため、高速印画時における搬送精度は低い。
一方、近年では、プリンターの高速化が進んでおり、インクジェットプリンターを用いて記録を行なうに際し、より高速での記録が望まれており、高い印画品質を保つ点から、記録材料の搬送精度の更なる向上が望まれている。
高速印画適性をインクジェット記録用の記録材料に持たせるためには、耐摩耗性粒子が一様に付着した金属ローラーを用いて記録材料を搬送させる場合に、該金属ローラーによって記録材料がウラ面で的確にグリップされる必要がある。
市販されているインクジェット記録用の記録材料は、上市されているインクジェットプリンターに対する適性は有しているものの、記録速度がより高速化したときには、グリップ力が足りず、搬送精度が低下してしまう懸念がある。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、高速記録に適しており、給紙性、連続印画や紙間での耐傷性を保持しつつ、高速搬送時の搬送精度に優れ、バンディングや白抜け等の画像欠陥の発生を抑えた画像品質の高い画像の記録が可能なインクジェット記録媒体、並びに、高速でバンディングや白抜け等の画像欠陥のない画像品質の高い画像を記録できるインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む1層以上のインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にあり、かつ前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体(すなわちインクジェット記録媒体)の剛度をCmN・mとしたとき、下記式(1)を満足し、前記バックコート層が樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLであるインクジェット記録媒体である。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
<2> 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録媒体である。
<3> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする前記<1>又は<2>に記載のインクジェット記録媒体である。
<4> 前記インク受容層が、前記水溶性樹脂を架橋する架橋剤を更に含むことを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体である。
<5> 前記架橋剤が、ホウ素化合物であることを特徴とする前記<4>に記載のインクジェット記録媒体である。
<6> 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む一層以上のインク受容層を有し、他方の側にJIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaでありかつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含むバックコート層を有し、前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲であるインクジェット記録媒体を用い、前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体の剛度をCmN・mとしたときに、下記式(1)を満足する条件で、前記インク受容層にインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法である。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
本発明によれば、高速記録に適しており、給紙性、連続印画や紙間での耐傷性を保持しつつ、高速搬送時の搬送精度に優れ、バンディングや白抜け等の画像欠陥の発生を抑えた画像品質の高い画像の記録が可能なインクジェット記録媒体を提供することができる。
また、本発明によれば、高速でバンディングや白抜け等の画像欠陥のない画像品質の高い画像を記録できるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明のインクジェット記録媒体及びこれを用いたインクジェット記録方法について詳細に説明する。
<インクジェット記録媒体>
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の一方の側に少なくとも一層のインク受容層を設け、他方の側に少なくとも一層のバックコート層を設けて構成されたものであり、下記の(1)〜(3)の特徴を有している。
(1)インク受容層を有する側(以下、オモテ側ともいう。)の最表面(以下、オモテ面ともいう。)と、バックコート層を有する側(以下、ウラ側ともいう。)の最表面(以下、ウラ面ともいう。)との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にある。
(2)下記式(1)を満たす。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
式(1)中、A、B、及びCはそれぞれ、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2の関係を有する。ここで、Aは、バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラの表面に耐摩耗性粒子が固着された紙送りローラー(インクジェットプリンターの内部に配置されている)との静摩擦係数を表す。また、Bは、バックコート層を有する側の層全体の変形量[μm]を表す。Cは、「支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体」のJIS P 8125で測定した剛度[mN・m]を表す。
(3)バックコート層は少なくとも樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLである。
高速印画する際、搬送精度を良好に保つためには、耐摩耗性粒子が一様に付着された高剛性ローラーがインクジェット記録媒体のウラ面に食い付き、高剛性ローラーの駆動力をインクジェット記録媒体にウラ面を介して的確に伝える必要がある。現在市販されているプリンターにおける金属ローラーの駆動スピードはさほど速くないため、インクジェット記録媒体に的確に駆動力を伝えることができている。しかし、高速での印画が可能なプリンターの場合、金属ローラーの駆動速度が速すぎるため、搬送時にインクジェット記録媒体はそのウラ面で滑りが生じてしまい、搬送不良を起こし、これによりバンディングを発生させてしまう。的確に搬送するためには、高速に金属ローラーが回転したときでも滑らず、かつ金属ローラーの駆動力を的確に捉えることができることが条件となる。すなわち、金属ローラーの回転速度とインクジェット記録媒体の進行速度が等しくなることが必要とされる。インクジェット記録媒体は一般に、プリンター側である程度の滑りを考慮したうえで制御されており、その条件においてインクが打滴されている。しかし、より高速で印画しようとした場合、インクジェット記録媒体のウラ面での滑りが律速になり、ウラ面での滑りを改善する必要がある。
本発明においては、(1)インク受容層を有するオモテ側の最表面(オモテ面)と、バックコート層を有するウラ側の最表面(ウラ面)との静摩擦係数を0.46〜0.77とする。この静摩擦係数は、シート状のインクジェット記録媒体を複数枚重ねたときの媒体間の滑りやすさを示すものであり、静摩擦係数は、0.46未満であると搬送精度が低下し、高速搬送時に滑りが生じ、0.77を超えると給紙時や搬送時にインクジェット記録媒体の表面(特に表面、両面にインク受容層を有する場合には両面)が擦れて傷が付きやすくなる。
中でも、前記理由から、0.5〜0.7の範囲内であることが好ましく、0.5〜0.65の範囲内がより好ましい。
オモテ面とウラ面との静摩擦係数は、例えば、オモテ面を構成する例えばインク受容層の構成成分の種類や量、表面凹凸の程度等、及び/又は、ウラ面を構成する例えばバックコート層あるいはバックコート層上に更に層を有するときには該層(例えばインク受容層)の構成成分の種類や量、表面凹凸の程度等を適宜選択することにより調整することができる。
オモテ面とウラ面との静摩擦係数は、JIS P 8147に準じた方法により測定されるものであり、測定器として、表面製試験機トライボキア(TYPE:14DR、新東化学株式会社製)を用いて測定することができる。
また、本発明は前記(2)として、インクジェットプリンターの内部に配置されたインクジェット記録媒体を搬送するための紙送りローラーである高剛性ローラーと、インクジェット記録媒体のバックコート層を有する側の最表面(ウラ面)との静摩擦係数Aを0.84>A>0.44の範囲とする。静摩擦係数Aは、0.44以下であると高速搬送時に滑りが生じてしまい、0.84以上であると、高剛性ローラーとの食い付きが強くなりすぎ、搬送量にバラツキが出てしまう。中でも、同様の理由から、0.5〜0.8の範囲が好ましく、0.55〜0.75の範囲がより好ましい。
ここでの静摩擦係数Aは、上記の静摩擦係数と同様の方法により測定できる。
但し、高剛性ローラーは円柱であるため、所望の長さに切断し、その切断されたローラーの表面(外周面)が60mm角のステンレス板の一方の面と接合するように接着剤で固定する。次に、該ステンレス板の、高剛性ローラーと接合した側と反対側の面の全面に両面テープを貼り付け、上記の測定器に固定する。次に、所望サイズ(例えばA4サイズ)のインクジェット記録媒体の試験片を切り出し、この試験片のウラ面と高剛性ローラー表面とが接するようにセットした後、試験速度7mm/分にて静摩擦係数を測定する。
本発明における「高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラー」とは、インクジェット記録媒体の表面との摩擦係数やグリップ力が向上するように設計された媒体搬送用の金属ローラーであり、具体的には、高剛性ローラーの表面に、平均粒径20〜70μmのセラミック粒子(アルミナ又は炭化ケイ素)が、ローラー表面の面積に対し、20〜80%の分布密度で固着された紙送りローラーである。この詳細は、特開2001−72274号公報の段落番号[0058]〜[0063]に記載されている通りである。
このような金属ローラーについては、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子を固着してなるローラー(例えば、PM−G800(セイコーエプソン(株)製、例えばロットNo.C55101005NA04702276)として内部配置されている紙送りローラー、又は該紙送りローラーと同一設計のローラーを使用できる。
また、高剛性ローラーの表面に固着させる耐磨耗性粒子としては、インクジェット記録媒体のウラ面の食い付きがよく、高速時の搬送精度を向上させる点で、例えば、アルミナ、炭化ケイ素等のセラミックが好ましい。
高剛性ローラーとウラ面との静摩擦係数Aは、例えば、ローラーの表面状態、及び/又は、ウラ面の構成成分の種類や量、表面凹凸の程度等を適宜選択することにより調整することができる。
また、本発明は前記(2)において、バックコート層を有するウラ側に設けられた層全体の変形量[μm]を32>B>20の範囲とする。ここで、変形量とは、紙送りローラーに固着している耐摩耗性粒子によるインクジェット記録媒体のウラ面への押し込み(食い込み)変形量をいう。食い込み変形量は、20μm以下であると紙送りローラーがインクジェット記録媒体のウラ面を的確にグリップすることができず、滑ってしまい、32μm以上であると、耐摩耗性粒子がインクジェット記録媒体のウラ面に埋まってしまうため、搬送精度が低下してしまう。このことは、ウラ面に塗布される樹脂の厚み、物性にも密接に関係する。すなわち、ウラ面にはバックコート層が設けられるが、このバックコート層に含まれる樹脂に求められる物性が重要であり、該樹脂のガラス転移温度(Tg)が0℃以上120℃未満のものであって、膜厚が1.5μm以上20μm以下であることが望ましい。
押し込み(食い込み)変形量は、押し込み試験機(熱機械試験機、TMA:Q400、TAインスツルメンツ株式会社製)により、測定温度25℃下で、直径3mmのジルコニア圧子を用い、加重速度0.1N/minにて0.1〜1N、1〜0.1Nの負荷/除荷測定を行なって最大変形量として求められるものである。
さらに、本発明は前記(2)において、「支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体」、すなわちインクジェット記録媒体の全体のJIS P 8125で測定した剛度[mN・m]を5>C>2の範囲とする。ここで、剛度は、記録媒体のこわさ(コシ)を表す値であり、JIS P 8125に準じた方法により測定される。測定器として、株式会社東洋精機製作所製のTABER TYPE STIFFNESS TESTERを用いて測定することができる。
インクジェット記録媒体の剛度は、2以下であると手にしたときの高級感が損なわれ、、5以上であるとプリンターで画像を形成する時にバンディングを発生させる懸念があるため好ましくない。
インクジェット記録媒体の剛度は、例えば、インク受容層の構成成分(例えば、無機微粒子の種類や含有量、水溶性樹脂の種類や含有量)及び厚み、層数、バックコート層の構成成分(例えば樹脂の種類や含有量)及び厚み、支持体の種類や厚み、両面被覆樹脂の種類や厚み等を適宜選択することにより調整することができる。
次に、本発明は前記(3)として、バックコート層に少なくとも、JIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaであって、かつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含有する。
紙送りローラーとインクジェット記録媒体のウラ面とのグリップ力向上のためには、紙送りローラーに固着している耐摩耗性粒子がウラ面の樹脂に食い込んだ後、高速回転時にそのグリップ力を強い状態で保ち得ることが重要である。すなわち、バックコート層を構成する樹脂の破断点応力を30〜100MPaとする。破断点応力が30MPa未満であると樹脂が脆かったり、伸びやすかったりし、100MPaを超えると 耐摩耗性粒子が食い込みにくいため、グリップ力が低下する。また、同様に破断点伸度については、グリップ力の観点から伸びすぎない方が好ましく、2〜40%GLの範囲であることが好ましい。破断点伸度が2%GL未満であると 耐摩耗性粒子が食い込みにくいか、もしくは樹脂が脆くなるため、グリップ力が低下する懸念があり、40%GLを超えると伸びやすくなりグリップ力が低下する。
破断点応力及び破断点伸度は、JIS K 7161に準じた方法により測定されるものであり、測定器として、テンシロン(型番RTM-50)((株)オリエンテック製)を用いて測定することができる。
破断点応力及び破断点伸度が前記範囲内である樹脂の詳細については後述する。バックコート層の形成は、この樹脂の種類や層中の含有割合等を適宜選択して行なえる。
次に、本発明のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層、バックコート層、支持体等について詳細に説明する。
−インク受容層−
本発明のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層(以下、「オモテ側インク受容層」ということがある。)は、微粒子、及び水溶性樹脂を少なくとも含んでなり、必要に応じて、架橋剤、媒染剤、水溶性多価金属塩化合物、カチオン変性高分子ラテックス等の他の成分を用いて構成することができる。
インク受容層は、支持体の一方の側に1層もしくは2層以上設けることができる。このインク受容層は、いわゆるフォトライクな高画質画像を記録するための記録層であり、インクジェット記録媒体においてこのインク受容層が設けられている側がインクジェット記録媒体のオモテ面である。また、オモテ面にインク受容層を設けると共に、後述のバックコート層が設けられている側にも、バックコート層上に重ねてインク受容層を設けてもよい。
〈微粒子〉
本発明のインク受容層は、微粒子の少なくとも1種を含有する。微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録媒体が得られるので好ましい。
ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量とは、インク受容層を構成する組成物中の水や各種溶剤、溶媒以外の成分に基づいて算出される含有量である。
微粒子としては、無機微粒子が好ましいが、有機微粒子も本発明の効果を損なわない限りにおいて使用することができる。
前記有機微粒子としては、好ましいものとして例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
有機微粒子を用いる場合、有機微粒子はカチオン化されていることが好ましく、また、有機微粒子は主に多孔質構造の柱材を構成するため、造膜性がないあるいは小さいものが望ましく、その最低造膜温度(MFT)は50℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト型水酸化アルミニウム微粒子(以下、単に「擬ベーマイト」と称する。)、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。
これらの中でも、良好な多孔質構造を形成し得る観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、又は擬ベーマイトが好ましい。
微粒子は、1次粒子のまま用いてもよいし、2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。
更には、銀塩写真レベルの鮮鋭度を得られる点で、(好ましくは平均一次粒径が20nm以下の)シリカ微粒子、(好ましくは平均一次粒径が30nm以下の)コロイダルシリカ、(好ましくは平均一次粒径が20nm以下の)アルミナ微粒子、又は(好ましくは平均細孔半径が2〜15nmの)擬ベーマイトがより好ましく、特に、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
前記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
前記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
前記気相法シリカの平均一次粒子径としては1〜30nmが好ましく、1〜20nm以下が更に好ましく、1〜10nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
また、シリカ微粒子は、上記した他の微粒子と併用してもよい。他の微粒子と気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。このうち、アルミナ水和物は、インクをよく吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
コロイダルシリカや二酸化チタンを用いる場合、空隙形成能力が小さいために充分な空隙率が得られないことがあるが、シリカ微粒子とコロイダルシリカとを同一層内に含有する、コロイダルシリカ含有層又は二酸化チタン含有層の重層による等の方法により、本発明の効果を奏する点で効果的である。
また、微粒子の分散性を改善する目的で、微粒子はその表面がシランカップリング剤で処理されていてもよい。シランカップリング剤としては、カップリング処理を行なう部位の他に、有機官能性基(例えば、ビニル基、アミノ基(1級〜3級アミノ基、第4級アンモニウム塩基)、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、アルキル基、フェニル基、エステル基等)を有するものが好ましい。
上述の微粒子をインクジェット記録媒体に用いる場合は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
〈水溶性樹脂〉
本発明のインク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有する。
水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
以上の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシ基を有する樹脂、又はゼラチン類が好ましく、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂の例としては、ポリビニルアルコールをはじめ、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたもの等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
水溶性樹脂の含有量としては、インク受容層の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
本発明に係るインク受容層を主として構成する水溶性樹脂と前記微粒子とは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用してもよい。
なお、透明性を保持する観点からは、微粒子、特にシリカ微粒子に組み合される水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコールがより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコールが特に好ましい。
更には、画像濃度やインク受容層側へのカール防止の観点から、鹸化度75〜95%のポリビニルアルコールが好ましく、鹸化度80〜90%のポリビニルアルコールが最も好ましい。
また、ポリビニルアルコール(PVA)の重合度としては、充分な膜強度を得る観点から、1400〜5000が好ましく、2300〜4000がより好ましい。なお、重合度1400未満と重合度1400以上のポリビニルアルコールを併用して使用してもかまわない。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造のインク受容層を形成されると考えられる。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂は、前記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中、ポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が更に好ましい。
また、後述の「カチオン変性された高分子ラテックス」として、ガラス転移温度(Tg)が40℃以下のものを用いる場合、ポリビニルアルコールの一部又は全部を、アセト酢酸エステル基を有するポリビニルアルコールとすることが、インク受容層の層強度向上の点で好ましい。このアセト酢酸エステル基を有するポリビニルアルコールの使用に際しては、特開2004−277367号、特開2004−268576号、特開2004−168853号、特開2004−83756号、特開2003−301084号の各公報に記載の架橋剤を併用することが好ましい。中でも、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウ等のZr含有化合物が、インク受容層の層強度向上の点で好ましい。
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明に係るインク受容層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、インク受容層の割れや剥がれ等を防止する上でも、インク受容層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
〈架橋剤〉
本発明におけるインク受容層は、微粒子及び水溶性樹脂と共に、更に少なくとも前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層に構成されることが好ましい。
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
前記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋硬化は、微粒子及び水溶性樹脂等を含有する塗布液(塗布液A)及び/又は下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液の塗布により塗設された塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(溶液B)を前記塗布層に付与することにより行なうことが好ましい。架橋剤であるホウ素化合物は、塗布液A又は溶液Bのいずれに含有してもよく、塗布液A及び溶液Bの両方に含有させてもよい。
架橋剤の量は、前記水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
〈他の成分〉
本発明のインク受容層は、上記の微粒子及び水溶性樹脂以外に、媒染剤、水溶性多価金属塩化合物、カチオン変性高分子ラテックスなどの他の成分を用いて構成することができる。
前記媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好適であり、有機媒染剤、無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用してもよいし、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用してもよい。
前記水溶性多価金属塩化合物としては、例えば、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン、モリブデンから選ばれる金属の水溶性塩が挙げられる。水溶性多価金属塩化合物は、形成画像の耐経時滲み(高湿環境下での耐湿性)及び耐水性を向上させることができ、更に耐ガス性、耐光性などの向上にも有効である。
前記カチオン変性高分子ラテックスは、非水溶性のポリマーが水中に乳化もしくは分散された粒径0.001〜0.1μmのコロイド分散液又は半径0.1μm以上のエマルション状の液体に調製されたものであり、例えば、ポリスチレン系、スチレン−ブタジエン共重合体系、アクリロニトリル−ブタジエン系、アクリル酸系、スチレン−アクリル、ウレタン系、メタクリル酸系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系のラテックスが挙げられる。カチオン変性高分子ラテックスの含有は、インク受容層の層強度の向上、インクジェット記録する際のインク受容層表面における傷発生防止、並びに記録後の画像の耐湿性向上(インクの湿熱滲みの防止)の点で効果的である。
上記した媒染剤、水溶性多価金属塩化合物、カチオン変性高分子ラテックスなどの他の成分については、特開2006−334911号公報の段落番号[0086]〜[0161]に記載されている各成分を適宜選択して用いることができる。
−バックコート層−
本発明のインクジェット記録媒体を構成するバックコート層は、支持体の前記オモテ側インク受容層を有する側と反対側に設けられており、少なくとも樹脂を含んでなる。またり、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
バックコート層に用いられる樹脂は、JIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaであり、かつ破断点伸度が2〜40%GLであり、更には、本発明のインクジェット記録媒体における既述の(2)〜(3)の特徴を満たすことを考慮して選択される。
例えば、水性バインダーが挙げられる。水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、ウレタン系アイオノマー、ウレタン系エマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
中でも、耐水性や成膜性の観点からスチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、ウレタン系アイオノマー、ウレタン系エマルジョンが好ましい。
バックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料及びその他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
バックコート層の層厚としては、金属ローラーとの静摩擦係数、押し込み変形量の点で、3〜18μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
−支持体−
本発明のインクジェット記録媒体を構成する支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
前記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
高光沢性の不透明支持体としては、インク受容層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、前記各種紙支持体、前記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
前記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
次に、前記レジンコート紙に用いられる原紙について詳述する。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
原紙の坪量としては、30〜270gが好ましく、特に50〜240gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜240μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、インク受容層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上にインク受容層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の一方の側(オモテ側)に少なくとも1層のインク受容層を形成し、さらに他方の側(ウラ側)にバックコート層及び必要に応じてインク受容層を形成することにより作製することができる。
本発明のインクジェット記録媒体の製造方法については、特に制限はないが、例えば、特開2006−334911号公報の段落番号[0179]〜[0227]に記載されている方法を適宜選択して適用することができる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、支持体の一方の側に無機微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む少なくとも一層のインク受容層を有し、他方の側にJIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaでありかつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含むバックコート層を有し、前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲であるインクジェット記録媒体を用いて、下記式(1)を満足する条件で、前記インク受容層にインクを付与して画像を記録する。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
前記式(1)において、A、B、及びCはそれぞれ、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2の関係を有する。ここで、Aは、バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラの表面に耐摩耗性粒子が固着された紙送りローラー(インクジェットプリンターの内部に配置されている)との静摩擦係数を表す。Bは、バックコート層を有する側の層全体の変形量[μm]を表す。Cは、「支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体」のJIS P 8125で測定した剛度[mN・m]を表す。
無機微粒子、水溶性樹脂、及びこれらを含むインク受容層、樹脂及びこれを含むバックコート層、支持体、並びに、静摩擦係数等及び式(1)などの詳細については既述した通りであり、好ましい態様も同様である。
本発明のインクジェット記録方法は、上記の構成とすることにより、高速記録に適しており、給紙性、連続印画や紙間での耐傷性を保持しつつ、高速搬送時の搬送精度に優れ、高速でバンディングや白抜け等の画像欠陥のない画像品質の高い画像を記録することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下、本実施例では、インクジェット記録媒体として、インクジェット記録用シートを例に具体的に説明する。
なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、質量基準である。
(実施例1)
−支持体の作製−
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
次いで、得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC社製、CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC社製、DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学社製、サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学社(株)製、アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
その後、パルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニルアルコール((株)クラレ製、KL−118)1g/mを塗布して乾燥し、カレンダー処理を行なった。なお、原紙の坪量は208g/mで抄造し、厚さ200μmの原紙(基紙)を得た。
得られた基紙のワイヤー面側(ウラ側)に、コロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて、MFR(メルトフローレート;以下同様)16.0g/10分、密度0.96g/cmの高密度ポリエチレン(ハイドロタルサイト(商品名DHT−4A、協和化学工業(株)製)250ppm、及び二次酸化防止剤(トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、商品名:イルガフォス168、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)200ppmを含有)と、MFR4.0g/10分、密度0.93g/cmの低密度ポリエチレンと、を75/25(質量比)の割合で配合した樹脂組成物を、厚さ36.5g/mとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層Aを形成した。
その後、ウラ側の熱可塑性樹脂層Aの表面に更にコロナ放電処理を施し、下記組成のウラ側用塗布液を203ml/mの塗布量になるように塗布した。これより、ウラ側用塗布液が塗布された後の表面が、インクジェット記録用シートのウラ側の最表面である(以下、ウラ側の最表面を「ウラ面」という。)。
続いて、支持体の前記ウラ面と反対側の面にコロナ処理し、溶融押出機を用いて10%の酸化チタンを有するMFR4.0g/10分、密度0.93g/mの低密度ポリエチレンを40.0g/mになるようにコーティングし、鏡面の熱可塑性樹脂層Bを形成した。これより、熱可塑性樹脂層Bの表面が、インクジェット記録用シートのオモテ側の最表面である(以下、オモテ面側の最表面を「オモテ面」という。)。
以上のようにして、基紙の両面が樹脂被覆された支持体(樹脂被覆紙)を得た。
−ウラ側用塗布液の調製−
下記組成になるように、(1)ポリビニルアルコール溶解液、(2)エマルゲン109P(10%水溶液)、及び(3)イオン交換水を混合し、ウラ側用塗布液を調製した。
〔ウラ側用塗布液の組成〕
(1)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂) …3.5部(固形分として)
〔(株)クラレ製、「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500〕
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.83部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
(3)イオン交換水 …95.7部
−インク受容層用無機微粒子分散液の調製−
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)シャロールDC902Pと、(4)ZA−30とを混合し、非メディア分散機(超音波分散機、(株)エスエムテー製)を用いて分散した後、45℃に加熱して20時間保持し、分散液(インク受容層用無機微粒子分散液)を調製した。
〔分散液の組成〕
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
〔AEROSIL 300SF75、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径7nm〕
(2)イオン交換水 …62.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) …0.87部
〔分散剤、第一工業製薬(株)製〕
(4)ZA−30(酢酸ジルコニル、第一稀元素化学工業(株)製) …0.54部
−インク受容層用塗布液の調製−
下記組成の(1)前記インク受容層用無機微粒子分散液、(2)ホウ酸、(3)ポリビニルアルコール溶解液、(4)エタノール、(5)イオン交換水、及び(6)スーパーフレックス650を30℃下で混合し、インク受容層用塗布液を調製した。
〔インク受容層用塗布液の組成〕
(1)インク受容層用無機微粒子分散液 …59.5部
(2)ホウ酸 …0.59部
(3)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 …31.1部
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製) …2.2部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.72部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル …0.66部
〔ブチセノール20P、協和発酵(株)製〕
・イオン交換水 …27.6部
(4)エタノール …2.6部
(5)イオン交換水 …4.3部
(6)スーパーフレックス650(25%水分散液、第一工業製薬(株)製) …2.2部
−塩基性溶液の組成−
下記組成の各成分を混合、溶解して、塩基性溶液を調製した。
(1)ホウ酸(架橋剤) …0.65部
(2)炭酸ジルコニルアンモニウム …2.5部
(ジルコゾールAC−7(28%水溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(3)炭酸アンモニウム(一級;関東化学(株)製) …3.5部
(4)イオン交換水 …63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …30.0部
〔エマルゲン109P(2%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製〕
−インクジェット記録用シートの作製−
上記より得られた支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記のインク受容層用塗布液を、塗布量が183ml/mとなるように塗布し、塗布層を形成した。このとき、8%のポリ塩化アルミ水溶液(アルファイン83、大明化学工業(株)製)を、インク受容層用塗布液に12.0ml/mの塗布量となるよう、塗布直前に混合し、塗布を行なった。その後、塗布層を、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この間、塗布層は恒率乾燥を示した。
そして、減率乾燥を示す前に、乾燥後の塗布層を上記の塩基性溶液に3秒浸漬し、塗布層の上にその13g/mを付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。
このようにして、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられたインクジェット記録用シートを作製した。
−測定・評価−
以上のようにして作製したインクジェット記録用シートについて、下記の測定、評価を行なった。測定評価の結果は、下記表1に示す。
(1)金属ローラーとの静摩擦係数
インクジェット記録用シートのウラ面と金属ローラーの表面との静摩擦係数を下記方法により測定した。
PM−G800(セイコーエプソン(株)製、ロットNo.C55101005NA04702276)の内部に備えられた紙送りローラー(表面にアルミナ、炭化ケイ素等のセラミック(平均粒子径50μm;耐摩耗性粒子)が固着された高剛性ローラー)を用い、JIS P 8147に準じた方法により、該金属ローラーの表面とインクジェット記録用シートのウラ面との静摩擦係数を測定した。測定機には、表面性試験機 トライボキア(TYPE:14DR、新東化学株式会社製)を用いた。
具体的には、円柱形状である紙送りローラーを、長さ方向と直交する平面で6cm長になるように切断し、切断されたローラーの表面(外周面)をステンレス板(6cm角)の一方の表面と接着剤で固定した。そして、このステンレス板を、ローラーが接着された側と反対側の表面全体に両面テープを貼り付けて、試験機に固定した。一方、インクジェット記録用シートからA4サイズの試験片を切り出し、この試験片とローラーとを、試験片のウラ面とローラーの表面とが接するようにセットした後、試験速度7mm/分にて静摩擦係数の測定を行なった。
(2)押し込み変形量
押し込み試験機(熱機械試験機、TMA:Q400、TAインスツルメンツ株式会社製)を用い、測定温度25℃において、直径3mmのジルコニア圧子を用い、加重速度0.1N/minにて0.1〜1N、1〜0.1Nの負荷/除荷測定を行なった後、最大変形量を求めた。
(3)剛度
JIS P 8125に記載されている方法にて、TABER TYPE STIFFNESS TESTER(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、剛度を測定した。
(4)バンディングの評価
インクジェット記録用シートをA4サイズに切り出し、搬送速度:毎秒100cm、1回の搬送長さ:4.9mmである高速印画可能なプリンターを用いて、オモテ面のインク受容層にグレー画像を一様に印画し、以下の評価基準にしたがって目視評価を行なった。なお、プリンターには、イエロー、マゼンタ、シアン、低濃度マゼンタ、低濃度シアン、及びブラックインクがそれぞれ独立タンクに注入されている。
〈評価基準〉
◎:バンディングが全くなかった。
○:目視でバンディングが僅かに確認できる程度で、打滴の大きさがわかる程度の光学顕微鏡にて打滴を確認した場合に、バンディング打滴の重なりが2μm程度ずれているのが確認された。
△:目視でバンディングが確認できるが、色バランスを崩すほどの程度ではなかった。光学顕微鏡で確認した場合、的確に打滴された場合と比較して6μm程度のズレが確認された。
×:目視でバンディングが確認でき、打滴が極端に重なっている部分と極端に抜けている部分とが交互に発生し、色バランスが崩れていた。
(実施例2)
実施例1において、原紙の坪量を192g/mで抄造し、原紙(基紙)厚さを185μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(実施例3)
実施例1において、原紙の坪量を182g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを175μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の塗布量(203ml/m)を142ml/mに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(実施例4)
実施例1において、原紙の坪量を169g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、HW−350(Tg=59℃;大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールと固形分塗布量が同じになるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(実施例5)
実施例1において、原紙の坪量を169g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、下記のウラ側用塗布液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
〈無機微粒子分散液の調製〉
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)シャロールDC902Pとを混合し、非メディア分散機(超音波分散機、(株)エスエムテー製)を用いて分散した後、45℃に加熱して20時間保持し、ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液を調製した。
〔分散液の組成〕
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
〔AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径7nm〕
(2)イオン交換水 …65.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) …0.87部
〔分散剤、第一工業製薬(株)製〕
〈ウラ側用塗布液Bの調製〉
下記組成の(1)前記ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液、(2)ホウ酸、(3)ポリビニルアルコール溶解液、(4)エタノール、(5)イオン交換水、及び(6)マット剤を30℃で混合し、ウラ側用塗布液Bを調製した。
〔裏側用塗布液Bの組成〕
(1)ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液 …59.5部
(2)ホウ酸 …1.06部
(3)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 …31.1部
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製) …2.2部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.72部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル …0.66部
〔ブチセノール20P、協和発酵(株)製〕
・イオン交換水 …27.6部
(4)エタノール …2.0部
(5)イオン交換水 …3.2部
(6)マット剤(P−78D(凝集粒子径8μm)、水澤化学工業(株)製) …0.01部
(実施例6)
実施例5において、原紙の坪量を169g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の塗布量(203ml/m)を81ml/mに変更したこと以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例1)
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、1050B−NE(大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールと固形分塗布量が同じになるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例2)
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、1050B−NE(大日本インキ化学工業(株)製)を、その固形分塗布量が前記ポリビニルアルコールの固形分塗布量の1/4になるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例3)
実施例1において、原紙の坪量を208g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを200μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、塗布したウラ側用塗布液(203ml/m)に代えて、実施例5で調製したウラ側用塗布液Bを塗布量が2倍(406ml/m)になるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例4)
実施例1において、ウラ側用塗布液を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例5)
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、HW−350(Tg=59℃;大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールの固形分塗布量の2倍になるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例6)
実施例4において、原紙の坪量を280g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例7)
実施例5において、原紙の坪量を280g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例8)
実施例6において、原紙の坪量を280g/mで抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
(比較例9)
比較のインクジェット記録用シートとして、「EPSON写真用紙<光沢>(型番KA420PSK)」(セイコーエプソン(株)製)を用意した。また、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
Figure 2009061731
前記表1に示すように、実施例1〜6のインクジェット記録用シートでは、ローラーとのグリップ力が強く、搬送精度が良好なため、バンディングは発生しなかった。
これに対し、比較例1では、押し込み変形量が多いため、ローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。また、比較例2では、押し込み変形量が少なすぎるためにローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。比較例3では、ローラーとの静摩擦係数が大きすぎるため、的確に搬送される場合とそうでない場合とが混在し、部分的にバンディングが発生してしまった。比較例4では、ウラ面に適切な樹脂を塗布していないため、ローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。比較例5では、押し込み変形量及び静摩擦係数がともに大きく、プリンター側で規定した以上に搬送量が多くなり、また、搬送量にバラツキが生じ、バンディングが発生してしまった。比較例6〜8では、剛度が大きすぎるため、本実施例で使用したプリンターの規定ではバンディングが発生した。比較例9では、静摩擦係数が不足しているため、高速印画適性がなく、やはりバンディングが発生した。
一般的なインクジェットプリンターにおける紙送り機構を模式的に説明する断面図である。
符号の説明
1…紙送りローラー
2…駆動ローラー
3…従動ローラー
4…プラテン
5…記録ヘッド

Claims (6)

  1. 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む1層以上のインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、
    前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にあり、かつ
    前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体の剛度をCmN・mとしたとき、下記式(1)を満足し、
    B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
    〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
    前記バックコート層が樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLであるインクジェット記録媒体。
  2. 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記インク受容層が、前記水溶性樹脂を架橋する架橋剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記架橋剤が、ホウ素化合物であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む一層以上のインク受容層を有し、他方の側にJIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaでありかつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含むバックコート層を有し、前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲であるインクジェット記録媒体を用い、
    前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体の剛度をCmN・mとしたときに、下記式(1)
    B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
    〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
    を満足する条件で、前記インク受容層にインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法。
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