JP2009061731A - インクジェット記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体の一方の側にインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、インク受容層を有する側の最表面とバックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数を0.46〜0.77とし、B>−30A+4C+37を満足し、バックコート層中の樹脂のJIS K 7161で測定した破断点応力を30〜100MPa、破断点伸度を2〜40%GLとする。但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2(A:バックコート層側の最表面と耐摩耗性粒子が表面に固着された高剛性ローラとの静摩擦係数、B:バックコート層側の変形量[μm]、C:JIS P 8125で測定した媒体の剛度[CmN・m])
【選択図】なし
Description
インクジェット記録、特にカラーインクジェット記録においては、多量の水系インクを使用するため、記録材料に高度なインク吸収性が要求される。そこで、インク吸収性に優れ、インクジェット記録に好適な記録材料として、支持体上に非晶質シリカ等の顔料とポリビニルアルコール等の水溶性樹脂バインダーからなる多孔質のインク受容層を設けてなる記録材料が知られている。
搬送性における問題の1つは、プリンター内部の所定の印画位置に高精度に搬送することができず、ノンフィード(給紙不良)を起こしやすく、連続印画が困難となることである。通常、インクジェット記録材料は、インクジェットプリンターの給紙トレイにセットされて使用されるものであり、給紙性が良好なこと、すなわち給紙トレイからプリンター本体への記録材料の給紙がスムーズに行なわれることが重要特性の1つである。
また、上記のような無機超微粒子を用いたインクジェット記録材料は、そのインク吸収性を高めた塗層構造より、外部応力に対して非常に傷つきやすく、数十枚重ねて連続印画を行なった場合、ウラ面によってオモテ面であるインク受容層が傷つくことが搬送性に関するもう1つの問題である。前記ポリオレフィン樹脂被覆紙は、銀塩写真印画紙と同様な質感を得るために剛直度を高く設計することが多く、そのため、ポリオレフィン樹脂被覆紙を使用したインクジェット記録材料は給紙不良を起こしてしまったり、更にはポリオレフィン樹脂被覆紙は写真印画紙用を流用することが多く、この場合の多くはウラ面用の裏塗り層に顔料粒子が含有されており、連続印画時に傷がつく問題があった。
また、上記のように、所定量以上のポリウレタン樹脂を用いて所定の膜厚で塗布を行なうものでは、支持体として使用可能な剛度の範囲は規定されているものの、支持体の剛度とそれに対して必要な静摩擦係数や、支持体ウラ面に金属ローラーが食い込んだときの押し込み変形量が考慮されていないため、バンディングまでは解消できず、ウラ面の樹脂塗布量が少ないため、高速印画時における搬送精度は低い。
高速印画適性をインクジェット記録用の記録材料に持たせるためには、耐摩耗性粒子が一様に付着した金属ローラーを用いて記録材料を搬送させる場合に、該金属ローラーによって記録材料がウラ面で的確にグリップされる必要がある。
市販されているインクジェット記録用の記録材料は、上市されているインクジェットプリンターに対する適性は有しているものの、記録速度がより高速化したときには、グリップ力が足りず、搬送精度が低下してしまう懸念がある。
<1> 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む1層以上のインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にあり、かつ前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体(すなわちインクジェット記録媒体)の剛度をCmN・mとしたとき、下記式(1)を満足し、前記バックコート層が樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLであるインクジェット記録媒体である。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
また、本発明によれば、高速でバンディングや白抜け等の画像欠陥のない画像品質の高い画像を記録できるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の一方の側に少なくとも一層のインク受容層を設け、他方の側に少なくとも一層のバックコート層を設けて構成されたものであり、下記の(1)〜(3)の特徴を有している。
(1)インク受容層を有する側(以下、オモテ側ともいう。)の最表面(以下、オモテ面ともいう。)と、バックコート層を有する側(以下、ウラ側ともいう。)の最表面(以下、ウラ面ともいう。)との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にある。
(2)下記式(1)を満たす。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
式(1)中、A、B、及びCはそれぞれ、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2の関係を有する。ここで、Aは、バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラの表面に耐摩耗性粒子が固着された紙送りローラー(インクジェットプリンターの内部に配置されている)との静摩擦係数を表す。また、Bは、バックコート層を有する側の層全体の変形量[μm]を表す。Cは、「支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体」のJIS P 8125で測定した剛度[mN・m]を表す。
(3)バックコート層は少なくとも樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLである。
中でも、前記理由から、0.5〜0.7の範囲内であることが好ましく、0.5〜0.65の範囲内がより好ましい。
但し、高剛性ローラーは円柱であるため、所望の長さに切断し、その切断されたローラーの表面(外周面)が60mm角のステンレス板の一方の面と接合するように接着剤で固定する。次に、該ステンレス板の、高剛性ローラーと接合した側と反対側の面の全面に両面テープを貼り付け、上記の測定器に固定する。次に、所望サイズ(例えばA4サイズ)のインクジェット記録媒体の試験片を切り出し、この試験片のウラ面と高剛性ローラー表面とが接するようにセットした後、試験速度7mm/分にて静摩擦係数を測定する。
紙送りローラーとインクジェット記録媒体のウラ面とのグリップ力向上のためには、紙送りローラーに固着している耐摩耗性粒子がウラ面の樹脂に食い込んだ後、高速回転時にそのグリップ力を強い状態で保ち得ることが重要である。すなわち、バックコート層を構成する樹脂の破断点応力を30〜100MPaとする。破断点応力が30MPa未満であると樹脂が脆かったり、伸びやすかったりし、100MPaを超えると 耐摩耗性粒子が食い込みにくいため、グリップ力が低下する。また、同様に破断点伸度については、グリップ力の観点から伸びすぎない方が好ましく、2〜40%GLの範囲であることが好ましい。破断点伸度が2%GL未満であると 耐摩耗性粒子が食い込みにくいか、もしくは樹脂が脆くなるため、グリップ力が低下する懸念があり、40%GLを超えると伸びやすくなりグリップ力が低下する。
本発明のインクジェット記録媒体を構成するインク受容層(以下、「オモテ側インク受容層」ということがある。)は、微粒子、及び水溶性樹脂を少なくとも含んでなり、必要に応じて、架橋剤、媒染剤、水溶性多価金属塩化合物、カチオン変性高分子ラテックス等の他の成分を用いて構成することができる。
本発明のインク受容層は、微粒子の少なくとも1種を含有する。微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、微粒子のインク受容層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録媒体が得られるので好ましい。
これらの中でも、良好な多孔質構造を形成し得る観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、又は擬ベーマイトが好ましい。
更には、銀塩写真レベルの鮮鋭度を得られる点で、(好ましくは平均一次粒径が20nm以下の)シリカ微粒子、(好ましくは平均一次粒径が30nm以下の)コロイダルシリカ、(好ましくは平均一次粒径が20nm以下の)アルミナ微粒子、又は(好ましくは平均細孔半径が2〜15nmの)擬ベーマイトがより好ましく、特に、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
本発明のインク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも1種を含有する。
水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂の例としては、ポリビニルアルコールをはじめ、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたもの等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
なお、透明性を保持する観点からは、微粒子、特にシリカ微粒子に組み合される水溶性樹脂の種類が重要となる。前記気相法シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコールが好ましく、その中でも、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコールがより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコールが特に好ましい。
更には、画像濃度やインク受容層側へのカール防止の観点から、鹸化度75〜95%のポリビニルアルコールが好ましく、鹸化度80〜90%のポリビニルアルコールが最も好ましい。
インクジェット記録において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
本発明におけるインク受容層は、微粒子及び水溶性樹脂と共に、更に少なくとも前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層に構成されることが好ましい。
上記の架橋剤は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインク受容層は、上記の微粒子及び水溶性樹脂以外に、媒染剤、水溶性多価金属塩化合物、カチオン変性高分子ラテックスなどの他の成分を用いて構成することができる。
本発明のインクジェット記録媒体を構成するバックコート層は、支持体の前記オモテ側インク受容層を有する側と反対側に設けられており、少なくとも樹脂を含んでなる。またり、必要に応じて、他の成分を用いて構成することができる。
中でも、耐水性や成膜性の観点からスチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン、ウレタン系アイオノマー、ウレタン系エマルジョンが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録媒体を構成する支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、支持体の一方の側に無機微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む少なくとも一層のインク受容層を有し、他方の側にJIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaでありかつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含むバックコート層を有し、前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲であるインクジェット記録媒体を用いて、下記式(1)を満足する条件で、前記インク受容層にインクを付与して画像を記録する。
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、質量基準である。
−支持体の作製−
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解し、パルプスラリーを調製した。
以上のようにして、基紙の両面が樹脂被覆された支持体(樹脂被覆紙)を得た。
下記組成になるように、(1)ポリビニルアルコール溶解液、(2)エマルゲン109P(10%水溶液)、及び(3)イオン交換水を混合し、ウラ側用塗布液を調製した。
〔ウラ側用塗布液の組成〕
(1)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂) …3.5部(固形分として)
〔(株)クラレ製、「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500〕
(2)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.83部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
(3)イオン交換水 …95.7部
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)シャロールDC902Pと、(4)ZA−30とを混合し、非メディア分散機(超音波分散機、(株)エスエムテー製)を用いて分散した後、45℃に加熱して20時間保持し、分散液(インク受容層用無機微粒子分散液)を調製した。
〔分散液の組成〕
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
〔AEROSIL 300SF75、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径7nm〕
(2)イオン交換水 …62.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) …0.87部
〔分散剤、第一工業製薬(株)製〕
(4)ZA−30(酢酸ジルコニル、第一稀元素化学工業(株)製) …0.54部
下記組成の(1)前記インク受容層用無機微粒子分散液、(2)ホウ酸、(3)ポリビニルアルコール溶解液、(4)エタノール、(5)イオン交換水、及び(6)スーパーフレックス650を30℃下で混合し、インク受容層用塗布液を調製した。
〔インク受容層用塗布液の組成〕
(1)インク受容層用無機微粒子分散液 …59.5部
(2)ホウ酸 …0.59部
(3)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 …31.1部
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製) …2.2部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.72部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル …0.66部
〔ブチセノール20P、協和発酵(株)製〕
・イオン交換水 …27.6部
(4)エタノール …2.6部
(5)イオン交換水 …4.3部
(6)スーパーフレックス650(25%水分散液、第一工業製薬(株)製) …2.2部
下記組成の各成分を混合、溶解して、塩基性溶液を調製した。
(1)ホウ酸(架橋剤) …0.65部
(2)炭酸ジルコニルアンモニウム …2.5部
(ジルコゾールAC−7(28%水溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(3)炭酸アンモニウム(一級;関東化学(株)製) …3.5部
(4)イオン交換水 …63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …30.0部
〔エマルゲン109P(2%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製〕
上記より得られた支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記のインク受容層用塗布液を、塗布量が183ml/m2となるように塗布し、塗布層を形成した。このとき、8%のポリ塩化アルミ水溶液(アルファイン83、大明化学工業(株)製)を、インク受容層用塗布液に12.0ml/m2の塗布量となるよう、塗布直前に混合し、塗布を行なった。その後、塗布層を、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この間、塗布層は恒率乾燥を示した。
そして、減率乾燥を示す前に、乾燥後の塗布層を上記の塩基性溶液に3秒浸漬し、塗布層の上にその13g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。
このようにして、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられたインクジェット記録用シートを作製した。
以上のようにして作製したインクジェット記録用シートについて、下記の測定、評価を行なった。測定評価の結果は、下記表1に示す。
インクジェット記録用シートのウラ面と金属ローラーの表面との静摩擦係数を下記方法により測定した。
PM−G800(セイコーエプソン(株)製、ロットNo.C55101005NA04702276)の内部に備えられた紙送りローラー(表面にアルミナ、炭化ケイ素等のセラミック(平均粒子径50μm;耐摩耗性粒子)が固着された高剛性ローラー)を用い、JIS P 8147に準じた方法により、該金属ローラーの表面とインクジェット記録用シートのウラ面との静摩擦係数を測定した。測定機には、表面性試験機 トライボキア(TYPE:14DR、新東化学株式会社製)を用いた。
具体的には、円柱形状である紙送りローラーを、長さ方向と直交する平面で6cm長になるように切断し、切断されたローラーの表面(外周面)をステンレス板(6cm角)の一方の表面と接着剤で固定した。そして、このステンレス板を、ローラーが接着された側と反対側の表面全体に両面テープを貼り付けて、試験機に固定した。一方、インクジェット記録用シートからA4サイズの試験片を切り出し、この試験片とローラーとを、試験片のウラ面とローラーの表面とが接するようにセットした後、試験速度7mm/分にて静摩擦係数の測定を行なった。
押し込み試験機(熱機械試験機、TMA:Q400、TAインスツルメンツ株式会社製)を用い、測定温度25℃において、直径3mmのジルコニア圧子を用い、加重速度0.1N/minにて0.1〜1N、1〜0.1Nの負荷/除荷測定を行なった後、最大変形量を求めた。
JIS P 8125に記載されている方法にて、TABER TYPE STIFFNESS TESTER(株式会社東洋精機製作所製)を用いて、剛度を測定した。
インクジェット記録用シートをA4サイズに切り出し、搬送速度:毎秒100cm、1回の搬送長さ:4.9mmである高速印画可能なプリンターを用いて、オモテ面のインク受容層にグレー画像を一様に印画し、以下の評価基準にしたがって目視評価を行なった。なお、プリンターには、イエロー、マゼンタ、シアン、低濃度マゼンタ、低濃度シアン、及びブラックインクがそれぞれ独立タンクに注入されている。
〈評価基準〉
◎:バンディングが全くなかった。
○:目視でバンディングが僅かに確認できる程度で、打滴の大きさがわかる程度の光学顕微鏡にて打滴を確認した場合に、バンディング打滴の重なりが2μm程度ずれているのが確認された。
△:目視でバンディングが確認できるが、色バランスを崩すほどの程度ではなかった。光学顕微鏡で確認した場合、的確に打滴された場合と比較して6μm程度のズレが確認された。
×:目視でバンディングが確認でき、打滴が極端に重なっている部分と極端に抜けている部分とが交互に発生し、色バランスが崩れていた。
実施例1において、原紙の坪量を192g/m2で抄造し、原紙(基紙)厚さを185μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、原紙の坪量を182g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを175μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の塗布量(203ml/m2)を142ml/m2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、原紙の坪量を169g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、HW−350(Tg=59℃;大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールと固形分塗布量が同じになるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、原紙の坪量を169g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、下記のウラ側用塗布液Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)シャロールDC902Pとを混合し、非メディア分散機(超音波分散機、(株)エスエムテー製)を用いて分散した後、45℃に加熱して20時間保持し、ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液を調製した。
〔分散液の組成〕
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
〔AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製、平均一次粒子径7nm〕
(2)イオン交換水 …65.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) …0.87部
〔分散剤、第一工業製薬(株)製〕
下記組成の(1)前記ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液、(2)ホウ酸、(3)ポリビニルアルコール溶解液、(4)エタノール、(5)イオン交換水、及び(6)マット剤を30℃で混合し、ウラ側用塗布液Bを調製した。
〔裏側用塗布液Bの組成〕
(1)ウラ側用塗布液用の無機微粒子分散液 …59.5部
(2)ホウ酸 …1.06部
(3)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 …31.1部
・PVA−235(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製) …2.2部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) …0.72部
〔エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6部、花王(株)製〕
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル …0.66部
〔ブチセノール20P、協和発酵(株)製〕
・イオン交換水 …27.6部
(4)エタノール …2.0部
(5)イオン交換水 …3.2部
(6)マット剤(P−78D(凝集粒子径8μm)、水澤化学工業(株)製) …0.01部
実施例5において、原紙の坪量を169g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを163μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、ウラ側用塗布液の塗布量(203ml/m2)を81ml/m2に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、インクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、1050B−NE(大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールと固形分塗布量が同じになるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、1050B−NE(大日本インキ化学工業(株)製)を、その固形分塗布量が前記ポリビニルアルコールの固形分塗布量の1/4になるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、原紙の坪量を208g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを200μmとし、更にこの基紙のウラ側に設けた熱可塑性樹脂層にコロナ放電処理を施し、塗布したウラ側用塗布液(203ml/m2)に代えて、実施例5で調製したウラ側用塗布液Bを塗布量が2倍(406ml/m2)になるように塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、ウラ側用塗布液を塗布しないこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例1において、ウラ側用塗布液の調製に用いたポリビニルアルコールに代えて、HW−350(Tg=59℃;大日本インキ化学工業(株)製)を前記ポリビニルアルコールの固形分塗布量の2倍になるように調整して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例4において、原紙の坪量を280g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例5において、原紙の坪量を280g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例5と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
実施例6において、原紙の坪量を280g/m2で抄造し、原紙(基紙)の厚さを269μmとしたこと以外は、実施例6と同様にして、比較のインクジェット記録用シートを作製し、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
比較のインクジェット記録用シートとして、「EPSON写真用紙<光沢>(型番KA420PSK)」(セイコーエプソン(株)製)を用意した。また、実施例1と同様の測定、評価を行なった。測定評価の結果は下記表1に併せて示す。
これに対し、比較例1では、押し込み変形量が多いため、ローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。また、比較例2では、押し込み変形量が少なすぎるためにローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。比較例3では、ローラーとの静摩擦係数が大きすぎるため、的確に搬送される場合とそうでない場合とが混在し、部分的にバンディングが発生してしまった。比較例4では、ウラ面に適切な樹脂を塗布していないため、ローラーが滑ってしまい、搬送精度が低下した。比較例5では、押し込み変形量及び静摩擦係数がともに大きく、プリンター側で規定した以上に搬送量が多くなり、また、搬送量にバラツキが生じ、バンディングが発生してしまった。比較例6〜8では、剛度が大きすぎるため、本実施例で使用したプリンターの規定ではバンディングが発生した。比較例9では、静摩擦係数が不足しているため、高速印画適性がなく、やはりバンディングが発生した。
2…駆動ローラー
3…従動ローラー
4…プラテン
5…記録ヘッド
Claims (6)
- 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む1層以上のインク受容層を有し、他方の側にバックコート層を有するインクジェット記録媒体において、
前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲にあり、かつ
前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体の剛度をCmN・mとしたとき、下記式(1)を満足し、
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
前記バックコート層が樹脂を含み、JIS K 7161で測定した前記樹脂の、破断点応力が30〜100MPaであり、破断点伸度が2〜40%GLであるインクジェット記録媒体。 - 前記微粒子が、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイトからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記インク受容層が、前記水溶性樹脂を架橋する架橋剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記架橋剤が、ホウ素化合物であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録媒体。
- 支持体の一方の側に微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含む一層以上のインク受容層を有し、他方の側にJIS K 7161で測定した破断点応力が30〜100MPaでありかつ破断点伸度が2〜40%GLである樹脂を含むバックコート層を有し、前記インク受容層を有する側の最表面と前記バックコート層を有する側の最表面との静摩擦係数が0.46〜0.77の範囲であるインクジェット記録媒体を用い、
前記バックコート層を有する側の最表面と、高剛性ローラーの表面に耐摩耗性粒子が固着された、インクジェットプリンターの紙送りローラーとの静摩擦係数をAとし、前記バックコート層を有する側の層全体の変形量をBμmとし、JIS P 8125で測定した前記支持体並びにインク受容層及びバックコート層を含む層全体の剛度をCmN・mとしたときに、下記式(1)
B>−30A+4C+37 ・・・式(1)
〔但し、0.84>A>0.44、32>B>20、5>C>2〕
を満足する条件で、前記インク受容層にインクを付与して画像を記録するインクジェット記録方法。
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