JP2010234751A - インクジェット記録媒体及びその製造方法、並びにインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】両面記録する際のカールの発生を防止することができるインクジェット記録媒体の製造方法及びインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより原紙の両側に形成された樹脂層と、樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体を準備する工程と、インクジェット記録媒体の、外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する工程と、樹脂層B側への記録後、インクジェット記録媒体の、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する工程とを有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、両面記録を行なうインクジェット記録媒体及びその製造方法並びにインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方法は、インクを受容する記録層が多孔質構造に構成されたインクジェット記録媒体が提案され、実用化されている。その一例として、無機顔料粒子及び水溶性バインダーを含み、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録媒体があり、多孔質構造を有するためにインクの速乾性に優れ、高い光沢を有する等、写真ライクな画像の記録が可能な材料として広く用いられるに至っている。
近年、このようなインクジェット記録用の記録材料においても、フォトブックなどの商業用のプリント等として両面に画像を記録する用途が求められつつある。両面にインクを打滴して画像記録する場合、高画質で高光沢な画像をより高速で記録できるだけでなく、記録材料としての品質上、記録中ないし記録後においてカール等の変形が生じにくいことが重要である。
両面記録用の記録材料として、インクジェット記録層中の無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ支持体の片面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が300nm以下であり、更に支持体の他面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であるインクジェット記録材料が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここでは、平均二次粒子径が300nm以下であって、かつ熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が表裏で異なることで、表裏でインク付着量が大きく異なる場合でも、印字後のカール特性が良好で光沢性、耐オゾン性、画質、インク吸収性にも優れるとされている。
特開2005−119217号公報
しかしながら、非吸収性の支持体の両面にインクジェット受像層を持つインクジェット記録媒体を用いて片側にプリントした後すぐにその反対側にプリントしようとした場合、初めにプリントした面の乾燥が不充分であったり、逆に過乾燥気味になる等のためにその裏面記録時の搬送路でカールが生じ、インクを吐出するヘッド周辺の部材と接触したり、更には用紙端部にインク汚れが付着してしまう問題が発生する。これは、両面に高速処理する場合に起こりやすいものの、汎用機などでも、連続して両面に記録するようなケースでは同様の現象が起こり得る。
特にプリント直後は、インク溶媒が受像層中に多く残っており、受容層中のバインダーを可塑化する可塑剤として働き、マイナスカールが発生しやすい。この現象は、可塑剤を加えることにより調整することも可能であるが、濃度低下などの弊害が大きい。
画像の種類等に応じて変化するインク量などの条件に関わらず、常に一方向に一定レベルのカールが生じる状態となれば、一方の側のみに記録した状態での変形防止やその後に他方の側に記録する場合の記録の安定化が期待できる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、両面記録する際のカールの発生を防止することができるインクジェット記録媒体及びその製造方法並びにインクジェット記録方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、紙等の基材の両側に樹脂層やインク受容層を有する記録材料では、最終的に画像が記録された状態でのカール等の形状バランスをとる観点から基材の両側の層構造を揃えるのが通例であるが、特にインクジェット法でインクを吐出して記録する記録系の場合、一方の面に記録した後すぐに他方の面への記録を開始しようとすると、一方の面に記録した直後は基材の片側のみにインク溶媒が多く残っている状態となったり、あるいは過乾燥気味になるなど、画像の種類当に応じたインク量により媒体の片側への記録が終った時点でのカールが異なりやすく、これが他面記録時の形状変化を引き起こして走行性、走行軌跡を不安定化するとの知見を得、かかる知見に対処するために達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 原紙と、該原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体である。
<2> 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上であり、かつ曲げ弾性率が1.7GPa以上であることを特徴とする前記<1>に記載のインクジェット記録媒体である。
<3> 原紙の両側に形成された前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記<1>又は前記<2>に記載のインクジェット記録媒体である。
<4> ロール状に巻き取られる長尺形状を有することを特徴とする前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のインクジェット記録媒体である。
<5> 原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂を冷却ロールでラミネートすることにより前記原紙の両側に樹脂層を形成すると共に、前記ラミネートを、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように行なう樹脂層形成工程と、前記原紙の両側に設けられた樹脂層の上にそれぞれインク受容層を形成する受容層形成工程と、を有するインクジェット記録媒体の製造方法である。
<6> 原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体を準備する媒体準備工程と、前記インクジェット記録媒体の、外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第1のインク付与工程と、樹脂層B側への記録後、前記インクジェット記録媒体の、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第2のインク付与工程と、を有するインクジェット記録方法である。
<7> 更に、前記第1及び前記第2のインク付与工程の間に、画像が記録された前記インクジェット記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程を有することを特徴とする前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記インクジェット記録媒体を、搬送路に前記樹脂層A側から吸着しつつ搬送する第1の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の前記樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、画像が記録された前記インクジェット記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、カール方向が矯正されたインクジェット記録媒体を、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の画像が記録されていない樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、を有することを特徴とする前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
<9> 前記インクジェット記録媒体が、長尺形状を有し、ロール状に巻回されたロール状の記録媒体であって、
前記ロール状の記録媒体を、搬送路に前記樹脂層A側から吸着しつつ搬送する第1の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着された記録媒体の前記樹脂層B側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、画像が記録された記録媒体における前記画像の少なくとも搬送方向下流側を切断し、所定サイズに成形する切断成形工程と、成形された前記記録媒体からインク成分の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、前記乾燥除去後の記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、前記矯正後の記録媒体の表裏を反転し、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に前記樹脂層B側から吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着された前記記録媒体の画像が記録されていない前記樹脂層A側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、を有することを特徴とする前記<6>に記載のインクジェット記録方法である。
<10> 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上であり、かつ曲げ弾性率が1.7GPa以上であることを特徴とする前記<6>〜前記<9>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
<11> 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記<6>〜前記<10>のいずれか1つに記載のインクジェット記録方法である。
本発明によれば、両面記録する際のカールの発生を防止することができるインクジェット記録媒体及びその製造方法並びにインクジェット記録方法を提供することができる。これにより、記録時の吐出用ヘッドへの接触など、カールの発生に伴なう走行性不良及びインク汚れの付着を防止することができる。
原紙に樹脂層を溶融押出しラミネートしているところを示す概略図である。 コロナ放電処理装置の構成例を示す概略構成図である。 実施形態に係る画像記録装置の構成を示す側面図である。 実施形態に係る吸着搬送部の構成を示す斜視図である。 実施形態に係る吸着搬送部の構成を示す断面図である。
以下、本発明のインクジェット記録媒体及びその製造方法、並びにこれを用いたインクジェット記録方法について詳細に説明する。
<インクジェット記録媒体及びその製造方法>
本発明のインクジェット記録媒体は、原紙と、該原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより原紙の両側に形成された樹脂層と、樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを設けて構成されたものである。
本発明においては、原紙の両面に樹脂層を溶融押出しラミネートにより形成する場合に、溶融押出し後の樹脂に対して、ラミネート時に原紙の表側、裏側のそれぞれに当接する冷却ロールの径を変えることで、ロール径の比の選択により片面側のみが記録された後の搬送時における搬送性を改善することが可能であるので、一時的に記録媒体の片側のみにインク溶媒が多く存在する状態が形成されたり、乾燥収縮したときの表裏バランスの崩れが緩和され、記録前、片側記録後、及び両面記録後における表裏バランスが保たれる。これより、片側のみに記録したときのカールの発生、及びそれに伴なうインク吐出用のヘッド等との接触などで発生するインク汚れの付着が回避され、記録材料としての品質が高められる。
本発明のインクジェット記録媒体は、原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂を冷却ロールでラミネートすることにより原紙の両側に樹脂層を形成するときに、ラミネートを、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように行なう樹脂層形成工程と、原紙の両側に設けられた樹脂層の上にそれぞれインク受容層を形成する受容層形成工程と、を設けて作製されるものである。
以下、本発明のインクジェット記録媒体及びその製造方法について詳細に説明する。
−樹脂層形成工程−
本発明のインクジェット記録媒体は、原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂を冷却ロールでラミネートすることにより、原紙の両側に樹脂層が形成されてなるものである。このとき、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすようにラミネートを行なう。
<樹脂層>
樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;共重合ポリエステル、ポリエステルアミド、等が挙げられる。樹脂層は、これらの樹脂を2種以上混合して形成することもできる。また、樹脂層は、複数層が積層されて形成されてもよく、一方の面と他方の面とで樹脂の種類や積層数が異なってもよい。
中でも、前記樹脂としては、記録後の乾燥の影響を受けることなくカールバランスを保持する点で、ガラス転移温度(Tg;以下、「Tg」と略記することがある。)が、−130℃以上の樹脂が好ましく、−20℃以上の樹脂がより好ましく、35℃以上の樹脂が更に好ましい。Tgの上限値は、400℃以下が望ましい。Tgは、示差走査熱量測定(DSC)により計測される値である。また、前記樹脂は、インク量の変化や乾燥収縮によるカール変化を緩和できる硬度を確保する点で、曲げ弾性率が1.0GPa以上の樹脂が好ましく、1.7GPa以上の樹脂がより好ましく、2.0GPa以上の樹脂が更に好ましい。曲げ弾性率の上限値は、20GPa以下が望ましい。曲げ弾性率は、ASTM規格(米国材料試験協会;American Society for Testing and Materials)のD790に記載の試験方法により得られる値である。
中でも、より硬く、所定の方向に所望のカールを保持しやすい観点から、Tgが35℃以上(更には50℃以上)であって、曲げ弾性率が1.7GPa以上(更には2.0GPa以上)である場合(この場合はPEを含まない)が特に好ましい。
上記のうち、融点、他の樹脂との混合適性、表面処理の容易さを有し、所定の方向に所望のカールを保持しやすい観点から、前記樹脂はポリオレフィン系樹脂又はポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂がより好ましい。
また、樹脂層中には、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウムなどの白色顔料、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩、イルガノックス1010,同1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)などの酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セシリアンブルー、フタロシアニンブルーなどのブルーの顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガン紫などのマゼンタの顔料や染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて加えることができる。例えば酸化チタンを含有する場合、その含有量は樹脂に対して概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。
樹脂層の厚みとしては、10〜70μmの範囲が好ましく、15〜50μmの範囲がより好ましい。樹脂層の厚みは、10μm以上であると、ある程度のコシの強さが得られ、所定の方向に所望のカールを保持しやすく、また、70μm以下であると、樹脂の冷却の均一化、コスト面で有利である。
樹脂層は、原紙の上に溶融押出しにより樹脂を設けた後、原紙の一方の側の樹脂と他方の側の樹脂とを、それぞれ外径が大小異なる冷却ロールを用いてラミネートすることにより形成される。樹脂層は、例えば、外径A[μm]の冷却ロールを含むロール対を通過させて該冷却ロールで原紙の一方の側の樹脂をラミネートし、外径Aより大径の外径B[μm](B>A)の冷却ロールを含むロール対を通過させて該冷却ロールで原紙の他方の側の樹脂をラミネートすることにより形成できる。
樹脂層の形成方法について、図1を参照して好ましい態様の一例を説明する。
図1に示すように、走行する原紙104の上に押出ダイ105から溶融して押出された樹脂106を、原紙と共にニップロール107と冷却ロール108とからなるロール対の間を通過させることで、そのニップ部で圧し拡げて原紙にラミネートすることにより、樹脂層を形成することができる。
溶融押出しは、押出ダイの形態には特に制限はなく、例えば、フィートブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプ等の単層もしくは多層押出ダイを用いた溶融押出し法、ラミネーター等によるラミネート法、多層同時に押出しコーティングする共押出しコーティング法のいずれの方法も用いることができる。押出ダイの形状としては、特に制限はなく、目的等に応じて適宜選択することができ、例えば、Tダイ、コートハンガーダイ等が好適に挙げられる。
冷却ロールの冷却温度は、冷却効率、冷却速度の観点から、4〜50℃の範囲が好ましく、5〜30℃の範囲がより好ましい。
冷却ロールを含むロール対を用いてラミネートする場合のロール間のニップ部のニップ圧は、冷却効率や冷却速度、冷却の均一化の観点から、1MPa以上が好ましく、2MPa以上がより好ましい。
本発明においては、原紙の一方の側をラミネートする際の冷却ロールと、原紙の他方の側をラミネートする際の冷却ロールとは、互いに外径[μm]が異なるように選択する。このとき、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと、他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たす。すなわち、原紙の一方の側へ凹となるカールを付与する。B/Aは、1.2未満であると、カールの 防止効果が低下し、20を超えると、カールが付き過ぎ、逆に媒体の片側に記録した後の搬送性が低下する。本発明においては、一方の側へのカールをより強め、片側にのみ画像記録した際のインクやその乾燥に伴ない生じるカールを効果的に抑制し得る点で、前記外径A,Bは、1.2≦B/A≦15の関係を満たすことが好ましく、1.5≦B/A≦10の関係を満たすことがより好ましい。
このとき、冷却ロールの外径は5cm〜400cmが好ましく、10cm〜300cmがより好ましい。外径は、5cm以上であると溶融樹脂の冷却能力が不足なく得られ、400cm以下であると、冷却ロールの作製が容易であるほか、コスト面でも好ましい。
原紙の表裏に樹脂をラミネートする順番は、一方の面を先に外径の大きい冷却ロール(外径B)でラミネートし、後に他方の面を外径の小さい冷却ロール(外径A)でラミネートしてもよいし、あるいは逆に、一方の面を先に外径の小さい冷却ロール(外径A)でラミネートし、後に他方の面を外径の大きい冷却ロール(外径B)でラミネートしてもよい。
また、原紙の一方の側と他方の側とをオンラインで連続してラミネートしてもよく、また、原紙の一方の側をラミネートした後に一度巻き取り、その後に他方の側にラミネートするようにしてもよい。
冷却ロールの表面に凹凸を設けておき、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した樹脂層を設けた形態の支持体として使用することもできる。
また、樹脂層を原紙の上に溶融押出しラミネートする前に、原紙と樹脂層との接着を強固にするために原紙に前処理を施しておくことが好適である。前処理としては、硫酸クロム酸混液による酸エッチング処理、ガス炎による火炎処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、アルキルチタネート等のアンカーコート剤を用いたアンカーコート処理等が挙げられ、目的等に応じて選択できる。中でも、簡便さの点から、コロナ処理が好ましい。コロナ処理の場合、水との接触角が70°以下になるように処理することが好ましい。
前記アンカーコート剤としては、有機チタン系、イソシアネート系(ウレタン系)ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系等が知られている。具体的には、前記有機チタン系として、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のアルキルチタネート、ブトキシチタニウムステアレート等のチタンアシレート、チタニウムアセチルアセトネート等のチタンキレート等が挙げられ、また、前記イソシアネート系(ウレタン系)として、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
<原紙>
原紙としては、特に制限はなく、一般に用いられている紙を使用できるが、より好ましくは例えば写真用支持体に用いられているような平滑な原紙が好ましい。原紙を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いることができる。
原紙は、例えば、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10〜70質量%が好ましい。
前記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好適に用いられ、漂白処理を行なって白色度を向上させたパルプも有用である。また、原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
原紙の坪量としては、250g/m以下が好ましく、搬送時の走行性の点から、180g/m以下がより好ましい。坪量の下限値は、写真としての風合い、手触り感の点で、30g/mが望ましい。坪量の更に好ましい範囲は、120〜170g/mである。原紙には、抄紙段階又は抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えてもよい。また、原紙密度は、0.7〜1.2g/cm(JIS P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙の厚みには、特に制限はないが、紙を抄造中又は抄造後にカレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等した、表面平滑性の良いものが好ましい。
−受容層形成工程−
受容層形成工程は、原紙の両側に設けられた樹脂層の上にそれぞれ、少なくとも1層のインク受容層を形成する。インク受容層は、無機粒子及びバインダーを少なくとも用いて形成することができ、必要に応じて、更にバインダーを架橋する架橋剤や媒染剤など他の成分を用いて構成することができる。
本発明におけるインク受容層の厚みとしては、特に制限されるものではないが、20〜50μmが好ましく、特に好ましくは25〜40μmである。
また、インク受容層は無機粒子とバインダーを含有することにより多孔質構造に構成することができるが、多孔質構造である場合は、本発明の効果がより奏される点から、空隙率は50%〜80%が好ましく、比表面積は100m/g以上が好ましく、細孔比容積は0.5ml/g以上が好ましい。また、インク受容層の平均細孔径は30nm以下とすることができる。
<無機粒子>
本発明のインク受容層は、無機粒子の少なくとも1種を含有する。無機粒子としては、例えば、非晶質合成シリカ、不定形、ベーマイト、擬ベーマイトなどのアルミナ粒子、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土などが挙げられる。中でも、インク吸収性、画像鮮明性の点で、アルミナ又はアルミナ水和物等のアルミナ粒子、非晶質合成シリカが好ましい。
アルミナ粒子としては、各種のアルミナ化合物を用いることができる。一般に、ジブサイト、バイヤライト、又はベーマイトなどの水酸化アルミニウムを加熱することにより、その結晶形をχ→κ→α、γ→δ→θ→α、η→θ→α、ρ→η→θ→α又は擬γ→θ→αのように各種の中間アルミナを経てα−アルミナに遷移させ、粒径を成長させ得ることが知られている(例えば電気化学、28巻(1960)、p302、船木・清水著)。
また、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、及び硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を熱分解することによって、無定形アルミナからγ−、δ−又はθ−などの中間アルミナを経てα−アルミナに遷移させ得ることも知られている(例えば鉱物学雑誌、19巻、1号(1990)、p21、p41)。
アルミナ粒子は、δ−又はγ−アルミナより選ばれるのが好ましく、その形状などには特に限定はない。
アルミナ粒子を分散、粉砕等するには、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等を用いることができ、より効果的に分散あるいは粉砕する観点からは、圧力式分散方法が好ましい。また、酢酸、硝酸、乳酸、塩酸等の酸を添加すると効率よく行なえる。
前記圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中で高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×10〜343.2×10Paが好ましく、より好ましくは49.0×10〜245.3×10Paであり、更に好ましくは98.1×10〜196.2×10Paである。高圧粉砕により処理することで、良好な分散あるいは粉砕が行なえる。
更には、高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散あるいは粉砕方法を採用することがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐し、さらに流路をオリフィスにより狭めることによって、流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由から、ダイヤモンドが好ましく用いられる。高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルタイザー、ナノマイザーが好ましい。
アルミナ粒子として、アルミナ水和物の粒子を選択してもよい。例えば、下記式1で表される化合物が挙げられる。
Al・nHO ・・・式1
アルミナ粒子は、組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイヤライト、ノルストランダイト、ベーマイト、擬ベーマイト、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、ベーマイト及び擬ベーマイトが好ましい。前記式1において、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ粒子を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ粒子を表す。nが3以上では、非晶質構造のアルミナ粒子を表す。
好ましいアルミナ粒子は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造を有するアルミナ粒子である。
アルミナ粒子は、これより構成されるキセロゲルが高いインク吸収容量を示す点で、キセロゲルの細孔容積が0.3〜0.8ml/gであるのが好ましく、0.4〜0.6ml/gであるのがより好ましい。インク受容層を形成する場合、単位面積当たりのインク受容層の溶媒吸収量としては、インクが溢れ防止の点から、5ml/m以上であるのが好ましく、特には10ml/m以上であることが好ましい。
アルミナ粒子は、BET法による比表面積が70〜300m/gの範囲であることが好ましい。比表面積は、70m/g以上であるとアルミナ粒子の分散が良好に行なえ、300m/g以下であるとインク中の染料の定着効率がよく、滲みが抑えられた画像が得られる。
アルミナ粒子の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよい。好ましい形状は、インク吸収性の観点からは平板状が好ましい。平板状のアルミナ粒子は、平均アスペクト比3〜8が好ましく、より好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表されるものである。ここで粒子の直径とは、アルミナ粒子を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円としてみたときの該円の直径である。平均アスペクト比は、3以上であるとインク受容層の細孔径分布が広く、インク吸収性が良好であり、8以下であると粒子の揃ったアルミナ粒子が得られる。
アルミナ粒子は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解など、公知の方法により製造が可能である。前記アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、イソプロポキシド、プロポキシド、2−ブトキシドなどが挙げられる。
また、アルミナ粒子の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積、表面水酸基の数等は、析出温度、熟成時間、液pH、液濃度及び共存塩類等により制御が可能である。
アルミナ粒子を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書、Am. Ceramic Soc.Bull.,54, 289(1975)等に記載の、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法を参照することができる。
上記のほか、アルミナ粒子を得る他の方法として、特開昭54−116398号公報、同55−23034号公報、同55−27824号公報、同56−120508号公報に記載の、アルミニウムの無機塩又はその水和物を原料とする方法がある。無機塩としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等やそれらの水和物が挙げられる。
前記非晶質合成シリカ(以下、シリカ粒子ともいう。)は、製造法によって湿式法シリカ、気相法シリカ、及びその他に大別することができる。
湿式法シリカは、さらに製造方法によって沈降法シリカ、ゲル法シリカ、ゾル法シリカに分類される。このうち、沈降法シリカは、珪酸ソーダと硫酸をアルカリ条件で反応させて製造され、粒子成長したシリカ粒子が凝集・沈降し、その後濾過、水洗、乾燥、粉砕・分級の工程を経て製品化される。沈降法シリカとしては、例えば、東ソー・シリカ(株)からニップシールとして、(株)トクヤマからトクシールとして市販されている。また、ゲル法シリカは、珪酸ソーダと硫酸を酸性条件下で反応させて製造される。熟成中に微小粒子は溶解し、他の一次粒子同士を結合するように再析出するため、明確な一次粒子は消失し、内部空隙構造を有する比較的硬い凝集粒子が形成される。例えば、東ソー・シリカ(株)からニップゲルとして、グレースジャパン(株)からサイロイド、サイロジェットとして市販さている。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸などによる複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られ、例えば日産化学工業(株)からスノーテックスとして市販されている。
気相法シリカは、湿式法シリカに対して乾式法シリカとも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作製される。具体的には、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独又は四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは、日本アエロジル(株)からアエロジル、(株)トクヤマからQSタイプとして市販されている。
気相法シリカは、カチオン性化合物の存在下で、該気相法シリカの平均二次粒子径が500nm以下、好ましくは10〜300nm、更に好ましくは20〜200nmに分散することにより好適に用いられる。分散方法としては、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合し、次いでボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等で分散を行なうことが好ましい。
また、気相法シリカの一次粒子の平均粒径については、50nm以下が好ましく、より好ましくは5〜30nmである。
前記気相法シリカは、一次粒子が網目構造又は鎖状に繋がりあって二次的に凝集した状態で存在し、高いインク吸収性が得られる点で好ましい。気相法シリカは、一次粒子径が非常に小さいため、高画質の画像が得られる。
無機粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。動的光散乱法は、半導体レーザーから発射された光を分散媒体中の粒子に照射し、粒子から反射された光から粒子径を解析する方法であり、凝集している粒子全体の大きさを求めることができる。動的光散乱法による平均二次粒子径は、動的光散乱法粒子径測定装置コールターN4(コールター社製)を用いて測定されるものである。
気相法シリカ等の無機粒子の分散には、カチオン性化合物を用いることができる。カチオン性化合物としては、カチオン性ポリマー又は水溶性金属化合物が挙げられる。
前記カチオン性ポリマーとしては、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミン、ポリアリルアミン、アルキルアミン重合物、特開昭59−20696号、同昭59−33176号、同昭59−33177号、同昭59−155088号、同昭60−11389号、同昭60−49990号、同昭60−83882号、同昭60−109894号、同昭62−198493号、同昭63−49478号、同昭63−115780号、同昭63−280681号、同平1−40371号、同平6−234268号、同平7−125411号、同平10−193776号公報等に記載の1〜3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有するポリマーが好ましい。特に、カチオン性ポリマーとしてはジアリルアミン誘導体が好ましい。分散性及び分散液粘度の点で、これらのカチオンポリマーの分子量は、2000〜10万程度が好ましく、特に2000〜3万程度が好ましい。
前記水溶性金属化合物としては、例えば水溶性の多価金属塩が挙げられ、中でもアルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)の化合物が好ましい。特に好ましくは、水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩として、塩化アルミニウム又はその水和物、硫酸アルミニウム又はその水和物、アンモニウムミョウバン等が挙げられる。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物も好ましい。
上記のほか、無機粒子として、従来公知の各種顔料を用いることも可能であり、例えば、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、などの無機顔料を挙げることができる。
無機微粒子のインク受容層中における含有量としては、空隙率の高い多孔質構造を形成し、インク吸収性を付与する点から、層の固形分に対して、55〜75質量%の範囲が好ましい。
<バインダー>
本発明のインク受容層は、バインダーの少なくとも1種を含有する。前記無機粒子と共にバインダーを含有することにより、多孔質性の層を形成することができる。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等やメラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダーが挙げられる。
バインダーは、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。また、染料を定着する目的でカチオン性樹脂を併用してもよい。
本発明において、前記無機粒子としてシリカ粒子を用いるときには、構造中に水酸基を有することによりこの水酸基とシリカ粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成してシリカ粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造が形成されやすい点で、ポリビニルアルコールが好ましい。
バインダー(特にポリビニルアルコール)のインク受容層中における含有量としては、インク受容層の全固形分に対して、9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。バインダーの含有量が前記範囲内であると、乾燥時のひび割れが抑えられ、より良好な膜強度及びインク吸収性が得られる。
バインダーのインク受容層中における総量は、インクジェット記録媒体の特性に合わせて適宜調整することができるが、無機粒子100質量部に対して、5〜60質量%が好ましい。また、インク受容層を形成するための塗布液の塗工量(乾燥固形分)として、5〜50g/m2が好ましい。
<他の成分>
インク受容層には、上記の無機粒子及びバインダー以外に、架橋剤、高沸点有機溶剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、染料定着剤(カチオン性高分子)、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等の他の成分を含有することができる。
また、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
架橋剤は、バインダーとの関係で好適なものを適宜選択することができ、架橋反応が迅速である点でホウ素化合物が好ましい。例えば、ホウ砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルトホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二ホウ酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタホウ酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五ホウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、ホウ酸又はその塩が好ましく、バインダーとしてポリビニルアルコールを含有する場合に特に好適である。
架橋剤は、バインダー(特にポリビニルアルコール)1.0質量部に対して0.05〜0.50質量部が好ましい。
また、バインダーとしてゼラチンを用いる場合などには、ホウ素化合物以外の、例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;アジリジン系化合物;カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N'−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等を用いることができる。
インク受容層は、高沸点有機溶剤を含有してもよく、カールの発生を更に防止することができる。高沸点有機溶剤としては、水溶性のものが好ましい。水溶性の高沸点有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール(重量平均分子量が400以下)等のアルコール類が挙げられる。好ましくは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)である。
本発明におけるインクジェット記録媒体の製造方法の好ましい態様としては、(1)樹脂層がポリエステル樹脂からなる層であって、前記外径Aと前記外径Bとが1.2≦B/A≦15の関係を満たす場合が好ましく、より好ましくは、(2)原紙両側の樹脂層がポリエチレンテレフタレートからなる層であって、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aが10〜300cmであり、前記外径Aと前記外径Bとが1.5≦B/A≦10の関係を満たし、インク受容層の厚みが20〜50μmである場合である。
インク受容層は、インク受容層形成用の塗布液を塗布することにより形成することができる。塗布形成する場合の塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等を用いた公知の塗布方法によって行なうことができる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体を準備する媒体準備工程と、インクジェット記録媒体の、外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第1のインク付与工程と、樹脂層B側への記録後、インクジェット記録媒体の、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第2のインク付与工程と、を設けて構成されたものである。
本発明においては、上記したように、溶融押出し後の樹脂に対して、外径が原紙の表裏で異なるように冷却ロールを選択してラミネート処理を施して形成された樹脂層上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体を用いて、外径の大きい冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にはじめに記録を行なうことで、一時的に支持体の片側のみにインク溶媒が多く存在する状態が形成されたときの表裏バランスの崩れが緩和され、特に片側記録後の表裏バランスが保たれ、記録前、片側記録後、及び両面記録後における表裏バランスを保つことができる。これより、片側に記録したときのカールの発生、及びそれに伴なうインク吐出用のヘッド等との接触などで発生するインク汚れの付着が回避され、記録材料としての品質が高められる。
−媒体準備工程−
媒体準備工程は、原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体を準備する。
本工程においては、既述の本発明のインクジェット記録媒体の製造方法と同様に樹脂層形成工程と受容層形成工程とを設けることによりインクジェット記録媒体を好適に作製することができる。このインクジェット記録媒体並びに樹脂層形成工程及び受容層形成工程の詳細については、既述した通りである。
また、原紙と該原紙の両側に設けられた前記樹脂層及び前記インク受容層とを備えた既製のインクジェット記録媒体を使用してもよい。
−インク付与工程−
第1のインク付与工程は、インクジェット記録媒体の、外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録し、また、第2のインク付与工程は、前記第1のインク付与工程での樹脂層B側への記録終了後、インクジェット記録媒体の、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する。すなわち、本発明のインクジェット記録方法では、外径Aより径の大きい外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側、すなわち湾曲の強さが弱い側の樹脂層上のインク受容層に最初に画像を記録する。
インクジェット法でインクを付与する方法としては、連続的にインク滴を吐出して画像に応じて滴を偏向させて着弾させることにより記録する方法や、画像に必要な領域にのみインクを吐出するいわゆるオンデマンド方式を呼ばれる方法などいずれの方法を選択してもよい。オンデマンド方式は、例えば、圧電素子等を用いて構造体の変形によりインク圧を発生させて吐出する方式、又は熱エネルギーによる気化に伴なう膨張により発生する圧力で吐出する方式のいずれであってもよい。また、電界により吐出制御する方式であってもよい。
インク吐出用のノズル等については、特に制限はないが、複数のノズル列を有するヘッドユニットを備えたヘッド、あるいは画像(インクジェット記録媒体)の幅と同等以上の長さのいわゆるフルラインヘッドなどを用いた高速記録を行なう場合に、本発明の効果がより奏される点で好ましい。
前記第1及び第2のインク付与工程で付与するインクの液滴量としては、カール発生の防止効果がより奏される点で、40g/m以下が好ましく、30g/m以下がより好ましく、更には20g/m以下が特に好ましい。
本発明のインクジェット記録方法は、以下に示す第1の態様及び第2の態様によってより好適に記録を行なうことができる。
本発明のインクジェット記録方法の第1の態様は、インクジェット記録媒体を搬送路に、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側から吸着しつつ、搬送する第1の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の、外径B(1.2≦外径B/外径A≦20)の冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、画像が記録された前記インクジェット記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、カール方向が矯正されたインクジェット記録媒体を、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の画像が記録されていない樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、を設けたものである。
第1の態様では、外径の小さい冷却ロールで強い湾曲形状を付けた樹脂層A側から吸着した状態で樹脂層A側より曲げの強さの弱い樹脂層B側のインク受容層に記録した後、続いて樹脂層A側のインク受容層への記録を行なうために、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正し、例えば樹脂層B側の面が凸にカールしたり、隅が凹状に曲がったインクジェット記録媒体をデカール処理して樹脂層B側の面を一様に凹にカールさせた状態にすることで、樹脂層A側のインク受容層に記録する際の樹脂層B側からの吸着を良好に行なえるので、インクジェット記録媒体が器内で接触したり、インク汚れを生ずるのを防止できる。
また、インクジェット記録媒体が長尺形状を有し、ロール状に巻回されたロール状の記録媒体である場合には、第2の態様として、ロール状の記録媒体を搬送路に、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側から吸着しつつ搬送する第1の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着された記録媒体の、外径B(1.2≦外径B/外径A≦20)の冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、画像が記録された記録媒体における前記画像の少なくとも搬送方向下流側を切断し、所定サイズに成形する切断成形工程と、成形された前記記録媒体からインク成分の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、前記乾燥除去後の記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、前記矯正後の記録媒体の表裏を反転し、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に前記樹脂層B側から吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、前記搬送路に吸着された前記記録媒体の画像が記録されていない前記樹脂層A側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、を設けて構成された態様であるのが好ましい。
第2の態様においても、樹脂層B側のインク受容層に記録後、続いて樹脂層A側のインク受容層への記録を行なうために、所定サイズに切断、成形された記録媒体をからインク成分の少なくとも一部を乾燥除去後、同様に、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正し、さらに記録媒体の表裏を反転させることで、樹脂層A側のインク受容層に記録する際の樹脂層B側からの吸着を良好に行なえるので、インクジェット記録媒体が器内で接触したり、インク汚れを生ずるのを防止できる。
本発明のインクジェット記録方法の好ましい態様である前記第1及び第2の態様について、図3〜図5を参照し、具体的な実施形態を示して説明する。本実施形態では、記録媒体のカール方向を反転(デカール)させるデカール部を有する反転搬送経路を設け、樹脂被覆紙の樹脂層B側のインク受容層への画像記録後、デカールしてから記録媒体を反転させて再び樹脂層B側への記録時と同じ搬送路、画像記録手段にて、樹脂層A側のインク受容層に画像の記録を行なうようにしたものである。
図3に示すように、画像記録装置10は、記録用紙に画像を記録する画像記録部12を備えている。画像記録部12は、インクジェット記録媒体(以下、「記録用紙」ともいう。)に向けてインク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド14と、インクジェット記録ヘッド14を保持するキャリッジ16とを備えている。本実施形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色で画像を記録するカラー式の画像記録装置10として説明するが、モノクロ式の画像記録装置であっても適用可能であり、さらにR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)等の他色を用いて記録してもよい。
また、画像記録装置10は、後述する長尺状の記録用紙の画像部後端(搬送される記録用紙に記録された画像の搬送方向下流側)を切断する後端カッター17と、記録用紙のインクジェット記録ヘッド14により画像が記録された面側に乾燥風を送給してインク滴を固化させるドライヤー18と、記録用紙を画像毎に切断するカッター20と、記録用紙をインクジェット記録ヘッド14、後端カッター17、ドライヤー18、カッター20へ順次搬送するメイン搬送経路22と、を備えている。なお、図3では、カッター20には2枚の刃を描いているが、刃の枚数は1枚であってもよい。
メイン搬送経路22には、記録用紙を水平方向へ搬送する水平部分22Aが設けられている。この水平部分22Aには、インクジェット記録ヘッド14による画像形成位置、後端カッター17によるカット位置、及びドライヤー18による乾燥風の送給位置が順に配置されている。また、水平部分22Aには、インクジェット記録ヘッド14による画像記録の処理速度に応じて記録用紙を搬送するための複数のローラ対23Aが設けられている。
また、メイン搬送経路22は、水平方向に搬送される記録用紙の搬送方向を上側に所定の曲率でU字状に変更すると共に、記録用紙を湾曲させる変更湾曲部22Bが設けられている。この変更湾曲部22Bには、カッター20による切断の処理速度に応じて記録用紙を搬送するための複数のローラ対23Bが設けられている。変更湾曲部22Bは、記録用紙の搬送を一時的に滞留させて記録用紙を外側に湾曲させることにより記録用紙を一時的に保持することが可能とされている。本実施形態では、記録用紙の搬送方向が最初に変わる部分で記録用紙の搬送を一時的に滞留させる。変更湾曲部22Bには、記録可能な最大画像で1枚分の記録用紙が保持されて記録用紙が外側に湾曲した位置に記録用紙を検出する用紙センサ80が設けられている。用紙センサ80は、例えば、発光素子80Aと受光素子80Bが対向されて構成され、受光素子80Bで発光素子80Aからの光が記録用紙によって遮断されたことを検知することにより、記録用紙を検出する。
変更湾曲部22Bを通過した記録用紙はカッター20に搬送され、画像毎に切断される。カッター20で画像毎に切断された記録用紙Pは、複数のローラ対23Cによる搬送によりスイッチバック収納部70に一旦収納された後に、搬送方向が反転されて排紙口72からトレイ73へ排出される。
また、画像記録装置10は、両面記録用の反転搬送経路74を備えている。反転搬送経路74は、ローラ対74Aを設けて構成されている。インクジェット記録ヘッド14により片面に画像が記録された記録用紙は、反転搬送経路74に搬送され、反転搬送経路74で表裏が反転されて再びメイン搬送経路22に送給される。これにより、記録用紙の両面に画像を記録することが可能とされている。また、反転搬送経路74には、インクジェット記録ヘッド14により片面(樹脂層B側のインク受容層)に画像が記録された記録用紙のカール方向を反転処理(デカール処理)するデカール搬送部38を備えており、記録用紙の記録面側(樹脂層B側)が内側を向く凹形状にカール方向を矯正する。デカール搬送部38は、画像が記録されて上面(記録面)が凸又は不揃いに凹にカールしている記録用紙にデカール処理を行なって、反転搬送経路74において上面を凹にカールさせる。その後、反転搬送経路74で表裏反転して再びメイン搬送経路22に抜けると、メイン搬送経路22に対して凸にカールした状態になる。
メイン搬送経路22のローラ対23A及び反転搬送経路74のローラ対74Aはモータ82Aから駆動伝達経路84Aを介して伝達された駆動力によって回転駆動し、変更湾曲部22Bのローラ対23Bはモータ82Bから駆動伝達経路84Bを介して伝達された駆動力によって回転駆動する。すなわち、本実施の形態では、ローラ対23A及びローラ対74Aを駆動させる駆動源及び駆動伝達経路とローラ対23Bを駆動させる駆動源及び駆動伝達経路を別々としている。
また、画像記録装置10は、シート状の記録用紙PSを給紙するシート式給紙部24と、長尺状の記録用紙を給紙する第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28とを備えている。シート式給紙部24は、記録用紙の上面側が大気開放面側となるように記録用紙を収容する給紙カセット25を備えている。
給紙カセット25は、例えば、内部の仕切り部材等の位置を調整することによってサイズの異なるシート状の記録用紙PSが収納可能とされている。給紙カセット25には、収納されたシート状の記録用紙PSのサイズを検出するための複数のメカニカルスイッチ(不図示。)が設けられている。この複数のメカニカルスイッチは、収納されたシート状の記録用紙PSに当接されることにより、当該シート状の記録用紙PSのサイズに応じてオン、オフ状態の組み合わせが変わるように配置されており、各メカニカルスイッチのオン、オフ状態の組み合わせに応じて収納されている記録用紙PSのサイズを検出することができる。
第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28は、例えば、102mm〜254mmの間で幅の異なる長尺状の記録用紙をロール状に巻回したロール状記録用紙27が収納可能とされている。第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28にも、収納されたシート状のロール状記録用紙27の幅を検出するための複数のメカニカルスイッチ(不図示。)が設けられている。さらに、第1ロール式給紙部26及び第2ロール式給紙部28には、ロール状記録用紙27の厚さに基づいて記録用紙の残量を検出する残量センサ29がそれぞれ設けられている。なお、ロール状記録用紙27の重さに基づいて記録用紙の残量を検出するようにしてもよい。
画像記録装置10は、シート式給紙部24から送り出されたシート状の記録用紙PSを搬送するシート搬送部30と、第1ロール式給紙部26から巻き出された長尺状の記録用紙PR1を搬送する第1ロール搬送部32と、第2ロール式給紙部28から巻き出された長尺状の記録用紙PR2を搬送する第2ロール搬送部34と、を備えている(以下、説明の都合上、記録用紙PS、PR1、PR2の総称を記録用紙Pと記載して説明する)。
また、画像記録装置10は、シート式給紙部24、第1ロール式給紙部26、第2ロール式給紙部28、及び反転搬送経路74からの記録用紙Pをメイン搬送経路22に送給する副走査ローラ40を備えている。シート状の記録用紙PS、長尺状の記録用紙PR1、長尺状の記録用紙PR2は、選択的に副走査ローラ40を介してメイン搬送経路22に搬送される。
なお、記録用紙Pは、原紙の一方の側に厚みaの樹脂層Aを有し、他方の側に厚みaより3〜20μm薄い厚みの樹脂層Bを有する樹脂被覆紙(支持体)の両方の側にインク受容層がそれぞれ設けられたインクジェット記録媒体である。このインクジェット記録媒体の詳細については既述した通りであり、厚みの薄い樹脂層B側から記録を行なうことによりカールの発生を抑制できるものであるが、本実施形態の画像記録装置を用いて記録を行なうことにより、発生するカールの程度がより抑制され、より安定して画像の記録が行なえる。
例えば一般に用いられるフォトプリント用の用紙では、吸水性のシリカ粒子を含有するコーティング層が両面に形成されているため、記録用紙の片面で乾燥が進むと、この片面側のコーティング層が収縮し、この片面が凹面をなすようにカールする。また、普通紙の場合でも同様に、片面が大気面と接すると、この片面の乾燥が進んで紙繊維の収縮が進み、この片面が凹面をなすようにカールする。また、近年フォトブック用に両面に吸水性のシリカ粒子を含有するコーティング層を有する用紙についても同様の特性を持つ。さらに、ロール状記録用紙27の場合、ロール状に巻回されているため、巻回された内側が凹となるようにカールする。そこで、メイン搬送経路22には、インクジェット記録ヘッド14による画像形成位置に搬送される記録用紙の平面性を確保しつつ記録用紙とインクジェット記録ヘッド14との距離を一定に保つため、吸着搬送部42が設けられている。この吸着搬送部42は、副走査ローラ40から搬出された記録用紙Pを吸着しつつ、画像記録部12で画像が記録される領域(すなわちインクジェット記録ヘッド14の直下)に吸着搬送するようになっている。
(吸着搬送部の機構)
図4には、吸着搬送部42の構成を示す斜視図が示されており、図5には吸着搬送部42の幅方向の断面図が示されている。
吸着搬送部42は、上側にメイン搬送経路22を形成すると共に記録用紙Pの幅方向に対して2つの空気室(チャンバー)48A、48Bを形成する空気室形成部材50と、空気室48A、48Bにそれぞれ対応して設けられ負圧吸引を行なう2つの吸引ファン52A、52Bと、を備えている。
空気室形成部材50は、記録用紙Pの幅方向に対する幅が、本画像記録装置10で使用可能な記録用紙Pの最大幅よりも大きく形成されており、メイン搬送経路22を形成する上面に空気室48とメイン搬送経路22の上側とを連通させるための多数の吸引孔49が配置されている。また、空気室形成部材50の底側には、吸引ファン52A、52Bがそれぞれ空気室48A、48Bと連通するように、開口62A、62Bが形成されている。
記録用紙Pは、幅方向の一端が空気室形成部材50の幅方向一端となるように吸着搬送部42に搬送される。
画像を記録する場合、メイン搬送経路22には、シート状の記録用紙PS、長尺状の記録用紙PR1、長尺状の記録用紙PR2から選択的に画像形成対象とする記録用紙Pが搬送される。吸着搬送部42では、図4に示すように、記録用紙Pの幅方向の一端が空気室形成部材50の幅方向一端となるように搬送される。記録用紙Pは、吸着搬送部42からの吸着力が作用していない場合、メイン搬送経路22に対して若干凸となる向きにカールしている。
画像が記録された記録用紙Pには、ドライヤー18からの温風が当てられ、インク滴を固化させる。また、長尺状の記録用紙PR1及び長尺状の記録用紙PR2は、後端カッター17で後端がカットされる。後端カッター17及びドライヤー18を通過した記録用紙Pは、変更湾曲部22Bに搬送されて外側に湾曲することにより変更湾曲部22Bに一時的に保持される。このとき、変更湾曲部22Bに保持された記録用紙Pが最大画像で1枚分となり、用紙センサ80で記録用紙Pが検出された場合、図示しない搬送制御部を介してモータを制御し、ローラ対23Bを回転駆動させることにより、記録用紙Pを画像1枚分だけ搬送させ、図示しないカッター制御部を介してカッター20を制御して画像毎に記録用紙Pを切断する。画像毎に切断された記録用紙Pは、スイッチバック収納部70に一旦収納された後に搬送方向が反転されて排紙口72からトレイ73へ排出される。
一方、記録用紙Pの両面に画像を形成する場合には、はじめに記録用紙をメイン搬送経路において樹脂層A側から吸着しつつ搬送し(第1の吸着搬送工程)、吸着された記録用紙の樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを吐出して画像を記録した後(第1のインク付与工程)、後端カッター17及びドライヤー18を通過した記録用紙Pの搬送方向が逆方向に切り換えられ、反転搬送経路74に搬送される。このとき、インク滴に含まれる溶媒が記録用紙のインク受容層に吸収され、記録用紙の上面側が下面側よりも吸湿して伸長する。このため、記録用紙には、上面側に更に凸となるようにカールする力が作用する。また、記録用紙Pは、後端カッター17により少なくとも画像の搬送方向下流側が切断され、所定サイズに成形され、ドライヤー18により記録媒体中のインク成分が乾燥除去される(乾燥除去工程)。反転搬送経路74では、記録用紙をデカール搬送部38でデカール処理し、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正する(カール矯正工程)。このように、デカール搬送部38でデカール処理された記録用紙は、カール方向が反転する。すなわち、デカール搬送部38から搬出された状態では、記録用紙は反転搬送経路74に対して凹、すなわちこの反転搬送経路74を通って反転されて再びメイン搬送経路22に送られたときには、メイン搬送経路22に対して凸にカールすることになる。したがって、樹脂層B側のインク受容層に記録した後の2回目の画像記録、すなわち樹脂層A側のインク受容層への画像記録でメイン搬送経路22を記録用紙が搬送される際、画像が記録された樹脂層B側のインク受容層とメイン搬送経路とが対向するように、1回目の画像記録のときと同様、記録用紙は搬送経路形状に沿った形状にされて搬送され(第2の吸着搬送工程)、先端がメイン搬送経路22から浮き上がることがない。そして、画像が記録されていない樹脂層A側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像が記録される(第2のインク付与工程)。
また、本実施形態においては、画像記録部12による画像形成位置に記録用紙Pの幅方向に対して複数並んで、記録用紙Pの搬送面に吸引孔49が形成された2つの空気室48A、48B、及び空気室48A、48Bにそれぞれ対応して負圧吸引する2つの吸引ファン52A、52Bを設けて、画像形成対象とする記録用紙Pの幅に応じて動作させる吸引ファン52の数を制御するという簡単な機構で複数の幅の記録用紙Pに対して良好な画像を形成することができる。
上記の実施形態では、変更湾曲部22Bに用紙センサ80を設けて1枚分の記録用紙を保持されたか否かを検出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ローラ対23Aによる記録用紙Pの搬送距離とローラ対23Bによる記録用紙Pの搬送距離との差を求め、搬送距離の差から保持された記録用紙の長さを検出するようにしてもよい。また、上記の実施形態では吸着搬送部42として記録用紙Pの幅方向に対して2つの空気室48A、48Bと空気室48A、48Bにそれぞれ対応して2つの吸引ファン52A、52Bを設けた場合について説明したが、2以上設けて、記録用紙Pの幅が広いほど動作させる吸引ファンの数を多くする制御を行なうようにしてもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
−支持体の作製−
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をディスクリファイナーで叩解し、パルプ紙料(パルプスラリー)を調製した。このパルプ紙料にパルプ質量を基準として、カチオンスターチ1.7質量%、アルキルケテンダイマー(AKD)0.45質量%、アニオンポリアクリルアミド0.28質量%、エポキシ化脂肪酸アミド(EFA)0.2質量%、及びポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.2質量%を添加した。なお、前記アルキルケテンダイマーのアルキル部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来するものであり、前記エポキシ化脂肪酸アミドの脂肪酸部分は、ベヘン酸を主体とする脂肪酸に由来するものである。
得られたパルプ紙料を長網抄紙機で抄紙し、絶乾坪量120g/mの原紙を抄造、ソフトカレンダー処理を行なった。
次に、原紙の一方の面に、ワット密度35W/m・分でコロナ放電処理を行なった。コロナ放電処理は、図2に示すコロナ放電処理装置100を用い、誘電体を被覆した金属ロール101と絶縁された電極102との間に、電力源103から高周波又は高電圧を印加することによってコロナ放電を発生させ、この金属ロール101と電極102との間に原紙104を通過させることによって行なった。その後続けて、図1に示すように、溶融押出機を使用し、コロナ放電処理された原紙104が挿入されると、原紙104のコロナ放電処理面に溶融押出機の押出ダイ105から、溶融して押出されたポリエチレンテレフタレート樹脂〔PET;Tg=69℃、曲げ弾性率(ASTM規格のD790に記載の試験方法による。以下同様。)=3.5GPa〕が薄膜状に設けられ、このPETを原紙とともにニップロール107と外径80cm(外径A)の冷却ロール108とからなるロール対の間を通過させてニップロール107と冷却ロール108とによりニップし、張り合わせた後、冷却ロール108により冷却することにより、厚みが30μmとなるように樹脂層(樹脂層A)を形成した。続いて、原紙の他方の面に上記同様にワット密度22W/m・分でコロナ放電処理した後、連続して上記と同様に図1に示すように、原紙104のコロナ放電処理面に溶融押出機の押出ダイ105から、溶融して押出されたPET(Tg=69℃、曲げ弾性率=3.5GPa)を薄膜状に設け、このPETを原紙とともにニップロール107と外径100cm(外径B)の冷却ロール108とからなるロール対の間を通過させてニップロール107と冷却ロール108とによりニップし、張り合わせた後、冷却ロール108により冷却することにより、厚みが30μmとなるように樹脂層(樹脂層B)を形成した。このようにして原紙104の両面がPETで被覆された支持体を形成し、外径Aより径が大きい外径Bの冷却ロールでラミネートした樹脂層B側が外側(外径Aの冷却ロールでラミネートした樹脂層A側が巻芯側)になるようにして巻き取った。
−塗布液の調製−
下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子と(2)イオン交換水と(3)シャロールDC−902Pと(4)ZA−30と(5)ホウ酸とを混合し、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて分散させた後、得られた分散液を45℃に加熱し20時間保持した。その後、この分散液に(6)ポリビニルアルコール溶解液及び(7)スーパーフレックス650を30℃で加え、塗布液(インク受容層形成用塗布液)を調製した。
<塗布液の組成>
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) ・・・ 8.5部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・54.8部
(3)シャロールDC−902P(51.5%水溶液) ・・・ 0.80部
(第一工業製薬(株)製の含窒素有機カチオンポリマー;分散剤)
(4)ZA−30(第一稀元素化学工業(株)製;酢酸ジルコニル)・・・ 0.45部
(5)ホウ酸(架橋剤) ・・・ 0.5部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 ・・・25.0部
〜溶解液の組成〜
・PVA−235 ・・・2.3部
(鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・イオン交換水 ・・・23.5部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・0.50部
(ブチセノール20P、協和発酵ケミカル(株)製)
・エマルゲン109P(花王(株)製;界面活性剤)・・・0.07部
(7)スーパーフレックス650 ・・・1.7部
(含窒素有機カチオンポリマーエマルション、第一工業製薬(株)製)
−インク受容層の形成−
上記で得た両面に樹脂層が形成された支持体の一方の側(ここでは樹脂層A側)にコロナ放電処理を行なった後、このコロナ放電処理面に、上記の塗布液の125g/mに下記インライン液を9.0g/mの速度でインライン混合した後、塗布液温度を38℃としてエクストルージョンダイコーターにて塗布し、温度60℃で塗布層の固形分濃度が18%になるまで乾燥させた。この間、塗布層は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の第2液に浸漬し、塗布層上にその8g/mを付着させ、さらに温度80℃で乾燥させた後、外径Aより径が大きい外径Bの冷却ロールでラミネートした樹脂層B側が外側(外径Aの冷却ロールでラミネートした樹脂層A側が巻芯側)になるようにして巻き取った。その後、同様にして支持体の他方の側(ここでは樹脂層B側)にもインク受容層を形成した。そして再び、外径Aより径が大きい外径Bの冷却ロールでラミネートした樹脂層B側が外側(外径Aの冷却ロールでラミネートした樹脂層A側が巻芯側)になるようにして巻き取った。巻き取った後に所定幅に裁断して外径3インチの紙管に巻き取り、ロール状記録用紙を得た。
<インライン液の組成>
・アルファイン83(大明化学工業(株)製)・・・2.0部
・イオン交換水 ・・・7.8部
・ハイマックスSC−505E(ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物、ハイモ(株)製)・・・0.2部
<第2液の組成>
・ホウ酸 ・・・1.3部
・炭酸アンモニウム(1級:関東化学(株)製)・・・5.0部
・ジルコゾールAC−7 ・・・2.5部
(炭酸ジルコニールアンモニウム、第一稀元素化学工業(株)製)
・イオン交換水 ・・・85.2部
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤)・・・6.0部
(エマルゲン109P(10質量%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製)
−画像の記録−
得られたロール状記録用紙を25℃、50%RHの環境条件下で1ヶ月間経時させ、経時後の記録用紙を評価用ロールサンプルとして図3に示す画像記録装置に装填し、23℃、30%RHの環境下でグレーのベタ画像の濃度調整を行なった。濃度調整は、濃度計(X−rite 310TR)でのビジュアル反射濃度が0.5±0.1、又は1.5±0.1になるように、画像データの階調値を調整することにより行なった。このとき、記録前及び記録直後のインクジェット記録シートの重さ[g]を精密天秤で測定し、インク受容層に着滴したインクの量がそれぞれ4g/m、12g/mであることを確認した。なお、画像記録装置の構造の詳細については既述の通りであり、また、画像を記録するインクには、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)4色のフロンティアドライミニラボDL410用インク(富士フイルム(株)製)を用いた。
次いで、上記で得たロール状記録用紙を、あらかじめ23℃、30%RHの環境下で1晩放置して調温・調湿した後、はじめに支持体オモテ面の樹脂層B上に設けられたインク受容層の全面(縁なしプリント設定)に、平均搬送速度1000mm/minにて下記の条件1及び条件2でそれぞれグレーのベタ画像を、ベタ画像毎にそれぞれ10枚連続記録し、その後70℃の風をあてて10秒間の乾燥処理を施し、ベタ画像の記録・乾燥終了の度ごとに画像の後部(すなわち記録用紙における画像パターンの下流側)を所定位置でカットした。
(条件1)反射濃度計(X−rite社製、X−rite 310TR)で測定されたビジュアル濃度が0.5になるように、画像データの階調を調整。
(条件2)反射濃度計(X−rite社製、X−rite 310TR)で測定されたビジュアル濃度が1.5になるように、画像データの階調を調整。
その後、1種のベタ画像が記録された記録用紙を逆搬送し、逆搬送して送給された反転搬送経路にてデカール処理を施した。このデカール処理により記録用紙のカール方向が反転され、反転搬送経路に対して凹形状となるように矯正される。このとき、記録開始から1つのベタ画像の記録(10枚)が終了するまでに要した時間は120秒であった。続いて、画像の記録終了後10秒以内に、支持体ウラ面の樹脂層A上に設けられたインク受容層に、上記同様にして、樹脂層B側と同じベタ画像を10枚連続記録した。その後、各ベタ画像毎にシート状に記録用紙をカットした。
尚、両面ともに記録の開始は、最初にインク滴がインク受容層に着滴した時点を基準にカウントした。
−評価−
上記のように両面に画像を記録する過程で、樹脂層B側のインク受容層に画像を記録した後の記録用紙の搬送性を目視にて確認し、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果は下記表1に示す。
<評価基準>
○:問題なくスムーズに両面に記録が行なえた。
△:記録後の搬送中に記録用紙が軽くひっかかり、先端に僅かな擦り傷がみられたものの、実用上問題なく両面に記録が行なえた。
×:記録後の搬送中に紙詰まりを起こし、樹脂層A側のインク受容層に記録が行なえなかった。
(実施例2〜8、比較例1〜3)
実施例1において、冷却ロールの外径A,B及びその比率B/A、並びに樹脂層の種類、厚みを下記表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、画像を記録し、評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
前記表1に示すように、実施例では、片側に記録したときのカールの発生、及びそれに伴なうインク吐出用のヘッド等との接触などで発生するインク汚れの付着が回避され、記録材料として良好な品質が得られた。
10・・・画像記録装置
12・・・画像記録部
27・・・ロール状記録用紙(ロール状記録媒体)
29・・・残量センサ(残量検出手段)
38・・・デカール搬送部(デカール部)
42・・・吸着搬送部(吸着手段)
48A,48B・・・空気室
49・・・吸引孔
52A,52B・・・吸引ファン
74・・・反転搬送経路
P,PS,PR1,PR2・・・記録用紙(記録媒体)

Claims (11)

  1. 原紙と、該原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体。
  2. 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上であり、かつ曲げ弾性率が1.7GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 原紙の両側に形成された前記樹脂層が、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. ロール状に巻き取られる長尺形状を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂を冷却ロールでラミネートすることにより前記原紙の両側に樹脂層を形成すると共に、前記ラミネートを、原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように行なう樹脂層形成工程と、
    前記原紙の両側に設けられた樹脂層の上にそれぞれインク受容層を形成する受容層形成工程と、
    を有するインクジェット記録媒体の製造方法。
  6. 原紙の上に溶融押出しにより設けられた樹脂が、冷却ロールにより原紙の一方の側をラミネートする冷却ロールの外径Aと他方の側をラミネートする冷却ロールの外径Bとが1.2≦B/A≦20の関係を満たすように、ラミネートされることにより前記原紙の両側に形成された樹脂層と、前記樹脂層上にそれぞれ形成されたインク受容層とを有するインクジェット記録媒体を準備する媒体準備工程と、
    前記インクジェット記録媒体の、外径Bの冷却ロールでラミネートされた樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第1のインク付与工程と、
    樹脂層B側への記録後、前記インクジェット記録媒体の、外径Aの冷却ロールでラミネートされた樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して記録する第2のインク付与工程と、
    を有するインクジェット記録方法。
  7. 更に、前記第1及び前記第2のインク付与工程の間に、画像が記録された前記インクジェット記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程を有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記インクジェット記録媒体を、搬送路に前記樹脂層A側から吸着しつつ搬送する第1の吸着搬送工程と、
    前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の前記樹脂層B側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、
    画像が記録された前記インクジェット記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、
    カール方向が矯正されたインクジェット記録媒体を、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、
    前記搬送路に吸着されたインクジェット記録媒体の画像が記録されていない樹脂層A側のインク受容層にインクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、
    を有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記インクジェット記録媒体が、長尺形状を有し、ロール状に巻回されたロール状の記録媒体であって、
    前記ロール状の記録媒体を、搬送路に前記樹脂層A側から吸着しつつ搬送する第1の吸着搬送工程と、
    前記搬送路に吸着された記録媒体の前記樹脂層B側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第1のインク付与工程と、
    画像が記録された記録媒体における前記画像の少なくとも搬送方向下流側を切断し、所定サイズに成形する切断成形工程と、
    成形された前記記録媒体からインク成分の少なくとも一部を乾燥除去する乾燥除去工程と、
    前記乾燥除去後の記録媒体を、記録面側が内側を向く凹形状にカール方向を矯正するカール矯正工程と、
    前記矯正後の記録媒体の表裏を反転し、画像が記録された前記樹脂層B側のインク受容層と前記搬送路とが対向するように、前記搬送路に前記樹脂層B側から吸着しつつ搬送する第2の吸着搬送工程と、
    前記搬送路に吸着された前記記録媒体の画像が記録されていない前記樹脂層A側のインク受容層に、インクジェット法でインクを付与して画像を記録する第2のインク付与工程と、
    を有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
  10. 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ガラス転移温度(Tg)が35℃以上であり、かつ曲げ弾性率が1.7GPa以上であることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  11. 原紙の両側に形成された前記樹脂層は、ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項6〜請求項10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
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