JP2009052167A - ループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】SZ交互合撚糸12を構成するSZ交互仮撚単糸11のS撚部13とZ撚部14の間に無撚状態の無撚部15を介在させ、SZ交互合撚糸に複数本のSZ交互仮撚単糸の無撚部間15・15が引揃状態の引揃部16を発生させ、その引揃部の一部の繊維17を絡み出させて引揃部の繊維の間を結束する。その結束部18を引揃部に2箇所以上発生させる。引揃部の結束部間18・18の間は開毛状態の無結束部19とする。そのSZ交互合撚糸をパイル糸20として使用すると、右捩りと左捩りのループパイル30・40の他に無撚りのループパイル34・35が発生し、パイル面が霜降り模様状になるので、外観品質上の疵欠点”ロット混・縦筋”が目立たなくなる。
【選択図】図1
Description
しかし、その複数個の右捩りや左捩りのループパイルが現れる連続長さのバラツキによって、右捩りや左捩りのループパイルの連続して現れる長さが異常に長く連続する場合があり、そのような場合には、その異常に長く連続するループパイルが、恰も色調が均一であるべきパイル面に紡績ロットや染色ロットの異なるパイル糸が混じり込んだたかの如き観を呈し、ループパイルタフテッドパイル布帛の外観品質を損なう。
このようにして色調が均一であるべきパイル面に現れる外観品質上の疵欠点は、”ロット混”或いは”縦筋”と称されている。
本発明の第2の目的は、右捩りと左捩りのループパイルがパイル面に細かく均等に現れて霜降り地模様を呈するループパイルタフテッドパイル布帛を得ることにある。
本発明の第3の目的は、SZ交互合撚糸をパイル糸に使用して、施工突合目地が目立たないタイルカーペットに適したループパイルタフテッドパイル布帛を得ることにある。
本発明の他の目的は、SZ交互仮撚装置を僅かに改造して新規なSZ交互合撚糸を得ることにある。
加えて、先端部が左右に捩れることなく、それら異色数種類の仮撚単糸11a・11b・11c………の繊維が混じり合った混合色の引揃部16の無結束部19に成る混合色ループパイル35も発生し、更に、その混合色ループパイル35には異色数種類の仮撚単糸11a・11b・11c………(図1−a)が結束されて一体化した結束部18が先端部に現れる多彩色ループパイル36も発生する(図2)。
複数本の全てのマルチフィラメント単糸がSZ交互仮撚単糸に成るパイル糸20(図1−c)を使用したループパイルタフテッドパイル布帛21のパイル面では、左捩れのループパイル30と右捩れのループパイル40の間が引揃部16のループパイルによって分断されるだけではなく、外観の異なる余りにも多くのループパイル(30・31・32・33、40・41・42・43、35、36)が現れるので(図2)、それらの外観の異なるループパイルが細かく均等に入り混じって霜降り調の地模様が構成される。
このため、左捩れのループパイル30や右捩れのループパイル40が長く連続しても、それが目立って現れることがなく、それによる外観品質上の疵欠点”ロット混・縦筋”が解消される。
そこで、無撚りのマルチフィラメント糸でも仮撚を施し、繊維間を収束してパイル糸として使用するように、引揃部16の一部の繊維17によって繊維と繊維の間を結束してパイル糸として使用する。
これらの点を考慮し、結束部18に前後する無結束部19が確実に無撚ループパイル(混合色ループパイル35と多彩色ループパイル36)を形成するようにするためには、無結束部19の長さKは25〜50mm前後にすることが望ましく、その長さKの範囲(25〜50mm)は、パイル糸20の生産工程で生じるバラツキによるものであってもよく、そのバラツキによって混合色ループパイル35と多彩色ループパイル36の現れ方がランダムになり、外観の異なるループパイルが細かく均等に入り混じって細やかな霜降り調地模様がパイル面に描出される。このようなバラツキによる効果は、SZ交互仮撚単糸11a・11bと無撚マルチフィラメント単糸11tから成るパイル糸20のSS合撚部23やZZ合撚部24での撚目のピッチP(図3)のバラツキによっても得られる。従って、その撚目のピッチP1 ・P2 ・P3 ・P4 ・P5 ………のバラツキの範囲も25〜50mm前後であってもよく、又、そのようなバラツキのある方が寧ろ望ましい。
無撚部15の長さは、その中断する時間によって設定される。
その場合、SS合撚部23とZZ合撚部24では、加撚状態になっていて繊維が浮き出ることはないので、結束部18は発生しない。
無結束部19の長さKは、各ループパイルの1箇所に結束部18が現れるように設定するとよい。
従って、本発明のパイル糸を製造するために格別な装置を必要とせず、在来のSZ交互仮撚装置を僅かに改造するだけで本発明を実施することが出来、その点でも本発明は実利的である。
中でも、捲縮ポリエステル繊維マルチフィラメント単糸は好適に使用される。
パイル糸20を構成する複数本の全てのマルチフィラメント単糸11・11・11………の各総繊度を一定に揃えるとよい。
パイル糸20を構成するマルチフィラメント11の本数は3本〜7本、好ましくは3本〜5本にするとよく、そのマルチフィラメント単糸11の数に応じて異色のループパイル(30・31・32・33、40・41・42・43、35、36)の数も増え、パイル面に描出される霜降り調地模様が繊細且つ多彩になり、外観品質上の疵欠点”ロット混・縦筋”やタイルカーペットの施工突合目地が一層目立たなくなるので効果的である。
本発明に係るSZ交互合撚糸12(図1−b)やパイル糸20(図1−c,図3)は、パイル糸として汎用されているマルチフィラメント糸や実撚紡績糸、無撚結束紡績糸(所謂ラップヤーン)、引揃部のないSZ交互合撚糸12’(図1−d)の糸条と合撚し、或いは、それらの糸条と引き揃えてラップヤーンと同様に結束し、或いは又、それらの糸条と引き揃えて甘撚りを施してパイル糸として使用することも出来る。
本発明に係るSZ交互合撚糸12(図1−b)やパイル糸20(図1−c,図3)は、他のマルチフィラメント糸や紡績糸と合撚し、或いは、引き揃え、甘撚りを施して使用することも出来る。
パイル面の全面に、外観の異なる第一左捩れループパイル31と第一右捩れループパイル41と第二左捩れループパイル32と第二右捩れループパイル42と第三左捩れループパイル33と第三右捩れループパイル43と二彩色ループパイル34と混合色ループパイル35と多彩色ループパイル36による霜降り調地模様が描出され、施工したタイルカーペット同士の施工突合目地が目立たなくなるからである。
本発明のパイル糸20を使用したループパイルタフテッドパイル布帛21には、後染め、プリント、エンボス、パターンシャーリングが適宜施される。
異色数種のパイル糸を選択的にタフティングしてパイル面に色分けられた図柄を描出するタフテッド機、或いは、異色2種のパイル糸によるパイル長を選択的に変えて2色に色分けられた図柄を描出するタフテッド機においては、その異色数種或いは異色2種のパイル糸の一部のパイル糸に本発明のパイル糸20を適用し、その描出される図柄の一部を本発明のパイル糸20によって彩ることも出来る。
11a・11b・11c:SZ交互仮撚単糸
11t:無撚マルチフィラメント単糸
12:SZ交互合撚糸
13:S撚部
14:Z撚部
15:無撚部
16:引揃部
17:一部の繊維
18:結束部
19:無結束部
20:パイル糸
21:タフテッドパイル布帛
22:バックステッチ
23:SS合撚部
24:ZZ合撚部
30・31・32・33:左捩れループパイル
34:二彩色ループパイル
35:混合色ループパイル
36:多彩色ループパイル
40・41・42・43:右捩れループパイル
H :パイル長
K :無結束部の長さ
L :SS合撚部、ZZ合撚部、引揃部の長さ
P :ピッチ
S :ステッチ
Claims (5)
- (a) 少なくとも一部に繊維と繊維の間が無撚状態の無撚部(15)が介在している複数本の単繊維繊度25dtex以下の捲縮マルチフィラメント単糸(11・11・11………)に成り、
(b−1) その複数本の全てのマルチフィラメント単糸(11・11・11………)の少なくとも1本のマルチフィラメント単糸が、単糸軸芯に対して左回りに撚られたS撚部(13)と右回りに撚られたZ撚部(14)が交互に付与され、S撚部(13)とZ撚部(14)の間に繊維と繊維の間が無撚状態の無撚部(15)が介在しているSZ交互仮撚単糸(11a)であり、
(c) 複数本の全てのマルチフィラメント単糸(11・11・11………)の中のSZ交互仮撚単糸(11a)を含む少なくとも3種類のマルチフィラメント単糸(11t・11a・11b)の外観が相互に異なっており、
(d) SZ交互仮撚単糸(11a)のS撚部(13)が、複数本の中の他のマルチフィラメント単糸(11t・11b・11c)と絡み合ってSS合撚部(23)を形成しており、
(e) SZ交互仮撚単糸(11a)のZ撚部(14)が、複数本の中の他のマルチフィラメント単糸(11t・11b・11c)と絡み合ってZZ合撚部(24)を形成しており、
(f) SZ交互仮撚単糸(11a)の無撚部(15)の繊維が、複数本の中の他のマルチフィラメント単糸(11t・11b・11c)の無撚部(15)の繊維と引揃状態になっている引揃部(16)が存在し、
(g) その引揃部(16)には、その引揃部(16)を構成している一部の繊維(17)がSZ交互合撚糸(12)の軸芯の周りに絡み出て他の繊維と繊維の間を結束している結束部(18)が2箇所以上存在し、
(h) その引揃部(16)の結束部(18)と結束部(18)の間が開毛状態の無結束部(19)となっており、
(i) SS合撚部(23)とZZ合撚部(24)と引揃部(16)の各長さLが50mm以上であり、
(j) SS合撚部(23)とZZ合撚部(24)と引揃部(16)が長さ方向に交互しているSZ交互合撚糸(12)に成るループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸。 - (k) 結束部(18)に前後して続く無結束部(19)の長さKが15〜50mmである前掲請求項1に記載のループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸。
- (b−2) SZ交互合撚糸(12)を構成している複数本の全てのマルチフィラメント単糸(11・11・11………)がSZ交互仮撚単糸(11a・11b・11c)であり、
(d’) それら複数本のSZ交互仮撚単糸(11a・11b・11c)のS撚部(13)とS撚部(13)が絡み合ってSS合撚部(23)を形成しており、
(e’) それら複数本のSZ交互仮撚単糸(11a・11b・11c)のZ撚部(14)とZ撚部(14)が絡み合ってZZ合撚部(24)を形成しており、
(f’) それら複数本のSZ交互仮撚単糸(11a・11b・11c)の無撚部(15)と無撚部(15)が引揃状態になって引揃部(16)を形成している前掲請求項1と2の何れかに記載のループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸。 - (b−3) 複数本の全てのマルチフィラメント単糸(11・11・11………)の中の少なくとも1本のマルチフィラメント単糸が、その全長に亙って繊維と繊維の間が無撚状態の無撚マルチフィラメント単糸(11t)である前掲請求項1と2の何れかに記載のループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸。
- (b−4) SZ交互合撚糸(12)を構成しているSZ交互仮撚単糸(11a)が複数本である前掲請求項4に記載のループパイルタフテッドパイル布帛用パイル糸。
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