JP2009030049A - 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料 - Google Patents

多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料 Download PDF

Info

Publication number
JP2009030049A
JP2009030049A JP2008175366A JP2008175366A JP2009030049A JP 2009030049 A JP2009030049 A JP 2009030049A JP 2008175366 A JP2008175366 A JP 2008175366A JP 2008175366 A JP2008175366 A JP 2008175366A JP 2009030049 A JP2009030049 A JP 2009030049A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
porous film
particles
aggregate
average particle
coating liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008175366A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5231884B2 (ja
Inventor
Tadashi Koike
匡 小池
Akihiro Kobayashi
章洋 小林
Hirokazu Suzuki
宏和 鈴木
Daiki Matsuoka
大樹 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Exsymo Co Ltd
Original Assignee
Ube Nitto Kasei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Nitto Kasei Co Ltd filed Critical Ube Nitto Kasei Co Ltd
Priority to JP2008175366A priority Critical patent/JP5231884B2/ja
Publication of JP2009030049A publication Critical patent/JP2009030049A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5231884B2 publication Critical patent/JP5231884B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】
基板表面に配線を形成する際に、クラックの発生を抑制し、印刷性、密着性を向上し得る多孔質膜を提供する。
【解決手段】
平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、特定の金属酸化物からなる一次粒子が2個以上結合した、平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、バインダーとして、アルコキシド化合物の加水分解−縮合反応してなるM−O(M:ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム)の繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる多孔質膜である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料に関する。
近年、金属ナノ粒子や、金属ペーストを利用した材料開発が盛んになってきており、特にこれらを含むインクを用いて、インクジェットやスクリーンなどの印刷方法により基板上に受容層を介して直接配線を形成する技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。この手法では、マスクやエッチングなどの工程無しに配線を形成できることや、比較的低温(160〜250℃程度)プロセスであることが特徴とされており、得られた配線材料は、パソコンや携帯電話の表示部を構成する透明基板等として利用されている。
上記配線材料は、透明性が高く、コストが低いものが求められるようになってきており、また、配線材料の基板としては、軽量で、割れにくいものが求められるため、これ等の観点から、配線材料の基板として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの有機フィルムが用いられるようになってきている。特に、金属ペーストや金属ナノ粒子などを含む配線形成用インクを用いて基板上に直接印刷する場合、比較的低温で配線を形成できることが利点の一つであるが、その配線形成温度自体は、許される範囲で高ければ高いほど、配線の信頼性、インクの選択性などの面で有利な点が多いことから、配線材料基板として耐熱性の比較的高い有機フィルム(耐熱温度160℃以上)を用いることの技術的意義は大きい。
ところで、金属ペーストや、金属ナノ粒子を含む配線形成用インクを、インクジェット方式などで基板上に直接印刷する場合、インク吸収性などの印刷特性を向上させるために、通常基板表面に予め受容層(インク受容膜)を設けることが行われており(例えば、特許文献1参照)、上記インク受容膜としては、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂バインダーと、球状コロイダルシリカ粒子が平面状に繋がった数珠状コロイダルシリカとを含む水分散液からなる塗工液を塗布、乾燥したもの等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記インク受容膜も、基板と同様に、少なくとも160℃以上、好ましくは200℃以上の耐熱性が要求されるが、従来の樹脂バインダーを用いたインク受容膜は、クラックの発生、分解またはそれに伴う変色が生じてしまうという課題を有していた。
加えて、従来のインク受容膜においては、印刷時に滲みが発生する等して印刷性が十分でない場合があり、また、インク受容膜表面に印刷された配線の密着性が十分でない場合があることから、品質面において更なる向上が求められるようになっていた。
特開2006−59983号公報 国際公開第00/15552号パンフレット
本発明は、このような事情のもとで、インク受容膜として用いることができ、特に有機フィルムからなる基板表面に、金属ペースト等を含むインクによって配線を直接形成する際に、クラックの発生などを抑制し、印刷性、密着性を向上し得る多孔質膜、該多孔質膜形成用塗工液、上記多孔質膜を形成してなる積層基板および上記多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり特定の金属酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、バインダーとして、アルコキシド化合物の加水分解−縮合反応してなるM−O(M:ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム)の繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含み、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる多孔質膜により、その目的を達成し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
1 nM(OR2m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる
ことを特徴とする多孔質膜、
(2) 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する一次粒子の、走査型電子顕微鏡により測定した時の平均粒子径が、2〜200nmであることを特徴とする上記(1)に記載の多孔質膜、
(3) 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の多孔質膜、
(4) 動的光散乱法により測定したときの凝集体粒子の平均粒子径が70〜2500nmの範囲内にあることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多孔質膜、
(5) 細孔を1μm2あたり3〜100個表面に形成してなる上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質膜、
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
1 nM(OR2m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
ことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液、
(7) 上記(6)に記載された多孔質膜形成用塗工液を製造する方法において、
(a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
および、
(c)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を混合する工程
を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法、
(8) 基板上に上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板、
(9) 基板が有機基板である上記(8)に記載の積層基板、
(10) 上記(8)または(9)に記載の積層基板上の多孔質膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料、および
(11) 前記配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである上記(10)に記載の配線材料、
を提供するものである。
本発明の多孔質膜は、特定の一次粒子からなる凝集体粒子が、特定の無機系縮合物をバインダーとして、基板上に一定の厚みを持ちつつ特定割合で3次元的に(立体的に)存在する状態にあると考えられる。
上記多孔質膜において、凝集体粒子は、膜表面に細孔を形成することに加え、多孔質膜表面に凹凸構造を形成するため、インク受容膜として用いたときに、配線に対するアンカー効果を発揮して、配線の密着性を向上すると考えられる。また、多孔質膜の形成時に塗工液中に凝集体粒子とともに単分散粒子が存在する場合には、この単分散粒子は膜表面に更に小さな細孔を形成して、インク吸収性(印刷特性)の向上に寄与すると考えられる。
このため、本発明によれば、基板表面上に、金属ペースト等を含むインクにより配線を形成する際に、クラックの発生などを抑制し、印刷性、密着性を向上し得る多孔質膜を提供することができる。
また、本発明によれば、上記多孔質膜形成用塗工液、上記多孔質膜を形成してなる積層基板および上記多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料を提供することができる。
まず、本発明の多孔質膜について説明する。
本発明の多孔質膜は、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
1 nM(OR2m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなることを特徴とするものである。
凝集体粒子含有物(A)において、上記凝集体粒子の一次粒子を構成する金属の酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属の酸化物の種類としては特に限定はないが、安定性、価格、入手性などから、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの酸化物が挙げられる。
また、アンチモン-スズ系酸化物、インジウム-スズ系酸化物、酸化チタン/スズ-アンチモン酸化系酸化物などの導電性を有するスズ系酸化物を用いる場合には、帯電防止性能も同時に付与することができ、好ましい場合がある。
凝集体粒子含有物(A)において、凝集体粒子を構成する一次粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定したときの平均粒子径が、2〜200nmの範囲内にあり、5〜100nmの範囲内にあることが好ましく、10〜50nmの範囲内にあることがより好ましく、10〜30nmの範囲内にあることがさらに好ましい。
一次粒子の粒径が2nm未満であると粒子が安定に存在し難く、200nmを超える場合は、凝集体の可視光の散乱が大きくなり、薄膜化した場合に透明性が損なわれる恐れがある。また、多孔質膜形成前の塗工液の状態で、凝集体粒子の沈降が起こりやすく、扱いにくくなる。
また、凝集体粒子は、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にあり、70〜2500nmの範囲内にあることが好ましく、70〜1000nmの範囲内にあることがより好ましく、70〜300nmの範囲内にあることが特に好ましい。
70nm未満の場合、凝集体粒子由来の表面細孔の大きさや数が少なくなりまた、3次元的な凹凸形状の形成も不十分な状態となり目的とするアンカー効果が充分では無くなる。3000nmを超えると、多孔質膜形成前の塗工液の状態で粒子の沈降が発生して、取り扱いし難くなることや、薄膜化した場合に膜の表面や、内部の可視光の散乱が大きくなり、膜が白濁し易くなるという問題が発生する。
凝集体粒子は一次粒子2個以上結合したものであり、その形態としては、一次粒子が数珠状に連結した長鎖構造を有するもの、連結した凝集体粒子が分枝したものおよび/または屈曲したものなどを挙げることができる。
このような凝集体粒子は、例えば球状金属酸化物からなる一次粒子を、2価以上の金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などを介在させて連結することにより、得ることができる。また、特許文献2に記載の方法を適用して、数珠状のシリカ粒子を作製し、これを本発明の凝集体粒子として用いることもできる。また、特定の酸性度や、塩基度で安定に一次分散している粒子分散液に、酸若しくは塩基触媒を添加することにより、分散液のpHを安定領域から変動させることにより不安定化させて得る手法も用いることが出来る。
さらには、凝集した粉体粒子を機械的手法により解砕、分散した粒子でも良い。解砕する手法としては、ジェット気流式、ホモジナイザー式および、ボールもしくはビーズミル式などの方法が挙げられる。
凝集体粒子含有物(A)は、一次粒子が2個以上結合してなる凝集体粒子を、10〜100質量%含むものであり、30〜100質量%含むものであることが好ましく、50〜100質量%含むものであることがより好ましい。
凝集体粒子含有物(A)において、凝集体粒子の含有割合を調整する方法に特に制限はないが、例えば実質的に100%凝集している粒子と、実質的に凝集していない粒子(単分散粒子)を混合する方法が、簡便で好ましい。単分散粒子としては、上述した一次粒子と同様のものを挙げることができる。
本発明の多孔質膜において、(B)成分である縮合物は、バインダーとして用いられるものであり、一般式(I)
1 nM(OR2m-n …(I)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるものである。
上記一般式(I)で表される化合物において、R1は非加水分解性基を示し、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基を示す。
ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれのものであってもよい。このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基としては、上記置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。この置換基を有するアルキル基の例としては、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物において、R2は炭素数1〜6のアルキル基であって、直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物において、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、アルミニウムの場合3であり、ケイ素、チタンまたはジルコニウムの場合4である。nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数である。
1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(I)で表される化合物において、Mが4価のケイ素であって、mが4で、nが0〜2の整数である場合のアルコキシド化合物の例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどを挙げることができる。
上記一般式(I)で表される化合物において、Mが4価のチタンまたはジルコニウムであって、mが4で、nが0〜2の整数である場合のアルコキシド化合物の例としては、上で例示したシラン化合物におけるシランを、チタンまたはジルコニウムに置き換えた化合物を挙げることができる。
また、上記一般式(I)で表されるアルコキシド化合物において、Mが3価のアルミニウムであって、mが3で、nが0〜1の整数である場合のアルコキシド化合物の例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、メチルジメトキシアルミニウム、メチルジエトキシアルミニウム、メチルジプロポキシアルミニウム、エチルジメトキシアルミニウム、エチルジエトキシアルミニウム、プロピルジエトキシアルミニウムなどを挙げることができる。
これらのアルコキシド化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の多孔質膜の製造においては、上記各種アルコキシド化合物とともに、予め上記各種アルコキシド化合物を加水分解、縮合して得たアルコキシシランオリゴマーなどのオリゴマーを用いることもできる。
上記一般式(I)のアルコキシド化合物の加水分解−縮合反応は、例えば、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エーテル系などの適当な極性溶剤中において、該アルコキシド化合物を、塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂を用いた酸性条件下、通常0〜60℃、好ましくは20〜40℃の温度にて加水分解処理し、固体酸を用いた場合には、それを除去したのち、さらに、所望により溶剤を留去または添加することにより行うことができ、上記反応により、M−O(Mは前記と同じである。)の繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を所定濃度で含む液体(バインダー液)を得ることができる。
本発明の多孔質膜は、さらに帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、導電性の金属酸化物、金属、カーボン等の粒子を含む分散体や、導電性高分子、イオン性液体、界面活性剤などが使用可能であるが、多孔質膜の耐熱性を阻害しないものを選定することが好ましい。帯電防止剤の含有量は、帯電防止剤の種類および性能発現の原理に応じて、また、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜調整すればよい。特に、先述もしたスズ系酸化物の粒子を使用する場合、多孔質膜の主成分となる凝集体粒子含有物の一部を置き換えても良い。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば成膜助剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、耐熱剤、耐候剤などを含むこともできる。
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合は、固形分基準で40〜95質量%であることが好ましく、55〜92質量%であることがより好ましい。
本発明の多孔質膜は、走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなるものである。
多孔質膜表面における細孔の長径(最大径)の平均値は、凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径に対して1.5〜2000倍であることが好ましく、1.5〜1000倍であることがより好ましく、2〜500倍であることがさらに好ましく、3〜300倍であることが特に好ましい。また、多孔質膜表面における細孔の個数は、3〜100個/μm2であることが好ましく、3〜50個/μm2であることがより好ましく、5〜20個/μm2でることがさらに好ましく、10〜15個/μm2であることが特に好ましい。
多孔質膜表面における細孔の長径の平均値が、凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径に対して1.5倍未満であったり、2000倍超である場合には、本発明の多孔質膜をインク受容膜として用いたときに、配線に対する十分なアンカー効果を発揮することができない場合や、印刷性が悪化する場合がある。また、多孔質膜表面における細孔の個数が1個/μm2未満である場合にも、本発明の多孔質膜をインク受容膜として用いたときに、配線に対する十分なアンカー効果を発揮することができない場合がある。また、100個以上である場合は、印刷性が悪化したり、膜の透明性が悪化する場合がある。
本発明の多孔質膜の膜厚は、膜強度およびインク受容膜として用いた際のインク吸収能の面から、0.3〜50μmが好ましく、0.3〜30μmがより好ましく、0.5〜20μmがさらに好ましい。
透明性が必要な用途に使用する場合、本発明の多孔質膜の正味のヘイズ値(Hz)は、6%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。ただし、実質的に透明性を必要としない用途に使用する場合は、ヘイズ値が6%以上であってもよい。
また、多孔質膜が帯電防止剤を含む場合、多孔質膜の表面抵抗が105〜1013Ω/cm2であることが好ましく、107〜1012Ω/cm2であることがより好ましく、109〜1011Ω/cm2であることがさらに好ましい。表面抵抗値が上記範囲内にあれば、多孔質膜形成後の基板取扱い時にゴミ、異物などの付着が防止できると共に、静電気の発生を抑制することができる。
本発明の多孔質膜は、特定の一次粒子からなる凝集体粒子が、特定の無機系縮合物をバインダーとして、基板上に一定の厚みを持ちつつ特定割合で3次元的に(立体的に)存在する状態にあると考えられる。
上記多孔質膜において、成分(A)中の凝集体粒子は、成分(B)の縮合物をバインダーとして相互に結合し、膜表面に所定の大きさを有する細孔を形成する、また、膜の表面に凹凸を与える効果もあるため、インク受容膜として用いたときに、配線に対するアンカー効果を発揮して、配線の密着性を向上すると考えられる。また、多孔質膜の形成時に塗工液中に凝集体粒子とともに単分散粒子が存在する場合には、この単分散粒子は膜表面に更に小さな細孔を形成して、インク吸収性(印刷特性)の向上に寄与すると考えられる。
次に、本発明の多孔質膜形成用塗工液について説明する。
本発明の多孔質膜形成用塗工液は、上記多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
1 nM(OR2m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
ことを特徴とするものである。
本発明の多孔質膜形成用塗工液において、(A)成分および(B)成分としては、上述したものと同様のものを挙げることができる。
本発明の多孔質膜形成用塗工液は、さらに帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、導電性の金属酸化物、金属、カーボン等の粒子を含む分散体や、導電性高分子、イオン性液体、界面活性剤などが使用可能であるが、インク受容膜の耐熱性を阻害しないものを選定することが好ましい。帯電防止剤の含有量は、帯電防止剤の種類および性能発現の原理に応じて、また、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜調整すればよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば成膜助剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、耐熱剤、耐候剤などを含有することもできる。
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合は、固形分基準で40〜95質量%であり、55〜92質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有量が40質量%未満の場合は、バインダーが細孔を埋め込み、多孔質性が損なわれる可能性がある。95質量%を超える場合は、粒子をつなぐ成分が相対的に少なく、剥離しやすく、割れが起こりやすいなどの不具合が発生する可能性がある。
本発明の多孔質膜形成用塗工液を製造する方法としては、上記成分(A)の凝集体粒子含有物の分散液を調製する工程、成分(B)の縮合物を含むバインダー液を調製する工程、および上記分散液、バインダー液を必要に応じて帯電防止剤やその他の添加剤とともに混合する工程を含む方法を挙げることができる。
上記成分(A)を分散する分散媒体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤やその誘導体、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤やその誘導体、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤を挙げることができ、その他、トルエン、キシレン、ヘキサン、ジメチルアセトアミド、エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等を挙げることができる。
上記成分(B)を含むバインダー液を得る方法としては、例えば、アルコール系、セロソルブ系、ケトン系、エーテル系などの適当な極性溶剤中において、一般式(I)で表されるアルコキシド化合物を、塩酸、硫酸、硝酸などの酸、あるいは固体酸としてのカチオン交換樹脂等を用いた酸性条件下、通常0〜60℃、好ましくは20〜40℃の温度にて加水分解処理し、固体酸を用いた場合には、それを除去したのち、さらに、所望により溶剤を留去または添加する方法を挙げることができ、上記反応により、M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物を所定濃度で含むバインダー液を得ることができる。
上記成分(A)および成分(B)を混合する際に用いる分散媒体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤やその誘導体、メチルセロソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤や、エチレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコール-モノ-メチルエーテル等の誘導体、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の溶剤を挙げる事ができ、その他、トルエン、キシレン、ヘキサンジメチルアセトアミド、エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等を挙げることができる。
また、上記混合時において、塗工液中の固形分濃度を、塗工に適した濃度にすることが好ましく、特に制限はないが、固形分濃度を通常2〜30質量%とすることが好ましく、5〜20質量%とすることがより好ましい。ここで、バインダー液中の縮合物(B)の重量は、一般式(I)で表されるアルコキシド化合物の加水分解-縮合反応が理論的に全て完了したものとして算出してよい。
混合時の温度は、0〜60℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜30℃がさらに好ましい。また、混合時間は5〜180分が好ましく、15〜150分がより好ましく、30〜120分がさらに好ましい。
次に、本発明の積層基板について説明する。
本発明の積層基板は、基板上に本発明の多孔質膜を形成してなることを特徴とするものである。
多孔質膜は、本発明の多孔質膜形成用塗工液を有機基板上に塗布し、乾燥することにより形成することが好ましく、有機基板としては、軽量性、フレキシブル性、割れにくさ、機械的特性、経済性などのバランスの面から、プラスチックフィルムからなるものが好ましい。このプラスチックフィルムとしては、例えばポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、セロハンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリシクロオレフィンなどを挙げることができる。しかし、機械的特性、熱的特性、価格などの面からポリエスルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリシクロオレフィンを用いるのが好ましい。
ポリエステルフィルムはエステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子フィルムの総称であるが、特に好ましいポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい。
また、これらのプラスチックフィルム中に公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合してもよい。
プラスチックフィルム等からなる基板の厚さに特に制限はなく、用途に応じて異なるが、通常1〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜250μmである。
また、前記のプラスチックフィルムは、その表面に設けられる多孔質膜との密着性を向上させる目的で、所望により該表面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
上記の例においては、基板としてプラスチックフィルム等の有機基板を用いる場合について詳述したが、本発明においては、ガラスやシリコンなどからなる無機基板を使用してもよい。
上記プラスチックフィルム基板などの基板の表面に、前述した本発明の塗工液を、従来公知の方法、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより塗工し、成膜したのち、自然乾燥または加熱乾燥することにより、基板上に本発明の多孔質膜を形成してなる積層基板を得ることができる。加熱乾燥する場合は、200℃以下の温度を採用することができる。
次に、本発明の配線材料について説明する。
本発明の配線材料は、本発明の積層基板上の多孔質膜表面に、配線を形成してなることを特徴とするものである。
本発明の配線材料は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものであることが好ましく、スクリーン印刷またはインクジェット印刷により形成してなるものであることがより好ましい。
本発明の配線材料を製造する方法としては、例えば、
(x)上記本発明の多孔質膜形成用塗工液を基板、特にポリエステルフィルムからなる基板上に塗工、乾燥して多孔質膜を有する積層基板を形成する工程、
(y)該積層基板上の多孔質膜表面にインクを用いて印刷する工程、および
(z)160〜250℃の温度で焼成する工程
を、上記順序で含む方法を挙げることができる。
上記(y)工程において、多孔質膜上に配線を形成するためのインクとしては、銀ペーストなどの金属ペーストや、金属ナノ粒子を含むインクなどを用いることができる。印刷方法としては、スクリーン印刷方式やインクジェット印刷方式などを用いて、多孔質膜上に所定のパターン形状に印刷を施すことが好ましい。
次いで、(z)工程において、160〜250℃、好ましくは170〜200℃の温度で30〜60分間程度焼成することにより、多孔質膜表面に所定パターンの配線が形成されてなる本発明の配線材料を得ることができる。
本発明においては、特定の多孔質膜を用いているため、上記のように配線を印刷後、焼成処理しても、クラックの発生や、変色などの発生を抑制することができ、品質の良好な配線材料を得ることができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−1成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール570gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて60分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを5質量%含む分散液(以下、(A)−1成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は170nmであった。
(2)縮合物含有バインダー液((B)−1成分含有バインダー液)の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン307gとテトラメトキシシランの4量体147gをメタノール257gに溶解し、これに0.1モル/L濃度の硝酸32g、水221gおよびメタノール37gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度30質量%のバインダー液(以下、(B)−1成分含有バインダー液という)を調製した。
(3)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−1成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267g、次いで上記(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例2(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−2成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール417gに対して、凝集体粒子含有物分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液500gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液83gの混合液(以下、(A)−2成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−2成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は50質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−2成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例3(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−3成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール583gに対して、凝集体粒子含有分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液300gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液117gの混合液(以下、(A)−3成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−3成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は、5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は30質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−3成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例4(塗工液の製造例)
(1)混合、攪拌処理
上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液600g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル367g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液33gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例5(塗工液の製造例)
(1)混合、攪拌処理
上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液480g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル467g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液53gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例6(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−4成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール470gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて30分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを6質量%含む分散液(以下、(A)−4成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は262nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−4成分含有分散液600g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル387g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例7(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−5成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール540gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmの疎水化表面処理シリカ粒子の凝集粉体60gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて60分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液(以下、(A)−5成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は195nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−5成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例8(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−6成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)のpHを調整することで粒子を凝集させケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液(以下、(A)−6成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が274nmである。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−6成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例9(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−7成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)のpHを調整することで粒子を凝集させケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が2500nmである。
得られた凝集体粒子分散液440gに対してメタノール373g、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液187gの混合液(以下、(A)−7成分含有分散液という)を調整した。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−7成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
比較例1(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−8成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)を10質量%含む分散液(以下、(A)−8成分含有分散液という)を得た。
得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が36nmである。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−8成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
比較例2(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−9成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール570gに、走査型電子顕微鏡により測定したと
きの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて300分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを5質量%含む分散液(以下、(A)−9成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は62nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−9成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
比較例3(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−10成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール792gに対して、凝集体粒子含有物分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液50gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液158gの混合液(以下、(A)−10成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−10成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は5質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−10成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例10(多孔質膜および積層基板の製造例)
実施例1〜9で得た塗工液を用い、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム[帝人デュポンフィルム社製、商品名「テオネックスQ51」、厚さ188μm]に、バーコート法により、乾燥後の厚さが1μmになるように各塗工液を塗布し、120℃で1分間加熱後、60℃で3日間エージングを行うことにより各多孔質膜を形成して、積層基板を作製した。
得られた積層基板において、各多孔質表面に形成された細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無を以下の方法で評価した。その結果を表1の「多孔質膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた各評価結果は、本実施例で用いた各塗工液に対応するように記載している。
(1)細孔の長径の平均値
走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6700F)を用い、多孔質膜表面を50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JEOL社製SmileViewにて細孔の長径の平均値を求めた。
(2)細孔数
走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6700F)を用い、多孔質膜表面を50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JEOL社製SmileViewにて細孔数を計測し、1μm2あたりの細孔数を求めた。
(3)クラックの有無
光学顕微鏡(倍率1250倍)にて観察し、クラックの有無を調べた。
表1に示すように、実施例1〜9で得られた多孔質膜は、いずれもクラックが観察されなかった。
また、図1に実施例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)を示す。
比較例4(多孔質膜および積層基板の製造例)
比較例1〜3で得た各塗工液を用いた以外は、実施例10と同様にしてPENフィルム上に多孔質膜を形成して各積層基板を得た。得られた各積層基板において、各多孔質膜表面における細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無を実施例10と同様の方法で評価し、その結果を表1の「多孔質膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた各評価結果は、本比較例で用いた各塗工液に対応するように記載している。
また、図2に比較例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)を示す。
実施例11(配線材料の製造例)
実施例1から実施例9で得た塗工液を用いて実施例10で得た各積層基板の多孔質膜上に、Agペースト[アルバック(株)製銀ナノペースト、商品名「Ag1TeH」]を、インクジェット印刷法にて、所定のパターン形状に印刷し、230℃で60分間焼成することにより、配線材料を作製した。
得られた各配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を以下の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。
表1において、得られた各評価結果は、用いた塗工液に対応するように記載している。
(1)クラックの有無
光学顕微鏡(倍率1250倍)にて観察し、クラックの有無を調べた。
(2)印刷性
市販のインクジェットメディア[ピクトリコ(株)製、商品名「ピクトリコ(TPX−1766/2)」]の印刷幅を1とした場合の滲み幅Xを求め、下記の判定基準で印刷性を評価した。
○:0.1≦X≦1.2
△:1.2<X≦1.5
×:1.5<X
(3)密着性
JISK5600に従い、密着性試験を行った(クロスカット試験機:ヨシミツ精機社製「C222」、テープ:ニチバン社製セロテープ(登録商標))。
密着性評価は、光学顕微鏡(倍率1250倍)にて剥離の有無を確認し、剥離部の面積により、以下のとおり評価した。
○:8〜10点
△:6〜8点
×:0〜6点
表1に示すように、実施例11で得られた各配線材料においては、いずれもクラックの発生は認められず、印刷性および密着性がいずれも良好であった。
比較例5(配線材料の製造例)
比較例1〜3の各塗工液を用いて比較例4で得た積層基板の多孔質膜上に、実施例11と同様にして配線を形成して、各配線材料を得た。
得られた各配線材料の性能を実施例11と同様の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた評価結果は、各塗工液に対応するように記載している。
表1に示すように、比較例5で得られた各配線材料は、いずれも密着性が劣るものであり、比較例3の塗工液を用いて得た配線材料には、クラックの発生も確認された。
本発明の多孔質膜は、インク受容膜として用いることができ、特に有機フィルムからなる基板表面に、金属ペースト等を含むインクによって配線を直接形成する際に、クラックの発生を抑制し、印刷性、密着性を向上し得るものであるので、特に上記多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料を作製する際に好適に用いることができる。
実施例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)である。 比較例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)である。

Claims (11)

  1. 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
    一般式(I)
    1 nM(OR2m-n …(I)
    (式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
    1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
    走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる
    ことを特徴とする多孔質膜。
  2. 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する一次粒子の、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質膜。
  4. 動的光散乱法により測定したときの凝集体粒子の平均粒子径が70〜2500nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質膜。
  5. 細孔を1μm2あたり3〜100個表面に形成してなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質膜。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
    一般式(I)
    1 nM(OR2m-n …(I)
    (式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
    成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
    ことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液。
  7. 請求項6に記載された多孔質膜形成用塗工液を製造する方法において、
    (a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
    (b)M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
    および、
    (c)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を混合する工程
    を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法。
  8. 基板上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板。
  9. 基板が有機基板である請求項8に記載の積層基板。
  10. 請求項8または9に記載の積層基板上の多孔質膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料。
  11. 前記配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである請求項10に記載の配線材料。
JP2008175366A 2007-07-04 2008-07-04 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料 Active JP5231884B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008175366A JP5231884B2 (ja) 2007-07-04 2008-07-04 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007175793 2007-07-04
JP2007175793 2007-07-04
JP2008175366A JP5231884B2 (ja) 2007-07-04 2008-07-04 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009030049A true JP2009030049A (ja) 2009-02-12
JP5231884B2 JP5231884B2 (ja) 2013-07-10

Family

ID=40400888

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008175366A Active JP5231884B2 (ja) 2007-07-04 2008-07-04 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5231884B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013504864A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 シェラー テクノチェル ゲー エム ベー ハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト 電子回路用支持体
JP5835633B1 (ja) * 2014-06-30 2015-12-24 光村印刷株式会社 導電性基材の製造方法
JP2017001363A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 日産自動車株式会社 防汚構造体及びその製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02147233A (ja) * 1988-11-29 1990-06-06 Dainippon Printing Co Ltd 表面処理プラスチックフィルムおよびその製造方法
JPH06145410A (ja) * 1992-11-10 1994-05-24 Dainippon Printing Co Ltd 超微粒子分散多孔質体の製造方法
JPH0916082A (ja) * 1995-04-27 1997-01-17 Nitto Denko Corp パターン形成用シート及びそのラベル
JPH09296067A (ja) * 1996-04-30 1997-11-18 Nippon Shokubai Co Ltd 多孔質膜、その製造方法および該多孔質膜を用いた被記録材
JPH09296068A (ja) * 1996-04-30 1997-11-18 Nippon Shokubai Co Ltd ゲル化物の製造方法
JP2003141956A (ja) * 2001-05-23 2003-05-16 Shipley Co Llc 多孔性物質
JP2004043984A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Oji Paper Co Ltd 繊維シート及びその製造方法ならびにプリプレグ及び積層板
JP2004212791A (ja) * 2003-01-07 2004-07-29 Dainippon Printing Co Ltd 光学部材およびその製造方法
JP2006117958A (ja) * 2006-01-30 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd 多孔質膜、その製造方法及び物品

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02147233A (ja) * 1988-11-29 1990-06-06 Dainippon Printing Co Ltd 表面処理プラスチックフィルムおよびその製造方法
JPH06145410A (ja) * 1992-11-10 1994-05-24 Dainippon Printing Co Ltd 超微粒子分散多孔質体の製造方法
JPH0916082A (ja) * 1995-04-27 1997-01-17 Nitto Denko Corp パターン形成用シート及びそのラベル
JPH09296067A (ja) * 1996-04-30 1997-11-18 Nippon Shokubai Co Ltd 多孔質膜、その製造方法および該多孔質膜を用いた被記録材
JPH09296068A (ja) * 1996-04-30 1997-11-18 Nippon Shokubai Co Ltd ゲル化物の製造方法
JP2003141956A (ja) * 2001-05-23 2003-05-16 Shipley Co Llc 多孔性物質
JP2004043984A (ja) * 2002-07-09 2004-02-12 Oji Paper Co Ltd 繊維シート及びその製造方法ならびにプリプレグ及び積層板
JP2004212791A (ja) * 2003-01-07 2004-07-29 Dainippon Printing Co Ltd 光学部材およびその製造方法
JP2006117958A (ja) * 2006-01-30 2006-05-11 Hitachi Chem Co Ltd 多孔質膜、その製造方法及び物品

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013504864A (ja) * 2009-09-14 2013-02-07 シェラー テクノチェル ゲー エム ベー ハー ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト 電子回路用支持体
US8815375B2 (en) 2009-09-14 2014-08-26 Schoeller Technocell Gmbh & Co. Kg Support for electronic circuits
JP5835633B1 (ja) * 2014-06-30 2015-12-24 光村印刷株式会社 導電性基材の製造方法
CN106463369A (zh) * 2014-06-30 2017-02-22 光村印刷株式会社 导电性基体材料以及导电性基体材料的制造方法
JP2017001363A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 日産自動車株式会社 防汚構造体及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5231884B2 (ja) 2013-07-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4921119B2 (ja) インク受容膜形成用塗工液、その製造方法、インク受容膜、積層基板、配線材料および電磁波シールド材料
JP7077955B2 (ja) ガスバリア性フィルム
JP2010241976A (ja) 耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法、耐水化アルミニウム顔料およびそれを含有する水性インク組成物
KR20080069606A (ko) 니켈 잉크 및 그 니켈 잉크로 형성한 도체막
EP2985324A1 (en) Film comprising copolymer or composition
CN105377556A (zh) 防雾性物品
TW202114941A (zh) 在外殼內側具有空洞的粒子及其製造方法、含其的塗佈液及帶含其的透明被膜的基材
JP5231884B2 (ja) 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料
JP2010229197A (ja) 耐水化アルミニウム顔料分散液の製造方法、耐水化アルミニウム顔料およびそれを含有する水性インク組成物
JP4409169B2 (ja) 着色顔料粒子を含む塗料、可視光遮蔽膜付基材
TW201539482A (zh) 透明導電層形成用組合物
JP4845214B2 (ja) 導電回路形成用基板、その製造方法、導電回路基板およびその製造方法
TW201044463A (en) Transparent conductive film encapsulating mesh-like structure formed from metal microparticles, substrate on which transparent conductive film is laminated, and method for producing the same
JP5884823B2 (ja) アミノ基を有するシランカップリング剤と金属アルコキシド化合物との縮合物を含有する組成物、それを主成分とする積層基板用材料、積層基板および導電性部材、並びにそれらの製造方法
JP2009027155A (ja) インク受容膜形成用塗工液、その製造方法、インク受容膜、積層基板および配線材料
JP2010161118A (ja) 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、その製造方法、積層基板および配線材料
WO2011111798A1 (ja) 透明導電膜形成用基板、透明導電膜付き基板、透明導電膜の製造方法
CN102774163A (zh) 一种mpet超声pacs医用诊断报告胶片及其制法
JP4225133B2 (ja) 樹脂表面改質用光触媒シート、積層体および樹脂表面改質方法
CN116004226B (zh) 复合钙钛矿量子点材料、钙钛矿量子点组合物及其制备方法和应用
JP2009001615A (ja) インク受容膜形成用塗工液、インク受容膜、積層基板および配線材料
JP2007331157A (ja) ガスバリアフィルム積層体
JPWO2015170647A1 (ja) ガラス物品
JP5772480B2 (ja) インク受容膜およびそれを用いた積層基板、導電性部材
JP5134293B2 (ja) インク受容膜形成用塗工液、その製造方法、インク受容膜、積層基板および配線材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110331

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130308

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130313

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130322

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160329

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5231884

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250