JP2009030049A - 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料 - Google Patents
多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、積層基板および配線材料 Download PDFInfo
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Abstract
基板表面に配線を形成する際に、クラックの発生を抑制し、印刷性、密着性を向上し得る多孔質膜を提供する。
【解決手段】
平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、特定の金属酸化物からなる一次粒子が2個以上結合した、平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、バインダーとして、アルコキシド化合物の加水分解−縮合反応してなるM−O(M:ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム)の繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる多孔質膜である。
【選択図】 なし
Description
(1) 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる
ことを特徴とする多孔質膜、
(2) 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する一次粒子の、走査型電子顕微鏡により測定した時の平均粒子径が、2〜200nmであることを特徴とする上記(1)に記載の多孔質膜、
(3) 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の多孔質膜、
(4) 動的光散乱法により測定したときの凝集体粒子の平均粒子径が70〜2500nmの範囲内にあることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の多孔質膜、
(5) 細孔を1μm2あたり3〜100個表面に形成してなる上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の多孔質膜、
(6) 上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
ことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液、
(7) 上記(6)に記載された多孔質膜形成用塗工液を製造する方法において、
(a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
および、
(c)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を混合する工程
を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法、
(8) 基板上に上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板、
(9) 基板が有機基板である上記(8)に記載の積層基板、
(10) 上記(8)または(9)に記載の積層基板上の多孔質膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料、および
(11) 前記配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである上記(10)に記載の配線材料、
を提供するものである。
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなることを特徴とするものである。
金属の酸化物の種類としては特に限定はないが、安定性、価格、入手性などから、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの酸化物が挙げられる。
また、アンチモン-スズ系酸化物、インジウム-スズ系酸化物、酸化チタン/スズ-アンチモン酸化系酸化物などの導電性を有するスズ系酸化物を用いる場合には、帯電防止性能も同時に付与することができ、好ましい場合がある。
一次粒子の粒径が2nm未満であると粒子が安定に存在し難く、200nmを超える場合は、凝集体の可視光の散乱が大きくなり、薄膜化した場合に透明性が損なわれる恐れがある。また、多孔質膜形成前の塗工液の状態で、凝集体粒子の沈降が起こりやすく、扱いにくくなる。
70nm未満の場合、凝集体粒子由来の表面細孔の大きさや数が少なくなりまた、3次元的な凹凸形状の形成も不十分な状態となり目的とするアンカー効果が充分では無くなる。3000nmを超えると、多孔質膜形成前の塗工液の状態で粒子の沈降が発生して、取り扱いし難くなることや、薄膜化した場合に膜の表面や、内部の可視光の散乱が大きくなり、膜が白濁し易くなるという問題が発生する。
このような凝集体粒子は、例えば球状金属酸化物からなる一次粒子を、2価以上の金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などを介在させて連結することにより、得ることができる。また、特許文献2に記載の方法を適用して、数珠状のシリカ粒子を作製し、これを本発明の凝集体粒子として用いることもできる。また、特定の酸性度や、塩基度で安定に一次分散している粒子分散液に、酸若しくは塩基触媒を添加することにより、分散液のpHを安定領域から変動させることにより不安定化させて得る手法も用いることが出来る。
さらには、凝集した粉体粒子を機械的手法により解砕、分散した粒子でも良い。解砕する手法としては、ジェット気流式、ホモジナイザー式および、ボールもしくはビーズミル式などの方法が挙げられる。
R1 nM(OR2)m-n …(I)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるものである。
また、本発明の多孔質膜の製造においては、上記各種アルコキシド化合物とともに、予め上記各種アルコキシド化合物を加水分解、縮合して得たアルコキシシランオリゴマーなどのオリゴマーを用いることもできる。
本発明の多孔質膜形成用塗工液は、上記多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
ことを特徴とするものである。
(A)成分の含有量が40質量%未満の場合は、バインダーが細孔を埋め込み、多孔質性が損なわれる可能性がある。95質量%を超える場合は、粒子をつなぐ成分が相対的に少なく、剥離しやすく、割れが起こりやすいなどの不具合が発生する可能性がある。
本発明の積層基板は、基板上に本発明の多孔質膜を形成してなることを特徴とするものである。
)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン4,4'−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレートなどが好ましい。
本発明の配線材料は、本発明の積層基板上の多孔質膜表面に、配線を形成してなることを特徴とするものである。
(x)上記本発明の多孔質膜形成用塗工液を基板、特にポリエステルフィルムからなる基板上に塗工、乾燥して多孔質膜を有する積層基板を形成する工程、
(y)該積層基板上の多孔質膜表面にインクを用いて印刷する工程、および
(z)160〜250℃の温度で焼成する工程
を、上記順序で含む方法を挙げることができる。
実施例1(塗工液の製造例)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−1成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール570gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて60分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを5質量%含む分散液(以下、(A)−1成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は170nmであった。
(2)縮合物含有バインダー液((B)−1成分含有バインダー液)の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン307gとテトラメトキシシランの4量体147gをメタノール257gに溶解し、これに0.1モル/L濃度の硝酸32g、水221gおよびメタノール37gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度30質量%のバインダー液(以下、(B)−1成分含有バインダー液という)を調製した。
(3)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−1成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267g、次いで上記(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−2成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール417gに対して、凝集体粒子含有物分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液500gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液83gの混合液(以下、(A)−2成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−2成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は50質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−2成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−3成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール583gに対して、凝集体粒子含有分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液300gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液117gの混合液(以下、(A)−3成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−3成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は、5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は30質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−3成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)混合、攪拌処理
上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液600g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル367g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液33gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)混合、攪拌処理
上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液480g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル467g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液53gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調整した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−4成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール470gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて30分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを6質量%含む分散液(以下、(A)−4成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は262nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−4成分含有分散液600g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル387g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−5成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール540gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmの疎水化表面処理シリカ粒子の凝集粉体60gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて60分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液(以下、(A)−5成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は195nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−5成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−6成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)のpHを調整することで粒子を凝集させケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液(以下、(A)−6成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が274nmである。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−6成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−7成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)のpHを調整することで粒子を凝集させケイ素系酸化物凝集体粒子のみを10質量%含む分散液を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が2500nmである。
得られた凝集体粒子分散液440gに対してメタノール373g、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液187gの混合液(以下、(A)−7成分含有分散液という)を調整した。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−7成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−8成分含有分散液)の調製
メタノールに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)を10質量%含む分散液(以下、(A)−8成分含有分散液という)を得た。
得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径が36nmである。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−8成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−9成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール570gに、走査型電子顕微鏡により測定したと
きの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製bio−mixer)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製USM−015、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて300分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを5質量%含む分散液(以下、(A)−9成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製ELS−Z2を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は62nmであった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−9成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−10成分含有分散液)の調製
イソプロピルアルコール792gに対して、凝集体粒子含有物分散液として、上記実施例1(1)で得た(A)−1成分含有分散液50gと、単分散粒子である市販のケイ素系酸化物(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径10nm)を30質量%含む分散液158gの混合液(以下、(A)−10成分含有分散液という)を調製した。得られた(A)−10成分含有分散液において、凝集体粒子含有物(凝集体粒子と単分散粒子の混合物)の濃度は5質量%であり、凝集体粒子含有物の総量に占める凝集体粒子の含有割合は5質量%であった。
(2)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−10成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル267gと、上記実施例1(2)で得た(B)−1成分含有バインダー液13gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
実施例1〜9で得た塗工液を用い、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム[帝人デュポンフィルム社製、商品名「テオネックスQ51」、厚さ188μm]に、バーコート法により、乾燥後の厚さが1μmになるように各塗工液を塗布し、120℃で1分間加熱後、60℃で3日間エージングを行うことにより各多孔質膜を形成して、積層基板を作製した。
得られた積層基板において、各多孔質表面に形成された細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無を以下の方法で評価した。その結果を表1の「多孔質膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた各評価結果は、本実施例で用いた各塗工液に対応するように記載している。
(1)細孔の長径の平均値
走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6700F)を用い、多孔質膜表面を50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JEOL社製SmileViewにて細孔の長径の平均値を求めた。
(2)細孔数
走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM−6700F)を用い、多孔質膜表面を50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JEOL社製SmileViewにて細孔数を計測し、1μm2あたりの細孔数を求めた。
(3)クラックの有無
光学顕微鏡(倍率1250倍)にて観察し、クラックの有無を調べた。
表1に示すように、実施例1〜9で得られた多孔質膜は、いずれもクラックが観察されなかった。
また、図1に実施例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)を示す。
比較例1〜3で得た各塗工液を用いた以外は、実施例10と同様にしてPENフィルム上に多孔質膜を形成して各積層基板を得た。得られた各積層基板において、各多孔質膜表面における細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無を実施例10と同様の方法で評価し、その結果を表1の「多孔質膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた各評価結果は、本比較例で用いた各塗工液に対応するように記載している。
また、図2に比較例1の塗工液を用いて得られた積層基板の走査型電子顕微鏡写真図(倍率50,000倍)を示す。
実施例1から実施例9で得た塗工液を用いて実施例10で得た各積層基板の多孔質膜上に、Agペースト[アルバック(株)製銀ナノペースト、商品名「Ag1TeH」]を、インクジェット印刷法にて、所定のパターン形状に印刷し、230℃で60分間焼成することにより、配線材料を作製した。
得られた各配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を以下の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。
表1において、得られた各評価結果は、用いた塗工液に対応するように記載している。
(1)クラックの有無
光学顕微鏡(倍率1250倍)にて観察し、クラックの有無を調べた。
(2)印刷性
市販のインクジェットメディア[ピクトリコ(株)製、商品名「ピクトリコ(TPX−1766/2)」]の印刷幅を1とした場合の滲み幅Xを求め、下記の判定基準で印刷性を評価した。
○:0.1≦X≦1.2
△:1.2<X≦1.5
×:1.5<X
(3)密着性
JISK5600に従い、密着性試験を行った(クロスカット試験機:ヨシミツ精機社製「C222」、テープ:ニチバン社製セロテープ(登録商標))。
密着性評価は、光学顕微鏡(倍率1250倍)にて剥離の有無を確認し、剥離部の面積により、以下のとおり評価した。
○:8〜10点
△:6〜8点
×:0〜6点
表1に示すように、実施例11で得られた各配線材料においては、いずれもクラックの発生は認められず、印刷性および密着性がいずれも良好であった。
比較例1〜3の各塗工液を用いて比較例4で得た積層基板の多孔質膜上に、実施例11と同様にして配線を形成して、各配線材料を得た。
得られた各配線材料の性能を実施例11と同様の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。表1において、得られた評価結果は、各塗工液に対応するように記載している。
表1に示すように、比較例5で得られた各配線材料は、いずれも密着性が劣るものであり、比較例3の塗工液を用いて得た配線材料には、クラックの発生も確認された。
Claims (11)
- 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、
R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含む塗工液から得られた薄膜からなり、かつ、
走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる
ことを特徴とする多孔質膜。 - 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する一次粒子の、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が、5〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質膜。
- 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の多孔質膜。
- 動的光散乱法により測定したときの凝集体粒子の平均粒子径が70〜2500nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多孔質膜。
- 細孔を1μm2あたり3〜100個表面に形成してなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の多孔質膜。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m-n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)とを含み、
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である
ことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液。 - 請求項6に記載された多孔質膜形成用塗工液を製造する方法において、
(a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
および、
(c)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を混合する工程
を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法。 - 基板上に請求項1〜5のいずれか1項に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板。
- 基板が有機基板である請求項8に記載の積層基板。
- 請求項8または9に記載の積層基板上の多孔質膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料。
- 前記配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである請求項10に記載の配線材料。
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