JP2004043984A - 繊維シート及びその製造方法ならびにプリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【課題】プリプレグ製造工程以降の積層板製造工程を大幅に変更することなく、多層化可能な誘電率(比誘電率)および/または誘電正接の低い電気回路基板を提供する。
【解決手段】無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を付着した繊維から構成され、該組成物は空気を含有した多孔質体であることを特徴する繊維シート。無機バインダーは、アルコキシシランおよびその多量体等またはその前駆体を加水分解・縮合したものが良く、無機顔料はコロイダルシリカ、多孔質シリカ等が使用できる。多孔質体は独立した気泡構造を有し平均細孔径が、3.5Å〜500Åが良い。
【選択図】 なし
【解決手段】無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を付着した繊維から構成され、該組成物は空気を含有した多孔質体であることを特徴する繊維シート。無機バインダーは、アルコキシシランおよびその多量体等またはその前駆体を加水分解・縮合したものが良く、無機顔料はコロイダルシリカ、多孔質シリカ等が使用できる。多孔質体は独立した気泡構造を有し平均細孔径が、3.5Å〜500Åが良い。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気回路基板に用いる不織布、プリプレグおよびその積層板に関する。更に詳しく述べるならば、ハンダ耐熱性に優れた誘電率および/または誘電正接の小さい電気回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の電子工業、通信工業、コンピュータの各分野において使用される周波数は次第に高周波の領域に移行している。ところが、高周波領域では信号速度や信号の損失等に及ぼす回路性能の影響が大きく、従って、使用する電気部品や電気回路基板に対して、高周波領域での信号速度の向上、損失の低減が求められている。
一般に、回路の信号速度及び損失は電気回路基板の誘電率に依存しており、誘電率が小さいほど信号速度は速くなり、その損失も小さくなる。このため、高周波領域で使用される電気回路基板としては、誘電率の小さいものが要求されている。
【0003】
電気回路基板の誘電率を小さくする方法として、フッ素樹脂を利用する方法、マトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂自体の誘電率を小さくする方法、空気を利用する方法などが従来より考案されている。
フッ素樹脂を利用する方法は、フッ素樹脂自体の誘電率(例えば、ポリテトラフルオロエチレンの比誘電率は2.1程度)が小さいこと利用したものであるが、接着性およびハンドリングが悪いという問題があり敬遠されがちである。
空気を利用する方法は、空気の比誘電率は真空の比誘電率に非常に近くほぼ1である為、空気を積層板に含ませることにより誘電率を小さくすることができる。
【0004】
例えば、特開平5−198903号公報では、中空バルーン等の中空粒子をマトリクッス樹脂中に充填剤として分散し、誘電率の低下を図っている。しかし、中空バルーンの粒径は数十μm程度あり、層間が厚さ30μm〜60μm程度の積層板では中空バルーンの大きさが大きく、中空バルーンの破損が生じて上下銅箔間の導通が起こるといった問題を持っている。
【0005】
上下導通の問題を回避できる方法として空気の径を小さくする方法がある。このような方法として例えば、特開平5−182518号公報を挙げることができる。特開平5−182518号公報では、分子レベルの大きさの空隙を有する多孔質な顔料を充填剤としてマトリックス樹脂中に充填・分散された積層板に関す技術が開示されている。しかし、この方法では、エーロゲル内に環境中の湿度である水分を吸収し易く、ハンダ耐熱性の劣化や誘電率の上昇が起こるという問題を抱えている。また、マトリックス中にエーロゲルという新たな顔料を配合することは、マトリックス樹脂塗料の分散安定性、粘性等が変わるといった問題が生じ、従来と同じ作業でなくなる問題がある。
【0006】
特開平3−124865公報では、メチルメトキシシラン等のアルコキシシラン加水分解・縮合物を無機バインダーとして用いた耐熱性繊維不織布について開示されている。しかし、誘電率および誘電正接は不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、プリプレグ製造工程以降の積層板製造工程を大幅に変更することなく、多層化可能な誘電率(比誘電率)および/または誘電正接の低い電気回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(15)の構成を採用する。
(1)無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を付着した繊維から構成され、該組成物は空気を含有した多孔質体であることを特徴する繊維シート。
(2)無機バインダーが、アルコキシシランおよびその多量体から選ばれる少なくとも1種を含有する前駆体またはその前駆体を加水分解・縮合したものであることを特徴とする(1)に記載の繊維シート。
(3)無機バインダーと無機顔料の繊維付着組成物中、無機顔料が10質量%〜90質量%であることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の繊維シート。
(4)前記付着物の比重が0.3〜1.9であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維シート。
(5)前記多孔質体が独立した気泡構造を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維シート。
(6)前記多孔質体の平均細孔径が、3.5Å〜500Åであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維シート。
(7)無機顔料が、0.5nm〜100nmの平均粒子径を有する球状シリカであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維シート。
(8)無機顔料が、平均粒子径0.1μm〜20μmである多孔質シリカであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維シート。
(9)多孔質シリカが、シリカ凝集体であることを特徴とする(8)に記載の繊維シート。
(10)多孔質シリカが、シリカゲルであることを特徴とする(8)に記載の繊維シート。
(11)繊維が硝子繊維であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維シート。
(12)繊維シートの比重が1.0〜2.1である(11)に記載の織布あるいは不織布。
(13)繊維シートに、無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を含有する塗料を供給し、繊維上に該組成物を付着させることを特徴とする繊維シートの製造方法。
(14)上記(1)〜(12)に記載した繊維シートに、もしくは上記(13)の製造方法によって得られた繊維シートに、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグおよびその積層板。
(15)上記(14)に記載のプリプレグを少なくとも積層板の一部分に一枚以上使用した積層板。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、鋭意検討を重ねた結果、特定の無機バインダーと無機顔料からなる組成物を繊維上に付着させると、その組成物中に空気を含有し、多孔質構造を有する多孔質体になることを見出した。この組成物が付着した繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを用いた積層板を電気回路基板とすると誘電率が低くなることを見出し、前記の問題点を解決した。
【0010】
積層板中に空気を含ませることにより誘電率を小さくする原理は、最も低い誘電率、誘電正接をもつ物質の1つである空気の比誘電率(εr)1と誘電正接(tanδ)0を利用することである。一般のガラスエポキシ(FR−4)積層板の比誘電率(εr)は4.2程度であるが、空気を含ませることによって、積層板全体の誘電率を小さくできる。
【0011】
本発明では、繊維に無機バインダーと無機顔料の組成物からなる繊維付着物を付着させた繊維シートに、従来の工法と同じ方法にて熱硬化性樹脂を含浸してプリブレグを作製し、このプリプレグと銅箔を熱プレスにて圧着積層することによって積層板を製造することができる。
本発明で言う繊維シートとは、繊維から構成される織布または不織布である。
【0012】
本発明の無機バインダーは、アルコキシシランおよびその多量体から選ばれる少なくとも1種を含有する前駆体またはその前駆体を加水分解・縮合したものを挙げることがができる。また、これらの混合物であっても構わない。なお、本発明では、アルコキシシランの加水分解・縮合物が、ほぼ同じ化学構造を取る物質を総称してアルコキシシランと表現している。
【0013】
アルコキシシランとしては例えば、Si−(OR’)4、R−Si−(OR’)3、R2−Si−(OR’)2、R3−Si−OR’、Ri(R’O)3− iSi−R−Si(OR’)3 − jRjなどが挙げられる。なお、前記式中のi、jは0〜2の自然数、RおよびR’は、有機基を表す。また同一式内あるいは異なる式において、分子中の全てのRが同じ有機基である必要はない。同様にR’についても同じ有機基である必要はない。
有機基とは、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、…など)、アリル基(フェニル基など)等の炭化水素基および水素を挙げることができる。更に、これら炭化水素基にアミノ基、ハロゲン基、エポキシ基、ウレタン基、イソシアネート基、メルカプト基、スルフィド基、ビニル基、アクリロ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の官能基が結合した有機官能基であっても良いし、これら以外の有機基であっても良い。本発明ではアルコキシシランとして、いわゆるシランカップリング剤も含む。本発明では、アルコキシシランの加水分解・縮合物が、ほぼ同じ化学構造を取る物質を総称してアルコキシシランと表現している為、OR’基がハロゲン基であるハロゲン化シランも例として挙げることができる。
アルコキシシラン多量体は、前記したようなアルコキシシラン複数個がSi−O−Si結合してなる多量体(2量体以上)である。もちろんアルコキシシランあるいはアルコキシシラン多量体に公知の金属アルコキシドを添加することは差し支えない。
【0014】
珪素化合物以外の無機バインダーの前駆体として、公知の金属アルコキシドを挙げることができる。このような金属アルコキシドとは、例えば、アルミニウムアルコキシド(RnAl(OR’)3−n)、チタニウムアルコキシド(RmTi(OR’)4− m)、ジルコニウムアルコキシド(RmZr(OR’)4− m)などが挙げられる。もちろんこれらに限定されることはない。なお、上記式中RおよびR’は、前記と同様の有機基を表し、全て同じ有機基である必要はない。また、nは0〜3の整数、mは0〜4の整数を表す。
【0015】
無機バインダーと無機顔料の組成物中、無機顔料は10質量%〜90質量%であることが好ましい。無機顔料が10質量%より少ない場合は、無機バインダーと無機顔料の組成物中に十分に空気が含まれないため、誘電率および誘電正接の低下が不十分であり、90質量%より多い場合は、繊維上に付着した無機バインダーと無機顔料組成物が脆く、繊維より脱落し易くなる。このような背景から、更に好ましい無機顔料の配合は、25質量%〜75質量%である。
【0016】
本発明では、無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着組成物の比重が0.3〜1.9であることが好ましく、より好ましくは比重0.6〜1.6である。比重が0.3未満の場合、繊維付着物が脆く、繊維から脱落し易くなる。比重1.9より大きい場合は、繊維付着物中に十分な空気が含まれない為、低誘電率化、低誘電正接化に大きく寄与しない。
【0017】
本発明の無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の多孔質構造は、その気泡が連続的に繋がっていても、独立した気泡構造となっていてもよい。独立した気泡構造は、無機顔料間の空隙を残し、それを包んだ様な構造となっていると考えられ、その気泡内に外部から水分等の侵入はない特徴を持つ。一方、連続的に繋がった気泡の場合であっても、無機バインダーとして、例えば一般式、R−Si−(OR’)3、R2−Si−(OR’)2、R3−Si−OR’、Ri(R’O)3− iSi−R−Si(OR’)3−jRj[式中のi、jは1〜2の自然数、RおよびR’は、有機基を表し、分子中の全てのRが同じ有機基である必要はない。同様に分子中の全てのR’が同じ有機基である必要はない。有機基とは、例えば、前記のものを挙げることができる。]で現されるアルコキシシランを無機バインダーの内、10質量%以上含ませることによって、繊維付着物の環境からの吸水率を抑えることができ、ハンダ耐熱性を向上させることができる。
【0018】
本発明の無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の多孔質体は、その平均細孔径が3.5Å〜500Åであることが好ましい。平均細孔径が3.5Å未満の場合は、誘電率及び誘電正接の低減にあまり有効でない場合がある。また、平均細孔径が500Å以上の場合は、加工した積層板中に環境中の水分が浸透し、細孔内に水が溜まり易くなる。この結果として、ハンダ耐熱性が悪くなり易くなる傾向がある。
平均細孔径の測定方法は、例えば、X線散乱法、中性子散乱法、陽電子消滅法、電子顕微鏡観測法に加え、連続的に繋がった気泡を持つ多孔質体の場合は、ガス吸着法を挙げることができる。もちろんこれらに限定されることはない。
【0019】
本発明では、無機バインダーに無機顔料を配合して用いる。本発明の無機顔料は特に制限されることはないが、例えば、カオリン、焼成クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化チタン、タルク、雲母粉、シリカ等を挙げることができる。 また本発明では、これら無機顔料を数種類配合しても良い。
これらの中では誘電率、誘電正接の小さいシリカが特に好ましく、次に挙げる球状シリカ、多孔質シリカ等がある。
【0020】
無機顔料として、特に好ましい一例は、0.5nm〜100nmの平均粒子径、更に好ましくは1nm〜50nmの平均粒子径の球状シリカである。この様な球状シリカを用いることにより空気が含まれる原理はよくわかっていないが、球状シリカ−球状シリカ間に存在する空間に無機バインダーが充填されない為、空気が含まれるのではないかと思われる。いずれにしても、無機バインダーおよび顔料の真比重より予想される比重に比べ小さくなることから、何等かの空気を含んだ多孔質構造になっていると考えられる。
【0021】
球状シリカの平均粒子径が、0.5nm未満の場合、無機バインダーと球状シリカからなる組成物中に空気が入り難くなり、多孔質構造になり難くなる。100nmの平均粒子径より大きな球状シリカを用いると、多孔質構造の平均細孔径が大きくなりすぎる為、多孔質体の強度が低下し、脆くなり、繊維シートを曲げた時に繊維から剥がれ落ち易くなる。
【0022】
無機顔料として、特に好ましい一例は、平均粒子径0.1μm〜20μmである多孔質シリカである。更に好ましくは平均粒子径0.5μm〜10μmである多孔質シリカである。この様な多孔質シリカを用いることにより空気が含まれる原理は明かではないが、概念的にはおそらく、多孔質シリカを無機バインダーが包む、あるいは一部を包むことにより、多孔質シリカ細孔内に存在する空気を有効に利用することが可能となると考えられる。いずれにしても、無機バインダーおよび顔料の真比重より予想される比重に比べ小さくなることから、何等かの空気を含んだ多孔質構造になっていると考えられる。この様な多孔質シリカとして、細孔容積が0.1〜4.0cm3/g、更に好ましくは0.3〜2.0cm3/gであれば、より有効に空気を利用できる。
この様な多孔質シリカの一例として、シリカ凝集体、シリカゲル等を挙げることができる。もちろんこれらは例であり、多孔質なシリカ顔料であれば限定されることなく用いることができる。
【0023】
本発明の繊維シートの繊維は、耐熱性有機繊維、無機繊維等であることが好ましい。これらに限定されるわけではないが、耐熱性有機繊維として例えば、メタアラミド繊維、パラアラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、メラミン繊維、フェノール繊維、ポリフェニレンスルファイド繊維、ポリケトン繊維、ポリエテールエーテルケトン繊維、フッ素繊維等を、無機繊維として例えば、硝子繊維、アルミナ繊維等を挙げることができ、2種類以上を混抄しても良い。本発明では硝子繊維であることがより好ましい。硝子繊維としては、E硝子繊維、D硝子繊維、S硝子繊維、NE硝子繊維、C硝子繊維、石英硝子繊維、高珪酸硝子繊維等を挙げることができるが、本発明の硝子繊維は、電気回路基板とした際の特性からE硝子繊維、D硝子繊維、NE硝子繊維、石英繊維繊維、高珪酸繊維繊維であることが特に好ましい。もちろんこれらに限定されるわけではない。
【0024】
硝子繊維を用いた場合の繊維シートは、その比重が1.0〜2.1であることが好ましい。比重2.1より大きい場合、誘電率または誘電正接が十分小さくならない場合がある。比重1.0未満の場合は、繊維付着物が多すぎて、繊維シートとしてのシート強度が不十分の場合がある。硝子繊維を用いた場合、無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の付着量は、繊維シートの比重が1.0〜2.1となるように決めることが好ましい。
【0025】
本発明の繊維形状としては、繊維断面が円であっても、その他形状(例えば、楕円、偏平、星型等)であってもとくに限定されることはなく、チョップド繊維、パルプ、フィブリッド等のいずれの形態でも構わない。複数の種類、形状、形態の繊維を混抄してもよい。また、その断面積は、1μm2〜500μm2程度が良く、それより大きいと繊維シートのしなやかさが損なわれる。
本発明の不織布においては、その繊維長は平均1〜50mm程度であることが好ましい。1mm未満では、湿式法で不織布を作製する場合、ワイヤー抄き上げによる繊維の留まりが悪くなり易く、50mmより大きいと、不織布の地合いが悪くなりがちである。
【0026】
本発明の織布の製造方法は公知の織機で作製することができる。
本発明の不織布は、湿式法(抄紙法)により作製することが好ましい。湿式法で作製する場合、好ましくは繊維同士がバインダーにより接着され不織布となる。
本発明の不織布のバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ等の公知の有機系バインダーの他に、本発明の無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料をバインダーとして使用することができる。これらのバインダーの繊維への供給方法は、例として含浸法、スプレー法、メイヤーバー方式、グラビア方式、マイクログラビア方式、ダイ方式、ブレード方式、マイクロロッド方式、エアナイフ方式、カーテン方式、スライド方式、ロール方式等の公知の塗布方法を挙げることができる。もちろん公知であればこれらの例に限定されることはない。
【0027】
また、メタアラミド繊維、液晶高分子繊維、熱可塑性ポリイミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリスチレン繊維等の公知の熱可塑性繊維、KP、GP、TMP等の木質パルプをバインダーとして用いることもでき、予め液晶高分子繊維、無機繊維等の耐熱繊維と混ぜて抄紙することもできる。
【0028】
本発明において、繊維シートへの無機バインダーと無機顔料の組成物の付着方法は、例えば、含浸方式、スプレー方式、メイヤーバー方式、グラビア方式、マイクログラビア方式、ダイ方式、ブレード方式、マイクロロッド方式、エアナイフ方式、カーテン方式、スライド方式、ロール方式等の公知の塗布方法を挙げることができる。もちろん公知であればこれらの例に限定されることはない。また、既に湿式法のバインダーとして無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料を用いた場合は、この工程を省いても良いし、または再度行っても良い。
【0029】
無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料は、必要に応じて補助添加物を配合しても良い。補助添加物としては、例えば、アルコキシシラン、金属アルコキシド等の加水分解・縮合の為に水に加え、加水分解・縮合をスムーズに行う為の公知の触媒を挙げることができる。例えば、塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、酢酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン等を挙げることができる。
【0030】
無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料の溶媒としては、水のほかに、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜6程度の1価アルコール、炭素数1〜6個程度の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコール、含フッ素アルコール等)、酢酸エステル系溶媒(例えば酢酸メチル、酢酸エチル等)、ラクトン系(例えばγ−ブチルラクトン等)、グリコールアセテート系溶媒(例えば、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールジアセテート等)、グリコールエーテル系溶媒、アミド系溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)等の公知の溶媒を挙げることができる。もちろんこれらに限定されることはない。
【0031】
前記したように作製された無機バインダーと無機顔料の組成物を付着した繊維シートを用いて、本発明では、公知の熱硬化性樹脂を含浸し、プリプレグが作製される。
このプリプレグと銅箔を重ね合わせ、熱プレス機にて積層板が作製され、この工程を繰り返す(多層化工程)ことによって多層の積層板が作製される。従来からあるガラスエポキシ多層積層板とほぼ同じ工程を用いて誘電率の小さい積層板ができる。
【0032】
一方、熱硬化性樹脂の代わりに、本発明の無機バインダーと無機顔料からなる組成物を用いて、プリプレグを作製しても、これ自体に熱変形および接着剤の性質がない為、積層板を従来からあるほぼ同じ工程で作製することができない為、本発明の優位性は明白である。
含浸する熱硬化性樹脂は、公知の熱硬化性樹脂であれば、本発明では特に限定されることはない。例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂、熱硬化型ポリフェニレンオキサイド樹脂等が好ましく使用される。
含浸する熱硬化性樹脂中に公知の有機顔料、無機顔料のいずれか1種類以上を配合することは制限されることではない。無機顔料としては、先に挙げたものを一例として示すことができる。またこれら有機顔料、無機顔料として、形状は特に制限されず、更に誘電率、誘電正接を小さくする為、中空であっても構わない。
【0033】
本発明のプリプレグは、少なくとも積層板の一部分に一枚以上使用することができる。つまり本発明の多層積層板は、全て同じプリプレグを用いる場合だけでなく、目的に応じて異種誘電率のプリプレグまたは板、および/またはコア材と多層化することができる。これらに限定されるわけではないが、例えば、多孔質構造のない従来からの繊維シートを用いたプリプレグまたは板、熱硬化性樹脂の異なるプリプレグまたは板、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、高分子液晶フィルム、セラミックス等を挙げることができる。
【0034】
また、電気回路基板は目的に応じて全部分または一部分のみ高周波信号に対応した部分を作ることができる。すなわち、電気回路基板である積層板の少なくとも一部分に本発明のプリプレグを少なくとも1枚以上使用することにより対応することができる。
本発明の積層板は、電気回路基板を作製する穴開け、エッチング、多層化の方法等について、公知のあらゆる手法も制限なく使用することができる。
【0035】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」はすべて「質量%」及び「質量部」を示す。また、化合物名の後の括弧内部は(商品名、会社名)を記載した。
【0036】
<実施例1>
E硝子繊維チョップ[日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm]を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Aをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に250℃、24時間にて処理し、米坪40g/m2の塗料付き不織布Aを得た。
この不織布Aの平均細孔径をQuantachrome社のAUTOSORB−1−MPを用いて、N2−BET法およびX線散乱法(「電子材料」2001年5月号、p56〜p60、表和彦ら、の方法を利用)を用いて測定した。
【0037】
また、使用した硝子繊維をエタノールに浸漬前後の重量を測定し、アルキメデスの原理によりこの硝子繊維の比重を求めたところ、2.54であった。次に、作製した不織布Aの比重を同様にして測定し、式(1)により硝子繊維の付着物の比重を求めた。結果を表1に示す。
(付着物の比重)={(不織布の比重)−2.54×(不織布中の硝子繊維質量)/(不織布の質量)}×(不織布の質量)/{(不織布の質量)−(不織布中の硝子繊維の質量)} ・・・ 式(1)
【0038】
塗料A
アルコキシシランとしてエチルシリケート(商品名エチルシリケート40、コルコート社製)50部、フェニルトリメトキシシラン(商品名KBM−103、信越化学社製)30部、メチルメトキシシランオリゴマー(KC−89S、信越化学社製)10部、ジベンジルジメトキシシラン(商品名KBM202SS、信越化学社製)10部からなるアルコキシシラン計100部に1規定塩酸5部、水50部、イソプロピルアルコール50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃、30分間にて保温攪拌し無機バインダーα塗料を調整した。無機バインダーα塗料100部に平均粒子径10nm〜20nmである球状シリカ(商品名スノーテックスO、日産化学社製コロイダルシリカ)20%溶液を400部を加えた塗料を塗料Aとした。
【0039】
<実施例2>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Bをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気下500℃1時間にて処理し、米坪50g/m2の塗料付き不織布Bを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0040】
塗料B:
メチルトリメトキシシラン(商品名KBM13、信越化学社製)100部、1規定酢酸10部、イソプロピルアルコール50部、水50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃30分間にて保温攪拌し無機バインダーβ塗料を調整した。平均粒子径1.4μ、細孔容積1.60cm3/gのシリカ凝集体である富士シリシア化学社製のサイリシア310を水中に固形分10%になるように分散し、この分散液80部と無機バインダーβ塗料100部を混合し、塗料Bとした。
【0041】
<実施例3>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートにアクリルエマルジョン(商品名EK−72、サイデン化学社製)10部、水400部、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメトキシシラン(商品名KBM603、信越化学社製)0.5部を室温下にて1時間攪拌混合した塗料を乾燥後のシートが1%増量するようにスプレーにて塗布し、105℃10分間にて乾燥した。この繊維のみのシートに下記塗料Cをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気下200℃、36時間にて処理し、米坪35g/m2の塗料付き不織布Cを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0042】
塗料C:
無機顔料として、平均細孔径10μm、細孔容積1.5cm3/gのシリカゲル(商品名サイロスフェスタC−1510、富士シリシア化学社製)50部と無機バインダーα塗料100部を混合し、塗料Cとした。
【0043】
<実施例4>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Dをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気中350℃4時間にて処理し、米坪50g/m2の塗料付き不織布Dを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法による平均細孔径は、連続的な多孔質構造でなかった為、測定できなかった。結果を表1に示す。
【0044】
塗料D:
アルコキシシランとしてメチルトリメトキシシラン(KBM13、信越化学社製)50部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−903、信越化学社製)50部からなるアルコキシシラン計100部に、水50部、イソプロピルアルコール50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃4時間にて保温攪拌し無機バインダーγ塗料を調整した。無機バインダーγ塗料100部に平均粒子径3.0μm、細孔容積0.44cm3/gのシリカ凝集体(サイリシア730、富士シリシア化学社製)8部、平均粒子径10nm〜20nmである球状シリカ(スノーテックスO、日産化学社製コロイダルシリカ)20%溶液25部を加えた塗料を塗料Dとした。
【0045】
<比較例1>
塗料Aの代わりに無機バインダーα塗料を使用する以外、実施例1と同様な処理を行い、不織布Eを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法、X線散乱法いずれも細孔が存在する測定結果が得られなかった。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例2>
塗料Dの代わりに無機バインダーγ塗料を使用する以外、実施例4と同様な処理を行い、不織布Fを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法、X線散乱法いずれも細孔が存在する測定結果が得られなかった。結果を表1に示す。
【0047】
<実施例5>
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメトキシシラン(KBM603、信越化学社製)1部を水100部に加え、1時間室温下で混合した液を実施例1で作製した不織布Aにスプレーにて乾燥後のシート質量が0.1%増量するように塗布し、105℃10分間にて乾燥した。この不織布にエポキシ樹脂(エピコートE5048、油化シェルエポキシ社製)100部、フェニルイミダゾール0.15部をメチルエチルケトン60部に溶解した熱硬化性樹脂塗料に含浸し熱硬化性樹脂量42%のプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね合わせ、その両側に厚さ18μmの銅箔を設置し、真空熱プレス機にて180℃1時間40kgf/cm2の条件にて積層板を作製した。作製した積層板の熱硬化性樹脂量は、39%であった。
この積層板を23℃50%RHの環境下にて3日間調湿し、1GHzの比誘電率ならびに誘電正接をベクトルメジャメントシステムMS4623B(アンリツ社製)にて測定した。また、この積層板5cm角のサンプルの両面の銅箔半分のみ(両面同じ位置)をエッチング除去、さらに水洗し、105℃の乾燥機で1時間乾燥してハンダ耐熱性試験サンプルを作製した。このサンプルを121℃2気圧水蒸気下(PCT処理)に1時間放置し、その後、260℃のハンダ浴に20秒間浸漬しハンダ耐熱性試験を行った。ハンダ耐熱性試験後のサンプル外観に膨れ等の異常がないか目視にて確認した。結果を表2に示す。
【0048】
<実施例6>
不織布Aの代わりに不織布Bを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0049】
<実施例7>
不織布Aの代わりに不織布Cを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0050】
<実施例8>
不織布Dにエポキシ樹脂(エピコートE5048、油化シェルエポキシ社製)100部、フェニルイミダゾール0.15部をメチルエチルケトン60部に溶解した熱硬化性樹脂塗料に含浸し熱硬化性樹脂量42%のプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね合わせ、その両側に厚さ50μmの銅箔を設置し、真空熱プレス機にて180℃1時間40kgf/cm2の条件にて積層板を作製した。作製した積層板の熱硬化性樹脂量は、39%であった。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0051】
<比較例3>
不織布Aの代わりに不織布Eを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0052】
<比較例4>
不織布Dの代わりに不織布Fを使う以外、実施例8と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、製造が比較的簡単であり、プリプレグ以降の製造工程を従来のものと比較して大きく変えることなく、誘電率(比誘電率)および/または誘電正接が低く、特に高周波領域において有用な電気回路基板を提供することが可能となり、産業上極めて有用なものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気回路基板に用いる不織布、プリプレグおよびその積層板に関する。更に詳しく述べるならば、ハンダ耐熱性に優れた誘電率および/または誘電正接の小さい電気回路基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の電子工業、通信工業、コンピュータの各分野において使用される周波数は次第に高周波の領域に移行している。ところが、高周波領域では信号速度や信号の損失等に及ぼす回路性能の影響が大きく、従って、使用する電気部品や電気回路基板に対して、高周波領域での信号速度の向上、損失の低減が求められている。
一般に、回路の信号速度及び損失は電気回路基板の誘電率に依存しており、誘電率が小さいほど信号速度は速くなり、その損失も小さくなる。このため、高周波領域で使用される電気回路基板としては、誘電率の小さいものが要求されている。
【0003】
電気回路基板の誘電率を小さくする方法として、フッ素樹脂を利用する方法、マトリックス樹脂としての熱硬化性樹脂自体の誘電率を小さくする方法、空気を利用する方法などが従来より考案されている。
フッ素樹脂を利用する方法は、フッ素樹脂自体の誘電率(例えば、ポリテトラフルオロエチレンの比誘電率は2.1程度)が小さいこと利用したものであるが、接着性およびハンドリングが悪いという問題があり敬遠されがちである。
空気を利用する方法は、空気の比誘電率は真空の比誘電率に非常に近くほぼ1である為、空気を積層板に含ませることにより誘電率を小さくすることができる。
【0004】
例えば、特開平5−198903号公報では、中空バルーン等の中空粒子をマトリクッス樹脂中に充填剤として分散し、誘電率の低下を図っている。しかし、中空バルーンの粒径は数十μm程度あり、層間が厚さ30μm〜60μm程度の積層板では中空バルーンの大きさが大きく、中空バルーンの破損が生じて上下銅箔間の導通が起こるといった問題を持っている。
【0005】
上下導通の問題を回避できる方法として空気の径を小さくする方法がある。このような方法として例えば、特開平5−182518号公報を挙げることができる。特開平5−182518号公報では、分子レベルの大きさの空隙を有する多孔質な顔料を充填剤としてマトリックス樹脂中に充填・分散された積層板に関す技術が開示されている。しかし、この方法では、エーロゲル内に環境中の湿度である水分を吸収し易く、ハンダ耐熱性の劣化や誘電率の上昇が起こるという問題を抱えている。また、マトリックス中にエーロゲルという新たな顔料を配合することは、マトリックス樹脂塗料の分散安定性、粘性等が変わるといった問題が生じ、従来と同じ作業でなくなる問題がある。
【0006】
特開平3−124865公報では、メチルメトキシシラン等のアルコキシシラン加水分解・縮合物を無機バインダーとして用いた耐熱性繊維不織布について開示されている。しかし、誘電率および誘電正接は不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、プリプレグ製造工程以降の積層板製造工程を大幅に変更することなく、多層化可能な誘電率(比誘電率)および/または誘電正接の低い電気回路基板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は以下の(1)〜(15)の構成を採用する。
(1)無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を付着した繊維から構成され、該組成物は空気を含有した多孔質体であることを特徴する繊維シート。
(2)無機バインダーが、アルコキシシランおよびその多量体から選ばれる少なくとも1種を含有する前駆体またはその前駆体を加水分解・縮合したものであることを特徴とする(1)に記載の繊維シート。
(3)無機バインダーと無機顔料の繊維付着組成物中、無機顔料が10質量%〜90質量%であることを特徴とする(1)または(2)のいずれかに記載の繊維シート。
(4)前記付着物の比重が0.3〜1.9であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維シート。
(5)前記多孔質体が独立した気泡構造を有することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の繊維シート。
(6)前記多孔質体の平均細孔径が、3.5Å〜500Åであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の繊維シート。
(7)無機顔料が、0.5nm〜100nmの平均粒子径を有する球状シリカであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維シート。
(8)無機顔料が、平均粒子径0.1μm〜20μmである多孔質シリカであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の繊維シート。
(9)多孔質シリカが、シリカ凝集体であることを特徴とする(8)に記載の繊維シート。
(10)多孔質シリカが、シリカゲルであることを特徴とする(8)に記載の繊維シート。
(11)繊維が硝子繊維であることを特徴とする(1)〜(10)のいずれかに記載の繊維シート。
(12)繊維シートの比重が1.0〜2.1である(11)に記載の織布あるいは不織布。
(13)繊維シートに、無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を含有する塗料を供給し、繊維上に該組成物を付着させることを特徴とする繊維シートの製造方法。
(14)上記(1)〜(12)に記載した繊維シートに、もしくは上記(13)の製造方法によって得られた繊維シートに、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグおよびその積層板。
(15)上記(14)に記載のプリプレグを少なくとも積層板の一部分に一枚以上使用した積層板。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、鋭意検討を重ねた結果、特定の無機バインダーと無機顔料からなる組成物を繊維上に付着させると、その組成物中に空気を含有し、多孔質構造を有する多孔質体になることを見出した。この組成物が付着した繊維シートに熱硬化性樹脂を含浸したプリプレグを用いた積層板を電気回路基板とすると誘電率が低くなることを見出し、前記の問題点を解決した。
【0010】
積層板中に空気を含ませることにより誘電率を小さくする原理は、最も低い誘電率、誘電正接をもつ物質の1つである空気の比誘電率(εr)1と誘電正接(tanδ)0を利用することである。一般のガラスエポキシ(FR−4)積層板の比誘電率(εr)は4.2程度であるが、空気を含ませることによって、積層板全体の誘電率を小さくできる。
【0011】
本発明では、繊維に無機バインダーと無機顔料の組成物からなる繊維付着物を付着させた繊維シートに、従来の工法と同じ方法にて熱硬化性樹脂を含浸してプリブレグを作製し、このプリプレグと銅箔を熱プレスにて圧着積層することによって積層板を製造することができる。
本発明で言う繊維シートとは、繊維から構成される織布または不織布である。
【0012】
本発明の無機バインダーは、アルコキシシランおよびその多量体から選ばれる少なくとも1種を含有する前駆体またはその前駆体を加水分解・縮合したものを挙げることがができる。また、これらの混合物であっても構わない。なお、本発明では、アルコキシシランの加水分解・縮合物が、ほぼ同じ化学構造を取る物質を総称してアルコキシシランと表現している。
【0013】
アルコキシシランとしては例えば、Si−(OR’)4、R−Si−(OR’)3、R2−Si−(OR’)2、R3−Si−OR’、Ri(R’O)3− iSi−R−Si(OR’)3 − jRjなどが挙げられる。なお、前記式中のi、jは0〜2の自然数、RおよびR’は、有機基を表す。また同一式内あるいは異なる式において、分子中の全てのRが同じ有機基である必要はない。同様にR’についても同じ有機基である必要はない。
有機基とは、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、…など)、アリル基(フェニル基など)等の炭化水素基および水素を挙げることができる。更に、これら炭化水素基にアミノ基、ハロゲン基、エポキシ基、ウレタン基、イソシアネート基、メルカプト基、スルフィド基、ビニル基、アクリロ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の官能基が結合した有機官能基であっても良いし、これら以外の有機基であっても良い。本発明ではアルコキシシランとして、いわゆるシランカップリング剤も含む。本発明では、アルコキシシランの加水分解・縮合物が、ほぼ同じ化学構造を取る物質を総称してアルコキシシランと表現している為、OR’基がハロゲン基であるハロゲン化シランも例として挙げることができる。
アルコキシシラン多量体は、前記したようなアルコキシシラン複数個がSi−O−Si結合してなる多量体(2量体以上)である。もちろんアルコキシシランあるいはアルコキシシラン多量体に公知の金属アルコキシドを添加することは差し支えない。
【0014】
珪素化合物以外の無機バインダーの前駆体として、公知の金属アルコキシドを挙げることができる。このような金属アルコキシドとは、例えば、アルミニウムアルコキシド(RnAl(OR’)3−n)、チタニウムアルコキシド(RmTi(OR’)4− m)、ジルコニウムアルコキシド(RmZr(OR’)4− m)などが挙げられる。もちろんこれらに限定されることはない。なお、上記式中RおよびR’は、前記と同様の有機基を表し、全て同じ有機基である必要はない。また、nは0〜3の整数、mは0〜4の整数を表す。
【0015】
無機バインダーと無機顔料の組成物中、無機顔料は10質量%〜90質量%であることが好ましい。無機顔料が10質量%より少ない場合は、無機バインダーと無機顔料の組成物中に十分に空気が含まれないため、誘電率および誘電正接の低下が不十分であり、90質量%より多い場合は、繊維上に付着した無機バインダーと無機顔料組成物が脆く、繊維より脱落し易くなる。このような背景から、更に好ましい無機顔料の配合は、25質量%〜75質量%である。
【0016】
本発明では、無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着組成物の比重が0.3〜1.9であることが好ましく、より好ましくは比重0.6〜1.6である。比重が0.3未満の場合、繊維付着物が脆く、繊維から脱落し易くなる。比重1.9より大きい場合は、繊維付着物中に十分な空気が含まれない為、低誘電率化、低誘電正接化に大きく寄与しない。
【0017】
本発明の無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の多孔質構造は、その気泡が連続的に繋がっていても、独立した気泡構造となっていてもよい。独立した気泡構造は、無機顔料間の空隙を残し、それを包んだ様な構造となっていると考えられ、その気泡内に外部から水分等の侵入はない特徴を持つ。一方、連続的に繋がった気泡の場合であっても、無機バインダーとして、例えば一般式、R−Si−(OR’)3、R2−Si−(OR’)2、R3−Si−OR’、Ri(R’O)3− iSi−R−Si(OR’)3−jRj[式中のi、jは1〜2の自然数、RおよびR’は、有機基を表し、分子中の全てのRが同じ有機基である必要はない。同様に分子中の全てのR’が同じ有機基である必要はない。有機基とは、例えば、前記のものを挙げることができる。]で現されるアルコキシシランを無機バインダーの内、10質量%以上含ませることによって、繊維付着物の環境からの吸水率を抑えることができ、ハンダ耐熱性を向上させることができる。
【0018】
本発明の無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の多孔質体は、その平均細孔径が3.5Å〜500Åであることが好ましい。平均細孔径が3.5Å未満の場合は、誘電率及び誘電正接の低減にあまり有効でない場合がある。また、平均細孔径が500Å以上の場合は、加工した積層板中に環境中の水分が浸透し、細孔内に水が溜まり易くなる。この結果として、ハンダ耐熱性が悪くなり易くなる傾向がある。
平均細孔径の測定方法は、例えば、X線散乱法、中性子散乱法、陽電子消滅法、電子顕微鏡観測法に加え、連続的に繋がった気泡を持つ多孔質体の場合は、ガス吸着法を挙げることができる。もちろんこれらに限定されることはない。
【0019】
本発明では、無機バインダーに無機顔料を配合して用いる。本発明の無機顔料は特に制限されることはないが、例えば、カオリン、焼成クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、酸化チタン、タルク、雲母粉、シリカ等を挙げることができる。 また本発明では、これら無機顔料を数種類配合しても良い。
これらの中では誘電率、誘電正接の小さいシリカが特に好ましく、次に挙げる球状シリカ、多孔質シリカ等がある。
【0020】
無機顔料として、特に好ましい一例は、0.5nm〜100nmの平均粒子径、更に好ましくは1nm〜50nmの平均粒子径の球状シリカである。この様な球状シリカを用いることにより空気が含まれる原理はよくわかっていないが、球状シリカ−球状シリカ間に存在する空間に無機バインダーが充填されない為、空気が含まれるのではないかと思われる。いずれにしても、無機バインダーおよび顔料の真比重より予想される比重に比べ小さくなることから、何等かの空気を含んだ多孔質構造になっていると考えられる。
【0021】
球状シリカの平均粒子径が、0.5nm未満の場合、無機バインダーと球状シリカからなる組成物中に空気が入り難くなり、多孔質構造になり難くなる。100nmの平均粒子径より大きな球状シリカを用いると、多孔質構造の平均細孔径が大きくなりすぎる為、多孔質体の強度が低下し、脆くなり、繊維シートを曲げた時に繊維から剥がれ落ち易くなる。
【0022】
無機顔料として、特に好ましい一例は、平均粒子径0.1μm〜20μmである多孔質シリカである。更に好ましくは平均粒子径0.5μm〜10μmである多孔質シリカである。この様な多孔質シリカを用いることにより空気が含まれる原理は明かではないが、概念的にはおそらく、多孔質シリカを無機バインダーが包む、あるいは一部を包むことにより、多孔質シリカ細孔内に存在する空気を有効に利用することが可能となると考えられる。いずれにしても、無機バインダーおよび顔料の真比重より予想される比重に比べ小さくなることから、何等かの空気を含んだ多孔質構造になっていると考えられる。この様な多孔質シリカとして、細孔容積が0.1〜4.0cm3/g、更に好ましくは0.3〜2.0cm3/gであれば、より有効に空気を利用できる。
この様な多孔質シリカの一例として、シリカ凝集体、シリカゲル等を挙げることができる。もちろんこれらは例であり、多孔質なシリカ顔料であれば限定されることなく用いることができる。
【0023】
本発明の繊維シートの繊維は、耐熱性有機繊維、無機繊維等であることが好ましい。これらに限定されるわけではないが、耐熱性有機繊維として例えば、メタアラミド繊維、パラアラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリアミドイミド繊維、メラミン繊維、フェノール繊維、ポリフェニレンスルファイド繊維、ポリケトン繊維、ポリエテールエーテルケトン繊維、フッ素繊維等を、無機繊維として例えば、硝子繊維、アルミナ繊維等を挙げることができ、2種類以上を混抄しても良い。本発明では硝子繊維であることがより好ましい。硝子繊維としては、E硝子繊維、D硝子繊維、S硝子繊維、NE硝子繊維、C硝子繊維、石英硝子繊維、高珪酸硝子繊維等を挙げることができるが、本発明の硝子繊維は、電気回路基板とした際の特性からE硝子繊維、D硝子繊維、NE硝子繊維、石英繊維繊維、高珪酸繊維繊維であることが特に好ましい。もちろんこれらに限定されるわけではない。
【0024】
硝子繊維を用いた場合の繊維シートは、その比重が1.0〜2.1であることが好ましい。比重2.1より大きい場合、誘電率または誘電正接が十分小さくならない場合がある。比重1.0未満の場合は、繊維付着物が多すぎて、繊維シートとしてのシート強度が不十分の場合がある。硝子繊維を用いた場合、無機バインダーと無機顔料からなる繊維付着物の付着量は、繊維シートの比重が1.0〜2.1となるように決めることが好ましい。
【0025】
本発明の繊維形状としては、繊維断面が円であっても、その他形状(例えば、楕円、偏平、星型等)であってもとくに限定されることはなく、チョップド繊維、パルプ、フィブリッド等のいずれの形態でも構わない。複数の種類、形状、形態の繊維を混抄してもよい。また、その断面積は、1μm2〜500μm2程度が良く、それより大きいと繊維シートのしなやかさが損なわれる。
本発明の不織布においては、その繊維長は平均1〜50mm程度であることが好ましい。1mm未満では、湿式法で不織布を作製する場合、ワイヤー抄き上げによる繊維の留まりが悪くなり易く、50mmより大きいと、不織布の地合いが悪くなりがちである。
【0026】
本発明の織布の製造方法は公知の織機で作製することができる。
本発明の不織布は、湿式法(抄紙法)により作製することが好ましい。湿式法で作製する場合、好ましくは繊維同士がバインダーにより接着され不織布となる。
本発明の不織布のバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、エポキシ等の公知の有機系バインダーの他に、本発明の無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料をバインダーとして使用することができる。これらのバインダーの繊維への供給方法は、例として含浸法、スプレー法、メイヤーバー方式、グラビア方式、マイクログラビア方式、ダイ方式、ブレード方式、マイクロロッド方式、エアナイフ方式、カーテン方式、スライド方式、ロール方式等の公知の塗布方法を挙げることができる。もちろん公知であればこれらの例に限定されることはない。
【0027】
また、メタアラミド繊維、液晶高分子繊維、熱可塑性ポリイミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリスチレン繊維等の公知の熱可塑性繊維、KP、GP、TMP等の木質パルプをバインダーとして用いることもでき、予め液晶高分子繊維、無機繊維等の耐熱繊維と混ぜて抄紙することもできる。
【0028】
本発明において、繊維シートへの無機バインダーと無機顔料の組成物の付着方法は、例えば、含浸方式、スプレー方式、メイヤーバー方式、グラビア方式、マイクログラビア方式、ダイ方式、ブレード方式、マイクロロッド方式、エアナイフ方式、カーテン方式、スライド方式、ロール方式等の公知の塗布方法を挙げることができる。もちろん公知であればこれらの例に限定されることはない。また、既に湿式法のバインダーとして無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料を用いた場合は、この工程を省いても良いし、または再度行っても良い。
【0029】
無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料は、必要に応じて補助添加物を配合しても良い。補助添加物としては、例えば、アルコキシシラン、金属アルコキシド等の加水分解・縮合の為に水に加え、加水分解・縮合をスムーズに行う為の公知の触媒を挙げることができる。例えば、塩酸、燐酸、硫酸、蟻酸、酢酸、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン等を挙げることができる。
【0030】
無機バインダーと無機顔料の組成物からなる塗料の溶媒としては、水のほかに、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜6程度の1価アルコール、炭素数1〜6個程度の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコール、含フッ素アルコール等)、酢酸エステル系溶媒(例えば酢酸メチル、酢酸エチル等)、ラクトン系(例えばγ−ブチルラクトン等)、グリコールアセテート系溶媒(例えば、エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールジアセテート等)、グリコールエーテル系溶媒、アミド系溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)等の公知の溶媒を挙げることができる。もちろんこれらに限定されることはない。
【0031】
前記したように作製された無機バインダーと無機顔料の組成物を付着した繊維シートを用いて、本発明では、公知の熱硬化性樹脂を含浸し、プリプレグが作製される。
このプリプレグと銅箔を重ね合わせ、熱プレス機にて積層板が作製され、この工程を繰り返す(多層化工程)ことによって多層の積層板が作製される。従来からあるガラスエポキシ多層積層板とほぼ同じ工程を用いて誘電率の小さい積層板ができる。
【0032】
一方、熱硬化性樹脂の代わりに、本発明の無機バインダーと無機顔料からなる組成物を用いて、プリプレグを作製しても、これ自体に熱変形および接着剤の性質がない為、積層板を従来からあるほぼ同じ工程で作製することができない為、本発明の優位性は明白である。
含浸する熱硬化性樹脂は、公知の熱硬化性樹脂であれば、本発明では特に限定されることはない。例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリイミド系樹脂、シアネート系樹脂、熱硬化型ポリフェニレンオキサイド樹脂等が好ましく使用される。
含浸する熱硬化性樹脂中に公知の有機顔料、無機顔料のいずれか1種類以上を配合することは制限されることではない。無機顔料としては、先に挙げたものを一例として示すことができる。またこれら有機顔料、無機顔料として、形状は特に制限されず、更に誘電率、誘電正接を小さくする為、中空であっても構わない。
【0033】
本発明のプリプレグは、少なくとも積層板の一部分に一枚以上使用することができる。つまり本発明の多層積層板は、全て同じプリプレグを用いる場合だけでなく、目的に応じて異種誘電率のプリプレグまたは板、および/またはコア材と多層化することができる。これらに限定されるわけではないが、例えば、多孔質構造のない従来からの繊維シートを用いたプリプレグまたは板、熱硬化性樹脂の異なるプリプレグまたは板、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、高分子液晶フィルム、セラミックス等を挙げることができる。
【0034】
また、電気回路基板は目的に応じて全部分または一部分のみ高周波信号に対応した部分を作ることができる。すなわち、電気回路基板である積層板の少なくとも一部分に本発明のプリプレグを少なくとも1枚以上使用することにより対応することができる。
本発明の積層板は、電気回路基板を作製する穴開け、エッチング、多層化の方法等について、公知のあらゆる手法も制限なく使用することができる。
【0035】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、もちろん本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において、特に断らない限り「%」及び「部」はすべて「質量%」及び「質量部」を示す。また、化合物名の後の括弧内部は(商品名、会社名)を記載した。
【0036】
<実施例1>
E硝子繊維チョップ[日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm]を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Aをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に250℃、24時間にて処理し、米坪40g/m2の塗料付き不織布Aを得た。
この不織布Aの平均細孔径をQuantachrome社のAUTOSORB−1−MPを用いて、N2−BET法およびX線散乱法(「電子材料」2001年5月号、p56〜p60、表和彦ら、の方法を利用)を用いて測定した。
【0037】
また、使用した硝子繊維をエタノールに浸漬前後の重量を測定し、アルキメデスの原理によりこの硝子繊維の比重を求めたところ、2.54であった。次に、作製した不織布Aの比重を同様にして測定し、式(1)により硝子繊維の付着物の比重を求めた。結果を表1に示す。
(付着物の比重)={(不織布の比重)−2.54×(不織布中の硝子繊維質量)/(不織布の質量)}×(不織布の質量)/{(不織布の質量)−(不織布中の硝子繊維の質量)} ・・・ 式(1)
【0038】
塗料A
アルコキシシランとしてエチルシリケート(商品名エチルシリケート40、コルコート社製)50部、フェニルトリメトキシシラン(商品名KBM−103、信越化学社製)30部、メチルメトキシシランオリゴマー(KC−89S、信越化学社製)10部、ジベンジルジメトキシシラン(商品名KBM202SS、信越化学社製)10部からなるアルコキシシラン計100部に1規定塩酸5部、水50部、イソプロピルアルコール50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃、30分間にて保温攪拌し無機バインダーα塗料を調整した。無機バインダーα塗料100部に平均粒子径10nm〜20nmである球状シリカ(商品名スノーテックスO、日産化学社製コロイダルシリカ)20%溶液を400部を加えた塗料を塗料Aとした。
【0039】
<実施例2>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Bをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気下500℃1時間にて処理し、米坪50g/m2の塗料付き不織布Bを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0040】
塗料B:
メチルトリメトキシシラン(商品名KBM13、信越化学社製)100部、1規定酢酸10部、イソプロピルアルコール50部、水50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃30分間にて保温攪拌し無機バインダーβ塗料を調整した。平均粒子径1.4μ、細孔容積1.60cm3/gのシリカ凝集体である富士シリシア化学社製のサイリシア310を水中に固形分10%になるように分散し、この分散液80部と無機バインダーβ塗料100部を混合し、塗料Bとした。
【0041】
<実施例3>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートにアクリルエマルジョン(商品名EK−72、サイデン化学社製)10部、水400部、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメトキシシラン(商品名KBM603、信越化学社製)0.5部を室温下にて1時間攪拌混合した塗料を乾燥後のシートが1%増量するようにスプレーにて塗布し、105℃10分間にて乾燥した。この繊維のみのシートに下記塗料Cをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気下200℃、36時間にて処理し、米坪35g/m2の塗料付き不織布Cを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。結果を表1に示す。
【0042】
塗料C:
無機顔料として、平均細孔径10μm、細孔容積1.5cm3/gのシリカゲル(商品名サイロスフェスタC−1510、富士シリシア化学社製)50部と無機バインダーα塗料100部を混合し、塗料Cとした。
【0043】
<実施例4>
E硝子繊維チョップ(日本電気ガラス株式会社製、繊維径φ9μm、繊維長13mm)を水中に分散させ、ワイヤメッシュ数80メッシュのプラスチックワイヤーを使用して角型手抄きマシーンにて湿式抄紙し、乾燥後の米坪27g/m2の繊維のみのシートを作製した。この繊維のみのシートに下記塗料Dをスプレーにて塗布し、120℃にて10分間乾燥し溶媒を揮発させ、更に窒素雰囲気中350℃4時間にて処理し、米坪50g/m2の塗料付き不織布Dを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法による平均細孔径は、連続的な多孔質構造でなかった為、測定できなかった。結果を表1に示す。
【0044】
塗料D:
アルコキシシランとしてメチルトリメトキシシラン(KBM13、信越化学社製)50部、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM−903、信越化学社製)50部からなるアルコキシシラン計100部に、水50部、イソプロピルアルコール50部を混合し、還流管を付けた反応器内で80℃4時間にて保温攪拌し無機バインダーγ塗料を調整した。無機バインダーγ塗料100部に平均粒子径3.0μm、細孔容積0.44cm3/gのシリカ凝集体(サイリシア730、富士シリシア化学社製)8部、平均粒子径10nm〜20nmである球状シリカ(スノーテックスO、日産化学社製コロイダルシリカ)20%溶液25部を加えた塗料を塗料Dとした。
【0045】
<比較例1>
塗料Aの代わりに無機バインダーα塗料を使用する以外、実施例1と同様な処理を行い、不織布Eを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法、X線散乱法いずれも細孔が存在する測定結果が得られなかった。結果を表1に示す。
【0046】
<比較例2>
塗料Dの代わりに無機バインダーγ塗料を使用する以外、実施例4と同様な処理を行い、不織布Fを得た。
平均細孔径および比重を実施例1の方法にて測定した。しかし、N2−BET法、X線散乱法いずれも細孔が存在する測定結果が得られなかった。結果を表1に示す。
【0047】
<実施例5>
N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメトキシシラン(KBM603、信越化学社製)1部を水100部に加え、1時間室温下で混合した液を実施例1で作製した不織布Aにスプレーにて乾燥後のシート質量が0.1%増量するように塗布し、105℃10分間にて乾燥した。この不織布にエポキシ樹脂(エピコートE5048、油化シェルエポキシ社製)100部、フェニルイミダゾール0.15部をメチルエチルケトン60部に溶解した熱硬化性樹脂塗料に含浸し熱硬化性樹脂量42%のプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね合わせ、その両側に厚さ18μmの銅箔を設置し、真空熱プレス機にて180℃1時間40kgf/cm2の条件にて積層板を作製した。作製した積層板の熱硬化性樹脂量は、39%であった。
この積層板を23℃50%RHの環境下にて3日間調湿し、1GHzの比誘電率ならびに誘電正接をベクトルメジャメントシステムMS4623B(アンリツ社製)にて測定した。また、この積層板5cm角のサンプルの両面の銅箔半分のみ(両面同じ位置)をエッチング除去、さらに水洗し、105℃の乾燥機で1時間乾燥してハンダ耐熱性試験サンプルを作製した。このサンプルを121℃2気圧水蒸気下(PCT処理)に1時間放置し、その後、260℃のハンダ浴に20秒間浸漬しハンダ耐熱性試験を行った。ハンダ耐熱性試験後のサンプル外観に膨れ等の異常がないか目視にて確認した。結果を表2に示す。
【0048】
<実施例6>
不織布Aの代わりに不織布Bを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0049】
<実施例7>
不織布Aの代わりに不織布Cを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0050】
<実施例8>
不織布Dにエポキシ樹脂(エピコートE5048、油化シェルエポキシ社製)100部、フェニルイミダゾール0.15部をメチルエチルケトン60部に溶解した熱硬化性樹脂塗料に含浸し熱硬化性樹脂量42%のプリプレグを得た。このプリプレグ8枚を重ね合わせ、その両側に厚さ50μmの銅箔を設置し、真空熱プレス機にて180℃1時間40kgf/cm2の条件にて積層板を作製した。作製した積層板の熱硬化性樹脂量は、39%であった。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0051】
<比較例3>
不織布Aの代わりに不織布Eを使う以外、実施例5と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0052】
<比較例4>
不織布Dの代わりに不織布Fを使う以外、実施例8と同様な操作を行い、熱硬化性樹脂量39%の積層板を得た。この積層板の比誘電率、誘電正接およびハンダ耐熱性の結果を表2に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、製造が比較的簡単であり、プリプレグ以降の製造工程を従来のものと比較して大きく変えることなく、誘電率(比誘電率)および/または誘電正接が低く、特に高周波領域において有用な電気回路基板を提供することが可能となり、産業上極めて有用なものである。
Claims (15)
- 無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を付着した繊維から構成され、該組成物は空気を含有した多孔質体であることを特徴する繊維シート。
- 無機バインダーが、アルコキシシランおよびその多量体から選ばれる少なくとも1種を含有する前駆体またはその前駆体を加水分解・縮合したものであることを特徴とする請求項1に記載の繊維シート。
- 無機バインダーと無機顔料の繊維付着組成物中、無機顔料が10質量%〜90質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の繊維シート。
- 前記付着物の比重が0.3〜1.9であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の繊維シート。
- 前記多孔質体が独立した気泡構造を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の繊維シート。
- 前記多孔質体の平均細孔径が、3.5Å〜500Åであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の繊維シート。
- 無機顔料が、0.5nm〜100nmの平均粒子径を有する球状シリカであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の繊維シート。
- 無機顔料が、平均粒子径0.1μm〜20μmである多孔質シリカであることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の繊維シート。
- 多孔質シリカが、シリカ凝集体であることを特徴とする請求項8に記載の繊維シート。
- 多孔質シリカが、シリカゲルであることを特徴とする請求項8に記載の繊維シート。
- 繊維が硝子繊維であることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の繊維シート。
- 繊維シートの比重が1.0〜2.1である請求項11に記載の織布あるいは不織布。
- 繊維シートに、無機バインダーと無機顔料とからなる組成物を含有する塗料を供給し、繊維上に該組成物を付着させることを特徴とする繊維シートの製造方法。
- 請求項1〜請求項12に記載した繊維シートに、もしくは請求項13に記載の製造方法によって得られた繊維シートに、熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグおよびその積層板。
- 請求項14に記載のプリプレグを少なくとも積層板の一部分に一枚以上使用した積層板。
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