JPH09296067A - 多孔質膜、その製造方法および該多孔質膜を用いた被記録材 - Google Patents

多孔質膜、その製造方法および該多孔質膜を用いた被記録材

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JPH09296067A
JPH09296067A JP8109961A JP10996196A JPH09296067A JP H09296067 A JPH09296067 A JP H09296067A JP 8109961 A JP8109961 A JP 8109961A JP 10996196 A JP10996196 A JP 10996196A JP H09296067 A JPH09296067 A JP H09296067A
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film
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克之 河野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印字鮮明性に優れ、取扱い上の不都合のない
被記録材として有用であり、さらに種々の分野において
も利用可能な多孔質膜、その製造方法および使用方法を
提供する。 【解決手段】 エマルション中のポリマー粒子をその粒
子状態を維持したまま凝集させて、被膜化させることに
より、粒子同士の間隙による微細孔が多数形成されてい
る多孔質膜である。その製造方法の特徴は、少なくとも
エマルションを含む層を形成した後、該層から全ての水
が飛散する前にエマルションを不安定化させてエマルシ
ョン中のポリマー粒子を凝集させ、次いで乾燥させると
ころにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直径500nm以
下の微細かつ均一な孔を多数有するポリマー被膜、その
製法および使用方法に関するものであり、詳細には、エ
マルション中のポリマー粒子を、その粒子状態をほぼ維
持したまま被膜化させて、ポリマー粒子と粒子の間隙を
開孔として残存させ得た全く新しい多孔質膜に関するも
のである。本発明の多孔質膜は種々の用途に利用可能で
あるが、特に被記録材として有用である。従って以下の
説明では、被記録材分野を対象として本発明の内容を明
らかにするが、もちろん、本発明の多孔質膜の用途が被
記録材に限定されるということではない。
【0002】
【従来の技術】インクジエット記録方式は、インクを小
滴にして飛散させ、これを被記録材に付着させて記録す
る方法であり、騒音が少なく、高速で、多色印字も鮮明
に行える方法として多用されている。特に最近ではカラ
ープリンターの普及に伴い、一般人の身近にもインクジ
ェット記録方式のプリンター等が存在する様になってい
る。
【0003】ところで、インクジェット記録方式では、
印字性能や環境問題の点で主に水性インクが使用されて
いる。しかし、会議や学会、検討会等で使用されるオー
バーヘッドプロジェクター(OHP)用のフィルムはポ
リエチレンテレフタレート(PET)素材であって、親
水性が低いので、インクジェット記録方式の水性インク
がはじいたりにじんだりして、鮮明に定着させることが
できないという問題があった。
【0004】このため、PETフィルム上に、水性のイ
ンキを受容・定着できるインク受理層を親水性の素材で
形成することにより、OHPの原稿をインクジェット方
式のプリンターで印字できる様にする検討がなされてい
る。例えば、特開昭57−14091号には、結着用樹
脂と、平均粒径0.1〜3μmの有機粒子および/また
はコロイダルシリカといった充填粒子を含有する多孔性
層を設ける発明が開示されているが、本発明者等が追試
した結果では、結着用樹脂と微粒子との最適混合量を決
めるのが難しく、多孔性層の透明性に劣るものであっ
た。また樹脂量が多過ぎるとインクの定着性が得られ
ず、逆に樹脂量が少ない(微粒子量が多い)と微粒子が
基材表面から剥れ落ちたり、微粒子が二次凝集するた
め、印字された画像の解像度に劣るという問題もあっ
た。
【0005】一方、特開平5−32414号には、(0
10)面に垂直な方向の粒子厚さが70Å以上で、(0
20)面の面間隔が6.17Å以下であるベーマイト結
晶の凝集体の擬ベーマイトからなる多孔質層をPET基
材上に設ける記録用シートが開示されている。この発明
で得られるシートは現在市販されており、インクの定着
性が良好ではあるが、指紋が付き易く、ガスを吸着する
と変色してしまうといった取扱い上の不都合の他に、製
造中に用いられる酢酸による悪臭が残存することや、透
明性が若干劣るという問題があった。透明性について
は、多孔質層の擬ベーマイトの粒径を微細化することに
より解決できるが、無機微粒子を微細化すると表面活性
が上がりすぎて凝集し、取扱いに困るため、解決は難し
いと考えられる。さらに、一般消費者からは、このシー
トが非常に高価である(通常のOHPの4倍以上)とい
う声も上がっている。
【0006】このため、より低価格のインクジェット用
OHPフィルムの提供を目的として、PETフィルムに
水溶性ポリマーをコーティングしたフィルムが市販され
ている。しかしこの市販品は、水溶性ポリマーをインク
受理層として利用するため、湿度に弱く、耐湿性フィル
ムで包装しなければブロッキングを起こし、印字後に、
シートに水分が付着するとインク受理層が溶解して剥離
してしまうという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、鮮
明な画像を印字でき、画像および色の再現性や発色性に
優れ、しかも取扱い上の不都合のない被記録材を提供す
ること、そしてさらに、種々の分野においても利用可能
な多孔質膜と、その製造方法および使用方法を提供する
ことを課題として掲げた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、エマルション
中のポリマー粒子をその粒子状態を維持したまま凝集さ
せて、被膜化させることにより、粒子同士の間隙による
微細孔が多数形成された多孔質膜となしたところに要旨
を有するものである。本発明では、ポリマー粒子の凝集
は、エマルションを不安定化させることにより行うこと
が好ましい。エマルションを不安定化させる方法の中の
一つとして、ゲル化剤を利用する方法があるので、本発
明には、エマルション中のポリマー粒子とゲル化剤から
なる多孔質膜も含まれる。ゲル化剤としては、加熱によ
ってエマルションを不安定化させることのできる感熱ゲ
ル化剤の利用が簡便であり好ましい。
【0009】本発明では、エマルション中のポリマー粒
子の平均粒径が10μm以下であることが透明性や発色
性の点で好ましく、この様な微粒子同士の間隙が開孔に
なるため、平均直径が500nm以下の微細孔が膜中に
多数存在する多孔質膜を得ることができる。
【0010】本発明の多孔質膜を製造するには、少なく
ともエマルションを含む層を形成した後、該層から全て
の水が飛散する前にエマルションを不安定化させてエマ
ルション中のポリマー粒子を凝集させ、次いで乾燥させ
る方法を採用するとよい。本発明の多孔質膜は多種の利
用価値があるが、中でも被記録材のインク受理層として
使用することが好適であり、特に、インクジェット記録
方式用の被記録材としての使用が推奨される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の多孔質膜は、エマルショ
ン中のポリマー粒子を、その粒子状態を維持したまま凝
集させ、被膜化させるところに最大のポイントを有する
ものである。本発明の多孔質膜の形成過程と、一般的な
エマルションを被膜化したときの違いを図を用いて説明
する。図1のAは、通常のエマルションの被膜化機構、
BおよびCは本発明の多孔質膜の形成機構をモデル的に
示した図である。通常のエマルションは、 (1) エマルションを塗工することによってエマルション
層を形成した後、乾燥段階の初期では、この層中に水が
充分存在しているので、ポリマー粒子はブラウン運動に
よって自由に動き回っている。 (2) 乾燥が進んで水の量がかなり減少すると、粒子は水
の表面張力によって互いに引き寄せられ、最密充填状態
となる。 (3) 最密充填状態となった粒子は、残存している水の毛
細管圧によって、あるいはポリマー分子鎖(セグメン
ト)が運動して相互拡散することによって、またはポリ
マー分子鎖の粘性流動によって、粒子が変形しながら融
着する。 (4) 粒子界面が消失し、均一な連続被膜が形成される。
という機構で被膜化する。
【0012】一方、本発明の多孔質膜は、Bのパターン
においては、 (1) はAと同じである。 (2) エマルション層中にまだ水が充分存在している段階
で、エマルションを不安定化させることにより、ポリマ
ー粒子は、その粒子形状を保持したまま、ゲル化して、
凝集し、粒子が間隙を有した状態で結合する。 (3) 粒子が間隙を有して結合した状態のまま、水が飛散
することによって多孔質膜が形成される。というもので
あるか、またはCとして示す様に、(1)、(2) はBと同じ
である。
【0013】(3) (2) において粒子は間隙を有して結合
するが、加熱乾燥時に、粒子の一部が隣接する粒子と融
着する。しかし粒子間の空隙が残存する程度の僅かな変
形・融着であるので、やはり多孔質膜が形成される。と
いうものである。
【0014】なお、このCパターンの場合は粒子の一部
が変形融着するので、Bのパターンよりも膜としての物
理的強度は良好になることが多い。Bのパターンの多孔
質膜において、粒子と粒子の結合を確実にし堅固な多孔
質膜を形成する目的で、粒子間架橋システムを用いても
よい。
【0015】この様に本発明では、エマルション中のポ
リマー粒子は、水が飛散する前に、その粒子状態をほぼ
維持した(以下、上記BのパターンとCのパターンを合
わせて「粒子状態をほぼ維持した」と表現する)まま凝
集するため、粒子同士が間隙を有した状態で結合し、そ
の後、水が飛散することによって被膜化する。このた
め、粒子と粒子の間の空間がそのまま開孔となり、多数
の開孔が形成された多孔質膜となるのである。
【0016】本発明では、ポリマー粒子の凝集はエマル
ションを不安定化させて行う。エマルションを不安定化
させてポリマー粒子を凝集させる方法は、特に限定され
ないが、感熱ゲル化法と光ゲル化法が挙げられる。感熱
ゲル化法のなかには、エマルション自体に温度変化に
よって不安定化する性質を与える方法、例えば曇点を持
ったノニオン系乳化剤を利用してエマルションを製造
し、曇点以上に加温してエマルションをゲル化させる方
法、感熱ゲル化剤を添加して、該感熱ゲル化剤のゲル
化温度以上に加温することによってゲル化させる方法、
等があり、光ゲル化法には、光分解性の乳化剤を用いて
エマルションを製造し、ゲル化させる時には光を照射し
て乳化剤を分解させ、その粒子安定化機能を失活させる
方法が挙げられる。なお、ここでいうエマルションの
「製造」には、乳化重合を行って製造する方法と、他の
重合方法で重合した後、ポリマーを水媒体中に強制分散
させることによってエマルション化する方法が含まれる
ものとする。
【0017】感熱ゲル化方法には、前述の様に、エマ
ルション自体に感熱ゲル化性を与える方法と、感熱ゲ
ル化剤を添加する方法がある。を採用するには、曇点
を有するノニオン系乳化剤を利用して乳化重合するか、
ポリマーを別に製造した後ノニオン系乳化剤(分散剤)
を用いて強制的に分散させてエマルションを製造する方
法を用いるとよい。
【0018】ノニオン系乳化剤の具体例としては、ポリ
ビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、脂肪酸
・ポリエチレングリコールエステル、高級アルコール・
ポリエチレングリコールエーテル、アルキルフェノール
・ポリエチレングリコールエーテル、アルキルアミン・
ポリエチレングリコール縮合物、アルキルアミド・ポリ
エチレングリコール縮合物、ソルビタン脂肪酸モノエス
テル・ポリエチレングリコール縮合物等が挙げられる。
これらの乳化剤は、種類によって、30℃前後から10
0℃以上の曇点を有する。曇点が98℃以下の乳化剤
は、ゲル化させる時に、水の飛散の制御が容易であり、
均一な開孔が形成された多孔質膜を得易いので好ましく
使用できるが、100℃以上の曇点を有する乳化剤であ
っても、水溶性の物質を加えることによって曇点を下げ
ることができるため、用いることができる。
【0019】の方法で利用できる感熱ゲル化剤は、ケ
イフッ化ナトリウム、ケイフッ化カリウム等のケイフッ
化物、硫酸アンモニウム亜鉛錯体、炭酸アンモニウム亜
鉛錯体等の金属錯体、酸化亜鉛と無機または有機アンモ
ニウム塩(これらの錯体)、ニトロパラフィン、有機エ
ステル類、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレン
グリコール、ポリエーテルポリホルマール、ポリエーテ
ル変性ポリシロキサン、アルキルフェノールホルマリン
縮合物のアルキレンオキサイド付加物、官能性ポリシロ
キサン、水溶性変性シリコーン油、シリコーングリコー
ル共重合体、水溶性ポリアミド、デンプン、メチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、たんぱく質、ポリリン酸あるいは前述の
曇点を有するノニオン系乳化剤等が挙げられ、これらの
1種または2種以上を混合して用いることができる。感
熱ゲル化剤を2種以上混合して用いる方が、ゲル化温度
の制御が容易となるため好ましく、ニトロパラフィン、
有機エステル類等は酸化亜鉛との併用が効果的である。
【0020】感熱ゲル化剤の好ましいゲル化温度は、1
0〜98℃である。10℃より低いゲル化温度では、エ
マルションと感熱ゲル化剤を混合した後の保存安定性、
ポットライフが確保できないため好ましくない。また9
8℃を超えるゲル化温度の場合、ゲル化反応よりも水の
飛散速度が大きくなり、均一な開孔が形成された多孔質
膜が得にくいため好ましくない。なお「感熱ゲル化」と
は、常温で全くゲル化が進まないという意味ではなく、
ゲル化温度以上に加温することによって、ゲル化反応の
進行が著しく促進されるという広義の意味の「感熱ゲル
化」作用をいうものとする。
【0021】エマルションの組成自体は、感熱ゲル化
法、光ゲル化法、いずれを用いる場合においても、特に
限定されないが、具体例を示せば、(メタ)アクリル酸
およびそのエステルを主体とし、種々の重合可能な1官
能や多官能モノマーを共重合したアクリル系エマルショ
ン;SBR、NBR、IR、NR等のゴム系ラテック
ス;ポリエステルやポリウレタンを水分散化させたもの
等が挙げられる。また、2種以上のエマルションのブレ
ンドも可能であり、コア・シェル型の粒子を有するエマ
ルションであってもよい。特に本発明の多孔質膜を被記
録材に使用する場合には、常温レベルで被記録剤を保存
したときにも多孔性を失わない様な構成のエマルション
の使用が推奨される。すなわち、Tgが0℃以上の組成
のエマルションを使用するか、あるいはTgがもっと低
くても、架橋によって、被膜化した後の易動性(変形
能)を抑制した構成のエマルションを選択することが好
ましい。
【0022】得られる多孔質膜の開孔の大きさや透明性
は、エマルション中のポリマー粒子の大きさに影響を受
けるため、エマルション中のポリマー粒子(凝集する前
のポリマー粒子)の平均粒径が10μm以下のものを使
用することが好ましい。平均粒径10μm以下のポリマ
ー粒子のエマルションを用いれば、得られる多孔質膜
は、平均直径500nm以下の微細でかつ均一な開孔が
多数形成されたものとなる。得られる多孔質膜の透明性
は、粒径以外に、粒子の屈折率にも影響を受けるが、本
発明の多孔質膜はポリマー粒子を利用しているため、無
機微粒子に比べて屈折率が低く、粒径を極端に小さくし
なくても良好な透明性が得られる。
【0023】エマルションを不安定化させて、ポリマー
粒子を凝集させる方法を次に説明する。基本的には、基
材上に、水を含んだままのエマルションの層を形成し、
感熱ゲル化温度以上に加熱するか、または光照射(光ゲ
ル化方法の場合)を行い、エマルション層中の全ての水
が飛散する前に、エマルションを不安定化させて、ポリ
マー粒子の粒子状態をほぼ維持しながら凝集(ゲル化)
させ、ゲル化と同時にもしくは次いで水を飛散させれ
ば、本発明の多孔質膜を得ることができる。
【0024】感熱ゲル化システムにおいては、ゲル化速
度が速い、あるいはゲル化温度の低い感熱ゲル化剤を利
用すれば、ゲル化反応進行中に、エマルション層からの
水の飛散が並行して起っても均一な多孔質膜が得られ
る。一方、光ゲル化方法では、低温で光照射を行ってポ
リマー粒子を凝集させてから、エマルション層の水を飛
散させればよい。
【0025】エマルションは、その不揮発分を20重量
%以上にすることが好ましい。20重量%より低いと、
エマルション中のポリマー粒子の絶対数が少なくなるの
で、ポリマー粒子同士が凝集しにくくなると共に、被膜
に乾燥収縮によるクラック等が入り易く、均一な多孔質
膜が得にくい。不揮発分の上限は特に限定されないが、
70重量%を超えると、得られる膜の孔の数が少なくな
ったり孔の大きさが小さくなる上に、高粘度になるた
め、塗工するときの作業性が悪いという問題もあって、
70重量%以下にすることが好ましい。
【0026】本発明の多孔質膜は、これまで説明した様
に、エマルション中のポリマー粒子が、その粒子状態を
ほぼ維持しながら凝集・ゲル化して被膜化するため、略
球状の粒子と粒子の間の空隙が、開孔として被膜中に存
在する特殊な多孔質膜となるのである。そして、粒子の
間隙を開孔として利用するため、ポリマー粒子の粒径分
布をシャープにすれば、開孔径の分布度合いをシャープ
にすることができる。また、エマルション中のポリマー
粒子の大きさや濃度をコントロールすれば、開孔の大き
さや密度(単位体積当たりの開孔数)を自由にコントロ
ールすることが可能である。さらにポリマー組成を用途
に応じて適宜選択することにより、本発明の多孔質膜を
様々な分野に適用することができる。
【0027】特に本発明の多孔質膜は開孔の均一性と透
明性が良好であるので、耐水性、透明性、発色性、印字
鮮明性に優れたインク受理層を形成することができる。
このため、インクジェット記録方式用の被記録材とし
て、従来品に比べ、取り扱い易く、しかも高性能なもの
を提供することができる。被記録材の具体例としては、
ポリエチレンテレフタレートフィルム上(介在層があっ
てもよい)に本発明の多孔質膜を形成したOHPシート
を始めとして、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスルホン、ポリカーボネート等の透明なフ
ィルムに本発明の多孔質膜を設けた被記録材が挙げられ
る。また、本発明の多孔質膜は良好な透明性を誇るもの
であるが、基材が不透明な紙や合成紙等の表面に設けて
も、インク受理層として優れた発色性や定着性を示すの
で、感熱転写用被記録材、感熱記録紙等に利用してもよ
い。
【0028】また、本来の素材のままでは印刷や印字が
困難または不可能な繊維製品、プラスチック成形品ある
いは陶器等のセラミック製品等の表面に、本発明の多孔
質膜を設ければ、これらの素材に対しても高精度に印刷
を行うことができる。
【0029】さらに、本発明の多孔質膜は、エマルショ
ン中のポリマー粒子の大きさを制御することによって開
孔の大きさも制御することが可能であるため、上述した
被記録材分野以外に、エアーフィルター、濾過膜・半透
膜や選択的透過性を有する特殊膜関連分野や、バッテリ
ーセパレーター等の分野にも有用である。
【0030】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。なお、以下の実施例
で、「%」、「部」とあるのは特に断らない限り、「重
量%」、「重量部」を表すものとする。
【0031】実施例1 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水170部、ノニ
ポール200(三洋化成工業社製のポリエチレングリコ
ールノニルフェニルエーテル系乳化剤)を17部、ニュ
ーポールPE−64(三洋化成工業社製のポリエチレン
グリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合
体系乳化剤)を2部仕込み、緩やかに窒素を吹き込みな
がら45℃に加熱した。滴下ロートに、メタクリル酸メ
チル292部、アクリル酸ブチル23部、スチレン13
5部からなるモノマー混合物を入れ、そのうちの25%
をフラスコ内に滴下した。
【0032】続いて亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液
を15部と過硫酸アンモニウムの3%水溶液15部をフ
ラスコ内に加えた。30分後、残りのモノマー混合物と
亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液62部、過硫酸アン
モニウムの1%水溶液62部をそれぞれ3時間に亘って
滴下した。滴下中は、フラスコ内温度を50〜54℃に
保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して、重
合を終了させた。不揮発分50.2%、pH2.1、平
均粒子径120nmのポリマー粒子が分散した水性樹脂
分散液〔1〕を得た。
【0033】この水性樹脂分散液〔1〕100部に、予
め硫酸亜鉛100部に対して25%アンモニア水108
部加えて作製した硫酸アンモニウム亜鉛錯体48%水溶
液を6部加え、よく撹拌し、塗布用エマルション〔1〕
を得た。3μmのポリビニルアルコールがプライマー層
として塗布されている100μmのPETフィルムに、
#20のバーコーターを用いて塗布用エマルション
〔1〕を塗工し、すぐに80℃、湿度60%の恒温恒湿
機中に15分間入れ、エマルション層中のポリマー粒子
のゲル化と被膜の乾燥を行った。乾燥膜厚が25μmの
インク受理層が形成されたインクジェット記録用OHP
シート〔1〕を得た。
【0034】実施例2 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水322部を仕込
み、緩やかに窒素を吹き込みながら80℃に加熱した。
メタクリル酸メチル265部、ジビニルベンゼン117
部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン8
部、下記式で代表される乳化剤の20%水溶液70部、
イオン交換水175部および25%アンモニア水3部を
撹拌混合して、滴下用プレエマルションを調製し、その
うちの2%をフラスコに滴下した。
【0035】
【化1】
【0036】(ただし、aとbの合計は乳化剤の平均と
して20、cは1または2である。また各単量体ユニッ
トは、乳化剤の分子内でランダムに結合しているものと
する。) 続いて過硫酸カリウムの5%水溶液20部をフラスコに
注入し、30分後、残りのプレエマルションの滴下を開
始し、5時間後に滴下を終了した。滴下中はフラスコ内
温度を78〜82℃に保持し、滴下終了後に過硫酸カリ
ウムの2%水溶液を20部追加投入して、さらに同温度
で1時間撹拌し、重合を終了させ、不揮発分40.4
%、pH8.1、平均粒子径176nmのポリマー粒子
が分散した水性樹脂分散液〔2〕を得た。
【0037】この水性樹脂分散液〔2〕100部に、実
施例1と同様にして作製した硫酸アンモニウム亜鉛錯体
48%水溶液を7.5部と、TPA−4380(東芝シリコ
ーン社製のポリエーテル変性シリコーン系感熱ゲル化
剤)を1部加え、よく撹拌し、塗布用エマルション
〔2〕を得た。#26のバーコーターを用いた以外は、
実施例1と同様にして、塗布用エマルション〔2〕を塗
工・ゲル化・乾燥したところ、乾燥膜厚25μmのイン
ク受理層を有するOHPシート〔2〕が得られた。
【0038】実施例3 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水183部と、ア
クアロンHS−10(第一工業製薬性の反応性乳化剤)
1部を仕込み、緩やかに窒素を吹き込みながら70℃に
加熱した。メタクリル酸メチル298部、アクリル酸2
−エチルヘキシル141部、スチレン50部、アクリル
酸6部、メタクリル酸グリシジル5部と、アクアロンH
S−10を7部、イオン交換水194部を混合撹拌し
て、滴下用プレエマルションを調製し、そのうちの5%
をフラスコ内に滴下した。
【0039】続いて亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液
を20部と過硫酸カリウムの3%水溶液20部をフラス
コ内に加えた。15分後、残りのプレエマルションと亜
硫酸水素ナトリウムの1%水溶液37部、過硫酸カリウ
ムの3%水溶液37部をそれぞれ3時間に亘って滴下し
た。滴下中は、フラスコ内温度を68〜72℃に保持
し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して、重合を
終了させた。不揮発分50.9%、pH1.7、平均粒
子径118nmのポリマー粒子が分散した水性樹脂分散
液〔3〕が得られた。
【0040】この水性樹脂分散液〔3〕100部に、予
め、酸化亜鉛46部、炭酸水素アンモニウム49部、2
5%アンモニア水116部を加えて作った炭酸アンモニ
ウム亜鉛錯体45%水溶液を10部加え、よく撹拌し、
塗布用エマルション〔3〕を得た。3μmのポリビニル
アルコールがプライマー層として塗布されている100
μmのPETフィルムに、#20のバーコーターを用い
て塗布用エマルション〔3〕を塗工した。すぐに80
℃、湿度96%の恒温恒湿機中に1分間入れ、次いで8
0℃の乾燥機中に入れて1分乾燥させて、エマルション
層中のポリマー粒子のゲル化と被膜の乾燥を行った。乾
燥膜厚が25μmのインク受理層が形成されたOHPシ
ート〔3〕を得た。
【0041】実施例4 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水275部を仕込
み、緩やかに窒素を吹き込みながら70℃に加熱した。
アクリル酸ブチル315部、ジビニルベンゼン135
部、ノニポール200(三洋化成工業製のポリエチレン
グリコールノニルフェニルエーテル系の乳化剤)を27
部と、アニオン系乳化剤であるハイテノールN−08
(第一工業製薬製ポリエチレングリコールアルキルフェ
ニルエーテル硫酸アンモニウム)16部をイオン交換水
214部と混合撹拌して、滴下用プレエマルションを調
製し、、そのうちの5%をフラスコ内に滴下した。
【0042】次いで、2,2’−アゾビス(2−アミジ
ノプロパン)二塩酸塩の5%水溶液を5部をフラスコ内
に加えた。20分後、残りのプレエマルションを3時間
に亘って滴下した。滴下中は、フラスコ内温度を68〜
72℃に保持し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌
して、重合を終了させた。不揮発分49.8%、pH
1.8、平均粒子径132nmのポリマー粒子が分散し
た水性樹脂分散液〔4〕が得られた。
【0043】この水性樹脂分散液〔4〕100部に、実
施例1と同様にして作製した硫酸アンモニウム亜鉛錯体
48%水溶液を10部加え、よく撹拌し、塗布用エマル
ション〔4〕を作製し、実施例1と同様にして、乾燥膜
厚が25μmのインク受理層が形成されたOHPシート
〔4〕を得た。
【0044】実施例5 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水223部、実施
例2で用いた乳化剤の20%水溶液80部と25%アン
モニア水3部を仕込み、緩やかに窒素を吹き込みながら
80℃に加熱した。メタクリル酸メチル324部、ジビ
ニルベンゼン36部、実施例2で用いた乳化剤の20%
水溶液36部、25%アンモニア水2部とイオン交換水
142部を撹拌混合して、滴下用プレエマルションを調
製し、そのうちの15%をフラスコに滴下した。
【0045】続いて亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液
10部と過硫酸カリウムの5%水溶液24部をフラスコ
内に加えた。30分後、残りのプレエマルショの滴下を
始め、4時間かけて滴下を終了した。滴下中は、フラス
コ内温度を78〜82℃に保持し、滴下開始2時間後に
は2%過硫酸カリウム水溶液を20部追加投入した。さ
らに滴下終了後、2%の過硫酸カリウム水溶液を20部
投入し3時間撹拌した。
【0046】次に、アクリル酸エチル30部、N−ビニ
ルピロリドン8部、メタクリル酸グリシジル2部、実施
例2で用いた乳化剤の20%水溶液4部とイオン交換水
16部を撹拌して調製しておいたプレエマルションを、
フラスコ内に30分かけて滴下した。滴下中はフラスコ
内温度を68〜72℃に保持し、滴下終了後に過硫酸カ
リウムの2%水溶液を20部投入して、さらに同温度で
1時間撹拌し、重合を終了させた。不揮発分42.3
%、pH8.0、平均粒子径50nmのポリマー粒子が
分散した水性樹脂分散液〔5〕を得た。
【0047】この水性樹脂分散液〔5〕100部に、T
PA−4390(東芝シリコーン社製のポリエーテル変性シ
リコーン系感熱ゲル化剤)を3部加え、よく撹拌し、塗
布用エマルション〔5〕を作製し、実施例2と同様にし
て、乾燥膜厚25μmのインク受理層を有するOHPシ
ート〔5〕を得た。
【0048】実施例6 滴下ロート、撹拌機、窒素導入管、温度計および還流冷
却器を備えたフラスコに、イオン交換水183部と、ア
クアロンHS−10を1部仕込み、緩やかに窒素を吹き
込みながら70℃に加熱した。メタクリル酸メチル15
5部、アクリル酸2−エチルヘキシル284部、スチレ
ン50部、アクリル酸6部、メタクリル酸グリシジル5
部と、アクアロンHS−10を7部、イオン交換水19
4部を混合撹拌して、滴下用プレエマルションを調製
し、そのうちの5%をフラスコ内に滴下した。
【0049】続いて亜硫酸水素ナトリウムの1%水溶液
を20部と過硫酸カリウムの3%水溶液20部をフラス
コ内に加えた。15分後、残りのプレエマルションと亜
硫酸水素ナトリウムの1%水溶液37部、過硫酸カリウ
ムの3%水溶液37部をそれぞれ3時間に亘って滴下し
た。滴下中は、フラスコ内温度を68〜72℃に保持
し、さらに滴下終了後同温度で1時間撹拌して、重合を
終了させた。不揮発分50.6%、pH1.8、平均粒
子径128nmのポリマー粒子が分散した水性樹脂分散
液〔6〕が得られた。
【0050】この水性樹脂分散液〔6〕10部と、実施
例2で得られた水性樹脂分散液〔2〕90部を加え、T
PA−4380(東芝シリコーン社製のポリエーテル変性シ
リコーン系感熱ゲル化剤)を1部と、実施例1と同様に
して作製した硫酸アンモニウム亜鉛錯体48%水溶液を
5部加え、よく撹拌し、塗布用エマルション〔6〕を得
た。3μmのポリビニルアルコールがプライマー層とし
て塗布されている100μmのPETフィルムに、#2
4のバーコーターを用いて塗布用エマルション〔4〕を
塗工し、すぐに80℃、湿度96%の恒温恒湿機中に1
分間入れゲル化させた後、80℃の熱風乾燥機内で1分
乾燥させ、乾燥膜厚が25μmのインク受理層が形成さ
れたOHPシート〔6〕を作製した。
【0051】実施例7 実施例1で得られた水性樹脂分散液〔1〕87部に、
2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモ
ノイソブチレート13部を添加し、よく撹拌した。この
水性樹脂分散液に、実施例1と同様にして作製した硫酸
アンモニウム亜鉛錯体48%水溶液を5部加え、よく撹
拌し、塗布用エマルション〔7〕を得た。3μmのポリ
ビニルアルコールがプライマー層として塗布されている
100μmのPETフィルムに、#26のバーコーター
を用いて塗布用エマルション〔7〕を塗工し、すぐに8
0℃、湿度96%の恒温恒湿機中に1分間入れゲル化さ
せた後、80℃の熱風乾燥機内で1分乾燥させ、乾燥膜
厚が25μmのインク受理層が形成されたOHPシート
〔7〕を作製した。
【0052】比較例1 実施例3で得られた水性樹脂分散液〔3〕をそのまま塗
布用エマルション〔8〕として用い、#30のバーコー
ターで3μmのポリビニルアルコールがプライマー層と
して塗布されている100μmのPETフィルムに塗布
し、80℃の熱風乾燥機で1分間乾燥した。乾燥膜厚が
25μmのインク受理層が形成された比較用OHPシー
ト〔8〕を作製した。
【0053】比較例2 PVA−CST(クラレ製のポリビニルアルコール)の
10%水溶液を、乾燥膜厚25μmとなる様に、100
μmのPETフィルムに塗工し、80℃の乾燥機を用い
て15分乾燥して、PVA系インク受理層が形成された
比較用OHPシート
〔9〕を作製した。
【0054】比較例3 スノーテックスC(日産化学製コロイダルシリカ:粒径
20〜40nm)100部に、上記したPVA−CST
の10%水溶液20部を添加してよく撹拌した後、乾燥
膜厚25μmとなる様に、100μmのPETフィルム
に塗工し、80℃の乾燥機を用いて15分乾燥して、P
VA系インク受理層が形成された比較用OHPシート
〔10〕を作製した。
【0055】参考例1 実施例6で得られた水性樹脂分散液〔6〕100部に、
実施例3と同様にして作製した炭酸アンモニウム亜鉛錯
体45%水溶液を10部加え、よく撹拌し、塗布用エマ
ルション〔11〕を得た。3μmのポリビニルアルコー
ルがプライマー層として塗布されている100μmのP
ETフィルムに、#28のバーコーターを用いて塗布用
エマルション〔11〕を塗工し、すぐに80℃、湿度9
6%の恒温恒湿機中に1分間入れゲル化させた後、80
℃の熱風乾燥機内で1分乾燥させ、乾燥膜厚が25μm
のインク受理層が形成されたOHPシート〔11〕を作
製した。
【0056】性能評価方法 実施例1〜7および比較例1〜3および参考例1で得ら
れたOHPシート〔1〕〜〔11〕について、EPSO
N製のインクジェットプリンタMJ−5000Cを用い
てカラーパターンを印字し、そのインクの乾燥性、発色
性、ドットの再現性、耐水性、透明性、表面状態を以下
の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0057】[乾燥性]カラーパターン印字直後に、印
字部分にコピー用紙を重ね合わせ、上から指でよくこす
った後、コピー用紙に、どの程度印字パターンが転写さ
れたかを目視で観察した。評価基準は以下の通りであ
る。 ○:全く転写せず △:わずかに転写する ×:かなり転写する
【0058】[発色性]カラーパターンをインクジェッ
ト専用紙に印字したものを標準として、OHPシートの
印字部を直接目視した時(表中では「直視」と省略)
と、OHPプロジェクターを用いてスクリーンに投影し
た時(表中では「投影」と省略)に、標準品と比べ、き
れいに発色しているか(色が再現されているか)どうか
について下記基準で評価した。 ○:発色性良好 △:やや色目が違う ×:発色不良
【0059】[ドット再現性]シート上に印字されたパ
ターンをルーペで拡大して観察し、ドットの形状を下記
基準で評価した。 ○:きれいな円形をしている △:わずかに変形している ×:かなり変形している
【0060】[耐水性]印字面に水を数滴垂らし、指で
10回こすった時のインク受理層の状態を下記基準で評
価した。 ○:変化なし △:わずかにインクが溶け出す ×:インク受理層全体が溶け出す
【0061】[透明性]OHPシートとして使用可能な
透明性があるかどうかを、プロジェクターで投影し、下
記基準で評価した。 ○:透明性に問題なし △:投影像がわずかに黄色味を帯びる ×:投影像がかなり暗くなる
【0062】[表面状態]OHPシートの表面を走査型
電子顕微鏡(SEM)を用いて2万倍に拡大して、孔の
形成状態を観察した。また、実施例1および3と比較例
1の粒子の融着状態のSEM写真を図2〜4に示した。
実施例1では、図1におけるパターンB、実施例3は、
パターンCに近いものが得られ、比較例1では、パター
ンAの均一被膜となっていることがわかる。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】本発明の多孔質膜は、エマルション中の
ポリマー粒子を、その粒子状態をほぼ維持したまま凝集
させて、被膜化することにより粒子同士の間隙による微
細孔を多数形成させたものである。このため、エマルシ
ョン中のポリマー粒子の大きさや粒径分布、あるいはエ
マルションの固形分濃度をコントロールすることによ
り、多孔質膜の開孔の大きさ、開孔率や孔の密度等を広
範囲に自由に変化させることができる。本発明の多孔質
膜は、開孔の均一性と良好な透明性を活用できるインク
ジェット記録方式用の被記録材を始めとして、他の被記
録材や、膜分野等種々の用途に活用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エマルションの被膜化機構の3パターンをモデ
ル的に示した説明図である。
【図2】本発明実施例1で得られたOHPシートのイン
ク受理層の粒子構造を示す図面代用SEM写真である。
【図3】本発明実施例3で得られたOHPシートのイン
ク受理層の粒子構造を示す図面代用SEM写真である。
【図4】本発明比較例1で得られたOHPシートのイン
ク受理層の図面代用SEM写真である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エマルション中のポリマー粒子をその粒
    子状態を維持したまま凝集させて、被膜化させることに
    より、粒子同士の間隙による微細孔が多数形成されてい
    ることを特徴とする多孔質膜。
  2. 【請求項2】 ポリマー粒子とゲル化剤を含むことを特
    徴とする多孔質膜。
  3. 【請求項3】 ポリマー粒子の凝集は、エマルションを
    不安定化させることにより行うものである請求項1記載
    の多孔質膜。
  4. 【請求項4】 エマルションの不安定化は、加熱によっ
    てエマルションを不安定化させることのできる感熱ゲル
    化剤により行うものである請求項3に記載の多孔質膜。
  5. 【請求項5】 ポリマー粒子の平均粒径が10μm以下
    である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜。
  6. 【請求項6】 平均直径500nm以下の孔を多数有す
    るものである請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質
    膜。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質
    膜を製造する方法であって、少なくともエマルションを
    含む層を形成した後、該層から全ての水が飛散する前に
    エマルションを不安定化させてエマルション中のポリマ
    ー粒子を凝集させ、次いで乾燥させることを特徴とする
    多孔質膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載された多
    孔質膜をインク受理層として使用したことを特徴とする
    被記録材。
  9. 【請求項9】 インクジェット記録方式に使用されるも
    のである請求項8に記載の被記録材。
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