JP5134293B2 - インク受容膜形成用塗工液、その製造方法、インク受容膜、積層基板および配線材料 - Google Patents
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Description
(1)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる下地層形成用混合液
および
ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)と、
前記M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる上塗層形成用混合液
を別々に含むことを特徴とするインク受容膜形成用塗工液、
(2)下地層形成用混合液において、成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が40〜95質量%であり、上塗層形成用混合液において、成分(C)と成分(B)との合計量に対する成分(C)の含有量の割合が40〜95質量%である上記(1)に記載のインク受容膜形成用塗工液、
(3)上記(1)に記載のインク受容膜形成用塗工液を製造する方法であって、
(a)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n ・・・(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、酸性条件下で加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
(c)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)の分散液を調製する工程、
(d)前記(a)工程で得た凝集体粒子含有物(A)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して下地層形成用混合液を調製する工程、
(e)前記(c)工程で得た金属酸化物粒子(C)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して上塗層形成用混合液を調製する工程
を含むことを特徴とするインク受容膜形成用塗工液の製造方法。
(4)上記(1)に記載の塗工液を用い、下地層形成用混合液と上塗層形成用混合液を順次塗布することにより、下地層上に上塗層を形成してなることを特徴とするインク受容膜、
(5)上記(4)に記載のインク受容膜を、上塗層が表側になるように基板上に形成してなることを特徴とする積層基板、
(6)基板が有機基板である上記(5)に記載の積層基板、
(7)上記(5)または(6)に記載の積層基板上のインク受容膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料、および
(8)配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである上記(7)に記載の配線材料
を提供するものである。
このため、上記インク受容膜上に配線を形成した場合に、上塗層により形成される凹凸が配線に対してアンカー効果を発揮して、配線の密着性を向上させ得ると考えられ、また、下地層により形成される細孔がインク吸収性を発揮して、上塗層の金属酸化物粒子間から染み込んだインクの滲みを抑制することにより、印刷特性を向上させ得ると考えられる。
さらに、成分(B)由来の特定の無機系縮合物バインダーを用いることにより、インク受容膜上に配線を印刷後、焼成処理しても、クラックや変色などの発生を抑制することができる。
また、本発明によれば、上記塗工液を効率よく製造する方法を提供することができ、さらに、上記塗工液を用いて基板上に形成されたインク受容膜、該インク受容膜を有する積層基板および上記インク受容膜上に配線が形成されてなる配線材料を提供することができる。
まず、本発明のインク受容膜形成用塗工液(以下、本発明の塗工液と称することがある)について説明する。
ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる下地層形成用混合液
および
ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)と、
前記M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる上塗層形成用混合液
を別々に含むことを特徴とするものである。
下地層形成用混合液を構成する凝集体粒子含有物(A)は、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を、25〜100質量%含むものである。
このような凝集体粒子は、例えば球状金属酸化物からなる一次粒子を、2価以上の金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などを介在させて連結することにより、得ることができる。また、特許文献2に記載の方法を適用して数珠状のシリカ粒子を作製し、これを本発明の凝集体粒子として用いることもできる。
R1 nM(OR2)m−n …(I)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるものである。
このアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。(メタ)アクリロイルオキシ基若しくはエポキシ基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基としては、上記置換基を有する炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、またこのアルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。この置換基を有するアルキル基の例としては、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリロイルオキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基などが挙げられる。炭素数2〜20のアルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、また、このアルケニル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよい。このアルケニル基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基などが挙げられる。炭素数6〜20のアリール基としては、炭素数6〜10のものが好ましく、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。炭素数7〜20のアラルキル基としては、炭素数7〜10のものが好ましく、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよく、またOR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であってもよいし、異なっていてもよい。
また、本発明の塗工液の製造においては、上記各種アルコキシド化合物とともに、予め上記各種アルコキシド化合物を加水分解、縮合して得たアルコキシシランオリゴマーなどのオリゴマーを用いることもできる。
また、下地層形成用混合液における固形分濃度は、塗工に適した濃度であれば特に制限はないが、通常2〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。
次に、上塗層形成用混合液について、説明する。
上塗層形成用混合液を構成する金属酸化物粒子(C)は、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が上記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きいものである。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、上記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きく、例えば、例えば、50〜3000nmが好ましく、100〜2000nmがより好ましく、200〜1000nmがさらに好ましい。
上記割合を上述した範囲内に制御することにより、有機基板に対する配線の密着性を良好な範囲に制御することが可能になる。
また、上塗層形成用混合液における固形分濃度は、塗工に適した濃度であれば特に制限はないが、通常2〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。
次に、本発明のインク受容膜形成用塗工液の製造方法(以下、本発明の塗工液製造方法と称することがある)について説明する。
本発明の塗工液製造製法は、
(a)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n ・・・(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、酸性条件下で加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
(c)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)の分散液を調製する工程、
(d)前記(a)工程で得た凝集体粒子含有物(A)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して下地層形成用混合液を調製する工程、
(e)前記(c)工程で得た金属酸化物粒子(C)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して上塗層形成用混合液を調製する工程
を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の製法により得られる塗工液の効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば成膜助剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、耐熱剤、耐候剤などを混合することができる。
次に、本発明のインク受容膜について説明する。
本発明のインク受容膜は、本発明の塗工液を用い、下地層形成用混合液と上塗層形成用混合液を順次塗布することにより、下地層上に上塗層を形成してなることを特徴とするものである。
次に、本発明の積層基板について説明する。
本発明の積層基板は、本発明のインク受容膜を上塗層が表側になるように基板上に形成してなることを特徴とするものである。
次に、本発明の配線材料について説明する。
本発明の配線材料は、本発明の積層基板上のインク受容膜表面に配線を形成してなることを特徴とするものである。
本発明の配線材料は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものであることが好ましく、スクリーン印刷またはインクジェット印刷により形成してなるものであることがより好ましい。
(x)上記本発明の塗工液を基板、特にポリエステルフィルムからなる基板上に塗工、乾燥してインク受容膜を有する積層基板を形成する工程、
(y)該積層基板上のインク受容膜表面にインクを用いて印刷する工程、および
(z)160〜250℃の温度で焼成する工程
を、上記順序で含む方法を挙げることができる。
次いで、(z)工程において、160〜250℃、好ましくは170〜200℃の温度で30〜60分間程度焼成することにより、インク受容膜表面に所定パターンの配線が形成されてなる本発明の配線材料を得ることができる。
(a)凝集体粒子含有物分散液の調製
一次粒子の平均粒子径が15nmであるシリカ粒子が2個以上結合した凝集体粒子のみからなる凝集体粒子含有物を用い、該含有物を15質量%含む分散液(以下、(A)−1成分分散液という)を調製した。
(b)縮合物含有バインダー液の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン306.84gとチタンテトライソプロポキシド266.87gをエチルセロソルブ257.26gに溶解し、これに濃硝酸100.68g、水31.61gおよびエチルセロソルブ36.75gの混合液を滴下したのち、30℃で4時間反応させることにより、固形分濃度が30質量%であり、Si−OおよびTi−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の含有液(以下、(B)−1成分含有バインダー液という)を調製した。
(c)金属酸化物粒子分散液の調製
平均粒子径が480nmであるシリカ粒子を15質量%含む金属酸化物粒子分散液(以下、(C)−1成分分散液という)を調製した。
(d)下地層形成用混合液の調製
上記(a)で得た(A)−1成分分散液900g中に、攪拌しながらシクロヘキサノン50gと、上記(b)で得た(B)−1成分含有バインダー液50gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度15質量%の下地層形成用混合液を調製した。得られた下地層形成用混合液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
(e)上塗層形成用混合液の調製
上記(c)で得た(C)−1成分分散液900g中に、攪拌しながらシクロヘキサノン50gと、上記(b)で得た(B)−1成分含有バインダー液50gを順次滴下し、室温で1時間攪拌することにより、固形分濃度15質量%の上塗層形成用混合液を調製した。得られた上塗層形成用混合液の組成を表1の「塗工液」欄に示す。
上記(d)で得た下地層形成用混合液および上記(e)で得た上塗層形成用混合液を別々に含むものを、本例におけるインク受容膜形成用塗工液とした。
実施例1の(a)工程で調製した(A)−1成分分散液に代え、一次粒子の平均粒子径が15nmであるシリカ粒子が2個以上結合した凝集体粒子を67質量%含む凝集体粒子含有物を用いて、該含有物を15質量%含む分散液(以下、(A)−2成分分散液という)を調製した。
実施例1の(d)工程において、(A)−1成分分散液に代えて(A)−2成分分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク受容膜形成用塗工液を調製した。得られた塗工液における下地層形成用混合液および上塗層形成用混合液の組成を表1に示す。
実施例1の(a)工程で調製した(A)−1成分分散液に代え、一次粒子の平均粒子径が15nmであるシリカ粒子が2個以上結合した凝集体粒子を30質量%含む凝集体粒子含有物を用いて、該含有物を15質量%含む分散液(以下、(A)−3成分分散液という)を調製した。
実施例1の(d)工程において、(A)−1成分分散液に代えて(A)−3成分分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク受容膜形成用塗工液を調製した。得られた塗工液における下地層形成用混合液および上塗層形成用混合液の組成を表1に示す。
実施例1の(b)工程に代えて、以下の工程、すなわち、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン306.84gとテトラメトキシシランのオリゴマー(三菱化学(株)製、商品名「MS−51」)146.88gをメタノール256.68gに溶解し、これに0.1モル/L濃度の硝酸31.86g、水221.08gおよびメタノール36.67gの混合液を滴下したのち、30℃で24時間反応させる工程により、固形分濃度が30質量%で、Si−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物の含有液(以下、(B)−2成分含有バインダー液という)を得た。
実施例1の(d)工程および(e)工程において、(B)−1成分含有バインダー液に代え、上記(B)−2成分含有バインダー液を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク受容膜形成用塗工液を調製した。得られた塗工液における下地層形成用混合液および上塗層形成用混合液の組成を表1に示す。
実施例1の(c)工程で調製した(C)−1成分含分散液に代え、平均粒子径が15nmであるシリカ粒子を15質量%含む金属酸化物粒子分散液(以下、(C)−2成分分散液という)を調製した。
実施例1の(e)工程において、(C)−1成分分散液に代えて(C)−2成分分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク受容膜形成用塗工液を調製した。得られた塗工液における下地層形成用混合液および上塗層形成用混合液の組成を表1に示す。
実施例1と同様にして下地層形成用混合液を調製し、該混合液をインク受容膜形成用塗工液とした。
実施例1〜4で得た塗工液を用い、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム[帝人デュポンフィルム社製、商品名「テオネックスQ51」、厚さ188μm]に、バーコート法により、乾燥後の厚さが1.0μmになるように下地層形成用混合液を塗布した後、120℃で1分間加熱し、60℃で3日間エージングを行うことにより、フィルム上に下地層を形成した。
表1に示すように、実施例5で得られたインク受容膜には、いずれもクラックが観察されなかった。
実施例1〜4で得た塗工液に代えて比較例1で得た塗工液を用いた以外は、実施例5と同様にしてPENフィルム上に下地層と上塗層を有するインク受容膜を形成して積層基板を作製した。
得られた積層基板を用い、インク受容膜における、クラックの有無を実施例5と同様の方法により評価した。得られた結果を、表1の「インク受容膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、インク受容膜の特性は、インク受容膜を形成した塗工液に対応するように記載している。
実施例1〜4で得た塗工液に代えて比較例2で得た塗工液を用い、上塗層を形成しなかった以外は、実施例5と同様にしてPENフィルム上に下地層のみからなるインク受容膜を形成して積層基板を作製した。
得られた積層基板を用い、インク受容膜における、クラックの有無を実施例5と同様の方法により評価した。得られた結果を、表1の「インク受容膜」欄の「特性」項目に示す。表1において、インク受容膜の特性は、インク受容膜を形成した塗工液に対応するように記載している。
実施例1〜4の塗工液を用いて実施例5で得た積層基板のインク受容膜上に、Agペースト[アルバック(株)製銀ナノペースト、商品名「Ag1TeH」]を、インクジェット印刷法にて、所定のパターン形状に印刷し、230℃で60分間焼成することにより、配線材料を作製した。
得られた配線材料において、クラックの有無と印刷性を以下の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。
また、インクジェット印刷法に代えてスピンコート法で印刷した以外は上記方法と同様の方法で配線材料を作製し、得られた配線材料の密着性を以下の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。
表1において、配線材料の性能は、配線を形成した各インク受容膜に対応するように記載している。
光学顕微鏡(倍率1250倍)にて観察し、クラックの有無を調べた。
(2)印刷性
市販のインクジェットメディア[ピクトリコ(株)製、商品名「ピクトリコ(TPX−1766/2)」]の印刷幅を1とした場合の滲み幅Xを求め、下記の判定基準で印刷性を評価した。
○:0.1≦X≦1.2
△:1.2<X≦1.5
×:1.5<X
(3)密着性
JISK5600に従い、密着性試験を行った(クロスカット試験機:ヨシミツ精機社製「C222」、テープ:ニチバン社製セロテープ(登録商標))。
密着性評価は、光学顕微鏡(倍率1250倍)にて剥離の有無を確認し、剥離部の面積により、以下のとおり評価した。
○:8〜10点
△:6〜8点
×:0〜6点
表1に示すように、実施例3で得られた配線材料においては、クラックの発生は認められず、印刷性および密着性がいずれも良好であった。
比較例1、2の塗工液をそれぞれ用いて得た、比較例3、4の積層基板のインク受容膜上に、実施例6と同様にして配線を形成して、配線材料を得た。
得られた各配線材料の性能を実施例6と同様の方法で評価した。その結果を表1の「配線材料」欄の「特性」項目に示す。表1において、配線材料の性能は、配線を形成した各インク受容膜に対応するように記載している。
表1より、比較例3および比較例4で得た積層基板のインク受容膜上に配線を形成してなる配線材料は、いずれも密着性が劣るものであることが分かる。
Claims (8)
- ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、
一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n …(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、加水分解−縮合反応してなるM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる下地層形成用混合液
および
ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)と、
前記M−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)と
を含んでなる上塗層形成用混合液
を別々に含むことを特徴とするインク受容膜形成用塗工液。 - 下地層形成用混合液において、成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%であり、上塗層形成用混合液において、成分(C)と成分(B)との合計量に対する成分(C)の含有量の割合が固形分基準で40〜95質量%である請求項1に記載のインク受容膜形成用塗工液。
- 請求項1に記載のインク受容膜形成用塗工液を製造する方法であって、
(a)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が2〜200nmの範囲内にある一次粒子が2個以上結合した凝集体粒子を25〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)一般式(I)
R1 nM(OR2)m−n ・・・(I)
(式中、R1は非加水分解性基、R2は炭素数1〜6のアルキル基であり、Mはケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる金属原子を示し、mは金属原子Mの価数で、3または4であり、nは、mが4の場合は0〜2の整数、mが3の場合は0〜1の整数であり、R1が複数ある場合、各R1はたがいに同一であっても異なっていてもよく、OR2が複数ある場合、各OR2はたがいに同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるアルコキシド化合物を、酸性条件下で加水分解−縮合反応して得られたM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)を含むバインダー液を調製する工程、
(c)ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒子径が前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きい金属酸化物粒子(C)の分散液を調製する工程、
(d)前記(a)工程で得た凝集体粒子含有物(A)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して下地層形成用混合液を調製する工程、
(e)前記(c)工程で得た金属酸化物粒子(C)の分散液および前記(b)工程で得たM−Oの繰り返し単位を主骨格とする縮合物(B)の分散液を混合して上塗層形成用混合液を調製する工程
を含むことを特徴とするインク受容膜形成用塗工液の製造方法。 - 請求項1に記載の塗工液を用い、下地層形成用混合液と上塗層形成用混合液を順次塗布することにより、下地層上に上塗層を形成してなることを特徴とするインク受容膜。
- 請求項4に記載のインク受容膜を、上塗層が表側になるように基板上に形成してなることを特徴とする積層基板。
- 基板が有機基板である請求項5に記載の積層基板。
- 請求項5または請求項6に記載の積層基板上のインク受容膜表面に配線を形成してなることを特徴とする配線材料。
- 配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである請求項7に記載の配線材料。
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