JP2009023354A - 平版印刷用合紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平版印刷版を保護する合紙であって、
平版印刷版の画像形成面と接触する面同士の静摩擦係数が0.35以下、
表面と裏面との静摩擦係数が0.32以下、
平版印刷版の画像形成面と接触する面同士の動摩擦係数が0.32以下、又は
平版印刷版の画像形成面と該合紙が接触する面の動摩擦係数が0.27以下であって、
且つ、
平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙の表面強度が15以上
であることを特徴とする平版印刷版用合紙。
【選択図】図1
Description
(1)画像形成面と合紙とが平版印刷版の製造工程において、適度に帯電することで密着すること。
(2)画像形成面と密着した合紙が平版印刷版の積層時に容易に剥離すること。
(3)合紙が画像形成面の熱処理(エージング)に効果のあること。
(4)プロッターからの合紙の排出が容易であること。
(5)合紙が廃棄用収納箱内にきちんと収納できること。
I:合紙の諸特性(特定パラメーター)
(1)合紙の摩擦係数
合紙が平版印刷版の画像形成面と接触する面を「合紙の表面」、画像形成面と接触しない面を「合紙の裏面」と称する。本発明の合紙は、合紙の表面同士の静摩擦係数が0.35以下、好ましくは0.30以下、更に好ましくは0.27以下である。静摩擦係数の下限値は特に臨界的ではないが、0.10程度である。合紙の表面同士の静摩擦係数が0.35以下であることに加えて、合紙の表面同士の動摩擦係数が0.32以下のものが更に好ましい。上記の範囲外では、平版印刷版の画像形成層と合紙との間の適正な密着性と剥離性の特性を両立できない場合がある。平版印刷版の画像形成面と合紙の表面が接触する面の動摩擦係数は0.27以下、好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.23以下である。動摩擦係数の下限値は特に臨界的ではないが、0.10程度である。上記の範囲外では、平版印刷版の画像形成層と合紙との間の適正な密着性と剥離性の特性を両立できない場合がある。合紙の裏面は平版印刷版の画像形成面とは接触せず、支持体と接触することとなる。合紙付きの平版印刷版を積層体として貯蔵・保管する場合にはこの裏面の摩擦係数が問題となる。そして、合紙の表面と裏面との静摩擦係数が0.32以下が好ましく、更に好ましくは0.30以下である。
合紙の表面強度は15以上、好ましくは16以上、更に好ましくは18以上である。上限は臨界的ではないが、26程度である。合紙の表面強度が上記未満では平版印刷版と合紙との積層体を熱処理(エージング)する際に、平版印刷版の画像形成層と合紙とのブロッキングによる貼り付きが生じる。
平版印刷版の画像形成面と接触する該合紙のクラークこわさは20〜50が好ましく、より好ましくは21〜35である。上記の範囲未満では自動給版装置での合紙の排出に難が生じることがあり、一方その範囲を超えると排出された合紙の収納性に問題が生じる。クラークこわさを所望の範囲に調節する方法としては、厚さ、重さ、密度の設定が挙げられ、これに加え、更に該合紙の水分、パルプ繊維の種類の選択、叩解条件、使用される薬品の種類、使用量、使用方法等の調整が挙げられる。なお、クラークこわさは、JIS−P8143(1996年)に基づき、クラークこわさ測定機を用いて、試験片の幅を15mmとして3点平均で測定したものである。測定に際しては、JIS−P8111(1998年)により、試料を23℃、相対湿度50%で4hr以上前処理して用いた。
平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙の表面抵抗値は1.0×107〜1.0×1012Ωが好ましく、より好ましくは1.0×108〜8.0×1011Ωである。上記の範囲未満では、平版印刷版の製造工程において帯電装置による合紙と感光層の密着性が低下し、一方その範囲を超えると自動給版での合紙の剥離性に難が生じるおそれがある。表面抵抗値を所望の範囲に調節する方法としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、塩化ナトリウムや芒硝のような無機電解質、電子導電性導電剤、イオン導電性導電剤等の使用が挙げられるが、最も安価で効果的な方法としては水分調整、保水性材料の使用が挙げられる。保水性材料は上記の界面活性剤や導電剤等と必要に応じて適宜組み合わせて使用できる。なお、表面抵抗値は、JIS−K6911(1979年)に基づき3点平均で測定したものである。測定に際しては、JIS−P8111(1998年)により、試料を23℃、相対湿度50%で4hr以上前処理して用いた。
平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙のベック平滑度は、表面強度と同様に、ポジ型感光性平版印刷版の熱処理(エージング)時の合紙と感光層とのブロッキングに関するパラメーターであり、平版印刷版と合紙との積層体を熱処理(エージング)する際に、合紙の表面の凹凸が、平版印刷版の画像形成層に局部的に貼り付く現象を改善するという点で、30秒以上、好ましくは60秒以上、更に好ましくは90秒以上とするのが好ましい。30秒未満では表面の凹凸が大きくなりこの凹凸の、平版印刷版の画像形成層への貼り付きが生じる傾向がある。また、一方ベック平滑度は、自動給版装置において、積層体(8)中の平板印刷版(10)を、裏面から平版印刷版用吸引部材(11)で吸引して持ち上げる際に、合紙と共に、更に余分な平版印刷版が重ね取りされることを防止するための重ね取り防止特性に関連するパラメーターでもある。この重ね取りを防止するという観点では、ベック平滑度は20秒以上60秒未満が好ましく、更には25〜45秒がよい。実際のベック平滑度は、上記のブロッキング特性(合紙の表面の凹凸の、平版印刷版の画像形成層への貼り付き)と重ね取り特性の両方の要求特性のバランスを考慮しながら適切な値を設定するのがよい。ベック平滑度を所望の範囲に調節する方法としては、原材料としての繊維材料の種類と叩解条件、内添や塗布の際の填料の選択、使用される薬品の種類と使用量、使用方法のように材料面と製造条件からの調整が挙げられる。また抄紙工程におけるオンマシンキャレンダーやオフマシンのスーパーキャレンダー等の使用による表面処理によって簡便に表面状体を改善してベック平滑度を調整することが可能であり、必要に応じて適宜使用される。なお、ベック平滑度は、JIS−8119(1998年)に基づき測定したものである。測定に際しては、JIS−P8111(1998年)により、試料を23℃、相対湿度50%で4hr以上前処理して用いた。
合紙の水分は1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%である。上記の範囲未満では静電気が発生しやすくなり、また熱処理を必要とするポジ型感光層の場合、熱処理時に水分の補給が不足し、その結果、耐アルカリ性層の形成に難を生じる。即ち、熱処理による熟成効果が充分に発揮されない。一方その範囲を超えると感光層の保存性等に問題が生じる。水分を所望の範囲に調節する方法としては、抄紙工程における乾燥ドライヤー条件と抄紙機の抄速、厚さ、坪量等の調整により、あるいはシーズニングマシンを使用して、後から加湿して水分を調整することもできる。なお、水分は、JIS−P8127(1998年)に基づく乾燥器による方法で測定したものである。
合紙の坪量は20〜120g/m2、好ましくは40〜60g/m2である。上記の範囲未満では合紙が薄くなり過ぎて機械的強度が保てず、120g/m2を超えると厚すぎて経済的に不利であると共に、平版印刷版と合紙の積層体の厚さが厚くなりすぎ、作業性が不利になるからである。また更に自動給版装置においては、給版用カセットにおける収納量が確保できない問題も生じる。
以下、本発明の平版印刷版の製造全般について詳細に説明する。先に、従来の技術の項で説明した図1(a)は、平版印刷版の製造工程の一例を示す模式図であり、本発明においてもそのまま適用することができる。以下、図面の番号を引用して製造工程(特に合紙の貼付工程)を述べる。
(1) 感光層が赤外線吸収剤、熱によって酸を発生する化合物、および酸によって架橋する化合物を含有する態様。
(2) 感光層が赤外線吸収剤、および熱によってアルカリ溶解性となる化合物を含有する態様。
(3) 感光層が、レーザー光照射によってラジカルを発生する化合物、アルカリに可溶のバインダー、および多官能性のモノマーあるいはプレポリマーを含有する層と、酸素遮断層との2層を含む態様。
(4) 感光層が、物理現像核層とハロゲン化銀乳剤層との2層からなる態様。
(5) 感光層が、多官能性モノマーおよび多官能性バインダーとを含有する重合層と、ハロゲン化銀と還元剤を含有する層と、酸素遮断層との3層を含む態様。
(6) 感光層が、ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジドを含有する層と、ハロゲン化銀を含有する層との2層を含む態様。
(7) 感光層が、有機光導電体を含む態様。
(8) 感光層が、レーザー光照射によって除去されるレーザー光吸収層と、親油性層および/または親水性層とからなる2〜3層を含む態様。
(9) 感光層が、エネルギーを吸収して酸を発生する化合物、酸によってスルホン酸またはカルボン酸を発生する官能基を側鎖に有する高分子化合物、および可視光を吸収することで酸発生剤にエネルギーを与える化合物を含有する態様。
(10) 感光層が、キノンジアジド化合物と、ノボラック樹脂とを含有する態様。
(11) 感光層が、光または紫外線により分解して自己もしくは層内の他の分子との架橋構造を形成する化合物とアルカリに可溶のバインダーとを含有する態様。
(i)感光層にレーザー光を照射することによってラジカルが発生するような化合物、アルカリに可溶のバインダー、及び多官能性モノマー、あるいはプレポリマーを含有する層と酸素遮断層の2層を含む態様。
(ii)感光層が少なくとも波長域600〜1300nmに吸収域のある光増感色素、エチレン性二重結合を含むモノマー及び光重合開始剤を含有するフォトポリマー型感光層を含む態様。
(iii)感光層が少なくとも波長域600〜1300nmに吸収域のある光熱変換物質とアルカリ可溶性樹脂とを含有するポジ型感光層を含む態様。
(iv)上記ポジ型感光層がその製造工程において、熱処理を要する態様。
コロナ放電方式帯電装置(商品名「PD型電極 PD−1470」春日電機(株)製造)を用い、合紙を、ラインスピード32m/分、印加電圧−28kVで帯電させて平版印刷版の画像形成面に貼り付けた後、ロータリーカッターにて1000×800mmの長さにカットした。この際、合紙が画像形成面に密着した状態がベルトコンベア搬送中の13秒間維持されるか否かを目視評価した。
(評価基準)
○:剥離した合紙の枚数が100枚中0枚
△:剥離した合紙の枚数が100枚中1〜2枚
×:剥離した合紙の枚数が100枚中3枚以上
製造工程評価試験1を実施して1時間放置し、合紙が平版印刷版の画像形成面と密着している状態のものについて、合紙と画像形成面との剥離強さをバネ秤(秤量2kg)を使用して測定した。
(評価基準)
○:剥離強さが10g以下
△:剥離強さが11g〜500g
×:剥離強さが501g以上
平版印刷版1000枚を堆積した積層体を熱処理後、2日間放置し、最下部を1枚取り出して現像機(商品名「MT850X」三菱化学(株)製造)、現像液(商品名「DR6」三菱化学(株)製造)を使用して液温度30℃、搬送速度90cm/分にて現像処理した。この際、平板印刷版の画像形成面の全面に発生する合紙のブロッキングによる転写(欠陥)を目視評価した。
(評価基準)
○:転写が0個
○△:転写が1〜3個
△:転写が4〜20個
×:転写が21個以上
製造工程評価試験1を実施して、合紙が平版印刷版の画像形成面と密着している状態のものを40mm角に切断した後30枚を積層し、温度70℃で1トンの荷重を30分間掛けた。この際、合紙に平板印刷版の画像形成面が転写していないか否かを目視評価した。
(評価基準)
○:転写が全く確認されない。
○△:目視では転写がほとんど確認されないが、ルーペでは確認できる。
△:目視でうすく見える。
×:目視で容易に確認できる。
プレートセッター(商品名「MA−L8000」大日本スクリーン製造(株)製造)にて1000×800mmのサイズで100枚積層した平板印刷版積層体について自動給版を行い、自動給版機構の吸引部材(11)により平板印刷版支持体(3)を持ち上げ、この状態で平板印刷版支持体(3)と該平版印刷版の画像形成面(2)に密着した合紙から該平板印刷版を持ち上げる際に、合紙が平版印刷版と容易に剥離するか否かを目視観察した。
(評価基準)
○:剥離しなかった合紙の枚数が100枚中0枚
△:剥離しなかった合紙の枚数が100枚中1〜2枚
×:剥離しなかった合紙の枚数が100枚中3枚以上
プレートセッター(商品名「MA−L8000」大日本スクリーン製造(株)製造)にて1000×800mmのサイズで100枚積層した平板印刷版積層体について自動給版評価試験1と同様に自動給版を行い、自動給版機構の吸引部材(11)が残存している合紙を吸着し、平板印刷版支持体(3)から剥離した後、合紙排出用吸引部材(13)で合紙の先端を上下に密着された合紙排出用ロール(14)間に搬送し、該自動給版装置の外に排出できるか否かを目視評価した。
(評価基準)
○:排出しなかった合紙の枚数が100枚中0枚
△:排出しなかった合紙の枚数が100枚中1〜2枚
△×:排出しなかった合紙の枚数が100枚中3枚
×:排出しなかった合紙の枚数が100枚中4枚以上
自動給版装置(商品名「LOTEM800V」Creo Inc.製造)にて排出された合紙排出収納箱(15)内に収納できる合紙の枚数を測定した。
(評価基準)
○:40枚以上
△:39〜30枚
×:29枚以下
プレートセッター(商品名「Lotem800 Quantum、Creo Inc.製造」を用いた以外は、「自動給版評価試験1」と同様に実施した。吸引部材(11)により支持体面(3)を持ち上げた状態で印刷版をしならせた後、エアブロー処理を行う前までに密着していた合紙と余分な印刷版の組合せ枚数を目視観察した。
1.アルミニウム板(支持体)の作製
厚さ0.24mm、巾1000mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃の温度で1分間脱脂処理を行った後、0.5モル/リットルの濃度の硝酸水溶液中で、温度25℃、電流密度60A/dm2、処理時間30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで5重量%水酸化ナトリウム水溶液中で温度60℃、電流密度3A/dm2、処理時間1分の条件で陽極酸化処理を行った。さらにこれを80℃の熱水で20秒間熱水封孔処理を行い、平版印刷版用支持体のアルミニウム板を作製した。
下記の成分からなる感光液を調製した。
〔感光液の組成〕
増感色素;NK4432((株)林原生物化学研究所製) 0.04g
アルカリ可溶性樹脂;m−クレゾール/p−クレゾール/フェノールノボラック樹脂(モル比3:2:5) 1.0g
溶解抑止剤1;クリスタルバイオラクトン 0.1g
溶解抑止剤2:ノボラック樹脂と5−ヒドロキシ−6−ジアセチルメチリデン ヒドラジノーナフタレンスルホン酸とのエステル縮合物 0.1g
添加剤1:サイメル300(三井サイテック(株)製) 0.01g
添加剤2:シクロヘキサノン−1,2−ジカルボン酸 0.05g
添加剤3:テトラオレイン酸ポリオキシレンエチレンソルビット 0.04g
溶媒;メチルセロソルブ 7.2g、エチルセロソルブ 1.8g
上記の平版印刷版用支持体として作製したアルミニウム板の表面に上記の調製した感光液をロールコーターで塗布し、第一乾燥炉で温度50℃、乾燥時間30秒で乾燥し、次いで第二乾燥炉で温度90℃、乾燥時間30秒で乾燥させて膜厚20mg/dm2の感光層(画像形成層)を設けた。
コロナ放電式帯電装置にて印加電圧−28kvにて帯電させた平版印刷版用合紙(1)を画像形成面(2)の表面に密着させ、ロータリーカッター(6)にて800mmの長さに断裁して上部に断熱材を敷いた樹脂パレットに1000枚積層し平版印刷版の積層体(8)を得た。次いで、上記の平版印刷版の積層体(8)を、紙と表面にアルミ蒸着したポリエチレンを貼り合わせた厚さ100μmのポリエチレンシートで側面を被い、空気が入らないように密着し、密閉した。次いでこの平版印刷版の積層体(8)の上部も断熱材にて断熱し、該積層体を温度60℃の熱処理室に入れて32時間処理しエージングして平版印刷版を得た。
[実施例1]
針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)と広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)とを重量比3:7に配合し、叩解度が390ml C.S.F.になるように叩解してパルプスラリーを調成した。このパルプスラリーに湿潤紙力増強剤(商品名「WS−547」日本ピー・エム・シー(株)製造)をパルプ100重量部に対して0.2重量部、乾燥紙力増強剤(商品名「ポリアクロンST−13」星光化学工業(株)製造)を同じく0.4重量部、サイズ剤(商品名「サイズパインE」荒川化学工業(株)製造)を同じく0.2重量部、液体硫酸アルミニウムを同じく3.5重量部配合して抄紙用原料を調整した。これを常法により長網抄紙機を使用して抄紙する際に、抄紙機にサイズプレスを2セット設置した。それぞれのサイズプレスを使用して1段目のサイズプレスで下記処方Aの表面処理剤水溶液をその表面に塗布し、2段目のサイズプレスで処方Bの表面処理剤水溶液をその表面に塗布し、カレンダーロールで厚さ調整を行って、坪量45.2g/m2、厚さ0.052mmの平版印刷版用合紙を作製した。
サイズプレスに使用される表面処理剤水溶液の処方
処方A:
表面紙力増強剤(商品名「ポリマセット305」荒川化学工業(株)製造)3.0重量%
表面処理剤(アルケニルジカルボン酸のケン化物)0.4重量%
処方B:
表面紙力増強剤(同上) 3.0重量%
表面処理剤(同上) 3.0重量%
得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
長網抄紙機に設置してあるサイズプレスを1段目のみ使用し、その他は実施例1と同様の方法で、坪量44.9g/m2、厚さ0.054mmの平版印刷版用合紙を作製した。得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
長網抄紙機に設置してあるサイズプレスを1段目のみ使用し、そこで使用される表面処理剤水溶液の処方を下記処方Cの表面処理剤水溶液とし、その表面に塗布した他は実施例1と同様の方法で、坪量55.8g/m2、厚さ0.068mmの平版印刷版用合紙を作製した。尚、帯電防止剤としては硫酸ナトリウムを使用した。得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
処方C:
表面紙力増強剤(同上) 3.0重量%
表面処理剤(同上) 0.8重量%
帯電防止剤 2.0重量%
実施例2と同様の方法で、坪量35.1g/m2、厚さ0.042mmの平版印刷版用合紙を作製した。得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
長網抄紙機に設置してあるサイズプレスを1段目のみ使用し、下記処方Dの表面処理剤水溶液とした他は実施例1と同様の方法で、坪量 39.9g/m2、厚さ0.050mmの平版印刷版用合紙を作製した。
処方D:
表面紙力増強剤(同上) 6.0重量%
表面処理剤(スチレンメタアクリル酸エステル−シリコン共重合体(商品名「ポリゾールROY−6312」昭和高分子(株)製造) 3.4重量%
得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
長網抄紙機に設置してあるサイズプレスを1段目のみ使用し、下記処方Eの表面処理剤水溶液とした他は実施例1と同様の方法で、坪量 40.0g/m2、厚さ0.049mmの平版印刷版用合紙を作製した。
処方E:
表面紙力増強剤(同上) 6.0重量%
表面処理剤(カチオン性ポリエチレンエマルション(商品名「カチオニック PZ−5」(株)日新化学研究所製造) 3.4重量%
得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表1に示した。
実施例1において、2段階のサイズプレスで表面処理剤水溶液を塗布した後、カレンダーロールの圧力を小さくしたこと以外は同様にして、平版印刷版用合紙を作製した。得られた合紙を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行った。結果を表1(自動給版評価試験4以外)に示した。また、「自動給版評価試験4」を実施した結果、100枚の印刷版を吸引してテストしたところ、吸引部材で吸引した印刷版に密着した合紙及び余分な印刷版は観測されなかった。
平版印刷版用合紙の市販品(A社製)を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表2に示した。
平版印刷版用合紙の市販品(B社製、TIM、ポリエチレン15%、天然パルプ85%混抄合紙)を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表2に示した。
クラフトパルプを原料としたパルプスラリーにロジン系サイズ剤を内添し、坪量30.1g/m2になるよう抄紙した平版印刷版用合紙の市販品(C社製)を上記の平版印刷版に適用し、「製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表2に示した。
クラフトパルプを原料としたパルプスラリーに、坪量33.0g/m2になるよう長網抄紙機により抄紙し、次いで高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)からなる10μmのフィルムをラミネートした。このラミネート層を平版印刷版の画像形成面に接触する面(合紙の表面)として使用し、製造工程評価試験」及び「自動給版評価試験」を行なった。結果を表2に示した。
Claims (12)
- 平版印刷版を保護する合紙であって、
平版印刷版の画像形成面と接触する面同士の静摩擦係数が0.35以下、
表面と裏面との静摩擦係数が0.32以下、
平版印刷版の画像形成面と接触する面同士の動摩擦係数が0.32以下、又は、
平版印刷版の画像形成面と該合紙が接触する面の動摩擦係数が0.27以下であって、
且つ、
平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙の表面強度が15以上
であることを特徴とする平版印刷版用合紙。
(摩擦係数の測定方法)JIS−P8147(1994年)の水平法に基づき、紙の流れ方向同士で測定。
(表面強度の測定方法)日本TAPPI規格、紙パルプ試験方法、No.1(2000年)に記載あるA法に基づき測定。 - クラークこわさが20〜50であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用合紙。
(クラークこわさの測定方法)JIS−P8143(1996年)に基づき、試験片の幅を15mm、として測定。 - 平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙の表面抵抗値が1.0×107〜1.0×1012Ωであることを特徴とする請求項1又は2記載の平版印刷版用合紙。
(表面抵抗の測定方法)JIS−K6911(1979年)に基づき測定。 - 平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙のベック平滑度が30秒以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版用合紙。
(ベック平滑度の測定方法)JIS−P8119(1998年)に基づき測定。 - 平版印刷版の画像形成面と接触する側の該合紙のベック平滑度が20秒以上60秒未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版用合紙。
(ベック平滑度の測定方法)JIS−P8119(1998年)に基づき測定。 - 水分が1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の平版印刷版用合紙。
(水分の測定方法)JIS−P8127(1998年)に基づく乾燥器による方法で測定。 - 坪量が20〜120g/m2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の平版印刷版用合紙。
- 平版印刷版を保護する合紙であって、
前記合紙のクラークこわさが20〜50であり、
前記平版印刷版の画像形成面と接触する側の前記合紙のベック平滑度が20秒以上60秒未満であり、
前記合紙の水分が1〜10重量%であり、及び、
前記合紙の坪量が20〜120g/m2である
ことを特徴とする平版印刷版用合紙。
(クラークこわさの測定方法)JIS−P8143(1996年)に基づき、試験片の幅を15mm、として測定。
(ベック平滑度の測定方法)JIS−P8119(1998年)に基づき測定。
(水分の測定方法)JIS−P8127(1998年)に基づく乾燥器による方法で測定。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の合紙により保護されたことを特徴とする平版印刷版。
- 平版印刷版の画像形成面にレーザー露光用感光層が設けられていることを特徴とする請求項9記載の平版印刷版。
- レーザー露光用感光層が、波長域600〜1300nmに吸収域のある光熱変換物質とアルカリ可溶性樹脂とを含有するポジ型感光層であることを特徴とする請求項10記載の平版印刷版。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の合紙と平版印刷版を交互に積層してなる平版印刷版の積層体。
Priority Applications (1)
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