JP2004338304A - 湿し水不要平版印刷版原版の製造方法 - Google Patents

湿し水不要平版印刷版原版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー照射部のシリコーンゴム層の傷防止、ゴミ付着防止及びハンドリング性を向上した湿し水不要平版印刷版原版の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版の該シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら湿し水不要平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工することを特徴とし、さらにカバーフィルムの長手方向(MD)の引張強度が140MPa以上であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザー光によるヒートモード記録によって画像形成可能な、湿し水を必要としない印刷ができる高感度な湿し水不要平版印刷版原版(以下、水なし平版印刷版原版と称す)の製造方法に関する。特に、レーザー照射部のシリコーンゴム層の傷防止、ゴミ付着防止及びハンドリング性を向上した水なし平版印刷版原版の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿し水を必要とする印刷方式は湿し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難しく、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の原因となるなど、大きな問題点を有していた。それに対して、水なし平版印刷版は湿し水を必要としないために数多くの利点を有する。
一方、近年プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンターなどの出力システムの急激な進歩によって、印刷画像をデジタルデータ化し、コンピューター・トゥ・プレート、コンピューター・トゥ・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を得る方法が提案されるようになり、これらの印刷システムのための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進められている。
【0003】
レーザー書き込みにより水なし平版印刷版を形成できる例としては、カーボンブラック等のレーザー光吸収剤およびバインダーを含有した層または光を熱に変換する層(以下、光熱変換層と称す)上にインキ反撥性のシリコーンゴム層を設けた印刷原版を作製し、これにレーザー照射することにより照射部のシリコーンゴム層が除去されてインク付着性領域(画像部)となり、未照射のシリコーンゴム層残存領域が撥インク領域(非画像部)となって、水なし印刷が可能となるものが挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。
このような水なし平版印刷版は、製造コストが安価であり、かつ、レーザー照射部の光熱変換層がアブレーションすることを利用して画像形成しているため、発生した気体がレーザー照射部のシリコーンゴム層を上に押し上げて、その後の現像におけるレーザー照射部のシリコーンゴム層の除去(以下、現像性と称す)が効率的行えるというメリットを有している。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−131894号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような水なし平版印刷版原版は、その製造工程において、静電気によるトラブルを発生しやすい。例えば、支持体上へ光熱変換層およびシリコーンゴム層を設けた後に支持体が帯電すると、小さな塵や埃が塗布したシリコーンゴム層上に付着されることになるため、記録書き込み時に、用いるレーザー光が部分的に遮断され、画像の再現性が損なわれる。また、シリコーンゴム層は柔軟で傷がつきやすく、傷防止、ゴミ付着防止、ハンドリング性向上の対策が必要であり、その改善が強く望まれていた。
【0006】
従って、本発明の目的は、上記のアブレーションを利用して画像形成を行う水なし平版印刷版原版の製造方法における問題を解決することであり、レーザー照射部のシリコーンゴム層の傷防止、ゴミ付着防止及びハンドリング性を向上した水なし平版印刷版原版の製造方法を提供することである。
特に、ロール形態にして印刷機版胴内に供給し、前記水なし平版印刷版原版の印刷表面が表側になるように版胴上に装着し、新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する方式において、定尺ロールの巻きズレがなく、シリコーンゴム層のゴミ付着、傷の問題を生じなく、生産性に優れた水なし平版印刷版原版の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、水なし平版印刷版原版の製造工程において、シリコーンゴム層を塗布乾燥後、塗布表面保護のためのフィルムをラミネートしながらロール状に巻き取った原反を保存し、断裁加工時に該フィルムを加工機上で剥離しながら製品ロールを仕上げる方法により解決することを見出し、本発明に至った。
【0008】
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる水なし平版印刷版原版の該シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら水なし平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工することを特徴とする水なし平版印刷版原版の製造方法。
【0009】
以下に本発明の好ましい態様をあげる。
(2)カバーフィルムの長手方向(MD)の引張強度が140MPa以上であることを特徴とする前記(1)記載の水なし平版印刷版原版の製造方法。
(3)前記カバーフィルムが2軸延伸ポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする前記(1)または(2)記載の水なし平版印刷版原版の製造方法。
(4)前記カバーフィルムの厚みが20μm以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)記載の水なし平版印刷版原版の製造方法。
(5)前記カバーフィルムの少なくとも片面に帯電防止処理が施されていることを特徴とする前記(1)〜(4)記載の水なし平版印刷版原版の製造方法。
【0010】
本発明の水なし平版印刷版原版の製造方法は、巻きズレがなく良好なロール形態が得られ、シリコーンゴム層のゴミ付着防止、傷防止に効果があり、かつカバーフィルムの切断トラブルがなく生産性に優れた方法である。
また、本発明の製造方法により得られたロール形態の水なし平版印刷版原版は、印刷機版胴内に装着し、画像形成表面が表側になるように版胴上に供給し、印刷機上でデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光による画像の走査露光による像パターンの形成および平版印刷版の製版を行い、その同じ印刷機でその平版印刷版を用いて印刷する方式に用いるにおいて、定尺ロールの巻きズレがなく、シリコーンゴム層のゴミ付着、傷の問題がない。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の水なし平版印刷版原版の製造方法を詳しく説明する。
本発明は、支持体上に、少なくとも、レーザー光を熱に変換しその熱により上層の剥離を可能とする光熱変換層と、インク反発性の表面を有するシリコーンゴム層とをこの順に支持体上に積層してなる水なし平版印刷版原版の該シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら水なし平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工することを特徴とする。好ましくは前記カバーフィルムの長手方向(MD)の引張強度が140MPa以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明の水なし平版印刷版原版の製造方法における、上記シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら水なし平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工する方法を図面を参照して説明する。
図1は、水なし平版印刷版原版の製造工程において、シリコーンゴム層を塗布乾燥後、シリコーンゴム層表面に塗布機のローラー等が接触することなく、シリコーンゴム層上に塗布表面保護のためのカバーフィルムをラミネートしながらロール状に巻き取ったロール原反を、製品形態に断裁加工する時に用いる加工機(ダイカッター・スリッター・ワインダー)1の概要を説明する図である。
【0013】
原反ロール2から巻き出された原反(カバーフィルムをラミネートした水なし平版印刷版原版)は、先端形状切断ダイセット3及びプレス用油圧シリンダー4からなるダイカッターにより流れ方向(右から左)に製品ロール先端形状に合わせて打ち抜き切断される。次いで、送りロール8に密着させながら搬送され、製品先端形状に合わせて切断された原反の上部のラミネートされたカバーフィルムはカバーフイルム巻取ロール5により巻き取られ、下部の水なし平版印刷版原版はさらに搬送され、製品巻取ロール7により小巻ロール形態に巻き取られ、ウェブ分断ダイセット6によってり定尺に切断される。
なお、最終製品ロール幅への裁断は、原反ロール2の加工時に行ない、上記加工機1に取り付ける原反ロール2は既に最終製品ロール幅としてもよく、また、原反ロール2と先端形状切断ダイセット3の間に最終製品幅にスリットするスリッターを設けて裁断を行っても良い。
【0014】
上記表面保護の目的で、シリコーンゴム層上に表面保護のためラミネートするカバーフィルムとしては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン等が挙げられる。
具体的には二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートが好ましく、より好ましくは二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートであり、特に好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートである。
カバーフィルムの切断トラブル防止の面から、好ましくは、長手方向(MD)の引張強度が140MPa以上のものが好ましく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートが適当である。更に、経済性、巻き取り径の低減による生産性向上のため前記カバーフィルムの厚みが20μm以下であることが好ましい。また、ゴミ付着防止のため、前記カバーフィルムの少なくとも片面に帯電防止処理が施されていることが好ましい。
【0015】
次に、本発明の方法によって製造される水なし平版印刷版原版について説明する。
該水なし平版印刷版原版の構成は、支持体の上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる。ここで、順次積層とは、これらの層が上記の順に積層されていることを指し、他の層、例えば、下塗り層、オーバーコート層、中間層などの他の層の存在を否定するものではない。また、光熱変換層およびシリコーンゴム層が順次積層されている面の反対面の支持体上に、バック層を有していてもよい。
【0016】
〔支持体〕
本発明に用いられる支持体は、通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従って、代表的な支持体としては、コート紙、アルミニウムおよびアルミニウム含有合金等の金属板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックフイルム、ゴムおよびそれらを複合させたもの(例えば、紙の上下をアルミニウムで挟んだ複合板)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、プラスチックフイルムは、未延伸、一軸延伸、あるいは二軸延伸のいずれであってもよく、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムである。このポリエチレンテレフタレートフイルムには、特開平9−314794号公報に開示されているように、空洞を含有させたものを使用することができる。本発明に用いられる支持体の厚さは25μmから3mm、好ましくは75μmから500μmが適当であるが、印刷条件により最適な厚さは変動する。一般には100μmから300μmが最も好ましい。
【0017】
また、表面の密着性向上、帯電防止性向上などのため、該支持体に、コロナ放電処理、マット化易接着処理、帯電防止処理など各種表面処理を施してもよい。更に、光熱変換層およびシリコーンゴム層を積層する表面とは反対側の該支持体表面に、従来の平版原版の基板を接着剤などで貼り合わせてもよい。この基板の代表的なものとしては、アルミニウムのような金属板、アルミニウム含有(例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアルミニウムとの合金)合金、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなプラスチックフィルム、紙もしくはポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフイルムがラミネートされた複合シートなどを挙げることができる。
【0018】
〔光熱変換層〕
本発明の水なし平版印刷版原版に用いられる光熱変換層は、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する層であり、この機能を有しかつ光熱変換剤を他の成分中に溶解もしくは分散して塗布することにより形成した公知の光熱変換層のうち、実質的に実用可能なレーザーによる照射部の光熱変換層の一部が製版後に残存するような光熱変換層であればいかなるものも使用可能である。製版後の光熱変換層の残存量は、好ましくは0.01g/m以上であり、より好ましくは0.1g/m以上、更に好ましくは0.2g/m以上である。製版後の光熱変換層が残存せず、支持体または必要により設ける後述の下塗り層が露出すると着肉性が劣化してしまう。また、本発明においてインキ反発性向上の観点からシリコーンゴム層膜厚を2.0g/m以上にした場合などはレーザー照射部の現像性向上のため、製版後の光熱変換層の重量損失量が0.5g/m以上であることが好ましい。更に好ましくは、0.6g/m以上である。
【0019】
本発明に用いられる光熱変換剤としては、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する公知の物質が使用可能であり、レーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線吸収顔料、赤外線吸収色素、赤外線吸収性金属、赤外線吸収金属酸化物等、書込レーザーに使用する波長の光を吸収する各種の有機および無機材料が使用可能であることが従来から知られている。これらの光熱変換剤は、バインダー、添加剤など他の成分との混合膜の形態で使用される。
【0020】
このような光熱変換剤の例としては、酸性カーボンブラック、塩基性カーボンブラック、中性カーボンブラックなど各種カーボンブラック、分散性改良等のために表面修飾もしくは表面コートされた各種カーボンブラック、ニグロシン類、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、アルミニウム、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン、インジウムスズ酸化物等の金属酸化物等、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、更にビスマス、スズ、テルル、鉄、アルミニウムの金属粉等の添加剤を添加することが好ましい。
【0021】
この他にも、有機色素として「赤外増感色素」(松岡著 Plenum Press ,New York,NY(1990))、US4833124号公報,EP−321923号公報、US−4772583号公報,US−4942141号公報、US−4948776号公報、US−4948777号公報、US−4948778号公報、US−4950639号公報、US−4912083号公報、US−4952552号公報、US−5023229号公報等の明細書に記載の各種化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0022】
これらの中でも、光熱変換率、経済性、および取り扱い性の面からカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックには、その製造方法から、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのものが市販されており、商業的にも安価であるため、好ましく使用される。カーボンブラックは、その1次粒子の凝集度合いが版材感度に影響を及ぼす。カーボンブラックの1次粒子の凝集度合いが高い(ハイストラクチャー構造を有する)と、同じ添加量で比較した場合、版材の黒色度が上がらず、そのためにレーザー光の吸収率が低下し結果的に感度が低下してしまう。また、その粒子凝集のために光熱変換層塗布液の粘度が高くなったりチキソトロピー性を帯びてきたりして、塗布液の取り扱いが困難になり、塗布膜が均一にならなくなる。一方、吸油量が低い場合にはカーボンブラックの分散性が低下し、やはり版材感度が低下しやすくなる。このカーボンブラックの1次粒子の凝集度合いは、吸油量という値で比較することができ、吸油量が高いほど凝集の度合いは高くなり、吸油量が低くなるにつれて凝集の度合いは低くなる。即ち、吸油量が20〜300ml/100gの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは50〜200ml/100gである。
【0023】
またカーボンブラックは、様々な粒径のものが市販されており、この1次粒子の粒径も版材感度に影響を及ぼす。1次粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、光熱変換層自体が透明性を帯びてきてレーザー光を効率よく吸収できなくなり版材感度が低下する。また大きすぎる場合には、粒子が高密度に分散されずに光熱変換層の黒色度が上がらずレーザー光を効率よく吸収できなくなり、やはり版材感度が低下する。即ち、1次粒子の平均粒子径で、10〜50nmの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは15〜45nmである。また、導電性カーボンブラックを使用することにより、版材感度を向上させることができる。このときの電気伝導度は、0.01〜100Ω−1cm−1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10Ω−1cm−1である。具体的には、”CONDUCTEX”40−220、”CONDUCTEX”975BEADS、”CONDUCTEX”900BEADS、”CONDUCTEX”SC、”BATTERY BLACK”(コロンビヤンカーボン日本(株)製)、#3000(三菱化学(株)製)、”デンカブラック”(電気化学工業(株)製)、”VULCAN XC−72R”(キャボット社製)等がより好ましく使用される。本発明に用いられる光熱変換層の光熱変換剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が1重量%以上とすることにより版材感度が低くならず、70重量%以下とすることで光熱変換層の膜強度が低下せず、隣接する層との密着性も低下しない。
【0024】
光熱変換層が単独膜である場合には、アルミニウム、チタン、テルル、クロム、錫、インジウム、ビスマス、亜鉛、鉛等の金属、これらの合金、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属フッ化物及び有機色素等の少なくとも一種を含有する膜を蒸着法又はスパッタリング法等により支持体上に形成させることができる。
【0025】
また、光熱変換層が混合膜である場合には、光熱変換剤をバインダーに溶解又は分散して他の成分と共に塗布法により形成することができる。前記バインダーには光熱変換剤を溶解又は分散する公知のバインダーが使用され、その例としては、セルロース、ニトロセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体類、アクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体及び共重合体、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等の各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル類の単独重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等のビニルエステル含有の共重合体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル及びポリカーボネート等の縮合系各種ポリマー、並びに「J. Imaging Sci.,P59−64 ,30(2), (1986) (Frechet ら)」、「Polymers in Electronics(Symposium Series,P11, 242, T.Davidson,Ed.,ACS Washington,DC(1984) (Ito,Willson )」及び「Microelectronic Engineering,P3−10,13(1991)(E. Reichmanis,L.F.Thompson)」に記載のいわゆる「化学増幅系」に使用されるバインダー等が挙げられる。
【0026】
その中でも、後述のシリコーンゴム層及び必要により設ける後述の下塗り層との密着性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。光熱変換層に使用されるポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物との重付加反応により得ることができる。ジイソシアネート化合物としては例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−(2,2−ジフェニルプロパン)ジイソシアネート、1、5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の如き脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等の如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0027】
また、ジオール化合物としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ジプロピレングリコール、1,2−トリプロピレングリコール、1,2−テトラプロピレングリコール、1,3−ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、2,2’−ジメチロールプロパン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。更にこれらのジオール化合物の縮合反応で得られるポリエーテルや、アジピン酸やテレフタル酸のようなジカルボン酸化合物と上記ジオール化合物の縮合反応で得られるポリエステルジオールも挙げることができる。また、これらのポリウレタン樹脂はその合成時にジアミン化合物やヒドラジンもしくはヒドラジン誘導体のような鎖連結剤を用いてもよい。
【0028】
光熱変換層を混合膜として形成する場合には、光熱変換層の機械的強度を向上させたり、レーザー記録感度を向上させたり、光熱変換層中の光熱変換剤等の分散性を向上させたり、後述する下塗り層や中間層およびシリコーンゴム層等のような光熱変換層に隣接する層に対する密着性を向上させる等種々の目的に応じて光熱変換層に各種の添加剤を添加することができる。
例えば、光熱変換層の機械的強度を向上させるために、光熱変換層を硬化させる各種の架橋剤を添加してもよい。この架橋剤としては、例えば、多官能イソシアネート化合物もしくは多官能エポキシ化合物等と、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物、アミン系化合物、尿素系化合物等との組合せが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明に用いられる架橋剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜50重量%であり、好ましくは、2〜20重量%である。添加量が1重量%以上とすることで架橋の効果が現れ、50重量%以下とすることにより光熱変換層の膜強度が強くなりすぎず、シリコーンゴム層に外圧がかかったときのショックアブソーバー効果が無くならず、耐傷性が低化しない。
【0029】
また、レーザー記録感度を向上させるために、加熱により分解しガスを発生する公知の化合物を添加することができる。この場合には光熱変換層の急激な体積膨張によりレーザー記録感度が向上でき、これらの添加剤の例としては、ジニチロペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4、4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジアミドベンゼン等を使用することができる。また、レーザー記録感度を向上させるために、各種のヨードニウム塩、スルフォニウム塩、フォスフォニウムトシレート、オキシムスルフォネート、ジカルボジイミドスルフォネート、トリアジン等、加熱により分解し酸性化合物を生成する熱酸発生剤の公知の化合物を添加剤として使用することができる。これらを化学増幅系バインダーと併用することにより、光熱変換層の構成物質となる化学増幅系バインダーの分解温度を大きく低下させ、結果としてレーザー記録感度を向上させることが可能である。光熱変換剤にカーボンブラック等の顔料を用いた場合には、顔料の分散度の向上のため、各種の顔料分散剤を添加剤として使用することができる。
【0030】
本発明に用いられる顔料分散剤の添加量は、光熱変換剤に対して1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が1重量%以上であれば顔料分散度向上の効果があり版材感度が低くならず、70重量%以下であれば隣接する層との密着力が低下しない。隣接する層に対する密着性を向上させるために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の公知の密着向上剤や、ビニル基含有アクリレート系樹脂、水酸基含有アクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ゼラチン等、隣接する層に対する密着性の良好なバインダーを添加してもよい。本発明に用いられる前記の密着向上剤や密着向上バインダーの添加量は、全光熱変換層組成物に対して5〜70重量%であり、好ましくは、10〜50重量%である。添加量が5重量%以上であれば隣接する層との密着性向上の効果があり、70重量%以下とすることで版材感度が低下しない。
【0031】
塗布性を改良するために、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加剤として使用することができる。本発明に用いられる界面活性剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して0.01〜10重量%であり、好ましくは、0.05〜1重量%である。添加量が0.01重量%以上とすることで塗布性が良く均一な光熱変換層の形成が容易となり、10重量%以下とすることにより隣接する層との密着力が低下しない。この他にも必要に応じて、各種の添加剤を使用することができる。
【0032】
本発明に用いられる光熱変換層の膜厚は、0.05〜10g/m、好ましくは0.1〜5g/mである。光熱変換層の膜厚が薄すぎると、十分な光学濃度が得られずレーザー記録感度が低下し、均一な膜形成が困難となり画質が劣化する。また、膜厚が厚すぎると、レーザー記録感度の低下、及び製造コストの点から好ましくない。本発明に用いられる光熱変換層は、光熱変換層形成用塗布液を支持体上、または、必要に応じて形成される後述の下塗り層の表面に、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布し、乾燥することで形成することができる。
【0033】
〔シリコーンゴム層〕
本発明において用いられるインキ反撥性のシリコーンゴム層は、光熱変換層上にシリコーンゴムの皮膜を反応形成させることによって形成される。具体的には、縮合型シリコーンを架橋剤を用いて硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により付加重合させて形成することが好ましい。縮合型シリコーンを用いる場合には、(a)ジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(b)縮合型架橋剤を3〜70重量部、(c)触媒0.01〜40重量部を加えた組成物を用いるのが好適である。前記成分(a)のジオルガノポリシロキサンは、下記一般式で示されるような繰り返し単位を有するポリマーである。RおよびRは炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリール基であり、またその他の適当な置換基を有していてもよい。一般的にはRおよびRの60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好ましい。
【0034】
【化1】
Figure 2004338304
【0035】
このようなジオルガノポリシロキサンは両末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。また、前記成分(a)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。成分(b)の架橋剤は縮合型のものであればいずれであってもよいが、次の一般式で示されるようなものが好ましい。
【0036】
【化2】
Figure 2004338304
【0037】
ここでRは先に説明したRと同じ意味であり、Xは、Cl、Br,I等のハロゲン原子、水素原子、水酸基、あるいは、以下に示す如き有機置換基を表す。
【化3】
Figure 2004338304
【0038】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基を、RおよびRは炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0039】
成分(c)としては、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン等の金属カルボン酸塩、例えば、ラウリン酸ジブチル、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等、あるいは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙げられる。付加型シリコーンを用いる場合には、(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜25重量部、および(f)付加触媒0.00001〜1重量部を添加した組成物を用いることが好ましい。上記成分(d)の付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル基は分子量末端、中間いずれにあってもよく、アルケニル基以外の有機基として、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を有していてもよい。また、成分(d)には水酸基を微量有することも任意である。成分(d)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜150,000である。
【0040】
成分(e)としては、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシロキサン、両末端メチル基のメチルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体、環状ポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体等が例示される。成分(f)としては、公知の重合触媒の中から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金等が例示される。
【0041】
これらの組成物においてシリコーンゴム層の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロキサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の架橋抑制剤を添加することも可能である。本発明に用いられる(D)シリコーンゴム層は、前記したシリコーンを含む組成物を溶剤を用いて(C)光熱変換層上に塗布、乾燥することによりに形成しうる。このとき、シリコーンゴム層形成用塗布液の塗布後の溶剤乾燥時にシリコーンゴム層組成物が縮合反応もしくは付加反応することで皮膜を形成するので、乾燥温度が低いとシリコーンゴムの硬化性が低下し、硬化不良となるおそれがある。このため、シリコーンゴム層の塗布後の乾燥温度は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
【0042】
なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や光重合開始剤を添加してもよい。本発明に用いられるシリコーンゴム層の膜厚は、乾燥膜厚として0.5〜5.0g/mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0g/mであり、更に好ましくは2.0〜2.5g/mである。膜厚が0.5g/m以上とすることによりインキ反撥性が低下せず、傷が入りやすい等の問題点が解消し、5.0g/m以下とすることで現像性が悪くならない。また、シリコーンゴム層の上に、耐刷性、耐傷性、画像再現性および汚れ性等の向上の目的で、更に種々のシリコーンゴム層を塗工し、表面層を形成してもよい。
【0043】
〔その他の層〕
本発明に適用される水なし平版印刷版原版には、上記の層構成のほか、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて他の層を設けることができる。以下に、他の層について説明する。
(下塗り層)
本発明に用いられる水なし平版印刷版原版は、前記支持体と前記光熱変換層との間に、水溶性又は水分散性ポリマーを含有し、水系塗布により形成した下塗り層を設けることが好ましい。この下塗り層は支持体と光熱変換層との間の接着層として有用であり、また、印刷時のシリコーンゴム層への圧力緩和のためのクッション層としての役割も有している。この下塗り層は、水系塗布により形成するため、その組成中に、バインダーとして水溶性ポリマー、又は、エマルジョンなどの水分散状態で使用しうる水分散性ポリマー、或いはその両方を含有する。水系塗布による均一層を形成するためには、バインダーの他の成分、例えば、各種添加剤としても、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョンなどの水分散状態可能な材料を使用することが必要である。これらの素材を含む水溶液あるいは水分散液を下塗り層形成用塗布液として調製し、これを塗布乾燥して本発明に用いられる下塗り層が形成される。
【0044】
以下に、下塗り層の構成成分を順次説明する。
バインダー
下塗り層に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸などの合成ポリマーなどを挙げることができる。また、支持体と下塗り層との密着性、及び製造時のブロッキング性などの観点から、本下塗り層は架橋構造を有すことが望ましい。架橋構造を形成させる方法としては、例えば架橋剤と反応可能な架橋性基を有すバインダーを用い、架橋剤との反応によって架橋構造を形成させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記方法により架橋構造を形成させる場合、使用されるバインダーは架橋性基として、メチロール基、水酸基、カルボキシル基、及びグリシジル基のいずれかを有すことが好ましい。
【0045】
架橋剤
上記方法により架橋構造を形成させる場合に、添加される架橋剤としては、例えば、C.E.K.Meers及びT.H.James著「The Theory of Photographic Process」第3版(1966年)、US3,316,095号公報、US3,232,764号公報、US3,288,775号公報、US2,732,303号公報、US3,635,718号公報、US3,232,763号公報、US2,732,316号公報、US2,586,168号公報、US3,103,437号公報、US3,017,280号公報、US2,983,611号公報、US2,725,294号公報、US2,725,295号公報、US3,100,704号公報、US3,091,537号公報、US3,321,313号公報、US3,543,292号公報、及びUS3,125,449号公報、及びUK994,869号公報、及びUK1,167,207号公報などに記載されているものを挙げることができる。代表的な具体例としては、メラミン化合物、アルデヒド系化合物及びその誘導体、活性ビニル系化合物、活性ハロゲン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0046】
メラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物、及びそれらの縮重合体であるメラミン樹脂、あるいはメラミン・ユリア樹脂などを挙げることができる。メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えば、スミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK、及び同MC(住友化学(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂などを挙げることができる。市販品としては、MA−1、及びMA−204(住友ベークライト(株)製)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM、及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製)、大鹿レジンM31、及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明に用いられるメラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能基とはメチロール基又はアルコキシメチル基を示す。この値が300以下とすることにより硬化密度が適度となり高い強度が得られる。官能基当量が50以上とすることにより硬化密度は高くなく塗布液の経時安定性が損なわれることがなく、良化する。本発明に用いられるメラミン化合物の添加量は、上記バインダーに対して、0.1〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0048】
アルデヒド系化合物及びその誘導体の代表的な具体例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシブロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルグリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、及びグルタルアルデヒドなどが挙げられる。活性ビニル系化合物の代表的な具体例としては、ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、及び1,3,5−トリビニルスルホニルヘキサヒドロ−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0049】
活性ハロゲン系化合物の代表的な具体例としては、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン、及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジンなどが挙げられる。エポキシ化合物の代表的な具体例としては、ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類、及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。
【0050】
その他にも、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素、及びビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテルなどのエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン、及び1,5−(メタンスルホンオキシ)ペンタンなどのメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾールなどのイソオキサゾール系化合物;クロムミョウバン、及び酢酸クロムなどの無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン、及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリドなどの脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド、及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミドなどの活性エステル系化合物;トルエン−2,4−ジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物などのエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0051】
金属酸化物粒子
本発明に用いられる下塗り層には、支持体と下塗り層との密着性向上、帯電防止性付与、製造時のブロッキング抑制などの観点から、金属酸化物粒子を添加することが望ましい。この金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、SnO、Al、In、MgO、BaO、MoO、V及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。金属酸化物としては、ZnO、SnO、Al、In、MgOが好ましく、更にはZnO、SnO、Inが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、SnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素、Inに対してSnなどの異種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の量をドープしたものを挙げることができる。異種原子のドープ量が30モル%以下であれば支持体と下塗り層との密着性が向上する。
【0052】
該金属酸化物粒子は、下塗り層のバインダーに対して10〜1000重量%の範囲で含むことができる。好ましくは100〜800重量%の範囲である。10重量%以上であれば充分な支持体と下塗り層との密着性が得られ、1000重量%以下であれば金属酸化物粒子の下塗り層からの脱落を防止することができる。該金属酸化物粒子の粒子径は、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲であり、0.003〜0.2μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.001μm以上であれば支持体と下塗り層との充分な密着性が得られ、平均粒子径が0.5μm以下であれば製造工程において下塗り層から金属酸化物粒子の脱落を防止できる。ここでいう平均粒子径とは、金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0053】
添加剤(下塗り層の添加剤)
本発明に用いられる下塗り層中には、バインダー、所望により添加される架橋剤、金属酸化物粒子以外にも、各種添加剤を併用することができる。これらの添加剤は、光熱変換層や支持体などの隣接する層に対する密着性向上、製造時のブロッキング抑制、下塗り層中の金属酸化物粒子の分散性向上、塗布性改良など種々の目的に応じて添加され、例えば、ブレンドバインダー、接着助剤、マット剤、界面活性剤、染料などが挙げられる。ブレンドバインダーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ハロゲン化ポリヒドロキシスチレン、塩化ゴム等のポリマーを用いることができる。その添加割合は任意であり、フイルム層を形成できる範囲内であれば、ブレンドバインダーだけで下塗り層を形成してもよい。
【0054】
接着助剤としては、例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤やアルミニウムカップリング剤を挙げることができる。マット剤としては、好ましくは平均粒径が0.5〜20μm、より好ましくは平均粒径が1.0〜15μmの粒径を持つ無機粒子、有機粒子が挙げられる。特に、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びそれらの共重合体の架橋粒子が好ましい。一般に、下塗り層の膜厚は乾燥膜厚で、0.01〜10μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であれば塗布剤を均一に塗布し易いため製品に塗布むらが生じることなく、10μm以下であれば経済的見地から有利である。
【0055】
〔中間層〕
本発明では、前記下塗り層と光熱変換層との間に、水系塗布により形成した中間層を設けることができる。中間層は、主として下塗り層の金属酸化物粒子の製造時における脱落防止の機能を補助するため、及び製造時の滑り性、耐傷性向上のために設けられる。
【0056】
バインダー
中間層のバインダーとしては、下塗り層と同様のものを用いることができる。更には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、及び4−メチル−1−ペンテンなどの1−オレフィン系不飽和炭化水素の単独又は共重合体からなるワックス、樹脂及びゴム状物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、及びプロピレン/1−ブテン共重合体)、上記1−オレフィンの二種以上と共役又は非共役ジエンとのゴム状共重合体(例えば、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン/プロピレン/1,5−ヘキサジエン共重合体、及びイソブテン/イソプレン共重合体)、1−オレフィンと共役又は非共役ジエンとの共重合体(例えば、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/エチリデンノルボルネン共重合体)、1−オレフィン、特にエチレンと酢酸ビニルとの共重合体及びその完全もしくは部分ケン化物、1−オレフィンの単独又は共重合体に上記共役もしくは非共役ジエン又は酢酸ビニルなどをグラフトさせたグラフト重合体及びその完全もしくは部分ケン化物、等を挙げることができる。本発明に用いられる中間層バインダーは、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョンなどの水分散状態で使用することが必要で、特に、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂のポリマーラテックスや、水溶性のポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0057】
添加剤(中間層の添加剤)
本発明に用いられる中間層にも下塗り層と同様に、マット剤や界面活性剤などの各種添加剤を用いることができる。本発明に用いられる中間層の膜厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難く、1μm以下とすることにより、経済的見地から有利である。
【0058】
バック層
本発明の水なし平版印刷版原版は、光熱変換層とシリコーンゴム層が設けられた面と反対側の支持体面側に少なくとも1層のバック層が設けられる。
【0059】
バック層は、特に限定されないが、アクリル樹脂とメラミン化合物との硬化物中に導電性金属酸化物粒子が分散した層が好ましい。
また、本発明のバック層は、必要に応じて2層以上の層構成としても良い。バック層を2層以上の層構成とする場合、広義には、この2層以上の全ての層を総称してバック層と称し、狭義には、下側の層をバック層、その上の層オーバーコート層とも称したり、下側の層からバック第1層、バック第2層等と称することもある。
該バック層にはマット剤を含有してもよい。さらに、該バック層にはワックス、界面活性剤などの滑剤を含有してもよい。
【0060】
マット剤
マット剤としては、好ましくは平均粒径が0.5μm〜20μm、より好ましくは平均粒径が1.0μm〜15μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が挙げられる。特にこれらの重合体あるいは共重合体の架橋粒子が好ましい。
【0061】
これらのマット剤をバック層側の少なくともいずれかの層に(バック及び/またはオーバーコート層)所定量含有させることによって、バック層側の表面のベック平滑度(秒)を50〜500秒、好ましくは60〜450秒、より好ましくは200〜400秒とすることができる。ここで、バック層側の表面のベック平滑度(秒)は、JIS−P8119−1998ならびにJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載された方法で測定された値を意味する。バック層側の表面のベック平滑度(秒)が50秒以上にすることにより、バック側の表面の凹凸が大きすぎずマット剤が層から脱落し難くなり、原版の搬送性が経時的に低下しない。一方、バック層側の表面のベック平滑度(秒)が500秒以下であると、バック層側の平滑度が高すぎず原版の搬送性が低下せず、搬送不良に伴う種々の弊害が生じない。
【0062】
金属酸化物粒子
該バック層には、導電性金属酸化物粒子を含有させてもよい。導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO及びMoO及びこれらの複合酸化物、及び/該金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
【0063】
金属酸化物としては、SnO、ZnO、Al、TiO、In、及びMgOが好ましく、さらにSnO、ZnO、In及びTiOが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiOに対してNbあるいはTa、Inに対してSn、及びSnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が0.01モル%以上である場合は、酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができ、30モル%以下とすることにより粒子の黒化度が増すことがなく、バック層が黒まず感材用として適する。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
【0064】
導電性金属酸化物粒子は、バック層中に、結合剤(アクリル樹脂及びメラミン化合物等の合計)に対して10〜1000重量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜800重量%の範囲が好ましい。10重量%以上である場合は、充分な帯電防止性が得られ、1000重量%以下である場合は導電性金属酸化物粒子の感材からの脱落を防止することができる。
【0065】
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。
本発明の湿し水不要平版印刷版原版のバック層中の金属酸化物粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.2μmの範囲である。ここでいう、平均粒径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0066】
上記金属酸化物の微粒子のバック層形成用塗布液への添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を添加することが好ましい。
【0067】
本発明において、バック層に上記した本発明の金属酸化物粒子を含有させることに原版のバック層側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を、1×10〜1×1012Ω、好ましくは1×10〜1×1011Ωに調整することができ、また高温高湿下における表面電気抵抗値も所定の値に調整することができる。原版のバック層側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を1×10Ω以上とすることは、多量の導電性金属酸化物粒子が不要のため、この粒子が脱落し難くなり、脱落した粒子が塗布膜のハジキの核となるというような二次故障を引き起こすことがない。また、1×1012Ω以下であれば、高温高湿下においても所望の帯電防止性能を有し、高温高湿下における湿し水不要平版原版の製造時の塗布欠陥を防止し、また、原版へのゴミ等の付着による記録書き込み時にレーザー光の焦点のずれが防止し、画像記録の鮮鋭性(再現性)を向上させることができる。
【0068】
本発明の製版方法に用いる水なし平版印刷版原版のバック層に用いられる結合剤としては、特に限定されないが、アクリル樹脂とメラミン化合物との硬化物が望ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもメラミン化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有することが好ましい。その中でも水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜10当量/1kgが好ましく、特に0.01〜1当量/1kgが好ましい。
【0069】
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。
【0070】
上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
【0071】
本発明で使用されるメラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基またはアルコキシメチル基を含有する化合物およびそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂などを挙げることができる。
【0072】
メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えばスミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK及び同MC(住友化学(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0073】
上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂等を挙げることができる。市販品としては、MA−1及びMA−204(住友ベークライト(株製)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製)、大鹿レジンM31及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これらの限定されるものではない。
【0074】
上記メラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能基とはメチロール基またはアルコキシメチル基を示す。この値が300以下とすることで硬化密度が適度となり高い強度が得らる。官能基当量が50以上であることにより硬化密度が適当であり透明性が損なわれなく、良化する。該水性メラミン化合物の添加量は、上記ポリマーに対して0.1〜100重量%、好ましくは10〜90%重量%である。
【0075】
これらのメラミン化合物は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。また、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などが挙げられる。
【0076】
代表的な例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;
【0077】
ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;
【0078】
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;
【0079】
ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビト−ルポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物;
【0080】
2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;
【0081】
N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0082】
界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0083】
滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
【0084】
該バック層は、上記成分をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を、結合剤及び適当な添加剤を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)してバック層形成用塗布液を調製し、これを塗布乾燥することによって得られる。
【0085】
該バック層は、上記バック層形成用塗布液を支持体の表面(光熱変換層及びシリコーンゴム層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により塗布することができる。
【0086】
該バック層の層厚は、特に限定されないが、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難く、1μm以下であることにより帯電防止性能や耐傷性が劣下しない。
【0087】
[製版方法]
次に、前記水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法について説明する。製版は、一般的な製版方法と同様に、画像様露光により露光部のシリコーンゴム層の隣接する層との密着性を低下させる露光工程と、密着性の低下したシリコーンゴム層を除去し、インキ受容性の領域を形成する現像工程とを含む。
【0088】
(I)露光工程
本発明の水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法は、前記したように、レーザー照射部の光熱変換層の一部が製版後に残存することが重要であり、従って、水なし平版原版を露光するのに使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が剥離除去されるのに十分な密着力の低下が起き、且つ、レーザー照射部の光熱変換層が製版後に残存するような露光量を与えるものでなくてはならない。なお、光熱変換層の組成、膜厚に応じて、レーザーの出力を調整すること、或いは、レーザーの主走査速度(書き込み速度)を調整することなどにより、容易に光熱変換層の残存量を制御することができる。前記条件を充たしていればレーザー種などの制限は特になく、Arレーザー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、半導体レーザーおよび半導体励起の固体レーザー(YAGレーザー等)が好適に使用される。これらのレーザーの記録波長は赤外線の波長領域であり、800nmから1100nmの発振波長を利用することが多い。また、特開平6−186750号公報に記載されているイメージング装置やハイデルベルグ(Heidelberg)社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”(商品名)などを用いて露光することも可能であるが、この場合でも、光熱変換層の厚みに応じてレーザーの照射出力や走査速度を調整することで光熱変換層の残存量を制御することが重要である。
【0089】
(II)現像工程
本発明の水なし平版印刷版原版を製版する際に用いられる現像液としては、水なし平版印刷版原版の現像液として公知のもの、例えば、炭化水素類、極性溶媒、水およびこれらの組合せ等、が使用できるが、安全性の観点から、水または水を主成分とする有機溶剤の水溶液を用いることが好ましく、安全性および引火性等を考慮すると有機溶剤の濃度は40重量%未満が望ましい。用い得る炭化水素類としては、脂肪族炭化水素類〔具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ガソリン、灯油、市販の溶剤である”アイソパーE、H、G”(エッソ化学社製)等〕、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)等が挙げられる。また、極性溶媒としては、アルコール類(具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート等)、その他、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート等が挙げられる。また、単に水道水、純水、蒸留水等の水そのものを用いることもできる。これらは単独で用いてもよく、2種以上、例えば、炭化水素類に水を添加したり、極性溶媒に水を添加したり、炭化水素類と極性溶媒を組み合わせて、用いることもできる。更に、上記炭化水素類や極性溶媒のうち水に対する親和性の低いものについては界面活性剤等を添加して水に対する溶解性を向上させてもよい。また、界面活性剤とともにアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加することもできる。
【0090】
現像は、例えば、上記のような現像液を含む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこする等、公知の方法で行うことができる。現像液温は任意の温度とすることができるが、好ましくは10℃〜50℃である。これにより画像部のインキ反撥層であるシリコーンゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。以上のような現像処理、又はそれに続く水洗、乾燥処理は、自動処理機で行うこともできる。このような自動処理機の好ましいものは、特開平2−220061号公報に記載されている。また、さらに先に述べたHeidelberg社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”を用いることにより、好適な条件での露光及び機上現像を連続的に行なうことができる。
【0091】
また、本発明の水なし平版印刷版原版は接着層をシリコーンゴム層表面に張り合わせた後に、接着層を剥離することにより現像することも可能である。接着層は、シリコーンゴム層の表面に密着できる公知のものがいずれも使用できる。これらの接着層を可撓性支持体に設けたものは、例えば、住友スリーエム社の「スコッチテープ#851A」の商品名で市販されている。
【0092】
このように処理され、製版された水なし平版を積み重ねて保管する場合には、刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくことが好ましい。該製版方法により得られた水なし平版印刷版は印刷機に装着され、多数枚の、画像部のインキ着肉性に優れた良好な印刷物を得ることができる。
【0093】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(下塗り層の形成)
厚さ188μmの表面にコロナ放電処理を施したポリエステルフイルム「E−5101」(東洋紡績社製)上に、下記の塗布液をワイヤーバーコート法により塗布し、180℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.2μmの下塗り層を形成した。
【0094】
(下塗り層塗布液)
・タケラックW−6061(三井武田ケミカル(株)製ポリウレタンラテック
ス、固形分30重量%) 7.9重量部
・デナコールEX−521(ナガセケムテックス(株)製エポキシ化合物、有
効成分濃度:100重量%) 0.48重量部
・Nipol UFN1008(日本ゼオン(株)製ポリスチレンマット剤、
平均粒径2.0μm、固形分20重量%) 0.04重量部
・エマレックス710(日本エマルジョン(株)製ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、100重量%) 0.07重量部
・蒸留水 92重量部
【0095】
(光熱変換層の形成)
下記の混合液をガラスビーズとともにペイントシェーカーにて30分間攪拌しカーボンブラックを分散させ、ガラスビーズをろ別した後、界面活性剤KF333(大日本インキ化学工業(株)製)を0.006重量部添加、攪拌し、光熱変換層塗布液を調製した。
この塗布液を、上記下塗り層上に乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布し、80℃で2分、加熱乾燥して光熱変換層を形成した。
【0096】
Figure 2004338304
【0097】
(シリコーンゴム層の形成)
下記の塗布液を前記光熱交換層上に塗布し、100℃で1分、加熱乾燥することにより、乾燥膜厚1.5g/mの付加型シリコーンゴム層を形成した。
【0098】
Figure 2004338304
【0099】
このシリコーンゴム層を塗布乾燥後、シリコーンゴム層表面が塗布機ローラーに接触する前に、15μm厚さの帯電防止処理した2軸延伸PETフイルムをラミネートした後に巻き取り、各層間の密着性が良好な実施例1に用いる水なし平版印刷版原版の原反ロールを得た。
これを340mm巾にスリットした後、図1に示す巻き取り加工機を用いてシリコーンゴム層表面にラミネートしたカバーフイルムを剥離しつつ定尺に巻き取りロール状の水なし平版印刷版原版に加工したところ、巻きズレがなく良好な巻き姿でゴミ付きが少ない水なし平版印刷版原版を作製可能で、かつカバーフイルムの切断トラブルがなく生産性に優れてた加工が可能であった。
【0100】
〔比較例1〕
シリコーンゴム層塗布乾燥後にカバーフイルムをラミネートしなかった以外は実施例1と同様にして水なし平版印刷版原版の原反ロールを作製した。このときシリコーンゴム層塗布後の巻き取りでは巻き姿が蛇行してしまった。これを図1に示す巻き取り加工機を用いて、但しカバーフイルムの剥離機能は使用せず、定尺に巻き取ってロール状の水なし平版印刷版原版を作製したが、巻きズレが発生し、かつゴミ付き多数見られる水なし平版印刷版原版となってしまった。
【0101】
【発明の効果】
本発明の水なし平版印刷版原版の製造方法は、支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなり、該シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら水なし平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工することにより、巻きズレがなく良好なロール形態が得られ、シリコーンゴム層のゴミ付着防止、傷防止に効果があり、かつカバーフィルムの切断トラブルがなく生産性に優れた方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる加工機の概要を湿す図である。
【符号の説明】
1 スリッター・ワインダー
2 原反ロール
3 先端形状切断ダイセット
4 プレス用油圧シリンダー
5 カバーフイルム巻取ロール
6 ウェブ分断ダイセット
7 製品巻取ロール
8 送りロール

Claims (2)

  1. 支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版の該シリコーンゴム層上にラミネートしたカバーフィルムを、加工機上で剥離しながら湿し水不要平版印刷版原版をロール形態に巻き取り加工することを特徴とする湿し水不要平版印刷版原版の製造方法。
  2. カバーフィルムの長手方向(MD)の引張強度が140MPa以上であることを特徴とする請求項1記載の湿し水不要平版印刷版原版の製造方法。
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