JP2001343741A - 湿し水不要平版印刷版原版 - Google Patents

湿し水不要平版印刷版原版

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JP2001343741A
JP2001343741A JP2000152801A JP2000152801A JP2001343741A JP 2001343741 A JP2001343741 A JP 2001343741A JP 2000152801 A JP2000152801 A JP 2000152801A JP 2000152801 A JP2000152801 A JP 2000152801A JP 2001343741 A JP2001343741 A JP 2001343741A
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resin
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JP2000152801A
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English (en)
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Koji Sonokawa
浩二 園川
Taketaka Matsumoto
雄剛 松本
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチックフィルム支持体を用いた場合に
おいても、支持体と支持体に隣接する層との強固な密着
性が達成でき、製造工程、製版工程、印刷工程等におい
てシリコーンゴム層などの感材層が脱落しない湿し水不
要平版印刷版原版を提供する。 【解決手段】 プラスチックフィルム支持体上に、Zn
O、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、
MoO3、V25及びこれらの複合酸化物からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有する
下塗り層、光熱変換層、及び、シリコーンゴム層を順次
積層してなる。該金属酸化物微粒子は、金属酸化物とと
もにSb、Nb、ハロゲン元子などの異種原子を含むこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザー光によるヒ
ートモード記録によって、湿し水を必要としない印刷が
できる高感度な湿し水不要平版印刷版原版(以下、水な
し平版原版と称す)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の湿し水を必要とする印刷方式は湿
し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難し
く、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざ
ったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の
原因となるなど、大きな問題点を有していた。それに対
して、水なし平版印刷版は湿し水を必要としないために
数多くの利点を有する。このような湿し水を用いないで
平版印刷を行うための水なし平版原版に関しては、例え
ば、特公昭44−23042号、特公昭46−1604
4号、特公昭54−26923号、特公昭56−149
76号、特公昭56−23150号、特公昭61−54
222号、特開昭58−215411号、特開平2−1
6561号、特開平2−236550等において種々の
ものが提案されている。
【0003】その中でも支持体上に、プライマー層、光
重合性感光層およびシリコーンゴム層をこの順に塗設
し、露光により、露光部の光重合性感光層が重合硬化す
るとともに、シリコーンゴム層との接着力を強固にし、
現像において未露光部のシリコーンゴム層のみを剥離
し、画像部を形成する水なし平版原版が極めて優れた性
能を有している。前記プライマー層としては、例えば、
特開昭60−22903号公報に開示されているような
種々の感光性ポリマーを感光層を積層する前に露光して
硬化せしめたもの、特開昭62−50760号公報に開
示されているエポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開
昭63−133151号公報に開示されているゼラチン
を硬膜せしめたもの、更に特開平3−200965号公
報に開示されているウレタン樹脂とシランカップリング
剤を用いたものや特開平3−273248号公報に開示
されているウレタン樹脂を用いたもの等を挙げることが
できる。この他、カゼインを硬膜させたものも有効であ
る。
【0004】一方、近年プリプレスシステムやイメージ
セッター、レーザープリンターなどの出力システムの急
激な進歩によって、印刷画像をデジタルデータ化し、コ
ンピューター・トゥ・プレート、コンピューター・トゥ
・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を得る
方法が提案されるようになり、これらの印刷システムの
ための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進めら
れている。レーザー書き込みにより水なし平版印刷版を
形成できる例としては、特公昭42−21879号公
報、特開昭50−158405号公報、特開平5−94
008号公報、特開平6−55723号公報、特開平6
−186750号公報、特開平7−314934号公
報、US5,353,705号公報およびWO−940
1280公報等が挙げられる。これらにはカーボンブラ
ック等のレーザー光吸収剤およびニトロセルロース等の
自己酸化性のバインダーを含有した光を熱に変換する層
(以下、光熱変換層と称す)または金属薄膜層上にイン
キ反撥性のシリコーンゴム層を設けた印刷原版を作製
し、これにレーザー照射することにより露光部のシリコ
ーンゴム層を除去してインク付着性とし、水なし印刷版
とすることが記載されている。
【0005】このような水なし平版原版においては、支
持体に親水性のアルミ基板を用いる必要はなく、上記公
報あるいは特開平9−314794号公報等にはプラス
チックフィルムを支持体に用いることが開示されてい
る。プラスチックフィルムは画像形成の際のレーザー露
光により光熱変換層において発生する熱を拡散させるこ
となく、効率よく画像形成に利用でき、さらに、アルミ
ニウム支持体に比較して安価であるという利点を有して
いる。しかし、これらのプラスチックフィルムを支持体
に用いた刷版は、支持体と最下層との密着性が低く、原
版の製造工程、出力装置への装着、レーザーによる書込
記録、現像処理を含む製版工程、ロールアップ、インキ
ングを含む印刷工程等において、感材層の脱落が発生し
やすいという欠点を有していた。
【0006】この支持体と最下層との密着性を改良する
ために、特開平9−314794号公報には表面をコロ
ナ処理した支持体の使用例が挙げられており、特開平1
1―245530号公報にはプラズマ処理した支持体が
開示されているが、これらの表面処理を行ったとして
も、水なし平版原版においてプラスチックフィルム支持
体を用いた場合、多数枚の印刷物を得られるような実用
上充分な支持体と最下層との密着性は達成されておら
ず、その改善が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プラ
スチックフィルム支持体を用いた場合においても、支持
体と支持体に隣接する層との強固な密着性が達成でき、
画像形成性、耐刷性に優れ、且つ、製造工程、製版工
程、印刷工程等においてシリコーンゴム層などの感材層
が脱落しない湿し水不要平版印刷版原版を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、検討の結
果、支持体上に特定の粒子を含有する下塗り層を設ける
ことで上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完
成した。即ち、本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、
プラスチックフィルム支持体上に、以下に示すような、
金属酸化物粒子を含有する下塗り層、光熱変換層、及
び、シリコーンゴム層を順次積層してなることを特徴と
する。ここで、前記金属酸化物が、ZnO、SnO2
Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V2
5及びこれらの複合酸化物からなる群より選ばれる少な
くとも1種であることが好ましく、なかでも、SnO2
を含むことが好ましい態様である。
【0009】このような金属酸化物微粒子は、金属酸化
物とともに異種原子を含むものであってもよく、異種原
子の添加量は、全金属酸化物に対し30モル%以下であ
ることが好ましい。本発明の水なし平版原版の下塗り層
に含まれる金属微粒子の好ましい態様としては、金属酸
化物がSnO2であり、異種原子が、Sb、Nb、ハロ
ゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子
であるものが挙げられる。
【0010】金属酸化物粒子はバインダーに分散された
形態で下塗り層を形成するが、この下塗り層バインダー
に対する金属酸化物微粒子の添加量は10〜1000重
量%の範囲であることが好ましく、金属酸化物粒子の平
均粒子径が0.001〜1.0μmの範囲であることが
好ましい。また、下塗り層には、金属酸化物微粒子の
他、バインダーとしてアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂からなる群より選
ばれる少なくとも1種の水溶性又は水分散性ポリマーを
含有することができる。
【0011】本発明の水なし平版原版では、密着性向上
のため、下塗り層と光熱変換層との間に更に少なくとも
1層の中間層を設けることが好ましく、この中間層とし
ては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、
ポリエステル樹脂、及びポリオレフィン樹脂からなる群
より選ばれる少なくとも1種の水溶性又は水分散性ポリ
マーを含有するものが挙げられる。下塗り層及び/又は
中間層には、平均粒径0.5〜20μmのマット剤を含
有することができる。使用しうるマット剤としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィ
ン及びそれらの共重合体からなる群より選ばれる少なく
とも1種のポリマーからなるものが挙げられる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳しく説明す
る。本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、プラスチッ
クフィルム支持体上に、金属酸化物粒子を含有する下塗
り層、光熱変換層、及び、シリコーンゴム層を順次積層
してなることを特徴とするが、ここで、順次積層すると
は、これらの層が支持体上に上記の順に配置されている
ことを指し、他の層の存在を否定するものではない。即
ち、表面保護層、中間層、バックコート層などの公知の
層を本発明の効果を損なわないかぎり、目的に応じて選
択して設けることができる。
【0013】以下に、本発明の水なし平版原版の層構成
について順次説明する。 [下塗り層]本発明に用いられる下塗り層は、フィルム
形成能を有するバインダー中に金属酸化物粒子を分散さ
せてなる層であり、プラスチックフィルム支持体上に直
接設けることを要する。 (金属酸化物粒子)本発明に用いられる金属酸化物粒子
としては、ZnO、SnO2、Al23、In23、M
gO、BaO、MoO3、V25及びこれらの複合酸化
物からなる微粒子あるいは、これらの金属酸化物に更に
異種原子を含む微粒子が挙げられ、金属酸化物微粒子
は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用
いてもよい。微粒子を構成する金属酸化物としては、Z
nO、SnO2、Al23、In2 3、MgO、Ba
O、MoO3、V25及びこれらの複合酸化物が挙げら
れ、なかでも、ZnO、SnO2、Al23、In
23、MgOがプラスチックフィルム支持体と下塗り層
との密着性の観点から好ましく、更にはZnO、SnO
2、In23が好ましく、SnO2が特に好ましい。
【0014】異種原子を少量含む例としては、ZnOに
対してAlあるいはIn、SnO2に対してSb、Nb
あるいはハロゲン元素、In23に対してSnなどの異
種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の
量をドープしたものを挙げることができる。このような
異種原子をドープすることで、さらに、プラスチックフ
ィルム支持体と下塗り層との密着性を向上させる効果が
期待できる。なお、異種原子のドープ量が30モル%を
超える場合はプラスチックフィルム支持体と下塗り層と
の密着性が逆に低下する傾向があるため、好ましくな
い。
【0015】本発明の金属酸化物粒子は、下塗り層のバ
インダーに対して10〜1000重量%の範囲で含むこ
とができる。好ましくは100〜800重量%の範囲で
ある。10重量%未満の場合は充分なプラスチックフィ
ルム支持体と下塗り層との密着性向上効果が不充分とな
り、1000重量%を超えた場合は金属酸化物粒子の下
塗り層からの脱落が生じやすくなる傾向がある。本発明
の金属酸化物粒子の粒子径は、平均粒子径が0.001
〜1.0μmの範囲であり、0.003〜0.2μmの
範囲が好ましい。平均粒子径が0.001μm未満の場
合はプラスチックフィルム支持体と下塗り層との密着性
向上効果が不充分となる傾向があり、平均粒子径が1.
0μmを超える場合は製造工程において下塗り層から金
属酸化物粒子が脱落する場合がある。ここでいう平均粒
子径とは、金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次
構造の粒子径も含んだ値である。
【0016】(バインダー)金属酸化物粒子を分散、支
持するバインダーとしては、後述する塗布条件やハンド
リング性の観点から、水溶性或いは水分散性のポリマー
から選択することが好ましい。バインダーに使用しうる
ポリマーとしては、例えば、ゼラチン、カゼインなどの
タンパク質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシ
エチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセ
ルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース化
合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘
導体などの糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステ
ル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビ
ニルピロリドン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、ポリアクリル酸などの合成ポリマーなどを挙
げることができる。
【0017】また、プラスチックフィルム支持体と下塗
り層との密着性、及び製造時のブロッキング性などの観
点から、本下塗り層は架橋構造を有すことが望ましい。
下塗り層に架橋構造を形成させる方法としては、例えば
架橋剤と反応可能な架橋性基を有すバインダーを用い、
架橋剤との反応によって架橋構造を形成させる方法が挙
げられるが、これに限定されるものではない。上記方法
により架橋構造を形成させる場合、使用されるバインダ
ーは架橋性基として、メチロール基、水酸基、カルボキ
シル基、及びグリシジル基のいずれかを有すことが好ま
しい。
【0018】(架橋剤)上記方法により架橋構造を形成
させる場合に使用される架橋剤としては、例えば、C.
E.K.Meers及びT.H.James著「The
Theoryof Photographic Pr
ocess」第3版(1966年)、US3,316,
095号公報、US3,232,764号公報、US
3,288,775号公報、US2,732,303号
公報、US3,635,718号公報、US3,23
2,763号公報、US2,732,316号公報、U
S2,586,168号公報、US3,103,437
号公報、US3,017,280号公報、US2,98
3,611号公報、US2,725,294号公報、U
S2,725,295号公報、US3,100,704
号公報、US3,091,537号公報、US3,32
1,313号公報、US3,543,292号公報、及
びUS3,125,449号公報、及びUK994,8
69号公報、及びUKl,167,207号公報などに
記載されているものを挙げることができる。代表的な例
としては、メラミン化合物、アルデヒド系化合物及びそ
の誘導体、活性ビニル系化合物、活性ハロゲン系化合
物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0019】メラミン化合物としては、メラミン分子内
に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び
/又はアルコキシメチル基を含有する化合物、及びそれ
らの縮重合体であるメラミン樹脂、あるいはメラミン・
ユリア樹脂などを挙げることができる。メラミンとホル
マリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミ
ン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミ
ン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラ
ミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例え
ば、スミテックス・レジン(Sumitex Resi
n)M−3、同MW、同MK、及び同MC(住友化学
(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定さ
れるものではない。上記縮重合体の例としては、ヘキサ
メチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹
脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂な
どを挙げることができる。市販品としては、MA−1、
及びMA−204(住友ベークライト(株)製)、ベッ
カミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンA
PM、及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工
業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)
製)、大鹿レジンM31、及び大鹿レジンPWP−8
(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これ
らに限定されるものではない。
【0020】本発明に用いられるメラミン化合物として
は、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される
官能基当量が50以上300以下であることが好まし
い。ここで官能基とはメチロール基及び/又はアルコキ
シメチル基を示す。この値が300を超えると硬化密度
が小さく高い強度が得られず、メラミン化合物の量を増
やすと塗布性が低下する。硬化密度が小さいと製造時の
ブロッキングや擦り傷が発生しやすくなる。また金属酸
化物粒子の保持力も低下する。官能基当量が50未満で
は硬化密度は高くなるが塗布液の経時安定性が損なわれ
る場合があり、減量しても良化しない。本発明に用いら
れるメラミン化合物の添加量は、上記バインダーに対し
て、0.1〜100重量%、好ましくは10〜90重量
%である。
【0021】アルデヒド系化合物及びその誘導体の代表
的な具体例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ム
コフェノキシクロル酸、ムコフェノキシブロム酸、ホル
ムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルグリオキザ
ール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、
2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサ
ンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒド
ロフラン、及びグルタルアルデヒドなどが挙げられる。
活性ビニル系化合物の代表的な具体例としては、ジビニ
ルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニ
ルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)
−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−ア
セチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−s−ト
リアジン、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ
−s−トリアジン、及び1,3,5−トリビニルスルホ
ニルヘキサヒドロ−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0022】活性ハロゲン系化合物の代表的な具体例と
しては、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリ
アジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−ス
ルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4
−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−ト
リアジン、及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカル
バミル)ピペラジンなどが挙げられる。エポキシ化合物
の代表的な具体例としては、ビス(2,3−エポキシプ
ロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンス
ルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロ
ピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソ
シアヌレート、1,3−ジグリシジル−5−(γ−アセ
トキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロール
ポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリ
グリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジル
エーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセ
ロールエーテル類、及びトリメチロールプロパンポリグ
リシジルエーテル類などが挙げられる。
【0023】その他にも、2,4,6−トリエチレン−
s―トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−
ビスエチレン尿素、及びビス−β−エチレンイミノエチ
ルチオエーテルなどのエチレンイミン系化合物;1,2
−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メ
タンスルホンオキシ)ブタン、及び1,5−(メタンス
ルホンオキシ)ペンタンなどのメタンスルホン酸エステ
ル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び1
−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロ
ピル)力ルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミド化合
物;2,5−ジメチルイソオキサゾールなどのイソオキ
サゾール系化合物;クロムミョウバン、及び酢酸クロム
などの無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプ
ロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン、及びN−(1−
モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリ
ドなどの脱水縮合型ペプチド試薬;N,N'−アジポイ
ルジオキシジサクシンイミド、及びN,N’−テレフタ
ロイルジオキシジサクシンイミドなどの活性エステル系
化合物;トルエン−2,4−ジイソシアネート、及び
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシ
アネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロル
ヒドリン反応物などのエピクロルヒドリン系化合物を挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。これらの架橋剤の添加量としては、上記バインダー
に対して、0.1〜100重量%が好ましく、10〜9
0重量%であることがさらに好ましい。
【0024】(マット剤)本発明の下塗り層には、上記
バインダー、金属酸化物微粒子に加えてマット剤を併用
することができる。マット剤を含むことで、
の効果が期待できる。本発明に用いうるマット剤
としては、好ましくは平均粒径が0.5〜20μm、よ
り好ましくは平均粒径が1.0〜15μmの粒径を持つ
無機粒子、有機粒子が挙げられる。特に、ポリメチルメ
タクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びそれ
らの共重合体の架橋粒子が好ましい。
【0025】(添加剤)本発明の下塗り層は、金属酸化
物粒子、バインダー、マット剤以外に各種添加剤を本発
明の効果を損なわない限りにおいて適宜用いることがで
きる。これらの添加剤は、下塗り層中の金属酸化物粒子
の分散性を向上させたり、光熱変換層や中間層などの隣
接する層に対する密着性を向上させるなど種々の目的に
応じて添加される。この他にも、塗布性を改良するため
の界面活性剤など必要に応じて各種の添加剤が使用され
る。
【0026】(下塗り層の形成方法と諸特性)本発明の
下塗り層は、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止
の観点から、上記金属酸化物粒子をそのままあるいは水
などの溶媒に必要に応じて分散剤やバインダーを添加し
て分散させた分散液を、バインダー及び適当な添加剤を
含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合、必要に応
じて分散して下塗り層形成用塗布液を調製し、これを塗
布乾燥して得ることが好ましい。従って、本発明の下塗
り層バインダーは、水溶性のものを使用するか、あるい
はエマルジョンなどの水分散状態で使用することが好ま
しく、特に、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン
樹脂、及びポリエステル樹脂のポリマーラテックスが好
ましい。本発明の下塗り層は、上記下塗り層形成用塗布
液をプラスチックフィルムの表面に一般によく知られた
塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコー
ト法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラ
ビアコート法、エクストルージョンコート法などにより
塗布することができる。
【0027】本発明の下塗り層の膜厚は、0.01〜l
μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜0.5μmの範
囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗
布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、lμmを
超える場合は、プラスチックフィルム支持体と下塗り層
との密着性が劣る場合がある。本発明の下塗り層は、導
電性に優れた金属酸化物微粒子を含有するため、結果的
に帯電防止機能を有し、下塗り層表面の20℃65%R
Hにおける表面電気抵抗値をl×107〜l×1012Ω
/□に調整することができ、また高温高湿下における表
面電気抵抗値も所定の値に調整することができる。表面
電気抵抗値がl×1012Ω/□を超えると、ゴミを付着
しやすくなり、製造時に塗布欠陥を生じる可能性があ
り、また記録書込時にレーザー光の焦点ずれが生じ易く
なり画像再現性が損なわれる虞がある。従って、本発明
の水なし平版原版は、高温高湿下においても所望の帯電
防止性能を有し、高温高湿下における水なし平版原版製
造時の塗布欠陥を防止し、また、原版へのゴミなどの付
着による記録書込時のレーザー光焦点ずれを防止し画像
再現性を向上させることができるという利点も有してい
る。
【0028】[中間層]本発明では、下塗り層と光熱変
換層との間に、少なくとも1層の中間層を設けることが
できる。中間層は、主として下塗り層中に含有される金
属酸化物粒子の製造時における脱落防止の機能を補助
し、さらに、製造時の滑り性、耐傷性向上に有用であ
る。中間層は前記目的で設けられるものであり、バイン
ダー及びその他の添加剤から構成される。この中間層は
目的、構成の異なる2層以上を形成することもできる。
【0029】(バインダー)中間層に用いうるバインダ
ーとしては、前記下塗り層におけるのと同様のものを挙
げることができる。上記バインダーに加え、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、及び4−メチルー1−ペ
ンテンなどの1−オレフィン系不飽和炭化水素の単独又
は共重合体からなるワックス、樹脂及びゴム状物(例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテ
ン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロ
ピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、及び
プロピレン/1−ブテン共重合体等)(以下、1−オレ
フィン系化合物と称する)、上記1−オレフィン系化
合物の二種以上と共役又は非共役ジエンとのゴム状共重
合体(例えば、エチレン/プロピレン/エチリデンノル
ボルネン共重合体、エチレン/プロピレン/1,5−ヘ
キサジエン共重合体、及びイソブテン/イソプレン共重
合体等)、1−オレフィン系化合物と共役又は非共役
ジエンとの共重合体(例えば、エチレン/ブタジエン共
重合体及びエチレン/エチリデンノルボルネン共重合体
等)、1−オレフィン系化合物、特にエチレンと酢酸
ビニルとの共重合体及びその完全もしくは部分ケン化
物、1−オレフィン系化合物の単独又は共重合体に上
記共役もしくは非共役ジェン又は酢酸ビニルなどをグラ
フトさせたグラフト重合体及びその完全もしくは部分ケ
ン化物、等を挙げることができる。
【0030】本発明に係る中間層は、良好な作業環境の
維持、及び大気汚染防止の観点から、下塗り層同様に、
バインダー及び適当な添加剤を水中に、添加、混合、必
要に応じて分散して中間層形成用塗布液を調製し、これ
を塗布乾燥して得ることが好ましい。従って、本発明の
中間層バインダーは、水溶性のものを使用するか、ある
いはエマルジョンなどの水分散状態で使用することが好
ましく、特に、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、及びポリエステル樹脂のポリマーラテックス、
及び/又は水溶性のポリオレフィン樹脂が好ましい。ま
た、この中間層においても、前記下塗り層と同様の架橋
剤や界面活性剤などの各種添加剤を用いることができ
る。
【0031】中間層は、上記中間層形成用塗布液を本発
明の下塗り層上に一般によく知られた塗布方法、例えば
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコ
ート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エ
クストルージョンコート法などにより塗布することがで
きる。本発明の中間層の膜厚は、0.01〜lμmの範
囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好
ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しに
くいため製品に塗布むらが生じやすく、lμmを超える
場合は、本発明の下塗り層によるプラスチックフィルム
支持体と下塗り層との密着性向上効果が不充分となる場
合がある。
【0032】[プラスチックフィルム支持体]本発明の
水なし平版原版においてに支持体に用いられるプラスチ
ックフィルムとしては、目的とする強度、耐久性、可と
う性等の特性を備えるフィルムであれば特に制限はな
く、例えば、ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィ
ルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィル
ム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィ
ルム、ポリビニルアルコールフィルム、フッ素樹脂フィ
ルム、ポリカーボネートフィルム、アセテートフィル
ム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルムなどを挙
げることができるが、これらに限定されるものではな
い。また、これらは単独で使用しても、また、例えば、
ラミネートして積層構造のフィルムとして、或いは、2
種以上を混合して一層のフィルムを形成するなどして、
二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中で
適度の撓み性と強度の面から、ポリエチレンテレフタレ
ートフィルム、もしくはポリエチレン−2,6−ナフタ
レートフィルムが好ましい。また、プラスチックフィル
ムは、未延伸フィルム、一軸延伸後で再延伸前のフィル
ム、あるいは二軸延伸フィルムのいずれであってもよ
く、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムである。
【0033】これらのプラスチックフィルムには、特開
平9−314794号公報に開示されているように、内
部に空孔を形成したものを使用することができる。また
酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型)、亜鉛華、シリ
カ、アルミナ、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸
バリウム、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫化亜鉛、三酸化アン
チモン等の白色顔料、あるいはその他の顔料をフィラー
としてフィルム原料である粉体と混合押出してマスタチ
ップ化した後、稀釈して製膜したものを使用することも
できる。
【0034】本発明に用いられるプラスチックフィルム
からなる支持体は、通常の印刷機にセットできる程度の
たわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるも
のでなければならない。従って、支持体の膜厚は25μ
mから3mm、好ましくは75μmから500μmが適
当であるが、用いる支持体の種類と印刷条件により最適
な厚さは変動する。一般には100μmから300μm
が最も好ましい。
【0035】また、本発明に用いられるプラスチックフ
ィルムからなる支持体は表面の更なる密着性向上のた
め、マット化易接着処理など各種表面処理を施してもよ
い。更に、光熱変換層およびシリコーンゴム層を積層す
る表面とは反対側の該支持体表面に、従来の平版印刷版
原版の基板を接着剤などで貼り合わせてもよい。この基
板の代表的なものとしては、アルミニウムのような金属
板、アルミニウム含有(例えば、珪素、銅、マンガン、
マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル
などの金属とのアルミニウムとの合金)合金、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのよう
なプラスチックフィルム、紙もしくはポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのプラスチックフィルムがラミネート
された複合シートなどを挙げることができる。
【0036】[光熱変換層]本発明に用いられる光熱変
換層は書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光
熱変換)する機能を有する層であり、これらの機能を有
する公知の光熱変換層が使用可能である。 (光熱変換剤)本発明に用いられる光熱変換剤として
は、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱
変換)する機能を有する公知の物質が使用可能であり、
レーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線吸収
顔料、赤外線吸収色素、赤外線吸収性金属、赤外線吸収
金属酸化物等、書込レーザーに使用する波長の光を吸収
する各種の有機および無機材料が使用可能であることが
従来から知られている。
【0037】これらの光熱変換剤は、バインダー、添加
剤など他の成分との混合膜の形態で、また、赤外線吸収
性金属、赤外線吸収金属酸化物等は単独の薄膜の形態で
も使用される。この単独薄膜の場合には、アルミニウ
ム、チタン、テルル、クロム、錫、インジウム、ビスマ
ス、亜鉛、鉛等の金属および合金や金属酸化物、金属炭
化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属フッ化物、有機
色素等を用いて、蒸着法或いはスパッタリング法等によ
り支持体上に形成させることができる。
【0038】また、他の成分中に溶解もしくは分散させ
て塗布法により混合膜を形成する光熱変換剤の例として
は、酸性カーボンブラック、塩基性カーボンブラック、
中性カーボンブラックなど各種カーボンブラック、分散
性改良等のために表面修飾もしくは表面コートされた各
種カーボンブラック、ニグロシン類、アニリンブラッ
ク、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、
ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイ
ト、アルミニウム、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオ
ール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メル
カプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金
属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、
珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マ
ンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン、イ
ンジウムスズ酸化物等の金属酸化物等、これらの金属の
水酸化物、硫酸塩、更にビスマス、スズ、テルル、鉄、
アルミの金属粉等の添加剤を添加することが好ましい。
この他にも、有機色素として「赤外増感色素」(松岡著
Plenum Press,New York,NY
(1990))、US4833124号公報,EP−3
21923号公報、US−4772583号公報,US
―4942141号公報、US−4948776号公
報、US−4948777号公報、US−494877
8号公報、US−4950639号公報、US−491
2083号公報、US−4952552号公報、US−
5023229号公報等の明細書に記載の各種化合物が
挙げられるが、これに限定されるものではない。これら
の中でも、光熱変換率、経済性、および取り扱い性の面
からカーボンブラックが特に好ましい。
【0039】カーボンブラックには、その製造方法か
ら、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネル
ブラック、ロールブラック、ディスクブラック、サーマ
ルブラック、アセチレンブラック等に分類されるが、フ
ァーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのも
のが市販されており、商業的にも安価であるため、好ま
しく使用される。
【0040】カーボンブラックは、その1次粒子の凝集
度合いが版材感度に影響を及ぼす。カーボンブラックの
1次粒子の凝集度合いが高い(ハイストラクチャー構造
を有する)と、同じ添加量で比較した場合、版材の黒色
度が上がらず、そのためにレーザー光の吸収率が低下し
結果的に感度が低下してしまう。また、その粒子凝集の
ために光熱変換層塗布液の粘度が高くなったりチキソト
ロピー性を帯びてきたりして、塗布液の取り扱いが困難
になり、塗布膜が均一にならなくなる。一方、吸油量が
低い場合にはカーボンブラックの分散性が低下し、やは
り版材感度が低下しやすくなる。このカーボンブラック
の1次粒子の凝集度合いは、吸油量という値で比較する
ことができ、吸油量が高いほど擬集の度合いは高くな
り、吸油量が低くなるにつれて凝集の度合いは低くな
る。即ち、吸油量が20〜300ml/100gの範囲
にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より
好ましくは50〜200ml/100gである。
【0041】またカーボンブラックは、様々な粒径のも
のが市販されており、この1次粒子の粒径も版材感度に
影響を及ぼす。1次粒子の平均粒子径が小さすぎる場合
には、光熱変換層自体が透明性を帯びてきてレーザー光
を効率よく吸収できなくなり版材感度が低下する。また
大きすぎる場合には、粒子が高密度に分散されずに光熱
変換層の黒色度が上がらずレーザー光を効率よく吸収で
きなくなり、やはり版材感度が低下する。即ち、1次粒
子の平均粒子径で、10〜50nmの範囲にあるカーボ
ンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは1
5〜45nmである。また、導電性カーボンブラックを
使用することにより、版材感度を向上させることができ
る。このときの電気伝導度は、0.01〜100Ω-1
-1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.
1〜10Ω-1cm-1である。具体的には、“CONDU
CTEX”40−220、“CONDUCTEX”97
5BEADS、“CONDUCTEX”900BEAD
S、“CONDUCTEX”SC、“BATTERY
BLACK”(コロンビヤンカーボン日本(株)製)、
#3000(三菱化学(株)製)、“デンカブラック”
(電気化学工業(株)製)、“VULCAN XC−7
2R”(キャボット社製)等がより好ましく使用され
る。
【0042】本発明に用いられる混合膜の光熱変換剤の
添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜70重量%
であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が
1重量%以下では画像形成時の感度が低くなり、70重
量%以上では光熱変換層の膜強度が低下し、隣接する層
との密着性も低下する。
【0043】(バインダー)光熱変換層を混合膜として
形成する場合に使用されるバインダーとしては、光熱変
換剤を溶解もしくは分散する公知のバインダーが使用さ
れる。これらの例としてはニトロセルロース、エチルセ
ルロースなどのセルロース、セルロース誘導体類、ビニ
ルハロゲン化物、ビニルエーテル類、ポリ酢酸ビニル等
のビニルエステル類、ビニルケトン頻等のビニル化合物
類の単独重合体および共重合体、ポリスチレン、ポリα
―メチルスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体
もしくは共重合体、アクリル酸エステル、ポリメタクリ
ル酸メチル等のメタクリル酸エステルの単独重合体およ
び共重合体、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミドの
単独重合体および共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体およびそのケン化物、エチレン−アクリル酸、エチ
レン−メタクリル酸等の共重合体、エチレン−α−オレ
フィン共重合体エラストマー、イソプレン、スチレン−
ブタジエン等の合成ゴム、塩化ゴム、天然ゴム等のゴム
類、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリオレフ
ィン、ポリスルホン、ポリアセタール、ポリフェニレン
オキシド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂類等の
ポリマー、および、「J.Imaging Sci.,
Ρ59−64,30(2),(1986)(Frech
etら)」や「Polymers in Electr
onics(Symposium Series,Pl
l,242,T.Davidson,Ed.,ACS
Washington,DC(1984)(lto,W
illson)」、「Microelectronic
Engineering,P3−10,13(199
1)(E.Reichmanis,L.F.Thomp
son)」に記載のいわゆる「化学増幅系」に使用され
るバインダー等が挙げられるがこれに限定されるもので
はない。これらのバインダーは単独で用いてもよく、2
種以上を混合して用いてもよい。
【0044】(添加剤)光熱変換層を混合膜として形成
する場合には、光熱変換剤とバインダー以外に添加剤を
用いることが出来る。これらの添加剤は、光熱変換層の
機械的強度を向上させたり、レーザー記録感度を向上さ
せたり、光熱変換層中の分散物の分散性を向上させた
り、下塗り層や中間層およびシリコーンゴム層等の隣接
する層に対する密着性を向上させるなど種、の目的に応
じて添加される。
【0045】例えば、光熱変換層の機械的強度を向上さ
せるために、光熱変換層を硬化させる各種の架橋剤を添
加してもよい。この架橋剤としては、例えば、多官能イ
ソシアネート化合物もしくは多官能エポキシ化合物等
と、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系
化合物、アミン系化合物、尿素系化合物等との組合せが
挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明
に用いられる架橋剤の添加量は、全光熱変換層組成物に
対して1〜50重量%であり、好ましくは、2〜20重
量%である。添加量が1重量%以下では架橋の効果が無
く、50重量%以上では光熱変換層の膜強度が強くなり
すぎて、シリコーンゴム層に外圧がかかったときのショ
ックアブソーバー効果が無くなり、耐傷性が低下する。
【0046】また、光熱変換層には、レーザー記録感度
を向上させるために、加熱により分解しガスを発生する
公知の化合物を添加することができる。この場合には光
熱変換層の急激な体積膨張によりレーザー記録感度が向
上でき、これらの添加剤の例としては、ジニチロペンタ
メチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−
ジニトロソテレフタルアミド、p−トルエンスルホニル
ヒドラジド、4、4−オキンビス(ベンゼンスルホニル
ヒドラジド)、ジアミドベンゼン等を使用することがで
きる。また、レーザー記録感度を向上させるために、各
種のヨードニウム塩、スルフォニウム塩、フォスフォニ
ウムトシレート、オキシムスルフォネート、ジカルボジ
イミドスルフォネート、トリアジン等、加熱により分解
し酸性化合物を生成する熱酸発生剤の公知の化合物を添
加剤として使用することができる。これらを化学増幅系
バインダーと併用することにより、光熱変換層の構成物
質となる化学増幅系バインダーの分解温度を大きく低下
させ、結果としてレーザー記録感度を向上させることが
可能である。
【0047】光熱変換剤にカーボンブラック等の顔料を
用いた場合には、顔料の分散度の向上のため、各種の顔
料分散剤を添加剤として使用することができる。本発明
に用いられる顔料分散剤の添加量は、光熱変換剤に対し
て1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%
である。添加量が1重量%以下では顔料分散度向上の効
果が少なく版材感度が低くなり、70重量%以上では隣
接する層との密着力が低下する。隣接する層に対する密
着性を向上させるために、シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤等の公知の密着向上剤や、ポリウ
レタン系樹脂、ビニル基含有アクリレート系樹脂、水酸
基含有アクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、セルロース誘導体、ゼラチン等、隣接する層
に対する密着性の良好なバインダーを添加してもよい。
【0048】本発明に用いられる前記の密着向上剤や密
着向上バインダーの添加量は、全光熱変換層組成物に対
して5〜70重量%であり、好ましくは、10〜50重
量%である。添加量が5重量%以下では隣接する層との
密着性向上の効果が少なく、70重量%以上では版材感
度が低下する。塗布性を改良するために、フッ素系界面
活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加剤
として使用することができる。
【0049】光熱変換層に用いられる界面活性剤の添加
量は、全光熱変換層組成物に対して0.01〜10重量
%であり、好ましくは、0.05〜1重量%である。添
加量が0.01重量%以下では塗布性が悪く均一な光熱
変換層の形成が困難となり、10重量%以上では隣接す
る層との密着力が低下する。この他にも必要に応じて、
各種の添加剤を使用することができる。本発明に用いら
れる光熱変換層の膜厚は、単独膜の場合には蒸着法およ
びスパッタリング法等にて薄膜が形成でき、50〜10
00Å、好ましくは100〜800Åである。混合膜は
塗布により形成され、0.05〜10μm、好ましくは
0.1〜5μmである。光熱変換層の膜厚が薄すぎる
と、十分な光学濃度が得られずレーザー記録感度が低下
し、均一な膜形成が困難となり画質が劣化する。また、
膜厚が厚すぎると、レーザー記録感度の低下、及び製造
コストの点から好ましくない。
【0050】[シリコーンゴム層]本発明において用い
られるインキ反撥性のシリコーンゴム層は、光熱変換層
上にシリコーンゴムの皮膜を反応形成させることによっ
て形成される。具体的には、縮合型シリコーンを架橋剤
を用いて硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により
付加重合させて形成することが好ましい。縮合型シリコ
ーンを用いる場合には、(a)ジオルガノポリシロキサ
ン100重量部に対して、(b)縮合型架橋剤を3〜7
0重量部、(c)触媒0.01〜40重量部を加えた組
成物を用いるのが好適である。前記成分(a)のジオル
ガノポリシロキサンは、下記一般式で示されるような繰
り返し単位を有するポリマーである。
【0051】
【化1】
【0052】式中、RlおよびR2は炭素数1〜10のア
ルキル基、ビニル基、アリール基であり、またその他の
適当な置換基を有していてもよい。一般的にはRlおよ
びR2の60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビ
ニル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好まし
い。このようなジオルガノポリシロキサンは両末端に水
酸基を有するものを用いるのが好ましい。また、前記成
分(a)は、数平均分子量が3,000〜600,00
0であり、より好ましくは、5,000〜100,00
0である。成分(b)の架橋剤は縮合型のものであれば
いずれであってもよいが、次の一般式で示されるような
ものが好ましい。
【0053】
【化2】
【0054】ここでRlは先に説明したRlと同じ意味で
あり、Xは、Cl、Br,I等のハロゲン原子、水素原
子、水酸基、あるいは、以下に示す如き有機置換基を表
す。
【0055】
【化3】
【0056】式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基
および炭素数6〜20のアリール基を、R4およびR5
炭素数1〜10のアルキル基を示す。成分(c)として
は、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン等の金属カル
ボン酸塩、例えば、ラウリン酸ジブチル、オクチル酸
鉛、ナフテン酸鉛等、あるいは塩化白金酸等のような公
知の触媒が挙げられる。
【0057】付加型シリコーンを用いる場合には、
(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキ
サン100重量部に対して、(e)オルガノハイドロジ
ェンポリシロキサン0.1〜25重量部、および(f)
付加触媒0.00001〜1重量部を添加した組成物を
用いることが好ましい。上記成分(d)の付加反応性官
能基を有するジオルガノポリシロキサンとは、1分子中
にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より好まし
くはビニル基)を少なくとも2個有するオルガノポリシ
ロキサンで、アルケニル基は分子量末端、中間いずれに
あってもよく、アルケニル基以外の有機基として、置換
もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、アリー
ル基を有していてもよい。また、成分(d)には水酸基
を微量有することも任意である。成分(d)は、数平均
分子量が3,000〜600,000であり、より好ま
しくは、5,000〜150,000である。
【0058】成分(e)としては、両末端に水素基を有
するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシ
ロキサン、両末端メチル基の(メチルシロキサン)−
(ジメチルシロキサン)共重合体、環状ポリメチルシロ
キサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキ
サン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサ
ン)−(メチルシロキサン)共重合体等が例示される。
成分(f)としては、公知の重合触媒の中から任意に選
ばれるが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、
塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金等が例示さ
れる。
【0059】これらの組成物においてシリコーンゴム層
の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビ
ニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロ
キサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセト
ン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル等の架橋抑制剤
を添加することも可能である。
【0060】本発明に用いられるシリコーンゴム層は、
これらの組成物を溶剤を用いて塗布、乾燥することによ
り光熱変換層上に積層できる。このとき、塗布後の溶剤
乾燥時にシリコーンゴム層組成物が縮合反応もしくは付
加反応することで皮膜を形成するので、乾燥温度が低い
とシリコーンゴムの硬化性が低下し、硬化不良となって
しまう。このため、シリコーンゴム層の塗布後の乾燥温
度は80°C以上が好ましく、100℃以上がより好ま
しい。なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリ
カ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の微粉末、
シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤や
アルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や光重合開
始剤を添加してもよい。
【0061】本発明におけるインキ反撥性のシリコーン
ゴム層の膜厚は、乾燥膜厚として0.5〜5g/m2
好ましく、より好ましくは1〜3g/m2である。膜厚
が0.5g/m2より小さいとインキ反撥性が低下し、
傷が入りやすい等の問題点があり、5g/m2より大き
い場合、画像再現性が悪くなる。また、本発明の水なし
平版原版において、シリコーンゴム層の上に、耐刷性、
耐傷性、画像再現性および汚れ性等の向上の目的で、更
に種々のシリコーンゴム層を塗工してもよい。
【0062】[カバーフィルム]本発明の水なし平版原
版のシリコーンゴム層は柔軟で傷が付きやすいため、表
面保護の目的で、シリコーンゴム層上に透明なフィル
ム、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン
ナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、ポリビニルアルコール、セロファン等をラミ
ネートしたり、ポリマーのコーティングを施すことによ
りカバーフィルムを形成してもよい。これらのフィルム
は延伸して用いてもよい。また、表面にマット加工を施
してもよいが、画像再現性の観点から、マット加工の無
いものの方が本発明では好ましい。
【0063】[画像形成] (露光)本発明において、水なし平版原版を露光するの
に使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が剥離除去
されるのに十分な密着力の低下が起きるのに必要な露光
量を与えるものであれは特に制限はなく、Arレーザ
ー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレ
ーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等
が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザ
ーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、
半導体レーザーおよび半導体励起の固体レーザー(YA
Cレーザー等)が好適に使用される。これらのレーザー
の記録波長は赤外線の波長領域であり、800nmから
1100mmの発振波長を利用することが多い。また、
特開平6−186750号公報に記載されているイメー
ジング装置を用いて露光することも可能である。前記の
如くシリコーンゴム層の表面保護のためのフィルムを設
ける場合には、レーザー露光する際には光透適性のフィ
ルムであれはそのまま露光してもよいし、剥がした後に
露光してもよい。
【0064】(現像)本発明の水なし平版原版を製版す
る際に用いられる現像液としては、水なし平版原版の現
像液として公知のもの、例えば、炭化水素類、極性溶
媒、水およびこれらの組合せ等、が使用できるが、安全
性の観点から、水または水を主成分とする有機溶剤の水
溶液を用いることが好ましく、安全性および引火性等を
考慮すると有機溶剤の濃度は40重量%未満が望まし
い。用い得る炭化水素類としては、脂肪族炭化水素類
〔具体的には、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ガソリ
ン、灯油、市販の溶剤である“アイソパーE、H、G”
(エッソ化学社製)等〕、芳香族炭化水素類(例えば、
トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素
(トリクレン等)等が挙げられる。また、極性溶媒とし
ては、アルコール類(具体的には、例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベ
ンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、2−エトキンエタノール、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシ
ルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレング
リコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコー
ル、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(例え
ば、アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類
(例えば、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエ
チレングリコールアセテート、ジエチルフタレート
等)、その他、トリエチルホスフェート、トリクレジル
ホスフェート等が挙げられる。また、単に水道水、純
水、蒸留水等の水そのものを用いることもできる。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上、例えば、炭化水素
類に水を添加したり、極性溶媒に水を添加したり、炭化
水素類と極性溶媒を組み合わせて、用いることもでき
る。
【0065】更に、上記炭化水素類や極性溶媒のうち水
に対する親和性の低いものについては界面活性剤等を添
加して水に対する溶解性を向上させてもよい。また、界
面活性剤とともにアルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウ
ム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)を添加
することもできる。現像は、例えば、上記のような現像
液を含む現像用パッドで版面をこすったり、現像液を版
面に注いだ後に水中にて現像ブラシでこする等、公知の
方法で行うことができる。現像液温は任意の温度とする
ことができるが、好ましくは10°C〜50°Cであ
る。これにより画像部のインキ反撥層であるシリコーン
ゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。以上
のような現像処理、又はそれに続く水洗、乾燥処理は、
自動処理機で行うこともできる。このような自動処理機
の好ましいものは、特開平2−220061号公報に記
載されている。
【0066】また、本発明の水なし平版原版は接着層を
シリコーンゴム層表面に張り合わせた後に、接着層を剥
離することにより現像することも可能である。接着層
は、シリコーンゴム層の表面に密着できる公知のものが
いずれも使用できる。これらの接着層を可撓性支持体に
設けたものは、例えば、住友スリーエム社の「スコッチ
テープ#851A」の商品名で市販されている。また、
このように処理された刷版を積み重ねて保管する場合に
は、刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくこと
が好ましい。
【0067】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。 [実施例1〜6、比較例1、2] (下塗り層の形成)厚さ188μmの各種表面処理を施
していないポリエステルフィルム「E−5001」(東
洋紡績社製)上に、下記の塗布液をワイヤーバーコート
法により塗布し、180°Cで30秒間乾燥して乾燥膜
厚0.2μmの下塗り層を形成した。
【0068】 (下塗り層塗布液) ・AA−64(日本NSC(株)製ポリエステル系 ラテックス、固形分30重量%) 5重量部 ・表1に記載の金属酸化物粒子水分散物(17重量%) 15重量部 ・エマルゲン911(花王(株)製ポリオキシエチレン アルキルフェニルエーテル、10重量%水溶液) 2.0重量部 ・蒸留水 80重量部
【0069】(中間層の形成)下記の塗布液を上記下塗
り層上に、ワイヤーバーコート法により塗布し、170
°Cで30秒間乾燥して乾燥膜厚0.05μmの下塗り
層を形成した。 (中間層塗布液) ・AA−64(日本NSC(株)製ポリエステル系 ラテックス、固形分30重量%) 3.5重量部 ・MX−300(綜研化学(株)製ポリメタクリル 樹脂マット剤、平均粒径:3.0μm) 0.03重量部 ・エマルゲン911(花王(株)製ポリオキシエチレン アルキルフェニルエーテル水溶液、10重量%) 1.0重量部 ・蒸留水 95重量部
【0070】(光熱変換層の形成)下記の混合液をガラ
スビーズとともにペイントシェーカーにて30分間撹拌
しカーボンブラックを分散させ、ガラスビーズをろ別し
た後、フッ素系界面活性剤メガファックF177(大日
本インキ化学工業(株)製)を0.005g添加、撹拌
し、光熱変換層塗布液を作成した。この塗布液を、上記
中間層上に乾燥膜厚1μmとなるように塗布し、80°
Cで2分、加熱乾燥して光熱変換層を形成した。 (カーボンブラック混合液) ・ポリウレタン 4.0重量部 (コートロンMW−060、三洋化成工業(株)製) ・カーボンブラック(MA−220 三菱化学(株)製) 1.0重量部 ・ソルスパースS24000R(ICI社製) 0.2重量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 100.0重量部
【0071】(シリコーンゴム層の形成)下記の塗布液
を前記光熱交換層上に塗布し、100℃で1分、加熱乾
燥することにより、乾燥膜厚2μmの付加型シリコーン
ゴム層を形成した。 (シリコーンゴム層塗布液) ・α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン 9.0重量部 (重合度1500) ・(CH33SiO(SiH(CH3)O)8−Si(CH33 0.2重量部 ・オレフィン−塩化白金酸 0.1重量部 ・制御剤[HC≡C−C(CH32−0−Si(CH33] 0.2重量部 ・アイソパーG(エクソン化学(株)製) 120.0重量部
【0072】上記のようにして得られたシリコーンゴム
層の表面に6μmのポリエチレンテレフタレートをラミ
ネートし、実施例1〜6、比較例1、2の水なし平版原
版を得た。
【0073】(性能評価:密着性)得られた本発明の実
施例の水なし平版原版、及び比較例の水なし平版原版の
カバーフィルムを剥離した後、そのシリコーン層上に、
シリコーン系粘着テープである住友スリーエム社の「ス
コッチテープ#851A」を貼り付けて、20cm/秒
のスピードで180°剥離し、原版の状態、及びシリコ
ーン系粘着テープへの感材の転写状態を目視で観察し
て、プラスチックフィルム支持体と最下層である下塗り
層との密着性を、以下の基準に従って評価した。
【0074】 A:脱膜がまったくない B:ごく一部がシリコーン系粘着テープへ転写 C:半分以上がシリコーン系粘着テープへ転写 D:全てがシリコーン系粘着テープへ転写 結果を表1に示す
【0075】(性能評価:粒子の脱落性)また、支持体
上に下塗り層を塗設し、中間層、光熱変換層、シリコー
ン層を形成する前のフィルムを25°C65%RH雰囲
気下で一日間保存した後、前記フィルムを20cm巾の
長尺フィルムに加工し、模擬装置であるハンドリング機
を用いて、前記長尺フィルムをラインスピード50m/
分で、かつ、ハンドリング機中のラップ角が180°の
駆動ロール(フラットロール)の周速が47m/分にな
る状態で5分間搬送した後、駆動ロール表面に付着した
粉状物の量を目視により、以下の基準に従って評価し
た。
【0076】 A:粉状物の付着が全く認められない B:粉状物の付着がほとんど認められない C:粉状物の付着が少しだけ認められる D:粉状物の付着がはっきりと認められる 粉状物の付着が少ないほど製造時における金属酸化物微
粒子の脱落防止性が良好であると判断する。結果を表1
に示す。
【0077】(性能評価:耐傷性、画像形成性)さら
に、実施例1の水なし平版原版を波長830nm(ビー
ム径28μm(1/e2)、出力400mWの半導体レ
ーザーを用いて、書き込み速度3.5m/秒で書き込み
を行った。その後、界面活性剤水溶液を含ませた現像用
パッドで版面を拭き、レーザー照射部のシリコーンゴム
層を除去したところ、実施例1では解像力が良好でシャ
ープなエッジの水なし平版印刷版が形成された。 ま
た、この記録条件にて、200線の網点形成を行ったと
ころ網点面積率1%から99%までが版上に形成でき、
画像形成性が良好であることがわかった。また、得られ
た水なし平版印刷版を、印刷機を用いて印刷したところ
10万枚の汚れのない良好な印刷物が得られた。
【0078】
【表1】
【0079】表1から、金属酸化物微粒子を含有する下
塗り層を形成した本発明の実施例1〜実施例6の水なし
平版原版は、プラスチックフィルム支持体と下塗り層と
の密着性が充分であり、かつ製造時における金属酸化物
粒子の脱落が少ないことが分かる。一方、金属酸化物微
粒子を含有しない下塗り層を設けた比較例1及び本発明
の範囲外である酸化チタン微粒子を含有した下塗り層を
設けた比較例2では下塗り層形成による充分な密着性向
上効果は認められなかった。
【0080】[実施例7〜9]上記実施例2で用いた下
塗り層の代わりに、表2に記載に用に金属酸化物の添加
量を変化させた下記の下塗り層を用い、かつ中間層を塗
設しなかった以外は、実施例2と同様にして作成し、実
施例7〜9の水なし平版原版を得た。これらの水なし平
版原版を実施例2と同様に評価し、表2のような結果を
得た。 (下塗り層塗布液) ・RA−85(日本NSC(株)製ポリウレタン系 ラテックス、固形分40重量%) 5重量部 ・酸化スズ−酸化アンチモン水分散物 表2に記載の添加量 (平均粒径:0.lμm、17重量%) ・スノーテックスC(日産化学(株)製コロイダルシリカ) 1重量部 ・サンデッドBL(三洋化成工業(株)製アルキルスルホ ン酸ナトリウム塩水溶液、44重量%) 0.6重量部 ・蒸留水 80重量部
【0081】
【表2】
【0082】表2の結果より、金属酸化物微粒子の含有
量を変更しても、本発明の水なし平版原版は、プラスチ
ックフィルム支持体と下塗り層との密着性が充分であ
り、かつ製造時における金属酸化物粒子の脱落が少ない
ことが分かる。
【0083】[実施例10]上記実施例2の下塗り層、
中間層、光熱変換層の代わりに下記の下塗り層、中間
層、光熱変換層を用いた以外は、実施例2と同様にして
作成し、実施例10の水なし平版原版を得た。 (下塗り層塗布液) ・ジュリマーET−410(日本純薬(株)製アクリル樹脂水分散物、 固形分20重量%) 19重量部 ・酸化スズ−酸化アンチモン水分散物 36重量部 (平均粒径:0.lμm、17重量%) ・スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製 メラミン化合物、有効成分濃度180重量%) 0.2重量部 ・サンデッドBL(三洋化成工業(株)製アルキル スルホン酸ナトリウム塩水溶液、44重量%) 0.6重量部 ・MX−500(綜研化学(株)製ポリメタクリル 樹脂マット剤、平均粒径:5.0μm) 0.14重量部 ・蒸留水 45重量部
【0084】 (中間層塗布液) ・ケミパールS−120(三井化学(株)製ポリオレフィン 系樹脂、固形分27重量%) 6.2重量部 ・スノーテックスC(日産化学(株)製コロイダルシリカ) 1.2重量部 ・サンデッドBL(三洋化成工業(株)製アルキルスルホン 酸ナトリウム塩水溶液、44重量%) 0.6重量部 ・デナコールEX−614B(ナガセ化成(株)製 エポキシ化合物、有効成分濃度:100重量%) 0.6重量部 ・蒸留水 90重量部
【0085】 (光熱変換層塗布液) ・ポリウレタン(コートロンMW−060、三洋化成工業(株)製) 4.0重量部 ・赤外線吸収剤(NK−3508、日本感光色素研究所(株)製) 1.0重量部 ・フッ素系界面活性剤(メガファックF177、 大日本インキ化学工業(株)製) 0.005重量部 ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 100.0重量部
【0086】[実施例11]上記実施例10の光熱変換
層の代わりに、5×10-5Torrの条件でチタンをO
D=0.5(830nm)となるように蒸着して形成し
た以外は、実施例2と同様にして作成し、実施例11の
水なし平版原版を得た。 [実施例12]上記実施例2の下塗り層、中間層の形成
を、支持体の両面に行った以外は、実施例2と同様にし
て作成し、実施例12の水なし平版原版を得た。
【0087】[実施例13]上記実施例2の支持体の代
わりに、BaSO4のフィラーを含有する厚さ178μ
mの白色ポリエステルフィルム「Melinex32
9」(DuPont(株)製)を用いた以外は、実施例
2と同様にして作成し、実施例13の水なし平版原版を
得た。 [実施例14]上記実施例2の支持体の代わりに、易接
着処理を施した厚さ188μmの空洞含有ポリエステル
フィルム「クリスパーG2323」(東洋紡績(株)
製)を用いた以外は、実施例2と同様にして作成し、実
施例14の水なし平版原版を得た。
【0088】[実施例15]上記実施例2のシリコーン
層の代わりに、下記のシリコーン層を塗設した以外は、
実施例2と同様にして作成し、実施例15の水なし平版
原版を得た。 (シリコーン層塗布液) ・両末端に水酸基を有するジメチルポリシロキサン (重合度700) 9重量部 ・メチルトリアセトキシシラン 0.5重量部 ・ジブチル錫ジオクタネート 0.2重量部 ・アイソパーG(エッソ化学(株)製) 160重量部 実施例10〜15の水なし平版原版を実施例2と同様に
評価したところ、支持体/下塗り層密着性、金属酸化物
粒子の脱落とも全ての試料で良好なAランクの結果が得
られた。
【0089】
【発明の効果】本発明の湿し水不要平版印刷版原版は、
プラスチックフィルム支持体を用いた場合においても、
支持体と支持体に隣接する層との強固な密着性が達成で
き、製造工程、製版工程、印刷工程等においてシリコー
ンゴム層などの感材層が脱落せず、画像形成性、耐刷性
に優れるという効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA12 AA14 AB04 AC08 AD01 AD03 CC08 CC20 DA19 DA35 DA40 FA03 FA17 2H096 AA13 BA16 CA05 CA20 EA04 GA08 2H114 AA05 AA24 AA28 AA30 DA04 DA05 DA08 DA43 DA46 DA49 DA50 DA56 DA57 DA60 DA61 DA75 EA01 EA02 FA10 FA16

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルム支持体上に、Zn
    O、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、
    MoO3、V25及びこれらの複合酸化物からなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子を含有する
    下塗り層、光熱変換層、及び、シリコーンゴム層を順次
    積層してなる湿し水不要平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物微粒子が、金属酸化物と
    ともに異種原子を含むことを特徴とする請求項1に記載
    の湿し水不要平版印刷版原版。
  3. 【請求項3】 前記金属酸化物微粒子が金属酸化物Sn
    2に、異種原子であるSb、Nb、ハロゲン元素から
    なる群より選ばれる少なくとも1種をドープしたもので
    あることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の湿
    し水不要平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】 前記下塗り層が、アクリル樹脂、ビニル
    樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂からな
    る群より選ばれる少なくとも1種の水溶性又は水分散性
    ポリマーを含有することを特徴とする請求項1乃至請求
    項3のいずれか1項に記載の湿し水不要平版印刷版原
    版。
  5. 【請求項5】 前記下塗り層と光熱変換層との間に少な
    くとも1層の中間層を有することを特徴とする請求項1
    乃至請求項4のいずれか1項に記載の湿し水不要平版印
    刷版原版。
  6. 【請求項6】 前記中間層が、アクリル樹脂、ビニル樹
    脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及びポリオ
    レフィン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    水溶性又は水分散性ポリマーを含有することを特徴とす
    る請求項5に記載の湿し水不要平版印刷版原版。
  7. 【請求項7】 前記下塗り層及び/又は中間層が、平均
    粒径0.5〜20μmのマット剤を含有することを特徴
    とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の湿
    し水不要平版印刷版原版。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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