JP2004338305A - 平版印刷版の製版方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】湿し水不要平版印刷版原版をロール形態にして印刷機版胴内に供給し、その印刷表面が表側になるように版胴上に装着し、その新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する印刷態様で、クリーニング性及び4色レジ見当性の問題を生じない平版印刷版の製版方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版を、a)印刷機上で画像様にレーザー照射する工程及びb)レーザー照射部のシリコーンゴム層をクリーニング部材で擦ることにより除去する工程を含む処理を行い平版印刷版を製版する方法であって、クリーニング時の該シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を0.36〜0.7とすることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザー光によるヒートモード記録によって画像形成可能な、湿し水を必要としない印刷ができる高感度な湿し水不要平版印刷版原版(以下、水なし平版印刷版原版と称す)からの平版印刷版の製版方法に関し、特に、ロール形態にして印刷機版胴内に装着し、前記水なし平版印刷版原版の印刷表面が表側になるように版胴上に供給し、前記水なし平版印刷版原版の新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する態様において、クリーニング性に優れ、4色レジ見当不良の問題を生じない、水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の湿し水を必要とする印刷方式は湿し水とインキの微妙なバランスのコントロールが難しく、インキの乳化を起こしたり、湿し水にインキが混ざったりして、インキ濃度不良や地汚れを発生し、損紙の原因となるなど、大きな問題点を有していた。それに対して、水なし平版印刷版原版は湿し水を必要としないために数多くの利点を有する。
一方、近年プリプレスシステムやイメージセッター、レーザープリンターなどの出力システムの急激な進歩によって、印刷画像をデジタルデータ化し、コンピューター・トゥ・プレート、コンピューター・トゥ・シリンダー等の新しい製版方法により、印刷版を得る方法が提案されるようになり、これらの印刷システムのための新しいタイプの印刷材料が望まれ、開発が進められている。
【0003】
レーザー書き込みにより水なし平版印刷版原版から平版印刷版を形成できる例としては、カーボンブラック等のレーザー光吸収剤およびバインダーを含有した層または金属薄膜層からなる光を熱に変換する層(以下、光熱変換層と称す)上にインキ反撥性のシリコーンゴム層を設けた印刷原版を作製し、これにレーザー照射することにより照射部のシリコーンゴム層が除去されてインク付着性領域(画像部)となり、未照射のシリコーンゴム層残存領域が撥インク領域(非画像部)となって、水なし印刷が可能となるものが挙げられる。
このような水なし平版印刷版原版は、製造コストが安価であり、かつ、レーザー照射部の光熱変換層がアブレーションすることを利用して画像形成しているため、発生した気体がレーザー照射部のシリコーンゴム層を上に押し上げて、その後の現像におけるレーザー照射部のシリコーンゴム層の除去(以下、現像性と称す)が効率的に行えるというメリットを有している。
【0004】
また、このような水なし平版印刷版原版を、ロール形態にして印刷機版胴内に装着し、前記水なし平版印刷版原版の印刷表面が表側になるように版胴上に供給し、前記水なし平版印刷版原版の新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する態様が開示されている(例えば、特許文献1。)。
【0005】
上記のようなレーザー書き込みにより直接インク反発層を有する平版印刷版を作成する方法は以下の例が知られている。
シリコーンゴム表面層を有する版材にYAGレーザー等を照射した後、無溶媒のドライ条件下で擦りとるか、シリコーンゴムを膨潤させない溶剤を与えながら擦りにより除去して水なし版を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、レーザー露光部のシリコーンゴムの擦りによる物理的除去をドライ条件下で行うと、露光部より除去したシリコーンゴムのカスが、非画像部のシリコーンゴム層、あるいは、シリコーンゴム層が除去された画像部上に付着し易く、更に非画像部のシリコーンゴム層に傷が付き易く、この方法により形成した水なし平版を用いて、印刷を行った場合、非画像部の傷汚れ、画像部のすぬけ等の不都合を生じるという問題がある。
【0006】
シリコーンゴムのカスの版面への付着に関しては、レーザー露光部のシリコーンゴムの擦りによる物理的除去を液体の存在下で行うことにより良化することが知られており、シリコーンゴム表面層を有する水なし平版印刷版原版に、赤外光レーザーであるYAGレーザー等を照射し、溶剤(ナフサ)処理によりレーザー照射部を除去して平版を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、前記液体として、シリコーンゴムを膨潤させる液体(例えば、ナフサのような炭化水素系溶剤を主成分とする液体)を用いた場合、シリコーンゴムの膜強度が低下するため、非画像部のシリコーンゴム層に、更に傷が付き易くなるという問題がある。
【0007】
このため、擦り処理を行う際に用いる液体としては、シリコーンゴム層を膨潤させない液体を用いることが適している。前記シリコーンゴム層を膨潤させない液体としては、水、アルコール類等の極性溶剤が挙げられるが、該極性溶剤単独の状態では、前記シリコーンゴム層に対する濡れ性が低いため、版面へのシリコーンゴムのカスの付着を十分に防止できない。前記極性溶剤の前記シリコーンゴム層に対する濡れ性を向上するためには、前記極性溶剤に界面活性剤を添加することが有効である。しかしながら、レーザー照射部のシリコーンゴム層をクリーニング部材で擦ることにより除去する工程でのクリーニング性(除去性能)と、4色レジ見当性(印刷性能)とが両立しない問題があり、その改善が強く望まれている。
【0008】
【特許文献1】
国際公開第90/02045号パンフレット
【特許文献2】
欧州特許第0573091号明細書
【特許文献3】
特開昭50−158405号公報
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記のアブレーションを利用して画像形成を行う水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法における問題を解決することであり、レーザー照射部のシリコーンゴム層のクリーニング性と、4色レジ見当性とを両立する平版印刷版の製版方法を提供することである。
特に、ロール形態にして印刷機版胴内に供給し、前記水なし平版印刷版原版の印刷表面が表側になるように版胴上に装着し、前記水なし平版印刷版原版の新しい面が版胴上の印刷領域に位置するようにスプールし、前記版胴上で画像様にレーザー走査し、レーザー照射部のシリコーンゴム層を除去した後に印刷する態様において、クリーニング性及び4色レジ見当不良の問題を生じない平版印刷版の製版方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、水なし平版印刷版原版のレーザー照射部のシリコーンゴム層をクリーニング部材で擦ることにより除去する工程での該シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を特定の範囲に規定することが重要であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
(1)支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる水なし平版印刷版原版を、a)印刷機上で画像様にレーザー照射する工程及びb)レーザー照射部のシリコーンゴム層をクリーニング部材で擦ることにより除去する工程を含む処理を行い平版印刷版を製版する方法であって、クリーニング時の該シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を0.36〜0.7とすることを特徴とする平版印刷版の製版方法。
【0010】
以下に、本発明の好ましい態様を挙げる。
(2)前記クリーニング部材が液体で湿らされていることを特徴とする前記(1)記載の製版方法。
(3)前記液体が界面活性剤を含む水溶液であることを特徴とする前記(2)記載の製版方法。
(4)前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤およびアニオン性界面活性剤から選ばれる少なくともいずれかであることを特徴とする前記(3)記載の製版方法。
(5)前記クリーニング部材が不織布であることを特徴とする前記(1)記載の製版方法。
(6)前記不織布がエンボス加工されていることを特徴とする前記(5)記載の製版方法。
【0011】
本発明の平版印刷版の製版方法は、ロール形態で印刷機版胴内に装着し、画像形成表面が表側になるように版胴上に供給し、印刷機上でデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光による画像の走査露光による像パターンの形成および平版印刷版の製版を行い、その同じ印刷機でその平版印刷版を用いて印刷する態様において、クリーニング性及び4色レジ見当不良の問題を生じない印刷が可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の平版印刷版の製版方法を詳しく説明する。
本発明の平版印刷版の製版方法は、支持体上に、少なくとも、レーザー光を熱に変換しその熱により上層の剥離を可能とする光熱変換層と、インク反発性の表面を有するシリコーンゴム層とをこの順に支持体上に積層してなる水なし平版印刷版原版に対し、レーザー露光した後、界面活性剤等を含有する水溶液の存在下、前記シリコーンゴム層の表面をクリーニング部材を用いて擦り、該シリコーンゴム層におけるレーザー露光部を物理的に除去する方法であって、クリーニング時の該シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を0.36〜0.7とすることを特徴とする。
【0013】
該動摩擦係数は0.37〜0.6の範囲が好ましく、0.38〜0.45の範囲がより好ましい。シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数が0.36未満では、レーザー露光部のシリコーンゴム層の除去が困難となり、0.7を超えて大きくなると、クリーニング時に版に加わる力が大きくなり版胴上でレーザー露光後の版が動きやすくなるので、共に不適である。
【0014】
クリーニング時のシリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を0.36〜0.7の範囲にする手法としては、特に限定されないが、クリーニング部材に適当な液体を含浸させる手法やクリーニング部材として適当な材質のものを選択する手法、クリーニング部材の表面を適当な形状にする手法等が挙げられる。
【0015】
クリーニング部材に適当な液体を含浸させる場合には(以下、この擦り処理の際に用いる液体を「処理液」とも称する。)、該処理液が版材のシリコーンゴム層を膨潤させるものを用いると該シリコーンゴム層の膜強度が低下するため、該シリコーンゴム層の表面が傷が付き易くなる。このため、該処理液としては、該シリコーンゴム層を膨潤させない液体を用いることが好ましい。
【0016】
前記シリコーンゴム層を膨潤させない溶剤としては、水、アルコール類等の極性溶剤が挙げられる。但し前記極性溶剤を用いても、該シリコーンゴム層に対する濡れ性が低い場合には、レーザー露光部に対応する、除去された該シリコーンゴム層のカスが版面に再付着することを十分に防止するできないことがある。
その場合には、前記処理液の前記シリコーンゴム層に対する濡れ性を向上させるために、界面活性剤を添加したものを前記処理液として好適に使用することができる。前記界面活性剤を含有する水溶液を前記処理液として使用すると、擦り処理における非画像部に対応する前記シリコーンゴム層の表面の傷付き難さ、レーザー露光部に対応する、除去された前記シリコーンゴム層のカスの版面への再付着防止及び安全性の点で有利である。
【0017】
前記界面活性剤を含有する水溶液を前記処理液として使用する場合、前記クリーニング部材(擦り部材とも称する)と前記版材面との間での泡の発生、前記処理液を収容するタンク内での泡の発生、前記擦り部材及び前記版面に前記処理液を供給するための送液ポンプ中への泡の混入によるポンプへの負荷、等の起泡による種々の問題が回避する観点からは、前記処理液の中でも起泡の少ないものが好ましい。
【0018】
界面活性剤としては、特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0019】
前記処理液に使用することができるノニオン性界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型の高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー等や、多価アルコール型のグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙げられる。これらノニオン性界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0020】
本発明においては、これらの中でも、ソルビトール及び/又はソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ジメチルシロキサン−エチレンオキサイドブロックコポリマー、ジメチルシロキサン−(プロピレンオキサイド−エチレンオキサイド)ブロックコポリマー、多価アルコールの脂肪酸エステルがより好ましい。
【0021】
前記ノニオン性界面活性剤のHLB(Hydorophile−Lipophile Balance)値としては、水に対する安定な溶解性あるいは混濁性及び前記シリコーンゴム層に対する濡れ性を良好にする観点から、6〜15であることが好ましく、6〜13であることがより好ましく、6〜11であることが特に好ましい。
【0022】
前記処理液に使用することができるアニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホコハク酸塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム類、N−アルキルスルホコハク酸モノアミド二ナトリウム塩類、石油スルホン酸塩類、硫酸化ヒマシ油、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸エステル塩類、スチレン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、オレフィン−無水マレイン酸共重合物の部分ケン化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類等が挙げられる。
【0023】
より詳細には、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、tert−オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
これらの中でもジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類及びアルキルナフタレンスルホン酸塩類が特に好ましく用いられる。
【0024】
前記処理液中に含まれる界面活性剤の比率としては、0.01〜0.20重量%が好ましく、0.02〜0.18重量%がより好ましく、0.04〜0.15重量%が特に好ましい。前記界面活性剤の比率が、0.01重量%以上であることにより、前記シリコーンゴム層の表面に対する前記処理液の十分な濡れ性が得られ、除去されたレーザー露光部に対応する前記シリコーンゴム層のカスの版面への再付着を防止することができる。一方、0.20重量%以下にすることにより、前記水溶液の安定性の悪化や起泡による問題が生じない。
【0025】
なお、前記クリーニング処理液の前記シリコーンゴム層に対する親和性(濡れ性)を向上させる目的で、前記処理液中に下記溶剤を含有させることもできる。前記溶剤としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、”アイソパーE、H、G”(エッソ化学(株)製)あるいはガソリン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアセテート、ジエチルフタレート等)、その他(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート等)が挙げられる。
【0026】
また、さらなる抑泡の目的で、前記処理液中に公知の消泡剤を添加することもできる。前記消泡剤としては、特に、シリコーン系消泡剤が好ましい。更に、前記処理液中に、アルカリ剤(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸化ナトリウム等)や防腐剤(例えば、安息香酸及びその誘導体、デヒドロ酢酸ナトリウム、3−イソチアゾロン化合物、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム塩等)を添加することもできる。前記処理液の温度としては、任意の温度で使用することができるが、10〜50℃が好ましい。
【0027】
上記処理液をクリーニング部材に含浸させる液量は、処理液の種類、クリーニング部材の種類等に依存するが、処理液重量(g)/クリーニング部材(g)は0.1〜5.0g/gの範囲が好ましい。
【0028】
上記のような処理液を含むクリーニング部材を用いるクリーニング処理は、該処理液を含むクリーニング部材で版面をこするものであり、処理液温は任意の温度とすることができるが、好ましくは10℃〜50℃である。
【0029】
クリーニング部材として適当な材質のものを選択する場合には、該部材(素材)としては、プラスチック繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロン6,6、ナイロン6,10等のポリアミド系、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル等のポリアクリル系、及び、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系の合成繊維等)を使用することができる。これらの繊維の毛の直径としては、20〜400μm程度であり、毛の長さとしては、5〜30mm程度が好適である。
特にクリーニング部材としては、好ましくは、上記素材等の不織布であり、更に該不織布がエンボス加工を施されたものが好ましい。
【0030】
上記のようなクリーニング部材を用いるクリーニング処理は、前記処理液を含むクリーニング部材で版面を擦る方法の他に、処理液を版面に注いだ後に水中にて現像クリーニング部材でこする等の方法で行うこともできる。処理液温は、前記と同様に、任意の温度とすることができるが、好ましくは10℃〜50℃である。
【0031】
なお、本発明の平版印刷版の製版は、前記のクリーニング処理に先立ち、水なし平版印刷版原版に、a)印刷機上で画像様にレーザー照射する工程を有するものである。このa)工程により、印刷機上で該原版を画像様露光により露光部のシリコーンゴム層の隣接する層との密着性を低下させる。
本発明の製版方法は、レーザー照射部の光熱変換層の一部が製版後に残存することが重要であり、従って、水なし平版印刷版原版を露光するのに使用されるレーザーは、シリコーンゴム層が剥離除去されるのに十分な密着力の低下が起き、且つ、レーザー照射部の光熱変換層が製版後に残存するような露光量を与えるものでなくてはならない。
【0032】
なお、光熱変換層の組成、膜厚に応じて、レーザーの出力を調整すること、或いは、レーザーの主走査速度(書き込み速度)を調整することなどにより、容易に光熱変換層の残存量を制御することができる。前記条件を充たしていればレーザー種などの制限は特になく、Arレーザー、炭酸ガスレーザーのごときガスレーザー、YAGレーザーのような固体レーザー、そして半導体レーザー等が使用できる。通常出力が50mWクラス以上のレーザーが必要となる。保守性、価格等の実用的な面からは、半導体レーザーおよび半導体励起の固体レーザー(YAGレーザー等)が好適に使用される。これらのレーザーの記録波長は赤外線の波長領域であり、800nmから1100nmの発振波長を利用することが多い。また、特開平6−186750号公報に記載されているイメージング装置やハイデルベルグ(Heidelberg)社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”(商品名)などを用いて露光することも可能であるが、この場合でも、光熱変換層の厚みに応じてレーザーの照射出力や走査速度を調整することで光熱変換層の残存量を制御することが重要である。
【0033】
上記のa)露光工程とb)クリーニング工程とを有する製版処理により、画像部のインキ反撥層であるシリコーンゴム層が除かれ、その部分がインキ受容部となる。以上のようなクリーニング処理、又はそれに続く水洗、乾燥処理は、自動処理機で行うこともできる。また、さらに先に述べたHeidelberg社製フルカラー印刷システム”Quickmaster DI46−4”を用いることにより、好適な条件での露光及び機上クリーニング処理を連続的に行なうことができる。
【0034】
このように処理され、製版された水なし平版印刷版を積み重ねて保管する場合には、刷版を保護するために合紙を挿入し挟んでおくことが好ましい。本発明の製版方法により得られた水なし平版印刷版は印刷機に装着され、多数枚の、画像部のインキ着肉性に優れた良好な印刷物を得ることができる。
【0035】
次に、本発明の平版印刷版の製版方法に用いる、水なし平版印刷版原版について説明する。
水なし平版印刷版原版の構成は、支持体の上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる。ここで、順次積層とは、これらの層が上記の順に積層されていることを指し、他の層、例えば、下塗り層、オーバーコート層、中間層などの他の層の存在を否定するものではない。また、光熱変換層およびシリコーンゴム層が順次積層されている面の反対面の支持体上に、バック層を有していてもよい。
【0036】
〔支持体〕
本発明に用いられる支持体は、通常の印刷機にセットできる程度のたわみ性を有し、同時に印刷時にかかる荷重に耐えるものでなければならない。従って、代表的な支持体としては、コート紙、アルミニウムおよびアルミニウム含有合金等の金属板、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアセテート、ポリアミド、ポリイミド等のプラスチックフイルム、ゴムおよびそれらを複合させたもの(例えば、紙の上下をアルミニウムで挟んだ複合板)を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、プラスチックフイルムは、未延伸、一軸延伸、あるいは二軸延伸のいずれであってもよく、好ましくは二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムである。このポリエチレンテレフタレートフイルムには、特開平9−314794号公報に開示されているように、空洞を含有させたものを使用することができる。本発明に用いられる支持体の厚さは25μmから3mm、好ましくは75μmから500μmが適当であるが、印刷条件により最適な厚さは変動する。一般には100μmから300μmが最も好ましい。
【0037】
また、表面の密着性向上、帯電防止性向上などのため、該支持体に、コロナ放電処理、マット化易接着処理、帯電防止処理など各種表面処理を施してもよい。更に、光熱変換層およびシリコーンゴム層を積層する表面とは反対側の該支持体表面に、従来の平版原版の基板を接着剤などで貼り合わせてもよい。この基板の代表的なものとしては、アルミニウムのような金属板、アルミニウム含有(例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケルなどの金属とのアルミニウムとの合金)合金、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートのようなプラスチックフィルム、紙もしくはポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフイルムがラミネートされた複合シートなどを挙げることができる。
【0038】
〔光熱変換層〕
本発明の水なし平版印刷版原版に用いられる光熱変換層は、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する層であり、この機能を有しかつ光熱変換剤を他の成分中に溶解もしくは分散して塗布することにより形成した公知の光熱変換層のうち、実質的に実用可能なレーザーによる照射部の光熱変換層の一部が製版後に残存するような光熱変換層であればいかなるものも使用可能である。製版後の光熱変換層の残存量は、好ましくは0.01g/m以上であり、より好ましくは0.1g/m以上、更に好ましくは0.2g/m以上である。製版後の光熱変換層が残存せず、支持体または必要により設ける後述の下塗り層が露出すると着肉性が劣化してしまう。また、本発明においてインキ反発性向上の観点からシリコーンゴム層膜厚を2.0g/m以上にした場合などはレーザー照射部の現像性向上のため、製版後の光熱変換層の重量損失量が0.5g/m以上であることが好ましい。更に好ましくは、0.6g/m以上である。
【0039】
本発明に用いられる光熱変換剤としては、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換(光熱変換)する機能を有する公知の物質が使用可能であり、レーザー光源を赤外線レーザーとした場合、赤外線吸収顔料、赤外線吸収色素、赤外線吸収性金属、赤外線吸収金属酸化物等、書込レーザーに使用する波長の光を吸収する各種の有機および無機材料が使用可能であることが従来から知られている。これらの光熱変換剤は、バインダー、添加剤など他の成分との混合膜の形態で使用される。
【0040】
このような光熱変換剤の例としては、酸性カーボンブラック、塩基性カーボンブラック、中性カーボンブラックなど各種カーボンブラック、分散性改良等のために表面修飾もしくは表面コートされた各種カーボンブラック、ニグロシン類、アニリンブラック、シアニンブラック等の黒色顔料、フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カーボングラファイト、アルミニウム、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、アリールアルミニウム金属塩類、結晶水含有無機化合物、硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化タングステン、インジウムスズ酸化物等の金属酸化物等、これらの金属の水酸化物、硫酸塩、更にビスマス、スズ、テルル、鉄、アルミニウムの金属粉等の添加剤を添加することが好ましい。
【0041】
この他にも、有機色素として「赤外増感色素」(松岡著 Plenum Press ,New York,NY(1990))、US4833124号公報,EP−321923号公報、US−4772583号公報,US−4942141号公報、US−4948776号公報、US−4948777号公報、US−4948778号公報、US−4950639号公報、US−4912083号公報、US−4952552号公報、US−5023229号公報等の明細書に記載の各種化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0042】
これらの中でも、光熱変換率、経済性、および取り扱い性の面からカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックには、その製造方法から、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等に分類されるが、ファーネスブラックは粒径その他の面で様々なタイプのものが市販されており、商業的にも安価であるため、好ましく使用される。カーボンブラックは、その1次粒子の凝集度合いが版材感度に影響を及ぼす。カーボンブラックの1次粒子の凝集度合いが高い(ハイストラクチャー構造を有する)と、同じ添加量で比較した場合、版材の黒色度が上がらず、そのためにレーザー光の吸収率が低下し結果的に感度が低下してしまう。また、その粒子凝集のために光熱変換層塗布液の粘度が高くなったりチキソトロピー性を帯びてきたりして、塗布液の取り扱いが困難になり、塗布膜が均一にならなくなる。一方、吸油量が低い場合にはカーボンブラックの分散性が低下し、やはり版材感度が低下しやすくなる。このカーボンブラックの1次粒子の凝集度合いは、吸油量という値で比較することができ、吸油量が高いほど凝集の度合いは高くなり、吸油量が低くなるにつれて凝集の度合いは低くなる。即ち、吸油量が20〜300ml/100gの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは50〜200ml/100gである。
【0043】
またカーボンブラックは、様々な粒径のものが市販されており、この1次粒子の粒径も版材感度に影響を及ぼす。1次粒子の平均粒子径が小さすぎる場合には、光熱変換層自体が透明性を帯びてきてレーザー光を効率よく吸収できなくなり版材感度が低下する。また大きすぎる場合には、粒子が高密度に分散されずに光熱変換層の黒色度が上がらずレーザー光を効率よく吸収できなくなり、やはり版材感度が低下する。即ち、1次粒子の平均粒子径で、10〜50nmの範囲にあるカーボンブラックを用いることが好ましく、より好ましくは15〜45nmである。また、導電性カーボンブラックを使用することにより、版材感度を向上させることができる。このときの電気伝導度は、0.01〜100Ω−1cm−1の範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.1〜10Ω−1cm−1である。具体的には、”CONDUCTEX”40−220、”CONDUCTEX”975BEADS、”CONDUCTEX”900BEADS、”CONDUCTEX”SC、”BATTERY BLACK”(コロンビヤンカーボン日本(株)製)、#3000(三菱化学(株)製)、”デンカブラック”(電気化学工業(株)製)、”VULCAN XC−72R”(キャボット社製)等がより好ましく使用される。本発明に用いられる光熱変換層の光熱変換剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が1重量%以上とすることにより版材感度が低くならず、70重量%以下とすることで光熱変換層の膜強度が低下せず、隣接する層との密着性も低下しない。
【0044】
光熱変換層が単独膜である場合には、アルミニウム、チタン、テルル、クロム、錫、インジウム、ビスマス、亜鉛、鉛等の金属、これらの合金、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ホウ化物、金属フッ化物及び有機色素等の少なくとも一種を含有する膜を蒸着法又はスパッタリング法等により支持体上に形成させることができる。
【0045】
また、光熱変換層が混合膜である場合には、光熱変換剤をバインダーに溶解又は分散して他の成分と共に塗布法により形成することができる。前記バインダーには光熱変換剤を溶解又は分散する公知のバインダーが使用され、その例としては、セルロース、ニトロセルロース及びエチルセルロース等のセルロース誘導体類、アクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、ポリメチルメタクリレート及びポリブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステルの単独重合体及び共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマーの単独重合体及び共重合体、ポリイソプレン及びスチレン−ブタジエン共重合体等の各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル等のビニルエステル類の単独重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体等のビニルエステル含有の共重合体、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル及びポリカーボネート等の縮合系各種ポリマー、並びに「J. Imaging Sci.,P59−64 ,30(2), (1986) (Frechet ら)」、「Polymers in Electronics(Symposium Series,P11, 242, T.Davidson,Ed.,ACS Washington,DC(1984) (Ito,Willson )」及び「Microelectronic Engineering,P3−10,13(1991)(E. Reichmanis,L.F.Thompson)」に記載のいわゆる「化学増幅系」に使用されるバインダー等が挙げられる。
【0046】
その中でも、後述のシリコーンゴム層及び必要により設ける後述の下塗り層との密着性の観点から、ポリウレタン樹脂が好ましい。光熱変換層に使用されるポリウレタン樹脂は、ジイソシアネート化合物とジオール化合物との重付加反応により得ることができる。ジイソシアネート化合物としては例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−(2,2−ジフェニルプロパン)ジイソシアネート、1、5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の如き芳香族ジイソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の如き脂肪族ジイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(又は2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の如き脂環族ジイソシアネート化合物;1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等の如きジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物等が挙げられる。
【0047】
また、ジオール化合物としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ジプロピレングリコール、1,2−トリプロピレングリコール、1,2−テトラプロピレングリコール、1,3−ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ジブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、2,2’−ジメチロールプロパン酸、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。更にこれらのジオール化合物の縮合反応で得られるポリエーテルや、アジピン酸やテレフタル酸のようなジカルボン酸化合物と上記ジオール化合物の縮合反応で得られるポリエステルジオールも挙げることができる。また、これらのポリウレタン樹脂はその合成時にジアミン化合物やヒドラジンもしくはヒドラジン誘導体のような鎖連結剤を用いてもよい。
【0048】
光熱変換層を混合膜として形成する場合には、光熱変換層の機械的強度を向上させたり、レーザー記録感度を向上させたり、光熱変換層中の光熱変換剤等の分散性を向上させたり、後述する下塗り層や中間層およびシリコーンゴム層等のような光熱変換層に隣接する層に対する密着性を向上させる等種々の目的に応じて光熱変換層に各種の添加剤を添加することができる。
例えば、光熱変換層の機械的強度を向上させるために、光熱変換層を硬化させる各種の架橋剤を添加してもよい。この架橋剤としては、例えば、多官能イソシアネート化合物もしくは多官能エポキシ化合物等と、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物、アミン系化合物、尿素系化合物等との組合せが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明に用いられる架橋剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して1〜50重量%であり、好ましくは、2〜20重量%である。添加量が1重量%以上とすることで架橋の効果が現れ、50重量%以下とすることにより光熱変換層の膜強度が強くなりすぎず、シリコーンゴム層に外圧がかかったときのショックアブソーバー効果が無くならず、耐傷性が低化しない。
【0049】
また、レーザー記録感度を向上させるために、加熱により分解しガスを発生する公知の化合物を添加することができる。この場合には光熱変換層の急激な体積膨張によりレーザー記録感度が向上でき、これらの添加剤の例としては、ジニチロペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、4、4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジアミドベンゼン等を使用することができる。また、レーザー記録感度を向上させるために、各種のヨードニウム塩、スルフォニウム塩、フォスフォニウムトシレート、オキシムスルフォネート、ジカルボジイミドスルフォネート、トリアジン等、加熱により分解し酸性化合物を生成する熱酸発生剤の公知の化合物を添加剤として使用することができる。これらを化学増幅系バインダーと併用することにより、光熱変換層の構成物質となる化学増幅系バインダーの分解温度を大きく低下させ、結果としてレーザー記録感度を向上させることが可能である。光熱変換剤にカーボンブラック等の顔料を用いた場合には、顔料の分散度の向上のため、各種の顔料分散剤を添加剤として使用することができる。
【0050】
本発明に用いられる顔料分散剤の添加量は、光熱変換剤に対して1〜70重量%であり、好ましくは、5〜50重量%である。添加量が1重量%以上であれば顔料分散度向上の効果があり版材感度が低くならず、70重量%以下であれば隣接する層との密着力が低下しない。隣接する層に対する密着性を向上させるために、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の公知の密着向上剤や、ビニル基含有アクリレート系樹脂、水酸基含有アクリレート系樹脂、アクリルアミド系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロース誘導体、ゼラチン等、隣接する層に対する密着性の良好なバインダーを添加してもよい。本発明に用いられる前記の密着向上剤や密着向上バインダーの添加量は、全光熱変換層組成物に対して5〜70重量%であり、好ましくは、10〜50重量%である。添加量が5重量%以上であれば隣接する層との密着性向上の効果があり、70重量%以下とすることで版材感度が低下しない。
【0051】
塗布性を改良するために、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤を添加剤として使用することができる。本発明に用いられる界面活性剤の添加量は、全光熱変換層組成物に対して0.01〜10重量%であり、好ましくは、0.05〜1重量%である。添加量が0.01重量%以上とすることで塗布性が良く均一な光熱変換層の形成が容易となり、10重量%以下とすることにより隣接する層との密着力が低下しない。この他にも必要に応じて、各種の添加剤を使用することができる。
【0052】
本発明に用いられる光熱変換層の膜厚は、0.05〜10g/m、好ましくは0.1〜5g/mである。光熱変換層の膜厚が薄すぎると、十分な光学濃度が得られずレーザー記録感度が低下し、均一な膜形成が困難となり画質が劣化する。また、膜厚が厚すぎると、レーザー記録感度の低下、及び製造コストの点から好ましくない。本発明に用いられる光熱変換層は、光熱変換層形成用塗布液を支持体上、または、必要に応じて形成される後述の下塗り層の表面に、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布し、乾燥することで形成することができる。
【0053】
〔シリコーンゴム層〕
本発明において用いられるインキ反撥性のシリコーンゴム層は、光熱変換層上にシリコーンゴムの皮膜を反応形成させることによって形成される。具体的には、縮合型シリコーンを架橋剤を用いて硬化させるか、付加型シリコーンを触媒により付加重合させて形成することが好ましい。縮合型シリコーンを用いる場合には、(a)ジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(b)縮合型架橋剤を3〜70重量部、(c)触媒0.01〜40重量部を加えた組成物を用いるのが好適である。前記成分(a)のジオルガノポリシロキサンは、下記一般式で示されるような繰り返し単位を有するポリマーである。RおよびRは炭素数1〜10のアルキル基、ビニル基、アリール基であり、またその他の適当な置換基を有していてもよい。一般的にはRおよびRの60%以上がメチル基、あるいはハロゲン化ビニル基、ハロゲン化フェニル基等であるものが好ましい。
【0054】
【化1】
Figure 2004338305
【0055】
このようなジオルガノポリシロキサンは両末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。また、前記成分(a)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜100,000である。成分(b)の架橋剤は縮合型のものであればいずれであってもよいが、次の一般式で示されるようなものが好ましい。
【0056】
【化2】
Figure 2004338305
【0057】
ここでRは先に説明したRと同じ意味であり、Xは、Cl、Br,I等のハロゲン原子、水素原子、水酸基、あるいは、以下に示す如き有機置換基を表す。
【化3】
Figure 2004338305
【0058】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基および炭素数6〜20のアリール基を、RおよびRは炭素数1〜10のアルキル基を示す。
【0059】
成分(c)としては、錫、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン等の金属カルボン酸塩、例えば、ラウリン酸ジブチル、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛等、あるいは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙げられる。付加型シリコーンを用いる場合には、(d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン100重量部に対して、(e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜25重量部、および(f)付加触媒0.00001〜1重量部を添加した組成物を用いることが好ましい。上記成分(d)の付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル基は分子量末端、中間いずれにあってもよく、アルケニル基以外の有機基として、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル基、アリール基を有していてもよい。また、成分(d)には水酸基を微量有することも任意である。成分(d)は、数平均分子量が3,000〜600,000であり、より好ましくは、5,000〜150,000である。
【0060】
成分(e)としては、両末端に水素基を有するポリジメチルシロキサン、α、ω−ジメチルポリシロキサン、両末端メチル基のメチルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体、環状ポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシリル基のジメチルシロキサン/メチルシロキサン共重合体等が例示される。成分(f)としては、公知の重合触媒の中から任意に選ばれるが、特に白金系の化合物が望ましく、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金等が例示される。
【0061】
これらの組成物においてシリコーンゴム層の硬化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニル)シロキサン等のビニル基含有のオルガノポリシロキサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の架橋抑制剤を添加することも可能である。本発明に用いられる(D)シリコーンゴム層は、前記したシリコーンを含む組成物を溶剤を用いて(C)光熱変換層上に塗布、乾燥することによりに形成しうる。このとき、シリコーンゴム層形成用塗布液の塗布後の溶剤乾燥時にシリコーンゴム層組成物が縮合反応もしくは付加反応することで皮膜を形成するので、乾燥温度が低いとシリコーンゴムの硬化性が低下し、硬化不良となるおそれがある。このため、シリコーンゴム層の塗布後の乾燥温度は80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
【0062】
なお、シリコーンゴム層には必要に応じて、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン等の無機物の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミニウム系カップリング剤等の接着助剤や光重合開始剤を添加してもよい。本発明に用いられるシリコーンゴム層の膜厚は、乾燥膜厚として0.5〜5.0g/mが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0g/mであり、更に好ましくは2.0〜2.5g/mである。膜厚が0.5g/m以上とすることによりインキ反撥性が低下せず、傷が入りやすい等の問題点が解消し、5.0g/m以下とすることで現像性が悪くならない。また、シリコーンゴム層の上に、耐刷性、耐傷性、画像再現性および汚れ性等の向上の目的で、更に種々のシリコーンゴム層を塗工し、表面層を形成してもよい。
【0063】
〔その他の層〕
本発明に適用される水なし平版原版には、上記の層構成のほか、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて他の層を設けることができる。以下に、他の層について説明する。
(下塗り層)
本発明に用いられる水なし平版原版は、前記支持体と前記光熱変換層との間に、水溶性又は水分散性ポリマーを含有し、水系塗布により形成した下塗り層を設けることが好ましい。この下塗り層は支持体と光熱変換層との間の接着層として有用であり、また、印刷時のシリコーンゴム層への圧力緩和のためのクッション層としての役割も有している。この下塗り層は、水系塗布により形成するため、その組成中に、バインダーとして水溶性ポリマー、又は、エマルジョンなどの水分散状態で使用しうる水分散性ポリマー、或いはその両方を含有する。水系塗布による均一層を形成するためには、バインダーの他の成分、例えば、各種添加剤としても、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョンなどの水分散状態可能な材料を使用することが必要である。これらの素材を含む水溶液あるいは水分散液を下塗り層形成用塗布液として調製し、これを塗布乾燥して本発明に用いられる下塗り層が形成される。
【0064】
以下に、下塗り層の構成成分を順次説明する。
バインダー
下塗り層に用いられるバインダーとしては、例えば、ゼラチン、カゼインなどのタンパク質、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース化合物、デキストラン、寒天、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖類、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸などの合成ポリマーなどを挙げることができる。また、支持体と下塗り層との密着性、及び製造時のブロッキング性などの観点から、本下塗り層は架橋構造を有すことが望ましい。架橋構造を形成させる方法としては、例えば架橋剤と反応可能な架橋性基を有すバインダーを用い、架橋剤との反応によって架橋構造を形成させる方法が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記方法により架橋構造を形成させる場合、使用されるバインダーは架橋性基として、メチロール基、水酸基、カルボキシル基、及びグリシジル基のいずれかを有すことが好ましい。
【0065】
架橋剤
上記方法により架橋構造を形成させる場合に、添加される架橋剤としては、例えば、C.E.K.Meers及びT.H.James著「The Theory of Photographic Process」第3版(1966年)、US3,316,095号公報、US3,232,764号公報、US3,288,775号公報、US2,732,303号公報、US3,635,718号公報、US3,232,763号公報、US2,732,316号公報、US2,586,168号公報、US3,103,437号公報、US3,017,280号公報、US2,983,611号公報、US2,725,294号公報、US2,725,295号公報、US3,100,704号公報、US3,091,537号公報、US3,321,313号公報、US3,543,292号公報、及びUS3,125,449号公報、及びUK994,869号公報、及びUK1,167,207号公報などに記載されているものを挙げることができる。代表的な具体例としては、メラミン化合物、アルデヒド系化合物及びその誘導体、活性ビニル系化合物、活性ハロゲン系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
【0066】
メラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含有する化合物、及びそれらの縮重合体であるメラミン樹脂、あるいはメラミン・ユリア樹脂などを挙げることができる。メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えば、スミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK、及び同MC(住友化学(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂などを挙げることができる。市販品としては、MA−1、及びMA−204(住友ベークライト(株)製)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM、及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製)、大鹿レジンM31、及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明に用いられるメラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能基とはメチロール基又はアルコキシメチル基を示す。この値が300以下とすることにより硬化密度が適度となり高い強度が得られる。官能基当量が50以上とすることにより硬化密度は高くなく塗布液の経時安定性が損なわれることがなく、良化する。本発明に用いられるメラミン化合物の添加量は、上記バインダーに対して、0.1〜100重量%、好ましくは10〜90重量%である。
【0068】
アルデヒド系化合物及びその誘導体の代表的な具体例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシブロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルグリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン、及びグルタルアルデヒドなどが挙げられる。活性ビニル系化合物の代表的な具体例としては、ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、及び1,3,5−トリビニルスルホニルヘキサヒドロ−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0069】
活性ハロゲン系化合物の代表的な具体例としては、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン、及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジンなどが挙げられる。エポキシ化合物の代表的な具体例としては、ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類、及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類などが挙げられる。
【0070】
その他にも、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素、及びビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテルなどのエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン、及び1,5−(メタンスルホンオキシ)ペンタンなどのメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド、及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などのカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾールなどのイソオキサゾール系化合物;クロムミョウバン、及び酢酸クロムなどの無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン、及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリドなどの脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド、及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミドなどの活性エステル系化合物;トルエン−2,4−ジイソシアネート、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどのイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物などのエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
金属酸化物粒子
本発明に用いられる下塗り層には、支持体と下塗り層との密着性向上、帯電防止性付与、製造時のブロッキング抑制などの観点から、金属酸化物粒子を添加することが望ましい。この金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、SnO、Al、In、MgO、BaO、MoO、V及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。金属酸化物としては、ZnO、SnO、Al、In、MgOが好ましく、更にはZnO、SnO、Inが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、SnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素、Inに対してSnなどの異種原子を30モル%以下、好ましくは10モル%以下の量をドープしたものを挙げることができる。異種原子のドープ量が30モル%以下であれば支持体と下塗り層との密着性が向上する。
【0072】
該金属酸化物粒子は、下塗り層のバインダーに対して10〜1000重量%の範囲で含むことができる。好ましくは100〜800重量%の範囲である。10重量%以上であれば充分な支持体と下塗り層との密着性が得られ、1000重量%以下であれば金属酸化物粒子の下塗り層からの脱落を防止することができる。該金属酸化物粒子の粒子径は、平均粒子径が0.001〜0.5μmの範囲であり、0.003〜0.2μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.001μm以上であれば支持体と下塗り層との充分な密着性が得られ、平均粒子径が0.5μm以下であれば製造工程において下塗り層から金属酸化物粒子の脱落を防止できる。ここでいう平均粒子径とは、金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0073】
添加剤(下塗り層の添加剤)
本発明に用いられる下塗り層中には、バインダー、所望により添加される架橋剤、金属酸化物粒子以外にも、各種添加剤を併用することができる。これらの添加剤は、光熱変換層や支持体などの隣接する層に対する密着性向上、製造時のブロッキング抑制、下塗り層中の金属酸化物粒子の分散性向上、塗布性改良など種々の目的に応じて添加され、例えば、ブレンドバインダー、接着助剤、マット剤、界面活性剤、染料などが挙げられる。ブレンドバインダーとしては、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリアミド、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ変性アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ハロゲン化ポリヒドロキシスチレン、塩化ゴム等のポリマーを用いることができる。その添加割合は任意であり、フイルム層を形成できる範囲内であれば、ブレンドバインダーだけで下塗り層を形成してもよい。
【0074】
接着助剤としては、例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤やアルミニウムカップリング剤を挙げることができる。マット剤としては、好ましくは平均粒径が0.5〜20μm、より好ましくは平均粒径が1.0〜15μmの粒径を持つ無機粒子、有機粒子が挙げられる。特に、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン及びそれらの共重合体の架橋粒子が好ましい。一般に、下塗り層の膜厚は乾燥膜厚で、0.01〜10μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であれば塗布剤を均一に塗布し易いため製品に塗布むらが生じることなく、10μm以下であれば経済的見地から有利である。
【0075】
〔中間層〕
本発明では、前記下塗り層と光熱変換層との間に、水系塗布により形成した中間層を設けることができる。中間層は、主として下塗り層の金属酸化物粒子の製造時における脱落防止の機能を補助するため、及び製造時の滑り性、耐傷性向上のために設けられる。
【0076】
バインダー
中間層のバインダーとしては、下塗り層と同様のものを用いることができる。更には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、及び4−メチル−1−ペンテンなどの1−オレフィン系不飽和炭化水素の単独又は共重合体からなるワックス、樹脂及びゴム状物(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、及びプロピレン/1−ブテン共重合体)、上記1−オレフィンの二種以上と共役又は非共役ジエンとのゴム状共重合体(例えば、エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン/プロピレン/1,5−ヘキサジエン共重合体、及びイソブテン/イソプレン共重合体)、1−オレフィンと共役又は非共役ジエンとの共重合体(例えば、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/エチリデンノルボルネン共重合体)、1−オレフィン、特にエチレンと酢酸ビニルとの共重合体及びその完全もしくは部分ケン化物、1−オレフィンの単独又は共重合体に上記共役もしくは非共役ジエン又は酢酸ビニルなどをグラフトさせたグラフト重合体及びその完全もしくは部分ケン化物、等を挙げることができる。本発明に用いられる中間層バインダーは、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョンなどの水分散状態で使用することが必要で、特に、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂のポリマーラテックスや、水溶性のポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0077】
添加剤(中間層の添加剤)
本発明に用いられる中間層にも下塗り層と同様に、マット剤や界面活性剤などの各種添加剤を用いることができる。本発明に用いられる中間層の膜厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難く、1μm以下とすることにより、経済的見地から有利である。
【0078】
バック層
本発明の水なし平版印刷版原版は、光熱変換層とシリコーンゴム層が設けられた面と反対側の支持体面側に少なくとも1層のバック層が設けられる。
【0079】
バック層は、特に限定されないが、アクリル樹脂とメラミン化合物との硬化物中に導電性金属酸化物粒子が分散した層が好ましい。
また、本発明のバック層は、必要に応じて2層以上の層構成としても良い。バック層を2層以上の層構成とする場合、広義には、この2層以上の全ての層を総称してバック層と称し、狭義には、下側の層をバック層、その上の層オーバーコート層とも称したり、下側の層からバック第1層、バック第2層等と称することもある。なお、本明細書の実施例ではバック第1層、バック第2層等と称した。
該バック層にはマット剤を含有してもよい。さらに、該バック層にはワックス、界面活性剤などの滑剤を含有してもよい。
【0080】
マット剤
マット剤としては、好ましくは平均粒径が0.5μm〜20μm、より好ましくは平均粒径が1.0μm〜15μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等が挙げられる。特にこれらの重合体あるいは共重合体の架橋粒子が好ましい。
【0081】
これらのマット剤をバック層側の少なくともいずれかの層に(バック及び/またはオーバーコート層)所定量含有させることによって、バック層側の表面のベック平滑度(秒)を50〜500秒、好ましくは60〜450秒、より好ましくは200〜400秒とすることができる。ここで、バック層側の表面のベック平滑度(秒)は、JIS−P8119−1998ならびにJ.TAPPI紙パルプ試験方法No.5に記載された方法で測定された値を意味する。バック層側の表面のベック平滑度(秒)が50秒以上にすることにより、バック側の表面の凹凸が大きすぎずマット剤が層から脱落し難くなり、原版の搬送性が経時的に低下しない。一方、バック層側の表面のベック平滑度(秒)が500秒以下であると、バック層側の平滑度が高すぎず原版の搬送性が低下せず、搬送不良に伴う種々の弊害が生じない。
【0082】
金属酸化物粒子
該バック層には、導電性金属酸化物粒子を含有させてもよい。導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO及びMoO及びこれらの複合酸化物、及び/該金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。
【0083】
金属酸化物としては、SnO、ZnO、Al、TiO、In、及びMgOが好ましく、さらにSnO、ZnO、In及びTiOが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiOに対してNbあるいはTa、Inに対してSn、及びSnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が0.01モル%以上である場合は、酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができ、30モル%以下とすることにより粒子の黒化度が増すことがなく、バック層が黒まず感材用として適する。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
【0084】
導電性金属酸化物粒子は、バック層中に、結合剤(アクリル樹脂及びメラミン化合物等の合計)に対して10〜1000重量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜800重量%の範囲が好ましい。10重量%以上である場合は、充分な帯電防止性が得られ、1000重量%以下である場合は導電性金属酸化物粒子の感材からの脱落を防止することができる。
【0085】
導電性金属酸化物粒子の粒子径は、光散乱をできるだけ小さくするために小さい程好ましいが、粒子と結合剤の屈折率の比をパラメーターとして決定されるべきものであり、ミー(Mie)の理論を用いて求めることができる。
本発明の水なし平版印刷版原版のバック層中の金属酸化物粒子の平均粒径は、0.001〜0.5μmであることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.2μmの範囲である。ここでいう、平均粒径とは、導電性金属酸化物粒子の一次粒子径だけでなく高次構造の粒子径も含んだ値である。
【0086】
上記金属酸化物の微粒子のバック層形成用塗布液への添加する際は、そのまま添加して分散しても良いが、水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を添加することが好ましい。
【0087】
本発明において、バック層に上記した本発明の金属酸化物粒子を含有させることに原版のバック層側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を、1×10〜1×1012Ω、好ましくは1×10〜1×1011Ωに調整することができ、また高温高湿下における表面電気抵抗値も所定の値に調整することができる。水なし平版印刷版原版のバック層側の10℃15%RHにおける表面電気抵抗値を1×10Ω以上とすることは、多量の導電性金属酸化物粒子が不要のため、この粒子が脱落し難くなり、脱落した粒子が塗布膜のハジキの核となるというような二次故障を引き起こすことがない。また、1×1012Ω以下であれば、高温高湿下においても所望の帯電防止性能を有し、高温高湿下における水なし平版印刷版原版の製造時の塗布欠陥を防止し、また、水なし平版印刷版原版へのゴミ等の付着による記録書き込み時にレーザー光の焦点のずれが防止し、画像記録の鮮鋭性(再現性)を向上させることができる。
【0088】
本発明の製版方法に用いる水なし平版印刷版原版のバック層に用いられる結合剤としては、特に限定されないが、アクリル樹脂とメラミン化合物との硬化物が望ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもメラミン化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有することが好ましい。その中でも水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜10当量/1kgが好ましく、特に0.01〜1当量/1kgが好ましい。
【0089】
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。
【0090】
上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、メラミン化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びグリシジル基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
【0091】
本発明で使用されるメラミン化合物としては、メラミン分子内に二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基またはアルコキシメチル基を含有する化合物およびそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂などを挙げることができる。
【0092】
メラミンとホルマリンの初期縮合物の例としては、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンなどがあり、その具体的な市販品としては、例えばスミテックス・レジン(Sumitex Resin)M−3、同MW、同MK及び同MC(住友化学(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0093】
上記縮重合体の例としては、ヘキサメチロールメラミン樹脂、トリメチロールメラミン樹脂、トリメチロールトリメトキシメチルメラミン樹脂等を挙げることができる。市販品としては、MA−1及びMA−204(住友ベークライト(株製)、ベッカミン(BECKAMINE)MA−S、ベッカミンAPM及びベッカミンJ−101(大日本インキ化学工業(株)製)、ユーロイド344(三井東圧化学(株)製)、大鹿レジンM31及び大鹿レジンPWP−8(大鹿振興(株)製)等を挙げることができるが、これらの限定されるものではない。
【0094】
上記メラミン化合物としては、分子量を1分子内の官能基数で割った値で示される官能基当量が50以上300以下であることが好ましい。ここで官能基とはメチロール基またはアルコキシメチル基を示す。この値が300以下とすることで硬化密度が適度となり高い強度が得らる。官能基当量が50以上であることにより硬化密度が適当であり透明性が損なわれなく、良化する。該水性メラミン化合物の添加量は、上記ポリマーに対して0.1〜100重量%、好ましくは10〜90%重量%である。
【0095】
これらのメラミン化合物は単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。また、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などが挙げられる。
【0096】
代表的な例としては、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;
【0097】
ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;
【0098】
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;
【0099】
ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビト−ルポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロールポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物;
【0100】
2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;
【0101】
N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0102】
界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0103】
滑り剤としては、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
【0104】
該バック層は、上記成分をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、バインダーを含む)に分散させた分散液を、結合剤及び適当な添加剤を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)してバック層形成用塗布液を調製し、これを塗布乾燥することによって得られる。
【0105】
該バック層は、上記バック層形成用塗布液を支持体の表面(光熱変換層及びシリコーンゴム層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等により塗布することができる。
【0106】
該バック層の層厚は、特に限定されないが、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.1〜0.5μmの範囲が好ましい。0.01μm以上であることにより塗布剤を均一に塗布しやすく製品に塗布むらが生じ難く、1μm以下であることにより帯電防止性能や耐傷性が劣下しない。
【0107】
【実施例】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜8、比較例1〜6〕
(バック第1層の形成)
厚さ188μmの表面にコロナ放電処理を施したポリエステルフイルム「E−5101」(東洋紡績社製)上に、下記の塗布液をワイヤーバーコート法により塗布し、180℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.2μmのバック第1層を形成した。
【0108】
Figure 2004338305
【0109】
(バック第2層の形成)
下記の塗布液を上記バック第1層上に、ワイヤーバーコート法により塗布し、170℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.07μmのバック第2層を形成した。
【0110】
Figure 2004338305
【0111】
(下塗り層の形成)
上記のバック層を設けた支持体の反対の面に、下記の塗布液をワイヤーバーコート法により塗布し、180℃で30秒間乾燥して乾燥膜厚0.2μmの下塗り層を形成した。
【0112】
Figure 2004338305
【0113】
(光熱変換層の形成)
下記の混合液をガラスビーズとともにペイントシェーカーにて30分間攪拌しカーボンブラックを分散させ、ガラスビーズをろ別した後、界面活性剤KF333(大日本インキ化学工業(株)製)を0.006重量部添加、攪拌し、光熱変換層塗布液を作成した。
この塗布液を、上記下塗り層上に乾燥膜厚1.0μmとなるように塗布し、80℃で2分、加熱乾燥して光熱変換層を形成した。
【0114】
Figure 2004338305
【0115】
(シリコーンゴム層の形成)
下記の塗布液を前記光熱交換層上に塗布し、100℃で1分、加熱乾燥することにより、乾燥膜厚1.5g/mの付加型シリコーンゴム層を形成した。
【0116】
Figure 2004338305
【0117】
上記のようにして、各層間の密着性が良好な実施例1〜8、比較例1〜6に用いる水なし平版印刷版原版を得た。
【0118】
〔水なし平版印刷版原版の評価〕
(クリーニング性及び4色レジ見当性の評価)
得られた本発明の実施例及び比較例に用いられる水なし平版印刷版原版を複数の製版、印刷が可能な長さでロール形態に加工し、Heidelberg社製フルカラー印刷システム機“Quickmaster DI46−4”に搭載した。続いてこの印刷機上で、▲1▼露光、▲2▼露光部のシリコーンカスの除去、▲3▼印刷を実施した。この▲2▼の工程では下表1に記載のクリーニング液で湿らせた”Quickmaster DI46−4”純正のクリーニングクロスで版面を擦ることにより、露光部のシリコーンカスを除去した。
シリコーンカスが除去できない場合にはインキが着肉しないため、上記▲3▼印刷時に単色で刷った印刷物を観察することでクリーニング性を評価した。また4色刷した印刷物で4色レジ見当性を評価した。なお、4色レジ見当性の評価は、4色のレジの位置ズレを200倍ルーペで観察することにより行なった。その結果を表2に示す。
【0119】
【表1】
Figure 2004338305
【0120】
(シリコーンゴム層表面動摩擦係数)
また、これらの水なし平版印刷版原版を25℃、50%RHで2時間調湿した後のシリコーンゴム層表面と、上記クリーニング液で湿らせた不織布との動摩擦係数を、新東科学(株)製HEIDON−14を用いて、荷重200g、測定スピード600mm/分で測定した。その結果を表2に示す。
【0121】
【表2】
Figure 2004338305
【0122】
(表2の註)
クリーニング性ランク(A、B:許容)
A:良好
B:低レーザーパワーの過酷評価時にクリーニング不良わずかに発生。(許容)
C:小範囲でクリーニング不良発生
D:大部分でクリーニング不良発生
【0123】
レジ見当性ランク(A、B:許容)
A:レジずれ〜0μmで極めて良好
B:レジずれ〜20μmで許容範囲内
C:レジずれ21〜100μmでNGレベル
D:レジずれ101μm〜で極めて悪い
【0124】
表2から明らかなように、本発明に係る実施例1〜8の製版方法は、良好なクリーニング性と4色レジ見当性とが得られ、それぞれ満足すべき結果を得たが、比較例1〜6の製版方法は、不満足な結果であった。
すなわち、良好なクリーニング性とレジ見当性とを得るためには、水なし平版印刷版原版のシリコーンゴム層表面とクリーニング液で湿らせたクリーニング部材との動摩擦係数が特定の範囲にあることが重要なことが分かる。
【0125】
【発明の効果】
本発明の水なし平版印刷版原版からの平版印刷版の製版方法は、ロール形態で印刷機版胴内に装着し、画像形成表面が表側になるように版胴上に供給し、印刷機上でデジタル信号に基づいて赤外線レーザ光による画像の走査露光による像パターンの形成および印刷版の製版を行い、その同じ印刷機でその印刷版を用いて印刷する態様において、クリーニング性と4色レジ見当不良の問題が生じない印刷が可能である。

Claims (1)

  1. 支持体上に、少なくとも光熱変換層およびシリコーンゴム層を順次積層してなる湿し水不要平版印刷版原版を、a)印刷機上で画像様にレーザー照射する工程及びb)レーザー照射部のシリコーンゴム層をクリーニング部材で擦ることにより除去する工程を含む処理を行い平版印刷版を製版する方法であって、クリーニング時の該シリコーンゴム層表面とクリーニング部材との動摩擦係数を0.36〜0.7とすることを特徴とする平版印刷版の製版方法。
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