JP2004138907A - 画像形成方法 - Google Patents

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Junji Mizukami
水上 潤二
Teruo Takada
高田 輝雄
Daisuke Kanazawa
金沢 大輔
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Abstract

【課題】バーニング工程での支持体の歪みを防止して、印刷緒性能や機械的強度、耐薬品性等の耐久性に優れた画像形成材料を製造する。
【解決手段】支持体上に感光性層を設けた後、感光性層を露光、現像して画像要素を形成し、この画像要素に少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光を照射して加熱する工程を含む画像形成方法。感光性層は、熱の作用により樹脂を架橋し得る化合物又は熱硬化性の化合物を含む。加熱工程において、画像要素の表面温度の最高温度を200℃以上とすると共に、画像要素の表面温度が100℃から最高温度に加熱する際の画像要素の表面温度の昇温速度が平均10℃/s以下、及び/又は、支持体の搬送方向に対して、ΔXcmの距離の2点の画像要素の表面温度の温度差(ΔT)が、ΔT/ΔX≦10℃/cm以下、とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版、配線板やグラビア用銅エッチングレジスト、フラットディスプレー製造に用いられるカラーフィルター用レジスト、LSI製造用フォトレジスト等に使用される画像形成方法、に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、感光層を露光/現像して画像を形成する方法は数多く知られている。例えば、近年、コンピューター画像処理技術の進歩に伴い、デジタル画像情報から、銀塩マスクフィルムへの出力を行わずに、レーザー光により直接画像を形成するCTP(Computer to Plate)システムが注目されており、特に、高出力の半導体レーザーやYAGレーザー等を使用するCTPシステムは、製版工程の短縮化、作業時の環境光、製版コスト等の面から、その実用化が急速に進みつつある。
【0003】
これに伴い、CTPシステム用の平版印刷版としては、近年、赤外レーザー光を用い、露光部の現像液に対する溶解性を変化させることによって画像形成可能な感光性組成物の層(感光性層)を支持体表面に有するポジ型感光性平版印刷版が提案されている(例えば、特開平9−43847号、特開平10−268512号、特開平11−84657号、特開平11−174681号、特開平11−194504号、特開平11−223936号等の各公報、WО97/39894号、WО98/42507号等の各明細書参照)。
【0004】
上記の感光性平版印刷版は、赤外吸収色素などの赤外光を吸収して熱に変換する物質とノボラック樹脂等のアルカリ可溶性樹脂とを主な感光性成分とし、赤外レーザー光の露光で発生する熱による樹脂の構造転移などの物理的変化によって、現像液に対する露光部の溶解性を増大させるものであり、斯かる感光性平版印刷版は、o−キノンジアジド化合物の様な白色光に感光する物質を含有させる必要がないことから、白色灯下でも取り扱えるという利点を有する。
【0005】
これらの印刷版材料に対して、耐刷性或いは耐薬品性向上のために、例えば特開2000−39705等に示されるように、画像形成後に加熱による画像要素の熱硬化プロセス(以後バーニングという)が実施され、それにより印刷枚数や耐薬品性などの性能が飛躍的に改善される。しかし、従来においては、加熱条件を制御しにくいオーブン中での均一条件加熱が実施されており、加熱時に支持体温度が上昇すると、支持体内での温度差により支持体に歪みが生じるようになる。支持体に歪みが生じた印刷版では、印刷機への取り付け不良、印刷精度の低下の問題などが生じるため、その改善が求められている。
【0006】
一方、ネガ型の光重合系の感光性平板印刷版の作製方法では、露光/現像により画像要素を形成した後に、耐刷性を向上させるために、メタルハライドランプや水銀灯で可視光による後露光を行い、ラジカル反応により樹脂を架橋させる方法が知られている。このネガ型の光重合系のシステムにおいては、暗室において、露光/現像処理をした後に更に後露光をするシステムに関する出願もなされている(特開2001−42546)が、これは光重合をその原理としており、熱架橋性化合物を含まず、後露光光源に対して十分な重合能力をもつ感光性層にのみ適用可能な方法であった。
【0007】
また、ナフトキノンジアジドやジアゾ化合物などを用いる旧来のCTPシステムに供されないPS版に関しても後加熱をする方法は知られているが、前記のオーブンによる加熱であり、前記と同様の不都合を生じていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−43847号公報
【特許文献2】
特開平10−268512号公報
【特許文献3】
特開平11−84657号公報
【特許文献4】
特開平11−174681号公報
【特許文献5】
特開平11−194504号公報
【特許文献6】
特開平11−223936号公報
【特許文献7】
WО97/39894号
【特許文献8】
WО98/42507号
【特許文献9】
特開2000−39705号公報
【特許文献10】
特開2001−42546号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、バーニング工程での支持体の歪みを防止して、印刷緒性能や機械的強度、耐薬品性等の耐久性に優れた画像形成材料を製造することができる画像形成方法を提供することを目的とする。
【0010】
【問題を解決するための手段】
本発明の画像形成方法は、支持体上に感光性層を設けた後、該感光性層を露光し、必要に応じて現像することにより画像要素を形成し、次いで形成された画像要素に少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光(以下「バーニング用光」と称す場合がある。)を照射して該画像要素を加熱する工程を含む画像形成方法において、該感光性層は、熱の作用により樹脂を架橋し得る化合物又は熱硬化性の化合物(以下「熱架橋性又は熱硬化性化合物」と称す場合がある。)を含み、該加熱工程において、該画像要素の表面温度の最高温度を200℃以上とすると共に、下記▲1▼及び/又は▲2▼を満たすことを特徴とする。
▲1▼ 画像要素をその表面温度が100℃から最高温度に加熱する際の該画像要素の表面温度の昇温速度が平均10℃/s以下である。
▲2▼ 該支持体を搬送しながら加熱する方法であって、該支持体の搬送方向に対して、ΔXcmの距離の2点の画像要素の表面温度の温度差(ΔT)が、ΔT/ΔX≦10℃/cm以下である。
【0011】
即ち、本発明者らは、上記課題につき鋭意検討した結果、感光性層が熱架橋性化合物等を含む場合、支持体の歪みの原因はバーニングにより、この熱架橋性化合物の架橋等により硬化させる工程において、画像要素が形成された支持体を急速加熱することに起因する加熱ムラであることを究明し、加熱速度の制御条件下でバーニングを行うことにより上記課題が解決できること、この加熱速度の制御がその加熱手段として、300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光の照射と雰囲気加熱との組み合わせを採用することにより達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
本発明は、少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光を照射して画像要素を加熱する工程を、画像要素の加熱を制御しながら行うことが特徴である。
【0013】
即ち、加熱の際の支持体の歪みやすさは、加熱の不均一性に依存し、ある一定面積を加熱する際に、加熱されている部分と加熱されていない部分の差を小さくすることが支持体の歪みをなくす最善の方法となる。その方法としては、
1)加熱をゆっくり行い、加熱部から非加熱部への熱移動を十分行わせること、
2)加熱の前に、目的とする加熱温度以下でかつ支持体を歪ませることのない十分高い温度での予備加熱を行うこと
が重要である。
【0014】
1)に関連して述べると、従来の加熱方法では、加熱された雰囲気空気のみによる加熱であり、加熱の制御が難しく、強いて制御を行おうとすれば、大型の装置を必要とするという欠点が存在した。
【0015】
本発明においては例えば複数のランプを用い、そのランプ強度と配列を工夫することにより、容易に温度上昇速度を制御することが可能である。
【0016】
また、2)に関連して述べると、本発明において加熱の速度制御が最も重要な領域は、支持体の歪みを生じる直前の温度からであり、全く歪みを生じさせる恐れのない温度領域においては温度制御能の低い手段であっても加熱は効果的であり、支持体の平均温度を底上げし、逆にランプによる加熱部と非加熱部の温度差を減じる効果があり有効である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の画像形成方法の実施の形態を、本発明の画像形成方法の単位工程に従って、詳細に説明する。
【0018】
[感光性層の形成工程]
(感光性組成物)
本発明において、感光性層の形成に用いる感光性組成物は、熱架橋性又は熱硬化性化合物を含むものであれば良く、ポジ型、ネガ型のいずれでも良い。光重合タイプの感光性組成物としては、CTP用のものとして、例えば、ネガ型のものとしては、特開2002−156751、ポジ型のものとしては特開平11−202481号公報などに記載されるものが挙げられる。また、CTP用のものでないものとしては、ポジ型としては公知のものがすべて用いられるが、例えば特開平3−235954号公報に記載されるもの、ネガ型としては、例えば特開平3−77949号公報に記載されるものが挙げられる。その中でも、熱架橋性又は熱硬化性化合物と、光熱変換物質とアルカリ可溶性樹脂とを含むポジ型の感光性組成物が好ましく用いられる。
【0019】
以下に、熱架橋性又は熱硬化性化合物と、光熱変換物質とアルカリ可溶性樹脂とを含む感光性組成物について説明する。
【0020】
本発明に係る感光性層の構成成分として用いられる光熱変換物質としては、近赤外線吸収色素が好ましいものとして挙げられ、シアニン色素、ポリメチン色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素、チオピリリウム色素、アミニウム色素、ジインモニウム色素などが好ましく用いられる。その例としては、例えば、特開平9−43847号、特開平10−268512号、特開平11−84657号、特開平11−174681号、特開平11−194504号、特開平11−223936号等の各公報、WО97/39894号、WО98/42507号等の各明細書などに記載のものが好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0021】
本発明に好適な近赤外線吸収色素としては、キノリン系色素、インドール系又はベンゾチアゾール系色素、ピリリウム系又はチアピリリウム系等のシアニン系色素、ポリメチン系色素、ジイミニウム系色素等が挙げられるが、これらの中でも、インドール系色素が特に好ましく、具体的には、次のようなものが挙げられる。
【0022】
【化1】
Figure 2004138907
【0023】
【化2】
Figure 2004138907
【0024】
【化3】
Figure 2004138907
【0025】
【化4】
Figure 2004138907
【0026】
【化5】
Figure 2004138907
【0027】
これらの近赤外線吸収色素は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良く、その含有量は、感光性組成物の全固形分量に対して好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0028】
熱架橋性又は熱硬化性化合物の例としては、特開平11−202481、特開平7−271029、特開2000−89452、特開平10−193554等の各公報、「架橋剤ハンドブック」(山下晋三、金子東助、大成社)などに記載される化合物を使用することができる。
【0029】
好ましい化合物としては、具体的には、下記のa)〜e)から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
a)レゾール樹脂、
b)メチロール基又はそのアルコール縮合変性したアルコキシメチル基及びアセトキシメチル基から選ばれる置換基を少なくとも2個有するアミノ化合物、
c)アルコキシメチル基、メチロール基及びアセトキシメチル基から選ばれる置換基を有する少なくとも2置換の芳香族化合物、
d)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基及びN−アシルオキシメチル基から選ばれる置換基を有する化合物、
e)エポキシ系化合物
【0030】
a)レゾール樹脂としては、特開平7−20629号公報に記載の化合物を使用することができ、商業的ベースで広く入手可能である。レゾール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒド類とをアルカリで縮合させて得られるフェノール樹脂である。本発明において有用なレゾール樹脂の典型的な例は、ビスフェノールA及びホルムアルデヒドから調製される樹脂である。商業ベースで入手可能な好ましいレゾール樹脂は、ユニオンカーバイドコーポレーション(Union Carbide Corporation)製UCARフェノール樹脂「BKS−5928」である。
【0031】
b)メチロール基或いはそのアルコール縮合変性したアルコキシメチル基及びアセトキシメチル基から選ばれる置換基を少なくとも2個有するアミノ化合物としては、具体的にはメラミン誘導体、例えばメトキシ化メラミン(三井サイアナミッド(株)製サイメル300シリーズ(1)等)、ベンゾグアナミン誘導体(メチル/エチル混合アルコキシ化ベンゾグアナミン樹脂(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(2)等))、グリコールウリル誘導体(テトラメチロールグリコールウリル樹脂(三井サイアナミッド(株)製サイメル1100シリーズ(3)等))、その他、尿素樹脂誘導体が挙げられる。
【0032】
また、c)アルコキシメチル基、メチロール基及びアセトキシメチル基から選ばれる置換基を有する少なくとも2置換の芳香族化合物としては、例えば、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、1,3,5−トリアセトキシメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラアセトキシメチルベンゼン等を有効に使用することができ、これらはPolym. Mater. Sci. Eng., 64 ,241(1991) に記載の手法により合成することができる。
【0033】
上述した化合物a)〜e)のうち、化合物b)が好ましく、中でもメラミン誘導体が更に好ましい。更に、得られる平版印刷版の保存性やインキ着肉性を考慮した場合、特定の置換基を有するものがより好ましい。即ち、メラミン誘導体としては、該メラミン誘導体中のメチロール基及びアルコキシメチル基の合計数に対するアルコキシメチル基の数の割合が70%以上であるメラミン誘導体がより好ましい。特に好ましくは、前記割合が90%以上であるメラミン誘導体が用いられる。このようなメラミン誘導体は、メラミンに特定量のホルムアルデヒド及びアルコールを酸性条件下で反応させる公知の方法に準じて得ることができ、得られたメラミン誘導体中の前記アルコキシメチル基の割合は13C−NMRにより測定して特定することができる。
【0034】
これらの熱架橋性又は熱硬化性化合物の含有量は、感光性組成物中の全固形分量に対して好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0035】
アルカリ可溶性樹脂としては、フェノール性水酸基を有する樹脂、例えば、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等のフェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、フェノール性水酸基を有するアクリル酸誘導体の共重合体等が好ましく、中で、ノボラック樹脂、レゾール樹脂等のフェノール樹脂、又はポリビニルフェノール樹脂が好ましく、フェノール樹脂が更に好ましく、ノボラック樹脂が特に好ましい。
【0036】
ノボラック樹脂は、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、ピロカテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシノール、4,4′−ビフェニルジオール、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン等のフェノール類の少なくとも1種を、酸触媒下、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール等のアルデヒド類(なお、ホルムアルデヒドに代えてパラホルムアルデヒドを、アセトアルデヒドに代えてパラアルデヒドを用いても良い。)、又は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、の少なくとも1種と重縮合させた樹脂であって、この種の感光性組成物のバインダー樹脂として慣用されているものである。
【0037】
中でも、ノボラック樹脂としては、フェノール類としてのフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、レゾルシノールと、アルデヒド類又はケトン類としてのホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドとの重縮合体が好ましく、特に、m−クレゾール:p−クレゾール:2,5−キシレノール:3,5−キシレノール:レゾルシノールの混合割合がモル比で40〜100:0〜50:0〜20:0〜20:0〜20の混合フェノール類、又は、フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜100:0〜70:0〜60の混合フェノール類、又は、o−クレゾール:フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で1〜60:1〜80:0〜50:0〜50の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好ましい。
【0038】
また、前記ノボラック樹脂としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000〜15,000のものであるのが好ましく、1,500〜10,000のものであるのが特に好ましい。重量平均分子量が上記範囲未満では十分な塗膜が得られず、一方、上記範囲超過ではアルカリ現像液に対する溶解性が小さくなり、非画像部の抜けが不十分となってポジ画像が得られにくくなる傾向となる。
【0039】
一方、レゾール樹脂は、ノボラック樹脂の重縮合における酸触媒に代えてアルカリ触媒を用いる以外は同様にして重縮合させた樹脂であって、本発明においては、前記ノボラック樹脂におけると同様の、フェノール類及びその混合組成、及び、アルデヒド類又はケトン類が好ましく、また、同様の重量平均分子量(Mw)のものが好ましい。
【0040】
また、ポリビニルフェノール樹脂は、例えば、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレン、テトラヒドロキシスチレン、ペンタヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロピレン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロピレン等のヒドロキシスチレン類(なお、これらは、ベンゼン環に塩素、臭素、沃素、弗素等のハロゲン原子、或いは炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良い。)の単独又は2種以上を、ラジカル重合開始剤又はカチオン重合開始剤の存在下で重合させた樹脂であって、中で、本発明においては、ベンゼン環に炭素数1〜4のアルキル基を置換基として有していても良いヒドロキシスチレン類の重合体が好ましく、特に、無置換のベンゼン環のヒドロキシスチレン類の重合体が好ましい。また、重量平均分子量(Mw)が、1,000〜100,000のものが好ましく、1,500〜50,000のものが更に好ましい。
【0041】
更に、アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基含有ビニル系樹脂を挙げることができる。カルボキシル基含有ビニル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等のビニル化合物との共重合体等が挙げられ、これらのカルボキシル基含有ビニル系樹脂の酸価は30〜250KOH−mg/g、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は1,000〜300,000であることが好ましい。
【0042】
このようなアルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物中の全固形分量に対して10〜95重量%であることが好ましく、20〜95重量%であるのが更に好ましく、40〜90重量%であることが特に好ましい。
【0043】
なお、前述した熱架橋性又は熱硬化性化合物とアルカリ可溶性樹脂とは、同一の化合物を使用して両者の機能を利用しても良い。
【0044】
本発明で使用される感光性組成物は、通常、上述のような各成分を適当な溶媒に溶解して用いられる。溶媒としては、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与える溶媒であれば特に制限はないが、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのセロソルブ系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのプロピレングリコール系溶媒、酢酸ブチル、酢酸アミル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル−2−ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル系溶媒、ヘプタノール、ヘキサノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール系溶媒、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの高極性溶媒、或いはこれらの混合溶媒、更にはこれらに芳香族炭化水素を添加したものなどが挙げられる。
【0045】
溶媒の使用割合は、感光性組成物の総量(全固形分量)に対して通常重量比として1〜20倍程度の範囲である。
【0046】
なお、本発明で用いる感光性組成物は、その性能を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば染料、顔料、塗布性改良剤、現像改良剤、密着性改良剤、感度改良剤、感脂化剤等を含有することも可能である。
【0047】
(支持体)
本発明において、上述のような感光性組成物により感光性層を形成する支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、クロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム、ガラス板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等のシート等が挙げられる。これらのうち好ましい支持体はアルミニウム板であり、特に、塩酸又は硝酸溶液中での電解エッチング、或いはブラシ研磨による砂目立て処理、硫酸溶媒中での陽極酸化処理、更に必要に応じて封孔処理等の表面処理が施されているアルミニウム板を用いることがより好ましい。
【0048】
支持体の表面粗度は、一般的に、表面粗さRaの値で示される。これは表面粗度計を用いて測定することができる。本発明において用いられる支持体としてはその平均粗さRaとして0.3〜1.0μmのアルミニウム板が好ましく、更に、0.4〜0.8μmのものがより好ましい。本支持体は、必要に応じ、更に公知の方法に準じて有機酸化合物による表面処理を施して用いることができる。
【0049】
(感光性層の形成方法)
感光性層は、上述のような支持体上に前述の感光性組成物を塗布、乾燥し、更に必要に応じて加温することにより形成される。
【0050】
感光性組成物を支持体表面に塗布する際に採用される塗布方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布、カーテン塗布等を用いることが可能である。感光性組成物を塗布した後には、塗膜から溶媒を除去する乾燥処理と、更に乾燥後の感光性層を加熱する加温処理を行う。この乾燥温度としては、通常、20〜170℃、好ましくは30〜150℃が採用される。この乾燥処理後に更に加温処理工程を設けることは有効であり、その場合、加温温度は好ましくは30〜65℃、さらに好ましくは40〜63℃、特に好ましくは50〜62℃であり、このような温度で好ましくは10時間〜1週間の時間加温することが好ましい。この加温処理は、温度が高いほど加温時間は短くて良く、加温温度50℃以上であれば加温時間15時間以上60時間以下が好ましい。
【0051】
なお、感光性組成物の塗布量は、形成する感光性層の厚さによって、適宜決定されるが、通常の場合、乾燥後の塗膜量として5〜30g/m程度である。
【0052】
[露光工程]
支持体上に形成された感光性層を画像露光する光源としては、感光性層中の光熱変換物質が所期の目的を達成し得るものであれば良いが、波長650〜1300nmの近赤外レーザーの光線を発生する光源が好ましく、例えばルビーレーザー、YAGレーザー、半導体レーザー、LED、その他の固体レーザー等を挙げることができ、特に小型で長寿命な半導体レーザーやYAGレーザーが好ましい。これらのレーザー光源により走査露光した後、現像液にて現像して画像要素を形成することができる。
【0053】
また、レーザー光源は、通常、レンズにより集光された高強度の光線(ビーム)として感光性層表面を走査するが、それに感応する感光性層の感度特性(mJ/cm)は、感光性層表面で受光するレーザービームの光強度(mJ/s・cm)に依存することがある。ここで、レーザービームの光強度(mJ/s・cm)は、版面上でのレーザービームの単位時間当たりのエネルギー量(mJ/s)を光パワーメーターにより測定し、また感光性層表面におけるビーム径(照射面積;cm)を測定し、単位時間当たりのエネルギー量を照射面積で除することにより求めることができる。レーザービームの照射面積は、通常、レーザーピーク強度の1/e強度を超える部分の面積で定義されるが、簡易的には相反則を示す感光性組成物を感光させて測定することもできる。
【0054】
本発明に用いられる走査露光時の光源の光強度としては、2.0×10mJ/s・cm以上であることが好ましく、1.0×10mJ/s・cm以上であることが更に好ましい。光強度が上記の範囲であれば、本発明に係る感光性層の感度特性が向上し、走査露光時間を短くすることができ実用的に大きな利点が得られる。
【0055】
[現像工程]
本発明においては、感光性層の露光後、通常、現像工程を行う。
【0056】
現像に用いる現像液としては特にアルカリ水溶液を主体とするアルカリ現像液が好ましい。上記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。現像液中のこれらのアルカリ金属塩の濃度は好ましくは0.1〜20重量%である。この現像液中には必要に応じてアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等やアルコール等の有機溶媒を加えることができる。
【0057】
なお、現像は必ずしも必要とされず、現像を行わない場合には、印刷機上で、ブランケットと印刷版との摩擦による物理的刺激で画像要素を形成する方法等がある。
【0058】
[画像要素への保護液塗布工程]
本発明では、走査露光後、必要に応じて現像処理され形成された画像要素にバーニング用光を照射する前に、画像要素が形成された支持体にバーニング汚れ防止剤を塗布し、バーニング用光照射後に水洗し、更にガム液を塗布する工程を設けても良い。また、画像要素が形成された支持体にガム液を塗布した後にバーニング用光を照射しても良い。
【0059】
バーニング汚れ防止剤は、バーニング時の熱により非画像部の支持体が変化し、印刷時に地汚れを引き起こすことを防ぐ効果がある。また、ガム液は、画像部をキズ付きなどから保護し、また、非画像部の親水性を補強する働きを示し、印刷時の網点画像のカラミ発生や地汚れの発生などを防止する作用を奏する。
【0060】
本発明で用いられるガム液としては、アラビアゴム、デキストリン、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などの天然又は合成の水溶性ポリマーなどが好ましく用いられる。また、ガム液のpHを2〜11、好ましくは3〜10の範囲に保つために、これらのガム液には各種の酸、アルカリ或いは塩類を添加しても良い。
【0061】
画像要素が形成された支持体に単にガム液を塗布した後にバーニング用光を照射する場合は、ガム液に、バーニング汚れ防止剤を含有させるのが好ましい。
【0062】
本発明で使用できるバーニング汚れ防止剤としては、特公昭55−28062号公報に記載される硼酸及びその塩、特開昭61−159655号公報記載のポリスチレンスルホン酸及びその塩、特開昭62−242925号公報記載の芳香族スルホン酸又はその塩とアルデヒドとの縮合樹脂、特開昭60−138552号公報記載のフィチン酸やヘキサメタリン酸及びそれらの塩、特開昭57−52057号公報記載のカルボキシル基を含むアミン又はその塩、特開昭57−66437号公報記載の硫酸アンモニウム、特開昭60−138551号公報記載のリンゴ酸及びその塩、特開昭51−34001号公報記載のナトリウムドデシルフェノキシベンゼンジスルホネートなどの表面活性剤などが用いられる。
【0063】
これらのうち、硼酸及びその塩、或いはスルホン酸及びその塩が、バーニング汚れ防止性に優れ、泡立ちにくく、均一塗布がし易いなどの点で最も好ましい。かかる硼酸及びその塩としては、硼酸、硼酸アンモニウム、硼酸ナトリウム、硼酸カリウム、硼酸リチウム等が用いられる。また、スルホン酸塩としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸のアルデヒド縮合物、α−オレフィンスルホネート、アルキルスルホネート等のスルホン酸基含有活性剤、ラウリル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル系活性剤等を挙げることができる。
【0064】
これらのバーニング汚れ防止剤をガム液に添加する場合、好ましい添加量はガム液中の固形分濃度として0.005〜30重量%であり、より好ましくは0.01〜20重量%である。この範囲よりも少ないとバーニング汚れ防止効果が不十分であり、逆に多過ぎると低温での析出の問題が生じる。
【0065】
このようなガム液或いはバーニング汚れ防止剤を含有するガム液の塗布の方法としては、支持体上に感光層を塗布する方法と同様の方法を採用することができ、また、特許2627572号、特開昭62−7595、特開昭62−11693,特開平8−142533、特開平8−142534、特開平11−327156、特開2000−39705、特開2001−272801などの各公報に記載の公知の技術を利用することができるが、本発明に適するように改良することが必要である。
【0066】
バーニング汚れ防止剤を含有するガム液は、形成されるガム層として通常2g/m以下、好ましくは1g/m以下、さらに好ましくは0.5g/m以下、特に好ましくは0.2g/m以下となるように塗布するのが良い。ただし、形成されるガム層を過度に薄くすると保護効果が失われるため、少なくとも0.01g/m以上の塗布量が必要である。この塗布量が多過ぎると、印刷時に塗布されたバーニング汚れ防止剤を含有するガム液の除去に時間がかかる、いわゆるインク着肉性の問題を生じる。この場合、時間をロスするだけでなく、損紙等の無駄が発生し、コスト面での問題も生じる。
【0067】
[バーニング工程]
本発明では、上述したように走査露光後、必要に応じて現像処理され形成された画像要素の表面に必要に応じてガム液を塗布した後に、少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光を照射して加熱する。
【0068】
本発明において、このバーニング工程で画像要素に照射される光は、少なくとも300〜3000nmの発光波長を有するものである。
【0069】
本発明において、画像要素に上記バーニング用光を照射することにより、感光性層の熱架橋性又は熱硬化性化合物の熱架橋又は熱硬化現象を生じさせる。この際の温度は、熱架橋性又は熱硬化性化合物の種類により異なるが、好ましくは画像要素の表面温度として100℃以上、より好ましくは150℃以上、更に好ましくは200℃以上である。加熱架橋又は加熱硬化に要するエネルギーの面から、特に画像要素の表面温度はバーニング工程中150℃以上の温度で持続的に保持されていることが好ましい。
【0070】
後述の実施例1における測定温度結果を示す図1からも明らかなように、画像要素の表面温度を150℃以上の一定温度に保持するのは容易ではないため、このような画像要素の表面温度を得るために、本発明において、バーニング工程中の画像要素の表面温度の最高温度は200℃以上、特に画像要素の表面温度を保持したい温度よりも50℃程度高い温度とすることが好ましい。ただし、画像要素の表面温度が高いと、支持体自体も熱によりダメージを受ける可能性があるので、この表面温度は400℃以下、より好ましくは350℃以下、特に好ましく300℃以下とすることが望まれる。
【0071】
また、このような画像要素の表面温度を得るために、バーニング工程中の雰囲気温度は80℃以上であることが好ましく、更に100℃以上であることが好ましい。雰囲気温度は過度に高いと意に反して支持体を急速加熱し、ゆがみを生じやすいことから200℃以下、特に180℃以下であることが好ましい。
【0072】
この雰囲気温度を制御する方法としては、バーニング工程で画像要素を形成した支持体の出し入れ部以外での熱の出入りを極力少なくした装置を用い、この装置内をヒーターで加熱する方法が用いられる。この際のヒーターとしては赤外線ヒーター、ロールヒーター、セラミックヒーター、石英ヒーター、シーズヒーター、赤外線ランプ、電熱線、金属ヒーター等、あらゆる各種ヒーターを用いることができる。
【0073】
また、このバーニング工程において、画像要素の表面温度100℃から最高温度に到達するときの画像要素の表面温度の昇温速度は平均で10℃/s以下、特に8℃/s以下であることが好ましい。このような速度で昇温することにより、支持体の歪みを防止することができる。この昇温速度の下限については特に制限はないが、作業効率の点から1℃/s以上であることが好ましい。
【0074】
また、本発明において、バーニング工程に用いられる装置は、搬送システムを備えることが望ましい。この搬送システムは、搬送中に支持体に過度な圧力がかかると支持体の歪みの原因となることから、ニップ圧を支えるローラを用いた搬送システムのようなものは好ましくなく、金属金網製のベルトコンベア等が好ましい。
【0075】
このように支持体を搬送しながら光照射を行って加熱する場合、搬送方向にΔXcm離れた2点の画像要素の表面温度の温度差(ΔT)とΔXの関係が、ΔT/ΔX≦10℃/cm以下となることが望ましい。ΔT/ΔXが10℃/cmを超えると支持体の歪みを生じさせる原因となる。ΔT/ΔXの下限は、加熱、搬送性能等の面から通常1℃/cm以上である。
【0076】
なお、画像要素の表面温度を測定する方法としては、容易に入手できる熱伝対を利用する方法が好ましく、熱伝対の測温部を画像要素表面に接触させて固定し、測温することができる。
【0077】
本発明で用いるバーニング用光の光源の光強度密度は過度に高くても効果に差異はないため、簡便性、経済性、加熱効率等の面から、通常100W/cm以下であり、好ましくは50W/cm以下、更に好ましくは10W/cm以下のようなマイルドな条件の光源を使用するのが好ましい。なお、光強度密度の好ましい下限は0.5W/cm以上である。
【0078】
この光照射は、画像要素の全面に対して行うのが良い。
【0079】
バーニング用光の好ましい光源としては、ハロゲンランプ、ブラックコートハロゲンランプ、カーボンランプ、キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、タングステンランプ等のランプ光源、半導体レーザー、YАGレーザー等のレーザー光源を挙げることができる。これらの光源の中では、少なくとも700〜3000nmの波長領域を有するものが好ましく、特に、近赤外光及び遠赤外の発光効果に優れるハロゲンランプが好ましく、更には、1200nmに発光ピークを有するハロゲンランプが好ましい。また、更には3000nmまでの光を含有する光源は、熱架橋効果を発揮するため有効である。また、これらの光源は必要に応じ、紫外光−可視光領域をフィルターにより遮光して用いることができる。
【0080】
バーニング工程では、これらのランプと共に、各種のヒーターを併用することも好ましく、このようなヒーターとしては、雰囲気温度の制御用として前述したものを用いることができる。
【0081】
本発明において、画像要素にバーニング用光を照射する際に画像要素面上で著しく光強度密度が高い場合は、画像要素の好ましくない変化や支持体の局部的な歪みを生じ易い傾向がある。また、光照射時間が著しく短い場合は十分な加熱効果が得られないという傾向がある。また、著しく光強度密度が高い場合には、長時間の照射を行うと支持体に歪みを生じやすいという傾向がある。従って、必要な光照射時間は強度に依存し、また、画像要素の表面温度にも依存するが、通常1秒以上である。例えば画像要素の表面温度が250℃であれば1〜60秒、230℃であれば10〜80秒、200℃であれば30秒以上の照射が必要となる。また、例えば光強度密度が6W/cmであれば1〜20秒、10W/cm程度であれば1〜15秒程度の範囲の照射時間で良好なバーニング効果を得られる。
【0082】
なお、本発明に係るバーニング工程で用いる装置には、内部で煙等が発生した場合に、それを除去するための排気装置を備えることが好ましい。また、装置内はいくつかの部屋に分割され、独立に温度管理されていても良い。また、装置の外壁の内側に断熱材を配して、外壁の温度が50℃以下となるようにすることが好ましい。また、本発明によれば、バーニング用光光源は支持体が装入されたときだけ発光していれば良いので、シーケンサーにより、支持体の出入りを検知し、使用する光源のon/offを制御する仕組みがあっても良い。また、更に細かい条件制御のために、個々の光源をタイミングをみはからってon/offさせるプログラムにより画像情報、版情報に従い、光照射を行っても良い。
【0083】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0084】
実施例1〜3、比較例1〜3
(支持体の作製)
アルミニウム板(厚さ0.24mm)を5重量%の水酸化ナトリウム水溶液中で60℃で1分間脱脂処理した後、0.5モル/リットルの濃度の塩酸水溶液中において、温度25℃、電流密度60A/dm、処理時間30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで、5重量%水酸化ナトリウム水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20重量%硫酸溶液中において、温度20℃、電流密度3A/dm、処理時間1分の条件で陽極酸化処理を行った。そして、80℃の熱水で20秒間熱水封孔処理を行い、平版印刷版支持体用のアルミニウム板を作製した。表面粗度計(小坂研究所社製、「SE−3DH」)によりこのアルミニウム板の表面粗さを測定したところ、平均粗さRaの値は0.60μmであった。
【0085】
(塗布液の調製及び塗布)
下記の感光性層成分をメチルセロソルブ1000重量部に対して室温で攪拌することにより感光性組成物の塗布液を調液した。
<感光性層成分>
下記のインドール系色素:6重量部
アルカリ可溶性樹脂
フェノール:m−クレゾール:p−クレゾールの混合割合がモル比で50:30:20の混合フェノール類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体から成るノボラック樹脂(Mw 9,400):100重量部
クリスタルバイオレットラクトン:10重量部
日光ケミカル株式会社製界面活性剤「GO−4」:4重量部、
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸:6重量部
架橋剤
メトキシメチル化メラミン(三井サイテック社製、C−300):1重量部
ノボラック樹脂と5−ヒドロキシ−6−ジアセチルメチリデンヒドラジノ−ナ
フタレンスルホン酸とのエステル縮合物:10重量部
【0086】
【化6】
Figure 2004138907
【0087】
次いで、調製した塗布液を上記アルミニウム板支持体表面にワイヤーバーを使用して乾燥後の塗膜量が2g/mとなるように塗布し、80℃で3分乾燥した後、59℃で48時間加温処理した。
【0088】
(露光・現像)
上記で得られたポジ型感光性平版印刷版(515cm×800cm)につき、830nmの半導体レーザーを光源とする露光装置(クレオ社製「Trendsetter3244T」)を用いて、100mJ/cmの露光エネルギーで200線で画像露光し、アルカリ現像液(三菱化学メディア社製平版印刷版用「DR−6」)を用いて30℃で自動現像機MD912(大日本スクリーン製造社製)にて現像した。
【0089】
(バーニング)
印刷版の入口及び出口を有する金属製のボックス内に、印刷版の搬送システムとしての金属製のベルトコンベアを設けると共に、この搬送システムで搬送される印刷版の上方に、印刷版から9cmの高さ位置に、搬送方向に10cm間隔で4本のハロゲンランプ(出力;表1に記載、発光効率;85%、発光光ピーク波長;1200nm、照射範囲;印刷版の搬送方向25mm×印刷版の搬送方向に垂直な方向1100mm、のウシオ電機社ハロゲンランプ)が設けられたバーニング装置で、印刷版を120cm/minの速度で4本のハロゲンランプの下を搬送しつつ加熱した。
【0090】
照射光の光源の強度は、例えば、出力4000Wの際に、照射範囲と発光効率から算出すると12.4W/cm(=4000×0.85÷(2.5×110))であった。
【0091】
このときの印刷版表面の最高温度100℃から最高温度への昇温速度、及び装置内の雰囲気温度は表1に示す通りであった。
【0092】
このバーニング装置には10m/minの流速の吸引装置を取り付け、発生するガス等を捕集したが、特に装置からの有臭ガス、煙等の発生は検知されなかった。
【0093】
光照射によるバーニング後の印刷版について、次の評価を行い、結果を表1に示した。
【0094】
(歪み評価)
静置した際の版の浮き部分の最大値を測定し、◎;1mm以下、○;1mmを超え2mm以下、Δ;2mmを超え5mm以下、×;5mmを超えるものとした。
【0095】
(耐薬品性評価)
ダイキュア洗い油N(大日本インキ社製)に25℃で1分漬浸し、◎;5%未満の色濃度の変化を示したもの、○;5%以上20%未満の色濃度の変化を示したもの、×;20%以上の色濃度の変化を示したものとした。
【0096】
(印刷性評価)
「三菱ダイヤ1E−2」(三菱重工製)により、通常の印刷を行い、◎;20万枚以上の耐刷力、○;10万枚以上の耐刷力、×;10万枚印刷時に部分的でも印刷欠陥を生じるものとした。
【0097】
なお、実施例1及び比較例1の光照射条件において、印刷版の搬送方向(進行方向)の先端から5cmの部分、先端から40cmの部分、60cmの部分、90cmの部分に熱伝対を貼り付け、バーニング処理中の画像要素の表面温度を測定し、各々、温度差(ΔT)/距離(ΔX)を算出したところ、その最大値は表1に示す通りであった。なお、実施例1における各熱伝対の測定温度の経時変化は図1に示す通りであった。
【0098】
【表1】
Figure 2004138907
【0099】
表1より、本発明によれば、歪みのない良好な印刷版を製造することができることがわかる。
【0100】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の画像形成方法によれば、バーニング工程において、作成された画像要素に少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光を照射して温度制御しながら加熱するという手法により、支持体の歪みを生じることなく、地汚れ性やインク着肉性等の印刷諸性能や機械的強度、耐薬品性等の耐久性に優れた画像形成材料、特には感光性平版印刷材料を歩留り良く、効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において、各熱伝対により測定された印刷版の表面温度の経時変化を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 支持体上に感光性層を設けた後、該感光性層を露光し、必要に応じて現像することにより画像要素を形成し、次いで形成された画像要素に少なくとも300〜3000nmの波長領域のいずれかを有する光を照射して該画像要素を加熱する工程を含む画像形成方法において、
    該感光性層は、熱の作用により樹脂を架橋し得る化合物又は熱硬化性の化合物を含み、
    該加熱工程において、該画像要素の表面温度の最高温度を200℃以上とすると共に、下記▲1▼及び/又は▲2▼を満たすことを特徴とする画像形成方法。
    ▲1▼ 画像要素をその表面温度が100℃から最高温度に加熱する際の該画像要素の表面温度の昇温速度が平均10℃/s以下である。
    ▲2▼ 該支持体を搬送しながら加熱する方法であって、該支持体の搬送方向に対して、ΔXcmの距離の2点の画像要素の表面温度の温度差(ΔT)が、ΔT/ΔX≦10℃/cm以下である。
  2. 請求項1において、該感光性層が光熱変換物質を含有することを特徴とする画像形成方法。
  3. 請求項1又は2において、該感光性層がアルカリ可溶性樹脂を含むポジ型の感光性層であることを特徴とする画像形成方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該加熱工程の照射光光源の光強度密度が100W/cm以下であり、照射時間が1秒以上であることを特徴とする画像形成方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、該感光性層を波長650〜1300nmの近赤外レーザー光により露光することを特徴とする画像形成方法。
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