JP2009023331A - ガスバリア性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたガスバリア性シートを提供する。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供する。
【解決手段】基材2上にガスバリア膜3を有するガスバリア性シートにおいて、ガスバリア膜3を、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)とし、かつ、ガスバリア膜3のSi−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度を0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmとし、ガスバリア膜3の屈折率を1.7〜2.1とすることによって、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスバリア性シートに関し、さらに詳しくは、生産性が高く、カールがしにくく、ガスバリア性に優れるガスバリア性シートに関する。
基材フィルム上に無機物や有機物の薄膜を形成して高いガスバリア性を発現させる試みは従来から行われている。例えば、特許文献1には、可撓性基材の片面又は両面に、基材に近い側から重合成分としてアクリル系モノマー及び/又はアクリル系重合性プレポリマーのみを含むUV硬化性樹脂の硬化物からなる厚さ0.1〜10μmのアクリル系樹脂層及び厚さ20〜100nmの無機バリア層が順次積層した積層構造を設けたガスバリア性フィルムが紹介されている。
同文献によれば、上記の特定のUV硬化性樹脂を用いて特定の厚さのUV硬化樹脂層を可撓性基材上に直接形成し、さらにその上に特定の厚さの無機バリア層を積層した場合に、良好なガスバリア性を示しながら、その製造工程においてカールの発生がほとんど起こらないガスバリア性フィルムが得られるとのことである。そして、無機バリア層に用いるセラミック材料としては、SiO、AlO、SiO、SiN、SiO、SiN、AlO、AlN、AlO、及びAlN等が例示されている。
特開2005−313560号公報(請求項1、第0012段落、第0039段落)
特許文献1においては、特定の厚さのアクリル系樹脂膜と、無機材料からなる特定の厚さのガスバリア膜とを組み合わせることにより、ガスバリア性シートのガスバリア性とカールの発生の抑制とを両立している。
しかしながら、ガスバリア性シートの生産性をより向上させる観点から、ガスバリア膜のみで、ガスバリア性とカールの発生の抑制とを両立させたいとの課題がある。
また、ガスバリア性シートは、有機ELディスプレイへの適用が期待されている。有機ELディスプレイは、薄型で形状が可変でフレキシブルであるため、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されているが、水分に対して弱いという課題がある。具体的には、有機ELディスプレイの陰極表面に存在するピンホール等の欠陥から水分や酸素が侵入すると陰極金属の酸化や陰極金属と有機化合物との界面剥離により発光しないエリアが発生し、表示品質を著しく低下させると同時に輝度の低下を招く。上記の発光しないエリアは、一般的に、ダークスポット又は黒点と呼ばれるが、こうしたダークスポットや黒点の発生を抑制して表示品質を確保するために、有機ELディスプレイへの水分や酸素の侵入を抑制する必要がある。このため、有機ELディスプレイへのガスバリア性シートの適用が試みられているのである。
有機ELディスプレイにガスバリア性シートを適用するにあたっては、有機ELディスプレイの良好な表示品質を保証する観点から、高レベルのガスバリア性が求められる。具体的には、ガスバリア性シートが一般的に用いられる食品関連分野と比較して、1/100又は1/1000以下のガスバリア性が必要となる。したがって、有機ELディスプレイに良好に適用するためには、従来よりも高レベルのガスバリア性を有するガスバリア性シートを開発する必要がある。
加えて、有機ELディスプレイは、その耐久性評価試験の一つにヒートサイクル試験がある。ヒートサイクル試験は、一定時間高温で保持する操作を繰り返し行い有機ELディスプレイの耐久性を評価する試験であるが、水分等の侵入抑制のために有機ELディスプレイに接して設けられるガスバリア性シートにおいても、こうしたヒートサイクル試験を経た場合にカール等の変形を起こさないことやガスバリア性が低下しないことが望まれる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたガスバリア性シートを提供することにある。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その第2の目的は、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制され、さらにガスバリア膜の接着性の高いガスバリア性シートを提供することにある。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することにある。
本発明者は、アクリル樹脂等のUV硬化樹脂膜を用いなくても、緻密性及び柔軟性に優れるガスバリア性シートの研究開発を行っている過程で、ガスバリア膜に用いる無機材料の組成と、ガスバリア膜の膜質とを改良することにより、ガスバリア膜単独で、ガスバリア性を高くし、カールの発生を抑制することができることを見出した。特に、有機ELディスプレイに求められる高いガスバリア性を有し、有機ELディスプレイの耐久試験として行われるヒートサイクル試験を経てもカールの発生が抑制されるとともにガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートが得られることを見出した。
上記課題を解決するための本発明の第1のガスバリア性シートは、基材上にガスバリア膜を有するガスバリア性シートにおいて、前記ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmであり、屈折率が1.7〜2.1であることを特徴とする。
この発明によれば、ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmであり、屈折率が1.7〜2.1であるので、単位厚さあたりのSi−N結合の量を増やすことができるとともにガスバリア膜の密度も高くしてガスバリア膜単独で良好なガスバリア性が確保できるとともに、所定量の酸素の導入により膜応力を低減させることでカールも発生しにくくなるので、その結果、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたガスバリア性シートを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することができる。
上記課題を解決するための本発明の第2のガスバリア性シートは、基材上にガスバリア膜を有するガスバリア性シートにおいて、前記ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.5×10−3/nmであり、屈折率が1.8〜2.3であることを特徴とする。
この発明によれば、ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.5×10−3/nmであり、屈折率が1.8〜2.3であるので、単位厚さあたりのSi−N結合の量を増やすことができるとともにガスバリア膜の密度も高くしてガスバリア膜単独で良好なガスバリア性が確保できるとともに、所定量の酸素の導入により膜応力を低減させることでカールも発生しにくくなり、また、炭素の導入により基材等との接着強度を高くすることができるので、その結果、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制され、さらにガスバリア膜の接着性の高いガスバリア性シートを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい態様においては、前記ガスバリア膜の消衰係数が、0.000001以上、0.03以下である。
この発明によれば、ガスバリア膜の消衰係数を0.000001以上、0.03以下とするので、ガスバリア膜の透明性を確保しやすくなり、その結果、透明性の高いガスバリア性シートを得ることができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい他の態様においては、前記ガスバリア膜上に透明導電膜を有する。
この発明によれば、カールの発生が抑制されたガスバリア膜上に透明導電膜を有するので、この透明導電膜を有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シートに付与することができるようになり、その結果、有機ELディスプレイの生産性や寿命を向上させることができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい他の態様においては、前記ガスバリア性シートの少なくとも片面にハードコート膜を設ける。
この発明によれば、ガスバリア性シートの少なくとも片面にハードコート膜を設けるので、ガスバリア性シートがハードコート膜により保護されるようになり、その結果、傷が付きにくいガスバリア性シートを提供することができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい他の態様においては、前記基材と前記ガスバリア膜との間にアンカーコート剤膜を設け、該アンカーコート剤膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する。
この発明によれば、基材とガスバリア膜との間にアンカーコート剤膜を設け、このアンカーコート剤膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有するので、ガスバリア膜と基材との接着性を向上させることができ、その結果、接着性の高いガスバリア性シートを得ることができる。
本発明のガスバリア性シートの好ましい他の態様においては、二次粒子の凝集により前記ガスバリア膜が形成され、前記二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下である。
この発明によれば、二次粒子の凝集によりガスバリア膜が形成され、この二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下であるので、隣接する二次粒子が十分に凝集するため、その結果、基材の柔軟性を保持しつつ、生産性を落とすことなくガスバリア性を確保することができる。
本発明の第1のガスバリア性シートによれば、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたガスバリア性シートを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することができる。
本発明の第2のガスバリア性シートによれば、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制され、さらにガスバリア膜の接着性の高いガスバリア性シートを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シートを提供することができる。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図であり、図2は本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図であり、図3は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図であり、図5は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。図6は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。図7は本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
本発明のガスバリア性シート1は、図1に示すように、基材2上にガスバリア膜3を有するガスバリア性シート1Aの形態を有している。また、本発明のガスバリア性シート1は、図2に示すように、基材2上にガスバリア膜3を有し、さらにガスバリア膜3上に透明導電膜4を有するガスバリア性シート1Bの形態を有することもできる。さらに、本発明のガスバリア性シート1は、図3に示すように、ガスバリア性シート1Cの少なくとも片面にハードコート膜5を設けた形態を有することもできる。より具体的には、ガスバリア性シート1Cは、基材2上にガスバリア膜3と透明導電膜4とをこの順に有し、基材2のガスバリア膜3が形成された面との反対側の面にハードコート膜5が設けられている。なお、ハードコート膜5の代わりにガスバリア膜を形成してもよい。また、ガスバリア性シート1Aでは基材2とガスバリア膜3とが接して設けられているが、基材2とガスバリア膜3との間にはアンカーコート剤膜や平滑化膜等の膜を単数又は複数設けてもよい。実際に、図5に示すガスバリア性シート1Dは、基材2とガスバリア膜3との間にアンカーコート剤膜9を設けたものである。同様に、アンカーコート剤膜や平滑化膜等の膜は、ガスバリア性シート1B,1Cの基材2とガスバリア膜3との界面、ガスバリア膜3と透明導電膜4の界面、及び基材2とハードコート膜5との界面においても設けることができる。さらに、ガスバリア性シート1Cにおいては、ハードコート膜5を透明導電膜4側に設けてもよい。こうした膜の積層に関するバリエーションは、本発明の要旨の範囲内において適宜行うことができる。
ガスバリア性シート1E,1Fは、図6,7に示されるように、ガスバリア膜3を基材2の両面に設ける態様であり、本発明において採用可能なバリエーションの1つである。具体的には、ガスバリア性シート1Eでは、図6に示すように、基材2の一方の面にアンカーコート剤膜9を介してガスバリア膜3が設けられている。さらに基材2の他方の面にもう一つのガスバリア膜3が設けられ、このガスバリア膜3の上に透明導電膜4が設けられている。ガスバリア性シート1Fでは、図7に示すように、基材2の一方の面にガスバリア膜3が設けられ、他方の面には、アンカーコート剤膜9を介してもう一つのガスバリア膜3が設けられている。さらに、このガスバリア膜3の上には透明導電膜4が設けられている。
(基材)
基材2としては、各種の基材を用いることができ、主にはシート状やフィルム状、巻き取りロール状のものが用いられるが、具体的な用途や目的等に応じて、非フレキシブル基板やフレキシブル基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、硬質樹脂基板、ウエハ、プリント基板、様々なカード、樹脂シート等の非フレキシブル基板を用いてもよいし、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリシルセスキオキサン、ポリノルボルネン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、非晶質シクロポリオレフィン、セルローストリアセテート等のフレキシブル基板を用いてもよい。基材2が樹脂製である場合、用いる樹脂としては上記例示した樹脂を適宜混合して用いてもよい。また、基材2が樹脂製である場合、好ましくは100℃以上、特に好ましくは150℃以上の耐熱性を有するものが適当である。
こうした樹脂製の基材2としては、具体的には、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルム(例えば、日本ゼオン株式会社のゼオネックス(登録商標)やゼオノア(登録商標)、JSR株式会社のARTON等)、ポリカーボネートフィルム(例えば、帝人化成株式会社のピュアエース等)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、帝人化成株式会社製のもの等)、セルローストリアセテートフィルム(例えば、コニカミノルタオプト株式会社のコニカタックKC4UX、KC8UX等)、ポリエチレンナフタレートフィルム(例えば、帝人デュポンフィルム株式会社のテオネックス(登録商標)等)の市販品を挙げることができる。
基材2の厚さは、可撓性及び形態保持性の観点から、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは150μm以下とする。
基材2を、透明性が必要とされる有機ELディスプレイ等の発光素子の基板として用いる場合には、基材2は無色透明であることが好ましい。基材2とともにガスバリア膜3等の他の膜を無色透明とすることにより、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを透明とすることが可能となる。より具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内での基材2の平均光透過度が80%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。こうした光透過度は基材2の材質と厚さに影響されるので両者を考慮して構成される。
基材2の表面は、平滑であることが好ましい。具体的には、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常0.3nm以上とする。この範囲とすれば、基材2に適度な表面粗さを付与することができ、基材2を巻き取りロールとした際に互いに接触する基材2同士の接触面に滑りが生じにくくなる。また、基材2の表面の算術平均粗さ(Ra)は、通常100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下とする。この範囲とすれば、基材2の平滑性が向上し、有機ELディスプレイ等の表示素子を作製する際に発生することのある短絡を抑制できる利点が発揮されやすくなる。なお、算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601−2001(ISO4287−1997準拠)に従って測定すればよい。
基材2は、熱に対して変形しにくいことが好ましい。ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fが有機ELディスプレイに適用される場合には、ヒートサイクル試験のような加熱・冷却のストレスに対してもガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fが変形しないことが求められるからである。具体的には、基材2の線膨張係数は、通常5ppm/℃以上、また、通常80ppm/℃以下、好ましくは50ppm/℃以下とする。線膨張係数の測定は、従来公知の方法を用いて行えばよく、例えばTMA法(熱機械分析法)を挙げることができる。TMA法に用いる測定装置としては、例えば、示差膨張方式熱機械分析装置であるリガク 製 CN8098F1を用いることができる。
基材2として樹脂製のものを用いる場合には、その製造方法も従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。また、樹脂製の基材2を用いる場合には、延伸フィルムを用いてもよい。延伸の方法も従来公知の一般的な方法を用いればよい。延伸倍率は、基材2の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向及び横軸方向にそれぞれ2〜10倍とすることが好ましい。
基材2の表面は、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、加熱処理、薬品処理、易接着処理等の表面処理を行ってもよい。こうした表面処理の具体的な方法は従来公知のものを適宜用いることができる。また、基材2の表面には、ガスバリア膜3等との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤膜を形成してもよい。こうしたアンカーコート剤膜としては、従来公知のものを適宜用いればよい。
(ガスバリア膜)
本発明においては、2つのタイプのガスバリア膜3を用いることができる。
(第1のガスバリア膜)
第1のガスバリア膜においては、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmであり、屈折率が1.7〜2.1であるガスバリア膜3Aを用いる。
上記のガスバリア膜3Aを用いることにより、単位厚さあたりのSi−N結合の量を増やすことができるとともにガスバリア膜3Aの密度も高くしてガスバリア膜3A単独で良好なガスバリア性が確保できるとともに、所定量の酸素の導入により膜応力を低減させることでカールも発生しにくくなるので、その結果、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを提供することができる。
ガスバリア膜3Aとしては、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)を用いる。ガスバリアを目的として従来用いられていたSiN膜は、a=0.5、b=1.5又はa=1.4、b=0.1のものであったが、本願発明においては、上記所定のSiN膜とすることにより、ガスバリア性に寄与するSi−N結合の量を確保するとともに、ガスバリア膜3Aに柔軟性を付与するための適当な酸素量を確保することができるので、ガスバリア膜3A単独でガスバリア性とカールの発生の抑制との両立が行いやすくなる。そして、ガスバリア性の確保に寄与する緻密性とカールの発生の抑制に寄与する柔軟性とのバランスがとれているために、加熱・冷却のストレスに対するガスバリア膜3Aの亀裂発生や基材2等からの剥離が抑制される。この結果、ヒートサイクル試験後においてもカールの発生が抑制されやすくなるとともに、ガスバリア膜に亀裂が発生することに伴うガスバリア性の低下も抑制されやすくなる。
ガスバリア膜3AのSiN膜におけるxは、0.5以上、好ましくは0.7以上、また、1.5以下、好ましくは1.3以下、とする。上記範囲とすれば、ガスバリア膜3A中のSi−N結合の量を確保して、ガスバリア膜3Aのガスバリア性を向上させやすくなる。一方、yは、0.25以上、好ましくは0.3以上、また、1以下、好ましくは0.7以下、とする。上記範囲とすれば、ガスバリア膜3A中の酸素の含有量を確保して、ガスバリア膜3Aに柔軟性を付与しやすくなる。なお、本発明の要旨の範囲内であれば、ガスバリア膜3Aは、不純物や添加剤としてSi、N、O以外の元素や物質を含有してもよい。
ガスバリア膜3Aが、所定のSiN膜となっているか否かは、例えば、Si、N、Oの原子数比を求めることにより確認することができる。こうした原子数比を求める方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、XPS(X線光電子分析装置)等の分析装置で得られた結果で評価できる。本発明においては、XPSの測定は、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定している。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用している。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行っている。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、C:1s、N:1s、O:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行っている。このとき、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させる。そして、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求めている。得られた原子数比について、Si原子数を1とし、他の成分であるNとOの原子数を算出して成分割合としている。
ガスバリア膜3Aにおいては、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度を、0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmとする。Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度からガスバリア膜3Aの単位厚さあたりのSi−N結合の量を見積もることができるので、この吸収強度を上記範囲とすれば、単位厚さに所定量のSi−N結合を存在させることができる。この結果、Si−N結合間距離が近くなるために、酸素や水蒸気がガスバリア膜3Aを通過しにくくなり、ガスバリア性を確保しやすくなる。より具体的には、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度は、0.5×10−3/nm以上とするが、0.7×10−3/nm以上とすることが好ましい。上記範囲とすることにより、単位厚さあたりのSi−N結合の量を確保することができ、撥水性のSi−N結合がイオン性の酸素や水蒸気の透過を抑制できるようになる。一方、ガスバリア性の確保の観点からは、単位厚さあたりのSi−N結合の量を多くすればするほど好ましいが、Si−N結合の量が多くなるとガスバリア膜3Aの膜質が固くなる傾向となるため、Si−N結合の量が過度に多いと、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fの柔軟性が不十分となる。このため、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度は、1.8×10−3/nm以下とする。なお、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度は、単位厚さあたりのSi−N結合の量を表しているので、上記SiN膜における窒素の組成比xの値に一部影響を受けるが、基本的には、上記の吸収強度はSiN膜の組成比から独立したパラメータである。なぜなら、同じ組成比を有するガスバリア膜3Aであっても、単位厚さあたりのSi−N結合の量は、組成比とは独立に制御することができるからである。
ガスバリア膜3Aにおける、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度の測定は、ガスバリア膜3Aの赤外吸収スペクトルを測定し、(Si−N結合に対応する波数830cm−1〜840cm−1における赤外吸収ピークの強度)/(ガスバリア膜3Aの厚さ)を計算することにより求めることができる。赤外吸収スペクトルの測定は、通常、赤外分光光度計で測定することができる。本発明においては、多重反射(ATR)測定装置を備えたフーリエ変換型赤外分光光度計(日本分光株式会社製、HerschelFT−IR−610)を使用して測定している。そして、測定は多重反射法(ATR法)にて行い、標準光源を使用し、検出器はMCT、測定範囲は4000−400cm−1、積算回数は256回、分解能は4cm−1としている。また、ガスバリア膜3Aの厚さは、従来公知の方法を用いることができ、本発明においては、段差計(株式会社アルバック製、DEKTAK IIA)を使用して測定している。そして、スキャン範囲を2mm、スキャンスピードをLowに設定して測定を行っている。
ガスバリア膜3Aにおいては、屈折率を1.7〜2.1とする。屈折率はガスバリア膜3Aの密度を反映した値となるので、屈折率を高くすることによりガスバリア膜3Aの密度を高くすることができる。そして、ガスバリア膜3Aの密度を高くすることができれば、酸素や水蒸気の透過性を下げることができガスバリア性が向上する。屈折率は、1.7以上とするが、好ましくは1.8以上とする。上記範囲とすることにより、ガスバリア膜3Aの密度を確保して酸素や水蒸気の透過を抑制できるようになる。一方、ガスバリア性の確保の観点からは、ガスバリア膜3Aの密度を上げることが好ましいので屈折率を大きくすることが好ましいが、屈折率が大きくなるとガスバリア膜3Aの膜質として固くなる傾向となるため、屈折率が過度に大きいと、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fの柔軟性が不十分となる。このため、屈折率は2.1以下とし、好ましくは2.0以下とする。なお、SiN膜は、窒化珪素と酸化珪素の混合物と解釈することもできるので、ガスバリア膜3Aの屈折率は、窒化珪素の屈折率(2.45程度)と酸化珪素の屈折率(1.45程度)とを、窒化珪素と酸化珪素との混合比から算出される値として求めることができる。このため、屈折率は、上記の単位厚さあたりの吸収強度よりも上記SiN膜の組成比に影響を受けやすい。しかしながら、同じ組成比を有するガスバリア膜3Aであっても、密度を変化させれば屈折率を変化させることができるので、上記SiN膜の組成比と屈折率とは独立して制御することはできる。
ガスバリア膜3Aにおける屈折率の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エリプソメーターを用いることができる。本発明においては、屈折率をJOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定している。そして、測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVとして行っている。
ガスバリア膜3Aの厚さは、通常10nm以上、好ましくは30nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは150nm以下とする。ガスバリア膜3Aの厚さを上記範囲とすれば、ガスバリア膜3A単独でガスバリア性とカールの発生の抑制との両立が行いやすくなる。
ガスバリア膜3Aを、透明性が必要とされる有機ELディスプレイ等の発光素子のガスバリア膜として用いる場合には、ガスバリア膜3Aは透明であることが好ましい。ガスバリア膜3Aとともに基材2等の他の膜を透明とすることにより、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを透明とすることが可能となる。より具体的には、例えば400nm〜700nmの範囲内でのガスバリア膜3Aの平均光透過度が75%以上の透明性を有するように構成することが好ましい。こうした光透過度はガスバリア膜3Aの組成や厚さに影響されるので両者を考慮して構成される。
ガスバリア膜3Aの透明性を確保するために、ガスバリア膜3Aの消衰係数を、0.000001以上、0.03以下とすることが好ましい。消衰係数は、より好ましくは0.000005以上、さらに好ましくは0.00001以上、また、より好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.005以下とする。消衰係数を上記範囲とすることにより、ガスバリア膜3Aの透明性を確保しやすくなるので、その結果、透明性の高いガスバリア性シート1を得ることができる。
ガスバリア膜3Aにおける消衰係数の測定は、従来公知の方法を用いることができ、例えば、エリプソメーターを用いることができる。本発明においては、消衰係数をJOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定している。そして、測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVの条件で行っている。
ガスバリア膜3Aは、絶縁性であることが好ましい。具体的には、ガスバリア性シート1をディスプレイ用基板や、有機ELディスプレイ等のディスプレイ用の封止用フィルムとして用いた場合、ディスプレイが有する陰極と陽極との短絡を抑制するために、ガスバリア膜3Aが絶縁性であることが好ましい。より詳しくは、ガスバリア膜3Aの表面抵抗値が1010Ω/□以上であることが好ましく、1011Ω/□以上であることがより好ましい。また、表面抵抗値は、高ければ高い方がよいが、通常1016Ω/□以下となる。
ガスバリア膜3Aにおける表面抵抗値の測定は、従来公知の方法を用いることができ、本発明においては、表面抵抗値を、株式会社ダイアインスツルメンツ製の高抵抗率計であるハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定している。
ガスバリア膜3Aは、二次粒子の凝集により形成され、この二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下であることが好ましい。これにより、隣接する二次粒子が十分に凝集するため、その結果、基材2の柔軟性を保持しつつ、生産性を落とすことなくガスバリア性を確保することができる。
ガスバリア膜3Aは、通常、二次粒子が凝集することによって形成される。ここで、ガスバリア性を究極的に向上させる観点からは、粒子同士の境界が観察されずガスバリア膜3Aが連続的に形成されている状態が理想的である。しかしながら、こうした状態を作り出すことは容易ではない。例えば、高温焼成が可能な基材2(例えばガラス)を用いて、基材2上に形成(成膜)されたガスバリア膜3Aを高温焼成した場合であっても、二次粒子同士の粒子界面を完全になくすことは難しいとともに、硬質な薄膜が形成され、柔軟性に欠け、亀裂が発生しやすくなる。但し、高温焼成をして得られるガスバリア膜3Aは、隣接する二次粒子同時の凝集がより進む結果、焼成前よりもガスバリア性が向上する。一方で、基材2としては、上述のとおり樹脂製等種々の材料を用いることが求められ、高温焼成に耐えうる程の耐熱性を有しないものを用いる場合もある。このため、成膜後のガスバリア膜3Aを高温焼成することは工業的には行いにくい。また、こうした焼成工程を新たに行うことは、生産効率の確保という点からも行いにくい。さらに、高温焼成によりガスバリア膜3Aの柔軟性が損なわれるのであれば、樹脂製の基材2を用いた場合に奏される特徴であるフレキシビリティが得にくくなる。そこで、ガスバリア膜3Aが成膜された状態で、柔軟性を損なうことなく高温焼成をしたガスバリア膜3Aが有する程度のガスバリア性を付与することが望まれる。
ガスバリア膜3Aの状態につき、本発明者が検討を重ねた結果、後述するイオンプレーティング法を用いてガスバリア膜3Aの形成(成膜)を行えば、プラズマが熱の代わりとして作用して、成膜時においても高温焼成と類似の反応性を得ることができるために、ガスバリア性を確保しやすくなることがわかった。よって、硬質な薄膜ではない柔軟性のあるガスバリア膜3Aが得られ、基材2の柔軟性を確保したまま、ガスバリア性に優れたガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを得やすくなる。具体的には、イオンプレーティング法を用いることにより、二次粒子の凝集が起こり、二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下となりやすく、柔軟性を損なうことなくガスバリア性がより確保されやすくなることがわかった。ガスバリア性をより確保する観点からは、二次粒子の粒径を、より好ましくは250nm以上、さらに好ましくは300nm以上とし、また、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは500nm以下とする。
ガスバリア膜3Aの二次粒子径は、上述のとおり、イオンプレーティング法を用いることにより制御することができるが、この他、基材2の種類や基材2の前処理によっても制御することができる。具体的には、上記粒径範囲に制御するためには、基材2として樹脂製のものを用いることやその表面性を制御することが好ましい。そして、ガスバリア膜3Aを構成する二次粒子の粒径が基材2の種類によって影響を受けることからわかるように、ガスバリア膜3Aを後述するアンダーコート剤膜9上に形成する場合には、ガスバリア膜3Aの好ましい二次粒子径の範囲も変動する。具体的には、ガスバリア膜3Aをアンダーコート剤膜9の上に設ける場合には、二次粒子の粒径が、好ましくは300nm以上、より好ましくは400nm以上、また、好ましくは1500nm以下、より好ましくは1000nmnm以下となる。
ガスバリア膜3Aを構成する二次粒子の測定は、従来公知の方法を適宜用いればよく、例えば、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて測定することができる。具体的には、セイコーインスツルメンツ社製のNanopics−1000を用い、観察モードがコンタクトモード、スキャン範囲を4μm角、走査速度は90秒/フレームの測定条件にて測定を行えばよい。続いて、パソコン等にインストールされた解析ソフト上で、任意の30個の点をトラックボール操作で設定する。そして、その点に対して最小自乗法円近似を行い、その平均値を二次粒子径とする。なお、トラックボールの代わりに、マウスやキーボード等の他の入力装置を適宜用いてもよい。
ガスバリア膜3Aの製造方法は特に制限はないが、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、Cat−CVD法やプラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等を用いればよい。こうした製造方法は、成膜材料の種類、成膜のしやすさ、工程効率等を考慮して選択すればよい。こうした製造方法のいくつかにつき以下説明する。
真空蒸着法とは、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子線やイオンビーム等のビーム加熱等により、るつぼに入った材料を加熱、蒸発させて基材2に付着させ、ガスバリア膜3Aを得る方法である。その際、ガスバリア膜3Aの組成等により加熱温度、加熱方法を変化させることができ、成膜時に酸化反応等を起こさせる反応性蒸着法も使用できる。
スパッタリング法とは、真空チャンバー内にターゲットを設置し、高電圧をかけてイオン化した希ガス元素(通常はアルゴン)をターゲットに衝突させて、ターゲット表面の原子をはじき出し、基材2に付着させ、ガスバリア膜3Aを得る方法である。このとき、チャンバー内に窒素ガスや酸素ガスを流すことにより、ターゲットからはじき出された元素と、窒素や酸素とを反応させてガスバリア膜3Aを形成する、反応性スパッタリング法を用いてもよい。スパッタリング法としては、例えば、DC2極スパッタリング、RF2極スパッタリング、3極・4極スパッタリング、ECRスパッタリング、イオンビームスパッタリング、及びマグネトロンスパッタリング等を挙げることができるが、工業的にはマグネトロンスパッタリングを用いることが好ましい。
イオンプレーティング法とは、真空蒸着とプラズマの複合技術であり、原則としてガスプラズマを利用して、蒸発粒子の一部をイオンもしくは励起粒子とし、活性化して薄膜を形成する方法である。イオンプレーティング法においては、反応ガスのプラズマを利用して蒸発粒子と結合させ、化合物膜を合成させる反応性イオンプレーティングが有効である。プラズマ中の操作であるため、安定なプラズマを得るのが第1条件であり、低ガス圧の領域での弱電離プラズマによる低温プラズマを用いる場合が多い。このため、混合物や複合酸化物を形成する場合に好ましく用いられる。放電を起こす手段から、直流励起型と高周波励起型に大別されるが、ほかに蒸発機構にホローカソード、イオンビームを用いる場合もある。
プラズマCVD法とは、化学気相成長法の一種である。プラズマCVD法においては、プラズマ放電中に原料を気化して供給し、系内のガスを衝突により相互に活性化してラジカル化するため、熱的励起のみによっては不可能な低温下での反応が可能となる。基材2は背後からヒータによって加熱され、電極間の放電中での反応により膜が形成される。プラズマの発生に用いる周波数により、HF(数十〜数百kHz)、RF(13.56MHz)、及びマイクロ波(2.45GHz)に分類される。マイクロ波を用いる場合は、反応ガスを励起し、アフターグロー中で成膜する方法と、ECR条件を満たす磁場(875Gauss)中にマイクロ波導入するECRプラズマCVDに大別される。また、プラズマ発生方法で分類すると、容量結合方式(平行平板型)と誘導結合方式(コイル方式)に分類される。
ガスバリア膜3Aは、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)とされるが、SiN膜の組成の制御は、上記紹介した製造方法を適宜用いつつ、製造条件を適宜変化させることにより行うことができる。
ガスバリア膜3Aにおいては、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度を所定の範囲に制御する必要がある。これは、上述したとおり、単位厚さあたりのSi−N結合の量を制御することを意味するが、こうした吸収強度の制御は、例えば、成膜時のガスの種類や濃度を変化させることによっても行うことができる。
具体的には、スパッタリング法やイオンプレーティング法を用いる場合には、窒素ガスの濃度を変化させることによってガスバリア膜3Aの単位厚さあたりのSi−N結合の量を制御することができる。例えば、窒素ガス濃度を高くすると、成膜されるガスバリア膜3Aの単位厚さあたりの窒素の密度を高くすることができる。これにより、単位厚さあたりのSi−N結合の量も多くなって上記の吸収強度を所定の範囲としやすくなる。一方で、窒素ガスの濃度を高くしてもSiN膜の組成には影響がないので、SiN膜の組成とは独立に、上記の吸収強度のみの制御を行いやすくなる。
一方、プラズマCVD法やイオンプレーティング法を用いる場合には、アンモニアガスを用いることによって、ガスバリア膜3AのSiN膜の組成と単位厚さあたりのSi−N結合の量との制御することができる。アンモニアガスを用いると、窒化反応が促進されるのでSiN膜の組成が制御しやすくなる一方で、単位厚さあたりのSi−N結合の量(Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度)は変化を受けにくい。このため、例えば、単位厚さあたりのSi−N結合の量を変化させずにSiN膜の組成の制御だけを行いたいという場合には、アンモニアガスを用いればよい。
ガスバリア膜3Aにおいては、屈折率を所定の範囲に制御する必要がある。屈折率の制御は、ガスバリア膜3Aの密度の制御により行うことができるので、例えば、ガスバリア膜3Aの堆積速度(成膜速度)を変化させることにより、ガスバリア膜の密度を制御することにより行うことができる。上記製造方法として、特に好ましいのは、イオンプレーティング法である。これは、生産性に優れるとともに、組成や屈折率、Si−N結合の制御が容易となるためである。
(第2のガスバリア膜)
第2のガスバリア膜においては、SiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.5×10−3/nmであり、屈折率が1.8〜2.3であるガスバリア膜3Bを用いる。
上記のガスバリア膜3Bを用いることにより、単位厚さあたりのSi−N結合の量を増やすことができるとともにガスバリア膜3Bの密度も高くしてガスバリア膜3B単独で良好なガスバリア性が確保できるとともに、所定量の酸素の導入により膜応力を低減させることでカールも発生しにくくなり、また、炭素の導入により基材2等との接着強度を高くすることができるので、その結果、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制され、さらにガスバリア膜3Bの接着性の高いガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを提供することができる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを提供することができる。
第1のガスバリア膜3Aと第2のガスバリア膜3Bとは、組成等に関する基本的な考え方やその特性は共通している。異なるのは、第2のガスバリア膜3Bは、炭素の導入により膜質が幾分変化する点にある。具体的には、第2のガスバリア膜3Bと第1のガスバリア膜3Aとの第1の相違点は、ガスバリア膜3BはSiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)であり、所定量の炭素が導入されているのに対して、ガスバリア膜3AはSiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)であり、炭素の導入がない点である。そして、第2の相違点は、炭素の導入に伴い、ガスバリア膜3Aと比較して、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度の上限値と、屈折率の範囲とがガスバリア膜3Bでは変化する点である。その他の点は、ガスバリア膜3Aと同様とすればよいので、以下では相違点を中心に説明する。
ガスバリア膜3Bは、SiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)である。上記所定のSiN膜とすることにより、ガスバリア性に寄与するSi−N結合の量を確保しつつ、ガスバリア膜3Bに柔軟性を付与するための適当な酸素量を確保することができ、さらにガスバリア膜3Bの接着性に寄与する適当な量の炭素を確保することができるので、ガスバリア膜3B単独でガスバリア性、カールの発生の抑制、及び基材2等との接着性の確保が行いやすくなる。なお、SiN膜において、m、lの値の範囲とその意義は、ガスバリア膜3AのSiN膜と同様である。
ガスバリア膜3Bに用いるSiN膜では、炭素を所定量導入する。炭素としては、具体的には、低級炭化水素やアルコール類、ケトン類、アセトアルデヒド類等を挙げることができる。このように、いわゆる炭素を導入することにより基材2等との接着強度を高くすることができるが、これはおそらく、炭素が、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ケトン基、アセトアルデヒド基等の有機の官能基としてSiやOの周りに結合しているためであると推測される。そして、例えば、基材2に樹脂製フィルムを用いた場合には、こうした有機の官能基と基材表面との相互作用が強まり、ガスバリア膜3Bの基材2との接着強度が向上するものと考えられる。ガスバリア膜3Bと基材2等との接着強度が高くなることにより、加熱・冷却の熱ストレスに対してガスバリア膜3Bが基材2等からより剥離しにくくなり、ヒートサイクル試験後においてもカールの発生が抑制されやすくなるとともにガスバリア性の低下も抑制されやすくなる。以上説明した基材2等との接着性確保の観点から、SiN膜において、nは、0.1以上、好ましくは0.3以上、また、1以下、好ましくは0.8以下、とする。
なお、SiN膜の組成分析については、SiN膜と同様XPSにより分析することができる。測定方法についてもSiN膜の場合と基本的には同様とすればよい。ただ、SiN膜では炭素が導入されるので、測定後の解析において、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させる。各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求める。この場合の炭素は、炭化水素に帰属されるピークを除いて、算出する。そして、得られた原子数比について、Si原子数を1とし、他の成分であるN、O、及びCの原子数を算出して成分割合とする。
ガスバリア膜3Bに用いるSiN膜は、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度における上限が1.5×10−3/nmとなり、ガスバリア膜3Aに用いるSiN膜の上記吸収強度の上限1.8×10−3/nmよりも小さい値となる。これは、SiN膜においては炭素が導入される分、単位Si量に対するSi−N結合の比が低下するからである。また、ガスバリア膜3Bに用いるSiN膜は、屈折率が1.8〜2.3となり、ガスバリア膜3Aに用いるSiN膜の屈折率1.7〜2.1と比較して高い範囲となっている。これは、SiN膜においては炭素が導入される分、密度が高くなるからである。SiN膜の屈折率は、SiN膜の場合と同様に密度を高くする観点から好ましくは1.9以上、また膜質の柔軟性確保の観点から好ましくは2.2以下とする。
ガスバリア膜3Bの透明性を確保するために、ガスバリア膜3Bの消衰係数を所定範囲に制御することが好ましい。この点は、「第1のガスバリア膜」におけるガスバリア膜3Aと同様である。具体的には、消衰係数は、0.000001以上、0.03以下とすることが好ましい。消衰係数は、より好ましくは0.000005以上、さらに好ましくは0.00001以上、また、より好ましくは0.01以下、さらに好ましくは0.005以下とする。消衰係数を上記範囲とすることにより、ガスバリア膜3Bの透明性を確保しやすくなるので、その結果、透明性の高いガスバリア性シート1を得ることができる。ガスバリア膜3Bにおける消衰係数の測定は、「第1のガスバリア膜」におけるガスバリア膜3Aで説明したものと同様の方法を用いて行うことができる。
ガスバリア膜3Bは、絶縁性であることが好ましい。この点は、「第1のガスバリア膜」におけるガスバリア膜3Aと同様である。すなわち、ガスバリア性シート1をディスプレイ用基板や、有機ELディスプレイ等のディスプレイ用の封止用フィルムとして用いた場合、ディスプレイが有する陰極と陽極との短絡を抑制するために、ガスバリア膜3Bが絶縁性であることが好ましい。より詳しくは、ガスバリア膜3Bの表面抵抗値が1010Ω/□以上であることが好ましく、1012Ω/□以上であることがより好ましい。また、表面抵抗値は、高ければ高い方がよいが、通常1016Ω/□以下となる。ガスバリア膜3Bにおける表面抵抗値の測定は、「第1のガスバリア膜」におけるガスバリア膜3Aで説明したものと同様の方法を用いて行うことができる。
ガスバリア膜3Bも、ガスバリア膜3Aと同様に、二次粒子の凝集により形成され、この二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下であることが好ましい。これにより、隣接する二次粒子が十分に凝集するため、その結果、基材の柔軟性を保持しつつ、生産性を落とすことなくガスバリア性を確保することができる。粒径の好ましい範囲やその測定方法、アンカーコート剤膜9上に形成される場合の好ましい粒径範囲等については、ガスバリア膜3Aで説明したとおりなので、重複をさけるため、ここでの説明は省略する。
ガスバリア膜3Bに用いるSiN膜は、基本的にはSiN膜で説明したものと同様の製造方法によって得ることができるが、ガスバリア膜3Bに炭素を導入するという観点からは、基材上へSiN膜を形成する際に、反応ガスとして、低級炭化水素やアルコール類、ケトン類、アセトアルデヒド類等を導入し、反応系中のプラズマによって活性化し、薄膜内に取り込まれる方法を用いることが好ましい。
(透明導電膜)
透明導電膜4は、ガスバリア膜3上に設けられる。より具体的には、ガスバリア性シート1B,1C,1E,1Fにおいて、透明導電膜4が、カールの発生が抑制されたガスバリア膜3上に設けられている。透明導電膜4は、有機ELディスプレイの陽極として利用する、又は放熱機能及び帯電防止機能をガスバリア性シートに付与することができるので、透明導電膜4を設けることにより、有機ELディスプレイの生産性や寿命を向上させることができる。
透明導電膜4は、有機ELディスプレイに陽極がすでに設けられている場合には、帯電防止性能と放熱機能をガスバリア性シート1B,1C,1E,1Fに付与する目的で設けられることもある。具体的には、ガスバリア性シート1B,1C,1E,1Fが有機ELディスプレイを内包する場合には、透明導電膜4により有機ELディスプレイで発生するジュール熱を放熱させる、フィルム上で帯電する外部電荷を逃がすというような機能を付与することができる。例えば、有機ELディスプレイの課題である発熱による素子劣化を抑制するために透明導電膜4を設けることができるのである。但し、透明導電膜4を用いて帯電防止機能や放熱機能を付与する場合、透明導電膜4は、通常有機ELディスプレイの電極に接することになる。そのため、電極から電流がリークしないように、導電率を適切に制御することが好ましい。この場合、透明導電膜4の表面抵抗値を10Ω/□以上、10Ω/□以下に制御することが好ましい。より好ましくは、透明導電膜4の表面抵抗値を10Ω/□以下に制御する。また、熱伝導性確保の観点から、透明導電膜4の熱伝導率は、通常0.5W/mK以上、好ましくは1W/mK以上、また、通常20W/mK以下、好ましくは15W/mK以下に制御される。透明導電膜4の熱伝導率は、従来公知の方法で測定することができ、本発明においては、アルバック理工社製の定常法熱伝導率測定装置GHシリーズを用いて測定を行っている。
透明導電膜4には導電性を付与することが好ましい。こうした観点から、透明導電膜4は、金属アルコキシド等の加水分解物、透明導電粒子と金属アルコキシド等の加水分解物を塗布して形成される無機酸化物を主成分とするコーティング膜としてもよい。
また、透明導電膜4は、導電性を付与する観点から、抵抗加熱蒸着法、誘導加熱蒸着法、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、及びプラズマCVD法等の真空成膜法によって形成される膜であってもよい。透明導電膜4は、抵抗値が低くでき、表面処理が可能な装置構成が可能となることから、EB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を用いて形成することが好ましい。こうした形成方法を用いる場合の透明導電膜4の材料は、例えば、インジウム−錫系酸化物(ITO)、インジウム−錫−亜鉛系酸化物(ITZO)、ZnO等の酸化亜鉛系、CdO系、及びSnO(酸化錫)系、酸化インジウム、インジウム−亜鉛系酸化物(IZO)、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、アンチモン添加酸化錫等の酸化物;金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム等の金属;酸化物と金属の積層体を挙げることができる。こうした材料を適宜選択して使用すればよいが、上記材料のうち、透明性及び導電性が優れている点でインジウム−錫系酸化物(ITO)が好ましい。また、透明導電膜4に放熱機能を付与する場合には、放熱効果を高める観点から透明導電膜4として赤外光を吸収する材料を用いることが好ましいが、こうした観点からもインジウム−錫系酸化物(ITO)を用いることが好ましい。インジウム−錫系酸化物(ITO)を用いる場合には、錫の含有量が5〜15モル%であるものを用いることが特に好ましい。
透明導電膜4の厚さは、通常10nm以上、好ましくは60nm以上、より好ましくは100nm以上とする。上記範囲とすれば、透明導電膜4の導電性・放熱性を確保しやすくなる。また、透明導電膜4の厚さは、通常1000nm以下、好ましくは450nm以下、より好ましくは200nm以下とする。上記範囲とすれば、透明導電膜4の透明性を確保しやすく、耐屈曲性も良好となりやすい。
(ハードコート膜)
ハードコート膜5は、ガスバリア性シート1Cの少なくとも片面に設けられる。より具体的には、ハードコート膜5は、基材2のガスバリア膜3が形成された面との反対側の面に設けられている。これにより、ガスバリア性シート1Cがハードコート膜5により保護されるので、その結果、傷が付きにくいガスバリア性シート1Cを提供することができる。
ハードコート膜5としては、従来公知のものを適宜用いることができる。具体的には、ハードコート膜5の材料としては、電離放射線硬化型樹脂であるアクリレート系の官能基を有するもの、すなわち、アクリル骨格を有するもの、エポキシ骨格を有するものが適当であり、ハードコート膜5の硬度や耐熱性、耐溶剤性、耐擦傷性を考慮すると、高い架橋密度の構造とすることが好ましい。こうした構造を得るための材料としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の2官能以上のアクリレートモノマーを挙げることができる。なお、上記において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。
ハードコート膜5の材料として、上記の電離放射線硬化型樹脂を用いる場合、公知の光重合開始剤や光増感剤を併用することができる。こうした光重合開始剤や光増感剤は、紫外線を照射して電離放射線硬化型樹脂を硬化させる場合に好ましく用いられる。なぜなら、電子線を照射する場合には電離放射線硬化型樹脂は十分硬化する傾向を有するからである。光重合開始剤や光増感剤の添加量は、一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上、10重量部以下とする。こうした材料の他、溶媒、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機、有機系の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
ハードコート膜5は、上記の材料を塗布液として基材2上に塗布し硬化させることによって形成することができる。ここで塗布液の塗布量としては、固形分として、通常、0.5g/m以上、15g/m以下が適当である。なお、硬化に用いる紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯等を挙げることができる。紫外線の波長としては、通常、190nm以上、380nm以下の波長域を使用することができ、また、電子線源としては、例えばコッククロフトワルト型等の各種電子線加速器を用いることができる。
ハードコート膜5の厚さは、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは8μm以下とする。この範囲とすれば、ガスバリア性シート1Cの透明性を損ないにくく、かつ、耐擦傷性も良好となりやすい。
(アンカーコート剤膜)
本発明のガスバリア性シートは、図5,6,7に示すように、基材2とガスバリア膜3との間にアンカーコート剤膜9を設けることが好ましい。そして、アンカーコート剤膜9が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有することが好ましい。これによれば、ガスバリア膜と基材との接着性を向上させることができ、その結果、接着性の高いガスバリア性シート1D,1E,1Fを得ることができる。
アンカーコート剤膜9に用いるカルドポリマーとしては、例えば、側鎖が、エポキシ基を有するもの、アクリル基を有するもの等を挙げることができる。これらガルドポリマーのうち、高温時に発生する黄色の着色を抑制する観点から、エポキシ基を有するものを用いることが好ましい。
アンカーコート剤膜9に用いる多官能アクリル樹脂としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これら多官能アクリル樹脂のうち、膜応力が小さく、表面平坦性の観点から、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。なお、上記において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタアクリレートの両者を意味する。
アンカーコート剤膜9の材料として、上記の多官能アクリル樹脂を用いる場合、公知の光重合開始剤や光増感剤を併用することができる。光重合開始剤や光増感剤の添加量は、一般に、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上、10重量部以下とする。こうした材料の他、溶媒、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機、有機系の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
アンカーコート剤膜9に用いる層状化合物としては、例えば、モンモリロナイト、層状ケイ酸塩等を挙げることができる。これら層状化合物のうち、生産性の観点から、モンモリロナイトを用いることが好ましい。
次に、アンカーコート剤膜9に用いる有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物について説明する。
シランカップリング剤が有する有機官能基としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシ基、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリイソプロポキシ基、及びγ−アミノプロピルトリエトキシ基等を挙げることができ、反応性を制御する観点から、γ−アミノプロピルトリメトキシ基を用いることが好ましい。また、シランカップリング剤が有する加水分解基としては、例えば、γ−グリシドキシプロピル基、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びオキサゾリン含有重合体等を挙げることができ、アンカーコート剤膜9が密着性と柔軟性が必要であるとの観点から、γ−グリシドキシプロピル基、オキサゾリン含有重合体を用いることが好ましい。こうしたシランカップリング剤としては、好ましくは、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシランを挙げることができる。
架橋性化合物における、シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する第2の有機官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、及びイソプロポキシ基等を挙げることができ、反応性を制御する観点から、メトキシ基やイソプロポキシ基を用いることが好ましい。こうした第2の有機官能基を有する架橋性化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン加水分解物、テトラエトキシシラン加水分解物、及びヘキサメチレンジシロキサン加水分解物等を挙げることができ、反応性制御の観点から、テトラエトキシシラン加水分解物を用いることが好ましい。
組成物中における、シランカップリング剤に対する架橋性化合物の含有量は、通常90重量%以上、99.99重量%以下とする。また、組成物中には、シランカップリング剤及び架橋性化合物以外の材料(原料)を所定量含有させてもよい。
アンカーコート剤膜9の厚さは、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常5μm以下、好ましくは1μm以下とする。こうしたアンカーコート剤膜9の成膜は、用いる材料に応じて適宜選択すればよく、例えばスピンコート法やダイコート法等、従来公知の方法を適宜用いればよい。また、アンカーコート剤膜9の材料として多官能アクリル樹脂を用いる場合には、通常、成膜後に塗布膜を硬化させることによってアンカーコート剤膜9が形成される。具体的には、紫外線を照射して硬化が行われる。紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯等を挙げることができる。紫外線の波長としては、通常、190nm以上、380nm以下の波長域を使用することができる。
(その他の膜)
上記説明した、基材2、ガスバリア膜3、透明導電膜4、及びハードコート膜5以外にも、必要に応じて他の膜を用いることもできる。こうしたものとしては、アンカーコート剤膜9についてはすでに説明したとおりであるが、その他、例えば、反射防止膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタ及び平滑化膜を挙げることができる。これらのうち、反射防止膜、帯電防止膜、防汚膜、防眩膜、カラーフィルタは、光学粘着剤を介して本発明のガスバリア性シートと貼り合わせることで、所望の機能を得てもよい。
こうした他の膜は、従来公知のものを適宜用いればよいが、いずれもハードコート膜5の表面に形成されることが多い。但し、反射防止機能や視野角制御機能をハードコート膜5に付随することもできる。
反射防止膜は外光の映り込みを抑制する機能をもつものであり、帯電防止膜は塵や埃が付着することを防止する機能をもち、防汚膜は指紋等の油脂の付着を阻害するものであり、従来公知のものを適宜用いればよいが、いずれもハードコート膜5の表面に形成されることが多い。但し、反射防止機能や透明導電機能をハードコート膜5に付加することもできる。平滑化膜は、表面を平坦化するために用いられるものであり、例えば、基材2の表面やガスバリア膜3の表面に形成されることがある。
平滑化膜としては、従来公知のものを適宜用いればよい。平滑化膜の材料としては、例えば、ゾル−ゲル材料、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、及びフォトレジスト材料等を挙げることができる。
平滑化膜をガスバリア膜3の表面に形成する場合においては、ガスバリア機能を保持させつつ膜の形成を容易にする観点から、平滑化膜の材料として電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。より具体的には、エポキシ基をもつ反応性のプレポリマー、オリゴマー、及び/又は単量体を適宜混合したものである電離放射線硬化型樹脂や、電離放射線硬化型樹脂に必要に応じてウレタン系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ビニル系等の熱可塑性樹脂を混合して液状となした液状組成物のような、分子中に重合性不飽和結合を有し、紫外線(UV)や電子線(EB)を照射することにより、架橋重合反応を起こして3次元の高分子構造に変化する樹脂が好ましい。ハードコート膜5は、こうした樹脂を、例えば、ロールコート法、ミヤバーコート法、及びグラビアコート法等の従来公知の塗布方法で塗布・乾燥・硬化させることにより形成することができる。平滑化膜は、ハードコート膜5と同様の方法で形成してもよい。
また、平滑化膜をガスバリア膜3の表面に形成する場合においては、ガスバリア膜3との良好な密着性を確保する観点から、平滑化膜の材料としてガスバリア膜3と同材料系の塗膜を形成できるゾルーゲル法を用いたゾル−ゲル材料を用いることも好ましい。ゾル−ゲル法とは、有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤と、このシランカップリング剤が有する有機官能基と反応する有機官能基を有する架橋性化合物とを少なくとも原料として構成された塗料組成物の塗工方法、及び塗膜のことをいう。有機官能基と加水分解基を有するシランカップリング剤としては、従来公知のものを適宜用いることができ、例えば、特開2001−207130号公報に開示されるアミノアルキルジアルコキシシランやアミノアルキルトリアルコキシシランを用いればよい。また、シランカップリング剤が有する有機官能基と反応する有機官能基を有する架橋性化合物としては、例えば、グリシジル基、カルボキシル基、イソシアネート基、及びオキサゾリン基等のアミノ基と反応しうる官能基を有するものを挙げることができる。こうした材料も従来公知のものを適宜用いることができる。さらに、上記の塗料組成物には、例えば、溶媒、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤等の無機・有機系の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
さらに、平滑化膜の材料としては、従来公知のカルドポリマーを含有させることも好ましい。
平滑化膜の厚さは、通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下とする。
(ガスバリア性シート)
以上説明した、基材2、ガスバリア膜3、透明導電膜4、ハードコート膜5、及び必要に応じてその他の膜を有することによって、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fが形成される。ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fは、ガスバリア膜3が所定の組成を有し、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度と、屈折率とを所定の範囲とするために、生産性が高く、ガスバリア性が良好で、カールの発生が抑制されたものとなる。特に、有機ELディスプレイ等の耐久試験として行われるヒートサイクル試験後においても、カールの発生が抑制され、ガスバリア性能も維持されるものとなる。
ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fは、通常、水蒸気透過率が0.1g/m/day(g/m・day)以下で、酸素透過率が0.1cc/m/day・atm(cc/m・day・atm)以下の高いガスバリア性を示す。
ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを、透明性が必要とされる有機ELディスプレイ等の発光素子のガスバリア性シートとして用いる場合には、ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fは透明であることが好ましい。この場合、具体的には、全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上とする。また、色味(YI)は、好ましくは5以下、より好ましくは3以下とする。YIが高いほどガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fが黄色く見えるため、外観上YIを上記範囲に制御することが好ましい。なお、全光線透過率及びYIの測定は、例えば、分光測色計を用いて測定することができる。本発明においては、全光線透過率及びYIの測定は、SMカラーコンピューターSM−C(スガ試験機製)を使用して測定している。そして、測定は、JIS K7105に準拠して実施している。
ガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fは、所定のガスバリア膜3の使用によりカールの発生が抑制される。図4は、ガスバリア性シートのカールの度合いを測定する方法を示す模式的な断面図である。まず、ガスバリアシート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを所定の大きさに切り出し、ガスバリア性シートサンプル10を準備する。そして、ガスバリア性シートサンプル10をステンレス鋼製の基板6上に置き、ガスバリア性シートサンプル10の頂点8とステンレス鋼製の基板6との直交距離Lを測定する。そして、直交距離Lの大きさに応じて、所定の評価基準を用い、ガスバリア性シートのカールの発生度合いを評価すればよい。
さらに、ガスバリア性シートサンプル10に対して耐熱試験(ヒートサイクル試験)を実施し、ヒートサイクル試験後に直交距離Lを再度測定することにより、ヒートサイクル試験後のガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fのカール度合いの評価を行うこともできる。具体的には、ガスバリア性シートサンプル10を、150℃のオーブンで3時間保持する操作を繰り返し5回行うことによりヒートサイクル試験を実施する。そして、ヒートサイクル試験後のガスバリア性シートサンプル10を、再度ステンレス鋼製の基板6上に置き、ガスバリア性シートサンプル10の頂点とステンレス鋼製の基板6との直交距離Lを測定する。そして、直交距離Lの大きさに応じて、所定の評価基準を用い、ガスバリア性シートのカールの発生度合いを評価すればよい。こうした方法で評価される直交距離Lは、ヒートサイクル試験の前後において、通常3mm以下となるように制御される。より高性能のガスバリア性シート1A,1B,1C,1D,1E,1Fを得る観点から、直交距離Lは、1mm以下となるように制御することが好ましい。
本発明のガスバリア性シートは、フィルム状の形態で用いられることが好ましい。フィルム状とすることにより、有機ELディスプレイ等の用途に適用しやすくなる。また、本発明のガスバリア性シートは、巻き取りロール状の形態で用いることも可能であり、有機ELディスプレイ等の製造の後工程に合わせて適宜用いればよい。なお、本発明のガスバリア性シートは、有機ELディスプレイ等の基板として用いることができるだけでなく、封止用の硝子や缶の代替となる封止用フィルムとしても適用が可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1〜28:SiN膜)
表−1に示す、成膜手法及び成膜条件で基材上にガスバリア膜を有するガスバリア性シートを作製した。表−1中の「製造方法」に記載した、「PECVD」はプラズマCVD法を、「SP」はマグネトロンスパッタリング法を、「IP」はイオンプレーティング法を、それぞれ示す。また、基材としては、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
Figure 2009023331
以上のようにして準備したガスバリア膜を有するガスバリア性シートの特性を以下の方法で評価した。
(組成の分析)
ガスバリア膜の組成(SiNにおけるx、yの値)、より具体的にはSi、N、Oの原子数比は、XPS(VG Scientific社製ESCA LAB220i−XL)により測定した。X線源としては、Ag−3d−5/2ピーク強度が300Kcps〜1McpsとなるX線源であるMgKα線を用い、直径約1mmのスリットを使用した。測定は、測定に供した試料面の法線上に検出器をセットした状態で行い、適正な帯電補正を行った。測定後の解析は、上述のXPS装置に付属されたソフトウエアEclipseバージョン2.1を使用し、Si:2p、N:1s、O:1sのバインディングエネルギーに相当するピークを用いて行った。このとき、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求めた。得られた原子数比について、Si原子数を1とし、他の成分であるNとOの原子数を算出して成分割合とした。得られたデータを、表−2の「組成」の欄に示す。
(屈折率の測定)
ガスバリア膜の屈折率は、JOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定した。測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVとして行った。得られたデータを、表−2の「屈折率」の欄に示す。
(ガスバリア膜の厚さの測定)
ガスバリア膜の厚さは、段差計(株式会社アルバック製、DEKTAK IIA)を使用して測定した。そして、スキャン範囲を2mm、スキャンスピードをLowに設定して測定を行った。得られたデータを、表−2の「膜厚」の欄に示す。
(Si−N結合に対応するIR吸収の単位厚さあたりの吸収強度の測定)
赤外吸収スペクトルの測定は、多重反射(ATR)測定装置を備えたフーリエ変換型赤外分光光度計(日本分光株式会社製、HerschelFT−IR−610)を使用して測定した。そして、測定は多重反射法(ATR法)にて行い、標準光源を使用し、検出器はMCT、測定範囲は4000−400cm−1、積算回数は256回、分解能は4cm−1とした。
得られた赤外吸収スペクトルにおいて、Si−N結合に対応する波数830cm−1〜840cm−1における赤外吸収ピークの強度求め、このピーク強度を上記「ガスバリア膜の厚さの測定」で得られたガスバリア膜の厚さで割って、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度を算出した。具体的には、(Si−N結合に対応する波数830cm−1〜840cm−1における赤外吸収ピークの強度)/(ガスバリア膜の厚さ)を計算することによって上記の吸収強度を算出した。このようにして、得られたデータを、表−2の「IR吸収」の欄に示す。
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率は、測定温度37.8℃、湿度100%Rhの条件下で、水蒸気透過率測定装置(米国MOCON社製、PERMATRAN−W 3/31:商品名)を用いて測定した。得られたデータを、表−2の「WVTR」の欄に示す。なお、測定に用いた水蒸気透過率測定装置の検出限界は、0.05g/m・dayであり、検出限界未満の場合は、「m.l.(measuring limit)」と表わしている。
(酸素透過率の測定)
酸素透過率は、測定温度23℃、湿度90%Rhの条件下で、酸素ガス透過率測定装置(米国MOCON社製、OX−TRAN 2/20:商品名)を用いて測定した。得られたデータを、表−2の「OTR」の欄に示す。なお、測定に用いた酸素ガス透過率測定装置の検出限界は、0.05cc/m・day・atmであり、検出限界未満の場合は、「m.l.(measuring limit)」と表わしている。
(全光線透過率と色味(YI)の測定)
ガスバリア性シートの全光線透過率とYIは、SMカラーコンピューターSM−C(スガ試験機製)を使用して測定した。測定は、JIS K7105に準拠して実施した。得られたデータを、表−2の「全光線透過率」、「YI」の欄に示す。
(カールの評価)
カールの発生度合いの評価は、以下のようにして行った。すなわち、作製したガスバリア性シートを15cm×15cmに切り出して、図4に示すガスバリア性シートサンプル10を得た。そして、同図に示すように、ガスバリア性シートサンプル10をステンレス鋼製の基板6上に置き、ガスバリア性シートサンプル10の頂点8とステンレス鋼製の基板6との直交距離Lを測定した。そして、直交距離Lの大きさに応じて、下記評価基準でガスバリア性シートのカールの発生度合いを評価した。得られたデータを、表−2の「カール」の欄の「成膜直後」に示す。
○:直交距離が1mm以下
△:直交距離が1〜3mm
×:直交距離が3mmより大きい
次に、ガスバリア性シートサンプル10に対してヒートサイクル試験を実施し、ヒートサイクル試験後に直交距離Lを再度測定した。ヒートサイクル試験は、ガスバリア性シートサンプル10を、150℃のオーブンで3時間保持した後室温まで冷却する操作を繰り返し5回行うことにより実施した。そして、ヒートサイクル試験後のガスバリア性シートサンプル10を、再度ステンレス鋼製の基板6上に置き、ガスバリア性シートサンプル10の頂点とステンレス鋼製の基板6との直交距離Lを測定し、直交距離Lの大きさに応じ上記評価基準でガスバリア性シートのカールの発生度合いを評価した。得られたデータを、表−2の「カール」の欄の「耐熱試験後」に示す。
Figure 2009023331
(表面抵抗値の評価)
ガスバリア膜における表面抵抗値を、株式会社ダイアインスツルメンツ製の高抵抗率計であるハイレスタUP(MCP−HT450)を用いて測定した。その結果、実施例1のガスバリア膜の表面抵抗値は、3×1012Ω/□、実施例2のガスバリア膜の表面抵抗値は、5×1012Ω/□、実施例13のガスバリア膜の表面抵抗値は、3×1012Ω/□であった。また、他の各実施例のガスバリア膜も1012Ω/□オーダーの表面抵抗値が得られた。
(消衰係数の評価)
ガスバリア膜における消衰係数を、JOBIN YVON社製のUVISELTMにより測定した。そして、測定は、キセノンランプを光源とし、入射角度を−60°、検出角度を60°、測定範囲を1.5eV〜5.0eVの条件で行った。その結果、実施例1のガスバリア膜の消衰係数が0.03、実施例2のガスバリア膜の消衰係数が0.001、実施例13のガスバリア膜の消衰係数が0.01であった。
(実施例29〜31:SiN膜)
ガスバリア膜をSiN膜としたこと以外は実施例1〜実施例28と同様にして、ガスバリア性シートを作製した。成膜手法及び成膜条件を表−3に示す。表−3の「製造方法」に記載した、「PECVD」はプラズマCVD法を示す。また、得られたガスバリア性シートの各種特性を実施例1〜実施例28と同様に測定した。なお、SiN膜の組成分析のためのXPS測定においても、測定方法はSiN膜の場合と基本的には同様とすればよい。ただ、SiN膜では炭素が導入されるので、測定後の解析において、C:1sのピークのうち、炭化水素に該当するピークを基準として、各ピークシフトを修正し、ピークの結合状態を帰属させた。そして、各ピークに対して、シャーリーのバックグラウンド除去を行い、ピーク面積に各元素の感度係数補正(C=1.0に対して、Si=0.87、N=1.77、O=2.85)を行い、原子数比を求めた。この場合の炭素は、炭化水素に帰属されるピークを除いて、算出した。そして、得られた原子数比について、Si原子数を1とし、他の成分であるN、O、及びCの原子数を算出して成分割合とした。各特性の結果を表−4に示す。
Figure 2009023331
Figure 2009023331
また、ガスバリア膜における表面抵抗値を、実施例1〜実施例28と同様の方法にて測定した。その結果、実施例29のガスバリア膜の表面抵抗値は、7×1012Ω/□、実施例30のガスバリア膜の表面抵抗値は、8×1012Ω/□、実施例31のガスバリア膜の表面抵抗値は、9×1012Ω/□であった。
また、ガスバリア膜における消衰係数を、実施例1〜実施例28と同様の方法にて測定した。その結果、実施例29のガスバリア膜の消衰係数は、0.005、実施例30のガスバリア膜の消衰係数は、0.01、実施例31のガスバリア膜の消衰係数は、0.03であった。
(比較例1〜5:SiN膜)
成膜手法と成膜条件を表−5のようにしたこと、以外は実施例1〜実施例28と同様にしてガスバリア性シートを作製した。なお、表−5中の「製造方法」に記載した、「SP」はマグネトロンスパッタリング法を、「IP」はイオンプレーティング法を、「PECVD」はプラズマCVD法を、それぞれ示す。こうして得たガスバリア性シートに対して実施例1〜実施例28と同様の評価を行った。但し、全光線透過率及びYIの測定は行わなかった。その結果を表−6に示す。
Figure 2009023331
Figure 2009023331
また、ガスバリア膜における表面抵抗値を、実施例1〜実施例28と同様の方法にて測定した。その結果、比較例1のガスバリア膜の表面抵抗値は、5×1012Ω/□であった。
また、ガスバリア膜における消衰係数を、実施例1〜実施例28と同様の方法にて測定した。その結果、比較例1のガスバリア膜の消衰係数は、0.06であった。
(比較例6〜11:SiN膜)
成膜手法と成膜条件を表−7のようにしたこと、以外は実施例29〜実施例31と同様にしてガスバリア性シートを作製した。なお、表−7中の「製造方法」に記載した、「PECVD」はプラズマCVD法を示す。こうして得たガスバリア性シートに対して実施例29〜実施例31と同様の評価を行った。但し、全光線透過率及びYIの測定は行わなかった。その結果を表−8に示す。
Figure 2009023331
Figure 2009023331
また、ガスバリア膜における表面抵抗値を、実施例29〜実施例31と同様の方法にて測定した。その結果、比較例6のガスバリア膜の表面抵抗値は、1×1011Ω/□、比較例10のガスバリア膜の表面抵抗値は、5×1012Ω/□であった。
また、ガスバリア膜における消衰係数を、実施例29〜実施例31と同様の方法にて測定した。その結果、比較例6のガスバリア膜の消衰係数は、0.04、比較例10のガスバリア膜の消衰係数は、0.15であった。
(実施例32,33:SiN膜)
成膜手法と成膜条件を表−9のようにしたこと、以外は実施例29〜実施例31と同様にしてガスバリア性シートを作製した。なお、表−9中の「製造方法」に記載した、「IP」はイオンプレーティング法を、「SP」はマグネトロンスパッタリング法を、それぞれ示す。こうして得たガスバリア性シートに対して実施例29〜実施例31と同様の評価を行った。その結果を表−10に示す。
Figure 2009023331
Figure 2009023331
また、ガスバリア膜における表面抵抗値を、実施例29〜実施例31と同様の方法にて測定した。その結果、実施例32のガスバリア膜の表面抵抗値は、8×1011Ω/□、実施例33のガスバリア膜の表面抵抗値は、7×1011Ω/□であった。
また、ガスバリア膜における消衰係数を、実施例29〜実施例31と同様の方法にて測定した。その結果、実施例32のガスバリア膜の消衰係数は、0.02、実施例33のガスバリア膜の消衰係数は、0.03であった。
(実施例34)
基材2、ガスバリア膜3、及び透明導電膜4をこの順に有する図2に示すガスバリア性シート1Bを得た。基材は、実施例1〜実施例28と同様に、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
この基材上にガスバリア膜を設けた。ガスバリア膜の製造条件は以下のとおりとした。
ガスバリア膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:10sccm、アンモニア流量:15sccm
印加電力:7.5kW
得られたガスバリア膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察し、ガスバリア膜を構成する二次粒子の測定を行った。具体的には、セイコーインスツルメンツ社製のNanopics−1000を用い、観察モードがコンタクトモード、スキャン範囲を4μm角、走査速度は90秒/フレームの測定条件にて測定を行った。続いて、パソコンにインストールされた解析ソフト上で、任意の30個の点をトラックボール操作で設定した。そして、その点に対して最小自乗法円近似を行い、その平均値を二次粒子径とした。その結果、ガスバリア膜を構成する二次粒子の粒径は、350nmであった。
次いで、ガスバリア膜上に透明導電膜を設けた。透明導電膜の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(20%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm
印加電力:4.0kW
得られた透明導電膜の表面抵抗値と熱伝導率を測定したところ、それぞれ3.8×10Ω/□、8W/mKであった。なお、表面抵抗値は実施例1〜実施例28においてガスバリア膜における表面抵抗値の測定と同様の方法にて行った。また、透明導電膜の熱伝導率は、アルバック理工社製の定常法熱伝導率測定装置GHシリーズを用いて測定を行った。
以上のようにして得たガスバリア性シートに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果につき、ガスバリア膜の特性については表−11に、ガスバリア性シートの特性については表−12に示す。
(実施例35)
第1のガスバリア膜3、アンカーコート剤膜9、基材2、第2のガスバリア膜3、及び透明導電膜4をこの順に有する図6に示すガスバリア性シート1Eを得た。基材は、実施例1〜実施例28と同様に、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
まず、基材の一方の面にアンカーコート剤膜を設けた。アンカーコート剤膜は、塗布液を製造し、これを基材上に塗布・乾燥・硬化することによって形成した。具体的にはテトラエトキシシラン(25重量%)、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン(10重量%)、メタノール(40重量%)、エタノール(20重量%)、純水(5重量%)を混合して塗布液を製造した。そして、この塗布液をスピンコート法にて基材上に塗布し、約3μmの塗膜を形成し、予備加熱を60℃/1分、熱硬化条件を150℃/30分として、アンカーコート剤膜を形成した。
次いで、アンカーコート剤膜上に第1のガスバリア膜を設けた。第1のガスバリア膜の製造条件は以下のとおりとした。
第1のガスバリア膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO(x=0.3、y=1.0)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm
印加電力:7.0kW
得られた第1のガスバリア膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察し、実施例34と同様にして、第1のガスバリア膜を構成する二次粒子の測定を行った。その結果、第1のガスバリア膜を構成する二次粒子の粒径は、500nmであった。
また、基材の他方の面に第2のガスバリア膜を設けた。第2のガスバリア膜の製造条件は以下のとおりとした。
第2のガスバリア膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO(x=0.3、y=1.0)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm
印加電力:7.0kW
得られた第2のガスバリア膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察し、実施例34と同様にして、第2のガスバリア膜を構成する二次粒子の測定を行った。その結果、第2のガスバリア膜を構成する二次粒子の粒径は、400nmであった。
最後に、第2のガスバリア膜上に透明導電膜を設けた。透明導電膜の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(20%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、酸素流量:10sccm、窒素流量:5sccm
印加電力:4.5kW
得られた透明導電膜の表面抵抗値と熱伝導率を、実施例34と同様にして測定したところ、それぞれ4.5×10Ω/□、10W/mKであった。
以上のようにして得たガスバリア性シートに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果につき、ガスバリア膜の特性については表−11に、ガスバリア性シートの特性については表−12に示す。
(実施例36)
第1のガスバリア膜3、基材2、アンカーコート剤膜9、第2のガスバリア膜3、及び透明導電膜4をこの順に有する図7に示すガスバリア性シート1Fを得た。基材は、実施例1〜実施例28と同様に、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(テオネックス(登録商標)Q65F、帝人デュポンフィルム株式会社製)を用いた。
まず、基材の一方の面に第1のガスバリア膜を設けた。第1のガスバリア膜の製造条件は以下のとおりとした。
第1のガスバリア膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO(x=0.2、y=1.0)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm
印加電力:7.0kW
得られた第1のガスバリア膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察し、実施例34と同様にして、第1のガスバリア膜を構成する二次粒子の測定を行った。その結果、第1のガスバリア膜を構成する二次粒子の粒径は、350nmであった。
また、基材の他方の面にアンカーコート剤膜を設けた。アンカーコート剤膜は、塗布液を製造し、これを基材上に塗布・乾燥・硬化することによって形成した。具体的には、日本化薬株式会社製のペンタエリスリトールトリアクリレート(50重量%)、光重合開始剤であるチバガイギー社製 商品名:イルガキュアー184(2重量%)、トルエン(30重量%)、メチルエチルケトン(20重量%)を混合して塗布液を製造した。そして、この塗布液をダイコート法にて基材上に塗布し、約2μmの塗膜を形成し、予備加熱を120℃/1分行った後に高圧水銀灯を用いて紫外線を500mJ照射してアンカーコート剤膜を形成した。
次いで、アンカーコート剤膜上に第2のガスバリア膜を設けた。第2のガスバリア膜の製造条件は以下のとおりとした。
第2のガスバリア膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:SiO(x=0.2、y=1.0)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、窒素流量:5sccm
印加電力:7.0kW
得られた第2のガスバリア膜の表面を原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で観察し、実施例34と同様にして、第2のガスバリア膜を構成する二次粒子の測定を行った。その結果、第2のガスバリア膜を構成する二次粒子の粒径は、550nmであった。
最後に、第2のガスバリア膜上に透明導電膜を設けた。透明導電膜の成膜条件は以下のとおりとした。
透明導電膜の製造条件
製造方法:イオンプレーティング法
材料:ITO粒(20%Sn)
成膜時圧力:0.1Pa
Ar流量:10sccm、酸素流量:10sccm
印加電力:3.5kW
得られた透明導電膜の表面抵抗値と熱伝導率を、実施例34と同様にして測定したところ、それぞれ5.6×10Ω/□、2W/mKであった。
以上のようにして得たガスバリア性シートに対して実施例1と同様の評価を行った。その結果につき、ガスバリア膜の特性については表−11に、ガスバリア性シートの特性については表−12に示す。
Figure 2009023331
Figure 2009023331
本発明のガスバリア性シートの一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートの他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 ガスバリア性シートのカールの度合いを測定する方法を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。 本発明のガスバリア性シートのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F ガスバリア性シート
2 基材
3,3A,3B ガスバリア膜
4 透明導電膜
5 ハードコート膜
6 ステンレス鋼製の基板
8 頂点
9 アンカーコート剤膜
10 ガスバリア性シートサンプル

Claims (7)

  1. 基材上にガスバリア膜を有するガスバリア性シートにおいて、
    前記ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、x=0.5〜1.5、y=0.25〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.8×10−3/nmであり、屈折率が1.7〜2.1であることを特徴とするガスバリア性シート。
  2. 基材上にガスバリア膜を有するガスバリア性シートにおいて、
    前記ガスバリア膜が、SiN膜(ただし、m=0.5〜1.5、l=0.25〜1、n=0.1〜1)であって、かつ、Si−N結合に対応するIR吸収(830cm−1〜840cm−1)の単位厚さあたりの吸収強度が0.5×10−3/nm〜1.5×10−3/nmであり、屈折率が1.8〜2.3であることを特徴とするガスバリア性シート。
  3. 前記ガスバリア膜の消衰係数が、0.000001以上、0.03以下である、請求項1又は2に記載のガスバリア性シート。
  4. 前記ガスバリア膜上に透明導電膜を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  5. 前記ガスバリア性シートの少なくとも片面にハードコート膜を設ける、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  6. 前記基材と前記ガスバリア膜との間にアンカーコート剤膜を設け、該アンカーコート剤膜が、カルドポリマー、多官能アクリル樹脂、層状化合物、及び、有機官能基と加水分解基とを有するシランカップリング剤と、前記有機官能基と反応する第2の有機官能基を有する架橋性化合物と、を原料として構成された組成物、の少なくとも一つを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
  7. 二次粒子の凝集により前記ガスバリア膜が形成され、前記二次粒子の粒径が200nm以上1000nm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性シート。
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