JP2009018851A - Pet製カップ状容器の殺菌方法及び装置 - Google Patents

Pet製カップ状容器の殺菌方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】PET製のカップに熱変形を来たすことなくカップ内面の残留過酸化水素量を低減する。
【解決手段】PET製カップ1の内外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスa,bを吹き付けてカップを殺菌処理した後、カップの内外面に向かって変形しない程度に熱風c,dを吹き付けて、少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させる。カップ内面が所望程度に殺菌されるまで過酸化水素をカップ内に滞留させた後直ちに熱風の吹き付けを開始する。カップ内面に吹き付ける熱風cは内面の残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とし、外面に吹き付ける熱風dは外面について所望程度に殺菌することができる低温度とする。熱風の吹き付けは少なくとも内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで複数回行い、先の熱風の吹き付けから次の熱風の吹き付けまでそれぞれ放冷時間を置いて容器を所望の温度まで冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、PET製カップ状容器の殺菌方法及び装置に関する。
従来、カップに飲料等を充填した包装品が市場で流通しているが、この包装品の大部分は冷却状態で搬送、陳列等されるチルド品である。しかし、このチルドでの流通は温度管理が面倒であり、コストも高くなるので、常温での流通が望まれる。そこで、近年はカップの内面や外面を予め過酸化水素等の殺菌剤で殺菌処理したうえで飲料等を充填し、密封する無菌包装が行われている(例えば、特許文献1〜8参照)。この方法によれば包装品を常温で流通させることが可能となる。
また、過酸化水素を用いる無菌包装では、殺菌後の過酸化水素の残留が問題になるので、カップを殺菌処理した後に、熱風をカップに吹き付けて過酸化水素を乾燥させたり(例えば、特許文献1、2、4〜8参照)、マイクロ波をカップに照射して過酸化水素を分解させたりしている(例えば、特許文献3参照)。このため、従来のカップはもっぱら耐熱性のあるポリプロピレンで作られている。
特開昭59−115220号公報 特開平6−32331号公報 特開平10−157713号公報 特開2002−68142号公報 特開2002−68146号公報 特開2002−193221号公報 特開2002−193222号公報 特許第3695476号公報
しかし、ポリプロピレンはリサイクル性に劣ることから環境対策上問題があり、そのため飲料カップの分野においても、材質をポリプロピレンからリサイクル性に優れたポリエチレンテレフタレート(PET)に変更しようとする傾向にある。
ところが、このPETはポリプロピレンに比して過酸化水素を非常に吸着しやすく、そのため過酸化水素がカップ内に残留しやすいという問題があり、しかも耐熱性が低く過酸化水素乾燥用の熱風でカップが変形しやすいという問題がある。ことにカップの肉厚が薄い場合に変形しやすい。カップが熱で変形すると飲料を充填した後で行う蓋材のシール性が低下し、微生物がカップ内に侵入しやすくなる。
過酸化水素の濃度や使用量を減らしたり、熱風の温度を低下させたりすることも考えられるが、その場合は逆に殺菌不良が生じたり、過酸化水素の残留値が高くなったり、乾燥工程が長くなって装置が長大化したりするという問題が新たに生じる。また、過酸化水素の残留量はカップの肉厚が厚くても薄くても大差ないので、肉厚が薄いからといって一律に熱風の温度を低下させることができない。そのため、過酸化水素の残留を低減しようとして薄肉のカップについて加熱すると、熱し過ぎてカップに変形が生じやすくなる。また、一般にカップの底部は肉が厚いが、肉厚が薄い箇所が変形しないように熱風の温度を下げると、底部が加熱不足により殺菌不良を引き起こすおそれがある。
したがって、本発明は、PET製カップ状容器が薄肉であっても熱変形や過酸化水素の残留を生じることなく容器表面をムラなく適正に殺菌することができる方法及び装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は次のような構成を採用する。
すなわち、請求項1に係る発明は、PET製カップ状容器(1)の内外面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(a,b)を吹き付けて容器(1)を殺菌処理した後、容器(1)の内外面に向かって容器(1)が変形しない程度に熱風(c,d)を吹き付けて、容器(1)の少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるPET製カップ状容器の殺菌方法であって、上記容器(1)の内面が所望程度に殺菌されるまで上記過酸化水素を容器(1)内に滞留させた後直ちに上記熱風(c,d)の吹き付けを開始し、容器内面に吹き付ける熱風(c)は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とし、容器外面に吹き付ける熱風(d)は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とし、上記熱風(c,d)の吹き付けは少なくとも容器(1)内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで複数回行い、先の熱風(c,d)の吹き付けから次の熱風(c,d)の吹き付けまでそれぞれ放冷時間を置いて容器(1)を所望の温度まで冷却することを特徴とする。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の胴部(2)をスカート壁(6)で囲み、容器(1)の胴部(2)とスカート壁(6)との間に過酸化水素のミスト又はガス(a)を吹き込むようにすることも可能である。
請求項3に記載されるように、請求項1又は請求項2に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)を一方向に搬送し、この搬送方向の上流側で容器(1)の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(a)を吹き付け、下流側で容器(1)の内面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(b)を吹き付けるようにすることも可能である。
請求項4に記載されるように、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)を一方向に搬送し、この搬送方向に沿って所定の間隔を置いて複数回にわたり容器(1)の内面と外面に向かって熱風(c,d)を吹き付け、先の熱風(c,d)の吹き付けから次の熱風(c,d)の吹き付けに至るまでにそれぞれ容器(1)を放冷するようにすることも可能である。
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の胴部(2)をスカート壁(6)で囲み、容器(1)の胴部(2)とスカート壁(6)との間に熱風(d)を吹き込むようにすることも可能である。
請求項6に記載されるように、請求項5に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、スカート壁(6)で容器(1)の胴部(2)の上端から途中までを囲むようにすることも可能である。
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の内外面に対する熱風(c,d)の吹き付けは少なくとも三回行い、各回間の放冷時間は互いに等しくすることも可能である。
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の内外面に対する熱風(c,d)の吹き付けは少なくとも三回行い、初回と次の回との間の放冷時間は後の放冷時間よりも短縮することも可能である。
また、請求項9に係る発明は、PET製カップ状容器(1)の胴部(2)が嵌り込む嵌入穴(17)を有したリテーナ(9)を一方向に走行させる走行手段が設けられ、上記リテーナ(9)に保持された上記容器(1)の内面と外面に向かってそれぞれ過酸化水素のミスト又はガス(a,b)を吹き付けて上記容器(1)を殺菌する殺菌用ノズル(7,8)が設けられ、上記過酸化水素のミスト又はガス(b)が容器(1)内に滞留したまま容器(1)の内面について所望程度に殺菌されるまで上記リテーナ(9)が走行した位置から下流側へと、乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)が所望の間隔で複数箇所に配置され、容器内面乾燥用ノズル(10a,11a,12a,13a)が吹き付ける熱風(c)は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とされ、容器外面乾燥用ノズル(10b,11b,12b,13b)が吹き付ける熱風(d)は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とされ、これらの乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)から少なくとも容器(1)内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで容器(1)の内外面に向かって熱風(c,d)が吹き付けられ、上流側の乾燥用ノズルによる熱風(c)の吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルによる熱風(c)の吹き付けまでの間に容器(1)がそれぞれ所望の温度まで冷却されるようにしたPET製カップ状容器の殺菌装置である。
請求項10に記載されるように、請求項9に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、リテーナ(9)の嵌入穴(17)の回りから容器(1)の底面側へと延びて容器(1)の胴部(2)を囲むスカート壁(6)が設けられたものとすることも可能である。
請求項11に記載されるように、請求項10に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、スカート壁(6)が容器(1)の胴部(2)の途中まで垂下しているものとすることも可能である。
請求項12に記載されるように、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、走行手段が無端走行路(18)を有し、多数のリテーナ(9)が単列又は複数列でこの無端走行路(18)上に設けられているものとすることができる。
請求項13に記載されるように、請求項9乃至請求項12のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器(1)の胴部(2)の上端に設けられるフランジ(3)に対向するように多数の貫通孔(19)がリテーナ(9)に設けられたものとすることができる。
請求項14に記載されるように、請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器(1)の胴部(2)の上端に設けられるフランジ(3)をリテーナ(9)上に浮上させる突起(20)がこのリテーナ(9)に設けられたものとすることができる。
請求項15に記載されるように、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)がリテーナ(9)の走行方向に沿って少なくとも三箇所に等間隔で設けられたものとすることができる。
請求項16に記載されるように、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)がリテーナ(9)の走行方向に沿って少なくとも三箇所に設けられ、最初と次の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b)は近接して設置されたものとすることができる。
請求項1に係る発明によれば、PET製カップ状容器(1)の内外面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(a,b)を吹き付けて容器(1)を殺菌処理した後、容器(1)の内外面に向かって容器(1)が変形しない程度に熱風(c)を吹き付けて、容器(1)の少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるPET製カップ状容器の殺菌方法であって、上記容器(1)の内面が所望程度に殺菌されるまで上記過酸化水素を容器(1)内に滞留させた後直ちに上記熱風(c)の吹き付けを開始し、容器内面に吹き付ける熱風(c)は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とし、容器外面に吹き付ける熱風(d)は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とし、上記熱風(c)の吹き付けは少なくとも容器(1)内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで複数回行い、先の熱風(c)の吹き付けから次の熱風(c)の吹き付けまでそれぞれ放冷時間を置いて容器(1)を所望の温度まで冷却することを特徴とするものであるから、容器内面は過酸化水素と高温度の熱風(c)とにより適正に殺菌することができると同時に、過酸化水素の残留を低減することができ、容器外面は過酸化水素と低温度の熱風(d)と容器内面側からの伝熱とにより適正に殺菌することができ、しかも容器外面に吹き付ける熱風(d)の温度は低いので薄肉の容器であっても熱による変形が防止される。
請求項2に記載されるように、請求項1に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の胴部(2)をスカート壁(6)で囲み、容器(1)の胴部(2)とスカート壁(6)との間に過酸化水素のミスト又はガス(a)を吹き込むようにすれば、容器(1)の胴部(2)の外周面に対し過酸化水素のミスト又はガス(a)をより長く滞留させることができる。従って、容器(1)の外面をより適正に殺菌することができる。
請求項3に記載されるように、請求項1又は請求項2に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)を一方向に搬送し、この搬送方向の上流側で容器(1)の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(a)を吹き付け、下流側で容器(1)の内面に向かって過酸化水素のミスト又はガス(b)を吹き付けるようにすれば、過酸化水素が滞留し難い容器(1)の外面をより長い時間殺菌することができる。
請求項4に記載されるように、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)を一方向に搬送し、この搬送方向に沿って所定の間隔を置いて複数回にわたり容器(1)の内面と外面に向かって熱風(c)を吹き付け、先の熱風(c)の吹き付けから次の熱風(c)の吹き付けに至るまでにそれぞれ容器(1)を放冷するようにすれば、容器(1)の過熱を防止しつつ効率良く容器(1)を加熱し過酸化水素を乾燥させることができる。
請求項5に記載されるように、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の胴部(2)をスカート壁(6)で囲み、容器(1)の胴部(2)とスカート壁(6)との間に熱風(c)を吹き込むようにすれば、容器(1)の外面をより長い時間加熱することができ、それだけ容器(1)内面もより長く加熱して容器(1)内面における過酸化水素の残留を低減することができる。
請求項6に記載されるように、請求項5に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、スカート壁(6)で容器(1)の胴部(2)の上端から途中までを囲むようにすれば、スカート壁(6)と容器(1)の胴部(2)との間での熱風(c)の滞留を低減することができ、容器(1)の変形を防止することができる。
請求項7に記載されるように、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の内外面に対する熱風(c,d)の吹き付けは少なくとも三回行い、各回間の放冷時間は互いに等しくすれば、放冷温度の管理を簡易に行うことができる。
請求項8に記載されるように、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器(1)の内外面に対する熱風(c,d)の吹き付けは少なくとも三回行い、初回と次の回との間の放冷時間は後の放冷時間よりも短縮するものとすると、早期に多量の熱風を容器(1)に吹き付けることができるので、過酸化水素の残留を一層低減することができる。
請求項9に係る発明によれば、PET製カップ状容器(1)の胴部(2)が嵌り込む嵌入穴(17)を有したリテーナ(9)を一方向に走行させる走行手段が設けられ、上記リテーナ(9)に保持された上記容器(1)の内面と外面に向かってそれぞれ過酸化水素のミスト又はガス(a,b)を吹き付けて上記容器(1)の表面を殺菌する殺菌用ノズル(7,8)が設けられ、上記過酸化水素のミスト又はガス(b)が容器(1)内に滞留したまま容器(1)の内面について所望程度に殺菌されるまで上記リテーナ(9)が走行した位置から下流側へと、乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)が所望の間隔で複数箇所に配置され、容器内面乾燥用ノズル(10a,11a,12a,13a)が吹き付ける熱風(c)は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とされ、容器外面乾燥用ノズル(10b,11b,12b,13b)が吹き付ける熱風(d)は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とされ、これらの乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)から少なくとも容器(1)内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで容器(1)の内外面に向かって熱風(c)が吹き付けられ、上流側の乾燥用ノズルによる熱風(c)の吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルによる熱風(c)の吹き付けまでの間に容器(1)がそれぞれ所望の温度まで冷却されるようにしたPET製カップ状容器の殺菌装置であるから、容器内面は過酸化水素と高温度の熱風(c)とにより適正に殺菌することができると同時に、過酸化水素の残留を低減することができ、容器外面は過酸化水素と低温度の熱風(d)と容器内面側からの伝熱とにより適正に殺菌することができ、しかも容器外面に吹き付ける熱風(d)の温度は低いので薄肉の容器であっても熱による変形が防止される。
請求項10に記載されるように、請求項9に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、リテーナ(9)の嵌入穴(17)の回りから容器(1)の底面側へと延びて容器(1)の胴部(2)を囲むスカート壁(6)が設けられたものとすれば、容器(1)の胴部(2)の外周面対し過酸化水素のミスト又はガス(a)をより長く滞留させることができる。従って、容器(1)の外面をより適正に殺菌することができる。また、容器(1)の外面をより長い時間加熱することができ、それだけ容器(1)内面もより長く加熱して容器(1)内面における過酸化水素の残留を低減することができる。
請求項11に記載されるように、請求項10に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、スカート壁(6)が容器(1)の胴部(2)の途中まで垂下しているものとすれば、スカート壁(6)と容器(1)の胴部(2)との間での熱風(c)の滞留を低減することができ、容器(1)の変形を防止することができる。
請求項12に記載されるように、請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、走行手段が無端走行路(18)を有し、多数のリテーナ(9)が単列又は複数列でこの無端走行路(18)上に設けられているものとすれば、多数のPET製カップ状容器(1)を効率良く殺菌処理することができる。
請求項13に記載されるように、請求項9乃至請求項12のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器(1)の胴部(2)の上端に設けられるフランジ(3)に対向するように多数の貫通孔(19)がリテーナ(9)に設けられたものとすれば、過酸化水素を付着させて適正に殺菌することができ、またフランジ(3)の裏面に対しても熱風(c)を吹き付けて余剰の過酸化水素を除去することができる。
請求項14に記載されるように、請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器(1)の胴部(2)の上端に設けられるフランジ(3)をリテーナ(9)上に浮上させる突起(20)がこのリテーナ(9)に設けられたものとすれば、フランジ(3)とリテーナ(9)との間に過酸化水素(a)や熱風(c)を円滑に導入することができ、従ってフランジ(3)の裏面に対しても適正に殺菌することができ、また余剰の過酸化水素を効率良く除去することができる。
請求項15に記載されるように、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)がリテーナ(9)の走行方向に沿って少なくとも三箇所に等間隔で設けられたものとすれば、放冷温度の管理を簡易に行うことができる。
請求項16に記載されるように、請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b)がリテーナ(9)の走行方向に沿って少なくとも三箇所に設けられ、最初と次の乾燥用ノズル(10a,10b,11a,11b)は近接して設置されたものとすれば、早期に多量の熱風を容器(1)に吹き付けることができるので、過酸化水素の残留を一層低減することができる。
以下、本発明の最良の形態について図面に基づいて説明する。
<実施の形態1>
この実施の形態1において、殺菌処理しようとする容器は飲料等を充填する比較的底の深いカップとしてPET(ポリエチレンテレフタレート)で形成され、例えばプリフォームを真空圧空成形することにより得ることができる。
図9に示すように、このカップ1は、上端が開口し下端が底板で閉じられた胴部2と、胴部2の開口の回りに設けられるフランジ3とを備える。また、胴部2の開口とフランジ3との境界にはスタッキングリブ2aが設けられる。スタッキングリブ2aは多数のカップ1を積み重ねた際にカップ同士が強く嵌り合わないようにするためのもので、充填機に供給した場合等においてカップ1の山からカップ1を一個ずつ確実に取り出しやすくするために設けられる。胴部2、フランジ3、スタッキングリブ2a等は、カップ1をPETで成形する際に一体的に形成される。
上記カップ1は、図1に示す一連の工程A〜Nを経て、その表面が殺菌処理され、内容物である飲料4が充填され、蓋材5で閉じられることにより無菌包装品とされる。
次に、工程A〜Nの各々について順に説明する。
(1)工程A
図1に示すように、開口及びフランジ3が上向きとなるようにカップ1を配置し、カップ1の胴部2の外周をスカート壁6で囲み、カップ1をスカート壁6ごと一方向に搬送する。この搬送は連続的であってもよいし、工程ごと又は所望のピッチで間欠的に行ってもよい。
(2)工程B
カップ1の走行路の下方に配置した殺菌用ノズル7から、カップ1の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスaを吹き付け、カップ1の外面を殺菌処理する。過酸化水素のミスト又はガスaはカップ1の胴部2とスカート壁6との間に入り込んで滞留し、これによりカップ1の胴部2の外面が適正に殺菌処理される。
過酸化水素のミスト又はガスaを多量に或いは勢い良くカップ1に吹き付けることにより、カップ1の外面に過酸化水素がムラなく付着するときは、上記スカート壁6は省略可能である。
(3)工程C
カップ1の搬送路の上方に配置した殺菌用ノズル8から、カップ1の内面に向かって過酸化水素のミスト又はガスbを吹き付け、カップ1の内面を殺菌処理する。
工程Cを工程Bよりも先に行うことも考えられるが、その場合は殺菌されたカップ1の内面側に外面に付着した菌類が入り込むおそれがあるので望ましくない。また、工程Bを工程Cと同時に行うことでカップ1の内外面に過酸化水素のミスト又はガスa,bを同時に吹き付けることも可能であるが、その場合はカップ1の外面の殺菌が不十分になる可能性があり、カップ1の外面の殺菌を十分に行うため過酸化水素のミスト又はガスa,bの供給量を増大しようとすればカップ1の内面の残留過酸化水素量が増大するおそれがある。この実施の形態1のように先にカップ1の外面を完全に殺菌した上でカップ1の内面を殺菌すれば、そのような不具合が防止される。
(4)工程D
工程Cの直後からカップ1を所定時間だけ走行させることにより、工程Cにおいて吹き付けられた過酸化水素のミスト又はガスa,bをカップ1内に滞留させる。これにより、過酸化水素をカップ1の内面の全面に行き渡らせて所望の殺菌効果を得ることができる。
(5)工程E
工程Dにおいて過酸化水素のミスト又はガスa,bをカップ1内に所定時間だけ滞留させた後、直ちにカップ1の内外面に向かってカップ1が熱で変形しない程度に熱風c、dをそれぞれ吹き付ける。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がある程度除去される。
カップ1の内面に吹き付ける熱風cの温度は、望ましくは140℃〜180℃、より望ましくは150℃〜165℃である。カップ1の内面にこの熱風cが吹き付けられることにより、過酸化水素と高温度の熱風cとによってカップ1の内面の殺菌効果が高められ、またカップ1の内面における残留過酸化水素が低減する。
カップ1の胴部2の外面はスカート壁6により覆われるので、熱風dをカップ1の胴部2とスカート壁6との間に吹き込むことにより、カップ1の外面をより効率良く加熱することができる。
カップ1の外面に吹き付ける熱風dの温度は、上記温風cの温度よりも低く、望ましくは50℃〜80℃、より望ましくは60℃〜70℃である。上記カップ1の内面に吹き付ける熱風cが比較的高温度であるのに対し、カップ1の外面に吹き付ける熱風dは比較的低温度である。このようにカップ1の外面に吹き付ける熱風dの温度が低いことからカップ1が薄肉であっても熱による変形が防止される。また、カップ1の外面は、過酸化水素と低温度の熱風dと容器内面側からの伝熱とにより適正に殺菌され、低温度の熱風dと容器内面側からの伝熱とによりカップ1の外面における残留過酸化水素が低減する。カップ1がプリフォームから圧空成形等により作られる場合は、カップ1の底部が比較的肉厚になり、容器内面側からの熱が伝わり難く、過酸化水素が残留しやすくなるが、過酸化水素と熱風dとによりカップ1の外面の殺菌効果は所望程度まで達成される。
図1に示すように、スカート壁6はカップ1の上端から胴部2の中途までしか覆っていない。このため、熱風cが胴部2の回りに過度に篭らないようにして、カップ1の熱による変形を防止することができる。
(6)工程F
先の工程Eにおける熱風c、dの吹き付けから次の工程Gにおける熱風c、dの吹き付けまで、カップ1を搬送し、この搬送時間内でカップ1を放冷し所望の温度まで低下させる。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(7)工程G
工程Fで冷却されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風c、dを吹き付ける。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
(8)工程H
先の工程Gにおける熱風c、dの吹き付けから次の工程Iにおける熱風c、dの吹き付けまで、カップ1を搬送し、この搬送時間内でカップ1を放冷し所望の温度まで低下させる。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(9)工程I
工程Hで冷却されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風c、dを吹き付ける。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去される。
(10)工程J
先の工程Iにおける熱風c、dの吹き付けから次の工程Kにおける熱風c、dの吹き付けまで、カップ1を搬送し、この搬送時間内でカップ1を放冷し所望の温度まで低下させる。これによりカップ1の熱による変形が防止される。
(11)工程K
工程Jで冷却されたカップ1の内外面に向かって、カップ1が熱で変形しない程度に、再び熱風c、dを吹き付ける。これにより、カップ1の内外面に付着した過酸化水素がさらに除去され、少なくともカップ1の内面の残留過酸化水素量が許容範囲まで低下する。
このように、工程E,G,I,Kで繰り返し熱風c、dをカップ1に吹き付けるのでカップ1に対し全体として多量の熱風を供給することとなり、また、熱風c、dは間に冷却時間を入れて複数回に分けて吹き付けるので、カップ1に熱変形を来たすことなく、カップ1の内外面を適正に殺菌することができるとともに、カップ1に付着した過酸化水素を効率良く除去することができる。
なお、図示例では工程Kの後に放冷工程を設けていないが、必要に応じて放冷工程を設けることも可能である。
また、冷却工程F,H,Jはすべて同じ時間に設定されるが、互いに相違する時間とすることも可能である。
また、図示例では乾燥工程(E,G,I,K)と冷却工程(F,H,J)を交互に一定回数繰り返し行っているが、この乾燥工程と冷却工程の回数は少なくともカップ1の内面における残留過酸化水素量の許容値に応じて適宜増減可能である。
また、冷却工程(F,H,J)ではカップ1を自然放冷しているが、カップ1に冷風を吹き付けることにより強制冷却を行うことも可能である。
この工程Kの後、直ちにカップ1を集積して図示しない外装袋等の中に入れ、無菌状態で保管するようにしてもよい。これにより、例えば内容物である飲料の充填装置が離れた場所に置かれている場合であっても、多量のカップ1を速やかに充填装置に供給することが可能である。
(12)工程L
殺菌処理されたカップ1に開口から内容物である飲料4を充填する。飲料4は予め殺菌処理され、冷却されている。
(13)工程M
カップ1の開口に蓋材5を被せ、蓋材5をカップ1のフランジ3に接着する。これにより、カップ1を使用した無菌包装品が完成する。上述したようにカップ1は熱変形しないように熱風c、dで乾燥処理されているので、平坦性が保持されたフランジ3に蓋材5がカップ1の密封性を損なわないように適正にシールされる。
(14)工程N
無菌包装品を搬送路から取り出す。
次に、上記工程A〜Nを実施するための無菌充填装置について説明する。
図1に示すように、無菌充填装置は、カップ1を保持する多数のリテーナ9、カップ1の胴部2の外周を取り囲むスカート壁6、リテーナ9を連続走行させる走行手段、カップ1の外面を殺菌するための殺菌用ノズル7、カップ1の内面を殺菌するための殺菌用ノズル8、過酸化水素をカップ1の表面から除去するための乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13b、充填部14、蓋材シール部15、走行手段によるカップ1の走行路の全域を覆う無菌チャンバー16等を備える。
無菌チャンバー16の前後端には、カップ1をリテーナ9に供給する供給部16aと、無菌包装品をリテーナ9から取り出す取出部16bがそれぞれ設けられる。供給部16aは、多数のカップ1を積み重ねたカップ集積体からカップ1を一つずつサッカー等により取り出してリテーナ9に嵌め込むようになっている。取出部16bはカップ1に飲料4が充填され、蓋材5で密封されて完成した無菌包装品をサッカー等によりリテーナ9から抜き取り、無菌チャンバー16外に取り出すようになっている。
リテーナ9は、図4及び図7に示すように構成される。リテーナ9は、平板をその主体として備える。この平板に長さ方向に沿って、カップ1の胴部2が嵌り込む嵌入穴17が複数個形成される。図示例では嵌入穴17が四個形成されるが、それ以上又はそれ以下に適宜変更可能である。嵌入穴17は、カップ1の胴部2の上端における外径よりも大きくフランジ3の外径より小さくなるように形成される。これにより、カップ1の胴部2が嵌入穴17に挿入されると、フランジ3が嵌入穴17の周縁の上側に留まり、胴部2が嵌入穴17の周縁から下方に突出する。
リテーナ9は多数用意され、図1に示すように、カップ1をそのフランジ3と平行な方向にリテーナ9ごと間欠走行させる走行手段に取り付けられる。走行手段は例えばスプロケットホイール18a,18b間に水平に掛け渡される無端チェーン18として構成され、多数のリテーナ9がこの無端チェーン18に所定の間隔で取り付けられる。無端チェーン18よりなる無端走行路に、多数のリテーナ9が単列又は複数列で取り付けられ、これにより多数のカップ1が効率良く殺菌処理される。
無端チェーン18は図示しない制御部で制御されるモータにより駆動される。無端チェーン18の駆動によりリテーナ9がカップ1を保持しつつ無菌チャンバー16内を上記供給部16aから取出部16bに向かって所定のピッチずつ間欠的に走行する。もちろん、必要に応じて連続走行させることも可能である。
スカート壁6は、図4及び図7に示すように、リテーナ9の平板の下面に、各嵌入穴17の回りからカップ1の底面側へと延びるように取り付けられる。これにより、スカート壁6は、リテーナ9に保持されたカップ1の胴部2をその外周から取り囲む。
スカート壁6は、この実施の形態1では円筒形に形成されるが、四角筒等の角筒に形成してもよい。また、先細りの円錐台形、角錐台形や、末広がりの円錐台形、角錐台形等にも適宜変更可能である。
また、図5に示すリテーナ9aにおけるように、図4に示した円筒を隣り合うもの同士で連通するように形成したスカート壁6aとしてもよく、図6に示すリテーナ9bにおけるように、図5に示した波型の壁を四角筒状にしたスカート壁6bとしてもよい。
図2に示すように、下側の殺菌用ノズル7は、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体7aを有し、この箱体7aの上面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の底面に対向する。この箱体7aの上面に過酸化水素のミスト又はガスaを噴出する多数の小孔7bが形成される。小孔7bは箱体7aの上面の全面に穿設することも可能であるが、カップ1の底面ないしフランジ3に正対する領域に穿設するようにしてもよい。あるいは、箱体7aに代えて、リテーナ9上のカップ1ごとに如雨露の多数の小孔が開いた頭のごとき円錐体を設けるようにしてもよい。
この下側の殺菌用ノズル7は、箱体7a内に供給された過酸化水素のミスト又はガスaを小孔7bからリテーナ9に保持されまま一時停止したカップ1の底面に向かって吹き付ける。これにより、過酸化水素のミスト又はガスaが図7中矢印方向に流れてカップ1の胴部2の外面に付着し、この外面を殺菌処理する。また、過酸化水素のミスト又はガスaはスカート壁6とカップ1の胴部2との間に入り込んで滞留することにより、胴部2の外面にムラなく接触して胴部2の全外表面を適正に殺菌する。
また、下側の殺菌用ノズル7から吹き出た過酸化水素のミスト又はガスaは、図7中矢印で示すように、カップ1の胴部2の外面に接触し、胴部2とリテーナ9の嵌入穴17との間の隙間へと流れる。これにより、カップ1のフランジ3の付け根も殺菌可能になる。
カップ1の殺菌をより効果的に行うため、図2、図4及び図7に示すように、リテーナ9の平板におけるカップ1のフランジ3に対向する箇所には、多数の小さい貫通孔19が穿設される。これにより、カップ1に底面側から吹き付けられた過酸化水素のミスト又はガスaは、図7中矢印で示すように、胴部2の外面と嵌入穴17との間の隙間に加え、貫通孔19からもフランジ3の裏面へと流れ、このフランジ3の陰部分にも接触して殺菌する。
貫通孔19は、円形、楕円形、正方形、長方形、スリット形等、過酸化水素のミスト又はガスaや後述する過酸化水素のミスト又はガスb、熱風dが通過しやすい所望の形状に形成され、また、所望の個数、配列で設けられる。
このカップ1の殺菌をさらに効果的に行うため、図2、図4及び図7に示すように、リテーナ9の嵌入穴17の回りには、カップ1のフランジ3に当たってフランジ3をリテーナ9上に少しばかり浮上させる突起20が設けられる。この突起20によりフランジ3がリテーナ9の上面から離反することで、過酸化水素のミスト又はガスaがフランジ3の裏面へとさらに円滑に導かれ、フランジ3等の陰部分も適正に殺菌される。
上側の殺菌用ノズル8は、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体8aを有し、この箱体8aの下面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の開口及びフランジ3に対向する。この箱体8aの上面に過酸化水素のミスト又はガスbを噴出する多数の小孔8bが形成される。小孔7bは箱体7aの下面の全面に穿設することも可能であるが、カップ1の開口及びフランジ3に正対する領域に穿設するようにしてもよい。
この上側の殺菌用ノズル8は、下側の殺菌用ノズル7と取り付ける向きが逆である点を除いて略同じ構成とされる。
この上側の殺菌用ノズル8は、図1に示すように、カップ1の搬送方向に見て下側の殺菌用ノズル7よりも下流側に例えば一枚のリテーナ9の幅分だけずれるように配置される。これにより、カップ1の外面が先に殺菌されたうえで内面が殺菌されることとなり、上述したようにカップ1の外面の殺菌を十分に行うことができると共に、カップ1の内面の残留過酸化水素量を低減することができる。
図1に示すように、上記下側と上側の殺菌用ノズル7,8の各近傍には、殺菌用ノズル7,8から吹き出た余剰の過酸化水素のミスト又はガスa,bを無菌チャンバー16内から除去するための排気手段としてダクトの開口21,22が設けられる。
この無菌充填装置は、図2に示すように過酸化水素のミスト又はガスa,bを作るための生成器23を備える。
この生成器23は、殺菌剤である過酸化水素の水溶液を滴状にして供給する二流体スプレーである過酸化水素供給部24と、この過酸化水素供給部24から供給された過酸化水素の噴霧をその沸点以上非分解温度以下に加熱して気化させる気化部25とを備える。過酸化水素供給部24は、過酸化水素供給路24a及び圧縮空気供給路24bからそれぞれ過酸化水素の水溶液と圧縮空気を導入して過酸化水素の水溶液を気化部25内に噴霧するようになっている。気化部25は内外壁間にヒータ25aを挟み込んだパイプであり、パイプ内に吹き込まれた過酸化水素の噴霧を加熱し気化させる。気化した過酸化水素のガスはノズル26から上下の殺菌用ノズル7,8の箱体7a,8a内へと流れ、小孔7b,8bからカップ1の上下に向かって噴出する。気化部25内で気化した過酸化水素は、小孔7b,8bを出てカップ1の近傍に至るまでの間に沸点以下の温度まで降下することにより、一部が凝縮し液化する。これにより、過酸化水素の気液混合体である微細なミストa,bが生成される。この過酸化水素の微細なミスト又はガスa,bが小孔7b,8bから上記カップ1に吹き付けられ、カップ1の表面に薄い皮膜となって付着する。カップ1の表面に付着したミストa,bは結露し、高濃度の過酸化水素となって、カップ1の表面を速やかに殺菌する。
乾燥用ノズル10a,10bは、図1に示すように、上側の殺菌用ノズル8の位置から所定距離だけ離れた位置に設置される。これにより、過酸化水素のミスト又はガスbが吹き込まれ内部に滞留したカップ1は一定時間そのまま保持され、ミストbがカップ1の内面に均一に付着し、少なくともカップ1の内面が所望程度まで殺菌された直後に、乾燥処理に付されることになる。
乾燥用ノズル10a,10bは、図1、図3及び図8に示すように、カップ1を保持したリテーナ9の走行路を上下から挟むように対向配置される。
図3に示すように、上側のカップ内面乾燥用ノズル10aは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体27を有し、この箱体27の下面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の開口及びフランジ3に対向する。この箱体27の下面に熱風cを噴出する多数の小孔27aが形成される。小孔27aは箱体27の下面の全面に穿設してもよいが、カップ1の開口およびフランジ3に正対する領域に穿設するようにしてもよい。あるいは、箱体27に代えて、リテーナ9上のカップ1ごとに如雨露の多数の小孔が開いた頭のごとき円錐体を設けるようにしてもよい。
また、箱体27の下面にはカップ1の開口に対向するように吹出し筒27bが固定される。この吹出し筒27bからも熱風cがカップ1の開口に向かってより多量に吹出し、カップ1内に滞留した過酸化水素のミスト又はガスbをカップ1外に排出すると共に、カップ1の内面を効率的に加熱してカップ1の内面に付着した過酸化水素を乾燥させる。
このカップ内面乾燥用ノズル10aから吹き出す熱風cは、上述したように比較的高温度の風である。
下側のカップ外面乾燥用ノズル10bは、リテーナ9の走行路を横断する方向に伸びる箱体28を有し、この箱体28の上面がリテーナ9上で一列に並んだすべてのカップ1の底面に対向する。この箱体28の上面に熱風dを噴出する多数の小孔28aが形成される。この下側のカップ外面乾燥用ノズル10bは、上側の乾燥用ノズル10aと小孔28aの開口方向が逆である点、また吹出し筒27bが省略されている点を除いて略同じ構成である。
ただし、このカップ外面乾燥用ノズル10bから吹き出す熱風dは、上述したように温風cよりも比較的低温度の風である。
この下側のカップ外面乾燥用ノズル10bから吐出される熱風dはカップ1の底面に接触した後スカート壁6内に取り込まれ、スカート壁6で案内されつつ流れ、カップ1の胴部2とスカート壁6との間で滞留し、カップ1の胴部2における外面の全面に接触する。従って、カップ1の胴部2の外面についても適正な加熱が行われ、カップ1の外面から余剰の過酸化水素が除去される。
図8に示すように、スカート壁6は、カップ1の胴部2の途中まで覆うように垂下し、それよりも下方の部分は露出させるように形成される。これにより、スカート壁6とカップ1の胴部2との間での熱風dの過度な滞留が防止され、カップ1の熱による変形が防止される。
カップ1にその底面側から吹き付けられた熱風dは、図8中矢印で示すように、胴部2の外面とリテーナ9の嵌入穴17との間の隙間に加え、貫通孔19からもフランジ3の裏面へと流れる。また、カップ1のフランジ3が突起20に当たってリテーナ9の上に少しばかり浮上することで、フランジ3とリテーナ9の上面との間の隙間からも熱風dがフランジ3の裏面等へとさらに円滑に導かれる。これにより、過酸化水素がカップ1の外面からさらに効果的に除去される。
上下の乾燥用ノズル10a,10bはカップ1の走行方向でずれていてもよいが、望ましくはカップ1の走行路を挟んで正対するように配置される。ノズル10a,10b同士を正対させておくことで、カップ1に上下から風圧を作用させ、リテーナ9からのカップ1の脱落を防止することができる。風圧は、下側よりも上側の方を大きくするのが望ましい。
図1に示すように、上記上下の乾燥用ノズル10a,10bと同様な乾燥用ノズル11a,11b,12a,12b,13a,13bが、上下一対となってカップ1の走行路に沿って所定の間隔で配置される。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの設置数は、少なくともカップ1の内面での残留過酸化水素量を許容範囲内まで低下させることができる総風量を得ることができるように決定される。
また、乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの対間は、上流側の乾燥用ノズルによる熱風c、dの吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルによる熱風c、dの吹き付けまでの間にカップ1がそれぞれ所望の温度まで自然冷却される程度に離される。各乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bから吐出される熱風c、dは、カップ1を構成するPETが変形して特にそのフランジ3の平滑性、平坦性が損なわれないようにすることができる温度及び流量とされる。
このようにカップ1に対する加熱と冷却を繰り返すことで、カップ1に変形を生じさせることなく、残留過酸化水素の除去を適正に行うことができる。そして、後の飲料4の充填、蓋材5のシールを適正に行うことができる。
この無菌充填装置は、図3に示すように、上記熱風c、dを作るためにブロア29、フィルタ30、加熱器31,31a等を備える。ブロア29からの送風をフィルタ30で除菌し、加熱器31で加熱して熱風cを作り、この熱風cを上側のカップ内面乾燥用ノズル10a,10a,12a,13aの箱体27内に供給するようになっている。また、フィルタ30で除菌した風を加熱器31aで加熱して熱風cよりも低温度の熱風dを作り、この熱風dを下側のカップ外面乾燥用ノズル10b,11b,12b,13bの箱体28内に供給するようになっている。
充填部14は、図1に示すように、カップ1の走行路において最終の乾燥用ノズル13a,13bよりも下流側に設置される。充填部14は、リテーナ9により運ばれて来た殺菌済みのカップ1内に殺菌処理済みの例えば飲料4を所定量充填するようになっている。充填部14は公知であるからその詳細な説明は省略する。
蓋材シール部15は、図1に示すように、カップ1の走行路において充填部14よりも下流側に設置される。蓋材シール部15は、リテーナ9により運ばれて来た充填済みのカップ1の開口に蓋材5を被せ、この蓋材5の回りをカップ1のフランジ3にヒートシールするようになっている。この蓋材シール部15は公知であるからその詳細な説明は省略する。
なお、この無菌充填装置は、充填部14や、蓋材シール部15は省略して殺菌処理のみを行うものとし、乾燥処理が完了したカップ1を直ちに無菌チャンバー16外に取り出すような構成とすることも可能である。この場合は、充填、シールは他の場所で行われることになる。
次に、上記構成の無菌充填装置の作用について説明する。
無菌チャンバー16内が予め殺菌剤ミスト又はガスの供給、紫外線照射等により殺菌される。また、無菌チャンバー16内に無菌エアが常時吹き込まれ、この無菌エアが無菌チャンバー16の図示しない所定の出入口や隙間から吹き出るようになっており、これにより無菌チャンバー16内の無菌状態が維持される。
図1に示すように、無菌チャンバー16内に供給部16aからカップ1を供給してリテーナ9の嵌入穴17内に挿入する。
リテーナ9は無端チェーン18の駆動により、例えばリテーナ9の一ピッチごとに間欠走行し、受け取ったカップ1を下側の殺菌用ノズル7へと送る。
殺菌用ノズル7は、多数の小孔7bからカップ1の底面に向かって過酸化水素のミスト又はガスaを吹き付ける。これにより、カップ1の外面が殺菌処理される。
リテーナ9に取り付けられたスカート壁6は、下側の殺菌用ノズル7から吐出された過酸化水素のミスト又はガスaを取り込み、カップ1の胴部2の外面へと案内する。過酸化水素のミスト又はガスaはカップ1の胴部2とスカート壁6との間に滞留し、カップ1の外面の殺菌効果を高める。
また、カップ1の胴部2とスカート壁6との間に流入したミスト又はガスaは、胴部2の外面とリテーナ9の嵌入穴17との間の隙間、貫通孔19、突起20とフランジ3との間を通ってフランジ3の裏面へと流れ、フランジ3の裏面等陰になった部分も効果的に殺菌する。
リテーナ9は、この外面が殺菌されたカップ1を次の上側の殺菌用ノズル8へと送る。
上側の殺菌用ノズル8は、多数の小孔8bからカップ1の開口とフランジ3に向かって過酸化水素のミスト又はガスbを吹き付けてカップ1の内面を殺菌処理する。
リテーナ9は、過酸化水素が塗布されたカップ1を保持しつつ走行し、次の乾燥用ノズル10a,10bへと送る。
リテーナ9上のカップ1が、上側の殺菌用ノズル8による過酸化水素のミスト又はガスbの吹き付けから最初の乾燥用ノズル10a,10bによる熱風cの吹き付けに至るまでの間、過酸化水素がカップ1内に滞留し、カップ1の内面を所望程度まで殺菌する。また、下側の殺菌用ノズル7から吐出された過酸化水素のミスト又はガスaはカップ1の胴部2とスカート壁6との間に滞留し、カップ1の胴部2の外面を殺菌する。
乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bの各対はそれぞれカップ1の開口側と底面側からカップ1を挟むように熱風c、dを吹き付けるので、カップ1は軽いもの、面積の大きいものであっても、リテーナ9から脱落することなく走行する。
初回の乾燥用ノズル10a,10bは、多数の小孔27a,28aや吹出し筒27bからカップ1の開口と底面に向かって熱風c、dをそれぞれ吹き付けてカップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を乾燥させる。
リテーナ9に取り付けられたスカート壁6は、下側のカップ外面乾燥用ノズル10bから吐出された熱風dを取り込み、カップ1の方へと案内する。これにより、熱風dはカップ1の胴部2からフランジ3にかけて満遍なく行き渡る。
この熱風dはカップ1を熱で変形させない程度の温度及び風量とされる。また、スカート壁6はカップ1の上端側から胴部2の中途まで伸びており、胴部2の下部分は露出させているので、スカート壁6と胴部2との間での畜熱が緩和され、カップ1の熱による変形が防止される。
熱風dは、図8中矢印で示すように、胴部2と嵌入穴17との間の隙間16aに加え、リテーナ9に形成された貫通孔19からもフランジ3の裏面へと流れ、このフランジ3等の陰部分にもムラなく接触して加熱する。また、フランジ3が突起20によりリテーナ9の上に持ち上げられ浮上することからも、熱風dはフランジ3の裏面にムラなく接触し、フランジ3等の陰部分も適正に加熱する。
この初回の熱風c、dの吹き付け後、リテーナ9はカップ1を次の乾燥用ノズル11a,11bへと搬送し、その間にカップ1を放冷する。このカップ1の冷却は自然放冷であるが、冷却風等をカップ1に吹き付けることによりカップ1を強制冷却してもよい。このカップ1の冷却により、カップ1に蓄積された熱の一部が除去される。
乾燥用ノズル11a,11bは、前回と同様にして多数の小孔27a,28aや吹出し筒27bからカップ1の開口と底面に向かって熱風c、dをそれぞれ吹き付けてカップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
リテーナ9は、過酸化水素がさらに除去されたカップ1を放冷させながら次の段の乾燥用ノズル12a,12bへと搬送する。
この上下の乾燥用ノズル12a,12bも前回と同様にして多数の小孔27a,28aや吹出し筒27bからカップ1の上下に向かって熱風c、dをそれぞれ吹き付け、カップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
リテーナ9は、過酸化水素がさらに除去されたカップ1を放冷させながら次の段の乾燥用ノズル13a,13bへと搬送する。
この上下の乾燥用ノズル13a,13bも前回と同様にして多数の小孔27a,28aや吹出し筒27bからカップ1の上下に向かって熱風c、dをそれぞれ吹き付け、カップ1の内外面を加熱し、カップ1の表面に付着した過酸化水素を更に乾燥させる。
このように、各乾燥用ノズル10a,10b,11a,11b,12a,12b,13a,13bによる加熱と、各加熱間での放冷とが繰り返されることにより、また、カップ1の外面に吹き付ける熱風dの温度がカップ1の内面に吹き付ける熱風cの温度よりも低く設定されることにより、カップ1の熱による変形が回避されつつカップ1の表面からの過酸化水素の除去が行われる。
リテーナ9は、最終の乾燥用ノズル13a,13b間を通過し、残留過酸化水素が許容値内まで低下したカップ1を保持して次の充填部14へと送る。充填部14は、連続走行するカップ1に開口から飲料4を定量充填する。
リテーナ9は、飲料4が充填されたカップ1を保持しつつ走行し、カップ1を次の蓋材シール部15へと送る。蓋材シール部15はカップ1の開口に蓋材5を被せ、蓋材5をカップ1のフランジ3に接着しカップ1を密封する。これにより、無菌包装品が完成する。
リテーナ9は、無菌包装品を取出部16bへと搬送する。取出部16bは図示しないロボット等により無菌包装品を無菌チャンバー16の外に取り出す。
<実施の形態2>
図10に示すように、この実施の形態2では、カップ1の内外面に対する熱風c、dの吹き付けが実施の形態1の場合と同じ回数行われるが、実施の形態1と異なり初回と次の回との間の放冷時間は殆どないほどに短縮され、また、次の回以降では放冷時間が実施の形態1の場合よりも長く設定されている。すなわち、最初と次のカップ内外面乾燥用ノズル10a,10b,11a,11bがリテーナ6の走行方向で近接して設置され、次のカップ内外面乾燥用ノズル12a,12b,13a,13b以降ではカップ内外面乾燥用ノズル12a,12b,13a,13bが等間隔で設置されている。
このように初回と次の回との間の時間を短縮し、放冷を省略することにより、早期に多量の熱風をカップ1に吹き付けることができ、過酸化水素の残留を一層低減することができる。
その他、この実施の形態2において、実施の形態1と同一の部分については同一の符号で示し、重複した説明を省略する。
なお、本発明は上記実施の形態1,2に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々変更可能である。
次に、具体的な実施例について説明する。
図9に示すような外観を有し、開口内径52mm、開口外径71mm、フランジ幅4mm、底面径46mm、高さ107mmの大きさに成形されたPET製のカップを多数用意し、所望数のカップの各部位にBI(biological indicator)を貼り付けた。
BIは、5mm角のアルミニウム箔、及び両面粘着テープを貼り付けた各シャーレをエチレンオキサイドガス(EOG)で滅菌し、各シャーレ内に貼着した両面粘着テープ上に上記アルミニウム箔を貼り付け、各アルミニウム箔に2.7×105ヶ/spotの枯草菌芽胞を塗布し、しかる後、クリーンベンチ内で風乾することにより作成した。
各カップのBIの貼り付け部位は、各カップの内面についてはフランジの上面、スタッキングリブの内面、胴部の上側の内面、胴部の中間高さの内面、胴部の下側の内面、胴部の底角の内面とした。また、各カップの外面についてはフランジの裏面、スタッキングリブの外面、胴部の上側の外面、胴部の中間高さの外面、胴部の底角の外面、胴部の底角の外面とした。
BIを貼付した各カップについて、図1の殺菌工程を実施した。リテーナとして図4に示すようなスカート壁、貫通孔、突起を備えたものを使用し、カップも同図に示すようにリテーナに装填した。リテーナは間欠走行させるものとし、リテーナの走行方向での幅を110mmとして走行速度を110mm/secとし、リテーナの幅分送るごとに1sec停止させた。
殺菌工程は、カップの外面について図1(B)、図2及び図7に示すように行い、過酸化水素の供給量を12g/minに設定して実施した。過酸化水素の供給量は生成器26への供給量として示す。殺菌用ノズルは図2に示すような形状のものを用い、カップの底面に対し15mm離れるように設置して、0.5MPaの圧力で過酸化水素のミスト又はガスを吐出した。
また、カップの内面について図1(C)、図2及び図7に示すように行い、過酸化水素の供給量を5g/minに設定して実施した。過酸化水素の供給量は生成器26への供給量として示す。殺菌用ノズルは図2に示すような形状のものを用い、カップの底面に対し15mm離れるように設置して、0.5MPaの圧力で過酸化水素のミスト又はガスを吐出した。
各カップを殺菌後、図1(D)に示すように、7秒間保持し、カップ内に過酸化水素を滞留させた。
続いて、乾燥工程を、各カップの内外面に熱風を吹き掛けることによって行った。冷却工程F,H,Jはすべて7秒間とした。
リテーナは図4に示すものを使用し、乾燥用ノズルは、図3に示す構造のものを用いた。カップ内面の乾燥用ノズルは、その中央の吹出し筒の先端がカップの開口から15mm離れるように設置し、吹出し筒の直径を12mmφとし、吐出風量はカップ1個について0.6m3/minとした。また、カップ外面の乾燥用ノズルは、カップの開口から15mm離れるように設置し、吐出風量はカップ1個について0.3m3/minとした。
また、カップ内面乾燥用ノズルから、162℃の熱風をカップ内面に向けて吹き付けた。カップ外面乾燥用ノズルからは、30℃、50℃、60℃、80℃、90℃の五通りの温度の熱風を各カップ外面に向けてそれぞれ吹き付けた。
この乾燥工程は、図1のごとく4回(E,G,I,K)行った。また、カップ外面乾燥用ノズルからの熱風の温度を60℃とした場合に、冷却工程(F,H,J)の冷却時間を種々変更した。
その後、カップからBIを剥し取り、トリプトソイブイヨン培地中で、35℃×7日間培養し、菌の発生の有無を確認したところ、カップ内面についての殺菌効果(LRV(Logarithmic reduction value)=log(付着菌数/生残菌数))は6以上であった。また、カップ外面の殺菌効果として、表1の結果を得た。
また、カップ内に無菌水を充填し密封して35℃×2日間放置し、この無菌水に含まれる過酸化水素の量を測定し、表2、表3の結果を得た。また、本発明者が目視でカップの外形について観察し、表3、表4の結果を得た。
Figure 2009018851
Figure 2009018851
Figure 2009018851
Figure 2009018851
表1から、カップ外面乾燥用の熱風を50℃以上にするとカップ外面についてLRV6以上の殺菌効果を得ることができることが分かった。すなわち、カップの肉厚の厚い底部以外は、内面乾燥の熱により、カップ外面も十分に昇温し、外面乾燥温度が50℃未満でも殺菌可能であるが、肉厚の厚い底部は、50℃以上の外面乾燥温度が必要である。
表2から、カップ外面乾燥用の熱風を50℃以上にするとカップ内面における過酸化水素残留量を無菌水200mlにつき0.45ppm以下にすることができることが分かった。この残留値は、FDA(米国食品医薬品局)が定める飲料生産直後の残留過酸化水素量0.5ppmよりも小さい。
表3から、冷却時間は最初の冷却工程で短く、後の冷却工程で長くすると過酸化水素の残留が低減することが分かった。
表4から、カップ外面乾燥用の熱風の温度を80℃程度よりも低くすればカップの胴部の変形が抑制されることが分かった。
カップ外面乾燥用ノズルからの熱風の温度を60℃とし、初回と次の回との間の放冷時間を実質的に省略して1秒間とした。また、次の回の熱風の吹き付け以降における放冷時間を7秒間にした場合と、それよりも長く設定した場合とについて実施した。その後、カップ内面の残留過酸化水素量について測定し、表5の結果を得た。
Figure 2009018851
表5から、当初の冷却工程における冷却時間を殆どなくするとカップ内面における過酸化水素の残留量を更に低減することができ、後の冷却時間を長くするとカップの変形が防止されることが分かった。
本発明の実施の形態1に係るカップの殺菌装置の概略を示す垂直断面図である。 図1中、殺菌工程B、Cを示す斜視図である。 図1中、乾燥工程Eを示す斜視図である。 リテーナを示す斜視図である。 他の形態のリテーナを示す斜視図である。 さらに他の形態のリテーナを示す斜視図である。 殺菌工程におけるリテーナ及びカップの垂直断面図である。 乾燥工程におけるリテーナ及びカップの垂直断面図である。 カップの一例の斜視図である。 本発明の実施の形態2に係るカップの殺菌装置の概略を示す垂直断面図である。
符号の説明
1…カップ
2…胴部
3…フランジ
5…蓋材
6…スカート壁
7,8…殺菌用ノズル
9…リテーナ
10a,11a,12a,13a…容器内面乾燥用ノズル
10b,11b,12b,13b…容器外面乾燥用ノズル
17…嵌入穴
18…無端チェーン
19…貫通孔
20…突起
a、b…過酸化水素のミスト又はガス
c、d…熱風

Claims (16)

  1. PET製カップ状容器の内外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて容器を殺菌処理した後、容器の内外面に向かって容器が変形しない程度に熱風を吹き付けて、容器の少なくとも内面に付着した過酸化水素を乾燥させるPET製カップ状容器の殺菌方法であって、上記容器の内面が所望程度に殺菌されるまで上記過酸化水素を容器内に滞留させた後直ちに上記熱風の吹き付けを開始し、容器内面に吹き付ける熱風は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とし、容器外面に吹き付ける熱風は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とし、上記熱風の吹き付けは少なくとも容器内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで複数回行い、先の熱風の吹き付けから次の熱風の吹き付けまでそれぞれ放冷時間を置いて容器を所望の温度まで冷却することを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  2. 請求項1に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器の胴部をスカート壁で囲み、容器の胴部とスカート壁との間に過酸化水素のミスト又はガスを吹き込むことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器を一方向に搬送し、この搬送方向の上流側で容器の外面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付け、下流側で容器の内面に向かって過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けることを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器を一方向に搬送し、この搬送方向に沿って所定の間隔を置いて複数回にわたり容器の内面と外面に向かって熱風を吹き付け、先の熱風の吹き付けから次の熱風の吹き付けに至るまでにそれぞれ容器を放冷することを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器の胴部をスカート壁で囲み、容器の胴部とスカート壁との間に熱風を吹き込むことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  6. 請求項5に記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、スカート壁で容器の胴部の上端から途中までを囲むことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器の内外面に対する熱風の吹き付けは少なくとも三回行い、各回間の放冷時間は互いに等しくすることを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌方法において、容器の内外面に対する熱風の吹き付けは少なくとも三回行い、初回と次の回との間の放冷時間は後の放冷時間よりも短縮することを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌方法。
  9. PET製カップ状容器の胴部が嵌り込む嵌入穴を有したリテーナを一方向に走行させる走行手段が設けられ、上記リテーナに保持された上記容器の内面と外面に向かってそれぞれ過酸化水素のミスト又はガスを吹き付けて上記容器を殺菌する殺菌用ノズルが設けられ、上記過酸化水素のミスト又はガスが容器内に滞留したまま容器の内面について所望程度に殺菌されるまで上記リテーナが走行した位置から下流側へと、乾燥用ノズルが所望の間隔で複数箇所に配置され、容器内面乾燥用ノズルが吹き付ける熱風は容器内面について残留過酸化水素量を低減することができると共に所望程度に殺菌することができる高温度とされ、容器外面乾燥用ノズルが吹き付ける熱風は容器外面について所望程度に殺菌することができる低温度とされ、これらの乾燥用ノズルから少なくとも容器内面での残留過酸化水素量が許容範囲内になるまで容器の内外面に向かって熱風が吹き付けられ、上流側の乾燥用ノズルによる熱風の吹き付けから次の下流側の乾燥用ノズルによる熱風の吹き付けまでの間に容器がそれぞれ所望の温度まで冷却されるようにしたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  10. 請求項9に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、リテーナの嵌入穴の回りから容器の底面側へと延びて容器の胴部を囲むスカート壁が設けられたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  11. 請求項10に記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、スカート壁が容器の胴部の途中まで垂下していることを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  12. 請求項9乃至請求項11のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、走行手段が無端走行路を有し、多数のリテーナが単列又は複数列でこの無端走行路上に設けられていることを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  13. 請求項9乃至請求項12のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器の胴部の上端に設けられるフランジに対向するように多数の貫通孔がリテーナに設けられたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  14. 請求項9乃至請求項13のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器の胴部の上端に設けられるフランジをリテーナ上に浮上させる突起がこのリテーナに設けられたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  15. 請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズルがリテーナの走行方向に沿って少なくとも三箇所に等間隔で設けられたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
  16. 請求項9乃至請求項14のいずれかに記載のPET製カップ状容器の殺菌装置において、容器内外面用の乾燥用ノズルがリテーナの走行方向に沿って少なくとも三箇所に設けられ、最初と次の乾燥用ノズルは近接して設置されたことを特徴とするPET製カップ状容器の殺菌装置。
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