JP4674833B2 - カップ容器への熱風供給装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送中のカップ容器に対して熱風を吹き付けることで容器を加熱して乾燥させるための装置に関し、特に、容器の全体をまんべんなく加熱して乾燥させるためのカップ容器への熱風供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙やプラスチックを材料とするカップ状の容器を、容器を嵌入させる孔を開口させた搬送コンベア(リテーナー)により所定間隔に保持した状態で搬送しながら、容器内に内容物を充填してから容器開口部を密封するに際して、搬送コンベアにより充填・密封工程に向けて搬送中の空の容器に対して、ガス状や霧状の殺菌剤(過酸化水素水等)を噴霧ノズルから噴霧することで、容器の表面(内外両面)に殺菌剤を付着させてから、熱風で加熱して乾燥させることによって空の容器を予め殺菌しておくということが従来から公知となっている(例えば、特公昭61−3684号公報,特開平9−58633号公報等参照)。
【0003】
すなわち、前の工程で容器の内外両面に殺菌剤が付着された各容器に向けて、特公昭61−3684号公報ではノズルから、また、特開平9−58633号公報ではエアー配管から、何れも乾燥した熱風を吹き付けることで容器に付着させた殺菌剤を乾燥させて除去するということが記載されており、それらの公報中には、熱風を吹き付けるための複数のノズル(或いはエアー配管)を容器の搬送方向(進行方向)に沿って設けた構造が図面により示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来公知のカップ容器への熱風供給では、搬送コンベアにより充填・密封工程に向けて搬送中の容器に付着した殺菌剤を加熱して乾燥させるために、容器の搬送方向に沿ってノズル(或いはエアー配管)を複数設けているものの、それら複数のノズル(或いはエアー配管)からは全て同じように容器に向けて熱風を吹き出していることから、容器には同じパターンで繰り返し熱風が吹き付けられることとなる。
【0005】
そのため、使用するカップ容器の形状を横断面円形の丸型容器から横断面方形の角型容器に変えたような場合、それに合わせてノズル(或いはエアー配管)を吹き出しパターンの異なるものに変えない限り、それまでは容器の全体に対してまんべんなく熱風を吹き付けていたとしても、容器の形状が変わることで、それまでと同じように容器の全体にまんべんなく熱風を吹き付けることができないこととなる。
【0006】
その結果、カップ容器の温度が部分的に不均一となって、容器全体を完全に乾燥させるために熱風の吹き付け量を増やすと容器が部分的に過熱状態となる虞があり、一方、熱風の吹き付け量が同じでは容器の乾燥が部分的に不充分なものになって殺菌効果が不充分で殺菌剤が残留するような虞があるのに対して、そのような問題が起きないようにノズルやエアー配管による吹き出しパターンを容器の形状に応じて変えるためには、その都度ノズルやエアー配管を全て取り替えるための面倒な作業や多大の時間を要することとなる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするもので、具体的には、カップ容器への熱風供給について、容器の形状がどのようであっても、常に容器の全体に対して熱風をまんべんなく吹き付けることができるようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、連続的に搬送されているカップ容器に対して熱風を吹き付けるための熱風供給装置において、熱風の吹き出し口の平面形状が異なる複数のノズルが、容器の搬送方向に沿って順次配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
上記のように搬送中のカップ容器に対して吹き出し口の平面形状が異なる複数のノズルから順次に熱風を吹き付けることにより、カップ容器の形状がどのようであっても、最終的には容器の全体に対して熱風をまんべんなく吹き付けることができて、カップ容器が部分的に過熱状態となったり乾燥不足となったりすることはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカップ容器への熱風供給装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の一実施形態について、図1は、カップ容器の無菌充填ラインの全体を概略的に示し、図2および図3は、カップ容器の無菌充填ラインにおける容器殺菌工程を示し、図4は、容器殺菌工程の熱風乾燥エリア(及び冷却エリア)における装置の設置状態を示すものである。
【0011】
カップ容器の無菌充填ラインについて、本実施形態では、図1に示すように、積み重ねられた状態から分離されてラインに供給された各容器(図示せず)について、搬送コンベア(リテーナー)3により複数列(例えば7列)で連続して搬送しながら、容器の重なりを検出して重なった容器を分離除去する装置4と、容器から静電気を除電して容器に付着した粉塵をバキュームで除去する装置5を通過させてから、容器の内面側に殺菌剤を付着させてから熱風乾燥して無菌エアーで冷却する内面殺菌装置6と、容器の内外両面に殺菌剤を付着させてから熱風乾燥して無菌エアーで冷却する内外面殺菌装置7とを順次通過させた後、殺菌済みの空の容器に対して充填装置8により内容物を容器内に充填している。
【0012】
次いで、充填装置8で内容物が充填された各容器について、窒素ガス置換装置9により容器のヘッドスペースの空気を窒素ガスに置換してから、容器の開口フランジ部にフィルム12を線状に溶着するリッド線溶着装置10と、容器の開口フランジ部にフィルム12を面状に溶着してから切断するリッド溶着切断装置11とを順次通過させることで、フィルム供給コイル13から繰り出されて殺菌槽14で殺菌液に浸漬され乾燥装置15で熱風により乾燥された殺菌済みのフィルム12によって、容器の開口部をフィルム状のリッド(蓋)で密封した後、リッド部分が打ち抜かれた使用済みのフィルムをフィルム巻取コイル16に回収する一方、リッドで密封された容器を、リッドシール密封検査装置17を通過させてから、容器排出装置18により搬送コンベア3から排出してラインから搬出している。
【0013】
上記のような無菌充填ライン1は、図示していない付属部分を含む全体がクリーンルーム(クラス10,000より空気清浄度の高い室)の内部に設置されており、その主要部分の大部分(図1において一点鎖線で囲んだ部分)が、空気清浄度が高レベル領域であるクリーンブース(クラス100より空気清浄度の高い室)の内部に設置されている。
【0014】
なお、無菌充填ラインでのカップ容器の搬送については、上記のように幅方向で複数個の容器を同時に進行させる多列搬送によるのが効率的であるが、場合によっては単列搬送としても良く、充填や密封についても、幅方向で横一列(単列搬送の場合は1個)ずつ行うようにしても良いし、搬送方向と幅方向でそれぞれ複数個(単列搬送では搬送方向で複数個)ずつ行うようにしても良いが、何れにしても、充填や密封を行う時に容器の搬送を一時的に停止させるために、カップ容器は間欠的に進行するように搬送されている。
【0015】
また、カップ容器の搬送に使用される搬送コンベアについては、従来から広く知られた構造のものであり、各カップ容器を所定の間隔で保持するリテーナー(保持具)の機能を有するものであって、図示していないが、搬送コンベアの幅方向と長さ方向のそれぞれで所定間隔で設けられた複数の孔にカップ容器を嵌入させて、カップ容器の上端にある開口フランジ部を搬送コンベアの搬送面上に載置した状態で、多数のカップ容器を所定の間隔で搬送するようにしたベルトコンベアである。
【0016】
上記のようなカップ容器の無菌充填ライン1において、充填装置8による充填工程では内容物を充填するために、また、リッド線溶着装置10及びリッド溶着切断装置11による密封工程では容器開口部をシールで密封するために、容器の進行を一時的に停止させているが、そのような容器の進行停止の間に、内面殺菌装置6及び内外面殺菌装置7による容器殺菌工程では、停止している個々のカップ容器に向けて、噴霧ノズルからガス状にした殺菌剤(例えば、濃度35%の過酸化水素水)を噴霧してから、熱風によりカップ容器を加熱する(例えば、240℃の熱風により加熱時間6秒で容器自身の到達温度が80℃となるように加熱する)ことで、カップ容器の内外両面を殺菌している。
【0017】
すなわち、内面殺菌装置6では、図2に示すように、殺菌剤噴霧エリアで、容器2の上方に配置された噴霧ノズル20によりガス状の殺菌剤をカップ容器2の内面側に向けて噴霧してから、熱風乾燥エリアで、容器2の上方に配置された熱風供給装置21により容器2に熱風を吹き付けて加熱することで、加熱した殺菌剤により容器2を殺菌すると共に付着した殺菌剤を蒸発させて除去した後、冷却エリアで、加熱されたカップ容器を冷却装置22から吹き出される無菌エアーにより冷却している。
【0018】
また、内外面殺菌装置7では、図3に示すように、殺菌剤噴霧エリアで、容器2の上方と下方に配置された噴霧ノズル20によりガス状の殺菌剤をカップ容器2の内面側と外面側に向けてそれぞれ噴霧してから、熱風乾燥エリアで、容器2の上方と下方に配置された熱風供給装置21により容器2に熱風をそれぞれ吹き付けて加熱することで、加熱した殺菌剤により容器2を殺菌すると共に付着した殺菌剤を蒸発させて除去した後、冷却エリアで、加熱されたカップ容器を冷却装置22から吹き出される無菌エアーにより冷却している。
【0019】
なお、この内外面殺菌装置7では、カップ容器2のフランジ部の裏側に対しても殺菌剤の噴霧や熱風による乾燥を確実に行うことができるように、左右一対の丸棒からなるガイド23により容器2の底部を持ち上げるように案内することで、カップ容器2のフランジ部を搬送コンベア(リテーナー)3から浮かせるようにして搬送しており、ガイド23の左右一対の丸棒の間隔を搬送方向で変えていることにより、容器2の底部の全面に対して残すこと無く殺菌剤の噴霧や熱風の吹き付けを行えるようにしている。
【0020】
そのような内面殺菌装置6と内外面殺菌装置7のそれぞれにおいて、容器2に熱風を吹き付けるための熱風供給装置21は、カップ容器の搬送方向(進行方向)に沿って順に配置された複数のノズル形成体21A〜21Dにより構成されており、各ノズル形成体21A〜21Dのそれぞれには、無菌充填ラインの近傍に設置された空気供給源(図示せず)から高温で乾燥した無菌エアーが熱風として供給されていて、本実施形態では、図4に示すように、各ノズル形成体21A〜21Dのそれぞれに形成されているノズル21a〜21dの吹き出し口の平面形状をノズル形成体21A〜21D毎に変えていることで、各ノズル形成体21A〜21Dの近傍を順次に通過する容器2に対して、各ノズル形成体21A〜21Dに供給された熱風を、容器2の進行につれて順次に吹き出し口の平面形状が異なる複数のノズル21a〜21dにより吹き付けるようにしている。
【0021】
なお、本実施形態では、各ノズル形成体21A〜21D毎に、多列搬送(7列搬送)しているカップ容器2の横一列(容器の搬送方向と直交する方向の一列)に対応する数だけ、吹き出し口の平面形状が同じノズルが形成されており(例えば、ノズル形成体21Aでは7個のノズル21aが形成されている)、そのような各ノズル形成体21A〜21Dのそれぞれに対して、箱型の熱風供給通路となっているノズル形成体の長手方向の両側から熱風を供給することにより、各ノズル形成体21A〜21Dのそれぞれで、複数のノズル(例えば、ノズル形成体21Aでは7個のノズル21a)のそれぞれから略均等な圧力で熱風が吹き出されるようにしている。
【0022】
上記のような本実施形態のカップ容器への熱風供給装置21によれば、例えば、使用するカップ容器の形状が横断面円形の丸型容器であっても横断面方形の角型容器であっても、搬送中の容器が熱風供給装置21の近傍を通過する(ノズル形成体21A〜21Dの近傍を順次通過する)際に、吹き出し口の平面形状が異なる複数のノズル21a〜21dから順次に熱風が吹き付けられることで、容器の全体にまんべんなく熱風を吹き付けることができて、容器の全体を、部分的に過熱させたり乾燥不足とすることなく完全に加熱して乾燥させることができる。
【0023】
以上、本発明のカップ容器への熱風供給装置の一実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に示した具体例にのみ限定されるものではなく、例えば、本発明の装置が適用される無菌充填ラインについては、必ずしも上記の実施形態に示したような各装置によるラインに限られるものではない等、適宜変更可能なものであることは言うまでもない。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したような本発明のカップ容器への熱風供給装置によれば、カップ容器の形状がどうであっても、容器の全体にまんべんなく熱風を吹き付けることができて、殺菌剤が付着された容器の全体を略均等に加熱して乾燥させることができ、その結果、容器を加熱し過ぎたり殺菌剤を残留させたりすることなく充分な殺菌効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカップ容器への熱風供給装置の一実施形態に係るカップ容器の無菌充填ラインの概略を示す側面説明図。
【図2】図1に示したカップ容器の無菌充填ラインの容器殺菌工程の一部(内面殺菌装置の部分)を示す側面説明図。
【図3】図1に示したカップ容器の無菌充填ラインの容器殺菌工程の一部(内外面殺菌装置の部分)を示す側面説明図。
【図4】図2および図3に示した容器殺菌工程の熱風乾燥エリア(及び冷却エリア)における装置の設置状態を示す平面図。
【符号の説明】
1 カップ容器の無菌充填ライン
2 カップ容器
3 搬送コンベア
21 熱風供給装置
21A ノズル形成体
21B ノズル形成体
21C ノズル形成体
21D ノズル形成体
21a ノズル
21b ノズル
21c ノズル
21d ノズル
Claims (2)
- 連続的に搬送されているカップ容器に対して熱風を吹き付けるための熱風供給装置において、熱風の吹き出し口の平面形状が異なる複数のノズルが、容器の搬送方向に沿って順次配置されていることを特徴とするカップ容器への熱風供給装置。
- 多列搬送されているカップ容器の横一列に対応して、吹き出し口の平面形状が同じノズルが複数設けられており、それらのノズルに共通する一本の熱風供給通路の両側から熱風が供給されていることを特徴とする請求項1に記載のカップ容器への熱風供給装置。
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