JP2009016256A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電容量が高く、かつ、寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】本発明の鉛蓄電池は、正極板と、負極板と、電解液とを備える。本発明の鉛蓄電池において、正極板には、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹が正極活物質原料に対して10〜30質量%含まれているので、鉛丹無添加の電池よりも放電容量が高い。また、正極板と負極板との間に存在する電解液の量L1と、正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)が、0.5以上1.0以下に設定されるので、鉛丹無添加の電池以上の寿命性能を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池において、正極活物質原料に一般的な鉛丹(鉛丹化率が98質量%以上の高鉛丹化率鉛丹)を添加すると、活物質の細孔体積が増加して電解液の拡散性が向上するので、活物質の利用率を向上させることができ、これにより、活物質の使用量を削減し、かつ、放電容量の高い電池を得ることができるということが知られている。
しかしながら、鉛丹として鉛丹化率が98質量%の高鉛丹化率鉛丹を使用すると、活物質の細孔体積が増加することで、充放電を繰り返すうちに活物質相互間の結合力が弱まり、活物質の軟化や脱落が起こりやすくなり、早期に寿命に至ってしまうという問題があった。
そこで、このような問題を解決するために、正極活物質原料に鉛丹化率が90質量%以下の鉛丹を添加した鉛蓄電池が提案されている(特許文献1を参照)。
特公平8−15081号公報
特許文献1に記載の方法において使用される、鉛丹化率が90質量%以下の鉛丹には、鉛蓄電池の正極活物質原料として一般的に用いられる鉛丹化率が98質量%以上の高鉛丹化率鉛丹と比較して、正極活物質粒子間の結合に重要な役割を果たす金属PbやPbOが多く含まれている。
したがって、特許文献1に記載の方法によれば、放電容量を向上させることができ、高鉛丹化率鉛丹を添加して作製された正極活物質よりも活物質粒子間の結合も強化されて活物質の軟化・脱落を起こり難くすることから、寿命性能を向上させることができる。
しかしながら、正極活物質原料として鉛粉のみを使用して作製した正極板を備える鉛蓄電池(以下、鉛丹無添加の電池ともいう)と比べると、特許文献1に記載の鉛蓄電池は、短寿命であり、寿命性能が充分であるとはいえなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、放電容量が高く、かつ、寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供することを目的とする。
本発明者は、鉛丹を含有する正極板を備えながらも、鉛丹無添加の電池以上の寿命性能を有する鉛蓄電池について鋭意検討した結果、正極板と負極板との間に存在する電解液の量L1と、正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)を0.5〜1.0とすれば、鉛丹無添加の電池よりも長寿命の蓄電池が得られるということを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたものである。
すなわち、本発明は、正極板と、負極板と、電解液とを備える鉛蓄電池であって、前記正極板には、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹が正極活物質原料に対して10〜30質量%含まれ、前記正極板と前記負極板との間に存在する電解液の量L1と、前記正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)が、0.5以上1.0以下であることを特徴とする鉛蓄電池である。
本発明の鉛蓄電池は、鉛丹として鉛丹化率が20〜80質量%の低鉛丹化率鉛丹を正極活物質全体に対して10〜30質量%含有する正極板を備えるから、活物質の利用率を向上させることができ、これにより、活物質の使用量を削減し、かつ、放電容量の高い電池を得ることができる。
また、本発明の鉛蓄電池は、鉛丹として鉛丹化率が20〜80質量%の低鉛丹化率鉛丹を使用するから、鉛丹化率が98%以上の高鉛丹化率鉛丹を使用するものよりも、正極活物質間の結合が強化されて活物質の軟化・脱落を起こり難くし、寿命性能を向上させることができる。
ところで、上述したように、本発明者は、正極板と負極板との間に存在する電解液の量L1と、正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)について検討した。詳細は後述するが、L2/L1比が0.5以上、1.0以下の条件において、鉛丹無添加の電池よりも、鉛丹化率20〜80質量%の鉛丹を正極活物質全体に対して10〜30質量%含有する正極板を備える電池のほうが長寿命であるという結果が得られた(表1〜表3を参照)。
本発明の鉛蓄電池においては、正極板と負極板との間に存在する電解液の量L1と、正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)が、0.5以上1.0以下とされるから、本発明によれば、放電容量が高く、かつ、寿命性能に優れた鉛蓄電池を提供することができる。
本発明の鉛蓄電池は、正負の極板、電解液、これらを収納する電槽および電槽の上部を覆う蓋を備える。
本発明において、電槽としては、一般的な電槽、例えば、その内部が複数のセルに区画されたものを用いることができ、この電槽の各セルには並列接続された複数の正極板、並列接続された複数の負極板、正極板と負極板との間に配されるセパレータおよび電解液が収納される。
本発明において、正極板と負極板との間に配されるセパレータとしてはガラス繊維を構成要素とする多孔体などを用いることができ、負極板としては公知のものを使用することができる。
本発明において、正極板には、正極活物質原料として、鉛粉と鉛丹とが含まれる。
本発明において用いられる鉛粉としては、特に限定はないが、例えば、ボールミル法で製造したものなどを用いる。
本発明において、鉛丹としては、例えば、ロータリーキルンなどを用いて、前記のボールミル法で製造した鉛粉を420℃で所定の鉛丹化率に達するまで焼成したものを用いることができる。
なお、本明細書において、鉛丹化率とは、鉛粉を焼成して鉛丹化した時の焼成物中のPbの割合(質量%)のことをいい、具体的には焼成物中のPbの質量を焼成物の質量で除した値に100を乗じた値で表される。
本発明において鉛粉に混合される鉛丹の混合量は、鉛粉と鉛丹の混合物の質量に対して、10質量%〜30質量%のものが好ましい。鉛丹の混合量が10質量%未満であると、放電性能の向上効果が発揮されにくく、30質量%を超えると寿命性能が低下するからである。
そしてさらに寿命性能を向上させる場合にあっては鉛丹化率の低い鉛丹を使用することが好ましいのであるが、放電性能とのバランスも考慮すると、鉛丹の鉛丹化率は、20質量%以上、80質量%以下であることが好ましい。
本発明において、電解液としては、不純物が少なく、その濃度が1.25g/cm以上、1.33g/cm以下のものが好適に用いられる。電解液の濃度が1.25g/cm未満であると、充分な放電容量の電池が得られない場合があり、濃度が1.33g/cmを超えると、寿命性能向上効果が得られないことがあるからである。
さて、本発明において、電解液の量は、正極板と負極板との間(以下、極間ともいう)に存在する電解液の量L1と、正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)が、0.5以上1.0以下となるように設定されることが好ましい。
L2/L1比が、0.5未満であると、正極活物質の軟化が生じやすくなり、L2/L1比が1を超えると、絶対的な硫酸量が不足するため充分な放電容量が得られなくなるからである。
極間に存在する電解液の量L1は、「正極板と負極板との間の空間体積(すなわち、正極板面積×正負極間距離)」と「前記空間内に存在するセパレータの固形分(ガラス繊維)が占める体積」との差により算出される。
なお、「前記空間内に存在するセパレータの固形分(ガラス繊維)が占める体積」とは、「前記空間内に存在するセパレータの見かけ上の体積(縦×横×厚さ)」と、水銀圧入式細孔分布測定器を用いて測定した、極板群を各セル内に収納した状態における「前記空間内に存在するセパレータの全細孔体積」との差により算出される。
正極板内に存在する電解液の量L2は、「各セル内に収納される複数の正極板の全細孔体積」であり、水銀圧入式細孔分布測定器を用いて測定することができる。
本発明においては、正極厚みや正極多孔度を変えたり、正負極間距離やセパレータの多孔度を適宜設定することで、所望のL2/L1比の電池を作製することができる。
なお、セパレータの多孔度は、ガラス繊維の径や密度を変えることにより容易に調整することができる。
本発明の鉛蓄電池は、以下のようにして製造される。
まず、鉛粉と鉛丹とを混合して、これを水及び硫酸で練り合わせ、正極活物質ペーストを作製し、この正極活物質ペーストを鉛合金格子に充填した後、熟成乾燥して未化成の正極板を作製する。
次に、この未化成の正極板と常法により作製した負極板とをセパレータを介して交互にくみあわせて極板群を作製し、所定のL2/L1比に設定されるように極間の距離を調整しながら、極板群を電槽に挿入する。
そして極板群を電槽に挿入した後、希硫酸を注液し、電槽化成することで、本発明の鉛蓄電池が得られる。
<実施例>
以下、本発明を具体的に適用した実施例について説明する。
(1)鉛蓄電池用正極板の作製
まず、ロータリーキルンを用いて、420℃の温度条件下、鉛粉を所定の鉛丹化率に達するまで焼成して、鉛丹化率が10質量%、20質量%、50質量%、80質量%、98質量%の鉛丹をそれぞれ作製した。
次に所定量の鉛丹を、鉛粉とを混合して正極活物質原料を調製した後、この正極活物質原料を水及び希硫酸で練合して正極活物質ペーストを作製した。
ここで、例えば鉛丹の添加量がA質量%の正極活物質ペーストを作製する場合には、鉛粉(100−A)kg、所定の鉛丹化率の鉛丹をAkg、水13kg、硫酸10kgを用いる。
上記のようにして作製した正極活物質ペーストを、鉛合金格子に充填した後、常法により、熟成乾燥して未化成の正極板を作製した。比較のために、正極活物質原料として鉛粉のみを使用した正極板も作製した(試験番号1、27、44、61、78の電池の正極板として使用)。
なお、正極板作製の際に使用した鉛丹の鉛丹化率、正極活物質原料(鉛粉と鉛丹との混合物)に対する鉛丹の添加量の詳細は、各実施例群中において示す。
(2)電池の作製
(1)で作製した未化成の正極板と、常法により作製した負極板とをセパレータを介して交互に組み合わせて極板群を作製し、この極板群をB24サイズの電槽に挿入した。
種々のL2/L1比のものを作製するために、同じ大きさの電槽を用い、極間の距離を変えたものを作製した。
次いで、電槽に希硫酸を注液し正極活物質理論容量の180%まで充電することで化成を行い、定格容量12V36Ahの始動用鉛蓄電池を作製した。
<電池性能評価試験>
上記の方法により作製した電池について、以下の手順で電池性能試験を行った。
(1)5時間率容量試験(容量試験)
放電温度JIS D 5301に準拠して、電池を放電温度25℃、放電電流7.2A、放電終始電圧10.5Vとして、5時間率容量を測定した。
各電池における5時間率容量を、試験番号1の電池の5時間容量を100とした場合の放電容量比として示した。この放電容量比が高いほど放電容量が高く、105以上であれば放電容量向上効果があると判断した。
(2)重負荷寿命試験(寿命性能試験)
JIS D 5301に準拠して、電池を、温度40℃の水槽中で、放電電流20Aで1時間放電し、充電電流5Aで5時間充電して、これを1サイクルとして25サイクルごとに20Aで10.2Vまでの放電持続時間を測定した。
試験の終了は放電持続時間と放電電流との積から求めた容量が定格容量(36Ah)の半分(18Ah)以下に低下し再び上昇しないことを確認したときとした。
寿命回数は容量が18Ahとなったときの回数とし、この寿命回数は回数と容量の関係線から求める。
各電池における寿命回数を、試験番号1の電池の寿命回数を100とした場合の寿命サイクル比として示した。この寿命サイクル比が大きいほど寿命性能が高く、寿命サイクル比が105以上であれば寿命性能が向上したと判断した。
<実施例群1>
鉛丹の鉛丹化率および鉛丹の添加量が、電池の放電容量および寿命性能に与える影響を調べるために、種々の鉛丹化率の鉛丹を種々の添加量で鉛粉に混合して作製した正極板を用いて、L2/L1比を0.3に設定した比較例の電池(試験番号2〜26)を作製した。なお、鉛粉のみを用いて作製した正極板を備え、L2/L1比を0.3に設定した鉛丹無添加の電池も作製した(試験番号1)。
(1)容量試験
まず、試験番号1〜26の電池について、容量試験を行った。
表1には、試験結果とともに、使用した鉛丹の鉛丹化率および添加量、L2/L1比を示した。なお、表1には後述する寿命性能試験の結果も併せて示した。
Figure 2009016256
表1に示すように、鉛丹化率が20質量%以上でかつ鉛丹添加量が10質量%以上の電池(試験番号8〜11、13〜16、18〜21、23〜26)では、放電容量比が105以上の良好な結果が得られ、鉛丹添加による放電容量向上効果が発揮された。
しかし、鉛丹添加量5質量%のすべての電池(試験番号2〜6)および、鉛丹化率10質量%の鉛丹を10〜40質量%添加した電池(試験番号7、12、17、22)における放電容量比は、試験番号1の鉛丹無添加の電池と同じか、少し高い程度であり、充分に放電容量を向上したものとはいえなかった。
これらの結果より、充分に放電容量を向上するには、鉛丹として鉛丹化率が20質量%以上のものを使用し、かつ、正極活物質原料に対して10質量%以上添加することが好ましいと考えられる。
(2)寿命性能試験
(1)の放電容量試験の結果が良好であった電池(試験番号8〜11、13〜16、18〜21、23〜26)と、鉛丹無添加の電池(試験番号1)について寿命試験を行った。
表1に示すように、鉛丹を使用したすべての電池において鉛丹無添加の電池よりも寿命性能は劣っていた。
この理由としては以下のことが考えられる。
一般に、鉛蓄電池の正極板においては、pHが低いとβ型のPbOが発生し易く、pHが高いとα型のPbOが発生しやすい。
そして、α型のPbOとβ型のPbOとを比較するとα型のほうが構造的に安定しており活物質同士の結合が強くなっているので、正極板においてα型PbOが多いと長寿命であり、β型PbOが多いと短寿命である。
本実施例群で作製した電池のように、L2/L1比が小さい場合には、極間に存在する電解液は、正極板中に拡散していき、正極板はpHの低い状態が続く。
前述したようにpHの低い状態においては、β型のPbOが発生しやすいため、活物質同士の結合が弱くなって軟化脱落が起こりやすくなると考えられる。
以上より、L2/L1比は0.3よりも大きい方が好ましいと考えられる。
<実施例群2>
実施例群1で作製した比較例の電池では、寿命性能が不十分だったので、本実施例群においてはL2/L1比を0.5、1.0、1.1に設定した電池について検討を行った。
鉛丹としては、実施例群1において放電容量向上効果のあった鉛丹化率が20質量%、50質量%、80質量%、98質量%の鉛丹を用い、正極活物質原料全体に対する添加量は、実施例群1において、放電容量向上効果のあった量(正極活物質原料全体に対して、10質量%、20質量%、30質量%、40質量%)とした。
具体的には、L2/L1比を0.5、1.0、1.1に設定したもの各々について、種々の鉛丹化率の鉛丹を種々の添加量で鉛粉に混合して作製した正極板を備える電池(試験番号28〜24、45〜60、62〜77)を作製した。比較のために、正極活物質として鉛粉のみを使用して作製した正極板を用い、L2/L1比を0.5、1.0.1.1に設定した鉛丹無添加の電池もそれぞれ作製した(試験番号27、44、61)。
(1)容量試験
まず、本実施例群で作製した試験番号27〜77の電池について容量試験を行った。
表2および表3には、試験結果とともに、使用した鉛丹の鉛丹化率および添加量、L2/L1比を示した。なお、表2には後述する寿命性能試験の結果も併せて示した。
Figure 2009016256
Figure 2009016256
表2および表3に示すように、鉛丹が添加された電池であって、かつ、L2/L1比が0.5と1.0に設定された電池(試験番号28〜43、45〜60)では、放電容量比が105以上の良好な結果が得られ、放電容量が向上した。
この理由は以下のように考えられる。
試験番号28〜43、45〜60の電池は、鉛丹化率が20質量%以上の鉛丹を正極活物質全体に対して10質量%以上含有する正極板を備えるから、活物質の利用率を向上させることができ、これにより、活物質使用量を削減し、かつ、放電容量の高い電池を得ることができたのではないかと考えられる。
一方、L2/L1比が1.1に設定された電池(試験番号61〜77)においては、高鉛丹化率の鉛丹を多く含んでいる電池でも、放電容量比が100以下であり、放電容量が向上したとはいえなかった。これは、絶対的な硫酸量が不足することに起因すると考えられる。
以上より、充分な放電容量向上効果を得るには、L2/L1比は、1.0以下であることが好ましいと考えられる。
(2)寿命性能試験
(1)の放電容量試験の結果が良好であった電池(試験番号28〜43、45〜60)と、鉛丹無添加の電池であってL2/L1比が0.5、1.0の電池(試験番号27、44)について寿命性能試験を行った。
表2に示すように、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹を、正極活物質原料に対して10〜30質量%添加して作製した正極板を備える電池(試験番号28〜30、32〜34、36〜38、45〜47、49〜51、53〜55)では寿命サイクル比は105以上であり、鉛丹無添加の電池よりも寿命性能が高いという良好な結果が得られた。
一方、鉛丹化率が98質量%の鉛丹を用いた電池(試験番号31、35、39、43、48、52、56、60)と、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹を正極活物質原料に対して40質量%添加した電池(試験番号40〜42、57〜59)においては、それぞれのL2/L1比に対応する鉛丹無添加の電池(試験番号27、44)よりも寿命性能は劣っていた。
この理由は以下のように考えられる。
寿命性能が高かった電池では、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹を適量(10〜30質量%)使用することで、鉛丹化率が98%以上の高鉛丹化率鉛丹を使用する電池や鉛丹を40質量%以上使用する電池よりも、正極活物質間の結合が強化されて活物質の軟化・脱落を起こり難くし、寿命性能を向上させることができるからではないかと考えられる。
そしてさらに試験番号28〜43、45〜60の電池では、L2/L1比が0.5〜1.0に設定されるから、L2/L1比が0.3に設定された実施例群1の電池と比較すると、正極板に含まれる電解液が多くなっている。
したがって、実施例群1の電池と比較すると、正極板におけるpHが高い状態となっていて、構造的に安定なα型のPbOの量が多くなっていて活物質同士が強く結合しているから、軟化脱落が起こり難くなっており寿命性能が向上したと考えられる。
(3)まとめ
本実施例群の結果より、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹を、正極活物質原料に対して10〜30質量%添加して作製した正極板を備える電池であって、かつ、L2/L1比が0.5〜1.0である本発明の電池は、放電容量が高く、かつ寿命性能に優れているということがわかった。
<実施例群3>
L2/L1比を0.7に設定し、種々の鉛丹化率の鉛丹を種々の添加量で鉛粉に混合して作製した正極板を備える電池(試験番号79〜94)を作製した。比較のために、鉛粉のみを使用して作製した正極板を備える鉛丹無添加の電池であって、L2/L1比を0.7に設定した電池も作製した(試験番号78)。
(1)寿命性能試験
本実施例群で作製した試験番号78〜94の電池について寿命性能試験を行った。
表4には、試験結果とともに、使用した鉛丹の鉛丹化率および添加量、L2/L1比を示した。なお、表4には後述するα型PbO量とβ型PbO量の比(表中では、α/β比と記載)も併せて示した。
Figure 2009016256
表4に示すように、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹を正極活物質原料に対して10〜30質量%添加して作製した正極板を備え、かつL2/L1比が0.7に設定された本発明の電池(試験番号79〜81、83〜85、87〜89)は寿命性能に優れていた。
しかし、実施例群2と同様に、鉛丹化率が98質量%の鉛丹を用いた電池(試験番号82、86、90、94)と鉛丹化率20〜80質量%の鉛丹を40質量%添加した電池(試験番号91〜93)では、これらの電池と同じL2/L1比であって、鉛丹無添加の試験番号78の電池よりも寿命性能が劣っていた。
なお、本実施例群のうちもっとも寿命性能に優れていた試験番号84の電池については、実施例群1、2と同様の方法により容量試験を行った。その結果、放電容量比は114という良好な結果が得られた。
(2)α型PbO量とβ型PbO量との比(α/β比)の分析
(1)の寿命性能試験の結果が特に良好であった電池(試験番号83〜86)と、試験番号78の鉛丹無添加の電池については、上記の寿命性能試験に供する電池とは別の電池を用意し、化成後の正極活物質をX線回折法により(Rigaku社製、X線回折装置を使用)、α型のPbO量とβ型のPbO量の比(α/β比)を分析し、その結果を表4に示した。
表4に示すように、寿命サイクル比が100を超える電池(試験番号78、83〜85)ではα/β比が0.207以上であったが、寿命性能の低い試験番号86の電池においては、α/β比は0.175であった。
このことから、寿命性能の高い電池では寿命性能の低い電池よりもα型のPbO量が多いということが確認された。
<実施例群4>
次に、電解液濃度について検討を行った。
鉛丹化率が50質量%の鉛丹を、正極活物質原料全体に対して10質量%添加して作製した正極板を用い、L2/L1比を1.0に設定して、種々の濃度の電解液を使用して電池(試験番号95〜100)を作製した。
(1)容量試験
まず、本実施例群で作製した試験番号95〜100の電池について容量試験を行った。
表5には、試験結果とともに、使用した鉛丹の鉛丹化率および添加量、L2/L1比、電解液濃度を示した。なお、表5には後述する寿命性能試験の結果も併せて示した。
Figure 2009016256
表5に示すように、電解液濃度が高くなるに従い、放電容量比が高くなり、電解液濃度が1.23g/cm以上の電池(試験番号96〜100)では、鉛丹無添加でかつL2/L1比が1.0の試験番号44の電池よりも放電容量比が高かった。
特に電解液濃度が1.25g/cm以上の電池(試験番号97〜100)では、放電容量比が105以上の良好な結果が得られ、放電容量が向上した。
放電容量の高い電池が得られるという観点から、電解液濃度は、1.25g/cm以上であるのが好ましいと考えられる。
(2)寿命性能試験
(1)の放電容量試験の結果が特に良好であった電池(試験番号97〜100)について寿命性能試験を行った。
表5に示すように、電解液濃度が高くなるに従い寿命サイクル比は低下したが、もっとも電解液濃度の高い試験例100の電池でも寿命サイクル比は104であり、鉛丹無添加でかつL2/L1比が1.0の試験番号44の電池よりも寿命性能は高かった。
なかでも、電解液濃度が1.33g/cm以下の電池では、寿命サイクル比が105以上という特に良好な結果が得られた。
寿命性能に優れるという観点から、電解液濃度は1.33g/cm以下であることが好ましいと考えられる。
(3)まとめ
本実施例群の結果より、電解液の濃度が1.25g/cm以上、1.33g/cm以下であると放電容量が高く、寿命性能に優れた電池が得られるので好適であるということがわかった。
<まとめ>
以上より、本発明によれば、放電容量が高く、かつ寿命性能に優れる鉛蓄電池を提供することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例群においては、L2/L1比が0.5、0.7、1.0のものを示したが、L2/L1比が0.6、0.8と設定したものであってもよい。
(2)上記実施例群においては、鉛丹化率が20質量%、50質量%、80質量%の鉛丹を正極活物質原料に対して、10質量%、20質量%、30質量%添加したものを示したが、鉛丹化率が30質量%、40質量%、60質量%、70質量%の鉛丹を、正極活物質原料に対して、25質量%、35質量%添加したものであってもよい。
(3)上記実施形態において、正極板は鉛粉と鉛丹とを混合して作製したが、正極活物質の脱落防止のために合成樹脂短繊維を添加してもよい。

Claims (2)

  1. 正極板と、負極板と、電解液とを備える鉛蓄電池であって、
    前記正極板には、鉛丹化率が20〜80質量%の鉛丹が正極活物質原料に対して10〜30質量%含まれ、
    前記正極板と前記負極板との間に存在する電解液の量L1と、前記正極板内に存在する電解液の量L2との比(L2/L1比)が、0.5以上1.0以下であることを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 前記電解液の濃度が1.25g/cm以上、1.33g/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の鉛蓄電池。
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