JP2005025955A - 鉛蓄電池およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペースト状活物質の正極格子への充填性および密着性が良好で早期の容量低下が抑制され、かつサイクル寿命に優れる鉛蓄電池を提供する。
【解決手段】Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子に、鉛粉を硫酸で混練したペースト状活物質を充填した正極板が用いられた鉛蓄電池であって、前記ペースト状活物質中の純硫酸の前記鉛粉に対する質量比率が5.0〜7.0%であり、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%である鉛蓄電池。
【選択図】 なし
【解決手段】Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子に、鉛粉を硫酸で混練したペースト状活物質を充填した正極板が用いられた鉛蓄電池であって、前記ペースト状活物質中の純硫酸の前記鉛粉に対する質量比率が5.0〜7.0%であり、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%である鉛蓄電池。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト状活物質の正極格子への充填性および密着性が良好で早期の容量低下が抑制され、かつサイクル寿命に優れる鉛蓄電池およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は、通常、次のようにして製造される。
即ち、鉛と一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸で混練してペースト状活物質とし、このペースト状活物質を鉛合金の正極格子板(集電体)に充填し、保持させ、これを熟成乾燥させて正極板とし、この正極板の複数と別途用意した負極板の複数とをセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群を組み立て、この単セル極板群の所望数を電気的に接続して電槽内に収容し、前記電槽に蓋を熱溶着し、前記蓋に設けた液注入口から電解液(希硫酸)を注入し、所定時間放置後、前記単セル極板群に通電して電槽化成を行なう。
【0003】
前記熟成乾燥を行う目的は、活物質の結晶成長、ペーストの強度向上、格子表面腐食による活物質の密着性向上、水分除去などである。そして、前記電槽化成後の正極板の活物質には、電気化学的活性度の高いβ−PbO2と前記活性度の低いα−PbO2 とが含まれ(例えば特許文献1)、この他に若干の未化成分(PbSO4、PbOx)が含まれている。
【0004】
近年、電池の長寿命化を目的として、正極格子板に高耐食性鉛合金が用いられるようになったが、この正極格子板は、熟成乾燥時に腐食層が形成され難いため、正極格子と活物質との密着性が劣り、そのため電槽化成時の活物質の体積変化で活物質と正極格子板との界面にクラックが生じ、そこに電解液が入り込み、放電開始早々に、正極格子板近傍に存在する活性度の高いβ−PbO2が不活性なPbSO4に変化してしまい、その結果、極板中に未反応の活物質が存在しているにも拘らず反応が停止し、早期に容量が低下してしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−281266号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この問題を解決するためには、正極格子板と活物質との密着性を高め、さらに電槽化成後の正極格子界面に電気化学的活性度の低いα−PbO2を適量生成させる必要がある。
本発明の目的は、ペースト状活物質の正極格子への充填性および密着性が良好で電池容量の早期低下が抑制され、かつサイクル寿命に優れる鉛蓄電池およびその製造方法を提供することにある
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載発明は、Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子に、鉛粉を硫酸で混練したペースト状活物質を充填した正極板が用いられた鉛蓄電池であって、前記ペースト状活物質中の純硫酸の前記鉛粉に対する質量比率が5.0〜7.0%であり、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%であることを特徴とする鉛蓄電池である。
【0008】
請求項2記載発明は、Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子にペースト状活物質を充填し熟成乾燥して正極格子とし、この正極格子の複数と負極格子の複数とをセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群とし、前記単セル極板群の所望数を電槽内に収容し、前記電槽内に希硫酸を注入して所定時間放置したのち、電槽化成を行う鉛蓄電池の製造方法において、前記ペースト状活物質中の純硫酸量の前記鉛粉量に対する比率を5.0〜7.0質量%に規定し、前記希硫酸注入後の放置時間を反応途中の1時間以下とすることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1発明は、ペースト状活物質中の純硫酸の鉛粉に対する質量比率を規定して正極格子板への活物質の密着性を高め、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2量のα−PbO2 とβ−PbO2の合計量に対する質量比率を規定して、活性度の高いβ−PbO2が不活性なPbSO4に変化することによる電池容量の早期低下を防止したものである。
【0010】
請求項1発明において、前記質量比率を5.0%〜7.0%に規定する理由は、5.0質量%未満ではペースト状活物質が柔らかすぎて、また7.0質量%を超えるとペースト状活物質が硬すぎて、いずれの場合も密着性が低下して、電槽化成時の活物質の体積変化で活物質と正極格子板との界面にクラックが生じてしまうためである。
【0011】
請求項1発明において電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2量をα−PbO2とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%に規定する理由は、α−PbO2量が12質量%未満ではサイクル寿命が低下し、α−PbO2が22質量%を超えるとβ−PbO2が少なくなって電池の初期の利用率が小さくなってしまうためである。
前記α−PbO2の質量比率は、活物質中の純硫酸量に逆比例するので、この関係を予め測定しておくことにより、前記α−PbO2の質量比率を12〜22%に容易に制御することができる。
【0012】
請求項2発明は、請求項1発明の鉛蓄電池の製造方法である。
この発明で、ペースト状活物質中の純硫酸量の鉛粉量に対する質量比率を5.0〜7.0%に規定する理由は請求項1発明と同じである。
また希硫酸注入後の放置時間を反応途中の1時間以下に規定する理由は、1時間を超えると電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12質量%未満となり、β−PbO2が増加して電池容量が早期に低下してしまうためである。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
鉛粉50kgに、水5.8kgと、希硫酸(20℃換算で比重1.370)を適量(純硫酸量が鉛粉量に対し5.0〜7.0質量%になる量)加え、混練してペースト状活物質を作製した。ペースト状活物質は、加水または追加練りを行って密度が全て4.1g/ccとなるように調整した。次にこのペースト状活物質を、高さ108mm、幅102mmのPb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金格子に自動充填し、これを所定条件で熟成乾燥して正極板を作製した。ペースト状活物質の充填量は正極格子板1枚あたり77gとした。
【0014】
前記熟成乾燥後の正極板について、活物質の充填性および密着性を下記方法により調べた。
即ち、充填性は、正極板の穴開き個数を各50枚ずつ目視により数え、その合計が0のものを充填性が良好、1個でもあれば不良と判定した。
密着性は、正極格子板を、活物質充填面を下に向けて30cmの高さから落下させ、5回落下ごとに質量を計り、質量の減少が認められなくなったところで、正極板に酢酸処理、水洗処理、乾燥処理をこの順に施して再度質量を計り、この質量を調査前の質量で除して活物質の付着率を求め評価した。各10枚ずつ測定し平均付着率が1.20%以上のものは密着性が良好、1.20%未満のものは不良と判定した。
【0015】
(比較例1)
鉛粉量に対する純硫酸量が5.0質量%未満になるように希硫酸を加えた他は実施例1と同じ方法により正極板を作製し実施例1と同じ調査を行なった。
【0016】
(比較例2)
鉛粉量に対する純硫酸量が7.0質量%超になるように希硫酸を加えた他は実施例1と同じ方法により正極板を作製し実施例1と同じ調査を行なった。
実施例1、比較例1、2の調査結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1から明らかなように、実施例1(本発明例)のNo.1〜5はいずれも穴開き個数が0で充填性に優れ、また乾燥ペースト付着率が高く密着性に優れた。
これに対し、比較例1のNo.6、7は純硫酸量が少ないためペーストが柔らかくペーストを自動充填する際にペーストが充填ベルトの方にも付着したため充填性が劣った。また比較例2のNo.8〜11は純硫酸量が多いためペーストが硬くなり充填性および密着性が劣った。
【0019】
(実施例2)
実施例1で作製した熟成乾燥後の正極板と、Pb−Ca−Sn−Al系鉛合金の負極格子(高さ109mm、幅102mm)にペースト状活物質76gを充填し熟成乾燥した負極板とを、各4枚ずつセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群を組み立て、この単セル極板群を電槽内の30℃の希硫酸(20℃換算比重1.250)中に10分、30分または1時間放置し、次いで充電電気量が正極活物質理論容量の230%となる条件で電槽化成を行い、その後、電解液を全て排出し、新たに希硫酸(20℃換算比重1.280)を所定量注入して鉛蓄電池を製造した。
【0020】
前記鉛蓄電池は各条件毎に2個ずつ製造し、1個については深放電サイクルによる寿命試験を行った。前記寿命試験は、0.2CAの放電電流で1.75V終止し、0.1CAの充電電流で放電電流の120%を充電する条件で行った。1サイクル目の容量の50%の容量になるまでのサイクル数をサイクル寿命とした。前記サイクル数が25以上のものはサイクル寿命が良好、24以下のものは不良と判定した。
また、1サイクル目の正極活物質の利用率は、1サイクル目の実容量を理論容量(1gあたり0.224Ah)で除して求めた。
この1サイクル目の正極活物質の利用率が44%以上を前記利用率が良好、44%未満を不良と判定した。
【0021】
もう1個の鉛蓄電池は、電槽化成終了後ただちに解体し、正極板を取り出し、これを水洗し乾燥したのち、X線回折により正極活物質中のα−PbO2およびβ−PbO2を定量分析し、α−PbO2 とβ−PbO2の合計量に対するα−PbO2の質量比率Rを下式により求めた。
R=[α−PbO2ピーク強度/(α−PbO2 ピーク強度+β−PbO2ピーク強度)]×100(%)
【0022】
(比較例3)
比較例1で作製した正極板を用いた他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
【0023】
(比較例4)
比較例2で作製した正極板を用いた他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
【0024】
(比較例5)
希硫酸注入後の放置時間を2時間とした他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
実施例2、比較例3〜5の調査結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2から明らかなように、実施例2(本発明例)のNo.1〜15はいずれも1サイクル目の正極活物質利用率(初期容量)およびサイクル寿命が共に良好であった。
これに対し、比較例3のNo.16、17は活物質中のα−PbO2量が多く(β−PbO2量が少なく)また活物質の充填性が劣るためいずれも初期容量が低下した。比較例4のNo.18〜21はα−PbO2量が少なくまた活物質の充填性および密着性が劣るためサイクル寿命が低下した。比較例5のNo.22〜26は液注入後の放置時間が長かったためα−PbO2量が減少しサイクル寿命が低下した。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の鉛蓄電池は、ペースト状活物質における純硫酸の鉛粉に対する含有量を5.0〜7.0質量%に規定するので、ペースト状活物質は適度な硬さとなり正極格子板への充填性および密着性が向上し、さらに電槽化成後の正極活物質中のα−PbO2量を適量(α−PbO2量とβ−PbO2量の和の12〜22質量%)に規定するので、電池容量の早期低下(初期容量の低下)が防止されると共にサイクル寿命にも優れる。前記α−PbO2量は電槽化成における液注入後から電槽化成開始までの放置時間を反応途中の1時間以下で調整することにより容易に制御できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト状活物質の正極格子への充填性および密着性が良好で早期の容量低下が抑制され、かつサイクル寿命に優れる鉛蓄電池およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池は、通常、次のようにして製造される。
即ち、鉛と一酸化鉛を主成分とする鉛粉を水と希硫酸で混練してペースト状活物質とし、このペースト状活物質を鉛合金の正極格子板(集電体)に充填し、保持させ、これを熟成乾燥させて正極板とし、この正極板の複数と別途用意した負極板の複数とをセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群を組み立て、この単セル極板群の所望数を電気的に接続して電槽内に収容し、前記電槽に蓋を熱溶着し、前記蓋に設けた液注入口から電解液(希硫酸)を注入し、所定時間放置後、前記単セル極板群に通電して電槽化成を行なう。
【0003】
前記熟成乾燥を行う目的は、活物質の結晶成長、ペーストの強度向上、格子表面腐食による活物質の密着性向上、水分除去などである。そして、前記電槽化成後の正極板の活物質には、電気化学的活性度の高いβ−PbO2と前記活性度の低いα−PbO2 とが含まれ(例えば特許文献1)、この他に若干の未化成分(PbSO4、PbOx)が含まれている。
【0004】
近年、電池の長寿命化を目的として、正極格子板に高耐食性鉛合金が用いられるようになったが、この正極格子板は、熟成乾燥時に腐食層が形成され難いため、正極格子と活物質との密着性が劣り、そのため電槽化成時の活物質の体積変化で活物質と正極格子板との界面にクラックが生じ、そこに電解液が入り込み、放電開始早々に、正極格子板近傍に存在する活性度の高いβ−PbO2が不活性なPbSO4に変化してしまい、その結果、極板中に未反応の活物質が存在しているにも拘らず反応が停止し、早期に容量が低下してしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】特開昭62−281266号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この問題を解決するためには、正極格子板と活物質との密着性を高め、さらに電槽化成後の正極格子界面に電気化学的活性度の低いα−PbO2を適量生成させる必要がある。
本発明の目的は、ペースト状活物質の正極格子への充填性および密着性が良好で電池容量の早期低下が抑制され、かつサイクル寿命に優れる鉛蓄電池およびその製造方法を提供することにある
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載発明は、Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子に、鉛粉を硫酸で混練したペースト状活物質を充填した正極板が用いられた鉛蓄電池であって、前記ペースト状活物質中の純硫酸の前記鉛粉に対する質量比率が5.0〜7.0%であり、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%であることを特徴とする鉛蓄電池である。
【0008】
請求項2記載発明は、Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子にペースト状活物質を充填し熟成乾燥して正極格子とし、この正極格子の複数と負極格子の複数とをセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群とし、前記単セル極板群の所望数を電槽内に収容し、前記電槽内に希硫酸を注入して所定時間放置したのち、電槽化成を行う鉛蓄電池の製造方法において、前記ペースト状活物質中の純硫酸量の前記鉛粉量に対する比率を5.0〜7.0質量%に規定し、前記希硫酸注入後の放置時間を反応途中の1時間以下とすることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1発明は、ペースト状活物質中の純硫酸の鉛粉に対する質量比率を規定して正極格子板への活物質の密着性を高め、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2量のα−PbO2 とβ−PbO2の合計量に対する質量比率を規定して、活性度の高いβ−PbO2が不活性なPbSO4に変化することによる電池容量の早期低下を防止したものである。
【0010】
請求項1発明において、前記質量比率を5.0%〜7.0%に規定する理由は、5.0質量%未満ではペースト状活物質が柔らかすぎて、また7.0質量%を超えるとペースト状活物質が硬すぎて、いずれの場合も密着性が低下して、電槽化成時の活物質の体積変化で活物質と正極格子板との界面にクラックが生じてしまうためである。
【0011】
請求項1発明において電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2量をα−PbO2とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%に規定する理由は、α−PbO2量が12質量%未満ではサイクル寿命が低下し、α−PbO2が22質量%を超えるとβ−PbO2が少なくなって電池の初期の利用率が小さくなってしまうためである。
前記α−PbO2の質量比率は、活物質中の純硫酸量に逆比例するので、この関係を予め測定しておくことにより、前記α−PbO2の質量比率を12〜22%に容易に制御することができる。
【0012】
請求項2発明は、請求項1発明の鉛蓄電池の製造方法である。
この発明で、ペースト状活物質中の純硫酸量の鉛粉量に対する質量比率を5.0〜7.0%に規定する理由は請求項1発明と同じである。
また希硫酸注入後の放置時間を反応途中の1時間以下に規定する理由は、1時間を超えると電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12質量%未満となり、β−PbO2が増加して電池容量が早期に低下してしまうためである。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
鉛粉50kgに、水5.8kgと、希硫酸(20℃換算で比重1.370)を適量(純硫酸量が鉛粉量に対し5.0〜7.0質量%になる量)加え、混練してペースト状活物質を作製した。ペースト状活物質は、加水または追加練りを行って密度が全て4.1g/ccとなるように調整した。次にこのペースト状活物質を、高さ108mm、幅102mmのPb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金格子に自動充填し、これを所定条件で熟成乾燥して正極板を作製した。ペースト状活物質の充填量は正極格子板1枚あたり77gとした。
【0014】
前記熟成乾燥後の正極板について、活物質の充填性および密着性を下記方法により調べた。
即ち、充填性は、正極板の穴開き個数を各50枚ずつ目視により数え、その合計が0のものを充填性が良好、1個でもあれば不良と判定した。
密着性は、正極格子板を、活物質充填面を下に向けて30cmの高さから落下させ、5回落下ごとに質量を計り、質量の減少が認められなくなったところで、正極板に酢酸処理、水洗処理、乾燥処理をこの順に施して再度質量を計り、この質量を調査前の質量で除して活物質の付着率を求め評価した。各10枚ずつ測定し平均付着率が1.20%以上のものは密着性が良好、1.20%未満のものは不良と判定した。
【0015】
(比較例1)
鉛粉量に対する純硫酸量が5.0質量%未満になるように希硫酸を加えた他は実施例1と同じ方法により正極板を作製し実施例1と同じ調査を行なった。
【0016】
(比較例2)
鉛粉量に対する純硫酸量が7.0質量%超になるように希硫酸を加えた他は実施例1と同じ方法により正極板を作製し実施例1と同じ調査を行なった。
実施例1、比較例1、2の調査結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
表1から明らかなように、実施例1(本発明例)のNo.1〜5はいずれも穴開き個数が0で充填性に優れ、また乾燥ペースト付着率が高く密着性に優れた。
これに対し、比較例1のNo.6、7は純硫酸量が少ないためペーストが柔らかくペーストを自動充填する際にペーストが充填ベルトの方にも付着したため充填性が劣った。また比較例2のNo.8〜11は純硫酸量が多いためペーストが硬くなり充填性および密着性が劣った。
【0019】
(実施例2)
実施例1で作製した熟成乾燥後の正極板と、Pb−Ca−Sn−Al系鉛合金の負極格子(高さ109mm、幅102mm)にペースト状活物質76gを充填し熟成乾燥した負極板とを、各4枚ずつセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群を組み立て、この単セル極板群を電槽内の30℃の希硫酸(20℃換算比重1.250)中に10分、30分または1時間放置し、次いで充電電気量が正極活物質理論容量の230%となる条件で電槽化成を行い、その後、電解液を全て排出し、新たに希硫酸(20℃換算比重1.280)を所定量注入して鉛蓄電池を製造した。
【0020】
前記鉛蓄電池は各条件毎に2個ずつ製造し、1個については深放電サイクルによる寿命試験を行った。前記寿命試験は、0.2CAの放電電流で1.75V終止し、0.1CAの充電電流で放電電流の120%を充電する条件で行った。1サイクル目の容量の50%の容量になるまでのサイクル数をサイクル寿命とした。前記サイクル数が25以上のものはサイクル寿命が良好、24以下のものは不良と判定した。
また、1サイクル目の正極活物質の利用率は、1サイクル目の実容量を理論容量(1gあたり0.224Ah)で除して求めた。
この1サイクル目の正極活物質の利用率が44%以上を前記利用率が良好、44%未満を不良と判定した。
【0021】
もう1個の鉛蓄電池は、電槽化成終了後ただちに解体し、正極板を取り出し、これを水洗し乾燥したのち、X線回折により正極活物質中のα−PbO2およびβ−PbO2を定量分析し、α−PbO2 とβ−PbO2の合計量に対するα−PbO2の質量比率Rを下式により求めた。
R=[α−PbO2ピーク強度/(α−PbO2 ピーク強度+β−PbO2ピーク強度)]×100(%)
【0022】
(比較例3)
比較例1で作製した正極板を用いた他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
【0023】
(比較例4)
比較例2で作製した正極板を用いた他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
【0024】
(比較例5)
希硫酸注入後の放置時間を2時間とした他は、実施例2と同じ方法により鉛蓄電池を製造し、実施例2と同じ調査を行った。
実施例2、比較例3〜5の調査結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】
表2から明らかなように、実施例2(本発明例)のNo.1〜15はいずれも1サイクル目の正極活物質利用率(初期容量)およびサイクル寿命が共に良好であった。
これに対し、比較例3のNo.16、17は活物質中のα−PbO2量が多く(β−PbO2量が少なく)また活物質の充填性が劣るためいずれも初期容量が低下した。比較例4のNo.18〜21はα−PbO2量が少なくまた活物質の充填性および密着性が劣るためサイクル寿命が低下した。比較例5のNo.22〜26は液注入後の放置時間が長かったためα−PbO2量が減少しサイクル寿命が低下した。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の鉛蓄電池は、ペースト状活物質における純硫酸の鉛粉に対する含有量を5.0〜7.0質量%に規定するので、ペースト状活物質は適度な硬さとなり正極格子板への充填性および密着性が向上し、さらに電槽化成後の正極活物質中のα−PbO2量を適量(α−PbO2量とβ−PbO2量の和の12〜22質量%)に規定するので、電池容量の早期低下(初期容量の低下)が防止されると共にサイクル寿命にも優れる。前記α−PbO2量は電槽化成における液注入後から電槽化成開始までの放置時間を反応途中の1時間以下で調整することにより容易に制御できる。
Claims (2)
- Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子に、鉛粉を硫酸で混練したペースト状活物質を充填した正極板が用いられた鉛蓄電池であって、前記ペースト状活物質中の純硫酸の前記鉛粉に対する質量比率が5.0〜7.0%であり、かつ電槽化成後における正極活物質中のα−PbO2の量がα−PbO2 とβ−PbO2の合計量の12〜22質量%であることを特徴とする鉛蓄電池。
- Pb−Ca−Sn−Ba−Al系高耐食性鉛合金、または前記鉛合金にAg、Bi、Tlのうちの少なくとも1種を適量添加した高耐食性鉛合金からなる正極格子にペースト状活物質を充填し熟成乾燥して正極格子とし、この正極格子の複数と負極格子の複数とをセパレータを挟んで交互に積層して単セル極板群とし、前記単セル極板群の所望数を電槽内に収容し、前記電槽内に希硫酸を注入して所定時間放置したのち、電槽化成を行う鉛蓄電池の製造方法において、前記ペースト状活物質中の純硫酸量の前記鉛粉量に対する比率を5.0〜7.0質量%に規定し、前記希硫酸注入後の放置時間を反応途中の1時間以下とすることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池の製造方法。
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