JP2010225408A - 鉛蓄電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛蓄電池正極の活物質利用率と鉛蓄電池のサイクル寿命特性を高いレベルで両立した鉛蓄電池を得ること。
【解決手段】鉛蓄電池の正極活物質の細孔容積を0.120cm3/g〜0.138cm3/gとし、かつ孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積が全細孔容積の45%以上、70%以下とする。また、さらに好ましくは、正極活物質が充填された正極板と、それに対応する負極板の各極板面が電解液に浸漬した状態で収納された、液式の鉛蓄電池に適用する。このような構成によって、正極活物質利用率とサイクル寿命特性を高いレベルで両立できるという、顕著な効果が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉛蓄電池に関するものである。
現在、鉛蓄電池の極板製造工程においてペースト式が生産性に富む工業的製造法として最も普及している。ペースト式極板は、鉛又は鉛合金製の鋳造又はエキスパンド格子からなる集電体の空隙部に、鉛粉に希硫酸と水を加えて混練したペーストを充填後、熟成・乾燥することにより、まず未化成板を製作する。ペーストの充填後に希硫酸に浸す浸酸処理によって、極板表面に硫酸鉛を生成させて、強固にしたのち乾燥させる場合がある。
ここで得られる未化成板の成分は、まだ起電能力がないので希硫酸電解液中で充電し、起電能力のある活物質成分に変換することが必要である。この工程を通常、化成工程という。また、この充電前の極板を未化成板という。この化成充電は極板の状態で行う極板化成法と、未化成板の状態で電池を構成して行う電槽化成法とがある。いずれにしても、一般的には化成工程後の充電状態で出荷される。
鉛蓄電池用の鉛粉の主成分は、一般には一酸化鉛で、金属鉛を15%〜35%含んでいるが、必要に応じて鉛丹などを添加する場合もある。鉛粉と希硫酸とを混練したペーストは、硫酸鉛と一部塩基性硫酸鉛などが生成し、適度な硬さと煎断強度を有する。熟成中には、金属鉛の酸化と塩基性硫酸鉛の結晶成長とともに、部分的に水分が蒸発して粉体粒子相互間が結着するセメンテーション現象によって極板は硬化する。この段階の極板が未化成板である。この未化成板を希硫酸中で化成充電をなして得られた正極板は多孔体となり、その細孔構造が鉛蓄電池の放電特性に影響していることが知られている。
上記化成充電された正極板の多孔体の細孔分布は、2つのピークを有している。ここで細孔径が0.1μm〜4.0μmの範囲にある細孔を細孔A、0.01μm〜0.1μmの範囲にある細孔を細孔Bとすると、径が大きい細孔Aは活物質粒子間の間隙に相当し、細孔Bは化成時に硫酸鉛或いは塩基性硫酸鉛がPbO2に変化するときの体積減少によって形成された粒子表面の針状結晶間に存在する隙間に相当すると考えられる。
化成充電された正極板の細孔構造は、鉛蓄電池の放電特性に影響を及ぼす。それは、前記の細孔A及びBがそれぞれ放電反応に重要な働きを担っているからである。主に、細孔Aは硫酸の拡散経路であり、この細孔を通って硫酸が極板内部に拡散する。また、細孔Bは極板比表面積の大部分を占めており、放電における電荷移動反応はこの細孔で起こっていると考えられる。
しかし、鉛蓄電池の放電反応では、放電生成物として析出する硫酸鉛が上記の細孔構造を変化させてしまい、この細孔変化によって放電反応が終了する。放電反応が終了するメカニズムは放電率によって異なり、次の2つの放電率領域に分かれると考えられる。
放電電流(放電率)が小さい場合、硫酸は細孔A及び細孔Bの双方に十分拡散されるために、溶解したPb2+イオンはすぐにSO4 2-イオンと反応し、硫酸鉛が細孔Aにも細孔Bにも析出することになる。この放電反応では、細孔Bが硫酸鉛によって塞がれてしまい、上記の溶解反応が起こる場が失われることによって終了する。以降、この放電率領域を第一領域と称することとする。
放電電流(放電率)が大きくなるにしたがって、小さな細孔BへのSO4 2-イオンの拡散は反応速度に対して間に合わなくなり、溶解してきたPb2+イオンの一部或いは殆ど全てが細孔Bから細孔Aへ拡散してしまい、硫酸鉛となって析出してしまう。この状況では細孔A及び細孔Bの両方に硫酸鉛が析出することになるが、この放電反応では、細孔Aが硫酸鉛によって塞がり、SO4 2-イオンの拡散が制限されることによって終了する。以降、この放電率領域を第二領域と称することとする。
これらのことから、一般には大きな孔径の細孔Aを増加させることが高率放電時の高容量化には重要であると考えられてきた。そのための手段としてペースト処方において、水量や希硫酸量を増加させる方法や、原料である鉛粉の粒径を制御する方法が試みられた。
しかし、前記した手法では十分な効果が得られず、低率放電容量やサイクル寿命特性が低下する場合があった。これらの現象を詳細に検討した結果、高率放電特性の向上には細孔Bの増加による電流密度の低減と細孔Aによる硫酸の拡散を満足させなければならない、つまり細孔Aと細孔Bの量をバランスさせることが重要であることがわかった。
このような課題を解決するために、特許文献1では、鉛蓄電池の製造法として、未化成板を用いる場合、マンニトールあるいはマンニトールと硫酸ヒドラジンが含まれている希硫酸中で化成充電することが提案されている。特許文献1によれば、正極板の細孔構造を、全細孔容積が0.14cm3/g〜0.18cm3/gで、細孔直径が0.01μm〜0.1μmの範囲にある細孔の全細孔体積が0.02cm3/g以上とし、かつ、細孔直径が0.1μm〜4.0μmの範囲にある細孔の全細孔容積が0.13cm3/g以下に制御することが可能となり、高率放電および低率放電での放電容量が向上することが示されている。
しかしながら、特許文献1のように、正極活物質の多孔度を増大させて、全細孔容積を0.14cm3/g〜0.18cm3/gに制御すると、高率放電および低率放電の放電容量の向上し正極活物質利用率の向上が図られるものの、十分なサイクル寿命特性が得られなかった。
特開平11−73950号公報
本発明は、鉛蓄電池の、高率放電および低率放電での正極活物質利用率を向上するとともに、サイクル寿命特性にも優れた鉛蓄電池を提供することを目的とする。
前記した課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、正極活物質の細孔容積が0.120cm3/g〜0.138cm3/gであって、かつ孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積が全細孔容積の45%以上、70%以下とした鉛蓄電池を示すものである。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1の構成を有した鉛蓄電池において、前記正極活物質が充填された正極板と、それに対応する負極板の各極板面が電解液に浸漬した状態で収納されていることを示すものである。
前記した本発明の構成によれば、従来、高率放電および低率放電の正極活物質利用率が向上するが、サイクル寿命特性の改善が不十分であるという課題を解決することが可能であり、優れた正極活物質利用率とサイクル寿命特性を兼ね備えた鉛蓄電池を提供できるという、顕著な効果を奏する。
特に、本発明の効果は、ガラスマット製セパレータを用い、高い群圧で正極板および負極板を圧迫した制御弁式鉛蓄電池より、群圧が殆どかかっていない液式鉛蓄電池の方がより顕著に現れる。
本発明の鉛蓄電池は、正極活物質の細孔容積Pが0.120cm3/g〜0.138cm3/gであって、前記正極活物質の孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積Qの全細孔容積Pに対する比率R(R=Q/P)を45%以上、70%以下とする。(但し、Rを百分率表示とした場合)。
このような構成により、正極活物質の利用率向上とサイクル寿命特性とを高いレベルで両立できるという、顕著な効果を奏する。
細孔容積Pが0.138cm3/gを超えて大となると、サイクル寿命が急激に低下するため細孔容積Pは0.138cm3/g以下とする。また同様に、比率Rが70%を超えて大となった場合にもサイクル寿命が急激に低下するため、比率Rは70%以下とする。
また、細孔容積Pが0.120cm3/gを下回った場合、および比率Rが45%を下回った場合は、正極活物質の利用率が低下するため、細孔容積Pは0.120cm3/g以上および比率Rを45%以上とする。
また、実施例において詳述するように、本発明は、正極板と負極板の各極板面が電解液に浸漬された、液式の鉛蓄電池に適用することがより好ましい。
前記したような、細孔容積および細孔径分布を有する鉛蓄電池の正極活物質を得るための手法として、以下にその一例を示す。
正極活物質の主原料としての鉛粉は、公知の鉛粉を用いることができる。一般的には、ボールミル法による鉛粉(金属鉛15〜30質量部程度、残部一酸化鉛)やバートンポット法による鉛粉(金属鉛10〜25質量部程度、残部一酸化鉛)であり、化成効率を改善するために、鉛丹化率80質量部以上(残部は一酸化鉛を主成分とする)の鉛丹を鉛粉に添加することができる。なお、鉛丹の添加量は、公知の10質量部〜30質量部、残部をボールミル法による鉛粉および/あるいはバートンポット法による鉛粉を用いることができる。
また、正極活物質への添加剤として、ポリエステル系またはアクリル系のカット繊維や硫酸錫または二酸化錫等の錫化合物を添加しても良い。
正極活物質の製造方法としては、前記した鉛粉に、必要に応じて前記した添加剤を添加し、これらを混合したのち、水を添加して混練し、その後、硫酸を滴下しながら混練することにより得た正極活物質ペーストを格子に充填し、極板化成あるいは電槽化成することによって得ることができる。
化成後の正極活物質の細孔径および細孔分布は、正極活物質ペーストの混練に用いる希硫酸の密度と、その滴下速度に密接に関連することを本発明の発明者は見出したものであり、本発明の鉛蓄電池を得るための手法として、希硫酸の密度および滴下速度と、正極活物質の細孔径分布との関係を求めておき、本発明が規定する細孔径分布の範囲に入るように、希硫酸の密度とその滴下速度を制御することにより、本発明を実施することができる。
本発明者が見出したところによると、希硫酸の密度を高くする、すなわち、希硫酸中の硫酸濃度を高くするにつれて化成後の正極活物質の細孔容積Pは増加する傾向にあり、それにつれて、細孔径分布のピークの孔径はより大にシフトしていく。また、希硫酸の滴下速度を大きくすると、前記した正極活物質の細孔容積Pに対する、孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積をQの比率R(R=Q/P)は大きくなる傾向を示す。
これは、鉛粉と希硫酸を、徐々に均一的に反応させるのではなく、不均一的に、急速に反応させることによって、不均一な粒径の硫酸鉛が生成し、その硫酸鉛を化成充電することによって不均一な孔径の細孔が生成するためと推測される。その結果として、希硫酸の密度および滴下速度を大とすることによって、上記の細孔容積Pおよび比率Rは増大するよう制御することができる。
逆に、前記希硫酸の滴下速度が小さいと前記比率Rは小さくなる傾向を示す。これは、鉛粉と希硫酸との反応が、より均一に進行し、均一で比較的小さな粒径の硫酸鉛が生成し、その硫酸鉛を化成充電することによって、比較的小さな孔径の細孔が生成するためと推測される。
なお、希硫酸の密度(20℃)としては、一例として、1.260g/cm3から1.420g/cm3の希硫酸を用いることができる。
また、滴下速度の一例としては、鉛粉1kgあたり、2cm3/min〜20cm3とすることができる。但し、鉛粉への鉛丹添加量や、各種添加剤の有無およびその添加量によって、本発明を実施するための希硫酸密度と滴下速度の組み合わせは変化すること、また、希硫酸密度とその滴下速度は前記した比率Rに互いに影響しあうため、予め、使用する原料鉛粉について、Pが0.120cm3/g〜0.138cm3/g、細孔分布のピークが0.2μm〜2.0μmの範囲にあり、前記した比率Rが0.45〜0.70(百分率表示においては、45%〜70%)となるよう、希硫酸密度と滴下速度を調節すべきであることは言うまでもない。
以下、発明の詳細を実施例にて詳細に説明する。
(予備実験)
予備実験として、鉛粉に滴下する希硫酸の密度と、滴下速度が化成後の正極活物質の細孔分布に与える影響を検討した。
先ず、平均粒径が約2μm、酸化度が75%の一酸化鉛を主成分とするボールミル式の鉛粉1000kgを準備した。なお、鉛粉または混合鉛粉に対して、それぞれ0.1%のポリエステル製カット繊維を添加し、ミキサー内で混合した。
その後、鉛粉の質量に対して11.5%に相当する質量の水を添加しながら混練した。本実施例においては、水の添加は数秒間で鉛粉に対して行なった。
水の添加後、鉛粉の質量に対して12.5%に相当する質量の希硫酸を所定速度で滴下しながら混練した。希硫酸の密度(20℃)および滴下速度は表1に示す通りとした。すなわち、希硫酸濃度は1.28g/cm3もしくは1.40g/cm3とし。希硫酸の滴下速度を2〜16L/minの間で変化させた。
Figure 2010225408
得られた各正極活物質ペーストをエキスパンド格子に同質量充填し、所定の熟成・乾燥工程を経て正極未化成板を得た。そして、この正極未化板1枚と公知の製造法によって得た負極未化成板2枚とを、ポリエチレン製セパレータを介して積層して2Vセルを組立、密度1.20g/cm3の過剰量の化成液(希硫酸)を注液した後、正極活物質理論容量に対して200%の電気量で電槽化成して、正極未化成板を正極板とした。
生成した各正極活物質について、水銀圧入法によって、細孔分布を計測し、この細孔分布を積算することにより、全細孔容積(P)と、孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積(Q)とを求めた。また、Pに対するQの比率をR(R=Q/P)として、これらPとRの値を表1に合わせて示す。なお、Rの値は百分率表示としている。
表1より、滴下した希硫酸の密度が1.28g/cm3,1.40g/cm3で異なっても、滴下速度が大きくなるに伴って、全細孔容積Pと比率Rが大きくなる傾向がみられた。つまり、希硫酸の滴下速度が大きくなると、全細孔容積Pに対する孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積Qが大きくなる傾向を示している。これは、希硫酸の滴下速度を大きくすることにより、鉛粉が多量の希硫酸と急速に反応することによって不均一な粒径の硫酸鉛が生成し、その硫酸鉛を化成することによって比較的大きな孔径の細孔が生成するためと推測される。
さらに、同じ滴下速度であっても、滴下した希硫酸の密度が大きい程、比率Rが大きくなる傾向を示している。これは、滴下する希硫酸の密度が大きくなることにより、鉛粉が希硫酸と急速に反応することによって不均一な粒径の硫酸鉛が生成し、その硫酸鉛を化成することによって比較的大きな孔径の細孔が生成するためと推測される。
(実施例1)
表1に示した各条件で正極板を作成し、JIS D 5301(始動用鉛蓄電池)に示された34B19形電池(12V27Ah(5HR)、以下、電池という)を作成した。なお、表1に示した各正極板は、活物質量が同一となるよう、重量選別を行なった。また、各電池は、1セルが4枚の正極板のそれぞれをポリエチレン樹脂の微多孔膜を袋状に加工した袋状セパレータに収納した袋詰め正極板と、5枚の公知の負極板とからなる。なお、各電池は、正極律則となるよう、負極活物質量を調整した。なお、電解液は、密度1.280g/cm3の希硫酸であり、正極板と負極板の極板面の全面が電解液中に浸漬された状態とした。なお、袋状セパレータと正極板とは袋状セパレータに上下方向に設けた線状のリブの先端のみで接触している状態である。
表1に示した各正極活物質を備えた各電池について、正極活物質利用率(5HR)とサイクル寿命特性を求めた。
正極活物質利用率(E)としては、各電池を5HR率電流(5.4A)で10.5Vまで放電した際の放電した際の放電容量を正極活物質の質量で除して求めた。また、サイクル寿命特性は、JIS D 5301(始動用鉛蓄電池)に示された軽負荷寿命試験を行なった。
なお、軽負荷寿命試験は、放電を25Aで4分、充電を14.8V(最大電流25A)で10分としたサイクルと、このサイクルを480サイクル行なった後に265Aで30秒間連続放電する容量判定放電とを繰り返して行い、容量判定放電における放電末期電圧が7.2Vにまで低下した時点で寿命とした。なお、試験温度は40℃である。
表2に上記で求めた正極活物質利用率とサイクル寿命特性を示す。なお、正極活物質利用率とサイクル寿命特性については、電池A1をそれぞれ100%とした時の百分率で示した。なお、表2においては、電池の記号は、その電池の正極活物質の記号(表1参照)と一致させている。
Figure 2010225408
表2に示した結果より、全細孔容積Pが増加するとともに正極活物質利用率は増大するが、サイクル寿命特性が低下する傾向がある。その中でも、全細孔容積Pを0.120cm3/g〜0.138cm3/gとし、比率Rを45%〜70%とした電池は、良好な正極活物質利用率と良好なサイクル寿命特性を両立できるという、顕著な効果を有した。なお、これらの電池の正極活物質の細孔分布のピークは、すべて0.2μm〜2.0μmの範囲内にあった。
全細孔容積Pと比率Rが、前記した範囲から増加した電池では、正極活物質の利用率は向上するものの、サイクル寿命特性は極端に低下した。このとき、正極活物質の細孔分布のピークは、孔径の大きい方向にシフトし、前記した0.2μm〜2.0μmの範囲を超える場合があった。
全細孔容積Pと比率Rが、前記した範囲から減少した電池では、正極活物質の利用率は低下し、サイクル寿命特性も若干低下する傾向にあった。またこのような電池では、正極活物質の細孔分布のピークは、孔径の小さい方向にシフトし、前記した0.2μm〜2.0μmの範囲外の領域になるものもあった。
(実施例2)
表1に示した各条件で正極板を作成し、12V17Ah(10HR)の制御弁式鉛蓄電池を作成した。この制御弁式鉛蓄電池においては、セパレータとしてガラスマットセパレータを用いており、電解液の殆どすべてが正極、負極の活物質と、ガラスマットセパレータに含浸保持された状態となっている。また、ガラスマットセパレータと極板間との電解液移動を円滑に行なうため、ガラスマットセパレータが厚み方向に圧縮する方向で極板群に群圧を19.6kPaの値で加えた。
なお、各電池は、活物質量が同一となるよう、重量選別を行なった。また、なお、各電池は、正極律則となるよう、負極活物質量を調整した。なお、電解液は、密度1.325g/cm3(20℃)の希硫酸である。
表2に示した各正極活物質を備えた各制御弁式鉛蓄電池について、正極活物質利用率(10HR)とサイクル寿命特性を求めた。
正極活物質利用率(E)としては、各電池を5HR率電流(3.4A)で10.5Vまで放電した際の放電した際の放電容量を正極活物質の質量で除して求めた。また、サイクル寿命特性は、3.4A定電流放電を10.5Vまで、充電を14.7V(最大充電電流13.6A)で8時間繰り返し行ない、3.4A定電流放電における放電持続時間が初期の50%にまで低下した時点を寿命サイクル数とした。
表3に上記で求めた正極活物質利用率とサイクル寿命特性を示す。なお、正極活物質利用率とサイクル寿命特性については、電池VA1をそれぞれ100%とした時の百分率で示した。なお、表3においては、電池の記号は、その電池の正極活物質の記号(表1参照)にVを付記したものとしている。
Figure 2010225408
表3に示した結果より、全細孔容積Pが増加するとともに正極活物質利用率は増大するが、サイクル寿命特性が低下する傾向がある。その中でも、全細孔容積Pを0.120cm3/g〜0.138cm3/gとし、比率Rを45%〜70%とした電池は、良好な正極活物質利用率と良好なサイクル寿命特性を両立できるという、顕著な効果を有した。なお、これらの電池の正極活物質の細孔分布のピークは、すべて0.2μm〜2.0μmの範囲内にあった。
全細孔容積Pと比率Rが、前記した範囲から増加した電池では、正極活物質の利用率は向上するものの、サイクル寿命特性は極端に低下した。このとき、正極活物質の細孔分布のピークは、孔径の大きい方向にシフトし、前記した0.2μm〜2.0μmの範囲を超える場合があった。
全細孔容積Pと比率Rが、前記した範囲から減少した電池では、正極活物質の利用率は低下し、サイクル寿命特性も若干低下する傾向にあった。またこのような電池では、正極活物質の細孔分布のピークは、孔径の小さい方向にシフトし、前記した0.2μm〜2.0μmの範囲外の領域になるものもあった。
このような実施例2における結果は、実施例1と同様の傾向を示したが、その効果においては、実施例1の液式の電池の方が、より顕著であった。
これは、制御弁式鉛蓄電池においては、ガラスマットセパレータによって、正極活物質に群圧が加えられるため、活物質構造を維持するという観点において、液式の電池よりも優位であることから、全細孔容積Pと比率Rがそれぞれ0.138g/cm3および70%を超えた場合においても、液式に比較して、サイクル寿命の低下が緩和されたものと推測される。
逆に言えば、液式の電池においては、制御弁式鉛蓄電池に比較して、セパレータによる正極活物質の保持効果が殆ど得られないため、全細孔容積Pと比率Rがそれぞれ0.138g/cm3および70%を超えた場合、充放電サイクルにおける正極活物質構造の変化が進行しやすく、結果として短寿命になりやすいと推測される。
したがって、本発明の効果は、液式および制御弁式双方の鉛蓄電池で得ることができるが、液式の鉛蓄電池に本発明を適用することにより、本発明の効果をより顕著に得ることができ、好ましい。
本発明の構成によれば、鉛蓄電池の正極活物質利用率とサイクル寿命特性を高いレベルで両立できることが可能であり、様々な用途の鉛蓄電池に適用可能であることから、工業上、極めて有用である。

Claims (2)

  1. 正極活物質の細孔容積が0.120cm3/g〜0.138cm3/gであって、かつ孔径0.2μm〜2.0μmの範囲の細孔容積が全細孔容積の45%以上、70%以下としたことを特徴とする鉛蓄電池。
  2. 前記正極活物質が充填された正極板と、それに対応する負極板の各極板面が電解液に浸漬した状態で収納されていることを特徴とする請求項1記載の鉛蓄電池。
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