JP2009001666A - 水性塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】C4−20アルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる重合性モノマー(a)、N−メチロールアクリルアミド誘導体モノマー(b)、水酸基含有重合性モノマー(c)及びエポキシ基又はアリル基を有する重合性モノマー(d)を所定量含有するモノマー成分による酸価10以下の共重合体(A)の存在下で、モノマー(a)、(b)、(c)及び酸基含有重合性モノマー(f)を所定量含有するモノマー成分を溶液重合してなる共重合体樹脂(C)が中和され、ベンゾグアナミン樹脂(D)とともに、水性媒体中に分散された水性塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
2.共重合体樹脂(C)のガラス転移温度が10〜50℃である請求項1記載の水性塗料組成物。
10.缶外面の最上層として塗装される請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が4〜20であるアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)、下記式(1)で表される重合性不飽和モノマー(b)、モノマー(b)以外の水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)、エポキシ基又はアリル基を有する重合性不飽和モノマー(d)及び必要に応じて、その他の重合性不飽和モノマー(e)をモノマー成分として共重合して得られる酸価10以下の共重合体である。
モノマー(b):0.1〜30質量%、好ましくは1〜25質量%、
モノマー(c):3〜30質量%、好ましくは4〜25質量%、
モノマー(d):0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜8質量%、
モノマー(e):0〜46質量%、好ましくは0〜39質量%。
上記共重合体(A)を溶液重合法により共重合するに際して用いられる重合開始剤としては、特に制限されるものではないが、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2−メチルブチロニトリル等のアゾ系化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ(ターシャリーブチル)パーオキサイド等の過酸化物系化合物等のラジカル重合開始剤を用いることができ、重合性単量体成分総量に対して0.1〜10重量%の使用が好ましい。反応温度は通常室温から200℃、好ましくは40〜150℃、反応時間は、30分間〜8時間、好ましくは2〜4時間程度であることが好適である。
共重合体(C)は、上記共重合体(A)及び有機溶剤(y)の存在下で、モノマー混合物(B1)を溶液重合法により共重合することによって得られる。
共重合体(C)を製造するに際しての、上記モノマー混合物(B1)の配合量は下記のとおりである。
モノマー(a):45質量%未満、好ましくは10〜40質量%、
モノマー(b):0.1〜30質量%、好ましくは1〜25質量%、
モノマー(c):3〜30質量%、好ましくは4〜25質量%、
モノマー(f):10〜60質量%、好ましくは15〜55質量%、
モノマー(g):0〜86質量%、好ましくは0〜70質量%。
また、本明細書において、共重合体のガラス転移温度Tg(°K)は、共重合体を構成する単量体組成から、それぞれ下記式によって求めた値とする。
(C1,C2・・・・・Cmは、それぞれの単量体組成における各モノマーの重量分率である。(C1+C2・・・・・Cm=1)であり、T1,T2・・・・・Tmはそれぞれの単量体組成における各単量体の単独ポリマーのTg(°K)である。)上記式から得られたTg(°K)−273 が、Tg(℃)の値となる。
各単量体の単独ポリマーのTgは、Polymer Hand book Second Edition(ポリマーハンドブック第2版;J.Brandrup,E.H.Immergut 編)による値である。ポリマーハンドブック第2版に記載のない単量体の単独ポリマーのTgは、ポリマーハンドブック第3版による値とする。これらに記載のない単量体の単独ポリマーのTgは、示差走査熱分析(DSC)によりJISK7121(プラッスチックの転移温度測定方法)に基づいて10℃/分の昇温スピードで測定した値である。この測定において、DSCとして、「SSC5200」(商品名、セイコー電子工業社製)を用い、試料をサンプル皿に所定量秤取した後、130℃で3時間乾燥させてから行なうものとする。
上記共重合体(C)を溶液重合法により共重合するに際して用いられる重合開始剤としては、特に制限されるものではないが、前記共重合体(A)で用いることができるものを同様に使用することができる。
前記共重合体(A)を構成するモノマー成分として、エポキシ基又はアリル基を有する重合性不飽和モノマー(d)を含有しており、モノマー(d)中のエポキシ基は、モノマー混合物(B1)中の酸基含有重合性不飽和モノマー(f)などに存在するカルボキシル基などの酸基と反応することができる。また、モノマー(d)中のアリル基は、モノマー混合物(B1)中のモノマーの重合性不飽和基と反応して重合することができる。エポキシ基又はアリル基を有する重合性不飽和モノマー(d)が存在することによってエポキシ基又はアリル基を基点に、一部グラフト化が起こっているものと推察される。
ベンゾグアナミン樹脂(D)
本発明水性塗料組成物におけるベンゾグアナミン樹脂(D)は、特に制限されるものではないが、トリアジン核1核体当りのイミノ基の平均数が0.9個以下であることが、共重合体樹脂(C)との架橋反応性の点から好適であり、塗膜をレトルト処理した後における高塗膜硬度の保持、レトルト処理時の樹脂溶出量の少量化の面で好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂(D)として、好適には、トリアジン核1核あたり平均で0.9個以下のイミノ基を有するメチロール化ベンゾグアナミンのメチロール基の一部又は全部が炭素数1〜8の1価アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等でエーテル化されてなる部分エーテル化又はフルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂が挙げられる。エーテル化された部分エーテル化又はフルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂を用いることが、塗料組成物の貯蔵性の面から好ましい。
ベンゾグアナミン樹脂(D)中のイミノ基とは、本明細書において、狭義のイミノ基(−NH)とアミノ基(−NH2 )との両方を包含するものとする。イミノ基数については、アミノ基の場合はアミノ基1個をイミノ基2個と換算する。
上記イミノ基の平均数は、次のようにして測定することができる。すなわち、ベンゾグアナミン樹脂をt−ブタノールで希釈して凍結乾燥し、ジメチルスルホキシド−d6に溶かして、プロトンNMRを測定する。次に、測定結果においてプロトンピークの積分値を読み取って、官能基量に変換して求めることができる。詳細は、「高分子分析ハンドブック」(社団法人日本分析化学会編、1995年1月12日初版第1刷発行、株式会社紀伊国屋書店、p795〜800)に記載されている。
上記ベンゾグアナミン樹脂(D)の具体例としては、例えば、マイコート102、同105、同106[以上、いずれも日本サイテックインダストリーズ社製]、ニカラックSB−201、同SB−203、同SB−301、同SB−303、同SB−401[以上、いずれも三和ケミカル社製]などのメチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂;サイメル1123[日本サイテックインダストリーズ社製]などのメチルエーテルとエチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート136[以上、日本サイテックインダストリーズ社製]、ニカラックSB−255、同SB−355、同BX−37、同BX−4000[以上、いずれも三和ケミカル社製]などのメチルエーテルとブチルエーテルとの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂;マイコート1128[日本サイテックインダストリーズ社製]などのブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂などを挙げることができる。これらのベンゾグアナミン樹脂は単独で又は2種以上組合せて使用することができる。
ベンゾグアナミン樹脂(D)は、塗料粘度と塗装作業性の面から、溶解性パラメーターが、11.1〜15.0、好ましくは11.2〜14.0の範囲であることが望ましい。
VD=D/(10+D)、
δH=9.75×10/(10+H)+7.24×H/(10+H)、
δD=9.75×10/(10+D)+23.43×D/(10+D)。
[水性塗料組成物]
本発明の水性塗料組成物は、前記共重合体樹脂(C)が中和され、ベンゾグアナミン樹脂(D)とともに水性媒体中に安定に分散されてなるものである。
共重合体樹脂(C)の中和に用いられる中和剤としては、例えば、アミン類やアンモニアが好適に使用される。上記アミン類の代表例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのアルキルアミン類;ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルカノールアミン類;モルホリンなどの環状アミン類などを挙げることができる。
共重合体樹脂(C)の中和程度は、特に限定されるものではないが、共重合体樹脂(C)中のカルボキシル基に対して通常0.1〜2.0当量中和となる量的範囲であることが好ましい。
本発明の水性塗料組成物を製造するにおいて、共重合体樹脂(C)の中和、及び中和された共重合体樹脂(C)とベンゾグアナミン樹脂(D)とが水性媒体中へ安定に分散された状態とする方法は、特に制限されるものではない。その方法としては、例えば、(1)共重合体樹脂(C)とベンゾグアナミン樹脂(D)との混合物に中和剤を加えて共重合体樹脂(C)を中和した後、水性媒体と混合攪拌する方法、(2)共重合体樹脂(C)を中和した後、ベンゾグアナミン樹脂(D)と混合し、ついで、水性媒体と混合攪拌する方法、(3)共重合体樹脂(C)とベンゾグアナミン樹脂(D)との混合物を、中和剤を含有する水性媒体と混合攪拌する方法などを挙げることができる。
本発明の水性塗料組成物においては、ベンゾグアナミン樹脂(D)は一般に、疎水性であることから、中和された共重合体樹脂(C)に覆われ、共重合体樹脂(C)の粒子内部に存在するものと考えられる。分散粒子の粒子径は、50〜400nm、さらには100〜300nmの範囲内にあることが好適である。この粒子径は、本明細書において、製造後12時間経過のものを、コールター社製、ナノサイザーN−4を用いて測定したものである。
本発明の水性塗料組成物は、中和された共重合体樹脂(C)、ベンゾグアナミン樹脂(D)及び水性媒体以外に、必要に応じて、メラミン樹脂、界面活性剤、光干渉顔料、ワックス、硬化触媒、香料、反応性希釈剤、付着性付与剤、消泡剤等を含有させることができる。
本発明の水性塗料組成物中に含有させることができる界面活性剤は、塗料のヌレ性向上などの目的で配合されるものであり、ウェットインキ上でのヌレ性が良好で、仕上り性に優れる塗膜を得ることができる点から、なかでもジェミニ型界面活性剤が好適である。ジェミニ型界面活性剤とは、1分子中に複数の親水基と複数の疎水基を有する多鎖多親水基型の界面活性剤のことである。シリコーン系のジェミニ型界面活性剤の代表例として、下記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
ジェミニ型界面活性剤の市販品としては、例えば、ジェミサーフα142、ジェミサーフα102、ジェミサーフα182(以上、中京油脂社製、商品名)、Twin4000(TEGO社製、商品名)、フローレンTW4000(共栄社化学社製、商品名)等が挙げられる。
なお本発明の水性塗料組成物における界面活性剤の含有量は共重合体樹脂(C)及びベンゾグアナミン樹脂(D)の固形分合計100質量部に対して、通常、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜3質量部の範囲内であることが、レトルト処理による白化や塗膜硬度の低下がなく、ウェットインキ上でのヌレ性を向上できる点から好ましい。
本発明の水性塗料組成物中に含有させることができる前記光干渉顔料としては、例えば、蒸着アルミニウム薄膜、酸化アルミニウムフレーク、雲母フレーク、酸化チタン被覆雲母フレーク、酸化鉄被覆雲母フレーク、コレステック液晶ポリマー粉体(ヘリコーンHC、商品名、ドイツ ワッカーケミー社製 )などが挙げられる。その添加量としては下地であるインキ層が透けて見える程度が好ましく、共重合体樹脂(C)及びベンゾグアナミン樹脂(D)の固形分合計100質量部あたり、0.001〜20質量部、好ましくは0.01〜15質量部、さらに好ましくは0.02〜10重量部の範囲が適している。
本発明の水性塗料組成物中に含有させることができるワックスは、常温で固形であって、硬化した被膜表面に潤滑性を付与し得るものであればよく、例えば、ポリオール化合物と脂肪酸とのエステル化物である脂肪酸エステルワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックス、ポリオレフィンワックス、動物系ワックス、植物系ワックスなどのワックス類を挙げることができる。
上記脂肪酸エステルワックスの原料となるポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ジ又はそれ以上のポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどを挙げることができる。これらのうち、1分子中に3個以上の水酸基を有するポリオール化合物が好ましく、中でもポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好適である。
上記脂肪酸エステルワックスのもう一方の原料となる脂肪酸としては、飽和又は不飽和の脂肪酸を挙げることができ、炭素原子数6〜32の脂肪酸であることが好ましい。好適な脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸などの飽和脂肪酸;カプロレイン酸、ウンデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、セトレイン酸、エルカ酸、リカン酸、リシノール酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸を挙げることができる。脂肪酸エステルワックスとしては、上記ポリオール化合物の水酸基の数の少なくとも1/3が脂肪酸でエステル化されたものが好ましい。
上記シリコン系ワックスとしては、例えば、BYK−300、BYK−320、BYK−330[以上、BYKChemie(ビックケミー)社製]、シルウェットL−77、同L−720、同L−7602[以上、日本コニカー(株)製]、ペインタッド29、同32、同M[以上、ダウコーニング社製]、信越シリコーンKF−96[信越化学社製]等が挙げられる。
上記フッ素系ワックスとしては、例えば、SST−1MG、SST−3、フルオロスリップ231、ハイドロサーフ6099、ハイドロサーフ9174、FLUORO AQ60(以上、シャムロックケミカルズ社製);POLYFLUO(ポリフルオ)120、POLYFLUO150、POLYFLUO400(以上、マイクロパウダーズ社製);また、炭化水素系ワックスの粒子とポリテトラフルオロエチレンの微粒子とを、ジェットミルのような強力な混合機により混合して、炭化水素系ワックス粒子の表面にポリテトラフルオロエチレンの微粒子を付着させることにより得られるポリテトラフルオロエチレン変性炭化水素系ワックスも使用できる。
上記ポリテトラフルオロエチレン変性炭化水素系ワックスとしては、ランコワックスTEF1778、ランコワックスTEF1780(ジョージM.ランガーアンドカンパニー製)等が挙げられる。
上記ポリオレフィンワックスとしては、例えば、シャムロックワックスS−394、同S−395(以上、シャムロックケミカルズ社製);ヘキストワックスPE−520、同PE−521(以上、ヘキスト社製)、三井ハイワックス(三井石油化学工業社製)等が挙げられ、さらに、動物系ワックスとしては、例えば、ラノリン、蜜ろう等が挙げられ、植物系ワックスとしては、例えば、カルナウバワックス、水ろう等が挙げられる。これらのワックスの中でも特に、低い動摩擦係数を得る為には、フッ素系ワックスが好ましい。
上記ワックスは、共重合体樹脂(C)とベンゾグアナミン樹脂(D)の固形分合計量100質量部に対して、通常、0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.3〜3質量部の範囲内であることが好適である。ワックスを配合することによって、得られる塗膜表面の動摩擦係数を下げることができる。塗膜表面の動摩擦係数は0.01〜0.2、好ましくは0.01〜0.15、さらに好ましくは0.01〜0.12であることが、加工時のスベリ性の点で適している。塗膜表面の動摩擦係数は、下記の方法により測定することができる。
動摩擦係数:試験塗板の温度を60℃に保ち、試験塗板の塗膜表面について、MOBILITY/LUBRICITY TESTER MODEL9505AER(ALTEK社製)を用いて、引っ張り速度100mm/分の条件にて、動摩擦係数を測定した。動摩擦係数が小さいほどスベリ性は良好である。
本発明の水性塗料組成物中に含有させることができる硬化触媒としては、酸触媒、例えば、p−トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等、あるいは、これらの酸のアミン中和物等を挙げることができる。
本発明の塗膜形成方法においては、金属製被塗物の缶外面となる側にインキを印刷し、該印刷された未硬化インキ面上に、上記本発明の水性塗料組成物を塗装し、焼き付けて缶外面に塗膜を形成する。
上記金属製被塗物は、特に限定されるものではないが、アルミニウム、ブリキ、ティンフリースチールなど缶の基材として使用される金属類及びこれらの金属類の表面に塗膜を形成した塗装金属類などを好適に使用できる。被塗物の形状は成形された缶状であっても、成形前のシート状であってもよい。
上記金属製被塗物の缶外面となる側にインキが印刷され、この印刷された未硬化インキ面上に本発明の水性塗料組成物が塗装されるが、この塗装手段としては、ロールコート、カーテンフローコート、スプレー塗装、静電スプレー塗装などの公知の手段を挙げることができる。 上記水性塗料組成物は、乾燥膜厚が約2〜15μmとなるように塗装され、通常、素材到達温度が140〜260℃となる条件で10秒〜20分間程度焼き付けることによって目的とする塗膜を形成することができる。
製造例1 共重合体C−1溶液の製造
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル(20℃の水に対する溶解度∞、表面張力27.7mN/m)1000部、を加え、窒素ガスを導入しつつかき混ぜながら、120℃に加熱した。次にスチレン130部、n−ブチルメタクリレート505部、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド85部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート85部、グリシジルメタクリレート5部、メチルメタクリレート40部、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル20部の混合物を滴下槽から3時間にわたって滴下した。
滴下終了後、同温で0.5時間保持して共重合体を得た後、この中に、スチレン20部、n−ブチルメタクリレート30部、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド15部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート15部、アクリル酸60部、メチルメタクリレート10部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部の混合物を滴下槽から1時間にわたって滴下した。
滴下終了後、同温で0.5時間保持した後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル40部にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート10部を溶解した溶液50部を30分間かけて滴下した。ついで1時間熟成した後、脱溶剤工程を経て固形分80%の共重合体C−1溶液を得た。
製造例2〜27 共重合体C−2〜C−27溶液の製造
表1の配合内容とする以外は、製造例1と同様にして固形分80%の共重合体C−2〜C−27溶液を得た。
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル110部、3−メトキシ−3−ブタノール40部を加え、窒素ガスを導入しつつかき混ぜながら、125℃に加熱した。次にN−n−ブトキシメチルアクリルアミド20.0部、アクリル酸10.0部、スチレン30.0部、エチルアクリレート20.0部、n−ブチルアクリレート20.0部、2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル4部の混合物を滴下槽から3時間にわたって滴下した。滴下終了後、同温で0.5時間保持した後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル4部に2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル0.5部を溶解した溶液4.5部を30分間かけて滴下した。ついで2時間熟成した後、脱溶剤工程を経て固形分80%のアクリル樹脂1溶液を得た。
製造例29 アクリル樹脂2溶液の製造
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル110部、3−メトキシ−3−ブタノール40部を加え、窒素ガスを導入しつつかき混ぜながら、125℃に加熱した。次にメタクリル酸10.0部、スチレン20.0部、エチルアクリレート20.0部、n−ブチルアクリレート40.0部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル10部、2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル5部の混合物を滴下槽から3時間にわたって滴下した。滴下終了後、同温で0.5時間保持した後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル4部に2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル0.5部を溶解した溶液4.5部を30分間かけて滴下した。ついで2時間熟成した後、脱溶剤工程を経て固形分80%のアクリル樹脂2溶液を得た。
製造例30 アクリル樹脂3溶液の製造
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた4つ口フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテル110部、3−メトキシ−3−ブタノール40部を加え、窒素ガスを導入しつつかき混ぜながら、125℃に加熱した。次にN−n−メトキシメチルアクリルアミド10.0部、N−(2−ブトキシエチルオキシ)メチルアクリルアミド10.0部、アクリル酸8.0部、スチレン20.0部、エチルアクリレート52.0部、2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル5部の混合物を滴下槽から3時間にわたって滴下した。滴下終了後、同温で0.5時間保持した後、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテル4部に2,2’−アゾビスエチルバレロニトリル0.5部を溶解した溶液4.5部を30分間かけて滴下した。ついで2時間熟成した後、脱溶剤工程を経て固形分80%のアクリル樹脂3溶液を得た。
製造例31 アクリル樹脂4溶液の製造
撹拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗および窒素導入口を備えた4つ口フラスコにエチレングリコールモノブチルエーテル100部を加え、窒素ガスを導入しつつかき混ぜながら、105℃に加熱した。
次にN−メトキシメチルアクリルアミド20.0部、アクリル酸8.0部、スチレン20.0部、エチルアクリレート52.0部、過酸化ベンゾイル5部の混合物を滴下槽から3時間にわたって滴下した。滴下終了後、同温で1時間保持した後、過酸化ベンゾイル1部を添加しさらに1時間反応させた。ついで120℃に昇温し、フタル酸0.2部を加え、メタノールを留去しながら1時間反応し、N−メトキシメチルアクリルアミドに由来するメトキシ基の50%を、エチレングリコールモノブチルエーテルとのエーテル交換により2−ブトキシエチルエーテル基(−O−CH2CH2−O−C4H9)とし、これを減圧下100℃にて不揮発分が70%になるまでメタノールおよびエチレングリコールモノブチルエーテルを除去して固形分80%のアクリル樹脂4溶液を得た。
[ベンゾグアナミン樹脂(D)]
製造例32 ベンゾグアナミン樹脂D−1溶液の製造
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下槽、窒素ガス吹込管を備えた四つ口フラスコに、ベンゾグアナミン374部、92%パラホルムアルデヒド391部、メタノール640部を仕込み、25%水酸化ナトリウム水溶液0.7部を添加後、60℃で3時間加熱した。その後、50%硫酸水溶液をpH3.5になるまで仕込み引き続き60℃で2時間反応した。反応終了後、25%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後メタノール水を減圧除去した後、減圧濾過した。エチレングリコールモノイソプロピルエーテルで固形分を80%に調整して、ベンゾグアナミン樹脂D−1溶液を得た。
製造例33〜35 ベンゾグアナミン樹脂D−2〜D−4溶液の製造
製造例32に準じて表2に示した配合にて、ベンゾグアナミン、パラホルムアルデヒド、メタノールを反応させ、ベンゾグアナミン樹脂D−2〜D−4溶液を得た。
製造例36 ベンゾグアナミン樹脂D−5溶液の製造
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下槽、窒素ガス吹込管を備えた四つ口フラスコに、ベンゾグアナミン374部、92%パラホルムアルデヒド326部、メタノール640部を仕込み、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.5に調整した後、70℃で1時間加熱した。その後冷却し、50%硫酸水溶液をpH1.0になるまで仕込み引き続き40℃で1時間反応した。反応終了後、30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを10.5にした後ホルマリン、メタノール水を減圧除去した。次にイソプロパノール600部を仕込み、50%硫酸水溶液でpHを1.0に調整し、70℃で1時間反応を行なった。その後30%水酸化ナトリウム水溶液でpHを8.5に調整し、減圧下でイソプロパノールおよび水を除去した後。析出する塩類を濾別しエチレングリコールモノイソプロピルエーテルで固形分を80%に調整し、ベンゾグアナミン樹脂D−5溶液を得た。
表2に、製造例32〜36におけるベンゾグアナミン、パラホルムアルデヒド、メタノール、イソプロパノールの配合量と、得られたベンゾグアナミン樹脂D−1〜D−5のトリアジン核1核当りのイミノ基の平均数および溶解性パラメーターの値を示す。
温度計、攪拌機、還流冷却器、滴下槽、窒素ガス吹込管を備えた四つ口フラスコに、製造例1で得た共重合体C−1溶液を固形分量で60部となる量入れて80℃に加温した。製造例24で得たベンゾグアナミン樹脂D−1を固形分量で40部となる量、ジメチルアミノエタノールを4.45部(1.0当量中和に相当)、及びBYK345(注1)1.0部(固形分)、NACURE5225(注2)を有効成分量で0.5部となる量加えてよく攪拌した後、攪拌しながら脱イオン水を少しづつ混合して調整し、固形分45質量%の塗料No.1を得た。
実施例2〜24及び比較例1〜11
実施例1において、後記表3に示す配合とする以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜24の塗料No.2〜No.24及び比較例1〜11の塗料No.25〜No.35を得た。
表3において、配合量は樹脂については固形分の量である。界面活性剤、触媒、中和剤は有効成分量である。
(注1)BYK−345:BYKケミージャパン社製、商品名、シリコーン系添加剤
(注2)NACURE5225:キングインダストリイズ社製(アメリカ)、アミンブロックしたドデシルベンゼンスルフォン酸溶液、硬化触媒。
(注3)フローレンTW4000:共栄社化学社製、商品名、ジェミニ型界面活性剤。
板厚0.26mmのアルミニウム板に、油変性ポリエステル樹脂をビヒクル主成分とするインキを厚さ約1μmとなるように印刷し、インキが未乾燥の状態で上記実施例及び比較例で得た各水性塗料をロールコート法によって乾燥膜厚が約5μmになるように塗装し、ついでアルミニウム板温が200℃で90秒間保持される条件にて乾燥機内にて焼付けて各試験板を得た。
得られた各水性塗料及び各試験板について各種試験を行った。試験結果を表3に示す。
(注4)レトルト処理後の鉛筆硬度:試験板をオートクレーブ中にて125℃で30分間加圧蒸気処理(レトルト処理)を行い、処理後の塗膜についてJIS K 5600.5.4(1999)に規定する鉛筆引っかき試験を三菱ユニ(鉛筆引っかき値試験用、三菱鉛筆社製)を用いて80℃の温水中で行った。評価はやぶれ法により下記基準で行なった。
◎は、塗膜硬度が2B以上である、
○は、塗膜硬度が3B以上2B未満である、
△は、塗膜硬度が4B以上3B未満である、
×は、塗膜硬度が4Bを下回る。
○は、塗膜の剥離が全く認められない、
△は、塗膜の剥離が少し認められる、
×は、塗膜の剥離が著しい。
○は、バー目が目立たず、良好な仕上り性である、
△は、バー目がやや目立つ、
×は、バー目がはっきり分かり、外観を著しく損う。
○は、塗面の異常がなく、良好である、
△は、塗面がゆず肌状となり、異常が認められる、
×は、塗面のゆず肌が著しく、外観を損う。
アルミニウム板の質量・・・(1)
試験板に各塗料を乾燥膜厚5μmとなるように塗装し、設定温度200℃、処理時間90秒の条件で熱処理した試験板の質量・・・(2)
上記熱処理した試験板に125℃で30分間加圧蒸気処理(レトルト処理)を行い、ついで130℃で1時間乾燥して水分を揮散させてなる試験板の質量・・・(3)
レトルト処理時の塗膜の溶出量(%)を下記式に従って測定した。
レトルト処理後の溶出量(%)=[(2)−(3)/(2)−(1)]×100
◎は、溶出量が1.2%未満のもの、
○は、溶出量が1.2%以上1.6%未満のもの、
△は、溶出量が1.6%以上2.0%未満のもの、
×は、溶出量が2.0%以上2.5%未満のもの、
××は、溶出量が2.5%以上のもの。
○は、異常のないもの、
△は、少量の沈降物があるもの、
×は、多量の沈降物があるもの。
Claims (11)
- アルキル基の炭素数が4〜20であるアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)50〜90質量%、下記式(1)で表される重合性不飽和モノマー(b)0.1〜30質量%、モノマー(b)以外の水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)3〜30質量%、エポキシ基又はアリル基を有する重合性不飽和モノマー(d)0.1〜10質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(e)0〜46質量%をモノマー成分とする酸価10以下の共重合体(A)100質量部及び有機溶剤(y)の存在下で、アルキル基の炭素数が4〜20であるアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマー(a)45質量%未満、下記式(1)で表される重合性不飽和モノマー(b)0.1〜30質量%、モノマー(b)以外の水酸基含有重合性不飽和モノマー(c)3〜30質量%、酸基含有重合性不飽和モノマー(f)10〜60質量%及び上記モノマー(a)、(b)、(c)及び(f)以外の重合性不飽和モノマー(g)0〜86質量%からなるモノマー混合物(B1)5〜70質量部を溶液重合法により共重合して得られる共重合体樹脂(C)が中和され、ベンゾグアナミン樹脂(D)とともに、水性媒体中に安定に分散されてなることを特徴とする水性塗料組成物。
- 共重合体樹脂(C)のガラス転移温度が10〜50℃である請求項1記載の水性塗料組成物。
- ベンゾグアナミン樹脂(D)が、トリアジン核1核当りのイミノ基の平均数が0.9個以下である請求項1又は2記載の水性塗料組成物。
- 共重合体樹脂(C)の有機溶剤溶液とベンゾグアナミン樹脂(D)とを混合し中和した後、水分散するか、又は共重合体樹脂(C)の有機溶剤溶液を中和した後、ベンゾグアナミン樹脂(D)と混合し、ついで水分散してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- モノマー混合物(B1)に基づく共重合体(B)と共重合体(A)とがエステル結合及び/又はイオン結合により結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- ベンゾグアナミン樹脂(D)の溶解性パラメーターが11.1〜15.0である請求項1〜5のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- 有機溶剤(y)が、20℃の水に対する溶解度が、水100gに対し20g以上であるエーテルアルコール系溶剤である請求項1〜6のいずれか一項に記載の水性塗料組成物。
- 共重合体樹脂(C)とベンゾグアナミン樹脂(D)との固形分合計100質量部に対して、界面活性剤を0.1〜10質量部含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 缶外面の最上層として塗装される請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
- 金属製被塗物の缶外面となる側にインキを印刷し、該印刷された未硬化インキ面上に、請求項10に記載の水性塗料組成物を、乾燥膜厚で2〜15μmとなるように塗装し、焼き付けることを特徴とする缶外面の塗膜形成方法。
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