JP2008540795A - 液−液相分離により製造されたポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法 - Google Patents

液−液相分離により製造されたポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、電池用セパレーターとして使用できるポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法に関する。本発明によるポリエチレン微細多孔膜は、20〜55重量%のポリエチレンと、160〜280℃で熱力学的な液−液相分離温度を有する80〜45重量%の希釈剤とから製造されて、前記原料を、押出機を利用して液−液相分離温度以上で熱力学的単一相をなすように混合した後、押出機内部に相分離ゾーンを形成し、液−液相分離温度以下に調節して、相分離を十分誘導した後、ダイより成形することを特徴とする。本発明にポリエチレン微細多孔膜は、優れた穿孔強度と気体透過度を有する。

Description

本発明は、ポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法に関する。さらに具体的には、押出混練性及び延伸性に優れており、且つ優れた穿孔強度と気体透過度を有して、これを使用する電池の性能と安定性を高めることができるポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法に関する。
ポリオレフィン微細多孔膜は、その化学的安定性と優れた物性により、各種電池用セパレーター、分離用フィルター、及び微細ろ過用分離膜などに広く利用されている。
ポリオレフィンから微細多孔膜を製造する方法は、三つの方法に大別される。第一は、ポリオレフィンを薄い繊維にして、不織布形態に微細多孔膜を製造する方法であり、第二は、厚いポリオレフィンフィルムを製造した後、低温で延伸し、ポリオレフィンの結晶部分であるラメラ(lamella)の間に微細クラックを誘発させ、微細孔隙を形成させる乾式法であり、第三は、ポリオレフィンを高温で希釈剤(diluent)と混練し単一相を形成して、冷却過程でポリオレフィンと希釈剤を相分離させた後、希釈剤部分を抽出し、ポリオレフィンに孔隙を形成する湿式法である。これらのうち、湿式法は、他の二つの方法に比べ、フィルム厚が薄くて均一であり、薄膜のフィルムを製造することができ、物性にも優れているため、リチウムイオン電池など、2次電池の隔離膜用に広く使用されている。
湿式法による多孔性フィルムの製造方法は、フィルムを構成する高分子(樹脂)と混合された希釈剤がどのような過程を経て相分離され気孔を作るのかによって、固−液相分離法と液−液相分離法とに分類される。二つの方法共に、高分子と希釈剤を高温で混合し、単一相を作る段階までは同一であるが、固−液相分離の場合、冷却を経つつ高分子が結晶化され固体となるまで、いかなる相分離も起こらない。即ち、高分子鎖が結晶化されつつ希釈剤を結晶の外に押し出すことにより相分離が生じるため、この時発生される分離相の大きさは、高分子結晶の大きさに比べ非常に小さい大きさとなり、分離された相の形、大きさなどの構造を多様に調節できないという短所がある。この場合、最近2次電池の製造会社で開発中の高容量2次電池で求められる高透過性を有する2次電池隔離膜への適用に限界がある。また、機械的強度を高めるにも、高コストで混合が難しく且つ加工負荷を大いに上昇させる超高分子量ポリエチレンを混合する方法など、根本的に高分子樹脂の分子量を高めるしか、他の方法はないと知られている。固−液相分離の代表的な組成としては、ポリオレフィン樹脂にパラフィンオイルあるいは鉱油を混合することが広く知られており、米国特許第4,539,256号、米国特許第4,726,989号、米国特許第5,051,183号、米国特許第5,830,554号、米国特許第6,245,272号、米国特許第6,566,012号などに紹介されている。
液−液相分離の場合、高分子が結晶化されて固体に固まる前に、高分子が結晶化する温度以上で、液体状態の高分子物質と液体状態の希釈剤とがまず熱力学的な不安定性により相分離が発生するもので、相分離条件による相の形態変化、相分離の確認などに対しては学界でもよく定立されている。液−液相分離による微細多孔膜の場合、固−液相分離による微細多孔膜に比べ、基本的に気孔の大きさが2倍以上、1000倍程度まで大きくなり、高分子の種類と希釈剤の組み合せにより、液−液相分離の温度及び相の大きさを調節することができるだけではなく、熱力学的液−液相分離温度と実際相分離を進行させる温度との差、各段階における滞留時間によって、相の大きさを多様に調節できるという長所がある。
米国特許第4,247,498号には、液−液相分離が可能な、多様な高分子と希釈剤の組み合せを紹介しており、このような液−液相分離された組成物から希釈剤を抽出させて、広範囲な厚さの製品を製造することができることを述べている。米国特許第4,867,887号には、液−液相分離されて製造された組成物を延伸、抽出、乾燥、熱固定して、配向された微細多孔膜を製造する方法が開示されている。前記特許では、混合及び押出時まで液−液相分離以上の温度を維持し、熱力学的単一相形態として樹脂混合物を押出し、この樹脂溶融物が大気中に押出された後、キャスティングロールなどにより冷却される数秒の比較的短い過程で液−液相分離を発生させるため、相分離に必要な時間を十分提供することができず、これにより相分離の効果が低下し、押出及び冷却過程で気孔の調節が難しいという短所があって、2次電池隔離膜としての必須物性である優れた機械的強度と透過度とを同時に得るに限界を持つようになる。特に、米国特許第4,867,887号では、請求項において、延伸温度について特に言及してはいないが、高密度ポリエチレンを使用した実施例の場合、延伸温度が高密度ポリエチレンの溶融温度より少なくとも20℃以下、最大60℃以下で低温延伸するとされているが、このような場合、強制的な低温延伸により高分子の破れる現象が発生し、結果的に透過性をよくすることができる。実施例で、延伸比を増加させたことにより、急激に透過性が増加されたことが、このような現象をよく裏付けるといえる。しかしながら、このような低温延伸は、押出及び冷却過程で気孔の構造が十分得られないため行う方法と判断されて、低温延伸時、電池隔離膜用製品不良の最も主要な原因であるピンホール、あるいは非正常的に大きい孔が発生する確率が高くなるだけではなく、シート破断の危険性も高くなるという短所がある。
本発明者らは、上述のような従来の技術の問題点を解決するために鋭意研究した結果、ポリエチレンと希釈剤とを単一相として混合した後、押出機内で液−液相分離を十分行い、相分離状態における温度と滞留時間を幅広く調節することにより、所望の相分離程度と気孔の大きさを得て、高い透過性を有する微細多孔膜を得ることができることを見出し、且つ、相分離が十分進行された場合、相分離されたポリエチレン相内に残存する希釈剤の含量がさらに減るため、後工程における延伸時、ポリエチレンの溶融温度に近い高温で延伸が可能であって、延伸作業にさらに安定性を与え、高い含量で相分離されたポリエチレンに対する配向効果が増大し、同じ分子量でもさらに高い機械的強度を示すことに着目し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、高容量2次電池隔離膜として使用できるような高透過性を有しながら、機械的強度に優れているポリエチレン微細多孔膜を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記ポリエチレン微細多孔膜を経済的な工程を通じて、高い生産性で製造する方法を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明によるポリエチレン微細多孔膜は、(a)ポリエチレン(成分I)20〜55重量%と、前記成分Iと160〜280℃で液−液相分離される特性を有する希釈剤(成分II)80〜45重量%とを含有する混合物を、液−液相分離温度以上で溶融/混練/押出して、押出機内で熱力学的に単一相にするステップと、(b)前記溶融物を、液−液相分離温度範囲に調節されたゾーンを通過させて、液−液相分離を進行し、ダイより押出するステップと、(c) 液−液相分離が進行され、押出された溶融物をシート状に成形するステップと、(d)前記シートを、ロール方式またはテンター方式を含む逐次あるいは同時延伸方法により、横方向、縦方向にそれぞれ4倍以上、総延伸比が25〜50倍になるように延伸するステップと、(e)延伸されたフィルムから成分IIを抽出して乾燥するステップと、(f)乾燥されたフィルムの残留応力を除去し、フィルムの収縮率が縦方向、横方向それぞれ5%以下となるように熱固定するステップと、から生産されることを特徴とするポリエチレン微細多孔膜である。
以下、本発明をさらに具体的に説明する。
上述のように、本発明によると、押出機内で十分相分離させることにより気孔の大きさを調節して、相分離されたポリエチレン相内部の希釈剤の含量を減少させて延伸加工性を高め、延伸時配向効果を極大化して、高透過度を有しながらも分子量増加による加工上の問題がない、機械的強度に優れている電池隔離膜用途のポリエチレン微細多孔膜及びその製造方法が提供される。
本発明に使用されるポリエチレンからポリエチレン微細多孔膜を製造する基本理論は、以下のようである。
ポリエチレンと温度によって部分的に相溶性がある低分子量有機物質(以下、希釈剤という)は、ポリエチレンが溶ける温度より高い高温でポリエチレンと熱力学的単一相を形成することができる。これらの熱力学的単一相をなしたポリエチレンと希釈剤溶液を徐々に冷却させると、ポリエチレンが結晶化され固体化される前の冷却過程において、ポリエチレンと希釈剤の相分離が起こる。ポリエチレンと希釈剤共に液体状態で相分離が起こるため、これを液−液相分離という。この際、相分離される各相は、ポリエチレンが大部分の含量を構成するポリエチレン多含有相(polyethylene rich phase)と、希釈剤に溶けている少量のポリエチレンと希釈剤とから形成された希釈剤多含有相(diluent rich phase)からなる。熱力学的に相分離された二つの相ともに移動性 (mobility)のある状態(あるいは温度)に存在すると、時間が経つにつれて、同じ相同士に固まるCoarsening作用により、相分離された相の大きさが大きくなる。この時、Coarsening作用により相分離された相が大きくなる程度は、液−液相分離状態における滞留時間と、液−液相分離状態が維持される温度とにより異なる。即ち、滞留時間が長いほど(滞留時間の1/4二乗に比例する)、液−液相分離が発生する温度と液−液相分離が実際進行される温度との差が大きいほど、各相の大きさは大きくなる。各相の大きさの増加は、溶融物の温度がポリエチレン多含有相の結晶化温度以下に下がって、ポリエチレン多含有相が結晶化されると、止まるようになる。したがって、溶融物の液−液相分離を進行させて、これを完全に冷却しポリエチレン多含有相を固体化させた後、希釈剤多含有相を有機溶剤で抽出すると、ポリエチレン多孔膜が形成される。
したがって、微細多孔膜の基本気孔構造は、相分離過程で決定される。即ち、相分離後形成された希釈剤多含有相の大きさ及び構造が、最終微細多孔膜の孔隙大きさ及び構造を決定付ける。したがって、組成物の熱力学的相分離温度、加工時相分離速度及び時間、相分離誘導温度などにより、気孔構造の調節が可能である。
また、微細多孔膜の基本物性は、相分離過程において、ポリエチレン多含有相内のポリエチレン濃度によって決定される。相分離が十分なされ、ポリエチレン多含有相のポリエチレン濃度が十分高くなると、冷却後延伸時、ポリエチレン鎖の流動性が低下され、強制配向効果が増大する結果をもたらし、延伸後、機械的強度の増加がさらに大きくなる。即ち、同一な分子量の樹脂を使用して希釈剤との相分離を十分発生させたと仮定すると、そうではない組成物に比べ、著しく優れた機械的強度を示すようになる。
本発明者らは、長い研究の結果、次のような事実を見出した。即ち、優れた電池隔離膜として要求される、優れた透過度と機械的物性とを同時に得るためには、液−液相分離を十分進行させて、希釈剤多含有相の大きさを大きくし、ポリエチレン多含有相になるべく高濃度のポリエチレンが存在して、後工程における延伸加工時、ポリエチレンに対する配向効果を極大化しなければならないが、上述のように、これに最も大きい影響を与えるのは、十分な液−液相分離を進行させるための組成物及び加工条件であるということである。
これに基づき、適切な相分離温度を有する組成物を使用し、押出機内で液−液相分離程度を調節して製品を生産した結果、従来の発明より分子量が少ない樹脂でも、優れた透過度及び機械的物性を有するポリエチレン微細多孔膜を製造することができるようになり、加工性も大いに向上した。
本発明によるポリエチレン微細多孔膜は、ポリエチレン(成分I)20〜55重量%と、前記成分Iと160〜280℃で液−液相分離される特性を有する希釈剤(成分II)80〜45重量%とを含有する混合物を、液−液相分離温度以上で溶融/混練/押出して、押出機内で熱力学的に単一相にする段階を経て、前記溶融物を、液−液相分離温度範囲に調節されたゾーンを通過させて、液−液相分離を進行し、ダイより押出する段階、及び液−液相分離が進行され、押出された溶融物をシート状に成形する段階後に、前記シートを、ロール方式またはテンター方式を含む逐次あるいは同時延伸方法により、横方向、縦方向にそれぞれ4倍以上、総延伸比が25〜50倍になるように延伸して、延伸されたフィルムから成分IIを抽出して乾燥し、乾燥されたフィルムの残留応力を除去して、フィルムの収縮率が縦方向、横方向それぞれ5%以下となるように熱固定する段階を経て生産されることを特徴とするポリエチレン微細多孔膜である。
従来技術で通常的に使用されるポリオレフィン微細多孔膜の素材としては、各種ポリエチレン(低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)とポリプロピレンなどがある。しかしながら、高密度ポリエチレンを除いたポリエチレンとポリプロピレンの場合は、ポリマーの構造規則性を低下させ、樹脂自体の結晶部分のラメラ完成度を低下させて、厚さを薄くする。また、重合反応中、コモノマーが存在するようになると、コモノマーの反応性がエチレン対比、劣るため、低分子量の分子が多く生産される。従って、前記高密度ポリエチレンは、好ましくは、コモノマーの含量が2重量%以下であることが好ましい。前記コモノマーとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1などのαオレフィンが使用できるが、より好ましくは、反応性が相対的に高いプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、または4−メチルペンテン−1が好ましい。
ポリエチレンの重量平均分子量は、2×10以上4.5×10未満、好ましくは、3×10〜4×10である。重量平均分子量が2×10より低いと、最終物性に優れた微細多孔膜が得られなく、4.5×10より高いと、押出過程において、粘度増加による押出機の負荷増加、希釈剤との大きい粘度差による混練性低下が発生し、押出されるシートの表面形状も粗くなる。これを解決する方法は、押出温度を高めるか、二軸コンパウンダーの二軸構造(screw configuration)を、剪断率(shear rate)が高くなるように作ることであるが、この場合、樹脂の劣化(deterioration)が発生し、物性が低下する。特に、超高分子量ポリエチレンを使用すると、上記の問題がさらに深刻になる。
本発明で使用される希釈剤としては、ポリエチレン20〜55重量%と混合して100%をなす組成比において、160〜280℃で液−液相分離される特性を有するあらゆる液状化合物が可能である。その例としては、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類、ジフェニルエーテル、ベンジルエーテルなどの芳香族エーテル類、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜20個の脂肪酸類、パルミチン酸アルコール、ステアリン酸アルコール、オレイン酸アルコールなどの炭素数10〜20個の脂肪酸アルコール類、パルミチン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、ステアリン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、オレイン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、リノール酸モノ−、ジ−、またはトリエステルなどの脂肪酸群の炭素元素数4〜26個の飽和及び不飽和脂肪酸の一つまたは二つ以上の脂肪酸が、ヒドロキシ基が1〜8個で且つ炭素数が1〜10個のアルコールとエステル結合された脂肪酸エステル類が挙げられる。160〜280℃でポリエチレンと液−液相分離される条件を満たせば、上記物質の混合物も使用可能であり、特に、パラフィンオイル、鉱油、またはワックスを一つ以上混合して使用することも可能である。
液−液相分離温度が160℃未満に下がると、液−液相分離を十分進行させるために、押出後端部の温度を160℃以下に下げなければならないが、この場合、ポリエチレンの融点に近い温度で押出を行わなければならないため、ポリエチレンが十分溶融されず、粘度が非常に高くなって、押出機に無理を与えるようになり、シートの表面も粗くなって、正常的な押出加工ができなくなる。逆に、液−液相分離温度が280℃以上に上がると、初期押出時熱力学的単一相を作るために、280℃以上の十分な温度で混練をしなければならないが、この場合、温度が高すぎて、組成物の酸化分解反応が急激に促進されるため、所望の物性を有する製品を生産することができなくなる。
本発明で使用されるポリエチレンと希釈剤の組成は、ポリエチレンが20〜55重量%であり、希釈剤が80〜45重量%であることが好ましい。前記ポリエチレンの含量が55重量%を超過すると(即ち、希釈剤が45重量%未満であると)、孔隙度が減少して孔隙大きさが小さくなり、孔隙間の相互連結(interconnection)が少なく、透過度が非常に低下する。その反面、前記ポリエチレンの含量が20重量%未満であると(即ち、希釈剤が80重量%を超過すると)、ポリエチレンと希釈剤の混練性が低下し、ポリエチレンが希釈剤に熱力学的に混練されず、ゲル状に押出されて、延伸時、破断及び厚さ不均一などの問題を引き起こす可能性がある。
前記組成物には、必要に応じて、酸化安定剤、UV安定剤、帯電防止剤などの、特定機能の向上のための一般添加剤をさらに添加することができる。
前記組成物は、希釈剤とポリエチレンとの混練のためにデザインされた二軸コンパウンダー、混練機、あるいはバンバリーミキサーなどを利用して、組成物の液−液相分離より高い温度で溶融押出して、単一相の混合物を得る。このような単一相の溶融物を液−液相分離温度−10℃以下に維持される二軸コンパウンダー、混練機、あるいはバンバリーミキサーあるいはこのような装備内部の区間を30秒より長い滞留時間で通過させて、液−液相分離が前記加工機械内で発生・進行されるようにする。このように加工機械内部で相分離された溶融物をダイより押出させて冷却しながらシート状に成形する。ポリエチレンとオイルは、予めブレンディングされてコンパウンダーに投入されるか、分離された供給機からそれぞれ投入される。加工機械内で相分離が発生・進行させるようにするための温度が液−液相分離温度−10℃より高くなるか、この相分離区間における滞留時間が30秒未満である場合、相分離が十分なされず、気孔の大きさが小さくなり、最終製品の透過度が低下して、ポリエチレン多含有相内部に相対的に多い希釈剤が共存するようになるため、延伸時、配向効果が低下し、機械的物性も低下するようになる。
溶融物からシート状の成形物を製造する方法としては、水冷、空冷式を利用した一般的なキャスティング(casting)あるいはカレンダリング(calendaring)方法のいずれも使用できる。
次に、延伸過程は、ロール方式またはテンター方式の逐次あるいは同時延伸により行うことができる。ここで、延伸比は、縦方向及び横方向にそれぞれ4倍以上であり、総延伸比は、25〜50倍であることが好ましい。一方向の延伸比が4倍未満である場合は、一方向の配向が十分ではなく、且つ縦方向及び横方向間の物性均衡が崩れ、引張強度及び穿孔強度などが低下する。また、総延伸比が25倍未満であると、未延伸が発生し、50倍を超過すると、延伸中、破断が発生する可能性が高く、最終フィルムの収縮率が増加する短所がある。延伸温度は、組成比別に異なるが、使用するポリエチレン自体の溶融温度より3〜20℃低い温度で行うことが好ましい。3℃より高い温度で延伸すると、延伸機内部フィルムの強度が弱すぎて、延伸が均一になされず、20℃より低い温度で延伸する場合は、ピンホールなどの比較的大きい孔が発生する製品不良の可能性が高くなり、作業時、シートの破断が頻繁に起こるようになる。
延伸されたフィルムは、有機溶媒を使用して抽出及び乾燥する。本発明で使用可能な有機溶媒は、特に限定されず、樹脂押出に使用された希釈剤を抽出できる溶剤なら使用可能であるが、好ましくは、抽出効率が高く、乾燥が速いメチルエチルケトン、メチレンクロライド、ヘキサンなどが好ましい。抽出方法は、浸漬方法、溶剤スプレー方法、超音波法などの一般的な溶媒抽出方法を独立的にあるいは組み合せて使用できる。抽出時、残留希釈剤の含量は、2重量%以下でなければならない。残留希釈剤が2重量%を超えると、物性が低下し且つフィルムの透過度が減少する。残留希釈剤の量(抽出率)は、抽出温度と抽出時間により大きく左右される。抽出温度は、希釈剤と溶剤の溶解度増加のために、高いことが好ましいが、溶剤の沸き(boiling)による安定性問題を考慮すると、40℃以下が好ましい。抽出温度が希釈剤の凝固点以下であると、抽出効率が大きく低下するため、必ず希釈剤の凝固点より高くなければならない。抽出時間は、生産されるフィルムの厚さにより異なるが、10〜30μm厚の一般的な微細多孔膜を生産する場合、2〜4分が好ましい。
乾燥されたフィルムは、最後に、残留応力を除去し最終フィルムの収縮率を縦方向、横方向それぞれ5%以下に減少させるために、熱固定過程を経る。熱固定は、フィルムを固定させて熱を加え、収縮しようとするフィルムを強制に固定し、残留応力を除去することである。熱固定温度は、高いほど収縮率を低めるに有利であるが、高すぎる場合は、フィルムが部分的に溶けて、形成された微細多孔が目詰まって、透過度が低下する。好ましい熱固定温度は、フィルムの結晶部分の10〜30重量%が溶ける温度範囲で選択することが好ましい。前記熱固定温度が、前記フィルムの結晶部分の10重量%が溶ける温度より低い温度範囲から選択されると、フィルム内のポリエチレン分子の再配列(reorientation)が十分ではなくて、フィルムの残留応力除去効果が得られなく、フィルムの結晶部分の30重量%が溶ける温度より高い温度範囲で選択されると、部分的溶融により微細多孔が目詰まって、透過度が低下される。
ここで、熱固定時間は、熱固定温度が高い場合は、相対的に短くして、熱固定温度が低い場合は、相対的に長くすることができる。好ましくは15秒〜2分程度である。
上述のように製造される本発明のポリエチレン微細多孔膜は、次のような物性を有する。
(1)穿孔強度が0.17N/μm以上である。
穿孔強度は、鋭い物質に対するフィルムの強度を示すもので、電池用隔離膜として使用される場合、穿孔強度が十分ではないと、電極の表面異常や、電池使用中に電極表面から発生するデンドライト(dendrite)によりフィルムが破れて、短絡(short)が生じえる。本発明による穿孔強度が0.17N/μmを超えるフィルムは、現在商業的に広く使用されている隔離膜フィルムのうち、最も薄い16μm厚のフィルムが使用される場合、破断点重量が272g以上で、全用途に安全に使用できる。
(2)気体透過度(Darcy’s permeability constant)が2.0×10−5Darcy以上である。
気体透過度は、高ければ高いほどよく、2.0×10−5Darcy以上である場合、多孔膜としての効率が非常に高くなり、電池内のイオン透過度及び充放電特性がよくなる。本発明による気体透過度が2.0×10−5Darcy以上のフィルムは、電池の高効率充放電など、充放電特性と低温特性、及び寿命に優れている。
(3)気体透過度と穿孔強度とを乗じた値が0.45×10−5以上である。
加工条件を調節する場合、気体透過度が高くなると穿孔強度が低くなり、逆に、穿孔強度が高くなると、気体透過度が低くなる現象が発生する。したがって、前記二つの値を乗じた数値が大きいほど、穿孔強度と気体透過度とが共に高い優れた隔離膜と言える。本発明による隔離膜の穿孔強度と気体透過度とを乗じた値は、0.45×10−5以上であるため、上記二つの特性に同時に優れている。
(4)収縮率が横方向及び縦方向にそれぞれ5%以下である。
収縮率は、フィルムを105℃で10分間放置した後測定するもので、収縮率が高いと、電池の充放電時に発生する熱による収縮可能性が高くなり、電池の安定性を損なうようになる。収縮率は、低ければ低いほどよく、本発明によるフィルムは、収縮率が5%以下で、電池の自己発熱により隔離膜が収縮され、電極が互いに当接し短絡が生じることを防ぎ、電池用セパレーターとして安全に使用できる。
このような物性的特性の他にも、本発明のポリエチレン微細多孔膜は、押出混練性及び延伸性に優れている。
[実施例]
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
ポリエチレンの分子量及び分子量分布の測定は、Polymer Laboratory社の高温GPC(Gel Permeation Chromatography)で測定された。
希釈剤の粘度は、Cannon社のCAV−4自動動粘度計(Automatic Viscometer)で測定した。
ポリエチレンと希釈剤は、Φ=30mmの二軸押出機で混練された。二軸押出機の最初から最後のダイまでの区間は、全部して20個であって、最後のダイ部分を除いては、全て同じ長さで構成されている。スクリューは、最初から12個の区間にかけての長さだけ設けられており、スクリューの長さ/直径の比率は、47であった。14番目区間には、ギアポンプが設けられており、一定な厚さのシートを生産できるようになっている。押出機全体の滞留時間は、組成によって少しずつ差があるが、約6分間であって、特に、13番目区間と14番目区間との間に取り付けられている圧力計までの滞留時間が約3分であるため、その以降の14〜20番目区間を通過するにかかる時間も約3分といえる。14〜20番目のそれぞれの区間を通る時間が一定であると仮定すると、各区間当り約26秒がかかるとして計算した。液−液相分離を押出機内部で誘導するために、15番目区間から20番目区間までの温度を、組成物の液−液相分離温度と比較して変化させながら実験した。
押出された溶融物は、T字形ダイより押出されて、キャスティングロールにより厚さ600〜1200μmのシートに成形されて、これらは延伸に使用された。溶融及び混練不良によるゲルの存在有無を調べるために、200μm厚のフィルムを別に製作して、2000cm面積中のゲルの数を数えた。高品質の微細多孔膜の製造のためには、ゲルの数が2000cm当り20個以下でなければならない。
シートの延伸は、テンタータイプの連続式延伸機で、延伸比、延伸温度を変化させながら同時延伸により進行された。延伸速度は、2.0m/minに維持した。
希釈剤の抽出は、メチレンクロライドを利用し、浸漬方式により行った。抽出機内の滞留時間は2分にして、フィルム内残留希釈剤が2%以下となるように加工した。
熱固定は、希釈剤が抽出されたフィルムを空気中で乾燥させた後、フィルムをテンタータイプの連続式フレームに固定させて、熱風オーブンで温度と時間を変化させながら行った。
成形されたシートは、温度による結晶部分の溶ける現象を分析するために、DSC分析を行った。分析条件は、サンプル重量5mg、スキャン速度10℃/minであった。
製造されたフィルムは、微細多孔膜において最も重要な物性である引張強度、穿孔強度、気体透過度及び収縮率を測定し、その結果を表1に示した。
*物性測定方法
(1)引張強度は、ASTM D882で測定した。
(2)穿孔強度は、直径0.5mmのピンが120mm/minの速度でフィルムを破断させる時の強度で測定した。
(3)気体透過度は、孔隙測定機(porometer:PMI社のCFP-1500-AEL)で測定された。一般に、気体透過度は、Gurley numberで表示されるが、Gurley numberは、フィルム厚の影響が補正されず、フィルム自体の孔隙構造による相対的透過度が分かり難い。これを解決するために、本発明では、Darcy’s透過度常数を使用した。Darcy’s透過度常数は、下記数学式1から得られて、本発明では、窒素を使用した。
[数学式1]
C=(8FTV)/(πD(P−1))
ここで、C=Darcy透過度常数
F=流速
T=サンプル厚
V=気体の粘度(0.185 for N2)
D=サンプル直径
P=圧力
本発明では、100〜200psi領域で、Darcy’s透過度常数の平均値を使用した。
(4)収縮率は、フィルムを105℃で10分間放置した後、縦方向及び横方向の収縮を%で測定した。
(実施例1)
成分Iとして、重量平均分子量が2.1×10で、溶融温度が135℃である高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしてはジブチルフタレート(下記表の成分A)を使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
押出機全体の20個区間の前半部の12個区間は、250℃に設定して、13番目及び14番目の2つの区間は、220℃に設定し、15番目から20番目までの区間の温度を、前記組成の液−液相分離温度以下の185℃に調節して、相分離を進行した。延伸条件及び延伸比、熱固定温度及び時間は、下記の表のようにして行った。
(実施例2)
成分Iとして、重量平均分子量が3.0×10で、溶融温度が134℃である高密度ポリエチレンを使用した。延伸温度が126℃であることを除いては、前記実施例1と同様に行った。
(実施例3)
成分Iとして、重量平均分子量が3.8×10で、溶融温度が132℃である高密度ポリエチレンを使用して、成分Iと成分IIの含量は、それぞれ20重量%、80重量%であった。
延伸は、120℃で、延伸比49倍(縦方向×横方向=7×7)として行われた。熱固定は、結晶の溶ける程度を20重量%に合わせるために、118℃で30秒間行った。それ以外は、前記実施例1と同様に行った。
(実施例4)
成分Iとして、重量平均分子量が3.8×10で、溶融温度が133℃である高密度ポリエチレンを使用して、成分Iと成分IIの含量は、それぞれ55重量%、45重量%であった。
延伸は、130℃で、延伸比25倍(縦方向×横方向=5×5)として行われた。熱固定は、117℃で20秒間行った。それ以外は、前記実施例1と同様に行った。
(実施例5)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、ジブチルフタレートと、40℃動粘度が160cStのパラフィンオイルとを2:1に混合(下記表の成分B)して使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
スクリュー部分の押出温度を230℃に維持して、押出機14〜20番目区間の温度を170℃に維持して、液−液相分離を十分誘導した。延伸は、122℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(実施例6)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、ジブチルフタレートと、40℃動粘度が160cStのパラフィンオイルとを1:2に混合(下記表の成分C)して使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
スクリュー部分の押出温度を210℃に維持して、押出機14〜20番目区間の温度を150℃に維持して、液−液相分離を十分誘導した。延伸は、122℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(実施例7)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、オレイン酸トリグリセリドと、リノール酸トリグリセリドとを1:2に混合(下記表の成分D)して使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
スクリュー部分の押出温度を210℃に維持して、押出機14〜20番目区間の温度を160℃に維持して、液−液相分離を十分誘導した。延伸は、125℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(比較例1)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、ジブチルフタレート(下記表の成分A)を使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
押出機14〜20番目区間の温度を230℃に維持して押出した後、ダイより溶融物が出た後、相分離されるようにした。延伸は、118℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(比較例2)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、ジブチルフタレート(下記表の成分A)を使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
押出機14〜19番目区間の温度を230℃に維持して、20番目区間のダイ温度を185℃に維持した。延伸は、118℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(比較例3)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、ジオクチルフタレート(下記表の成分E)を使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
スクリュー部分の押出温度は200℃に維持して、押出機14〜20番目区間の温度を、実際的に押出可能な最低温度である150℃に維持した。延伸は、116℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(比較例4)
成分Iとして、実施例4と同様な高密度ポリエチレンを使用して、成分IIとしては、40℃動粘度が120cStのパラフィンオイル(下記表の成分F)を使用した。成分Iと成分IIの含量は、それぞれ40重量%、60重量%であった。
延伸は、117℃で行われて、それ以外の条件は、前記実施例1と同様に行った。
(比較例5)
成分Iと成分IIの含量がそれぞれ30重量%、70重量%であって、延伸温度が115℃であることを除いては、前記比較例4と同様に行った。
(比較例6)
成分Iとして重量平均分子量が1.7×10の高密度ポリエチレンを使用して、延伸温度が128℃であることを除いては、前記実施例1と同様に行った。
(比較例7)
成分Iとして重量平均分子量が4.8×10の高密度ポリエチレンを使用して、延伸温度が125℃であることを除いては、前記実施例1と同様に行った。
(比較例8)
成分Iとして重量平均分子量が3.8×10の高密度ポリエチレンを使用して、 成分Iと成分IIの含量がそれぞれ15重量%、85重量%であって、延伸温度が115℃であることを除いては、前記実施例1と同様に行った。
(比較例9)
成分Iとして重量平均分子量が3.8×10の高密度ポリエチレンを使用して、 成分Iと成分IIの含量がそれぞれ60重量%、40重量%であって、延伸温度が128℃であることを除いては、前記実施例1と同様に行った。
上記実施例及び比較例の実験条件及びこれにより得られた結果を表1〜3に示した。
Figure 2008540795
Figure 2008540795
Figure 2008540795
本発明を詳細にまたは特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
[発明の効果]
前記表1〜3に示したように、本発明の方法により製造されるポリエチレン微細多孔膜は、押出及び延伸が容易であって、安定した製品生産により生産性を高めることができて、生産された製品は、気体透過度が高く且つ穿孔強度に優れており、収縮率も低いため、電池用セパレーター及び各種フィルターに有効に使用できる。

Claims (9)

  1. (a)ポリエチレン(成分I)20〜55重量%と、前記成分Iと160〜280℃で液−液相分離される特性を有する希釈剤(成分II)80〜45重量%とを含有する混合物を、液−液相分離温度以上で溶融/混練/押出して、押出機内で熱力学的に単一相にするステップと、
    (b)前記溶融物を、液−液相分離温度範囲に調節されたゾーンを通過させて、液−液相分離を進行し、ダイより押出するステップと、
    (c) 液−液相分離が進行され、押出された溶融物をシート状に成形するステップと、
    (d)前記シートを、ロール方式またはテンター方式を含む逐次あるいは同時延伸方法により、横方向、縦方向にそれぞれ4倍以上、総延伸比が25〜50倍になるように延伸するステップと、
    (e)延伸されたフィルムから成分IIを抽出して乾燥するステップと、
    (f)乾燥されたフィルムの残留応力を除去し、フィルムの収縮率が縦方向、横方向それぞれ5%以下となるように熱固定するステップと、
    からなるポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  2. 前記成分Iは、重量平均分子量が2×10〜4.5×10のポリエチレンであることを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  3. 前記成分IIは、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレートなどのフタル酸エステル類と、ジフェニルエーテル、ベンジルエーテルなどの芳香族エーテル類と、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの炭素数10〜20個の脂肪酸類と、パルミチン酸アルコール、ステアリン酸アルコール、オレイン酸アルコールなどの炭素数10〜20個の脂肪酸アルコール類と、パルミチン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、ステアリン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、オレイン酸モノ−、ジ−またはトリエステル、リノール酸モノ−、ジ−、またはトリエステルなどの脂肪酸群の炭素元素数4〜26個の飽和及び不飽和脂肪酸の一つまたは二つ以上の脂肪酸が、ヒドロキシ基が1〜8個で且つ炭素数が1〜10個のアルコールとエステル結合された脂肪酸エステル類と、からなる群から選択される一つ以上の成分であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  4. 前記成分IIは、パラフィンオイル、鉱油、またはワックスから選択される一つ以上の成分をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  5. 液−液相分離状態において、押出温度は、液−液相分離温度−10℃以下で、液−液相分離状態の押出機内滞留時間が30秒以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  6. 前記シート成形は、水冷・空冷式を利用したキャスティングあるいはカレンダリング方法により成形することを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  7. 前記熱固定は、抽出・乾燥されたフィルムの結晶部分が10〜30重量%溶ける温度範囲で熱固定する段階であって、熱固定時間が15秒〜2分であるテンター方式により熱固定することを特徴とする、請求項1に記載のポリエチレン微細多孔膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか一つの方法により製造されるポリエチレン微細多孔膜。
  9. 前記ポリエチレン微細多孔膜は、気体透過度が2.0×10−5Darcy以上で、穿孔強度が0.17N/μm以上であり、前記気体透過度と穿孔強度とを乗じた値が0.45×10−5Darcy.N/mm以上であって、横・縦方向の収縮率がそれぞれ5%以下であることを特徴とする、ポリエチレン微細多孔膜。
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