JP2008308461A - ε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents

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毅 張
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Abstract

【課題】 粗ε−カプロラクタムを晶析法にて精製して高品位なラクタムを得るにあたり、攪拌棒へのスケーリングの付着を抑制し、工業的に連続して晶析を行なえる、ε−カプロラクタムの製造方法を提供する。
【解決手段】 粗ε−カプロラクタムを液相状態でn−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒とともに攪拌翼および該攪拌翼を回転駆動する攪拌棒からなる攪拌手段を備えた容器に導入し、攪拌しながらε−カプロラクタムを晶析させるε−カプロラクタムの製造方法であって、前記攪拌棒の表面はバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ε−カプロラクタム(以下「ラクタム」と称することもある)の製造方法に関する。さらに詳しくは、不純物を含む粗ε−カプロラクタム(以下「粗ラクタム」と称することもある)を晶析法にて精製して高品位なラクタムを得る方法に関する。
ラクタムは、古くからナイロン−6の製造中間体として汎用されており、各種のラクタム製造方法が開発、実用化されている。例えば、シクロヘキサノンオキシムを発煙硫酸等の酸性媒体の存在下でベックマン転位させる方法、シクロヘキサノンオキシムをほう酸系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸触媒、複合金属酸化物触媒、ゼオライト系触媒等の固体触媒または高シリカ型メタロシリケート触媒の存在下で気相ベックマン転位させる方法、6−アミノカプロン酸メチルの環化反応による方法、6−アミノカプロニトリルと水との反応による方法、6ヒドロキシカプロン酸メチルとアンモニアとを水素および水蒸気の存在下に接触反応させる方法等が知られている。また、ナイロン−6の製造時に回収されるオリゴマーやナイロン−6を含む重合物を高温下で解重合してラクタムを回収する方法も知られている。
しかしながら、これらの方法で得られるラクタムは種々の不純物を含有している。周知の如くラクタムはポリアミドの原料として使用されるが、合成繊維やフィルムとして用いられるポリアミドの製造に用いられるラクタムには高純度のものが要求されることより、上述した方法で得られた粗ラクタムは、通常、晶析、抽出、蒸留、水添等の種々の方法により精製されている。
これらの精製方法の中では、晶析法が比較的多くの不純物を一挙に除去できる点で有利である。晶析法においては、結晶化時に発生する熱を効率的に除去するため、晶析槽を外部から冷却媒体で冷却しながら晶析を行うのが一般的であるが、析出したラクタムは冷却媒体の伝熱面(具体的には、晶析槽の内壁面)にスケーリングを生じやすいという問題があった。そのため、工業的には、晶析槽内壁へのスケールの付着を抑制する目的で、掻取式攪拌槽を備えた晶析槽や、晶析を多段で行い冷媒との温度差を小さくした多段晶析槽が採用されていた。しかし、このように特殊な晶析槽を用いることは、既存の設備を利用できず多額の設備費を要するなどコストの高騰につながる。
そこで、一般的な晶析槽を用いて晶析槽内壁へのスケールの付着を抑制することができる方法として、溶融した粗ε−カプロラクタム(A)と、n−ヘプタンおよびシクロヘキサンを混合した混合溶媒(B′)とを(A)より低温の条件で容器内に併注混合することによりε−カプロラクタムを晶析させる方法が提案されている(特許文献1)。
特開2002−3472公報
しかしながら、特許文献1に記載の晶析方法では、晶析槽の内壁に付着するスケーリングは抑制できるものの、連続して長時間晶析を継続すると、槽内の内容物を攪拌する攪拌手段として前記内容物の中に配設した攪拌翼とこれを回転駆動させる攪拌棒のうち、特に攪拌棒に大量のスケーリングが付着することがあった。このように攪拌棒にスケーリングが付着すると、攪拌棒の回転バランスが不適切なものとなり攪拌時の振動が大きくなるなどして、晶析の継続が困難になる。そのため、定期的に晶析を中断して、攪拌棒に付着したスケーリングを掻き取ったり、昇温もしくは溶媒により付着したスケーリングを溶解させたりする必要があった。
特許文献1に記載の晶析方法に限らず、いかなる晶析方法においても、晶析槽内の内容物を攪拌することは必要であり、かつ、工業的に採用しうる攪拌手段としては攪拌翼を攪拌棒で回転駆動させる手段が最も一般的であることに鑑みると、攪拌棒へのスケーリングの付着を回避することは、ラクタムを工業的に生産性よく晶析するうえで、重要な課題であると言える。なお、攪拌棒としては、通常、工業的には、耐食性、耐熱性、強度および溶接性に優れるという理由から、ステンレス鋼製のものが汎用されているのが現状である。
そこで、本発明の課題は、粗ε−カプロラクタムを晶析法にて精製して高品位なラクタムを得るにあたり、攪拌棒へのスケーリングの付着を抑制し、工業的に連続して晶析を行なえる、ε−カプロラクタムの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、粗ε−カプロラクタムを晶析するにあたり、スケーリング防止効果の高いn−ヘプタン/シクロヘキサン混合溶媒の存在下で行うとともに、攪拌手段として表面がバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成された攪拌棒を用いることにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、粗ε−カプロラクタムを液相状態でn−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒とともに攪拌翼および該攪拌翼を回転駆動する攪拌棒からなる攪拌手段を備えた容器に導入し、攪拌しながらε−カプロラクタムを晶析させるε−カプロラクタムの製造方法であって、前記攪拌棒の表面はバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されている、ことを特徴とする。
本発明によれば、粗ε−カプロラクタムを晶析法にて精製して高品位なラクタムを得るにあたり、攪拌棒へのスケーリングの付着を抑制し、工業的に連続して晶析を行なえる、という効果が得られる。
なお、本発明においては、攪拌棒として、表面がバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されている攪拌棒を用いるが、晶析槽自体は従来汎用されているものを用いることができるので、攪拌棒を代替するのみで既存設備を利用することができ、コスト的にも最小限の設備費で対応可能である、という利点もある。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明のε−カプロラクタムの製造方法は、不純物を含む粗ε−カプロラクタムを晶析法にて精製するものである。なお、本発明において、晶析に供する粗ラクタムの製造方法については特に制限はなく、例えば、シクロヘキサノンオキシムをほう酸系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸触媒、複合金属酸化物触媒、ゼオライト系触媒等の固体触媒または高シリカ型メタロシリケート触媒の存在下で気相ベックマン転位させる方法(以下「気相ベックマン転位法」と称することもある。)により得られた粗ラクタムを適用することができる。
前記粗ラクタムに含まれる不純物は、その製造方法によって異なるが、例えば、溶媒として使用したメタノールや未反応のシクロヘキサノンオキシムのほか、シクロヘキサノン、シクロヘキセノン、n−ヘキサニトリル、5−ヘキセニトリル、メチルラクタム、1,3,4,5−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,5,6,7−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(OHP)や3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(MTHI)等のアミン類などの不純物が挙げられる。例えば、気相ベックマン転位法により得られた粗ラクタムの場合、通常、ε−カプロラクタムに対して、シクロヘキサノンオキシムが濃度10ppm以上、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(OHP)が濃度10ppm以上、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(MTHI)が濃度25ppm以上、1,3,4,5−テトラヒドロアゼピン−2−オン、1,5,6,7−テトラヒドロアゼピン−2−オンおよびこれらの構造異性体(これらを纏めて「カプレノラクタム類」と略称する。)が濃度25ppm以上の割合で含有されている。本発明の製造方法における晶析においては、これら不純物のうちカプレノラクタム類を除く全ての不純物をワンパスで一挙に除去精製することができる。
なお、前記粗ラクタムとしては、各製造方法において得られた反応液をそのまま用いる(晶析に供する)こともできるが、例えば、ゼオライト系触媒を用いた気相ベックマン転位法により粗ラクタムを得た場合など、反応液にメタノール等の溶剤、各種の副生物(低沸点物や高沸点物)が多く含まれている場合には、晶析効率を上げる目的で、晶析に供する前に、得られた粗ラクタムに対して予備蒸留等を施し、溶剤や副生物の一部または全部を予め除去しておくことが好ましい。
本発明の製造方法においては、前記粗ラクタムを液相状態でn−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒とともに晶析槽(容器)に導入し、これを攪拌して、ε−カプロラクタムを晶析させる。n−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒の存在下で晶析を行なうことにより、スケーリングの付着防止性を高め、後述するような特定の攪拌軸を用いることと相まって、攪拌軸へのスケーリングの付着を抑制する効果が得られる。また、n−ヘプタンとシクロヘキサンは、極性が低く、沸点が近いので、連続操業において溶媒組成に変動があってもラクタムの溶解度の変化が少なく、晶析収率に及ぼす影響が少ない、という利点もある。
前記n−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒において、両者の比率は、n−ヘプタン:シクロヘキサン=2:1〜4:1(重量比)であることが好ましく、より好ましくはn−ヘプタン:シクロヘキサン=2.5:1〜3.5:1(重量比)であるのがよい。前記比率よりもn−ヘプタンが多すぎると、得られる結晶の純度が下がる傾向があり、一方、n−ヘプタンが少なすぎると、晶析の収率が低下する傾向がある。
前記混合溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常、前記粗ラクタムに対して重量比で0.5倍〜5倍、好ましくは1倍〜4倍とするのがよい。前記範囲を超えて用いても、使用量に見合う晶析効果は期待できず、溶媒回収に要する費用が増大するなど経済的に不利となるおそれがあり、一方、前記範囲より少ない場合には、充分な品質の結晶を回収できないおそれがある。
本発明の製造方法は、晶析に際し、晶析槽(容器)内の内容物を攪拌する手段として攪拌翼と該攪拌翼を回転駆動する攪拌棒とを用いるものであり、この攪拌棒として、表面がバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されているものを用いる。これにより、攪拌軸へのスケーリングの付着を抑制することが可能になり、工業的に連続して晶析を行なうことができる、という効果が得られる。なお、攪拌棒の一端には前記攪拌翼が連結されており、他端には該攪拌軸とともに攪拌翼を回転駆動するための駆動装置(モーター等)が連結されている。
表面がバフ仕上げされたステンレス鋼で構成された攪拌軸は、例えば、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS316等)製の攪拌軸の表面を、バフ仕上げ300番以上の鏡面に研磨してなるものである。他方、表面がフッ素樹脂で構成された攪拌軸は、例えば、各種素材からなる攪拌軸の表面を、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロエチレン−プロペンコポリマー(FEP)、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素樹脂で被覆してなるものである。なお、バフ仕上げステンレス鋼やフッ素樹脂で構成されている部分は、必ずしも攪拌軸の全表面である必要はなく、少なくとも晶析槽内の内容物が接触する部分がバフ仕上げステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されていればよい。
前記攪拌翼の形状は、特に制限されるものではなく、例えば、プロペラ型、パドル型、傾斜パドル型、湾曲パドル型、いかり型、ブルマージン型、タービン型、螺旋帯型、螺旋軸型など、公知の種々の攪拌翼を用いることができる。
攪拌翼は、晶析の際には通常、前記混合溶媒を含有するスラリー液中に浸った状態となっているため、攪拌軸に比べるとはるかにスケーリングの付着は生じにくいが、本発明の製造方法においては、攪拌翼も、その表面がバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されたものであるのが好ましい。
また、本発明の製造方法において、晶析槽(容器)の内面は、バフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されていてもよい。
本発明の製造方法においては、液相状態の粗ラクタムを前記混合溶媒存在下で攪拌することによりラクタムを晶析させる晶析法であれば、どのような晶析法を採用してもよい。
例えば、加熱して液相状態(溶融状態)とした粗ラクタムと、該粗ラクタムの溶融温度よりも低温に冷却した前記混合溶媒とを晶析槽に一定速度で連続的に混合(併注)することにより、発生する結晶化熱を冷却した混合溶媒の顕熱で相殺して一定温度(晶析温度)で晶析させる方法(以下「併注晶析法」と称する)が、スケーリング抑制に効果的である点で好ましく採用される。このとき、粗カプロラクタムと混合溶媒との併注は、通常、両者を連続的に供給すればよいのであるが、混合された液の温度が所望の温度となる範囲であれば両者を交互に供給することもできる。
本発明の製造方法において晶析を行なう際の晶析温度は、10℃〜ラクタムの融点未満の温度、好ましくは30℃〜60℃、より好ましくは40℃〜60℃とするのがよい。特に、上記併注晶析法で晶析を行なう場合、晶析温度でのラクタム溶解度を考慮し、所望の晶析収率が得られる範囲でできる限り高い温度で晶析することが、除熱必要量を抑えると同時に、不純物を分離しやすくなる点で好ましい。また、上記併注晶析法においては、晶析槽の外壁はスケーリングを起さないよう、断熱あるいは晶析槽内温度と同温度〜晶析物を過度に再溶解しない程度に僅かに高い温度(例えば、ラクタムの晶析温度+5℃以下、好ましくは、ラクタムの晶析温度+1℃以下)に設定すると、器壁へのスケーリング生成を抑制することができるので好ましい。
本発明の製造方法において晶析を行なう際には、前記粗ラクタムと前記混合溶媒を晶析槽内に導入し終えた後、必要に応じて、所定時間熟成して結晶成長を促進させてもよい。熟成時間は、通常、5分以上であればよく、結晶品質や経済性等を考慮すると、5分〜60分程度が好ましく、より好ましくは20分〜40分程度とするのがよい。
本発明の製造方法において晶析を行なう際には、充分に結晶化が進行し所望のスラリー濃度の結晶スラリー液が得られた後、該スラリー液を固液分離して、ラクタム結晶を回収すればよい。固液分離は、減圧濾過や加圧濾過など、通常の晶析に用いられる濾過器を使用して分離することができる。また、連続的に濾過する場合には、遠心濾過器、連続掻き取り式遠心濾過器、遠心分離型デカンター等を用いることができる。特に、連続掻き取り式遠心濾過器や遠心分離型デカンター等では、連続的に結晶をリンスすることが可能であるので、結晶に付着した不純物を含む液相を洗浄し、結晶の品質をより向上させることができる点で好ましい。
上記併注晶析法においては、前記混合溶媒として用いるn−ヘプタンおよび/またはシクロヘキサンの一部を予め粗ラクタム中に添加して希釈溶液としておき、粗ラクタムの供給時の温度を結晶が析出しない範囲でできるかぎり下げ、混合溶媒として用いるn−ヘプタンおよび/またはシクロヘキサンの残余を冷却して併注することもできる。これによれば、予め粗ラクタムを希釈溶液としない場合に比較し、得られた結晶中に残留する特定不純物、特にシクロヘキサノンオキシム含量を低減することができる。
さらに、上記併注晶析法においては、粗ラクタムと混合溶媒とを晶析槽内に導入し終えた後、生じた結晶スラリー液から液体サイクロン等を使用して一部液相を分離し、残部の結晶スラリー液に再び冷却した混合溶媒を注加することによりスラリー液を冷却し、ラクタムを晶析させるようにしてもよい(このような晶析法を「二段晶析法」と称する)。このような二段晶析法によれば、上述した一段の晶析に比較して、晶析収率(析出量)を向上させることができる。また、二段晶析法においては、一段目の晶析での収率を下げられることおよび溶媒での希釈効果により、二段目の晶析に供するラクタム含有溶液中の不純物濃度が低減できるので、結晶の品質向上、とりわけ結晶に付着して混入する1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(OHP)等の不純物を除去する上で、有効である。また、結晶スラリー液から液体サイクロン等を使用して一部液相を分離し、残部の結晶スラリー液を、再び元の晶析槽に戻すか、あるいは固液分離機に送液することによっても、同様の効果を得ることが可能である。
晶析処理は、通常1回でよいが、複数回行ってもよく、特に不純物の多い粗ラクタムに対しては複数回の晶析処理が推奨される。また、晶析においては除去し難いカプレノラクタム類については、晶析処理後、固液分離して得られた精製ラクタムを、水素添加触媒の存在下で水素と接触させることにより、通常25ppm未満程度まで除去が可能である。
以上の晶析により得られた精製ラクタム中の不純物濃度は、通常、シクロヘキサノンオキシムの濃度が10ppm未満、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(OHP)の濃度が10ppm未満、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(MTHI)の濃度が25ppm未満となっていることが好ましい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1Lの晶析槽に、攪拌手段として、表面がバフ仕上げしたステンレス鋼(SUS304)で構成された攪拌棒と該攪拌棒で回転駆動される攪拌翼とを配設してなる装置を用い、以下のようにしてε−カプロラクタムの晶析操作を3回行った。すなわち、ε−カプロラクタム100gと、n−ヘプタン:シクロヘキサン=3:1(重量比)の混合溶媒150gとを混合した後、70℃まで昇温し、均一な溶液を得た。その後、攪拌しながら、平均30分間をかけて晶析温度(50℃)まで冷却し、冷却晶析を行った。晶析後、攪拌棒に付着したスケールを全て掻き取り、その付着量を測定した。3回行った晶析操作でそれぞれ得られた付着量の平均値(平均付着量)を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で用いた攪拌棒に代えて、フッ素樹脂(ポリ四フッ化エチレン)で表面を被覆してなる攪拌棒を配設してなる装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ε−カプロラクタムの晶析操作を3回行った。3回行った晶析操作でそれぞれ得られた付着量の平均値(平均付着量)を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で用いた攪拌棒に代えて、表面がステンレス鋼(SUS304)からなる攪拌棒を配設してなる装置を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ε−カプロラクタムの晶析操作を3回行った。3回行った晶析操作でそれぞれ得られた付着量の平均値(平均付着量)を表1に示す。
Figure 2008308461

Claims (1)

  1. 粗ε−カプロラクタムを液相状態でn−ヘプタンおよびシクロヘキサンの混合溶媒とともに攪拌翼および該攪拌翼を回転駆動する攪拌棒からなる攪拌手段を備えた容器に導入し、攪拌しながらε−カプロラクタムを晶析させるε−カプロラクタムの製造方法であって、前記攪拌棒の表面はバフ仕上げされたステンレス鋼またはフッ素樹脂で構成されていることを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
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