さて、従来例に係るプリンタ装置にあっては、以上説明したように、前記印刷方式指示手段91によって両面印刷を指示することによって、主として、特別な識別機構を持たない用紙カセットの場合、ホストからのコマンドで指示するか、若しくはオペレーションパネル等から指示し、カセットセンサ93の識別結果に基づいて、前記片面印刷変更手段92が両面印刷に耐えられないと判断した場合には、印刷方式制御手段94に対し片面印刷の指示を行うようにしている。しかし、単に両面印刷に代えて片面印刷を行うだけでは、両面印刷に耐えられない裏紙等は、一度印刷処理を経ているため、用紙に僅かなカール、皺等が発生しており、新品のオフィス用紙と比較して用紙ジャムが発生しやすいという問題点を有している。また、用紙カセットに特別の識別機構をもたない場合には、一々ホストからのコマンドによって、又は操作者によりオペレーションパネル等から両面印刷か否かを指示する場合には指示が煩雑になるという問題点を有している。
そこで、本発明は、両面印刷や高速印刷に耐えられない品質か否かを識別又は設定することによって、搬送不良等の印刷の無駄の少ない信頼性のある、印刷品質の高い画像形成装置を提供することを目的としてなされたものである。
以上の技術的課題を解決するため、第一の発明は、図1に示すように、操作者又は上位装置からの要求に応じて、印刷速度の指示を行う印刷速度指示手段11と、取り着けられ又は設けられた1若しくは2以上の媒体収容部に収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段13と、印刷速度指示手段11によって指示された印刷速度を、前記媒体情報出力手段13から出力された媒体情報に基づいて前記媒体が耐え得る印刷速度に変更する印刷速度変更手段12と、前記印刷速度変更手段12によって指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14とを有するものである。
ここで、「どの程度の印刷速度に耐え得る品質」とは、例えば、裏紙等の一度使用された紙は、用紙に僅かなカールや皺等が発生しているため、通常のオフィス用紙に比較して用紙ジャムが発生しやすく、耐え得る印刷速度は遅くなる。同様に、厚手の紙も撓みにくく、搬送不良が生じやすく耐え得る印刷速度は遅くなる。「媒体情報」を得るには、例えば、画像形成装置に取り着けられ若しくは設けられた1若しくは2以上の媒体収容部に設けられた識別機構若しくは収容された媒体に基づいて、当該媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを識別することによって、又は、操作者若しくは上位装置によって設定することによって行われる。また、「収容された媒体に基づいて」媒体情報を得る場合には、例えば、媒体の裏面が印刷されているか否かを光学的に、裏面に照射した光の反射率等を識別することによって裏紙であるかを検出して品質が識別される場合である。「取り着けられ」とは、当該画像形成装置に媒体収容部が着脱可能に取り着けられていることを意味し、「設けられ」とは画像形成装置に媒体収容部が固定して設けられている場合を示す。
第二の発明は、図2に示すように、操作者に公開された公開コマンドを用いて、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれを採用するかの指示を行う公開コマンド指示手段20と、取り着けられ若しくは設けられた1若しくは2以上の媒体収容部毎に、収容された媒体に両面印刷方式を適用するか又は片面印刷方式を適用するかを、操作者に非公開の非公開コマンドを用いて設定する非公開コマンド設定手段21と、前記公開コマンド指示手段20の指示内容に拘わらず、前記非公開コマンド設定手段21の設定内容に基づいて両面印刷方式又は片面印刷方式を指示する非公開コマンド優先印刷方式指示手段22と、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26とを有するものである。ここで、「非公開コマンド」には、例えば、OS上のプリンタドライバによる環境設定画面を開くことによって設定を行う場合に用いられるコマンドがある。
第三の発明は、図3に示すように、操作者に公開された公開コマンドを用いて、印刷速度の指示を行う公開コマンド指示手段23と、取り着けられ若しくは設けられた1若しくは2以上の媒体収容部毎に、収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得るかを、操作者に非公開の非公開コマンドを用いて設定する非公開コマンド設定手段24と、前記公開コマンド指示手段23の指示内容に拘わらず、前記非公開コマンド設定手段24の設定内容に基づいて定まる印刷速度を指示する非公開コマンド優先印刷速度指示手段25と、指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14とを有するものである。
第四の発明は、図4に示すように、操作者又は上位装置からの要求に応じて、印刷速度の指示を行う印刷速度指示手段11と、指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14と、取り着けられ又は設けられた2以上の各媒体収容部に収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段15と、前記媒体情報出力手段15から出力された媒体情報に基づいて、前記印刷速度指示手段11によって指示された印刷速度に耐え得る媒体を給紙先として選択する給紙先選択手段28とを有するものである。
第五の発明は、図5に示すように、操作者又は上位装置からの要求に応じて、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかを指示、及び、印刷速度の指示を行う印刷方式・速度指示手段16と、指示に応じて両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26と、指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14と、前記印刷方式・速度指示手段16によって両面印刷方式が指示された場合には、前記印刷速度制御手段14に対して、前記印刷方式・速度指示手段16によって指示された印刷速度よりもより低速の印刷速度を指示する低速印刷指示手段30とを有するものである。ここで、「それよりも低速の印刷速度」とは、例えば、高速と低速の2種類の印刷速度しかない場合には、高速の印刷速度の指示があったときのみ低速の印刷速度に変更され、低速の印刷速度の指示があっても、変更はされない。
第六の発明は、図6に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかを指示する印刷方式指示手段29と、指示に応じて両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26と、取り着けられ又は設けられた2以上の媒体収容部に収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段15と、前記印刷方式指示手段29によって両面印刷方式が指示された場合には、前記媒体情報出力手段15によって出力された媒体情報に基づいて、高速印刷が可能な品質の媒体を給紙先に選択する給紙先選択手段31とを有するものである。
第七の発明は、図7に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかを指示する印刷方式指示手段29と、取り着けられ又は設けられた1若しくは2以上の媒体収容部に収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段13と、印刷方式指示手段29によって両面印刷方式が指示され、印刷しようとする媒体が低速印刷にしか耐え得ない品質であることを示す媒体情報が前記媒体情報出力手段13から出力された場合には、両面印刷方式の指示を片面印刷方式の指示に変更して印刷方式制御手段26に指示する片面印刷変更手段32と、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26とを有するものである。
第八の発明は、図8に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかを指示する印刷方式指示手段29と、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26と、取り着けられ又は設けられた1若しくは2以上の媒体収容部に収容された媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段13と、前記印刷方式指示手段29によって両面印刷方式が指示され、印刷しようとする媒体が低速印刷にしか耐え得ない品質であることを示す媒体情報が前記媒体情報出力手段13から出力された場合には、警報手段34に対して警報発生の指示を行う警報指示手段33と、操作者等に対して視覚的又は聴覚的に警報を発する警報手段34とを有するものである。
第九の発明は、図9に示すように、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定手段39と、前記各種モード順次設定手段39の各種モードに応じた設定の内容の切換えに同期して、当該設定内容に関連する事項を順次表示する表示手段36と、媒体が収容される媒体収容部の取着又は脱着を検出する媒体収容部着脱検出手段38と、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記設定内容及び表示内容を、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかの設定を行う段階に切り換える印刷方式設定段階切換手段37と、前記各種モード順次設定手段39を用いて設定された、取り付けられた1若しくは2以上の前記媒体収容部に収容された媒体に適用される印刷方式を示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段46とを有するものである。ここで、「各種モード順次設定手段39」によって各種モードの設定を行うようにしているのは、各種モードの設定操作を行うに際し、各種モード毎に専用のスイッチを設けるのではなく、必要最小限の少数のスイッチを各種モードの設定に共用させて、スイッチ数よりも十分に多い多数種の各種モードの設定を可能とするためである。
第十の発明は、図10に示すように、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定手段39と、前記各種モード順次設定手段39の各種モードに応じた設定の内容の切換えに同期して、当該設定内容に関連する事項を順次表示する表示手段36と、媒体が収容される媒体収容部の取着又は脱着を検出する媒体収容部着脱検出手段38と、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記設定内容及び表示内容を、媒体が耐え得る印刷速度の設定を行う段階に切り換える印刷速度設定段階切換手段35と、前記各種モード順次設定手段39を用いて設定された、取り付けられた1若しくは2以上の前記媒体収容部に収容された媒体が耐え得る印刷速度を示す媒体情報を出力する媒体情報出力手段48とを有するものである。
第十一の発明は、図11に示すように、操作者又は上位装置からの要求に応じて、印刷速度の指示を行う印刷速度指示手段11と、媒体の搬送不良の発生率を算出するJAM発生率算出手段42と、予め定めた閾値以上の発生率が、前記JAM発生率算出手段42によって算出された場合には、前記印刷速度指示手段11によって指示された印刷速度を、それよりも低速の印刷速度の指示に変更する低速変更手段41と、指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14とを有するものである。
第十二の発明は、図12に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかの指示を行う印刷方式指示手段29と、媒体の搬送不良の発生率を算出するJAM発生率算出手段42と、予め定めた閾値以上の発生率が当該JAM発生率算出手段42によって算出された場合には、前記印刷方式指示手段29による両面印刷方式の指示を片面印刷方式の指示に変更する片面印刷変更手段43と、片面印刷方式又は両面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26とを有するものである。
第十三の発明は、図13に示すように、操作者又は上位装置からの要求に応じて、印刷速度の指示を行う印刷速度指示手段11と、媒体が収容される媒体収容部の取着又は脱着を検出する媒体収容部着脱検出手段38と、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、検出されてから暫くの間は、前記印刷速度指示手段11による印刷速度の指示を、より低速の印刷速度の指示に変更する暫時低速変更手段44と、指示された印刷速度の制御を行う印刷速度制御手段14とを有するものである。
第十四の発明は、図14に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかの指示を行う印刷方式指示手段29と、媒体が収容される媒体収容部の取着又は脱着を検出する媒体収容部着脱検出手段38と、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、検出されてから暫くの間は、前記印刷方式指示手段29による両面印刷方式の指示を片面印刷方式の指示に変更する暫時片面印刷変更手段45と、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御手段26とを有するものである。
(作用)
第一の発明の動作について説明する。操作者又は上位装置からの要求に応じて前記印刷速度指示手段11は印刷速度を指示する。すると、印刷速度変更手段12は、媒体情報出力手段13から出力された媒体情報に基づいて、印刷しようとする媒体が耐え得ない印刷速度が指示された場合には、耐え得る印刷速度に変更して、印刷速度制御手段14に指示する。また、逆に、印刷しようとする媒体が耐え得る印刷速度の限界にまで変更して高速に印刷を行うことができる。これによって、印刷媒体の品質に応じた最適な印刷速度を確実に、効率良く実現することができる。また、本発明によれば、互いに相反する関係にある印刷速度と印刷品質、又は印刷速度とプロセスユニットの寿命を考慮すれば、印刷品質の向上を図るとともに、装置寿命を長く保つことが可能である。
第二の発明の動作について説明する。前記公開コマンド指示手段20によって印刷方式を含めた印刷の指示が、公開コマンドを用いてされる。その際、又は予め、非公開コマンド設定手段21によって印刷方式が設定されている場合には、前記非コマンド前記非公開コマンド優先印刷方式指示手段22は、非公開コマンド設定手段21によって設定されている印刷方式に基づいて両面印刷方式又は片面印刷方式を指示する。したがって、印刷しようとする媒体に設定されている印刷方式の適用が優先されるので、無駄な印刷を防止して効率良く印刷を行うことができる。
第三の発明の動作について説明する。本発明では、公開コマンド指示手段23によって指示された印刷速度に拘わらず、非公開コマンド設定手段24によって印刷速度が設定されている場合には、非公開コマンド優先印刷速度指示手段25は、非公開コマンド設定手段24によって設定された印刷速度に基づいて印刷速度を指示する。したがって、印刷しようとする媒体に設定されている印刷速度の適用が優先されるので、搬送不良や印刷不良を未然に確実に防止することができる。
第四の発明の動作について説明する。本発明では、操作者又は上位装置の要求に応じて、前記印刷速度指示手段11が印刷速度を指示する。その際に、前記給紙先選択手段28は、媒体情報出力手段15から出力された媒体情報に基づいて、指示された印刷速度に耐え得る品質に相当する媒体を給紙先として選択して、印刷が行われる。したがって、搬送不良(JAM)や印刷不良を未然に確実に防止することができる。
第五の発明は、図5に示すように、印刷方式・速度指示手段16による印刷方式及び印刷速度の指示がある。すると、その印刷方式が片面印刷方式の場合には、前記印刷方式制御手段26はその片面印刷方式の制御を行い、前記低速印刷指示手段30は、印刷速度制御手段14に対し、指示された通りの印刷速度を指示する。一方、前記印刷方式・速度指示手段29による印刷方式の指示が両面印刷方式の場合には、前記低速印刷指示手段30は指示された印刷速度の如何によらず低速の印刷速度を前記印刷速度制御手段14に対して指示する。
第六の発明は、前記印刷方式指示手段29によって両面印刷が指示された場合には、前記給紙先選択手段31は、前記媒体品質出力手段15から出力された媒体品質に基づいて、高速の搬送が可能な品質の媒体を給紙先に選択する。これによって、搬送不良や印刷不良が生じやすい両面印刷を、確実に、効率良く行うことができる。
第七の発明は、前記印刷方式指示手段29が両面印刷を指示する。すると、片面印刷変更手段32は、印刷しようとする媒体について媒体情報出力手段13から出力された媒体情報に基づいて、当該媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを判断し、印刷しようとする媒体が低速印刷にしか耐え得ない品質である場合には、前記印刷方式指示手段29による両面印刷の指示を片面印刷の指示に変更する。これによって、無駄な印刷を防止し、確実に効率良く印刷を行うことができる。
第八の発明では、前記印刷方式指示手段29が両面印刷方式を指示する。すると、前記警報指示手段33は、前記媒体情報出力手段13から出力された媒体情報に基づいて、印刷しようとする媒体が高速な印刷速度に耐え得る品質であるか否かを判断し、高速な印刷に耐え得ない媒体の場合には、前記警報手段34に警報発生を指示する。これによって、操作者は未然に印刷不良や搬送不良の発生を防止し、確実に、効率良く印刷を行うことができる。
第九の発明では、通常、前記両面印刷方式を設定する場合には、操作者は、各種モード順次設定手段39を用いて、重要度の高いモードから、順次何回もの操作を繰り返すことによって、設定内容を切り換えて、両面印刷モードの操作段階にまでたどり着き両面印刷方式の設定操作を行うことになる。しかし、前記媒体収容部着脱検出手段38によって、媒体収容部の着脱が検出された場合には、着脱のあった媒体収容部は、媒体収容部への媒体の補給や、媒体収容部の交換等が行われるので、当該媒体収容部に収容された媒体に対し、新たに、両面印刷が可能か否かの設定を行う必要がある。従って、前記媒体収容部着脱検出手段38によって媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記印刷方式設定段階切換手段37は、両面印刷方式か片面印刷方式の設定を直ちに行える段階に前記各種モード順次設定手段39を切り換える。これによって、媒体情報の設定を容易に、効率良く、且つ確実に行うことができる。
第十の発明では、前記媒体収容部着脱検出手段38によって媒体収容部の着脱を検出した場合には、前記印刷速度設定段階切換手段35は、前記各種モード順次設定手段39に対して印刷速度の設定段階へ切り換える。これは、第九の発明と同様に、媒体収容部の着脱があった場合には、新たに供給された媒体について、どの程度の印刷速度に耐え得るかの媒体情報を設定する必要があるのが普通だからである。これによって、媒体情報の設定を容易に、効率良く、且つ確実に行うことができる。
第十一の発明では、前記印刷速度指示手段14によって、高速搬送の指示がされる。低速変更手段41は前記JAM発生率算出手段42によって算出された媒体の搬送不良の発生率であるJAM発生率が、予め定めた閾値以上であるか否かを判断する。当該JAM発生率が予め定めた閾値以上であると判断された場合には、低速変更手段41は、前記印刷速度指示手段14による高速の指示を低速の指示に変更して印刷速度制御手段14に指示する。これによって、搬送不良や印刷不良の発生を未然に防止することができる。
第十二の発明では、前記印刷方式指示手段29によって両面印刷方式の指示があると、前記片面印刷変更手段43は、前記JAM発生率算出手段42が算出したJAM発生率が予め定めた一定の閾値以上であるか否かを判断する。当該JAM発生率が予め定めた一定の閾値以上であると判断された場合には、当該両面印刷変更手段43は、前記印刷方式指示手段29によって指示された両面印刷の指示を片面印刷に変更する。これによって、搬送不良や印刷不良の発生を抑制することができる。
第十三の発明では、印刷速度指示手段14によって、高速の印刷速度の指示があると、前記暫時低速変更手段44が、前記媒体収容部着脱検出手段38によって、前記媒体収容部の着脱の検出があると判断すると、前記印刷速度指示手段14による高速の搬送指示を暫時低速の搬送指示に変更する。これによって、初期の段階、例えば、最初の数枚の印刷で発生しやすい媒体の搬送不良を防止することができる。
第十四の発明では、前記印刷方式指示手段29によって、両面印刷方式の指示があり、前記暫時片面印刷変更手段45は、前記媒体収容部着脱検出手段38によって、媒体収容部の着脱が検出されたか否かを判断する。媒体収容部の着脱が検出されたと判断された場合には、前記印刷方式指示手段29によって指示された両面印刷指示を暫時片面印刷方式に変更する。これによって、媒体収容部の着脱が行われた初期の段階、例えば、最初の数枚の印刷で発生しやすい媒体の搬送不良を防止することができる。
以上説明したように、第一の発明では、印刷速度を可変とし、媒体の品質に応じて、印刷速度を選択するようにしている。したがって、各媒体が耐え得る印刷速度を越えないような印刷速度を指示することによって、印刷不良や搬送不良を防止し、印刷不良等が発生した場合の操作者の負担を軽減し、無駄な印刷を防止し、効率良く印刷を行うことができる。また、過度に印刷速度を高めることがないので、印刷品質を落とすことなく、装置寿命を長く保つことができる。
第二の発明では、両面印刷が可能な装置で、公開コマンドによる印刷方式の指示と非公開コマンドによる各媒体に対する両面印刷可能の有無の設定が可能であり、且つ、公開コマンドの指示よりも非公開コマンドの設定を優先させている。したがって、片面しか使用できない媒体と、両面印刷が可能な媒体とを、確実に使い分けることができるので、印刷の無駄を未然に防止し、効率良く印刷を行うことができる。
第三の発明では、印刷速度が可変の装置で、公開コマンドによる印刷速度の指示と、非公開コマンドによる各媒体に対するどの程度の印刷速度に耐え得るかを示す媒体情報の設定が可能であり、且つ公開コマンドよりも非公開コマンドの設定を優先させている。したがって、第一の発明と同様の効果を奏する。
第四の発明では、印刷速度が可変の装置で、指示された印刷速度に応じて、媒体情報出力手段から出力される媒体情報に基づいて、最適な媒体の給紙を選択するようにしている。したがって、上位装置又は操作者の指示を尊重して、それに最適な媒体を確実に供給するので、希望する速度で高速に印刷を行うことが可能であるとともに、搬送不良(JAM)や印刷不良等を確実に防止して、当該搬送不良等が発生した場合の操作者の負担を軽減し、効率のよい印刷を行うことができる。
第五の発明では、両面印刷が可能で且つ印刷速度が可変の装置で、指示された印刷方式に応じて、前記両面印刷の指示があった場合には、速度を低速にするように指示している。したがって、比較的搬送不良が発生しやすい両面印刷の際には、やはり、比較的搬送不良が発生しやすい高速の印刷速度ではなく、低速の印刷速度を指示することによって、搬送不良や印刷不良を確実に防止し、効率良く印刷を行うことができる。
第六の発明では、両面印刷方式が可能で且つ印刷速度が可変の装置で、両面印刷方式の指示があった場合には、高速の搬送が可能な品質の媒体を給紙先として選択するようにしている。したがって、比較的搬送不良や印刷不良が発生しやすい両面印刷の場合でも、その発生を未然に防止し、効率の良い、信頼性良く、確実に両面印刷を行うことができる。
第七の発明では、両面印刷が可能な装置で、両面印刷が指示され、媒体情報出力手段によって、印刷しようとする媒体が低速印刷にしか耐え得ない品質である旨が出力された場合には、両面印刷の指示を片面印刷の指示に変更するようにしている。したがって、比較的搬送不良が発生しやすい両面印刷の指示を搬送不良の発生しやすい媒体に適用しないので、搬送不良や印刷不良を確実に防止して、効率良く印刷を行うことができる。
第八の発明では、両面印刷が可能な装置で、両面印刷が指示された場合であって、前記媒体情報出力手段によって、高速な印刷速度に耐え得る品質でない旨が出力された場合には、警報手段が警報を発するようにしている。したがって、搬送不良や印刷不良の発生を未然に知らせ、印刷を無駄に行うことなく、効率良く、且つ確実に印刷を行うことが可能である。
第九の発明では、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定手段に対し、媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記設定内容及び表示内容を、両面印刷方式又は片面印刷方式を含む印刷方式の設定を行う段階に切り換えるようにしている。したがって、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかを前記各種モード順次設定手段を用いて順次設定を行う場合に比較して、早期に、簡単、且つ容易に切り換えることができて、操作のしやすい画像形成装置を提供することができる。
第十の発明では、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定手段に対し、媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記設定内容及び表示内容を、媒体がどの程度の印刷速度に耐え得る品質の設定を行う段階に切り換える。したがって、印刷速度を前記各種モード順次設定手段を用いて順次設定を行う場合に比較して、早期に、簡単且つ容易に切り換えることができて、操作のしやすい画像形成装置を提供することができる。
第十一の発明では、予め定めた閾値以上のJAM発生率が算出された場合には、前記印刷速度指示手段による高速搬送の指示を低速搬送の指示に変更するようにしている。したがって、搬送不良や印刷不良が発生しやすい状況を察知した場合には、高速の印刷速度の指示を低速の印刷速度の指示に変更して、搬送不良や印刷不良の発生を未然に防止するので、第一の発明と同様の効果を奏する。
第十二の発明では、両面印刷が可能な装置で、両面印刷の指示があった場合であって、前記JAM発生率が予め定めた閾値以上であった場合には、当該両面印刷の指示を片面印刷の指示に変更するようにしている。したがって、比較的搬送不良が発生しやすい両面印刷の指示を搬送不良の発生しやすい媒体に適用しないので、搬送不良や印刷不良を確実に防止して、効率良く印刷を行うことができる。
第十三の発明では、印刷速度の変更可能な装置で、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、その着脱の検出時から暫くの間は、前記印刷速度指示手段による高速搬送の指示に拘わらず、低速搬送に変更するようにしている。したがって、媒体収容部の着脱があった後に暫くの間発生しやすい搬送不良や印刷不良を、低速搬送を行うことによって、未然に防止することができて、しかも、低速搬送への変更は必要最小限度に止めているので、上位装置又は操作者の指示を尊重しつつ、印刷不要や搬送不良を確実に防止し、当該印刷不良等が発生した場合の操作者の負担を軽減し、無駄のない効率の良い印刷を行うことができる。
第十四の発明では、両面印刷が可能な装置で、前記媒体収容部の着脱が検出された場合には、前記両面印刷モードによる指示に拘わらず、その着脱の検出時から暫くの間は、低速搬送に変更するようにしている。したがって、媒体収容部の着脱があった後に暫くの間発生しやすい搬送不良や印刷不良を、低速搬送を行うことによって、未然に防止することができて、しかも、片面印刷への変更は必要最小限度に止めているので、上位装置又は操作者の指示を尊重しつつ、印刷不要や搬送不良を確実に防止し、当該印刷不良等が発生した場合の操作者の負担を軽減し、無駄のない効率の良い印刷を行うことができる。
本発明の実施例について図15〜図34に基づいて説明する。図15には、本実施例に係る電子写真式プリンタ装置を示す図である。同図(a)及び(b)に示すように、プリンタ装置に着脱可能に取り着けられ、媒体である用紙6が収容された媒体収容部である識別機構付用紙カセット1と、操作者により種々の操作を行う操作部55及び操作者への表示が行われる表示部54からなるオペレータパネル2と、印刷が終了して排紙された用紙を蓄える排紙トレイ3とを有する。また、図15(b)には、露光されて潜像が形成される感光ドラム4と、印刷データに応じて感光ドラム4の外周面に光を照射して潜像を形成させる光学ユニットである露光部5と、潜像が形成された感光ドラム4上にトナーを付着させることによって潜像を現像化する現像ユニット8と、感光ドラム4上に形成されたトナー像を前記用紙上に転写させる転写ローラ48と、搬送ローラ9及び排紙ローラ10からなる速度可変搬送機構74と、搬送中の用紙47上に転写されたトナー像を用紙に熱定着させる定着部49と、用紙カセット1から用紙を前記速度可変搬送機構74に供給する前記給紙機構75であるピックアップローラ7とを有する。
図16には、本実施例に係るプリンタ装置の制御系の全体ブロック図を示す。同図に示すように、当該プリンタ装置は、CPU及びメモリからなり当該プリンタ装置に関する種々の制御を行うメイン制御部50と、当該プリンタ装置の主として機構的な制御を行うCPU及びメモリからなるメカ制御部51と、印刷速度の変更が可能で、両面印刷及び片面印刷が可能な種々の機構を有する両面可能・速度可変機構部52と、オペレータパネル2に設けられた前記操作部55及び前記表示部54と、当該プリンタ装置とホスト53との間の接続の制御を行うインタフェース60と、前記搬送路中に設けられ、用紙47の搬送の有無を検出する用紙センサ58と、前記識別機構付用紙カセット1の着脱を検出する着脱センサ59と、前記識別機構付用紙カセット1とを有する。
また、メイン制御部50には、前記印刷方式指示部、印刷速度指示部又は印刷方式・速度指示部に相当し、ホスト53から受信されたデータの解析を行う解析部62と、第一の実施例に係る印刷速度変更部63と、第二及び第四の実施例に係る用紙品質情報格納部64と、第四の実施例に係る印刷速度切換部65と、第三の実施例に係るB群優先印刷方式指示部66と、片面印刷変更部67と、低速印刷指示部68と、JAM発生率算出部69と、低速変更部56と、暫時低速変更部77と、を有する。
さらに、前記メカ制御部51は指示された印刷速度を達成する制御を行う印刷速度制御部70と、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御部71と、給紙先選択指示部73とを有する。また、前記両面可能・速度可変機構部52は、同図に示すように、前記搬送機構74と、前記給紙機構75と、前記感光ドラム4及び現像ユニット8等からなり潜像を可視像化するプロセス機構76と、前記定着部49と、感光ドラム上に露光を行う露光部5とを有する。さらに、前記操作部55は、同図に示すように、各種モード順次設定部79と、コマンドA群指示部80と、コマンドB群設定部81とを有する。
続いて、第一の実施例について、図17〜図22に基づいて説明する。図17に示すように、本実施例に係るプリンタ装置では、上位装置であるホスト53からのコマンドに応じて、コマンドの内容を解析して、両面印刷方式(モード)又は片面印刷方式のいずれかの印刷方式又は印刷速度の指示を行う解析部62と、当該解析部62によって指示された印刷方式が片面印刷方式の場合であって、解析部62からの指示が高速印刷の場合には、カセット・センサ57によって識別された品質に耐え得る印刷速度に切り換えて前記印刷速度制御部70を介して両面可能・速度機構部52に指示する印刷速度切換部65と、前記解析部62によって両面印刷方式が指示され、印刷しようとする用紙が低速印刷にしか耐え得ない品質であることが前記カセット・センサ57によって識別された場合には、両面印刷方式の指示を片面印刷方式の指示に変更する片面印刷変更部67とを前記メイン制御部50に有する。また、メカ制御部51には、前記印刷速度切換部65からの指示を受けて前記両面可能・速度可変機構部52に対し、該当する印刷速度の指示を行う印刷速度制御部70と、前記片面印刷変更部67の指示を受けて印刷方式の制御を行う印刷方式制御部71とを有する。さらに、収容されている用紙の品質を示す識別機構が設けられた識別機構付用紙カセット1と、1つの識別機構付用紙カセット1に設けられた識別機構に基づいて、当該用紙カセット1に収容されている用紙がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを識別するカセット・センサ57とを有する。
図18には、第一の実施例に係る用紙の品質を示す説明図である。同図(a)には、新品のオフィス用紙を示し、両面印刷及び高速の搬送に耐え得る高品質のものであり、同図(b)には、裏紙を示し、片面印刷のみに使用され、また、わずかに存在する用紙のカール等やしわによって高速の搬送に耐えることができない低品質のものである。
図19には、第一の実施例に係る識別機構付用紙カセット1の部分拡大図を示す。同図に示すように、識別機構82は、識別機構付用紙カセット1の一方の側面の先端部近傍位置に設けられた、前後方向にスライド可能な3本の側面に多少突き出ているスライド・スイッチ82a,82b,82cからなる。当該スライド・スイッチ82a,82b,82cを定位置より前後方向に所定距離だけスライドさせることによって、当該識別機構付用紙カセット1に収容されている媒体である用紙の品質を示す。
さらに、図20には、前記カセット・センサ57を示す。同図に示すように、本実施例に係るカセット・センサ57は、プリンタ装置に取り着けられた前記識別機構付用紙カセット1のうち、前記識別機構82の3本のスライド・スイッチ82a,82b,82cと各々接触可能な位置に取り付けられた3個のマイクロ・スイッチ83a,83b,83cである。当該マイクロ・スイッチ83a,83b,83cは、導線を介して前記メイン制御部50に各々接続されている。前記マイクロ・スイッチ83bは、前記識別機構82のうち、スライドされたスライド・スイッチ82bによってON状態となり、スライドされていないスライド・スイッチ82a,82cに対応するマイクロスイッチ83a,83cはOFF状態である。このON又はOFF状態によって、前記メイン制御部50に対して、前記用紙カセット1に収容されている用紙の品質を通知する。
さらに、図21には、第一の実施例に係るプリンタ装置の他の例について示す。当該例では、同図に示すように、前記識別機構付用紙カセット1及びカセット・センサ57によって用紙の品質を識別するのではなく、用紙の裏面に光を照射する発光素子84及び裏面から反射された光を検出する受光素子85の組み合わによって、裏面の光の反射率から裏紙か否かを識別するものである。
続いて、第一の実施例に係るプリンタ装置の動作について図22に基づいて説明する。図22の流れ図に示すように、ステップS11で、前記ホスト53からの印刷起動の信号及び印刷データはデータ受信部に受信される。受信されたデータは前記解析部62によって解析処理がなされ、装置の設定指示に関する情報と、実際の印刷データとが別々に処理される。ステップS12で、1ページ分の印刷データの生成が完了する毎に、メイン制御部50はホスト53から送信されてきた設定情報をチェックし、当該解析部62によって印刷起動か否かが判断される。印刷起動でない場合には、ステップS11に戻り印刷起動を待つ。ステップS12で、印刷起動であると判断された場合には、ステップS13に進み、前記片面印刷変更部67は解析部62からのコマンドに応じて、両面印刷方式又は片面印刷方式かを判断する。
両面印刷方式が指示されたと判断された場合には、前記片面印刷変更部67はステップS15に進み、直ちにカセット・センサ57の識別結果を読み込む。ステップS16で、前記マイクロ・スイッチ83bがON状態であると判断された場合には、前記識別機構付用紙カセット1に収容されている用紙は裏紙であって、高速印刷モードでは用紙ジャムが多発することが予想されると判断してステップS17で、片面印刷方式に指示を変更する。
一方、ステップS13で、前記両面印刷モードでないと判断された場合には、ステップS14に進み、前記印刷速度切換部65は、前記解析部62の指示は高速印刷モードの指示か否かを判断する。高速印刷モードの場合には、ステップS15に進み、ステップS15〜ステップS17に進み、前記印刷速度制御部70に対して低速モードの指示を行う。一方、ステップS14で、前記印刷速度切換部65が解析部62からの指示が高速印刷モードではなく低速印刷モードであると判断し場合、又はステップS16で、前記マイクロ・スイッチ83a,b,cの状態がOFF状態であると判断された場合には、前記識別機構付用紙カセット1には、高速搬送に耐え得る又は両面印刷可能の用紙が収容されていると判断して前記片面印刷変更部67及び印刷速度切換部65は前記ホスト53の指示通りにそのまま印刷を続行する指示を前記メカ制御部51に対して行う。
以上示したように、第一の実施例によれば、識別機構付用紙カセット1内に収容されている用紙が裏紙の場合には、高速印刷モードでは用紙ジャムが多発するおそれがあることを予想して、低速印刷モードに切り換えて印刷起動を行うので、用紙ジャムの発生を未然に防止し、印刷の無駄の発生を防止し、操作者の負担を増やすことはない。また、ジャム等が発生するおそれがある場合には、低速印刷モードに切り換えるので装置寿命を長く保ち、紙の品質に合った最適な印刷速度で印刷を行うので印刷品質が高く、信頼性のあるプリンタ装置を提供することができる。
続いて、第二の実施例に係るプリンタ装置について、図23〜図25に基づいて説明する。図23に示すように、本実施例に係るプリンタ装置は、操作部55には、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定部79を設ける。また、メイン制御部50には、当該各種モード順次設定部79の所定段階で設定され、プリンタ装置に取り着けられた前記用紙カセット11 ,12 毎に、用紙カセット11 ,12 に収容された用紙がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す用紙品質情報を格納する用紙品質情報格納部64と、ホスト53からのコマンドを解析する解析部62と、解析部62によって指示された印刷速度を、前記用紙品質情報格納部64に格納されている品質情報に基づいて、当該品質が耐え得る印刷速度に変更して前記印刷速度制御部70に対して指示する印刷速度変更部63とが設けられている。さらに、メカ制御部51には、印刷方式制御部71と、印刷速度制御部70とが設けられている。
即ち、前記印刷速度変更部63は、前記ホスト53から送信される高速印刷コマンドよりも、前記用紙品質情報格納部64に前記各種モード順次設定部84によって設定された品質情報を優先する。当該各種モード順次設定部79は、図16又は図24に示すように、この例では6個のスイッチ79a〜79fからなる。これらのスイッチは、メニュースイッチ79aと、オンライン/オフライン・スイッチ79bと、層間での移行を行うエンター・スイッチ79c,79dと、各層に沿った移行を行う選択スイッチ79e,79fとからなる。
続いて、本実施例の動作について図25に基づいて説明する。図25には、各種モード順次設定部79を切り換えて、前記用紙品質情報を用紙カセット11 ,12 に対して設定する処理手順を示すものである。最初、プリンタ装置はホスト53と接続されたオンラインの状態にあり、表示部54には「オンライン」の旨が表示されている。ステップS21で、操作者は前記各種モード順次設定部79にあるオンライン/オフライン・スイッチ79bを押下すると、当該プリンタ装置は、前記ホスト53から切り離され、オフライン状態となり、「オフライン」の旨が前記表示部54に表示される。
ステップS22で、操作者は、メニュースイッチ79aを約6 秒間押下すると、当該各種モード順次設定部79は、最初に用紙設定モードに切り換わり、前記表示部54には、「ヨウシセッテイ」の旨が表示される。用紙設定モードとは、印刷が行われる用紙のサイズ、例えばA4等、の設定、用紙の印刷方向(縦、横)の設定等を行うものである。操作者は、現状を変更しない場合には、用紙設定を行うことなく、ステップS23に進み、選択スイッチ79fを押下して、このモードを通過し次のモードであるIF設定モードに切り換え、前記表示部54には、「I/Fセッテイ」の旨が表示される。I/Fモードは、複数あるホストのうちのどのホストからの指示を受け付けるかを選択するものである。
操作者は、現状を変更しない場合には、ステップS24で、選択スイッチ79fを押下して、このモードを通過し、次のモードであるカセット選択モードに移行させ、前記表示部54に、「カセットセンタク」の旨が表示される。カセット選択モードは、複数取り付けられた用紙カセット11 ,12 のうちどの用紙カセット11 ,12 を選択するかを設定するモードである。現状を変更しない場合には、操作者はステップS25で、前述したように選択スイッチ79fを押下して、このモードを通過して、次のモードである両面印刷モードに移行させ、前記表示部54に、「リョウメンインサツ」の旨を表示させる。両面印刷モードは両面印刷を行うか、片面印刷を行うかを設定するものである。この状態において、当該各種モード順次設定部79は、選択された用紙カセット11 ,12 に収容されている用紙について、その用紙の品質が両面印刷が可能なのか片面印刷のみ可能なのかを設定することができる。
操作者は両面印刷設定モードを選択しようとする場合には、選択スイッチ79fを押下して他のモードに移行することなく、当該モード中のより深い層(いわば下方向)へ移行させるために、ステップS26で、エンター・スイッチ79cを押下して、両面印刷設定モードの状態に入力する。すると、前記表示部54には、現状が両面印刷の状態ではなく片面印刷の状態が設定されていることを示す「リョウメンOFF* 」の旨が表示されている。そこで、当該層内で横方向に移行させるため(即ち、両面印刷設定モードに留まったままでの移行)ステップS27で、選択スイッチ79fを押下する。すると、片面印刷モードから両面印刷モードに移行し、表示部54に「リョウメンON」の旨が表示される。
ステップS28で、操作者はエンター・スイッチ79cを押下して、両面印刷モードに設定し、表示部54には、現状が両面印刷モードであることを示す「リョウメンON* 」が表示される。両面印刷モードの設定が完了すると、ステップS29で、前記オンライン/オフラインスイッチ79bを押下してオンラインに戻り、ホスト53からの印刷起動を待つ。
以上説明したように、第二の実施例によれば、操作者によって、オペレータパネルを操作することにより、取り着けられた各用紙カセット毎に、言い換えれば当該各用紙カセットが取り着けられている取付位置毎に、収容されている用紙に対して、両面印刷が可能か否か、言い換えれば高速の搬送に耐え得るか否かの品質を設定することができる。したがって、上位装置であるホスト53から、高速印刷の指示があっても、設定された用紙品質情報に基づいて、その指示を無視するか、その指示に従うかの切換えを行うことによって、搬送不良を防止し、装置の寿命を長く保ち、高品質の印刷を行うことができる。
第三の実施例に係るプリンタ装置について、図26及び図27に基づいて説明する。本実施例に係るプリンタ装置は、図26に示すように、用紙を搬送する印刷速度が変更可能で、片面印刷のみならず両面印刷を行うことができる両面可能・速度可変機構52を有し、両面印刷方式又は片面印刷方式の制御を行う印刷方式制御部71をメカ制御部51に有する。また、オペレータパネル2には、表示部53と、操作部55が設けられ、当該操作部55には、両面印刷又は片面印刷方式のどちらを採用するかを含め、操作者に公開されたコマンドA群を用いて、印刷を指示するコマンドA群操作部80と、プリンタ装置に取り着けられた2つの用紙カセット11 ,12 に各々収容された用紙が両面印刷可能又は不可能である旨を、操作者に非公開のコマンドB群を用いて設定するコマンドB群操作部81とが設けられている。
さらに、メイン制御部50には、前記コマンドA群操作部80の指示内容に拘わらず、前記コマンドB群操作部81の設定内容に基づいて両面印刷又は片面印刷を指示するB群優先印刷方式指示部66を有する。図27には、本実施例に係るプリンタ装置が有する2種類のコマンドであるコマンドA群とコマンドB群を説明する。同図に示すように、コマンドA群は、マニュアル等にも記載されていて、ユーザに公開されている通常の両面印刷コマンドであり、コマンドB群は、ユーザに非公開のプリンタドライバ専用の拡張両面印刷コマンドである。これらのコマンドの両者は、ほぼ同等の機能をもっているが、前記B群優先印刷方式指示部66は、コマンドB群による指示がコマンドA群による指示よりも優先される。同図に示すように、通常のアプリケーション・プログラム(応用プログラム)を用いる場合には、前記コマンドA群操作部80によって、A群のコマンドによってプリンタ装置に対して印刷方式の指示を行う。
一方、コマンドB群操作部81の操作によって、OS上のプリンタドライバは、B群のコマンドによってプリンタに対しての指示を行う。プリンタドライバはOS上でプリンタの環境設定画面を開くことができ、この設定画面の設定に基づいてB群による指定コマンドを発行する。「裏紙」を使用する場合には、コマンドB群操作部81によって、プリンタドライバによる環境設定画面から対応する用紙カセット11 ,12 に対して片面印刷モードが設定される。これによって、プリンタにはB群のコマンドによって片面印刷モード指定コマンドが前記メイン制御部50に発行される。前記コマンドA群操作部80による指示が、両面印刷モードを指示しても、当該指示にA群のコマンドが用いられるため、前記B群優先印刷方式指示部66によって、両面印刷モードには切り換わらない。
従って、本実施例によれば、用紙カセット11 に両面が使用可能な通常のオフィス用紙、用紙カセット12 に片面しか使用できない「裏紙」をそれぞれセットし、用紙カセット11 内のオフィス用紙が無くなった場合、自動的に他方の用紙カセット12 に切り換わる制御を行うような設定になっているようなときに、裏紙に両面印刷を行う無駄な印刷を防止して、効率良くプリンタ装置を使用することができる。また、以上の例では、コマンドA群操作部80及びコマンドB群操作部81は、両面印刷方式又は片面印刷方式を指示設定するようにしているが、代わりに、高速搬送又は低速搬送を指示設定するようにしても良い。これによって、用紙ジャムの発生率を低く抑えることが可能となる。
続いて、第四の実施例について図28に基づいて説明する。本実施例では、図28に示すように、メイン制御部50は、取り着けられた用紙カセット11 ,12 毎に、収容された用紙がどの程度の印刷速度に耐え得る品質であるかを示す操作者によって設定された用紙品質情報を格納する用紙品質情報格納部64と、操作部55又はホスト53からの指示に応じて、前記印刷速度制御部65を介して速度可変機構部152に対して印刷速度の指示を行う前記印刷速度指示部に相当する解析部62と、当該用紙品質情報格納部64から得られた用紙品質情報に基づいて、前記解析部62によって指示された印刷速度に耐え得る用紙を給紙先として選択を指示する給紙選択指示部73とを有する。
また、速度可変機構部152には、前記給紙先選択指示部73によって選択が指示された用紙カセットから給紙を行う給紙機構75がある。第四の実施例によれば、前述した第一の実施例及び第二の実施例のように、用紙カセット11 ,12 に対して、ホスト53からの高速印刷の指示を無視する制御を行うのではなく、前記給紙先選択指示部73及び給紙機構75を設けることによって、ホスト53から高速印刷指定のコマンドがあった場合には、自動的に前記用紙品質情報に基づいて、高速印刷可能な用紙が収容されているとして設定された用紙カセット11 ,12 を給紙先に選択する。したがって、本実施例によれば、上位装置であるホスト又は操作者の指示である高速印刷を、用紙ジャムの発生を未然に防止しながら実現することができるので、信頼性があり、且つ印刷を無駄にするとがなく効率的に行うことができる。
続いて、第五の実施例について図29及び図30に基づいて説明する。本実施例に係るプリンタ装置は、図29に示すように、両面印刷方式又は片面印刷方式のいずれかの指示、及び低速印刷又は高速印刷を指示する印刷方式・速度指示部に相当する解析部62と、当該解析部62によって両面印刷方式が指示された場合には、印刷速度制御部70に対して、各用紙について設定され又は識別された媒体品質の如何に拘わらず低速の印刷速度を指示する低速印刷指示部68とを前記メイン制御部50に有する。さらに、前記メカ制御部51には、前記印刷方式制御部71と、印刷速度制御部70とを有する。
続いて、第五の実施例に係るプリンタ装置の動作について説明する。図30に示すように、ステップS31で、前記ホスト53からの印刷起動の信号及び印刷データが受信されると、受信されたデータは前記解析部62によって解析処理がなされ、装置の設定指示に関する情報と、実際の印刷データとを別々に処理をする。ステップS32で、1ページ分の印刷データの生成が完了する毎に、メイン制御部50はホスト53から送信されてきた設定情報をチェックし、当該解析部62によって印刷起動か否かが判断される。印刷起動でない場合には、ステップS31に戻り印刷起動を待つ。ステップS32で、印刷起動の場合には、ステップS33に進み、前記低速印刷指示部68は、前記解析部62の解析結果から、両面印刷方式又は片面印刷方式かを判断する。
両面印刷方式が指示された場合には、さらに、ステップS34に進み、当該低速印刷指示部68は、ホスト53からの指示が高速印刷モードか否かを判断する。高速印刷モードによる指示であると判断した場合には、ステップS35に進み、前記印刷速度制御部70に対して設定を低速印刷モードに変更する。一方、低速印刷指示部68が、ホスト53からの指示が低速印刷モードによる指示であると判断した場合には、ステップS36に進み、ホスト53からの指示通りに前記印刷速度制御部70に対して低速の印刷速度の指示を行いステップS36に進む。さらに、ステップS33で、ホスト53からの指示が両面印刷方式による指示でないと判断した場合には、ステップS36に進みホスト53からの指示通りに印刷起動処理を行う。
以上説明したように、第五の実施例によれば、高速印刷モードと、低速印刷モードの2種類の印刷速度を選択設定可能な装置において、印刷起動時に両面印刷モードが選択された場合、低速印刷モードに自動的に切り換えるため、両面印刷の際でも用紙の皺,カール等がより発生しにくく、用紙ジャムの発生を抑え、信頼性があり、効率が良く、装置寿命を長く保つプリンタ装置を提供することがきる。本実施例の応用例として、装置内に高速印刷可能な用紙と、低速印刷モードにしか対応していない用紙が混在する場合に、両面印刷モードが指定された時に、自動的に高速印刷が可能な用紙に(用紙の品質が良いことを意味する)給紙先が切り換わる制御を行うようにしても良い。さらに、もし低速印刷モードにしか対応していない用紙カセットに対して、両面印刷モードが指定された場合には、この両面印刷指定を無視するか、あるいはブザー等でオペレータに警告する制御の例が応用例として考えられる。
次に、第六の実施例について説明する。第六の実施例は、前述の図23〜図25で説明した第二の実施例をさらに改良したものである。本実施例では、第二の実施例で示したように、操作者の所定の操作に応じて、予め定められた順序で各種モードに応じた設定内容が順次切り換えられ、当該操作を繰り返すことによって順次各種モードの設定が行われる各種モード順次設定部と、当該各種モード順次設定部の各種モードに応じた設定の内容の切換えに同期して、当該設定内容に関連する事項を順次表示する表示部とを有する。さらに、本実施例では、第二の実施例と異なり、その他に、用紙が収容される用紙カセットのプリンタ装置への取着又は脱着を検出する用紙カセット着脱検出部と、複数の用紙カセットのうちいずれかの着脱が検出された場合には、当該設定内容及び表示内容を、両面印刷方式又は片面印刷方式を含む印刷方式の設定を行う段階に切り換える印刷方式設定段階切換部と、前記印刷方式設定段階切換部によって切り換えられた段階で、取り着けられた複数の用紙カセット毎に、前記各種モード順次設定部を用いて設定された印刷方式を示す用紙品質情報を格納する用紙品質情報格納部とを有する。本実施例では、一般に、用紙カセットの着脱(抜き差し)が行われたときは、用紙の種類が変更になったか、新しく用紙をカセットに給紙したことを利用したものである。第六の実施例によれば、用紙カセットの着脱が発生したときに、自動的に直ちに、前記各種モード順次設定部によって、両面印刷方式の設定を行うことができるように切り換えている。従って、毎回オペレータパネルを操作しセットアップメニュー(階層化されており、設定画面へ移行するには煩雑なスイッチ操作が必要)から両面印刷方式を設定する必要がなく、操作性が向上し、誤設定も未然に防ぐことができる。
さらに、第七の実施例について、図31及び図32に基づいて説明する。第七の実施例によると、印刷速度の変更が可能な速度可変機構部152と、ホスト53からの指示に応じて、印刷速度の指示を行う印刷速度指示部に相当する解析部62と、用紙の搬送不良の発生率を算出するJAM発生率算出部69と、予め定めた閾値以上の発生率が、前記JAM発生率算出部69によって算出された場合には、前記解析部63による高速搬送の指示を低速搬送の指示に変更する低速変更部56と、用紙の搬送路に面した位置に設けられ、一定時間内に用紙が通過したか否かを検出することによって搬送不良(JAM)が発生したか否かを検出する用紙センサ58とを有する。
続いて、第七の実施例の動作について図32に基づいて説明する。ステップS41で、前記ホスト53からの印刷起動の信号及び印刷データは前記メイン制御部60に受信される。受信されたデータは前記解析部62によって解析処理がなされ、装置の設定指示に関する情報と、実際の印刷データとを別々に処理する。ステップS42で、1ページ分の印刷データの生成が完了する毎に、メイン制御部50はホスト53から送信されてきた設定情報をチェックし、当該解析部62によって印刷起動か否かが判断される。印刷起動でない場合には、ステップS41に戻り印刷起動を待つ。ステップS42で、印刷起動であると判断された場合には、ステップS43に進み、前記解析部62は、ホスト53からのコマンドに応じて、印刷速度を指示する。
ステップS43で、前記低速変更部56は、前記解析部62が低速印刷モードを指示したと判断した場合にはステップS44に進み、そのまま、低速モードで、前記印刷速度制御部70に対し印刷起動処理を指示する。一方、ステップS43で、前記低速変更部56は、高速印刷モードの指示であると判断した場合には、ステップS45に進み、高速印刷モードで印刷起動処理を指示する。その際、ステップS46で、前記用紙センサ58が、用紙の搬送不良(JAM)を検出していない限りは、ステップS49に進み、前記JAM発生率算出部69は総印刷枚数を計数する。ステップS50で、当該JAM発生率算出部69は、JAM発生率÷総印刷枚数=JAM発生率の式より、JAM発生率を算出する。ステップS51で、前記低速変更部56はJAM発生率が一定値kより大きいか小さいかを判断する。JAM発生率が一定値kより小さい場合には、前記解析部62の高速モードの指示を変更することなくそのまま、印刷速度制御部70に伝える。
一方、ステップS51で、当該低速変更部56は、JAM発生率が一定値kより大きいと判断された場合には、ステップS52に進み、低速印刷モードに変更する。さて、ステップS46で、用紙センサ58によりJAMが発生したと判断した場合には、ステップS47に進み、前記JAM発生率算出部69はJAM発生数を計数し、ステップS48で操作者によってJAMのない状態に復帰処理がされる。
以上説明したように、第七の実施例にあっては、高速プロセスモード(高速搬送モード)と、低速プロセスモード(低速搬送モード)の2種類の印刷速度を選択切り換え可能な装置で、高速印刷モードが選択されていたときに、総印刷枚数と、ジャムの発生回数から用紙ジャムの発生率を算出し、該用紙ジャムの発生率が一定値を越えた場合に、用紙の品質があまりよくないと判断し、自動的に低速印刷モードに切り換える制御を行う。したがって、JAMの発生可能性が高い場合には、自動的に低速印刷モードで印刷を行うので、JAMの発生を未然に防止して、印刷効率の良いプリンタ装置を提供することができる。尚、上記の例では、高速印刷モードと低速印刷モードの切り換えについて述べたが、両面印刷実行時に用紙ジャムの発生率が、一定値を越えた場合に、自動的に片面印刷モードに切り換わる制御を行う応用例が上げられる。
第八の実施例について、図33及び図34に基づいて説明する。図33に示すように、第八の実施例に係るプリンタ装置では、用紙の印刷速度が変更可能な速度可変搬送機構部152と、上位装置であるホスト53からの指示に応じて、印刷速度の指示を行う前記印刷速度指示部に相当する解析部62と、用紙が収容される用紙カセット1のプリンタ装置への取着又は脱着を検出する着脱センサ59と、印刷枚数を計数する印刷カウンタ83と、前記用紙カセットの着脱が検出された場合には、検出されてから暫くの間、即ち印刷カウンタ83が一定値(この例では2回)を越える場合は前記解析部62の解析結果である高速搬送の指示に拘わらず、低速搬送に変更する暫時低速変更部77とを有するものである。
続いて、第八の実施例に係る動作について、図34に基づいて説明する。同図に示すように、ステップS61で、前記ホスト53からの印刷起動の信号及び印刷データは前記メイン制御部50に受信される。受信されたデータは前記解析部62によって解析処理がなされ、装置の設定指示に関する情報と、実際の印刷データとを別々に処理をする。ステップS62で、1ページ分の印刷データの生成が完了する毎に、メイン制御部50はホスト53から送信されてきた設定情報をチェックし、当該解析部62によって印刷起動か否かが判断される。印刷起動でない場合には、ステップS61に戻り印刷起動を待つ。ステップS62で、印刷起動であると判断された場合には、ステップS65に進み、前記暫時低速変更部77は、解析部62の解析結果が高速印刷モード又は低速印刷モードかを判断する。
高速印刷モードが指示された場合には、ステップS66に進み、当該暫時低速変更部77は、前記着脱センサ59によって、用紙カセット1が着脱された後、前記印刷カウンタ83が2を越えたか否かを判断する。ステップS66で、当該暫時低速変更部77は、まだ、前記印刷カウンタ83が2を越えていないと判断された場合、又はステップS65で前記解析部62の指示が低速モードである場合には、ステップS67に進み、前記印刷速度制御部70に対して低速印刷モードを指定する。一方、ステップS68で、前記印刷カウンタ83の計数結果である印刷回数が2を越えていると判断された場合には、前記暫時低速変更部77は、前記印刷速度制御部70に対して高速印刷モードを指定する。このように、ステップS67で低速印刷モードの指定又はステップS68で高速印刷モードの指定があると、ステップS69で印刷処理がなされ、ステップS70で、前記暫時低速変更部77は、着脱後の印刷カウンタ83を加算して、ステップS61に戻る。
以上説明したように、第八の実施例では、一般に、用紙の補給を行った直後の最初の数枚は用紙の斜行等で用紙ジャムが発生しやすいというデータがある。低速印刷モードと、高速印刷モードの2種類の印刷速度を選択切り換え可能な装置で、用紙カセットの着脱を検出した場合に(用紙の補給等があったと見なし)、最初の数枚(上記の例では2枚)は低速モードで印刷起動を行い、印刷プロセスが安定したのちに高速印刷モードに切り換える制御を行うことにより、用紙ジャムの発生率を低く抑えることができる。上記の例の応用例として、用紙カセットの着脱が発生した場合、最初の数枚は両面印刷を禁止し、片面モードでしか印刷できないようにして、用紙ジャムの発生率を低く抑える例があげられる。