JP2008286942A

JP2008286942A - 光ファイバケーブル用スロットロッド及びそれを用いた光ファイバケーブル

Info

Publication number: JP2008286942A
Application number: JP2007130755A
Authority: JP
Inventors: Masayuki Aragaki; 雅進新垣; Masami Nishiguchi; 雅己西口
Original assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Current assignee: Furukawa Electric Co Ltd
Priority date: 2007-05-16
Filing date: 2007-05-16
Publication date: 2008-11-27
Anticipated expiration: 2027-05-16
Also published as: JP5260888B2

Abstract

【課題】細径で良好な伝送特性を有する光ファイバケーブルに適したスロットロッド及びそれを用いた光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】ポリエチレン６０〜９０質量％及びポリプロピレン系樹脂１０〜４０質量％を含む熱可塑性樹脂を用いる、光ファイバケーブル用スロットロッド。
【選択図】なし

Description

本発明は、光ファイバケーブル用スロットロッド及びそれを用いた光ファイバケーブルに関し、さらに詳しく言えば、本発明は、細径で良好な伝送特性を有する光ファイバケーブルに適したスロットロッド及びそれを用いた光ファイバケーブルに関する。

光ファイバケーブルには様々な種類があり、その中の一つに、図１に示すようなスロットロッドを利用した光ファイバケーブルがある。
図１は、スロットロッドを利用した光ファイバケーブルの一例を示す正面図である。図１において、光ファイバケーブル１は、中心に抗張力体２を備えたスロットロッド３、スロットロッド３の溝４に収容された８心光ファイバテープ心線５、溝４に収容された８心光ファイバテープ心線５を押さえるためにスロットロッド３の外周に巻かれた押え巻（プラスチックテープ）６、および押え巻６の外側を覆う外被７からなる。
なお、説明の便宜上、１つの溝４にのみ光ファイバ心線５を図示しているが、他の溝４にも同様に光ファイバ心線５が収容されている。また、溝４の本数や形状や大きさ等は、光ファイバケーブルの要求特性によって定まるものであり、適宜に設定される。

前記光ファイバケーブル１において、スロットロッド３は、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂や、それら樹脂を適宜に混合させた樹脂またはそれらの発泡体などにより構成されるが、一般的には、添加物を含まないポリエチレン（生ポリエチレン）製である（例えば、特許文献１〜３を参照。）。

ところで、近年、光ファイバケーブル内に収容する光ファイバ心線の数を増加する要望があり、この要望に応えるために、例えば、上記スロットロッド３の溝４を大きくして溝４に収容可能な光ファイバ心線数を増加させる等の手法が採られ、必然的に、スロットロッド３が太くなり重くなる傾向にある。これに対し、スロットロッド３の強度を高くすれば、光ファイバケーブルを細径化・軽量化することができると考えられる。
しかしながら、スロットロッドの材料として一般的に用いられている生ポリエチレンは強度と平均表面粗さとがトレードオフの関係にあるため、材料の高強度化を図ると、表面粗さが顕著となって良好な伝送特性が得られなかった。

特開２００１−３５００６６号公報特開２０００−２８８７９号公報特開２００３−１９５１３０号公報

本発明は、細径で良好な伝送特性を有する光ファイバケーブルに適したスロットロッド及びそれを用いた光ファイバケーブルを提供することを目的とする。

本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、高密度ポリエチレンに適量のポリプロピレンを配合させて、曲げ弾性率を向上させると同時に平均表面粗さ（Ｒａ）を低減させた高分子材料をスロット材として使用することにより、細径で、かつ良好な伝送特性を有する光ファイバケーブルに適したスロットロッドが得られることを見出した。本発明はこのような知見に基づきなされるに至ったものである。
すなわち、本発明は、
（１）ポリエチレン６０〜９０質量％及びポリプロピレン系樹脂１０〜４０質量％を含む熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする光ファイバケーブル用スロットロッド、
（２）前記ポリエチレンが高密度ポリエチレンであることを特徴とする（１）項に記載のスロットロッド。
（３）曲げ弾性率が１２５０ＭＰａ以上であり、かつ、溝底部の平均表面粗さ（Ｒａ）が０．５μｍ以下であることを特徴とする（１）又は（２）項に記載のスロットロッド。
（４）（１）〜（３）のいずれか１項に記載のスロットロッドに、光ファイバ心線が収容されていることを特徴とする光ファイバケーブル、
（５）外径が２４ｍｍ以下であることを特徴とする（４）項に記載の光ファイバケーブル、
（６）スロットロッド径が２０ｍｍ以下であることを特徴とする（４）又は（５）項に記載の光ファイバケーブル、及び
（７）光ファイバ心線数が３００〜１２００心であることを特徴とする（４）〜（６）のいずれか１項に記載の光ファイバケーブル
を提供するものである。

本発明の光ファイバケーブル用スロットロッドは、曲げ弾性率を向上させると同時に平均表面粗さ（Ｒａ）を低減させた高分子材料からなるものであり、このスロットロッドを用いた本発明の光ファイバケーブルは、細径でも高強度であり、かつ良好な伝送特性を有する。

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光ファイバケーブル用スロットロッドでは、ポリエチレン６０〜９０質量％およびポリプロピレン系樹脂１０〜４０質量％からなる熱可塑性樹脂が用いられる。ポリエチレンとポリプロピレンとの比を所定の範囲内にすることで、曲げ弾性率が高く平均表面粗さ（Ｒａ）が低い熱可塑性樹脂とすることができ、この熱可塑性樹脂をスロット材として使用することにより、細径で、かつ良好な伝送特性を有する光ファイバケーブルに適したスロットロッドを得ることができる。

前記ポリエチレンとしては、ＨＤＰＥ（高密度ポリエチレン）、ＬＬＤＰＥ（直鎖状低密度ポリエチレン）、ＬＤＰＥ（低密度ポリエチレン）、ＶＬＤＰＥ（超低密度ポリエチレン）等を用いることができるが、本発明の効果については熱可塑性樹脂組成物の密度が高い方が好ましいため、高密度ポリエチレンが特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物におけるポリエチレンの含有量は、好ましくは６５〜８５質量％、より好ましくは７０〜８０質量％である。

前記ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン，エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα―オレフィン（例えば、１−ブテン、１−ヘキセン、４−メチル−１−ペンテン等との共重合体、プロピレンとエチレンプロピレンの共重合体（ＴＰＯ）等を用いることができるが、エチレン・プロピレンブロック共重合体が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは１５〜３５質量％、より好ましくは２０〜３０質量％である。

本発明のスロットロッドは、高強度化による細径化・軽量化の観点から、曲げ弾性率が１２５０ＭＰａ以上であることが好ましく、１４００ＭＰａ以上であることがより好ましい。曲げ弾性率は、ＪＩＳＫ７１７１に基づいて測定することができる。
また、良好な伝送特性を得る観点から、溝底部の平均表面粗さ（Ｒａ）が１．２μｍ以下であることが好ましく、０．５μｍ以下であることがより好ましい。平均表面粗さ（Ｒａ）は、ＪＩＳＢ１６０１に基づいて測定することができる。

本発明のスロットロッドの溝の軌跡は、特に限定されず、溝が螺旋状に形成されているＳ撚り又はＺ撚りであっても、溝が螺旋状に形成され交互に配置されているＳＺ撚りであってもよい。図２は、溝の軌跡がＳＺ撚りであるスロットロッドの一例を示す斜視図である。

本発明のスロットロッドの外径は、２０〜１９ｍｍが好ましく、１９．５〜１９．１ｍｍがより好ましい。

本発明のスロットロッドは、従来品の製造方法と同様にして作製することができる。具体的には、例えば、抗張力体２が中心部に設けられ、かつ、外周部に溝４が形成された前記熱可塑性樹脂組成物からなるスロットロッド３を押出し製造手法によって作製することができる。あるいは、抗張力体２が中心部に設けられた前記熱可塑性樹脂組成物からなる丸棒を押出し製造手法により形成し、その後、その丸棒の外周部にエンドミルや回転刃を利用した切削加工によって溝４を形成してスロットロッド３を作製することもできる。

次に、本発明のスロットロッドを用いた光ファイバケーブルについて説明する。
本発明の光ファイバケーブルは、前記スロットロッドに光ファイバ心線が収容されているものである。光ファイバケーブルの構造の好ましい一例は、図１に示したものと同様であり、前記スロットロッド３の溝４に光ファイバ心線５が収容され、この外周に押え巻き（プラスチックテープ）６及び外被７がそれぞれ被覆されている。通常、抗張力体２は鋼線であり、外被７はポリエチレン製であるが、これに限定されない。

溝４に収容される光ファイバ心線５の形態は特に限定されず、単体の光ファイバ心線であっても、複数本の光ファイバ心線を並べて一体化した多心光ファイバテープ心線であってもよい。また、複数の多心光ファイバテープ心線を積層した積層体や、複数本光ファイバ心線を撚り合わせた光ファイバ撚り線などであってもよい。

本発明の光ファイバケーブルに収容される光ファイバ心線の心数は特に限定されないが、３００〜１２００心が好ましく、１０００心が特に好ましい。
また、本発明の光ファイバケーブルの外径は、２４ｍｍ以下が好ましく、２３．８〜２３．２ｍｍがより好ましい。
光ケーブル網を早急に安価に構築するためには既存の地下管路を有効に活用すべきであり、これに適用できるような、心線の数が多くても細径の光ケーブルが求められている。本発明は、ケーブル外径が２４ｍｍ以下、スロットロッド径が２０ｍｍ以下である１０００心光ケーブルが特に好ましい。

以下、本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

実施例１
下記表１に示す各樹脂組成物を用いて、外径２０ｍｍ、１３溝Ｓ撚りスロット、中心テンションメンバ（抗張力体）：７／１．２のスロット構造を押出成形し、図１に示した光ファイバケーブルにおけるスロットロッド３のような光ファイバケーブル用スロットロッド（試料１０１〜１０５）を作製した。

スロット作製に用いた樹脂組成物および得られたスロットについて、以下の評価を行った。
［曲げ弾性率］
ＪＩＳＫ７１７１に基づき、各樹脂組成物の曲げ弾性率を測定した。実用的なケーブルでの耐衝撃特性（リブに折れや過度な変形がないこと）を満たすには、曲げ弾性率１２５０ＭＰａ以上が必要である。
［脆化性（耐寒性）］
ＪＩＳＫ６７６０に規定される各樹脂組成物の耐寒性試験を行った。実用的には、−３０℃でクラックの発生の無いことが必要である。
［平均表面粗さ（Ｒａ）］
得られた光ファイバケーブルのスペーサの溝底部の平均表面粗さＲａ（μｍ）を、ＪＩＳＢ１６０１に従って測定した。良好な伝送特性を確保するためには、１．２μｍ以下が必要であり、０．５μｍ以下であることが好ましい。

尚、各成分としては、下記のものを使用した。
（１）高密度ポリエチレン（密度：９５６ｋｇ／ｍ³）
（商品名：ハイゼックス５４０Ｅ製造元：(株)プライムポリマー）
（２）高密度ポリエチレン（密度：９５０ｋｇ／ｍ³）
（商品名：ＨＤ３２０製造元：日本ポリエチレン(株)）
（３）ブロックポリプロピレン
（商品名：Ｅ１５０ＧＫ製造元：(株)プライムポリマー）
（４）ブロックポリプロピレン
（商品名：ＢＣ３Ａ製造元：日本ポリエチレン(株)）

各材料の配合量および評価結果を表１に示す。

表１の結果から明らかなように、試料１０１（従来例）は、曲げ弾性率が低くケーブルでの耐衝撃特性に問題があった。また、ポリプロピレンを含有しない試料１０４（比較例）は、平均表面粗さが高く伝送特性に問題があり、逆にポリプロピレンが多すぎる試料１０５（比較例）は、脆化性（耐寒性）が劣る結果であった。
これらに対し、本発明例の試料１０２及び１０３は、曲げ弾性率が高く、脆化性に優れ、かつ、平均表面粗さ（Ｒａ）が低く、いずれの評価項目においても良好な結果が得られた。このことから、本発明のスロットロッドを用いた光ファイバケーブルは、細径でも高強度であり、かつ良好な伝送特性を有することがわかる。

スロットロッドを利用した光ファイバケーブルの一例を示す正面図である。溝の軌跡がＳＺ撚りであるスロットロッドの一例を示す斜視図である。

符号の説明

１光ファイバケーブル
２抗張力体
３スロットロッド
４溝
４ａ溝の内面部
５光ファイバ心線（８心光ファイバテープ心線）
６押え巻
７外被

Claims

ポリエチレン６０〜９０質量％及びポリプロピレン系樹脂１０〜４０質量％を含む熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする光ファイバケーブル用スロットロッド。
前記ポリエチレンが高密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項１記載のスロットロッド。
曲げ弾性率が１２５０ＭＰａ以上であり、かつ、溝底部の平均表面粗さ（Ｒａ）が０．５μｍ以下であることを特徴とする請求項１又は２に記載のスロットロッド。
請求項１〜３のいずれか１項に記載のスロットロッドに、光ファイバ心線が収容されていることを特徴とする光ファイバケーブル。
外径が２４ｍｍ以下であることを特徴とする請求項４記載の光ファイバケーブル。
スロットロッド径が２０ｍｍ以下であることを特徴とする請求項４又は５に記載の光ファイバケーブル。
光ファイバ心線数が３００〜１２００心であることを特徴とする請求項４〜６のいずれか１項に記載の光ファイバケーブル。