JP5533693B2 - 難燃樹脂組成物、並びにそれを使用した光ファイバケーブル及び電線 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃樹脂組成物、並びにそれを使用した光ファイバケーブル及び電線に関する。また、本発明は、複数本の前記電線を纏めて形成されるケーブルやハーネスに関するものでもある。
光ケーブルの宅内への引き込みに用いられるドロップ光ケーブルは難燃性が要求されるため、外被には難燃性を有するものが使用される。従来から、このような光ファイバケーブルの外被には金属水和物と赤燐が難燃成分として併用されており、特許文献1に開示された樹脂組成物にも難燃剤として金属水和物と共に赤燐が添加されている。また、近年、この種の光ファイバケーブルに対して、蝉がケーブルの外被に産卵管を突き刺し、内部の光ファイバ心線を損傷、あるいは外被内に卵を産み付けるという問題が多発している。これに対して特許文献1では、外被(シース)のショアD硬度を55以上と硬質な材料とすることで、クマ蝉の産卵管を突刺させないようにしている。これにより、内部の光ファイバ心線に過剰な外圧がかかったり、光ファイバ心線が損傷することを防いでいる。
国際公開第08/090880号パンフレット
しかしながら、赤燐は単体で自然発火の懸念があるとともに、ケーブルの製造工程において臭気の原因となったり、あるいはその気化物が引火したりするなど、製造上の取り扱いが困難であることが問題となっていた。また、赤燐は濃赤色であることから、赤燐を使用すると外被材料が赤く着色してしまうため白色や淡色の色目を有する外被を形成することができない。したがって、赤燐を含まずとも優れた難燃性を示す外被材料が希求されていた。
また、従来、難燃性を得るために樹脂組成物に相当量の金属水和物を添加しているが、機械強度の低下、成形時の押出トルクの上昇、低温環境下で外被が脆くなるなどの点で金属水和物の添加量を極力減らすことも望まれている。
ところで、特許文献1に記載されるように、ドロップ光ケーブルなどの光ファイバケーブルは、蝉の産卵管による突刺による光ファイバ心線の損傷を防止するため、高硬度であることが望まれる。また、光ファイバケーブルは寒冷地域で使用されることもあるため、低温での外被の脆化は抑制される必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、赤燐を含まず且つ金属水和物の添加量も極力少なく抑えられながらも優れた難燃性を備えると共に、硬度や耐寒性といった光ファイバケーブルの外被に要求される特性をも満足する難燃樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の難燃樹脂組成物は、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン系ブロック共重合体40〜80重量部と直鎖状低密度ポリエチレン60〜20重量部とを少なくとも含んでなるベース樹脂100重量部に、難燃剤として、芳香族リン酸エステル2〜10質量部と、ビニルシラン処理、メタクリロキシシラン処理、あるいはこれらの処理の際にオレイン酸を併用して処理された水酸化マグネシウム30〜70重量部とが配合されたものであることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の難燃樹脂組成物の好適形態は、前記直鎖状低密度ポリエチレンが、チーグラー・ナッタ触媒あるいはメタロセン触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする(請求項2)。
また、本発明の難燃樹脂組成物の別の好適形態は、前記水酸化マグネシウムが、ビニルシランとオレイン酸の併用による処理、メタクリロキシシラン処理、またはメタクリロキシシランとオレイン酸の併用による処理のいずれかの方法によって表面処理されていることを特徴とする(請求項3)。
また、本発明の難燃樹脂組成物の別の好適形態は、前記ベース樹脂が、無水マレイン酸変性SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)を10重量部以下で含むことを特徴とする(請求項4)。
本発明の光ファイバケーブルは、本体部と支持線部とが切断容易な首部を介して連結され、前記本体部は、光ファイバ心線の両側にテンションメンバが配されて外被で長方形状に一括被覆され、両側面に外被切裂き用のノッチが設けられてなり、前記支持線部は、前記テンションメンバと前記光ファイバ心線の中心を結ぶ延長線上に配されてなる光ファイバケーブルであって、前記外被が前記難燃樹脂組成物からなることを特徴とする(請求項5)。
本発明の電線は、導体を絶縁樹脂で被覆した電線であって、少なくとも最外層が前記難燃樹脂組成物からなることを特徴とする(請求項6)。
本発明の難燃樹脂組成物は、赤燐を含まず且つ金属水和物の添加量も極力少なく抑えられながらも優れた難燃性を示す。また、本発明の難燃樹脂組成物は金属水和物の添加量が極力少なく抑えられていることから、ケーブル等の外被として押出被覆するときに押出性に優れ、さらに低温下でも前記外被が割れにくい耐寒性を示す。またこの耐寒性は金属水和物以外の配合によっても発揮されている。更に、かかる難燃樹脂組成物からなる外被を備えた光ファイバケーブルは硬度に優れるとともに、引張強度および引張伸びといった機械強度にも優れる。
本発明の難燃樹脂組成物は、光ファイバケーブル(好ましくはドロップ光ケーブル)の他に、ハロゲンフリーの絶縁電線やシールド電線(同軸電線)といった電線の絶縁体やシース材(シースの被覆樹脂)としても使用することができる。また、複数本の電線を纏めてケーブルやハーネスとして使用することもできる。いずれの場合も本発明の難燃樹脂組成物を使用した電線を用いることで、電線、ケーブルまたはハーネスとして難燃性を有する。
本発明の絶縁電線またはシールド電線の実施形態の一例を示す概略図である。 本発明の光ファイバケーブルの実施形態の一例を示す概略図である。
本発明の難燃樹脂組成物の組成について説明する。
本発明の難燃樹脂組成物は、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン系ブロック共重合体40〜80重量部と直鎖状低密度ポリエチレン60〜20重量部とを少なくとも含んでなるベース樹脂100重量部に、難燃剤として、芳香族リン酸エステル2〜10質量部と、ビニルシラン処理、メタクリロキシシラン処理、あるいはこれらの処理の際にオレイン酸を併用して処理された水酸化マグネシウム30〜70重量部とが配合されたものである。
本発明に用いることができる高密度ポリエチレンとしては、特に限定されないが、例えば密度0.945g/cm以上のものが好ましい。
また、ポリプロピレン系ブロック共重合体としては、特に限定されないが、例えばエチレン・プロピレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば1−ブテン1−ヘキセン、4−メチル−1ペンテン等)との共重合体、プロピレンとエチレンプロピレンの共重合体(TPO)が挙げられる。ポリプロピレン系ブロック共重合体は安価で且つ適度な硬度を有し、また適切な量を配合することで引張伸び等の加工性にも優れるため好ましい。
本発明に用いることができる直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)としては、密度が0.91〜0.94g/cmのものが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンは、一般的に、エチレンとエチレンより炭素数の多いα―オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、4−メチルペンテンなど)とを共重合したものであり、エチレン長鎖にα―オレフィンの短鎖分岐が導入された構造である。さらに、直鎖状低密度ポリエチレンの中でもチーグラー・ナッタ触媒あるいはメタロセン触媒により重合されたものがより好ましく、メタロセン触媒により重合されたものが特に好ましい。チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒により重合された直鎖状低密度ポリエチレンは、分子量分布や組成分布が狭く、引張強度等の機械強度に優れる為である。
本発明では、ベース樹脂100重量部において、高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン系ブロック共重合体が40〜80重量部、直鎖状低密度ポリエチレンが60〜20重量部含まれるように配合する。配合量比をこの範囲とすることで、硬度、引張強度、引張伸びおよび耐寒性をバランス良く両立することができる。
また、本発明の難燃樹脂組成物は、前記ベース樹脂に無水マレイン酸変性SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)を10重量部以下で含むことが好ましい。無水マレイン酸変性SEBSを導入することで、耐寒性をより向上させることができる。
本発明に用いることができる無水マレイン酸変性SEBSとしては、各モノマーがブロック状に共重合され、無水マレイン酸がグラフト化されたものである。無水マレイン酸変性SEBSにおけるスチレン含有量は機械特性の観点から60重量%以下であるものが好ましい。60重量%を越えると硬く脆くなり、光ケーブルシースへの使用に適さない。また無水マレイン酸による変性量は0.1重量%〜20重量%であることが好ましい。0.1重量%未満であると効果を発揮せず、20重量%を超えると粘着性が大きくなり、加工が困難となる。
さらに、本発明の難燃樹脂組成物は、難燃剤として赤燐を含まずに、芳香族リン酸エステルと水酸化マグネシウムとを含む。
本発明に用いることができる芳香族リン酸エステルとしては、例えば化学式で、(C6H5O)2P(O)OC6H4OP(O)(OC6H5)2、(C6H5O)2P(O)C6H4C(CH3)2C6H4OP(O)(OC6H5)2[(OC6H3(CH3)2)P(O)OC6H4OP(O)[OC6H3(CH3)2]2などのように表されるものを使用することができる。芳香族リン酸エステルは、外被のベース樹脂100重量部に対して、2〜10質量部配合する。配合比が2重量部未満であると難燃効果が発現しにくく、一方、10重量部を超えると耐寒性が悪くなる。
また、本発明で用いることができる水酸化マグネシウムは、その表面を、ビニルシラン処理、メタクリロキシシラン処理、あるいはこれらの処理の際にオレイン酸を併用して処理された合成水酸化マグネシウムである。上記のいずれかの処理方法で表面処理された合成水酸化マグネシウムを使用することで、外被の引張強度や硬度、さらには耐寒性を向上させることができる。合成水酸化マグネシウムは、より前記効果を得るという観点から、ビニルシランとオレイン酸の併用による処理、メタクリロキシシラン処理、またはメタクリロキシシランとオレイン酸の併用による処理のいずれかの方法によって表面処理されていることが望ましい。
合成水酸化マグネシウムは、外被のベース樹脂100重量部に対して30〜70重量部で含有される。30重量部未満では所望の難燃性を得ることができず、70重量部を超えると耐寒性が悪くなる。
上記の芳香族リン酸エステルおよび合成水酸化マグネシウムは、上述のように難燃剤として配合される。また合成水酸化マグネシウムは、上記の添加範囲内とすれば、後述する図2に示す光ファイバケーブルに使用した場合において光ファイバ心線を取出す際のノッチ18の引裂き性の向上にも寄与する。
本発明の難燃樹脂組成物には、難燃剤の他に、シリコーン、脂肪酸アミド、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、パラフィン等を加工助剤として添加してもよい。特に、上記脂肪酸アミド(滑剤)は、本発明の難燃樹脂組成物を図1に示す絶縁電線の絶縁体やシールド電線のシースとして使用する場合に、絶縁体やシースの除去性を向上させるために配合されるものである。敷設時などに外被を除去する必要のある光ファイバケーブルにおいても有用である。同様に、酸化防止剤、防カビ剤等の一般的に樹脂配合剤として用いられる成分も添加してもよい。
本発明の難燃樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混錬押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等、通常用いられる混錬装置で溶融混錬して得ることができる。
上記で説明した本発明の難燃樹脂組成物は、絶縁電線やシールド電線(同軸電線)の絶縁体やシース材(シースの被覆樹脂)として使用することができる。
以下、本発明の難燃樹脂組成物を使用した絶縁電線について図面を参照して詳細に説明する。図1(A)、(B)は、本発明の絶縁電線の実施形態の一例を示す概略図である。
図1(A)に示す絶縁電線1は、中心導体2と、中心導体2の周囲に配置され中心導体2を被覆する絶縁体3とから構成されている。一方、図1(B)に示すシールド電線4は、図1(A)に示す絶縁電線1と、その周囲に絶縁電線1の中心導体2と同軸構造で配置される外部導体5(例えば編組導体や複数本の金属線を螺旋巻きした層)と、その外部導体5の周囲に配置されるシース6からなる。本発明の難燃樹脂組成物は、図1(A)(B)に示す電線の絶縁体3およびシース6のいずれにも使用することができるが、最外層に使用されることが望ましい。
また、本発明の難燃樹脂組成物は、光ファイバケーブルの外被樹脂として使用することもできる。特に、本発明の難燃樹脂組成物は、難燃性、耐寒性、硬度の他に、引張強度や引張伸び等の特性にも優れることから、特に後述する構造を有するドロップ光ケーブルの外被として好適に使用できる。ドロップ光ケーブルは光ケーブルの宅内への引き込みに用いられるものである。
以下、本発明の難燃樹脂組成物を外被に使用した光ファイバケーブルついて詳細に説明する。図2は本発明の難燃樹脂組成物を外被に使用したドロップ光ケーブルの実施形態の一例を示す概略図である。
図2(A)は、本発明の光ファイバケーブルのうち、1心の単心光ファイバ心線を用いた一実施形態を示し、図2(B)は、4心の光ファイバテープ心線を2枚用いた別の実施形態を示す。なお、光ファイバ心線の心数は、これらに限らず、2心、4心など任意の心数とすることができる。
図中、11、11’は光ファイバケーブル、12は本体部、13は支持線部、14は首部、15は光ファイバ心線、15’は光ファイバテープ心線、16はテンションメンバ、17は外被、17aは本体部の側面、18はノッチ、19は鋼線を示す。
図2(A)に示す光ファイバケーブル11は、断面が長方形状の本体部12と、断面が円形状の支持線部13を切断容易な細幅の首部14で連結した自己支持型の構造で形成される。本体部12は、中心に単心の光ファイバ心線15を1本配し、その両側にテンションメンバ(抗張力体ともいう)16を配し、外被17で一体に被覆してなる。また、本体部12の両側面17aには、光ファイバ心線15にV字状の底部が接近するようにノッチ18が設けられる。
支持線部13は、単心線又は撚り線からなる鋼線19(外径1.2mm程度)が用いられ、光ファイバ心線15とテンションメンバ16の中心を結ぶラインYの延長線上又はその付近に設けられる。支持線部13の鋼線19は、切断容易な首部14を介して本体部12と連結され、本体部12の外被17の成形時に同じ樹脂材で押出し成形により一括して被覆される。
光ファイバ心線15は、例えば、標準外径が125μmのガラスファイバで、被覆外径が250μm前後で1層又は2層で被覆されたもので、光ファイバ素線と称されるものや被覆表面に着色が施されたものを含むものとする。この光ファイバ心線15は、1本〜数本程度を外被17で直接被覆して収納される。
光ファイバ心線15に平行に配されるテンションメンバ16は、外径0.4mm程度の鋼線あるいはガラス繊維強化プラスチック(FRP)、アラミド繊維強化プラスチック(KFRP)などを用いることができる。光ファイバケーブルの本体部12および支持線部13の被覆を構成する外被17は、本発明の難燃樹脂組成物で形成される。本発明の難燃樹脂組成物は高硬質であると共に引張強度や引張伸びに優れるため、後述する理由からドロップケーブルの耐蝉性に優れた外被樹脂として好適に使用することができる。
上述した構成の光ファイバケーブル11は、例えば、光ファイバ心線15が1心である場合、本体部12の長辺側の縦幅Lは3.1mm、短辺側の横幅Wは2.0mm、支持線部13の直径Dは2.0mm、首部14の長さKを0.2mmの標準的な外形寸法で形成することができる。また、ノッチ18は、深さが0.2mm程度、幅が0.3mm程度で形成される。なお、ノッチ18の底部先端と光ファイバ心線15との離間距離Sは、後述する外被材料および引裂き性を考慮して設計する。
図2(B)に示す光ファイバケーブル11’は、図2(A)の光ファイバ心線15に代えて、4心の光ファイバテープ心線15’を2枚重ねて配したもので、形状としては図2(A)のものと同じである。ただ、光ファイバの心数が8心となることから、長辺側の縦幅Lが4.1mmとなる。その他の短辺側の横幅Wの2.0mm、支持線部13の直径Dの2.0mmおよび首部14の長さKの0.2mmとすることは、図2(A)のものと同じとすることができる。
なお、本発明における「光ファイバ心線」とは、前記の光ファイバテープ心線15’のような光ファイバテープ心線を含めたものとする。光ファイバテープ心線を含む光ファイバケーブル又は光ファイバ心線を複数列含む光ファイバケーブルでは、各光ファイバ心線とテンションメンバの中心を結ぶラインが複数ある。したがって、支持線部はいずれかの光ファイバ心線とテンションメンバを結ぶ線の延長線付近にあることになる。
上述した光ファイバケーブル11,11’に光コネクタ等を取付けて端末を形成する場合、外被17内の光ファイバ心線15,15’を取出すために、ケーブル端部のノッチ18をニッパ等で10mm程の切り込みを入れる。次いで、この切り込みを始端として、手でノッチ18の部分を100mm程引裂いて外被17を2分する。この外被17を手で引裂くには、ノッチ18の先端と光ファイバ心線15、15’との離間距離Sが大きく関係するが、この離間距離Sが小さいと、蝉の産卵管による突刺し量が光ファイバ心線に達し、これを避けるために離間距離Sを大きくすると引裂きが困難になる。
また、上記の離間距離Sを所定の値に設定したとして、外被17の引張強度が小さい場合は外被17の引裂きは容易であるが、蝉の産卵管による突刺し量が大きくなり、離間距離Sを大きくする必要がある。一方、外被17の硬度が大きくかつ引張強度が大きいと、蝉の産卵管による突刺し量は抑えられるが、引張強度が大き過ぎると引裂きが難しくなる。
本発明の光ファイバケーブルは、上記の構造的特徴に加え、耐蝉性と難燃性を兼ね備えるとともに耐寒性や引張伸びにも優れた本発明の難燃樹脂組成物により形成された外被を有する。耐蝉性は、上記の通り、耐蝉用に適した硬度と引張強度とを両立することで得られる。耐寒性は、寒冷地でのケーブル屈曲時の損傷を防ぐために重要な特性である。また、引張伸びは、ノッチ部分で光ファイバケーブルを裂いて光ファイバ心線を取り出すことの容易さに重要な特性である。
以下、本発明に係る実施例及び比較例を用いた評価試験の結果を示し、本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
表1に示す組成の外被材料(実施例1〜9、比較例1〜10)を用いて、各種特性の評価を下記の要領で行った。なお、外被の長期安定性を向上させるために、実施例、比較例の全てに共通して、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系)を1重量部添加した。
評価試験に供するサンプルは、まず、200℃に加熱したオイル加熱式のオープンロールで表1に示す各配合成分を加熱混合し、これを成型することにより得た。硬度、引張強度、引張伸び、低温脆化試験については、前記ロール混合で得られたものをプレス機でシート状にして成型した。一方、JIS60度傾斜燃焼試験に用いるサンプルについては、前記ロール混合で得られたものをペレタイザでペレット状に切断し、このペレットを、65mmφ押出機を使用して光ファイバ心線の周囲に被覆させ、図2(A)又は(B)に示すドロップケーブル形状(1心及び8心)として得た。得られたケーブルサンプルは、横幅Wを2.0mm、縦幅Lを3.1mm、支持線部13の径を2.0mmとした。
各例の評価結果を表1に併せて示す。尚、表中の材料配合における各数値の単位は「重量部」である。
<評価試験方法>
[硬度]
外被の硬度は、日本工業規格のJIS K7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)で規定されるデュロメータ(タイプD)を用いて計測した(以下、ショアD硬度という)。外被の硬度の判定基準は、ショアD硬度で57以上であることが耐蝉性を有する必要条件であるとした。
[引張強度]
外被の引張強度は、日本工業規格のJIS K7113に準拠し、2号試験片を用いて行なった。引張強度の判定基準は、外被に蝉の産卵管が突刺された際に、外被に変形を生じず、卵を産み付ける空間の確保を阻止できる15.2MPa以上であることが耐蝉性を有する必要条件とした。
[引張伸び]
外被の引張伸びは、日本工業規格のJIS K7113に準拠し、2号試験片を用いて行なった。外被の引張伸びの判定基準は、320%以上であることがケーブル敷設時に折り曲げて使用できるため、その必須条件とした。
[耐寒性(低温脆化試験)]
低温脆化試験(亀裂発生温度)は、低温での耐衝撃性を検証するもので、日本工業規格のJIS C3005に準拠して行なった。判定基準は、−30℃未満の低温で、厚さ2mmのシート状の試験片を打撃試験機で打撃し、シート表面に亀裂が生じていないことを必須条件とした。
[難燃性(60度傾斜燃焼試験)]
試験には、1心ケーブル及び8心ケーブルを用いた。日本工業規格のJIS C3005に準拠して行った。完成品から採取した長さ約300mmの試料を、水平に対して約60度傾斜させて支持し、還元炎の先端を、試料の下端から約20mmの位置に、30秒以内で燃焼するまで当て、炎を静かに取り去る。そして、自然消炎した場合を合格とする。
Figure 0005533693

上記結果に示すように、所定の配合量の外被材料からなる実施例1〜9の外被においては、難燃性、引張強度、ショアD硬度、耐寒性、引張伸びに優れた性能を有することが確認された。
比較例1は、ベース樹脂にプロピレンホモポリマーを使用しているため、引張伸びが不足するとともに、低温で亀裂が発生した。
比較例2は、ベース樹脂に(ラジカル重合により得られた)低密度PEを使用しているため、引張強度およびショアD硬度が小さく、また低温で亀裂が発生した。
比較例3は、難燃剤としてオレイン酸処理された水酸化マグネシウムを使用したため、引張強度およびショアD硬度が小さく、また低温で亀裂が発生した。
比較例4は、ポリプロピレンブロック共重合体の配合量が少ないため、ショアD硬度が上がらない結果となった。
比較例5は、ポリプロピレンブロック共重合体の配合量が多すぎるため、引張伸びが不足するとともに、低温で亀裂が発生した。
比較例6は、ビニルシラン処理された水酸化マグネシウムの配合量が少なすぎるため、難燃性に劣る結果となった。
比較例7は、ビニルシラン処理された水酸化マグネシウムの配合量が多すぎるため、低温での亀裂が発生した。
比較例8は、難燃剤である芳香族リン酸エステルの配合量を1重量部と少なくしたため、難燃性に劣る結果となった。
比較例9は、難燃剤である芳香族リン酸エステルの配合量を12重量部と多くしたため、低温での亀裂が発生した。
比較例10は、赤燐や芳香族リン酸エステルなどの難燃剤が添加されておらず、したがって難燃性がNGとなった。
本実施例のような高硬度を発現する樹脂材料を用いた場合、難燃性向上の目的で金属水酸化物を多量に添加すると、低温での耐衝撃性が悪くなり、引っ張り強度が低下する。したがって、所望の強度が実現される程度に金属水和物を添加すると、それだけでは難燃性のケーブルが得られない。
図2に示した光ファイバケーブルは、外被17を上述した本実施例の難燃樹脂組成物とすることにより、難燃性と、耐蝉用に適した硬度と引張強度を確保することができる。また、当該外被材料によれば、耐寒性についても優れた性能を確保することができる。さらに本実施例の難燃樹脂組成物により形成された外被17であれば、当該樹脂組成物が適切な引張伸びを有することから、ノッチ18の引き裂き性にも優れていることが判った。
尚、実施例4における外被材料の組成において、ビニルシランで処理された水酸化マグネシウムに替えて、ビニルシランとオレイン酸とで処理した水酸化マグネシウムを使用した場合、およびメタクリロキシシランで処理した水酸化マグネシウムを使用した場合の何れにおいても、実施例4と同等の効果が得られることが確認された。
上記実施例において光ファイバケーブルの場合について説明したが、本発明の難燃樹脂組成物は、ハロゲンフリーの絶縁電線やシールド電線(同軸電線)の絶縁体またはシース材(シースの被覆樹脂)として使用できる。これらの電線は機器内配線用途や車載用途に使用可能である。また、複数本の電線を纏めてケーブルやハーネスとして使用することもできる。いずれの場合も本発明の難燃樹脂組成物を使用した電線を用いることで、電線、ケーブルまたはハーネスとして難燃性を有する。そして金属水和物の添加量が従来よりも少ないので製造するときに被覆樹脂の押出性に優れる。さらに低温度での耐衝撃性に優れるとともに、樹脂材料の機械強度の発現を妨げることがない。
1 絶縁電線
2 中心導体
3 絶縁体
4 シールド電線
5 外部導体
6 シース
11,11’ 光ファイバケーブル
12 本体部
13 支持線部
14 首部
15 光ファイバ心線
15’ 光ファイバテープ心線
16 テンションメンバ
17 外被
17a 外被の側面
18 ノッチ
19 鋼線

Claims (6)

  1. 高密度ポリエチレンまたはポリプロピレン系ブロック共重合体40〜80重量部と直鎖状低密度ポリエチレン60〜20重量部とを少なくとも含んでなるベース樹脂100重量部に、難燃剤として、芳香族リン酸エステル2〜10質量部と、ビニルシラン処理、メタクリロキシシラン処理、あるいはこれらの処理の際にオレイン酸を併用して処理された水酸化マグネシウム30〜70重量部とが配合されたものであることを特徴とする難燃樹脂組成物。
  2. 前記直鎖状低密度ポリエチレンが、チーグラー・ナッタ触媒あるいはメタロセン触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする請求項1記載の難燃樹脂組成物。
  3. 前記水酸化マグネシウムが、ビニルシランとオレイン酸の併用による処理、メタクリロキシシラン処理、またはメタクリロキシシランとオレイン酸の併用による処理のいずれかの方法によって表面処理されていることを特徴とする請求項1または2記載の難燃樹脂組成物。
  4. 前記ベース樹脂が、無水マレイン酸変性SEBS(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)を10重量部以下で含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の難燃樹脂組成物。
  5. 本体部と支持線部とが切断容易な首部を介して連結され、前記本体部は、光ファイバ心線の両側にテンションメンバが配されて外被で長方形状に一括被覆され、両側面に外被切裂き用のノッチが設けられてなり、前記支持線部は、前記テンションメンバと前記光ファイバ心線の中心を結ぶ延長線上に配されてなる光ファイバケーブルであって、前記外被が請求項1〜4の何れか一項に記載の難燃樹脂組成物からなることを特徴とする光ファイバケーブル。
  6. 導体を絶縁樹脂で被覆した電線であって、少なくとも最外層が請求項1〜4の何れか一項に記載の難燃樹脂組成物からなることを特徴とする電線。
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