JP2008280551A - 無電解ニッケルめっき液及びそれを用いた無電解ニッケルめっき方法 - Google Patents

無電解ニッケルめっき液及びそれを用いた無電解ニッケルめっき方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル以外の重金属を含まず優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜外観、優れた耐食性を与えることのできる無電解ニッケルめっき液を提供すること。
【解決手段】ニッケルイオンと、錯化剤と、還元剤とを含む無電解ニッケルめっき液に、一般式:R−NC又はCN−R−NC(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環式基であって、これらはエーテル結合を有していてもよい)で表されるイソシアニド系物質を少なくとも1種添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、無電解ニッケルめっき液及びそれを用いた無電解ニッケルめっき方法に関する。
無電解ニッケルめっき法は、化学反応を利用して被めっき物表面にめっき皮膜を形成する技術である。この無電解ニッケルめっき法は、電気めっきのように電極等の特別な装置を必要とせず、被めっき物をめっき液に浸漬するだけで一度に大量の表面処理を行うことができる。また、膜厚の均一性も優れており、熱処理を施したり組成を調整することでCrめっき並みの高硬度を得ることもできる。そのため、無電解ニッケルめっき法は、Crめっきの代替技術として工業的に注目されている。
無電解ニッケルめっき液は、主にニッケルイオン、錯化剤、還元剤、pH緩衝剤及びpH調整剤から構成され、還元剤がニッケルイオンを還元することによりニッケルめっき皮膜が形成される。このとき、被めっき物が触媒として働くことにより、被めっき物表面において優先的に還元反応が生じると考えられている。しかしながら、現実には、被めっき物による触媒作用はそれほど大きくないために、無電解ニッケルめっき液中でも還元反応が進み、めっき液の自己分解が起こってしまう。そのため、工業的には、自己分解を阻害する安定剤をめっき液中に添加することにより、めっき液の自己分解を抑制している。
最近、国際的な環境意識の高まりにより有害物質の法規制が格段に厳しくなっており、これら法規制に抵触する物質はもはや使用することができない状態となっている。無電解ニッケルめっき液に添加される代表的な安定剤である鉛も例外ではない。そのため、産業界では鉛不含有の無電解ニッケルめっき液の開発が強く求められている。
これまで提案されてきた鉛代替安定剤は、重金属系安定剤と有機系安定剤とに大きく分類される。重金属系安定剤としては、Bi、In、Te等が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。これらの重金属系安定剤は、めっきの過程で発生したニッケル核に析出することにより安定性を発現しているため、ニッケルめっき皮膜中に必然的に取り込まれてしまう。そのため、重金属溶出に伴う環境へ悪影響の可能性が指摘されており、これに代わる安定剤が産業界から強く求められている。
一方、有機系安定剤は、硫黄化合物やアセチレン化合物(例えば、特許文献3を参照)、ホスフィン化合物(例えば、特許文献4を参照)、メソイオン化合物(例えば、特許文献5を参照)等が提案されている。しかしながら、これら有機系安定剤は、ニッケルめっき皮膜外観の悪化、例えば、ピットの増加や光沢の減少、密着力の低下をもたらす恐れがある。さらに、重金属を安定剤として用いた場合と比較して耐食性が大幅に低下することが大きな問題として指摘されている。
以上のような背景から、ニッケル以外の重金属を含まず優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜外観、優れた耐食性を与えることのできる無電解ニッケルめっき液の開発が産業界より強く望まれている。
特開2005−194562号公報 特開2000−328254号公報 特開2005−126734号公報 特開2005−290414号公報 特開2003−183845号公報
従って、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ニッケル以外の重金属を含まず優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜外観、優れた耐食性を与えることのできる無電解ニッケルめっき液を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究、開発を遂行した結果、上記のような課題を解決するためには、ニッケルイオンと、錯化剤と、還元剤とを含有する無電解ニッケルめっき液に、π電子逆供与性を有する物質、具体的にはイソシアニド系物質を安定剤として添加することが有効であることに想到し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、ニッケルイオンと、錯化剤と、還元剤とを含む無電解ニッケルめっき液であって、一般式:R−NC又はCN−R−NC(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環式基であって、これらはエーテル結合を有していてもよい)で表されるイソシアニド系物質を少なくとも1種更に含む無電解ニッケルめっき液である。
この無電解ニッケルめっき液は、イソシアニド系物質を1μmol/L〜1000μmol/L含有することが好ましい。
本発明によれば、ニッケル以外の重金属を含まず優れた安定性を有し、且つ良好な皮膜外観、耐食性を与えることのできる無電解ニッケルめっき液を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る無電解ニッケルめっき液は、ニッケルイオンと、ニッケルイオンの錯化剤と、ニッケルイオンの還元剤とを主成分とし、安定剤としてイソシアニド系物質を含むものである。このイソシアニド系物質の存在により、安定剤としてニッケル以外の重金属(鉛やインジウム)を含んだ無電解ニッケルめっき液と同等以上の安定性が確保される。
無電解ニッケルめっき液中に含まれるイソシアニド系物質としては、一般式:R−NC又はCN−R−NC(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環式基であって、これらはエーテル結合を有していてもよい)で表されるものであればよい。上記一般式中のRは、好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、アリール基又は複素環式基である。このようなイソシアニド系物質の具体例としては、ブチルイソシアニド、メチルイソシアノアセテート、シクロヘキシルイソシアニド、エチルイソシアノアセテート、ベンジルイソシアニド、エチルイソシアノプロピオネート、2−イソシアノ−2,4,4−トリメチルペンタン,tert−ブチルイソシアノアセテート、(トリメチルシリル)メチルイソシアニド、1,6−ジイソシアノヘキサン等が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液におけるイソシアニド系物質の濃度は、1μmol/L〜1000μmol/Lであることが好ましく、5μmol/L〜100μmol/Lであることが更に好ましい。イソシアニド系物質の濃度が1μmol/L未満であるとめっき液の安定性が不十分となることがあるため好ましくなく、また、1000μmol/Lを超えるとめっき皮膜の析出速度が低下することがあるため好ましくない。
上記イソシアニド系物質がめっき液に溶解しにくい場合には、水溶性有機溶剤にイソシアニド系物質を溶解させたものを無電解ニッケルめっき液中に添加してもよい。ただし、水溶性有機溶剤の添加量は、無電解ニッケルめっき液の総量に対して10質量%以下の濃度になるようにすることが望ましい。10質量%を超える添加量では、無電解ニッケルめっき液が不安定化したり、めっき皮膜の外観異常を引き起こす場合がある。イソシアニド系物質を溶解することのできる水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
無電解ニッケルめっき液中に含まれるニッケルイオンは、水溶性ニッケル塩を無電解ニッケルめっき液に添加することにより生成させることができる。このような水溶性ニッケル塩としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、次亜リン酸ニッケル等が挙げられる。これら水溶性ニッケル塩は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。無電解ニッケルめっき液における上記ニッケルイオンの濃度は、硫酸ニッケルとして通常5〜40g/Lであることが好ましく、20〜30g/Lであることが更に好ましい。
ニッケルイオンの錯化剤は、ニッケルイオンとの間で錯体を形成して、ニッケル塩が沈殿するのを防止する。このような錯化剤としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、エチレンジアミン等のアミン化合物類、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸等のジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などのカルボン酸類が挙げられ、これらは1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無電解ニッケルめっき液における錯化剤の濃度は、10〜100g/Lであることが好ましく、30〜60g/Lであることが更に好ましい。
還元剤としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、リン化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。これらの還元剤は、めっき皮膜に求められる特性に応じて適宜選択される。例えば、耐食性や防塵性が求められる場合には、還元剤としてリン化合物を添加しためっき液(Ni−Pめっき液)を用いることが好ましく、はんだ濡れ性や耐熱性が求められる場合には、還元剤としてホウ素化合物を添加しためっき液(Ni−Bめっき液)を用いることが好ましく、また、耐磨耗性や潤滑性が求められる場合には、還元剤としてリン化合物とホウ素化合物とを添加しためっき液(Ni−P−Bめっき液)を用いることが好ましい。還元剤としてのリン化合物の具体例には、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ニッケル、次亜リン酸カルシウム等を挙げることができる。このようなリン化合物が含まれる場合、その濃度は、例えば、次亜リン酸ナトリウムとして20〜50g/Lであることが好ましく、25〜35g/Lであることが更に好ましい。還元剤としてのホウ素化合物の具体例には、ジメチルアミノホウ素、ジエチルアミノホウ素、水酸化ホウ素ナトリウム等を挙げることができる。このようなホウ素化合物が含まれる場合、その濃度は、例えばジメチルアミノホウ素として1〜10g/Lであることが好ましく、2〜4g/Lであることが更に好ましい。また、リン化合物及びホウ素化合物の両方が含まれる場合には、リン化合物の濃度が、次亜リン酸ナトリウムとして10〜50g/Lであることが好ましく、25〜35g/Lであることが更に好ましく、ホウ素化合物の濃度が、ジメチルアミノホウ素として0.01〜3g/Lであることが好ましく、0.2〜1g/Lであることが更に好ましい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤であるイソシアニド系物質の他に、Pb、Bi、Tl、In、Sn等の公知の重金属系安定剤を微量、例えばPbであれば0.1〜5mg/L、Bi、Tl、In及びSnであればそれぞれ0.01〜20mg/L添加してもよい。本発明の無電解ニッケルめっき液では、安定剤として重金属系安定剤のみが添加された従来の無電解ニッケルめっき液と比較して、半分以下の重金属系安定剤添加量で同等以上の安定性が得られる。そのため、本発明の無電解ニッケルめっき液は、めっき皮膜中への重金属の共析量も著しく低減させることができるという利点も有する。また、本発明の効果を損なわない範囲で、プロパルギルアルコール、チオエーテル化合物、チオシアン化合物、チオン酸、チオン酸塩等の公知の有機系安定剤を併用してもよく、この場合の添加量は1〜100mg/L程度が好ましい。
本発明の無電解ニッケルめっき液には、本発明の効果を損なわない範囲で、反応促進剤、光沢剤、界面活性剤、機能付与剤等の公知の添加剤を必要に応じて添加してもよい。反応促進剤としては、アクリルアミドアルキルスルホン酸、メソイオン化合物、スルホベタイン化合物等が挙げられ、無電解ニッケルめっき液中の濃度は、通常0.01〜1g/Lである。光沢剤としては、ポリエチレングリコール等が挙げられ、無電解ニッケルめっき液中の濃度は、通常0.01〜1g/Lである。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤等が挙げられ、無電解ニッケルめっき液中の濃度は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩として、通常10〜30mg/Lである。機能付与剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ素樹脂、フッ化化合物、ナイロン、ポリエチレン、二硫化モリブデン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ等が挙げられ、無電解ニッケルめっき液中の濃度は、例えばPTFE粒子として1〜30g/L、炭化ケイ素粒子として1〜10g/Lである。
本発明の無電解ニッケルめっき液のpHとしては、通常4以上、好ましくは4.5以上、上限として通常10以下、好ましくは9以下である。無電解ニッケルめっき液のpHが4未満であると、めっき反応が起こらない場合があり、一方、10を超えると、安定性が低下する場合がある。このようにめっき液のpHを調整するためにpH調整剤を適宜使用してもよい。このようなpH調整剤としては、酸として、例えば、硫酸、リン酸、塩酸等が挙げられ、アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水等が挙げられる。また、めっき液のpHが変動してめっき皮膜の析出速度が低下するのを防止するために、必要に応じてpH緩衝剤を添加してもよい。このようなpH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、ホウ酸等が挙げられる。
次に、本発明に係る無電解ニッケルめっき方法について、以下に説明する。
本発明の無電解ニッケルめっき方法では、上述の無電解ニッケルめっき液に被めっき物を浸漬して、ニッケル以外の重金属を含まない耐食性の高いめっき皮膜を被めっき物表面に形成させることができる。めっき条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜98℃、更に好ましくは60〜95℃のめっき液温度において、必要に応じてめっき液を撹拌したり、被めっき物を揺動することにより、被めっき物の表面に均一にめっき皮膜を形成させることができる。この場合、めっき液の撹拌及び被めっき物の揺動方法としては、当該技術分野において公知の撹拌方法や揺動方法を採用することができる。また、めっき皮膜の析出速度(めっき速度)はめっき条件等によって変わるが、通常5〜25mg/cm2・hr程度である。めっき皮膜の膜厚は、めっき製品の使用目的等により適宜選定されるが、通常2〜25μm程度である。
さらに、長期連続使用においては、めっきの進行に伴ってめっき液中のニッケルイオン濃度、還元剤濃度、安定剤濃度が低下するので、連続的に又は適当な時間ごとに、水溶性ニッケル塩や錯化剤、還元剤、pH調整剤、安定剤等をめっき液に補給することが好ましい。
なお、被めっき物表面には、めっき皮膜との付着性を良好にする目的で、無電解ニッケルめっき液に浸漬する前に、通常のめっき工程で行われる前処理を施すことが好ましい。そのような前処理としては、例えば、溶剤又はアルカリ溶液を用いた脱脂、亜鉛置換処理、酸浸漬処理等を挙げることができる。
めっき対象物である被めっき物に制限はなく、無電解ニッケルめっき可能なものであればいずれの材質でも使用することができ、例えば、金属、表面が導電化されたプラスチックやセラミック等が挙げられる。
上述の無電解ニッケルめっき方法により得られるめっき皮膜には、基本的にニッケル以外の重金属は含有されないが、不純物としての重金属が0.01質量%以下ではあるが含有される可能性はある。本発明のめっき皮膜は、Pb、Bi、Tl、In、Sn等の有害性の高い重金属を殆ど含まないか、あるいは全く含まないので、環境保護を考慮しためっき製品を提供することが可能になる。
上述したような本発明の無電解ニッケルめっき液及び無電解ニッケルめっき方法は、環境規制の影響を強く受けている分野、例えば、自動車部品産業、電子部品産業、精密機械部品産業などで好適に用いることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
下記液組成の無電解Ni−Pめっき液を調製し、浴温90℃、めっき時間30分及び浴比25(めっき液量[mL])/被めっき物の表面積[cm2])というめっき条件で圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。なお、イソシアニド系物質の添加は、5mLのアセトニトリルに5μLイソシアニド系物質を溶解させ、これを総量50mLとなるように純水で希釈したものを用いて行った。
<液組成>
硫酸ニッケル 21g/L
次亜リン酸ナトリウム 25g/L
乳酸(50%) 50mL/L
プロピオン酸ナトリウム 2.85g/L
安定剤 下記表1を参照
pH 4.5(NaOHを添加することにより調整)
得られたNi−Pめっき皮膜及びNi−Pめっき液について、下記の項目について評価した。結果を表1に示した。
<めっき速度>
めっき処理前後の圧延鋼板の重量増加分を圧延鋼板の表面積で割ることにより、めっき速度(mg/cm2・hr)を求めた。
<外観>
めっきが施された圧延鋼板の表面を目視にて観察し、下記判定基準に基づいて評価した。
○:光沢のある皮膜
△:ピット発生又は白っぽい皮膜
×:光沢のない又は色ムラ・光沢ムラのある皮膜
<めっき液安定性試験>
めっき液を100mL採取し、これを60℃まで加熱しこの温度に保持しながら、100mg/Lの塩化パラジウム水溶液を1mL添加した。その後、1分ごとに100mg/Lの塩化パラジウム水溶液を1mL添加し、めっき液が黒色化又は分解するまでに要する時間(秒)を計測した。この時間(秒)が長いほど、安定性の高いめっき液であると言える。
<めっき皮膜耐食性試験>
めっき温度90℃、浴比25の条件で圧延鋼板に、単位面積あたりの重量が6mg/cm2となるような時間めっきを施した。その後、腐食液に浸し色の変化を下記基準に従い評価した。なお、腐食液としては市販の61%硝酸を同量のイオン交換水にて2倍に希釈したものを用いた。
○:変化なし
△:わずかに変色
×:完全に黒色化
(実施例2〜10)
表1に示すように安定剤の種類及び添加量を変える以外は実施例1と同様にして、圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。結果を表1に示した。
Figure 2008280551
(比較例1〜12)
下記表2に示すように安定剤の種類及び添加量を変える以外は実施例1と同様にして、圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。結果を表2に示した。
Figure 2008280551
表1から明らかなように、イソシアニド系物質を安定剤として添加した実施例1〜10の無電解ニッケルめっき液は、実用上十分なめっき速度が得られ、安定性が高く、めっき皮膜の外観・耐食性も良好であった。特に、実施例2〜4の無電解ニッケルめっき液は、安定性試験の結果が500秒以上もあり極めて安定性の高いものであった。また、外観・耐食性にも優れていることが分かる。
一方、表2から明らかなように、従来の重金属系安定剤である硝酸鉛又は硝酸インジウムを添加した比較例1〜6の無電解ニッケルめっき液は、数μmol/Lという少ない添加量で優れた安定性を示すものの、これらは重金属系の安定剤であり、環境負荷が大きい。これに対し、実施例1〜10の無電解ニッケルめっき液では、ニッケル以外の重金属を意図的に添加することなしに、従来の重金属系安定剤を添加した無電解ニッケルめっき液と同等以上の特性が得られていることが分かる。
また、比較例7〜9の無電解ニッケルめっき液を用いて得られためっき皮膜の表面は白濁化し多数のピットが観察されるとともに、耐食試験の結果も思わしくなく、チオ尿素の添加によりめっき皮膜の外観・耐食性が悪化する傾向があった。比較例10〜12の無電解ニッケルめっき液は、チオ尿素を添加した場合よりも外観は改善されるものの、耐食性は不十分であった。また、プロパルギルアルコールは、ある程度の効果を得るために、他の安定剤と比較して大量に添加する必要がある。
このように、本発明により無電解ニッケルめっき浴が安定化されるとともに、従来提案されている有機系安定剤と比較して外観及び耐食性に優れていることは明らかである。

Claims (4)

  1. ニッケルイオンと、錯化剤と、還元剤とを含む無電解ニッケルめっき液であって、
    一般式:R−NC又はCN−R−NC(式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環式基であって、これらはエーテル結合を有していてもよい)で表されるイソシアニド系物質を少なくとも1種更に含むことを特徴とする無電解ニッケルめっき液。
  2. 前記イソシアニド系物質は、1〜1000μmol/L含まれることを特徴とする請求項1に記載の無電解ニッケルめっき液。
  3. 前記イソシアニド系物質を溶解することのできる水溶性有機溶剤を更に含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の無電解ニッケルめっき液。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の無電解ニッケルめっき液に被めっき物を浸漬して、ニッケルめっき皮膜を被めっき物表面に形成させることを特徴とする無電解ニッケルめっき方法。
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