JP3979968B2 - 無電解複合めっき浴及び無電解複合めっき方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無電解複合めっき浴及び無電解複合めっき方法に関する。さらに詳しくは、無電解めっき(化学めっき)により、金属めっき皮膜中にフッ素樹脂等の微粒子等を複合共析させることが可能な無電解複合めっき浴及び無電解複合めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無電解金属めっき浴にフッ素樹脂、ナイロン、ポリエチレン、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素等の微粒子等を分散した複合めっき浴が知られている。そして、この複合めっき浴に被めっき体を浸漬させて無電解複合めっきを行うことにより、被めっき体の表面に化学的に金属皮膜を析出させるとともに、この金属皮膜中に微粒子や短繊維を共析させて、金属マトリックス中に上記微粒子等を分散させた複合めっき皮膜を得る手段が知られている。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の微粒子を無電解ニッケル−リン(Ni−P)めっき液中に分散した複合めっき浴を用いることで、Ni−Pめっき皮膜中にPTFEの微粒子が共析したNi−P/PTFE複合めっき皮膜が得られる。このNi−P/PTFE複合めっき皮膜は、ニッケル金属の諸物性と共に、PTFEの持つ低摩擦性や非粘着性を併せ持つめっき皮膜となる。
【0003】
ところで、PTFEに代表されるフッ素樹脂、黒鉛、フッ化黒鉛等の微粒子は、撥水性及び疎水性が強く、そのままでは、金属めっき浴中に分散させることができないため、該微粒子等を均一にめっき皮膜中に共析させることは非常に困難であった。そこで、従来より、界面活性剤を分散助剤として用いて微粒子等をめっき浴に分散させる手段が用いられている。この分散助剤である界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、使用されるめっき浴のpHにおいてカチオン性を示す両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤等の界面活性剤が使用されており、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7等には、これら界面活性剤が使用された複合めっき浴が開示されている。
【0004】
この界面活性剤の中では、カチオン性界面活性剤、中でも分子内にC−F結合を持つフッ素含有カチオン性界面活性剤が適していると考えられており(特許文献6等参照)、当該界面活性剤が主として使用されていた。しかし、これらの多くは次の式(2)及びその誘導体
【化2】
Rf−SO2−Y …… (2)
(Rfはフッ素置換アルキル基またはアルケニル基、Yはアミド基、水酸基またはハロゲンをそれぞれ示す)
で表される構造を持つ塩または誘導体であるが、近年、Rf−SO2−Yが人体や環境に対して有害であるという問題があり、かかる界面活性剤の使用及び製造は禁止されつつある。
【0005】
一方、フッ素を含有しない界面活性剤についても、特許文献8、特許文献9、特許文献10等に開示があり、また、非特許文献1にも、当該界面活性剤についての研究報告がされている。しかし、これらのフッ素を含有しないカチオン性界面活性剤を使用した複合めっき浴は、フッ素含有カチオン性界面活性剤(フルオロ炭素型)と比較して、めっき皮膜の部分的な未析出(カジリ)や部分的な黒色化が起こり易いため、めっき皮膜が不均一となり、皮膜性能を著しく低下させるという問題があった。更に、これらの複合めっき浴に使用されるカチオン性界面活性剤は、腐食性が高く、かつ、生分解性も良くないという環境上の問題も有していた。
【0006】
また、複合めっき浴に使用する両性界面活性剤としては、アルキルベタイン両性界面活性剤やエチレンオキサイドを有するアルキルベタイン両性界面活性剤が知られているが、これらを含むめっき浴も、無電解ニッケル浴の使用温度においてはPTFE等の微粒子の凝集が起こり易いため、良好なめっき皮膜を得ることができない場合があった。また、凝集の発生を抑制するためには、かかる両性界面活性剤の過剰の添加や、さらにノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤の併用を必要としていた。この結果、該微粒子の分散性が向上する一方で、界面活性剤の過剰な添加によるめっき皮膜の不均一や析出不良が発生し、皮膜性能を著しく低下させるという問題が起こっていた。更に、このめっき浴を連続使用した場合にあっては、該微粒子と界面活性剤の蓄積や、さらにはめっき浴の老化によって、ピット等の皮膜の不均一性が発生するという問題もあった。
【0007】
このように、無電解複合めっきでは、めっき浴中での微粒子の良好な分散状態を維持するために、界面活性剤を分散助剤として添加することが必要であるが、一方では、添加された界面活性剤が、無めっき部や部分的な黒色部を生じさせる等、外観と機能性を低下させてしまうという問題を有していた。また、界面活性剤を添加した無電解複合めっき浴を用い、連続して無電解複合めっきを実施した場合にあっては、めっき浴の連続使用によるPTFE等の微粒子と界面活性剤の蓄積やめっき浴の老化によって、微粒子のめっき皮膜への異常吸着やめっき皮膜中に均一に分散しない等の問題が起こり、皮膜性能を著しく低下させてしまっていた。さらに、めっき浴の使用にあたっては、添加する界面活性剤の有害性や環境性も考慮しなければならないという問題もあった。
【0008】
【特許文献1】
特開昭49−26133号公報
【特許文献2】
特開昭49−5832号公報
【特許文献3】
特開昭52−56026号公報
【特許文献4】
特開昭52−56147号公報
【特許文献5】
特開昭52−130434号公報
【特許文献6】
特開昭54−159343号公報
【特許文献7】
特開2000−204482号公報
【特許文献8】
特許第3139239号公報
【特許文献9】
特開昭62−502552号公報
【特許文献10】
特開2000−204482号公報
【非特許文献1】
TRANSACTIONS of THE INSTITUTE of METAL FINISHING 1994, 72(2), 第55〜57頁
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、フッ素樹脂等の撥水性ないし疎水性微粒子を添加しても、これら微粒子の凝集が起こらずめっき浴中に良好に分散し、めっきによりこれら微粒子が均一に分散した複合めっき皮膜が得られ、更には、連続使用が可能で、人体に対する有害性が低く、環境に対する負荷の低い無電解複合めっき浴の提供が求められていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する化合物を無電解複合めっき浴中に分散剤として含有させることにより、かかる課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は、金属イオン、水不溶性材料、還元剤及び界面活性剤を含有する複合めっき浴において、界面活性剤として下記式(1)で示される化合物を含有せしめたことを特徴とする無電解複合めっき浴を提供するものである。
【0012】
【化3】
(式中、R1 は炭素数7〜20のアルキル基を、R2 は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシル基を、R3 は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシル基を示し、nは1〜6の整数を示す)
【0013】
また、本発明は、上記の無電解複合めっき浴中に被めっき体を浸漬させることによりめっきすることを特徴とする無電解複合めっき方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「無電解複合めっき浴」とは、水不溶性材料をめっき浴中に分散させためっき浴のことをいい、また、「無電解複合めっき」とは、無電解めっきにより、該材料を金属とともに被めっき体の表面に共析せしめ、金属の持つ物性と水不溶性材料の持つ物性を同時に奏させることが可能なめっき皮膜を形成することをいう。
【0015】
本発明の無電解複合めっき浴は、上記したように、特定の界面活性剤、水不溶性物質、還元剤及び金属イオンを基本めっき組成として含有するものであるが、かかる界面活性剤は、下記式(1)で表されるものである。
【0016】
【化4】
(式中、R1 は炭素数7〜20のアルキル基、R2 は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシル基、R3 は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基または炭素数1〜6のアルコキシル基、nは1〜6の整数を示す)
【0017】
式(1)で表される化合物は、無電解複合めっき浴中の酸性度が酸性から弱酸性の条件下において、実質的にカチオン性を示すという特徴をもつ両性界面活性剤である。
【0018】
この化合物(1)は、構造中に脂肪酸アミドアルキル基を有するものである。この脂肪酸部分(R1CO−)の例としては、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等から導かれたものが挙げられる。本発明の無電解複合めっき浴においては、当該脂肪酸部分は、ラウリン酸よりもアルキル鎖の長いミスチリン酸やパルミチン酸を含むヤシ油脂肪酸やパーム核油脂肪酸から導いたものであることが、めっき浴中における安定性やめっき浴使用時の熱安定性等という点で好ましい。
【0019】
また、化合物(1)の基R2 及びR3 における炭素数1〜6のアルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル等が、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシへキシル等が、炭素数1〜6のアルコキシル基の例としては、メトキシル、エトキシル、プロポキシル、ブトキシル、ペンチルオキシル、へキシルオキシル等がそれぞれ挙げられる。このうち、化合物が容易に入手できる等の理由から、低級アルキル基、特にメチル基であることが好ましい。
【0020】
上記の化合物(1)の例としては、例えば、ニッサンアノンBDC−SF、ニッサンアノンBDF−SF(いずれも日本油脂(株)製)、アデカアンホートPB−30L(旭電化工業(株)製)、エナジコールC−30B、エナジコールL−30B(いずれもライオン(株)製)等として市販されている脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタインを挙げることができ、これらは容易に入手することができる。
【0021】
本発明の無電解複合めっき浴において、界面活性剤としての化合物(1)の使用濃度は、めっき浴の組成において、1000mg/L以下であることが好ましく、20〜600mg/Lであることがより好ましい。
【0022】
本発明の無電解複合めっき浴においては、化合物(1)のほか、本発明の効果を損なわない範囲で他の種類の界面活性剤、例えば、カチオン性界面活性剤や、めっき浴の水素イオン条件下で実質的にカチオン性を示す両性界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤としては、具体的には、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(例えば、コータミン24:花王(株)製)やジメチルアルキルベタイン(例えば、ニッサンアノンBF:日本油脂(株)製)等を挙げることができ、その一種又は二種を併用することができる。
【0023】
更に、本発明の無電解複合めっき浴には、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤(例えば、エマルゲン109P:花王(株)製)等の非イオン性界面活性剤や、アルキルアリルポリエーテルスルホン酸ナトリウム(例えば、TRITON X−200:UNION CARBIDE社製)等のアニオン性界面活性剤のそれぞれ一種又は二種とも併用することができる。
【0024】
本発明の無電解複合めっき浴は、上記の化合物(1)を界面活性剤として含有せしめる以外は、通常の無電解複合めっき浴に配合する成分、すなわち、金属イオン、水不溶性材料および還元剤を常法に従って溶解ないし分散させることにより調製することができる。
【0025】
本発明の無電解複合めっき浴で使用することができる金属イオンとしては、ニッケルイオン、コバルトイオン、銅イオン、金イオン、鉄イオン、パラジウムイオン、スズイオン、白金イオン、ロジウムイオン等が挙げられ、これらを有する硫酸塩や塩化物等、水溶性の金属塩の形態で用いることができる。無電解複合めっき浴中のこれらの金属イオンの濃度は、通常使用されうる濃度で用いればよいが、めっき浴の組成において0.1〜100g/Lが好ましく、1.0〜50g/Lがより好ましい。
【0026】
また、本発明の無電解複合めっき浴に用いられる水不溶性材料としては、一般に複合めっきで使用されるものであれば特に制限はなく、無電解複合めっき浴の種類や該めっきにより得られるめっき皮膜の用途等に応じて適宜選定することができるが、本発明は、撥水性ないし疎水性の水不溶性材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、フッ化ピッチ等のフッ素樹脂やフッ素化合物、ナイロン、ポリエチレン、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、炭化ケイ素等に対して使用することにより、特に優れた効果を得ることができる。なお、水不溶性材料は、一種類を単独で使用してもよく、又は二種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0027】
なお、上記PTFEの例としては、ルブリカントL−170J、L−172J(ともに旭硝子(株)製)、ルブロンL−2、L−5(ともにダイキン工業(株)製)、ゾニールMP−1100、MP−1200、TLP10F−1(ともにデュポン社製)等の商品名で市販されている微粒子を挙げることができ、これらが使用できる。
【0028】
これらの水不溶性材料は、微粒子状の形態であることが好ましく、無電解複合めっき浴中で適度に分散し、まためっき皮膜において金属マトリックス中に共析しうる程度の粒子径のものであれば特に制約はないが、一般には、100μm以下、好ましくは0.1〜10μmの大きさのものを使用すればよい。更に、長さが100μm以下、好ましくは、5〜100μmの短繊維状の形態であってもよい。
【0029】
本発明の無電解複合めっき浴における、上記水不溶性材料の含有量は、めっき浴の組成において、500g/L以下であることが好ましく、1〜10g/Lであることがより好ましい。
【0030】
更に、本発明の無電解複合めっき浴で使用することができる還元剤としては、次亜リン酸ナトリウム、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン等の次亜リン酸塩や、アミンボラン類またはヒドラジン塩等が挙げられる。無電解複合めっき浴中のこれらの還元剤の濃度は、使用する還元剤の種類や析出させる金属により相違するが、めっき浴の組成中1〜100g/Lが好ましく、2〜30g/Lがより好ましい。
【0031】
本発明の無電解複合めっき浴の調製にあたっては、上記の必須成分の他、本発明の効果を妨げない範囲で、錯化剤を添加することが好ましい。
【0032】
使用できる錯化剤としては、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、プロピオン酸、マロン酸、アジピン酸、クエン酸、酢酸、グリシン、グルコン酸、グリコール酸等の有機酸やこれらの水溶性塩の一種を単独で、又は二種以上を組み合わせて用いることができる。無電解複合めっき浴中のこれらの錯化剤の濃度は、めっき浴の組成において1〜100g/Lが好ましく、10〜40g/Lがより好ましい。
【0033】
また、本発明の無電解複合めっき浴には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、無電解めっき浴に通常使用される安定剤、反応促進剤、付きまわり改善効果を目的とした成分等を適宜添加することができる。
【0034】
この安定剤としては、例えば、鉛イオンを含む化合物(例えば硝酸鉛)等を使用することができ、また、反応促進剤としても、硫黄化合物、アルコール類、カルボン酸等を使用することができる。さらに、付きまわり改善効果を有する各種の酸化剤等も添加することができる。
【0035】
かくして調製される本発明の無電解複合めっき浴を使用して無電解複合めっきを実施するには、通常の無電解めっきで用いられる手段に従えばよく、例えば、水不溶性材料が均一に分散された無電解複合めっき浴に対して、被めっき体を浸漬させることにより、被めっき体の表面に対して、水不溶性材料が均一に分散された複合めっき皮膜を形成させることができる。
【0036】
また、無電解複合めっきを実施する場合には、無電解複合めっき浴の酸性度をpH1〜7とすることが好ましく、3〜5とすることがより好ましい。無電解複合めっき浴のpHをこの範囲にすることにより、効率的な金属イオンの還元反応が進行し、複合めっき皮膜の析出速度が良好となるという効果が得られる。めっき浴のpH調整のためには、塩酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸等の酸や水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム溶液等のアルカリをpH調整剤として適宜添加することができる。
【0037】
さらに、無電解複合めっきの実施にあたっては、無電解複合めっき浴の浴温を40〜95℃とすればよく、85〜90℃とすることが好ましい。
【0038】
更にまた、必要により無電解複合めっき浴を攪拌したり、被めっき体を揺動等させることにより、無電解複合めっきを効率よく行うことができ、また、めっき皮膜の外観及び性能をより優れたものとすることができる。これらの無電解複合めっき浴の攪拌手段や被めっき体の揺動手段等については、通常用いられる手段を適宜行えばよい。
【0039】
以上説明した無電解複合めっき方法において、好ましい態様の一つとしては、例えば、下記組成のPFTEを含有するNi−P無電解複合めっきを使用しためっき方法が挙げられる。この方法では、被めっき体として、鋼板(例えば、ブライト鋼板(SPCC−SB))を用意し、これを液温を85から90℃、pHを4から5とした下記組成の無電解複合めっき浴に30から60分程度浸漬させて無電解複合めっきを行うことにより、被めっき体の表面にNi/PTFEの複合めっき皮膜が形成される。この方法によれば、5ないし20μmの複合めっき皮膜が、被めっき体の表面部に形成されることになり、また、その際のPTFEの析出量は、数ないし約30容量%程度となる。
【0040】
( 無電解複合めっき浴組成 )
硫酸ニッケル6水和物 25〜30g/L
脂肪酸アミドプロピルジメチル酢酸ベタイン 20〜600mg/L
(界面活性剤)
PTFE(水不溶性材料:平均粒子径約0.3μm) 1〜10g/L
リンゴ酸(錯化剤) 10〜50g/L
乳酸(錯化剤) 10〜50g/L
コハク酸(錯化剤) 10〜50g/L
次亜りん酸ナトリウム1水和物(還元剤) 20〜50g/L
【0041】
なお、本発明の無電解複合めっき浴を用いて無電解複合めっきを行うにあたっては、めっきの進行により、金属イオンが還元剤によって金属に還元され、また、水不溶性材料が共析するにつれても、めっき浴中の金属イオン濃度、還元剤濃度及び水不溶性材料濃度が低下し、またpHも低下することになる。従って、連続的に又は適当な時間ごとに、無電解複合めっき浴中に水溶性金属塩、還元剤、水不溶性材料及びpH調整剤等を補給して、それらの濃度をもとの濃度に戻すことが好ましい。
【0042】
この場合においては、金属イオン濃度の低下量、還元剤の低下量、水不溶性材料の低下量及びpHの変化量と、無電解複合めっき皮膜の析出量は互いにほぼ比例関係にあると考えられる。また、析出速度は初期のめっき浴濃度が同じであれば、同一めっき条件においてほぼ一定であると考えられるので、初期のめっき浴濃度が同じで同一のめっき条件の場合は、一定間隔ごとに一定量の水溶性金属塩、還元剤、水不溶性材料及びpH調整剤等を別途補給することにより、無電解複合めっき浴の濃度をほぼもとに戻すことができる。
【0043】
また、連続的又は適当な時間ごとに、無電解複合めっき浴中の金属イオン濃度やpHを測定し、その測定結果に応じて、めっき浴中に水溶性金属塩、還元剤、水不溶性材料及びpH調整剤等を補給するようにしてもよい。更に、めっき浴中の水不溶性材料濃度や錯化剤、その他の成分の濃度を分析して、濃度調整を行ってもよい。
【0044】
本発明の無電解複合めっき浴は、かかる水溶性金属塩等の補給を行うことにより、少なくても2ターン、一般には、3〜4ターン程度まで良好に無電解複合めっきを続けることができ、連続的に無電解複合めっき浴を使用しても、表面が平滑で均一性に優れためっき皮膜を与えることができるものである。また、析出速度のや共析量の低下も少なく、めっき皮膜の性能も安定したものである。ここで、「1ターン」とは、本発明の無電解複合めっき浴中の初期金属イオン濃度に相当する量の金属析出が生じた時点におけるめっき浴の老化度を示す指標であり、すなわち、例えば、無電解複合めっき浴中の初期金属イオン濃度が5g/Lであるとした場合、5g/Lの金属析出が生じた時点を1ターンとするものである。よって、この場合には、25g/Lの金属析出が生じた時点が5ターンとなる。
【0045】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
【0046】
実 施 例 1
めっき浴使用温度におけるPTFEの分散性:
下記のめっき浴組成において、表1に示される8種類の界面活性剤(参考品1〜8)をそれぞれ添加して、本発明品1〜3及び比較品1〜5の無電解複合めっき浴を調製した。
【0047】
【0048】
( 使用した界面活性剤 )
【表1】
【0049】
これらの8種類の無電解複合めっき浴について、硫酸あるいは水酸化アンモニウム溶液を用いてめっき浴のpHを5.0に調整した。次いで、このめっき浴の温度を90℃(めっき浴の使用温度に相当する)まで上昇させた場合における、水不溶性材料であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の分散状態を比較・評価した。結果を表2に示す。
【0050】
( 結 果 )
【表2】
【0051】
表2の結果より、本発明品1〜3及び比較品1、2の無電解複合めっき浴中のPTFEは、めっき浴の温度を90℃まで加温した場合、良好な分散状態を示すことが示された。一方、比較品3〜5の無電解複合めっき浴では、めっき浴を90℃まで昇温中または昇温後まもなく、PTFEの凝集が発生することが確認された。
【0052】
実 施 例 2
無電解複合めっき試験(1):
サンプルとして鉄板(サイズ:50mm×100mm×0.8mm)を用い、このサンプルを被めっき体として、実施例1で調製した本発明品1〜3及び比較品1〜5の無電解複合めっき浴に浸漬させ、下記のめっき条件にて無電解複合めっきを行った。
【0053】
( めっき条件 )
めっき浴のpH(注) : 4.9
めっき浴の温度 : 90℃
めっき時間 : 60分
攪拌条件 : 緩やかな機械攪拌
(注)硫酸あるいは水酸化アンモニウム溶液を用いてpHを調製した。
【0054】
この無電解複合めっき後のサンプルに対して、めっき皮膜の外観及びPTFEの共析量を、それぞれ下記の評価基準により判定した。また、めっき皮膜の析出速度についても、常法を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0055】
( 評価基準:皮膜外観 )
皮膜の外観を目視にて観察した。
【0056】
( PTFEの共析量 )
【0057】
( 結 果 )
【表3】
【0058】
表3の結果からわかるように、本発明品1〜3の無電解複合めっき浴を使用しためっきサンプルの皮膜外観及びPTFEの共析量は良好であり、また、複合めっき皮膜の析出速度も優れたものであった。一方、比較品1の無電解複合めっき浴を使用したものについては、皮膜外観及び共析量は本発明品とほぼ同等であったが、析出速度が若干劣り、また、比較品2の無電解複合めっき浴を使用したものは、共析量や析出速度について本発明品レベルには達しなかった。更に、比較品3〜5の無電解複合めっき浴を使用したものについては、皮膜外観が良好ではなく、また、十分なPTFEの共析量を得ることができなかった。
【0059】
実 施 例 3
無電解複合めっき試験(2)(めっき浴の連続使用試験):
表2及び表3の結果から、無電解複合めっき浴建浴時(0ターン)において、PTFEがめっき浴中で良好な分散性を示し、かつ、得られためっき皮膜の特性も優れていた本発明品1〜3及び比較品1、2の無電解複合めっき浴について、連続使用試験を行った。連続使用試験は、めっき浴を連続使用(1、2、3ターン時)して無電解複合めっきを行ない、各ターンごとのめっき皮膜の皮膜外観、PTFE共析量及び析出速度を、下記の評価基準を用いて判定することにより行った。結果を表4に示す。
【0060】
( 皮膜外観 )
【0061】
( PTFE共析量 )
【0062】
( 析出速度 )
各ターン時の析出速度を、実施例2と同様の方法でそれぞれ測定し、この測定値を、下記評価基準を用いて、実施例2で得られた結果に対する各ターン時の析出速度の低下割合を評価した。
【0063】
( 結 果 )
【表4】
【0064】
表4の結果からわかるように、本発明品1及び2の無電解複合めっき浴は、めっき浴を連続的に使用しても、外観が良好なめっき皮膜を与えることができ、無電解複合めっきにおける析出速度や共析量の低下も極めて少ないものであった。また、本発明品3の無電解複合めっき浴は、従来品(フッ素含有カチオン界面活性剤含有)である比較品1の無電解複合めっき浴とほぼ同レベルであった。一方、比較品2の無電解複合めっき浴は、上記めっき浴を使用したものと比べてめっき皮膜外観に劣るものであり、めっき浴の連続使用には適さないものであった。
【0065】
【発明の効果】
本発明の無電解複合めっき浴は、めっき浴中に水不溶性材料の微粒子が均一に分散し、表面が平滑で均一性に優れためっき皮膜を与えることができるものであり、また、めっきにおける該微粒子の共析量や析出速度等のめっき性能も優れたものである。
【0066】
さらに、本発明の無電解複合めっき浴は、無電解複合めっきを連続的に使用しても、上記性能の低下が少なく、更にまた、使用される界面活性剤は、易生分解性を示し、刺激性も少ないため、人体や環境も配慮したものであり、安全面、環境面でも優れたものである。
【0067】
従って、本発明の無電解複合めっき浴及び無電解複合めっき方法は、シャフト、軸受け、メタルマスク、スライドレール、ベアリング、ボルト、ナット、金型、アイロンベース、アイロン台、鋸、鋏、カッターや包丁等の工業用品または家庭用品、天板等の調理器具用部材、キッチンバッグ等の台所用品並びに台所部材、水道蛇口などの水洗金具全般、水道やガスのコック部品全般等の無電解複合めっきとして、有利に使用することができるものである。
以 上
Claims (8)
- 式(1)で示される化合物がヤシ油脂肪酸及び/またはパーム核油脂肪酸から選ばれる脂肪酸から導かれた化合物である請求項第1項記載の無電解複合めっき浴。
- さらに錯化剤を含有するものである請求項第1項または第2項記載の無電解複合めっき浴。
- 水不溶性材料が、撥水性ないし疎水性の微粒子である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の無電解複合めっき浴。
- 水不溶性材料が、フッ素樹脂ないしフッ素化合物、ナイロン、ポリエチレン、黒鉛、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素および炭化ケイ素からなる群より選ばれた材料で形成された微粒子である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の無電解複合めっき浴。
- 水不溶性材料が、ポリテトラフルオロエチレンの微粒子である請求項第1項ないし第3項の何れかの項記載の無電解複合めっき浴。
- 金属イオンがニッケルイオン、コバルトイオン、銅イオン、金イオン、鉄イオン、パラジウムイオン、白金イオン、スズイオン及びロジウムイオンよりなる群から選ばれた一種または二種以上である請求項第1項ないし第6項の何れかの項記載の無電解複合めっき浴。
- 請求項第1項ないし第7項の何れかの項記載の無電解複合めっき浴中に被めっき体を浸漬させてめっきすることを特徴とする無電解複合めっき方法。
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