JP2007321218A - 無電解めっき液、それを用いた無電解めっき方法及びその方法により得られるめっき皮膜 - Google Patents

無電解めっき液、それを用いた無電解めっき方法及びその方法により得られるめっき皮膜 Download PDF

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Abstract

【課題】有毒性が低く、亜リン酸のような副生成物の影響を受けることなく優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜特性を与えることのできる無電解めっき液を提供すること。
【解決手段】メタバナジウム酸イオン(VO )と、ニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、金属イオンの錯化剤と、金属イオンの還元剤とを含有することを特徴とする無電解めっき液。メタバナジウム酸イオンの存在により、亜リン酸のような副生成物による影響が低減され、鉛成分を含有する無電解めっき液と同等以上の安定性が確保される。メタバナジウム酸イオンは無電解めっき液中に10〜80mg/L含まれることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、無電解めっき液、それを用いた無電解めっき方法及びその方法により得られるめっき皮膜に関する。
無電解めっき法は、化学反応を利用して被めっき物表面にめっき皮膜を形成する技術である。この無電解めっき法は、電気めっきのように電極等の特別な装置を必要とせず、被めっき物をめっき液に浸漬するだけで一度に大量の表面処理を行うことができる。また、膜厚の均一性も優れており、熱処理を施したり組成を調整することでCrめっき並みの高硬度を得ることもできる。そのため、無電解めっき法は、Crめっきの代替技術として工業的に注目されている。
無電解めっき液は、主に金属イオン、錯化剤、還元剤、pH緩衝剤及びpH調整剤から構成され、還元剤が金属イオンを還元することによりめっき皮膜が形成される。このとき、被めっき物が触媒として働くことにより、被めっき物表面において優先的に還元反応が生じると考えられている。しかしながら、現実には、被めっき物による触媒作用はそれほど大きくないために、めっき液中でも還元反応が進み、めっき液の自己分解が起こってしまう。そのため、工業的には、自己分解を阻害する安定剤をめっき液中に添加することにより、めっき液の自己分解を抑制している。
最近、国際的な環境意識の高まりにより有害物質の法規制が格段に厳しくなっており、これら法規制に抵触する物質はもはや使用することができない状態となっている。無電解めっき液に添加される代表的な安定剤である鉛も例外ではない。そのため、産業界では鉛を不含有の無電解めっき液の開発が強く求められている。
これまで提案されてきた鉛代替安定剤は、金属系安定剤と有機系安定剤とに大きく分類される。金属安定剤としては、Bi、In、Te等が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。これらの金属系安定剤は、めっきの過程で発生したニッケル核に析出することにより安定性を発現しているため、めっき皮膜中に必然的に取り込まれてしまう。そのため、めっき皮膜特性が低下したり、重金属であるがゆえに環境へ悪影響を与える可能性がある。さらに、これら重金属系安定剤と無電解めっき反応により生じる亜リン酸などの副生成物とは結合し易いため、めっき反応が進行するにしたがって安定剤としての機能が低下し、めっき液の安定性が低下するという致命的な欠点を有している。
一方、有機系安定剤は、硫黄化合物やアセチレン化合物(例えば、特許文献3を参照)、ホスフィン化合物(例えば、特許文献4を参照)、メソイオン化合物(例えば、特許文献5を参照)等が提案されている。これら有機系安定剤の作用機構は、めっきの過程で発生したニッケル核に有機系安定剤が吸着し、不活性な膜を形成することにより説明することができる。しかしながら、これら有機系安定剤はその作用機構が吸着であることから、浴温によって吸着力が低下したり、安定剤自体の熱安定性が低いために、無電解めっき法のような高温下での使用には十分に耐えられないという問題がある。さらに、めっき皮膜特性の悪化、例えば、ピットの増加や光沢の減少、密着力の低下をもたらす恐れがある。その上、これら有機系安定剤は、一般に急性毒性が高いため、添加量が例え微量であっても環境や人体に対して悪影響を与える可能性がある。
以上のような背景から、有毒性が低く、亜リン酸のような副生成物の影響を受けることなく優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜特性を与えることのできる無電解めっき液の開発が産業界より強く望まれている。
特開2005−194562号公報 特開2000−328254号公報 特開2005−126734号公報 特開2005−290414号公報 特開2003−183845号公報
従って、本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、有毒性が低く、亜リン酸のような副生成物の影響を受けることなく優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜特性を与えることのできる無電解めっき液を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究、開発を遂行した結果、上記のような課題を解決するためには、ニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、金属イオンの錯化剤と、金属イオンの還元剤とを含有する無電解めっき液に、メタバナジウム酸イオン(VO )を生じるメタバナジン酸アンモニウム等を添加することが有効であることに想到し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、メタバナジウム酸イオンと、ニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、金属イオンの錯化剤と、金属イオンの還元剤とを含有することを特徴とする無電解めっき液である。
この無電解めっき液は、メタバナジウム酸イオンを10〜80mg/L含有することが好ましい。
また、本発明は、上記無電解めっき液に被めっき物を浸漬して、バナジウムを含むめっき皮膜を被めっき物表面に形成させることを特徴とする無電解めっき方法である。
さらに、本発明は、上記無電解めっき方法により得られるバナジウムを含むめっき皮膜であって、バナジウムを0.01重量%〜0.1重量%含有することを特徴とするめっき皮膜である。
本発明によれば、有毒性が低く、亜リン酸のような副生成物の影響を受けることなく優れた安定性を有し、且つ良好なめっき皮膜特性を与えることのできる無電解めっき液を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る無電解めっき液は、ニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、金属イオンの錯化剤と、金属イオンの還元剤とを主成分とし、安定剤としてメタバナジウム酸イオンを含むものである。このメタバナジウム酸イオンの存在により、亜リン酸のような副生成物による影響が低減され、鉛成分を含有する無電解めっき液と同等以上の安定性が確保される。
無電解めっき液中に含まれるメタバナジウム酸イオン(VO )は、メタバナジン酸及びメタバナジン酸化合物から選択される少なくとも1種のメタバナジウム酸イオン源を無電解めっき液に添加することにより生成させることが好ましい。メタバナジン酸化合物としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸カリウム、バナジン酸水素ナトリウム、バナジン酸カルシウム、バナジン酸ストロンチウム、バナジン酸ナトリウム等が挙げられ、これらを1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無電解めっき液におけるメタバナジウム酸イオンの濃度は、10〜80mg/Lであることが好ましく、20〜50mg/Lであることが更に好ましい。メタバナジウム酸イオンの濃度が10mg/L未満であるとめっき液の安定性が不十分となることがあるため好ましくなく、また、80mg/Lを超えるとめっき皮膜の析出速度が低下することがあるため好ましくない。
無電解めっき液中に含まれるニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンは、水溶性ニッケル塩や水溶性コバルト塩を無電解めっき液に添加することにより生成させることができる。このような水溶性ニッケル塩としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル、スルファミン酸ニッケル、次亜リン酸ニッケル等が挙げられる。これら水溶性ニッケル塩は、1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。また、水溶性コバルト塩としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、スルファミン酸コバルト等が挙げられる。これら水溶性コバルト塩は、1種単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
無電解めっき液における上記金属イオンの濃度は、例えば、ニッケルイオンの場合、例えば、硫酸ニッケルとして、通常5〜40g/Lであることが好ましく、20〜30g/Lであることが更に好ましい。コバルトイオンの場合、例えば、硫酸コバルトとして、通常5〜40g/Lであり、5〜20g/Lであることが好ましい。
金属イオンの錯化剤は、ニッケルイオンまたはコバルトイオンとの間で錯体を形成して、ニッケル塩またはコバルト塩が沈殿するのを防止する。このような錯化剤としては、当該技術分野において公知のものを制限なく使用することができ、例えば、エチレンジアミン等のアミン化合物、グリコール酸、乳酸、グルコン酸、プロピオン酸等のモノカルボン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸等のジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などのカルボン酸類の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
無電解めっき液における錯化剤の濃度は、10〜100g/Lであることが好ましく、30〜60g/Lであることが更に好ましい。
還元剤としては、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、リン化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。これらの還元剤は、めっき皮膜に求められる特性に応じて適宜選択される。例えば、耐食性や防塵性が求められる場合には、還元剤としてリン化合物を添加しためっき液(Ni−Pめっき液)を用いることが好ましく、はんだ濡れ性や耐熱性が求められる場合には、還元剤としてホウ素化合物を添加しためっき液(Ni及び/又はCo−Bめっき液)を用いることが好ましく、また、耐磨耗性や潤滑性が求められる場合には、還元剤としてリン化合物とホウ素化合物とを添加しためっき液(Ni及び/又はCo−P−Bめっき液)を用いることが好ましい。還元剤としてのリン化合物の具体例には、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ニッケル、次亜リン酸カルシウム等を挙げることができる。このようなリン化合物が含まれる場合、その濃度は、例えば、次亜リン酸ナトリウムとして20〜50g/Lであることが好ましく、25〜35g/Lであることが更に好ましい。還元剤としてのホウ素化合物の具体例には、ジメチルアミノホウ素、ジエチルアミノホウ素、水酸化ホウ素ナトリウム等を挙げることができる。このようなホウ素化合物が含まれる場合、その濃度は、例えばジメチルアミノホウ素として1〜10g/Lであることが好ましく、2〜4g/Lであることが更に好ましい。また、リン化合物およびホウ素化合物の両方が含まれる場合には、リン化合物の濃度が、次亜リン酸ナトリウムとして10〜50g/Lであることが好ましく、25〜35g/Lであることが更に好ましく、ホウ素化合物の濃度が、ジメチルアミノホウ素として0.01〜3g/Lであることが好ましく、0.2〜1g/Lであることが更に好ましい。
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、安定剤であるメタバナジウム酸イオンの他に、Pb、Bi、Tl、In、Sn等の公知の重金属系安定剤を微量、例えばPbであれば0.1〜5mg/L、Bi、Tl、InおよびSnであればそれぞれ0.01〜20mg/L添加してもよい。本発明の無電解めっき液では、安定剤として重金属系安定剤のみが添加された従来の無電解めっき液と比較して、半分以下の重金属系安定剤添加量で同等以上の安定性が得られる。そのため、本発明の無電解めっき液は、めっき皮膜中への重金属の共析量も著しく低減させることができるという利点も有する。また、本発明の効果を損なわない範囲で、プロパルギルアルコール、チオエーテル化合物、チオシアン化合物、チオン酸、チオン酸塩等の公知の有機系安定剤を併用してもよく、この場合の添加量は1〜100mg/L程度が好ましい。
本発明の無電解めっき液には、本発明の効果を損なわない範囲で、反応促進剤、光沢剤、界面活性剤、機能付与剤等の公知の添加剤を必要に応じて添加してもよい。反応促進剤としては、アクリルアミドアルキルスルホン酸、メソイオン化合物、スルホベタイン化合物等が挙げられ、無電解めっき液中の濃度は、通常0.01〜1g/Lである。光沢剤としては、ポリエチレングリコール等が挙げられ、無電解めっき液中の濃度は、通常0.01〜1g/Lである。界面活性剤としては、アニオン界面活性剤等が挙げられ、無電解めっき液中の濃度は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩として、通常10〜30mg/Lである。機能付与剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ素樹脂、フッ化化合物、ナイロン、ポリエチレン、二硫化モリブデン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化チタン、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ等が挙げられ、無電解めっき液中の濃度は、例えばPTFE粒子として1〜30g/L、炭化ケイ素粒子として1〜10g/Lである。
本発明の無電解めっき液のpHとしては、通常4以上、好ましくは4.5以上、上限として通常10以下、好ましくは9以下である。無電解めっき液のpHが4未満であると、めっき反応が起こらない場合があり、一方、10を超えると、安定性が低下する場合がある。このようにめっき液のpHを調整するためにpH調整剤を適宜使用してもよい。このようなpH調整剤としては、酸として、例えば、硫酸、リン酸、塩酸等が挙げられ、アルカリとして、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水等が挙げられる。また、めっき液のpHが変動してめっき皮膜の析出速度が低下するのを防止するために、必要に応じてpH緩衝剤を添加してもよい。このようなpH緩衝剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、ホウ酸等が挙げられる。
次に、本発明に係る無電解めっき方法について、以下に説明する。
本発明の無電解めっき方法では、上述の無電解めっき液に被めっき物を浸漬して、バナジウムを含むめっき皮膜を被めっき物表面に形成させる。めっき条件は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜98℃、更に好ましくは60〜95℃のめっき液温度において、必要に応じてめっき液を撹拌したり、被めっき物を揺動することにより、被めっき物の表面に均一にめっき皮膜を形成させることができる。この場合、めっき液の撹拌及び被めっき物の揺動方法としては、当該技術分野において公知の撹拌方法や揺動方法を採用することができる。また、めっき皮膜の析出速度(めっき速度)は特に限定されるものではないが、通常5〜25mg/cm・hr程度である。めっき皮膜の膜厚は、めっき製品の使用目的等により適宜選定されるが、通常2〜25μm程度である。
さらに、長期連続使用においては、めっきの進行に伴ってめっき液中の金属イオン濃度、還元剤濃度が低下するので、連続的に又は適当な時間ごとに、水溶性ニッケル塩や水溶性コバルト塩、錯化剤、還元剤、pH調整剤等をめっき液に補給することが好ましい。
なお、被めっき物表面には、めっき皮膜との付着性を良好にする目的で、無電解めっき液に浸漬する前に、通常のめっき工程で行われる前処理を施すことが好ましい。そのような前処理としては、例えば、溶剤又はアルカリ溶液を用いた脱脂、亜鉛置換処理、酸浸漬処理等を挙げることができる。
めっき対象物である被めっき物に制限はなく、無電解めっき可能なものであればいずれの材質でも使用することができ、例えば、金属、表面が導電化されたプラスチックやセラミック等が挙げられる。
上述の無電解めっき方法により得られるめっき皮膜には、バナジウムが0.01〜0.1重量%含有される。本発明のめっき皮膜は、Pb、Bi、Tl、In、Sn等の有害性の高い重金属を殆ど含まない若しくは全く含まないので、環境保護を考慮しためっき製品を提供することが可能になる。
上述したような本発明の無電解めっき液、無電解めっき方法及びめっき皮膜は、環境規制の影響を強く受けている分野、例えば、自動車部品産業、電子部品産業、精密機械部品産業などで好適に用いることができる。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
下記液組成の無電解Ni−Pめっき液を調製し、浴温90℃、めっき時間60分および浴比25(めっき液量[mL])/被めっき物の表面積[cm])というめっき条件で圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。
<液組成>
硫酸ニッケル 21g/L
次亜リン酸ナトリウム 25g/L
乳酸 27g/L
プロピオン酸 2.2g/L
安定剤 下記表1を参照
pH 4.5(NaOHを添加することにより調整)
得られたNi−Pめっき皮膜およびNi−Pめっき液について、下記の項目について評価した。結果を表1に示した。
<めっき速度>
めっき処理前後の圧延鋼板の重量増加分を圧延鋼板の表面積で割ることにより、めっき速度(mg/cm・hr)を求めた。
<外観>
めっきが施された圧延鋼板の表面を目視にて観察し、下記判定基準に基づいて評価した。
○:光沢のある皮膜
△:ピット発生又は白っぽい皮膜
×:光沢のない又は色ムラ・光沢ムラのある皮膜
<めっき液安定性試験>
めっき液を100mL採取し、これを60℃まで加熱しこの温度に保持しながら、100mg/Lの塩化パラジウム水溶液を1mL添加した。その後、1分ごとに100mg/Lの塩化パラジウム水溶液を1mL添加し、めっき液が黒色化又は分解するまでに要する時間(秒)を計測した。この時間(秒)が長いほど、安定性の高いめっき液であると言える。
(実施例2〜4)
表1に示すように安定剤の種類及び添加量を変える以外は実施例1と同様にして、圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。結果を表1に示した。
Figure 2007321218
(比較例1〜9)
下記表2に示すように安定剤の種類および添加量を変える以外は実施例1と同様にして、圧延鋼板にNi−Pめっきを施した。結果を表2に示した。なお、比較例3、6及び9では、めっき速度が時間の経過とともに低下し、めっきの析出が途中で停止した。
Figure 2007321218
表1から明らかなように、バナジン酸アンモニウム又はバナジン酸カリウムを安定剤として添加した実施例1〜4のめっき液は、実用上十分なめっき速度が得られ、安定性が高く、めっき皮膜の外観も良好であった。特に、実施例2〜4のめっき液は、安定性試験の結果が600秒超と極めて安定性の高いものであった。一方、表2から明らかなように、硝酸鉛又は硝酸インジウムを添加した比較例1〜6のめっき液は、1mg/Lという少ない添加量で優れた安定性を示すものの、その適正範囲は非常に狭いものであった。そのため、これらの安定剤を添加しためっき液は安定剤の濃度管理を正確に且つ頻繁に行う必要があり、実際の操業におけるめっき液の維持管理は困難であると考えられる。また、比較例7〜9のめっき液を用いて得られためっき皮膜の表面には多数のピットが観察され、チオ尿素の添加によりめっき皮膜の外観が悪化する傾向があった。
(実施例5)
亜リン酸ナトリウム等の副生成物の存在下におけるめっき液の安定性を評価するため、実施例1と同様の液組成の無電解Ni−Pめっき液に亜リン酸ナトリウムを100g/L更に添加した後、NaOHを添加することによりpHを4.5に調整し、実施例5の無電解Ni−Pめっき液を調製し、実施例1と同様にしてめっき速度、外観及び安定性について評価した。結果を表3に示した。
(実施例6〜8及び比較例10〜12)
実施例5と同様にして、実施例2〜4並びに比較例2、5及び8と同様の液組成の無電解Ni−Pめっき液それぞれから実施例6〜8及び比較例10〜12の無電解Ni−Pめっき液を調製し、めっき速度、外観及び安定性について評価した。結果を表3に示した。
Figure 2007321218
表3から明らかなように、バナジン酸アンモニウム又はバナジン酸カリウムを安定剤として添加した実施例5〜8のめっき液は、亜リン酸ナトリウムが多量に存在するにもかかわらず、実用上十分なめっき速度が得られ、めっき皮膜の外観も良好であった。また、実施例5〜8のめっき液の安定性は、硝酸鉛を添加した比較例10のめっき液のそれを大きく上回るものであった。比較例11は、亜リン酸ナトリウムを添加する前の比較例5に比して、安定性が1/3程度に低下していることが分かる。また、比較例11のめっき液は、60分間のめっき終了後、自己分解を生じた。比較例12では、亜リン酸ナトリウムを添加する前の比較例8に比して、めっき速度及び安定性の向上が見られるものの、得られためっき皮膜の表面には多数のピットが観察され、実用に耐え得るめっき皮膜は得られなかった。

Claims (4)

  1. メタバナジウム酸イオン(VO )と、ニッケルイオン及びコバルトイオンから選択される少なくとも1種の金属イオンと、金属イオンの錯化剤と、金属イオンの還元剤とを含有することを特徴とする無電解めっき液。
  2. 前記メタバナジウム酸イオンを10〜80mg/L含有することを特徴とする請求項1に記載の無電解めっき液。
  3. 請求項1又は2に記載の無電解めっき液に被めっき物を浸漬して、バナジウムを含むめっき皮膜を被めっき物表面に形成させることを特徴とする無電解めっき方法。
  4. 請求項3に記載の無電解めっき方法により得られるバナジウムを含むめっき皮膜であって、バナジウムを0.01〜0.1重量%含有することを特徴とするめっき皮膜。
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